大阪府民を欺く関電を全力で守る“ヤメ検弁護士”のお歴々…大阪地検の刑事起訴を絶対阻止

 1987年頃から約30年にわたり、関西電力の幹部ら75人が原発の立地する福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)から巨額の金品を受けていた問題で、関電は6月16日、八木誠前会長、岩根茂樹前社長ら旧経営陣5人に対し総額19億3600万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こした。

 現役経営陣がOB経営陣を提訴する異例の事態ではあるが、電気料金を支払う消費者のためなどではない。6月25日に開かれる株主総会対策の「馴れ合いパフォーマンス」だ。これを見越した株主5人が23日、旧現経営陣と監査役計22人に対し、約92億円の損害賠償を関電に支払うよう求める株主代表訴訟を起こした。関電が訴えた被告5人に加え、現在の森本孝社長や八嶋康博常任監査役ら17人。

 訴状によると、旧経営陣らは森山氏から多額の金品を受領した問題を放置、福島第一原発事故の影響で原発稼働が停止して経営悪化し、減額した役員の報酬を秘密裏に補填し、会社の信用を損ない、損害を与えたとしている。

 大阪市内で記者会見した原告弁護団の河合弘之弁護士は「秘密補填などを知っていた現経営陣の責任も免れない。5人では責任追及の範囲が不十分。馴れ合いの和解を防ぐためにも提訴に踏み切った。責任を厳しく追及したい」などと語った。

株主に大嘘通知

 こうしたなか、注目したいのは朝日新聞のスクープである。社外取締役に就任予定の佐々木茂夫弁護士について関電が「事前にはこれらの問題(筆者注・森山氏からの金品授受)を認識しておりませんでした」と株主に虚偽の通知をしていたと報じた。実際には18年2月に金沢国税局に関電が税務調査された際、関電の社外監査役就任直前だった佐々木氏は、課税処分や刑事訴追の可能性について相談を受けていた。朝日新聞の指摘を受けて関電は「佐々木氏に関しても、(中略)その一端を知る立場にありました」と修正通知した。朝日新聞に対し佐々木氏は「全然相談を受けていないなどということは言わない」などと語っている。

 関電が森山問題を元大阪高検検事長の大物検察OBで社外監査役に就任予定だった佐々木氏に相談しないはずはない。そもそも大企業が「ヤメ検弁護士」に高給を与えて重宝するのは、こうした「有事」で働いてもらいたいからだ。それが佐々木氏について株主にシャアシャアと大嘘をついていた。

刑事起訴を阻止するために関電が敷いた布陣

 昨年秋に発覚した「ドン森山氏」による関電の金品授受問題。振り返ってみれば、最初に内部調査の報告書をつくったのは、関電のコンプライアンス委員で調査委員会の委員長だった小林敬弁護士だった。小林氏は厚労省幹部だった村木厚子氏が郵便不正の冤罪で大阪地検特捜部に起訴された際の同地検検事正である。

 関電は当初、この報告書すら黒塗りだらけにして公表し、世論の怒りを買い、当時の八木会長や岩根社長が改めて会見したが、森山氏の「強圧的な人格」に帰せしめて逃げていた。

 そして同問題の第三者委員会の委員長に関電は但木敬一元検事総長を据えた。但木氏は「第三者」の独立性を強調、今年3月の最終報告で「内向き体質」とか「コンプライアンス違反」などと糾弾して見せたが、刑事告発は見送った。しかし筆者には、もともとが刑事告発させないための第三者委員会に見えた。そして今回の佐々木氏。すべて「森山問題」で大阪地検による刑事起訴を阻止するために関電が敷いた布陣としか思えない。

 関電が提訴にあたり請求している賠償額19億円には、金品を受けた経営幹部が森山氏のかかわっていた会社へ随意に発注した工事費などについて、競争入札した場合の安い受注額との差額分が考慮されていない。関電は「算出できなかった」などとごまかしているが、これこそがもっとも重要な部分のはずだ。あえて算出しないのは、これが会社法の背任罪や贈収賄など刑事事案にかかわる根幹部分だからである。ちなみに関電幹部らは同罪で市民団体に大阪地検へ刑事告発されている。

馬鹿を見る大阪市民

 さて、関西電力の筆頭株主は大阪市である。大阪市民から見れば、福島第一原発事故で原発が停止し、値上がりした電気代を払わされ、さらに納めた市民税は関電の株購入のためにも多く使われていた。「役員報酬はカットするから値上がりにご理解を」など真っ赤なウソだった。元副社長の豊松秀己氏は退任後、エグゼクティブ・フェローとして月490万円を密かに受けていた。

 会見後、大物ヤメ検について河合弁護士は筆者に「東京電力でも経産省OBなどは組み込んでいるが、検察OBはいないのでは。関電は検察OBがよほど好きなのでしょうが、明らかに癒着というしかない」と話してくれた。

「伏魔殿・関西電力」を守り続けるのは「大物ヤメ検」たちなのだ。

(写真と文=粟野仁雄/ジャーナリスト)

ファーウェイから中国共産党へ情報流出…グーグル元CEO「間違いない」発言、二重の意味

 6月18日、グーグルの元CEO(最高経営責任者)で現取締役顧問のエリック・シュミット氏が、英BBCラジオでファーウェイを通じた中国への情報流出は「間違いない」と答えたことが話題となった。

 米国防省のアドバイザリーボードを兼務するシュミット氏のこの発言には、二重の意味がある。ひとつは、ファーウェイ利用にはリスクがあるということを認めて、米当局に与するポーズを取って見せたということ。その裏では、グーグル自身が背後で中国に協力し、合法的に情報提供していることを追及された際の言い逃れに利用したいのではないかと考えられる。

 グーグルが米政府への協力を拒み、一方で中国政府の技術開発に加担してきたことは公然の事実だ。そのため昨年、フェイスブック取締役であるピーター・ティール氏から「国家反逆だ」、「FBI(連邦捜査局)によって捜査されるべきだ」とまで批判され、グーグルはリスクを避けるために、ファーウェイで共同開発していたスマートスピーカー製品の市場導入を見送るかたちで体裁を整えた。

中国政府検閲検索エンジン「ドラゴンフライ」

 もともと、グーグルは中国政府のために「ドラゴンフライ」と呼ばれる中国検閲アルゴリズムを組み込んだ検索エンジンも開発していたために、社内で従業員による反対の署名運動が高まった。中国国内の検索エンジンは、すでに中国政府によって「検閲済み」であるため、ドラゴンフライは中国「国外」向けのサービスとして中国検閲済みのサービスを中国人以外にも提供していくことを意味し、「自由世界」に憧れて入社したハッカーやエンジニアたちの反発を呼んだ。

 当初、ドラゴンフライのデータセンターは台湾に置くといわれていたが、昨年、ドラゴンフライ計画は中断されたと報じられていたので、台湾にデータセンターを追加することは断念されたかと思われていた。

 ところが、奇妙なことに「米国と台湾にあるグーグルのデータセンターの内部データ通信の需要を満たすために、米国内にあるグーグルのデータセンターを海底ケーブルで台湾に所在する同社データセンターに接続し、アジア太平洋地域全体のユーザーにサービスを提供する」と報道されている。新規の海底ケーブルを利用するということは、米台間を往来するデータ量が膨大になるということを意味するが、「なんのサービスを提供するためなのか」という疑問と、「冷却に多額の電気代がかかる亜熱帯気候の台湾を選んだ理由は何か」という疑問が浮上する。

