半地下で暮らす貧しいキム一家。高台の豪邸に住むIT企業の社長一家に雇われ、豊かさを満喫するが、そこには思わぬ落とし穴が。
投稿 映画レビュー「パラサイト 半地下の家族」 は 映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。
半地下で暮らす貧しいキム一家。高台の豪邸に住むIT企業の社長一家に雇われ、豊かさを満喫するが、そこには思わぬ落とし穴が。
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2020年2月に開催される、デザインの手法やアプローチを学ぶことができる「CIID Winter School」について紹介する本連載。
今回は、同スクールを主催する教育機関「CIID」(Copenhagen Institute of Interaction Design)の創立者の一人でもあるCEOのシモーナ・マスキ氏にインタビュー。同スクールを設立した狙いや日本でスクールを開催する理由を伺いました。
ーCIIDを立ち上げた当時の思いと、スクールのビジョンについて教えてください。
まず、CIIDが存在する目的は、人々の、あるいは地球の、より良い将来をつくっていくことです。そのために大切なのは、地球を持続可能なものにしていくためのイノベーション。私たちはこの目的に対して、教育、戦略、インキュベーション(事業創出)の三つのサービスで貢献していきたいと考えています。
CIIDを設立したのは、アメリカ、インド、イスラエル、イギリス、イタリアなどさまざまな国から集まった6人でした。起業当初は、スタートアップですから当然予算がありません。しかし幸運なことに、初期の段階でデンマーク政府から投資してもらえることになったのです。
当初私たちは、人々にポジティブなインパクトを生み出すイノベーションに焦点を当てました。しかし、数年後、「人間」を中心に据えるだけでは不十分だということ、そして人間と等しく「地球」をも中心に据える必要があることに気付きました。
人のためだけにつくられたイノベーションは、地球に悪影響を及ぼします。産業廃棄物や気候変動、大気汚染など、私たちがどれほどのものをつくり出してしまったか、考えてみてください。地球にとっても価値のあるものを生み出さなければならないことは明らかです。
これからは、データ科学者や生物学者と緊密に協同してイノベーションをデザインしていく必要がありますし、環境に精通しているエキスパートと協同して持続可能な未来を実現しなければなりません。
今や、イノベーションとはただ単に新しい製品やサービスを生み出すことではなく、それを持続可能なやり方で生み出す、ということなのです。そのため、当初は「People Centered Innovation」と呼んでいましたが、今は、「Life Centered Innovation」と呼んでいます。
実は今、CIIDはコスタリカで事業を拡大しています。コスタリカは100%持続可能なエネルギーで自国のエネルギーを賄っている、持続可能な政策を牽引している国です。私たちはこの状況に非常にインスパイアされています。

ースクールを開催する場所として、日本を選んだ理由は何ですか。
第一に、日本は常にCIIDに好奇心を抱いてくれていたからです。事業を立ち上げてから、共に学び、働いてきた日本の企業や人々がたくさんいました。
第二に、文化的に発展した国に対して私たちがどのような支援ができるのか、興味深い事例を見せてくれると思ったからです。CIIDは国連と連携しており、SDGs(持続可能な開発目標)に沿って全てのカリキュラムのテーマを設定しているのですが、その中にはデザインによってサポートすることができる重要課題もいくつかあります。例えば、持続可能な移動手段などです。日本のようにテクノロジーの発展した国で、テクノロジーを生かしてどのように支援できるか、興味があります。
日本はテクノロジーのロードマップ、実践、リサーチの分野でリードしている国として知られており、経済的にも財政的にも成功を収めています。しかし、残念ながらこれらの成長の中には社会の発展とバランスが取れていないものもあります。実際に今の日本は、地域レベルでのさまざまな新たな課題に直面しています。
私たちは、日本という国全体をサポートしたいですし、そしてそれぞれの社会への支援をどのようにデザインするか考えたいと思います。ただ、日本に課題があるから興味があるというわけではありません。もっと地球や命を中心に据えたアプローチで、日本の企業をサポートすることができる素晴らしい機会だから、興味を持っているのです。
電通をパートナーに選んだのは、企業戦略をベースにSDGsに対応するという、この支援の形に興味を持ってくれたからです。日本企業は、社会への価値を生み出し、社会的に成長するとともに、財政面でも成功を収め続けるにはどうすればいいかが、明確ではないのだと思います。
電通とのパートナーシップを通じて、日本企業のための新しいアライアンス、ビジネスモデル、戦略を支援すれば、日本企業がSDGsに対応するスピードを上げることができると考えています。
ー日本ではSDGsやサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方が根付いているとは言いがたいのですが、デンマークではこれらの考え方が浸透していると聞きます。その理由はどこにあるのでしょうか。
デンマークに限らず、サーキュラーエコノミーの考え方はスカンジナビアで根付いています。定着している理由は、政策や法的枠組みでインセンティブを設けており、政府や公的機関がサポートしているからです。
今ある資源をリサイクルしたり、再利用する行動を推し進めるようなインフラ設計によって、企業や市民、政策をつくる側の人のすべてが、ビジネスモデルとして持続可能な仕組みをつくることが必要だと意識しています。
それだけでなく、持続可能な仕組みをつくるアプローチが、実は新たなビジネスを生み出すことにつながると認識しています。スカンジナビアには、サーキュラーエコノミーに取り組むことで、利益を出したり、優位性を獲得している企業があります。ただ単に良いことをしている、ということではなく、素晴らしいビジネスの機会でもあるのです。
日本で、サーキュラーエコノミーの考え方を根付かせるために何が必要かは、まだ分かりません。しかし、日本もまたビジネスにおいて変革を進めなければならないと感じています。
日本の経済を牽引している産業同士で、多くのアライアンスが結ばれていますが、今は、利益向上のために結ばれることが多いでしょう。しかしこれからは、サーキュラーエコノミーを目指すことや、SDGsに取り組むためにパートナーシップやアライアンスを組む文化をつくらなければなりません。そのためにどうすればいいかを考えていきたいと思います。