今年4月に、グーグルはFCC(米国連邦通信委員会)から、米国と台湾の海底通信ケーブル使用の許可を取得した。米当局は国家安全保障上の懸念から、米香港間という米中を直結する初の海底ケーブルの使用許可を出さなかった一方で、台中の微妙な関係を考慮せずに、台湾に対して許可を出してしまったのだ。

米中デジタル冷戦の盲点「九二共識」

 グーグルがアジア太平洋のデータセンター拠点として選んだ台湾が、米中冷戦の盲点となっている。実は、台中関係は良好に見えないにもかかわらず、すでに台中間には海底ケーブルがつながっているのだ。

 親中派といわれた馬英九政権時代に、台湾金門島と中国厦門の間に中国通信事業3社と台湾通信事業大手中華電信によって海底ケーブルが敷設され、台湾と中国の間ではすでにデータが自由に往来している状態にあり、米台間での海底ケーブルの利用は中国に素通りになるリスクが残っている。

 以前から、台中間で検索サービスやデータセンターサービスを自由化する動きは、台湾学生による「中国の検閲を許すな」という運動で頓挫した「台中サービス貿易協定」のなかでも盛り込まれており、これを推進したのは、日本の経団連に相当する民間団体「海峡交流基金会(台湾側)」と「海峡両岸関係協会(中国側)」であった。両団体は台中経済界で重要な役割を占めており、1992年に両団体が合意した「九二共識」は国家間の合意であるかのように扱われてきた経緯がある。

 2016年、蔡英文政権に変わってからは、蔡総統は「九二共識」に対して否定的な発言を繰り返しているが、正式に九二共識を破棄するには至っていない。蔡総統は、九二共識の台湾側の代表団に参加していたので、総統となった現在なら海峡交流基金会を説得して正式に破棄することを求めることもできる立場だ。しかし、今年の再選時に九二共識には一切触れず、「台湾は既に独立国家なので独立宣言する必要がない」と巧みに独立宣言を避けたのは、大陸から来た親中派が上層部に多い台湾経済界を刺激しないためとみられる。

 米トランプ政権は、台湾半導体製造大手TSMCがファーウェイにチップを供給しているのを止めるべく蔡政権に水面下で相談してきたようだが、蔡総統も経済界への配慮があるためか結果が得られず、業を煮やした米政府が今年5月に規制を強化したことで、ようやくTSMCがファーウェイからの新規受注を止めるに至ったほどである。

 九二共識以降の台湾は、中国を脅威だと主張しながらも、ラファイエット級フリゲート艦事件やミラージュ事件のように、購入した戦艦や戦闘機の兵器や設計図面を中国に流出させてきただけでなく、米メモリ等の半導体技術を中国に移転するなどして積極的に中国の技術革新を支えてきた。本来の台湾人と大陸系の外省人で構成される台湾の二面性は米中冷戦の鍵となっている。

グーグルの狙いは44億人デジタル経済圏

 グーグルは、台湾の二面性を利用して、中国政府を支えようとしているのではないかと考えられる。米香港間の海底ケーブル利用が禁止されたなかで、中国政府が長年にわたって技術移転の入り口として利用してきた台湾の二面性を利用しようと考えないはずがない。

 グーグル自身は現在も“親中・反トランプ政権”的なスタンスを堅持しており、トランプ政権に対しては国境管理用の顔認識技術提供を拒否し、最近では人種差別を理由に警察に技術提供を拒否している。グーグルがそこまでしてトランプを叩き中国政府を支える理由は、中国政府が推進する「一帯一路」というビジネスモデルに乗ると、44億人経済圏がファーウェイ5G技術でつながることで莫大な利益が上げられることにある。拙著『米中AI戦争の真実』(扶桑社)でも言及したが、地球を網羅する中国通信インフラの上にスマートシティというプラットフォームが搭載されることで、検索サービスだけでなく顔認証やGPS情報等の監視技術、ビッグデータサービスを提供できる巨大な監視ビジネスが待っている。

 グーグルからすればトランプ政権は、「しょぼい客」ではあっても中国政府のような「上客」ではない。ところが、中国政府やファーウェイに肩入れしている様子がトランプ政権に見つかれば、国家反逆罪の対象になりかねない。そういった歯がゆい事情を抱えた末の発言が、今回のシュミット氏による「(ファーウェイを通じた中国への情報流出は)間違いない」につながっているのだろう。

 この44億人経済圏ビジネスモデルを餌にした中国の戦略は強固であり、米中デジタル冷戦の狭間に陥ろうが、コロナ禍に見舞われようが、日本の大企業が中国から離れたくないのは、単なる反日などではなく、日本政府のことを「しょぼい客」と捉えているためである。
(文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト)

深田萌絵(ふかだもえ)
ITビジネスアナリスト
早稲田大学政治経済学部卒 学生時代に株アイドルの傍らファンドでインターン、リサーチハウスでジュニア・アナリストとして調査の仕事に従事。外資系証券会社を経て、現在IT企業を経営。

花王の逆襲…「アタックZERO」圧勝で業界一変、アルコール消毒液20倍へ増産可能に

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日常生活が大きく変化した。マスク、手洗い、うがい、手指のアルコール消毒の4点セットが習慣化した。品薄状態が続いたマスクは最近、路上の出店などで、よく目にするようになった。白一色から、さまざまな色や柄のマスクが百花繚乱。スーパーやドラッグストアだけでなく飲食店や衣料品店でもマスクが並び、価格も急激に下落した。

 そんななか、「みんなで手洗い」を追い風にハンドソープは好調を維持している。ライオンの2020年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比4.6%増の825億円、営業利益は3.1倍の187億円、純利益は3.9倍の135億円だった。本社の土地売却益に加え、ハンドソープ「キレイキレイ」が売れた。

 全社の売上高の7割弱を占める「一般用消費財事業」のうち、ハンドソープやボディーソープを含むビューティケア分野の売上高は77億円。同47.5%増だった。主力の歯ブラシや洗口液などのオーラルケア分野も新製品が好調で、10.5%増の149億円。洗濯用洗剤などのファブリックケア分野は3.5%増の135億円、台所用洗剤などのリビングケア事業は23.5%増の51億円だった。外出自粛の影響で家事をする時間が増え、台所用洗剤や洗濯用洗剤の売り上げが増加したが、ハンドソープの伸びは突出している。

「キレイキレイ」を3割増産

「キレイキレイ」はライオンの大ヒット商品である。1996年、O157が発生し、食中毒の集団感染が大きな社会問題になった。子どもたちをウイルスや菌から守るために「手洗いの習慣化」が徹底され、97年に「キレイキレイ」が誕生した。「バイ菌は怖い」という恐怖訴求型の市場に、「楽しく洗える殺菌ハンドソープ」という独自のポジションを確立。キレイキレイにするという楽しい習慣が子どもたちの間に広がっていった。2000年以降、ハンドソープ市場のNo.1ブランドとなり、ハンドソープの認知度を一気に高めた。