ー「CIID Winter School」を受講する方へメッセージをお願いします。
このスクールに参加した方は、デジタル技術、デザイン、イノベーションが交わる場所で新しいスキルを使用する方法を実践的に学びます。このスキルセットは、企業がSDGsに沿ったイノベーション戦略を策定する際に効果的に活用できるものです。
また、この取り組みは、多くのネットワーク(つながる)、プロトタイプ(試す)、メーキング(作る)、コネクション(結び付く)を引き起こすでしょう。CIIDのプラットフォームによって日本企業のSDGs戦略やアライアンスが刺激されること、そして日本で長期的にCIIDのアプローチを広めていく第一歩になることを期待しています。
JXTGエネルギーは12月23日、東京2020組織委と契約を締結し、パラリンピック聖火リレーサポーティングパートナーに決定した。
同社は、東京2020大会のゴールドパートナーであり、オリンピック聖火リレーサポーティングパートナーも兼ねる。聖火リレーでは、グループ会社のENEOSグローブが、トーチで使用するガスの供給を行う。
大田勝行社長は「当社は、ダイバーシティ&インクルージョンの推進のもと、障がい者スポーツ団体への協賛や、社員の応援観戦・ボランティア参加などを通じ、パラリンピックスポーツと交流を深めている。今回、パラリンピック聖火リレーサポーティングパートナーとして、多様性が活かされる社会の発展に貢献できることを大変光栄に思う。日本中へ記憶に残る感動を届けられるよう“ENERGY for ALL”の合言葉の下、パラリンピック聖火リレーを盛り上げていく」とコメントした。
組織委の森喜朗会長は「オリンピックに引き続き、パラリンピック聖火リレーのサポーティングパートナーとして同社をお迎えできることになった。パラリンピック聖火リレーは、原則として“はじめて出会う3人”がチームになってリレーを行う。パラリンピックとオリンピック、内容の異なる2 つの聖火リレーのサポーティングパートナーとして、また聖火リレートーチへのガス供給に協力いただきながら、東京2020大会に向けた機運が醸成していくことを期待する」とコメント。
パラリンピック聖火リレーは、オリンピック終了後の2020年8月13日から、パラリンピック開会式までの期間に開催する。2020年を契機に共生社会を実現し、人と人、人と社会との、「新しいパートナーシップ」を考えるきっかけとなることを目指し、原則として「はじめて出会う3人」がチームになってリレーを行う。聖火は8月13日から全47都道府県で採火され、イギリスのストーク・マンデビルで採火された炎とともに、8月21日に開催都市東京で行われる“集火式”で統合され、パラリンピック聖火になる。全ての人の熱意が一つになった聖火は、翌22日から東京の街をリレーで駆け抜け、25日の開会式に届けられる。
日本スポーツ振興センター(JSC)は12月21日、新設なった国立競技場(東京・新宿区)を一般に公開し、完成を祝うオープニングイベント「HELLO, OUR STADIUM」(協賛=アシックスジャパン、日本コカ・コーラ、JR東日本、久光製薬、NTTグループ、日本航空、パナソニック、朝日新聞社、三井住友フィナンシャルグループ、グーグル、復興庁、読売新聞社)を開催し、約6万人の観客が詰め掛けた。同競技場は、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして、開閉会式をはじめ陸上競技などの会場として使用される。

イベントでは「文化」「スポーツ」「音楽」の各コンテンツが展開され、それぞれに競技場と縁の深いアスリートやアーティストらが登場した。
MCは、フリーアナウンサーの平井理央さんが務め、スペシャルサポーターの松岡修造さんが会場を盛り上げた。