「8月をメドに香川県坂出市の工場に新たな製造ラインを設け、生産能力を従来の1.3倍に増強する」

 コロナ禍の影響で、ほとんどの企業が今期の見通しを「未定」、あるいは減収・減益とするなか、ライオンは20年12月期決算で増収・増益の強気の計画を打ち出している。20年12月期決算の売上高は前期比2.2%増の3550億円、営業利益は3.9%増の310億円、純利益は2.1%増の210億円を見込んでいる。「キレイキレイ」が好決算の先導役を果たす。

化粧品はインバウンド需要が消え失速

 花王の日用品セクターは、ハンドソープをはじめとする「ビオレ」シリーズが好調だった。20年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高は前年同期比2.6%減の3377億円、営業利益は2.8%増の392億円、純利益は0.9%増の266億円。

 売上高の8割強を占めるコンシューマープロダクツ事業のうち、スキンケア・ヘアケア事業の売上は741億円と8.1%減った。「ビオレ」のハンドソープや手指の消毒液の売り上げは大きく伸びたが、外出制限の影響を受け、UVケア製品の売り上げが減った。欧米では店舗閉鎖を受け、ヘアサロン向けが激減した。

 ベビー用紙おむつ「メリーズ」などヒューマンヘルスケア事業は1.3%増の619億円、食器用洗剤などのファブリック&ホームケア事業は10.0%増の818億円と堅調だった。一方、化粧品事業は12.1%減の592億円、営業利益は1億円(前年同期は62億円)と大きく落ち込んだ。インバウンド需要が消えたほか、百貨店の休業が相次いだことから、口紅など化粧品の売上が急減。全体の2割弱を占める化粧品事業の落ち込みを他の部門で補いきれなかった。

花王はアルコール消毒液の生産能力を20倍に

 花王はアルコール消毒液を和歌山工場で4月下旬から増産体制に入った。昨年同期に比べて20倍以上の生産が可能になる。増産する商品は家庭向けの「ビオレu手指の消毒液」と、業務用の「ハンドスキッシュEX」の2種類だ。化粧品や紙おむつのインバウンド需要は期待できない。消毒液の大増産でインバウンド需要の落ち込みをどの程度カバーできるかが焦点だ。

 20年12月期の連結決算は、売上高が前期比0.5~1.8%増の1兆5100~1兆5300億円、営業利益は3.9~8.6%増の2200~2300億円、純利益は3.9~8.6%増の1540~1610億円を見込んでいる。20年12月期は中期経営計画の最終年度にあたる。売上高営業利益率を15%(19年12月期14.1%)に高めるのが目標だ。1~3月期の売上高営業利益率はコロナの影響で11.6%に低下した。

 19年11月に実用化した人工皮膚技術「ファインファイバー」や、肌の状態を解析する「皮脂RNAモニタリング技術」など新技術を活用した製品で利益率を向上させる。原油価格低下によるコスト削減効果が見込めるほか、経費削減を徹底して15%の売上高営業利益率を確保したいとしている。

花王は新製品「アタックZERO」がヒット

 ハンドソープ市場はライオンの「キレイキレイ」が圧勝。アルコール消毒液は花王の「ビオレ」が強い。衣料用液体洗剤では花王が独走態勢を築きつつある。花王は19年4月、液体用洗剤の新製品「アタックZERO」を発売した。新開発した洗浄基剤「バイオIOS」を使用し、「花王史上、最高の洗浄力」誇る。

 衣料用洗剤市場は三つ巴の激しい争いを繰り広げてきた。「ニュービーズ」の花王、「アリエール」のP&Gがシェア4割近くでトップの座を争ってきた。これに続く「トップ ハレタ」のライオンは2割台だった。

 花王の「アタックZERO」の投入で構図は一変した。19年5月時点のシェアは花王が43.0%と独り勝ち。P&Gは35.8%、ライオンは21.2%とシェアを落とした(ソフトブレーン・フィールド調べ)。

 ライオンは当然巻き返しを狙う。同社初のIoTデバイス「スマートハレタ」を開発した。洗濯用洗剤「トップ ハレタ」のボトルに装着する。自宅周辺の天気予報と連動し、ボトルを持ち上げると「外干し」「部屋干し」のどちらを選ぶかを光や音で知らせてくれる、優れモノだ。

(文=編集部)

創造的破壊の時代の「新しい日常」を見つけるために

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「Design Mind」に掲載されたコンテンツを、電通エクスペリエンスデザイン部岡田憲明氏の監修でお届けします。

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コロナ危機への適応戦略が、長期的な市場変革へのカギになる


新型コロナウイルスの感染拡大は世界中の経済にただならぬ衝撃を与え、前例のない「ディスラプション(創造的破壊)」の時代をもたらしています。新しい働き方やコミュニケーション手段からビジネスモデル全体の転換まで、この感染症は世界中のあらゆるコミュニティーに多大な影響を及ぼしました。

これまで当たり前だったビジネス環境は、コロナ禍の影響によって今後数年間に否応なく形を変えていくでしょう。だとすれば、すべての人が例外なく意識変革を迫られるこの時代に、既存の企業は生き残っていくためだけでなく、今後も繁栄していくために何ができるのでしょうか?

私たちは先頃発表したインサイトレポート「The Disruptor Playbook 」の中で、消費者の要望の変化に企業が対応していくために活用できる五つの「ディスラプター(創造的破壊要因)戦略」を紹介しました。

本記事では、この前例のない時代に見られるいくつかのビジネストレンドを紹介。さらに、企業が方向転換し、社会にインパクトを与え、その結果として消費者に真の価値を提供するにはどうすればいいかを掘り下げます。

ソーシャルディスタンスが求められる中、消費者は動画や双方向プラットフォームを通じて互いにつながる方法を探している

コラボレーションプラットフォームのMicrosoft Teamsにユーザーがバーチャル(仮想)背景を設定できる新機能が追加されたとき、frogのスタッフたちは大興奮しました。では、このユーザー体験がブランド認知やブランドロイヤルティーにこれほど大きなインパクトを与えているのはなぜでしょうか。それは、消費者が自身でコントロールできる機能に価値を見いだすものだからです。ビデオ通信を利用する人が爆発的に増え、感染者数を抑えるためにリモート教育やテレワークが不可欠になる中で、ビデオ通信市場における競争は激しさを増しています。

主要プラットフォームの一つであるZoomは、参加者100人まで、ビデオ通話40分までの画面共有や録画・録音機能が無料で利用できる戦略的な販売モデルを構築しました。しかもZoomのプラットフォームはアカウントや有料登録がなくても利用できます。

入り口のハードルを下げることでユーザーがさまざまな形でZoomを体験できるようにし、会議時間無制限、クラウドストレージ、レポート機能などの追加サービスを利用できる有料登録を申し込んでもらう機会を広げたのです。

ところが、プラットフォームにZoomを選んだユーザーは多いものの、ビデオソフトウエアに関するセキュリティー上の懸念が報道される中で、競合他社が追い付き始めています。プライバシーやセキュリティー面の懸念が膨らむにつれて、ユーザーは使いやすさよりもセキュリティーを前面に打ち出したサービスを優先するようになるかもしれません。

空前の激しさを見せるストリーミング戦争

世界中の人々が巣ごもり生活とソーシャルディスタンス(人との距離をとること)を強いられている今、ストリーミングサービスは私たち自身の生活だけでなく、バーチャルな社会生活においても欠かせないものになりつつあります。イギリスのハイテク市場調査会社Omdiaの調査によれば、オンラインストリーミングサービス産業の今年の年間成長率は12%を超えると見込まれています。

ソーシャルディスタンスが世界に広がる以前も、ストリーミングコンテンツの市場はかなり競争が激しく、各社は差別化を図る手段が必要になっていました。モバイル動画サービスのQuibiなど一部の新規参入企業は、動画の視聴方法を変革しようと試みています。

しかし、NetflixやHuluなどの大手がコンテンツの幅広さと質だけを強みに、今なお競争を制しているのが現状です。コンテンツと値頃感の他に、ストリーミング分野の次の競争ポイントとして考えられるのは、使いやすさと、全体としてどんな体験ができるかです。SNSを楽しめるソーシャルウオッチングなどの新機能や、企画性の高い作品選び、ユーザーのプロフィールや視聴体験の設定機能などが、次世代の勝者を決める要因になるでしょう。

オンライン診療とデジタル診断は、なくてはならないサービスへ

ソーシャルディスタンスが新しい日常になるにつれて、新型コロナウイルス以外の理由で診療を受けるには医療用デジタルツールに頼る他はない人が多くなりつつあります。予防医療を重視したデータを活用する医療サービス会社Forward や、SnapMD 、Nutriremedyなどのディスラプター(創造的破壊)企業は、患者の治療や観察をリモートで行うためのサービスや、革新的な顧客体験モデルを開発しています。

こうした遠隔医療サービス会社は、バーチャル診断、入手しやすい処方薬、カルテ、患者受け付けなどの包括的なサービスを提供しています。このようなサービスは、ソーシャルディスタンスが求められている現在はまさに不可欠ですが、長期的な意味でもビジネス成功のカギとなるかもしれません。 

事実、新型コロナウイルスがデジタル医療産業に及ぼす影響についての最近の調査 で、回答者は今回の感染流行がデジタル医療ソリューションの加速的発展と幅広い普及につながると確信していることが分かりました。スタートアップ企業や新規参入企業が新興テクノロジーを素早く取り入れ高度化して、従来型の医療企業の一歩先を行くかもしれません。

しかし、既存の企業も、ニーズを持つ患者の一人一人に合わせた適切な顧客サービスを提供することで、将来に備えることができます。医療サービス企業にとっての戦略的な取り組みとは、話題の新テクノロジーに注目するだけでなく、現状のサービスや市場に足りない部分を把握し、患者の全般的な健康と幸福に真の付加価値を与える適切な製品やサービスでそのギャップを埋める方法を見つけることです。

創造的破壊の時代における企業の成功とは

創造的破壊の時代には、真の価値を提供するための独自の顧客体験を創造することに積極的な意思決定をする企業が、長期的な成功を手にすることになるはずです。経済情勢と消費者のニーズに基づいて革新的な手法でビジネス戦略を転換できる企業は、自らが属する産業に、そしてひょっとしたらその周辺産業にも、大きな変革を起こし続けることでしょう。

Disruptor Playbook
 「Disruptor Playbook」のダウンロードはこちらから 
既存の企業を真の「ディスラプター」へと変革させるための戦略のすべてがここに。全文をこちらからダウンロードできます。

この記事はウェブマガジン「AXIS」にも掲載されています。

氷河期世代の格差の実態…非正規社員の既婚率は公務員の7分の1、女性の“出産格差”も

 6月12日に『コロナが加速する格差消費』(朝日新書)という本を上梓した。当初は9月くらいに団塊ジュニアとゆとり世代の格差と消費についての教科書的な本を書くつもりで、原稿も3月には7割方できていたのだが、3月に入ってコロナの感染が広がり始め、最初はクルーズ船に乗っていた富裕層が感染していたのに、次第に一般人、特に介護施設などで働く人たちの感染が増えて、どうもコロナは格差問題と絡んでいると直観し、出版を早め、コロナと格差消費というテーマで書き直したのである。

 アメリカでの警官による黒人殺人事件を発端に、6月4日現在で、アメリカのみならずイギリスでも抗議デモが盛り上がっている。歴史的な黒人への差別に加えて、コロナで感染死する人が低所得者の多い黒人に多いからである。しかもアメリカは健康保険に加入していない低所得者が多く、黒人で未加入の割合が高いといわれる。トランプは国民皆保険に絶対反対の立場だから、黒人から見れば、コロナに感染しても病院に行けず死んでいく黒人が多いことに強い反発があるわけだ。

 日本でも、非正規雇用者は雇い止めにあい、親の年収が低い学生は退学を余儀なくされている。学歴による年収、階層、結婚の格差についても本書は触れているが、せっかく大学に入ったのに退学しなければならない学生は本当にかわいそうだ。

 また学生は学費、生活費を稼ぐためにアルバイトすることが普通だが、コロナはアルバイト先も激減させてしまった。女子学生は、割の良いバイトとして水商売で働くこともあるが、それなどは最も減ったバイトである。学費は親が出すが生活費は自分で稼ぐという学生は多く、ファッション、化粧品などにお金のかかる女子学生が水商売のバイトをすることもあるようだ。

 だから休業要請下でもガールズバーで完全休業したところは少ないし、それどころか、都内の某繁華街では、夜10時から朝6時まで営業し、かつ地下にあるガールズバーもあった。

 そういうガールズバーに私も取材をしてみたが、付いた女子は2人とも地方出身、離婚家庭で、父親が学費を出すが生活費は自分で稼ぐという条件で東京に出てきていた。休業がもしもっと強く強制されれば彼女たちは大学をやめて田舎に戻らなければならないだろう。学歴格差が激しい現代において、そんなことを助長する政策が正しいといえるだろうか。

 にもかかわらず政府はのんきに9月入学の可能性を検討した。幸い見送られたが、留学をする一部の学生のために、なぜ小学校からすべて9月入学にしなければならないのか。まったく理解できない。私は大学を9月入学にすること自体は賛成だが、今この時期に小学校から含めて9月入学にする意味がわからない。小学校が9月入学なら幼稚園にも保育園にも影響が及ぶのであり、その保育園も一部休園で親が困っているというのに、どうしてのんきに9月入学の可能性を検討するなどということができるのか。庶民感覚ゼロの政権の体質をまたもや暴露したといえる。

氷河期世代の格差

 本書はこうした時々刻々と変化するこうした状況を踏まえながら、まず氷河期世代の格差を検証した。氷河期世代は大卒時に正規雇用になれず、その後ずっと非正規で働いてきた人々が多いので、正規雇用になれて40代になった人と、ずっと非正規で40代になった人では収入、貯蓄などにかなりの格差がある。それを三菱総合研究所の3万人アンケートによって統計的に調べたのである。

 その結果、男性の正規雇用では階層意識が「中の上」以上が15%、「中の下」以下が44%なのに、「非正規」では「中の上」以上は5%しかなく、「中の下」以下は68%もいた。また公務員は「中の上」以上が25%もあり、「中の下」以下は24%しかなかった。さらに夫婦共に公務員である人では「中の上」以上が33%にもなる。公務員を最近「上級国民」と呼ぶ傾向があるが、この格差を見てはそれも当然と思える。

 非正規で年収が低い男性は結婚をしにくい傾向があり、そのためますます下流が増える傾向がある。たとえば男性の場合、年収が400万円以上になって既婚が半数を超える。非正規で400万円以上を稼ぐには難しいだろう。

 学歴別では4大だと既婚が半数を超えるが、短大・専門では既婚と離別を合計して52%であり、高卒以下では6割が未婚である。

 また職業別では正規雇用は64%が既婚、公務員は76%が既婚だが、非正規は86%が未婚であり、既婚は10%しかなく、離別が4%いる。14%が結婚したがそのうち3割が離婚したことになる。

 他方、女性が結婚できる条件を年収別に見ることは難しい。結婚前は高収入をとっていても結婚後は専業主婦とか非正規雇用になったりするため年収が下がる人が多いからである。

正規社員と非正規社員の出産格差

 そこで女性については、既婚以外の女性について、現在交際している異性がいるかを集計した。交際しているから結婚するとは限らないが、交際せずにいきなり結婚することは考えにくいので、交際率が結婚可能性と比例するといえるはずだ。

 いろいろ集計すると、交際率は職業別にやや差があり、正規雇用女性の28%が交際しているのに対して、非正規雇用女性は22%であるなど、正規雇用が有利である。

 それより差が付くのは出産である。25〜39歳の既婚女性について、5年以内に子供をもうけると思うかを集計した。夫婦合計年収別では600万円以上だと子供をもうけていると思う人が36〜38%と多い。

 自分の学歴では4大で38%、修士・博士で42%なのに、高卒以下では24%と格差が激しい。夫の学歴ではやはり4大で36%、修士・博士で44%と高く、高卒以下では26%と格差がある。

 自分の職業別では、公務員女性の63%が子どもをもうけていると思うと回答しておりダントツである。正規雇用は41%だが非正規雇用は26%と格差が大きい。夫の職業別では、公務員が42%で高い。長期的に安定しているからである。会社役員であることは、あまり出産には関係しない。

 このように見ると、女性も男性も4大以上の学歴で、正規雇用、できれば公務員であり、共働きで夫婦合計年収が600万円以上あれば子供をもうけやすいということである。

 出産格差ともいうべきものがここにはある。正規雇用、特に公務員だと育児休暇制度も充実しており、正規雇用でも大企業であるほど充実している。一度正規雇用となって結婚、出産すれば、長期に休暇を取りながら収入もあり、復職もできる。

 しかし非正規だと、コロナなどでいつ解雇されるかわからない上に、育児休暇もないので、働いている途中で妊娠したら離職しないといけなくなる。これで少子化が解決するはずがない。

 以上のようにアラフォーとなった氷河期世代の現段階での格差をコロナと絡めながら本書は論じている。コロナが可視化した格差の状況を客観的に理解する一助としてお読みいただければ幸いである。

(文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表)

住友財閥も大倉財閥も再集結ならず…戦後も金持ちだった財閥当主が復権できなかったワケ

財閥解体で株式を放出

 三井グループ・三菱グループ・住友グループの母体が、それぞれ三井財閥三菱財閥住友財閥であることはよく知られている。簡単にいえば、第二次世界大戦後、財閥解体によって解体された財閥が、戦後、企業集団として再編されたのだ。

 両者の違いはいろいろあるのだが、一番の違いは株式所有構造だ。

 戦前の財閥は、財閥家族(三井家・岩崎家・住友家)が唯一の大株主として財閥本社の株を押さえ、財閥本社が傘下企業の圧倒的な株式を所有していた。ところが、財閥解体によって財閥本社は解散・清算させられ、財閥家族が所有していた株式は強制的に放出させられた。

 そこで、傘下企業(三菱ならば、三菱銀行・三菱商事・三菱重工業など)は、互いに株式を持ち合って経営権を確保し、企業経営を盤石なものにしていった――というのが、経営史の見立てである。

 歴史の大きな流れとしては、なるほどそうなのかもしれないが、歴史の当事者――つまり、財閥解体に直面した当時の経営者は、2つの相反する感想を持ったと思われる。

 1つは「この災厄をくぐり抜けて、いかにして現在の体制(財閥)を維持していくか」であり、もう1つは「財閥の枠組みから解き放たれた! 今後はどのような体制でビジネスを展開していくか」というものである。

 前者の想いが勝ったから三菱財閥は三菱グループとして再編されたのであって、その想いがなければ、グループ再編は起きなかった。ではなぜ、戦前と同様に財閥の形式に戻さなかったのか。実は、戻せなかったという表現が正しい。

住友吉左衛門、住友株を買い戻す

 財閥解体で、財閥家族が所有していた株式は強制的に放出させられた。

 しばしば誤解されるのだが、財閥家族は株式を取り上げられたのではない。強制的に売却させられたのだ。だから、戦後も(しばらくの間は)財閥当主は大金持ちだった。

 1950年に、富裕税といって所有資産に応じて課税される税金が創設され、これが大金持ちの大反対で3年後に廃止に追い込まれたのだが、納税額の3位が住友吉左衛門、9位が岩崎小弥太の未亡人、11位が三井八郎右衛門だった。

 戦後の住友吉左衛門の肩書きは「無職」もしくは「不動産業(=土地持ち)」だった。そして、吉左衛門はありあまる資産を株式投資に充てていた。もちろん、買い銘柄は「住友××」である。上位40位まで大株主を掲載している『会社系列を探る』という古書がある。もっとも古い年次と思われる1957年版(1956年当時)によると、住友吉左衛門は下記の住友グループ企業の大株主になっている。

・日本板硝子    14万株(0.58%)20位株主
・住友電気工業   7万8株(0.20%)27位株主
・住友ベークライト 4万株(0.45%)11位株主
・日本電気     4万株(0.20%)33位株主

 当然のことながら、住友電気工業や住友ベークライトの株式を持っていて、住友銀行(現・三井住友銀行)や住友化学工業の株式を持っていないはずがない。たまたま上位40位以内に入らなかったから掲載されていないだけで、これら企業の株式も当然所有していたであろう。

 住友吉左衛門は、個人としては住友グループ企業の大株主だったということだ。ただし、住友吉左衛門自身がすすんで住友グループ企業を買い漁っていたとは思えない。

 実は、戦前の財閥本社重役が、住友家の個人財産の管理と相談を目的とした特殊機関として「五人委員会」というものを設立していた(今に続く「住友家評議委員会」の前身組織である)。戦後、住友では財閥本社重役が完全に企業経営から疎外されていた。「五人委員会」はかれらの復権を企図したための組織と見ることができる。

 住友吉左衛門自身は企業経営にノータッチだったのだが、「五人委員会」の本社重役OBは、資産管理の名を借りて住友家を再び大株主の座に押し上げ、その名のもとに住友グループ企業を支配しようと目論んでいたのだろう。

大倉喜七郎、大倉株を買い戻す

 住友吉左衛門は自らの復権を望んでいなかったと書いた。しかし財閥家族のなかには、財閥の復活・再結集を目論む御仁もおられた。

 大倉財閥の2代目・大倉喜七郎は、戦前の財閥重役の間で人望が薄かった。曰く、どうも趣味道楽が激しくて、企業経営に向いていないと。しかし、戦後、ホテルオークラを創設した企業家として評価が高い。どうもこの御仁は、クリエイティブな事業向きで、すでに出来上がった財閥の維持・整理なんかには興味がなかったらしい。しかも、興味のないことにはとことん手が進まない。いわゆる「今ある場所で咲きなさい」ということができない性分だったのだ。

 大倉喜七郎は、財閥の2代目としては失格だったが、財閥解体後の再結集にはその才能が遺憾なく発揮された。前述の『会社系列を探る』1957年版によると、自身および喜七郎の資産管理会社である中央建物の所有株式は以下の通りで、これ以外にも、非上場会社の川奈ホテルでは筆頭株主(46.04%)、大成建設では7位株主(1.67%)となっている。

・日本無線  53万4700株(6.68%)筆頭株主。喜七郎が会長。
・東海パルプ 104万5100株(11.61%)中央建物が筆頭株主
・大倉商事  9000株(0.42%)中央建物が32位株主。喜七郎の長男が監査役。

 図示すればわかるように、大倉喜七郎の大倉財閥復活計画は着々と進んでいたのだ。

 大倉喜七郎は、財閥解体に遭いながらも、おのれの自由に出来る資金が相当あったようである。個人的な資産もかなりあったようだが、かれの個人秘書によれば、喜七郎の株式投資の腕前を信じて、銀行も右から左に金を貸してくれたという。

なぜ財閥は復活しなかったのか?

 しかし、住友吉左衛門が戦後も住友グループ企業の大株主であったことを知る人は少なく、大倉財閥が再び大倉喜七郎の下で再結集することはなかった。

 それは、高度経済成長で企業が急成長し、個人では大株主の座を維持できないほどに資本金が倍増してしまったからだ。たとえば、松下電器産業(現・パナソニック)は、1950年から1960年の10年間で資本金が93万6000株から20億株に急増した。実に216倍である。

 増資、増資の繰り返しで、いくら大倉喜七郎が資産家であっても、さすがに大株主の地位を維持できない。戦後日本で一・二を争う大金持ちだった松下幸之助(松下電器産業の創業者)が、配当金のすべてを増資株引き受けに使っても、大株主の座を守るのに汲々としていたくらいだから。

 換言するなら、高度経済成長がなかったら、企業の資本金倍増がそれほど進まなかったら、大倉喜七郎や住友吉左衛門は大株主として再び財閥当主として君臨していたかもしれない。

 ただし、財閥当主の株式買い増しはまったく無駄なわけではなかった。終戦直後のハイパーインフレはすさまじく、たとえば、1946年に540円だった公務員の初任給は、20年後の1966年に2万3300円になっていた。実に43倍! インフレ下では、資産は貨幣以外の形で持っていたほうが得策である。たとえば、株式。かくして、大株主・住友吉左衛門は、戦後も隠れた大金持ちとして余生を過ごしたのである。(【後編】に続く)

(文=菊地浩之)

●菊地浩之(きくち・ひろゆき)
1963年、北海道札幌市に生まれる。小学6年生の時に「系図マニア」となり、勉強そっちのけで系図に没頭。1982年に國學院大學経済学部に進学、歴史系サークルに入り浸る。1986年に同大同学部を卒業、ソフトウェア会社に入社。2005年、『企業集団の形成と解体』で國學院大學から経済学博士号を授与される。著者に、『日本の15大財閥 現代企業のルーツをひもとく』(平凡社新書、2009年)、『三井・三菱・住友・芙蓉・三和・一勧 日本の六大企業集団』(角川選書、2017年)、『織田家臣団の系図』(角川新書、2019年)など多数。

元世界女王の空手教室、コロナ禍でも会員が離脱しない理由…オンライン講座が奏功

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数ある経済ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

 6月に入り、少しずつ「自粛」も解かれ、元の生活に戻りつつある

 新型コロナウイルスへの警戒は続くが、東京・赤坂にある空手教室「空優会」も、通いレッスンを再開した。今後はオンラインレッスンとの両立で行うという。

 この教室を主宰するのは髙橋優子氏だ。2002年から08年まで全日本ナショナルチームに選出され、06年船越義珍杯・世界空手道選手権大会で優勝して世界王者にも輝いた。

 現役引退後、日本空手協会総本部指導員などを経て、30歳で空優会を設立。2年後に32歳の若さで道場を開設した。開設資金の不足分は教員だった母親に借りたという。

 空優会は、空手道を追究する一方、培った技術を生かし、肩こりをすっきりさせる効果を持つ「スロー空手ストレッチ」も教える。本連載では2年前の2018年3月にそれを紹介し、反響を呼んだ。空手の流派や髙橋氏の経歴に興味のある人は、こちらの記事をご参考いただきたい(『ひどい肩こりが治った!スロー空手ストレッチ、外資系企業社員が続々道場に入門』)。

 コロナ禍で各スポーツ施設が活動自粛に追い込まれ会員の離脱も目立つなか、空優会の会員数はほとんど減らなかったという。昨年、人気ロックバンド「KISS」のベーシスト、ジーン・シモンズも日本コンサートの合間に訪れた道場だが、理由はそれだけではない。

 その魅力を2年ぶりに探った。集客に苦労する組織や団体の参考になれば幸いである。

「1日に9クラス」のオンラインレッスンを実施

「これまでも赤坂の本部では、気候の良い日は窓を開けてレッスンをしていましたが、完全な三密防止にはなりません。また、都内や関東地方で10カ所の教室も運営していますが、窓開けができない施設もあります。そこで、コロナ自粛もあって通常のやり方を断念し、代わりにオンラインでのレッスンを始めたのです」(髙橋氏)

 急遽、リモートワークとなった多くのビジネスパーソンと同じく、オンラインレッスンも「手探り状態」から始まった。

「当初は、私を含めて4人いる赤坂本部の指導員も、自宅でのリモートワークでした。ズームでつなぎ、各会員さんにはご自宅から参加していただきました。それまで対面レッスンは1回1時間だったのが、4月は1日9クラスを30分で実施。しかし、指導時間が足りないと感じました。小学生会員も多いので、指導員は工夫しながら練磨して、オンラインでも1時間のクラスとして完全に成り立つという確信を持ち、5月を迎えました」(同)

 5月からは通常時間割に戻し、1回1時間のオンラインレッスンにした。指導員も大変だっただろうが、若さと一体感も持ち味だ。笹明日香指導員は出身大学でも髙橋氏の後輩であり、ほかの指導員も学生時代からの付き合いで、慰安旅行で海外に出かけて楽しんだこともある。

 新たに「会員さんが利用しやすく、双方がしっかりと交流できるよう」(髙橋氏)、大画面のディスプレーも購入した。取材では、本部の通いレッスンと、オンラインレッスンの並行を見学した。この時のクラスは、男性の中村豪秀指導員と女性の高木綾乃指導員が担当。オフラインとオンライン指導を臨機応変で入れ替わり、会員の充実感を追求した。

 従来型の空手レッスンのイメージよりもフレンドリーだが、くだけすぎないのが道場の持ち味だ。

「門戸は広くしても敷居は下げません。空手教室で学ぶのは『空手道』で、技の会得を通じて『心』や『正義』(正しい義)も伝えるようにしています」(髙橋氏)

指導員のスキルは高く、生徒に応じた指導を行う

 今回のレッスンでは、黒帯の50代男性会員の存在が気になった。立ち居振る舞いや身のこなしからして熟練者だが、真剣に、時に笑顔を浮かべつつ、レッスンを受ける。

「もともと幼少期から他の流派で空手を学んでいました。この道場に来たのは4年前です。ここの魅力は、指導員のスキルが高く、生徒の力量に応じて初心者からベテランまで、きめ細かく指導してくれるところですね。流派が違うとやり方も異なります。私も来た当初は、ずいぶん注意されました」

 こう話すのは、柏木潔氏。新卒で大手損保会社に入社して30数年。役職定年になったのを機に「次の人生を歩もう」と退職し、教育関係の起業を準備中だという。現在は、時間ができると空優会のレッスンを受ける。

 髙橋氏は「集中力がつくことで、普段の仕事や学業にも効果が出る一面も」と話し、こう続ける。

「伝統空手は理論通り正しく行えば武道の中でもケガが少ないので、長続きする人も多く、『道場で人生最後の友人ができた』と話す人もいます」

 地域の活動全般に共通するが、その人の肩書や所属する社名は、ここでは関係ない。空優会の会員にも社長や弁護士などがいるが、みんな一生徒としてレッスンを受ける。終了後、別の女性会員にも話を聞いたが、都内の大手メーカーに勤める会社員だった。

KISSのジーン・シモンズも訪れた

 6月15日、NHK総合テレビで『誇り高き悪魔 KISSジーン・シモンズ』という番組が放送された。2020年3月にNHK BS-1で放送された番組のダイジェスト版だった。

 ロックバンドKISSの創設者で、悪魔メイクで有名なジーン・シモンズが引退を決意。日本ラストツアーをNHKが密着取材した番組だ。

 30分に短縮した総合テレビではカットされたが、BS-1では2019年12月、コンサートの合間にジーン・シモンズが空優会を訪れ髙橋氏が応対した様子を約6分、放送した。

「NHKの担当者から『空手の個人レッスンをお願いしたい』との連絡がありました。ジーンさんは日本の文化や歴史に興味があり、空手などの格闘技が大好き。とても楽しんでいる――と、関係者は喜んでいました」(同)

 実は、空優会はメディアに登場する機会も多い。元世界女王でクールビューティーな髙橋氏、指導員の若さとルックス、赤坂という土地柄もあるだろう。

 だが、メディア露出が多くても、変に芸能界慣れして浮わついた面は見せない。どんな時でも、レッスンは礼で始まり礼で終わる。

 一方で、サービス精神はある。以前のテレビ番組では「道場の開き戸を空けた瞬間に飛び出し、突く行為をしてほしい」という絵柄重視のムチャぶりにも応じた。「空手への認知度が高まるなら」と応じつつ、武道家魂は失わない。

 そうしたバランス感覚も、会員が支持するのだろう。

「日本伝統空手協会」を立ち上げ、海外訴求もめざす

 東京五輪で空手が正式種目に採用され、本来なら今年の夏は、世界に「KARATE」を認知させるチャンスだった。それが2021年に延期となったが、今後のコロナの状況次第では、どうなるかわからない。ウィズコロナ時代、バラ色の未来は描かないほうがよいだろう。

 今年1月「一般社団法人 日本伝統空手協会」という団体も発足させ、髙橋氏が代表理事に就いた。従来の空手団体には旧態依然とした意識のなか、組織運営で大きな問題を抱え、ガバナンス(企業統治)が機能しない団体もある。それとは一線を画した活動を目指す。

「当初は『オンライン指導でどこまでできるか』と思っていましたが、かなりの指導や交流ができることがわかりました。今後強化したいのは、海外への訴求です。空手の神髄や文化も含めて、まずは近年、指導に訪れたフランスやロシア、ドイツなどの関係者に働きかけています。すでにフランスからオンライン受講を申し込まれた会員さんもいます」(髙橋氏)

 実は、オンライン指導で「会員の上達が早くなった」という。画面越しに指導員が一人ひとりをほめたり指摘したりするので、受講者は個別指導の感覚を持つようだ。

 筆者はコロナ禍でも実績を維持した企業も取材しているが、共通するのは次の2つだ。

・その環境のなかで、できることをやり続ける
・従来に近い、サービスを提供する

 意欲の薄れた社会人のなかには「AだからBできません」を言い訳にする人が目立つ。今回でいえば、「A=コロナだから」がそれに当たる。そうした一面は全否定しないが、そのなかで「できること」をしないと「違いを生み出せない」と、取材しながら自問自答している。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。 近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

 

日本で本当にあった“ヤバい選挙”事件簿…政見放送で禁止用語連呼、死人が立候補

 7月5日に投開票が行われる東京都知事選挙のゆくえが注目されている。現職の小池百合子氏の再選が有力視されるなか、今回も一部の個性的な立候補者たちの存在が話題になっている。都知事選といえば、過去にもマック赤坂氏やドクター中松氏などの強烈なキャラクターが立候補しており、選挙マニアから熱い視線を浴びた。

 そんな個性的な候補者や、村民200人以上が立候補した珍選挙などについてまとめた『ヤバい選挙』(新潮社)の著者である宮澤暁氏(35)に、選挙の魅力や楽しみ方について聞いた。

選挙マニアになった2つのきっかけ

 当選の見込みが薄い候補者に注目するなど、一風変わった選挙の楽しみ方をしている人たちは「選挙マニア」などと呼ばれる。宮澤氏もそのひとりで、化学関連企業に勤める傍ら、選挙マニアとして活動している。

「一般には取り上げられない、珍しい選挙について調べています。本書でも取り上げていますが、たとえば立候補者が死亡していた『幽霊候補事件』『200人以上も立候補者が出た村長選』『選挙権が剥奪されていた島』などのケースがあります。選挙の虜になったのは、1999年の都知事選に出馬した羽柴誠三秀吉候補がきっかけでした」(宮澤氏)

「豊臣秀吉の生まれ変わり」を自称する羽柴氏は、都知事選のみならず各地の選挙に立候補している。鎧兜を着て行う選挙活動や、ポスターに金箔を貼るなどの個性的なパフォーマンスで人気を集めた人物だ。

 その羽柴氏に魅せられて選挙に興味を持った宮澤氏は、各地の選挙管理委員会から選挙公報を取り寄せ、変わった候補者を調べるなどの活動を開始する。そして、ある珍選挙を知ったことで、本格的に選挙マニアとして活動を始めることになる。

「『200人以上も立候補者が出た村長選』です。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、これで選挙の深みにハマりました。本書の執筆にあたっては、地元の新聞や論文を読み漁り、原型となる同人誌をつくるのに半年、書籍化に向けた情報のブラッシュアップに1カ月ほどかかりました」(同)

 件のケースは、60年に栃木県桑絹村(現在は小山市の一部)で行われた村長選挙で、村民の分断などをきっかけに267人が立候補した。本書では、膨大な資料とともに経緯が詳述されている。

最注目は音声カット事件の後藤輝樹氏

 目前に迫った都知事選についても、宮澤氏の関心は高い。特に注目するのは、前回2016年の都知事選にも出馬した後藤輝樹氏だ。

「公職選挙法により、政見放送は『そのまま放送しなければならない』と規定されていますが、前回の都知事選で後藤氏の政見放送は音声がカットされました。これは史上2例目で、1例目は1983年の参院選で東郷健氏が差別発言とみなされた音声を一部カットされました」(同)

 後藤氏は5分ほどの政見放送のなかで、大部分の音声がカットされた。80回以上も放送禁止用語を連呼したことが原因のようだ。

「表現の自由を訴える意図があったとのことで、個性的でありつつも、信念がうかがえます。私のなかでは、まじめな政治的意図を持ち、無所属あるいは自分ひとりでつくった政党に所属して立候補している人は『インディーズ候補』、政策をまじめに訴える気がなく他候補の妨害を目的としている人は『泡沫候補』と線引きしています」(同)

今回の都知事選はコロナ禍で行われる初の選挙に

 候補者ばかりに目が行きがちだが、今回の都知事選選挙史に残るレアケースになると宮澤氏は言う。

「新型コロナの影響で、これまでのような集会や演説など通常の選挙活動ができません。コロナ禍で各陣営がどう選挙戦を展開するのかも、見どころのひとつだと思います。握手をして回るような『ドブ板選挙』もできませんし、街中で偶然演説を聞くことも少なくなりますから、票がどのように動くか注目しています」(同)

 そんな宮澤氏が考える、選挙の魅力とは何か。

「まじめな話をすると、立候補者に直接会いに行けること。また、期間中は非日常感を味わえることが魅力だと思います。一方、下世話な話ですが、これまでに見たこともない候補者をじっくりと観察します。弱小候補でも政策はうなずけることがあるので、選挙公報をサラッと読むだけでも楽しいですよ」(同)

 本書には、選挙制度を悪用した人々についても記されている。現在、立候補するには多額の供託金を支払う必要があり、一定の財力が条件となるため、供託金制度に対する批判も根強い。しかし、過去に選挙を悪用した人々がいたため、このような規制が設けられたという背景もあるようだ。

「人類は苦労して今の選挙制度を構築してきましたが、それを崩すも取り戻すも我々次第です。理想論かもしれませんが、国民主権なので、我々の行動で是正はできると思うんです」(同)

 また、選挙といえば投票率の低さが問題視されているが、その原因は投票を啓発する側にある、と宮澤氏は語る。

「『投票に行こう』『あなたの一票が大事』だけでは意味がありません。まずは、選挙のルールをしっかり教えることが大前提だと思います。野球のルールがわからないのに観戦に行く人はいないじゃないですか。まずは選挙のことを周知させるのが、投票率を上げる一因になると思いますね」(同)

 今回の都知事選も、文字通り“ヤバい選挙”となるのだろうか。

(文=沼澤典史/清談社)

都知事候補討論会で問われた小池百合子の差別肯定政策、小野泰輔のヘイト発言! 津田大介の切り込みに二人の答えは……

 7月5日に投開票がおこなわれる東京都知事選だが、候補者によるテレビ討論がおこなわれていない。候補者同士による討論は、都政を検証して課題や争点を明確にし、有権者にとって重要な判断材料を提供する場だ。実際、前回2016年の都知事選で小池百合子氏、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏の主要...

パチンコ「甘デジ高速スペック」「超アマ!?遊タイム機」に期待…覚醒メーカー「超大物」にも動き!?


 各メーカーより自信の新台が発表されているパチンコ。中でも業界のリーディングカンパニーSANKYOの『Pフィーバー戦姫絶唱シンフォギア2』は、デビューより高稼働を実現している。再販決定との情報も出るなど、偉大な初代に続き快進撃を見せてくれそうな気配だ。

 圧倒的な出玉スピードを実現した『P大工の源さん 超韋駄天』(SANYO)や『P10カウントチャージ絶狼』(サンセイR&D)も好調。両機種ともにパチンコサイト「パチビー」の全国稼働ランキングでランクイン(6/29現在)するなど好評価を得ている印象だ。

 デビューを控えている機種も要注目。大手サミーが発表した『P交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION ZERO』は、「ライトミドルスペックの大本命」といった声も出るなど大きな期待が寄せられている。

 そんな同社といえば、やはり注目度が高いのは検定を通過した『P真北斗無双3』だろう。6月29日時点で詳細は明らかになっていないが、「新筐体で登場!?」「遊タイム搭載の可能性もある」といった噂が存在。その動向に熱い視線が注がれている。

 一般社団法人「ぱちんこ広告協議会」が主催する「“ファン”が選ぶパチンコ・パチスロ大賞2019」のパチンコ部門を2連覇中のヒットメーカーも忘れてはならない。

 京楽産業.の『ぱちんこ新・必殺仕置人』が大賞を獲得。「秒殺V-ST」を宣言した本機は、新規則マシンに対する「右打ち中の消化スピードの遅さ」という不満を見事に解消した点が高評価に繋がったという印象だ。

 同ランキングでは『ぱちんこAKB48 ワン・ツー・スリー!!フェスティバル』も2位にランクイン。かつての輝きを取り戻したヒットメーカーが、現在のパチンコ分野を牽引している状況だ。

 今後も魅力的な新機種がスタンバイ。「甘すぎるのでは!?」と話題になった『P仮面ライダー轟音』が9月に登場予定だ。

 遊タイムへは低確率「950回転」消化で到達し「時短1200回」が約束される。その間に大当りを引き当てる確率は驚愕の約98%だ。ST継続率は約83%。その8割で1500発の出玉を得られるという、ポテンシャルの高さを感じられる仕上がり。導入後は大きな反響が寄せられそうだが…。

 同社といえば、登場が予想されている新機種も注目を集めている。「高速Vスペック」も話題になった超人気シリーズや、大旋風を巻き起こした「アノ大物」の名が浮上中だ。

「京楽さんに関する情報は多いですが、目立つのは超人気コンテンツ『魔法少女まどか☆マギカ』ですね。『奇跡と魔法の高速Vスペック』と銘打たれた前作は、右打ち中の65%が1500発と高い一撃性を搭載していました。まずまずの反響を得ていましたよね。浮上したのは『甘デジタイプが準備中!?』という内容。遊タイムの搭載を予想する意見も多く、早くも関係者の間では話題ですよ。

それだけでも期待は高まりますが、最近になってパチンコ未経験である原作ファンがホールへ殺到するという現象を引き起こした『冬のソナタ』を話題にする方が増えてきました。『年内の発売に向けて動いている!?』といった声もありますが、現時点では噂の域は出ないという感じですね。

ただ、約5年ぶりに登場した『CR冬のソナタ Remember』も高稼働を実現していたように、今なお根強いファンを持つコンテンツ。発表されれば、間違いなく大きな反響が寄せられるでしょう。今後の動向から目が離せません」(パチンコ記者)

 浮上した京楽産業.の激アツな新情報。噂される大物たちが間もなく動き出すのだろうか。覚醒を遂げたヒットメーカーのサプライズに期待だ。