イベントは、太鼓芸能集団「鼓童」の勇壮なパフォーマンスで幕を開け、“文化パート”の「東北絆まつり」に引き継がれた。絆まつりには、東北6県の夏祭り(秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、福島わらじまつり、仙台七夕まつり、青森ねぶた祭)が参加。45分間、踊り手ら約600人がトラック上で本番さながらの演舞を見せた。
続いて、マーチングバンドが行進を開始。その後を、住民や学生、アスリート、近隣の企業関係者ら地元にゆかりのある人々が連なり、祝賀パレードを行った。
絆まつりは、2011年の東日本大震災の鎮魂と復興を願い、同年から16年まで東北6県の持ち回りで開催された「東北六魂祭」が前身で、翌年から絆まつりとして継続している。

前半の“スポーツパート”では、サッカー界のレジェンド・三浦知良選手(Jリーグ 横浜FC)が、スポットライトを浴びながら登場した。国立競技場での最多ゴール数を誇る三浦選手は、日本代表時代のユニホームをアレンジしたウエアに身を包み、初めて芝生のピッチに足を踏み入れる大役を務めた。
三浦選手が、ボールをドリブルしながら走り始めると、観客からは大きな歓声が起き、最後にボールを観客席に蹴り込むと、最高潮に達した。
会場には、ラグビーW杯日本大会で、史上初のベスト8進出を果たした日本代表の、リーチ・マイケル、中村亮土、田中史朗選手も駆けつけ、競技場の完成を祝った。
三浦選手は「素晴らしいスタジアムでセレモニーに参加し、大役を任されたことに興奮している。皆さんの力で、この聖地を勇気ある場所にしていきましょう」と呼び掛けた。
リーチ選手らは、W杯で受けた応援に感謝を述べ「これからこの競技場で、オリンピアン・パラリンピアンの皆さんが最高の結果を出せることを祈ってます」などと祝辞を述べた。

後半は「音楽パート」1組目の、DREAMS COME TRUE(ドリカム)のスペシャルライブでスタートした。ドリカムは、ヒット曲の「決戦は金曜日」「OLA!VITORIA!」「何度でも」の3曲を熱唱。吉田美和さんは「今日は短い時間ですが、皆さんと喜びを分かち合いたい。皆さんは国立のオープニングベイビーズだ」と呼び掛け大きな歓声を浴びた。ドリカムは、07年にSMAPに続き史上2組目の“国立ライブ”を行った。
音楽パートの最後は、アイドルグループの嵐が華やかなライブで締めくくった。嵐は、アーティストとして国立競技場で最多の公演を行ってきた。5人は特製のトロッコに分乗して周回しながら、「Love so sweet」「Happiness」「A・RA・SHI」「BRAVE」のスぺシャルメドレーを披露し、観客を熱狂させた。5人は「一生の思い出になった」「ここから、さまざまな伝説が生まれると思うとワクワクする」「アスリートにもアーティストにも目標の場所になると思う」などとコメントした。

スポーツパートの最後は、人類初の陸上レース「ONE RACE」。健常者や障がい者、性別の枠を超えたアスリートたちが、特別に混合チームを結成。1チーム6人で4チームを編成し、200メートル×6走の計1200メートルで行うエキシビションレース。
参加選手は、陸上界のレジェンドで金メダリストのウサイン・ボルト氏をはじめ、パラ陸上のハンナ・コックロフト、マール・ファン・ライン選手ら金メダリストや世界記録保持者、日本からは、オリンピック代表のケンブリッジ飛鳥、桐生祥秀、飯塚翔太選手や、パラ陸上の村岡桃佳、高桑早生選手らで、日本選抜、世界選抜の各2チームを組んだ。世界選抜2チームの1~4走は、2024、28年のオリンピック開催都市のパリとロサンゼルスにある競技場を走行。その模様を、NTTグループの協力によりリアルタイムで同期し、ひとつのレースとして成立させた。
世界選抜“BLUE”のアンカー・ボルト氏にバトンが渡ると、会場は大きな声援に包まれたが、優勝したのは、ケンブリッジ飛鳥、高桑、飯塚選手らの日本選抜“RED”チームだった。
ボルト選手は、「素晴しく、とてもうれしい体験をさせてもらった。自分は、東京オリンピックで走らないので、大変に貴重で特別な経験になった」と語った。

イベントのフィナーレには、サプライズゲストとして人気デュオ「ゆず」が登場した。北川悠仁さんは「完成を祝い、東京オリンピックの大成功を祈って、この曲を皆さんと歌えたらうれしい」と04年アテネオリンピックのNHKテーマ曲「栄光の架橋」を観客と大合唱。会場は、観客がペンライト代わりに点灯したスマホの光が揺れる中、エンディングを迎えた。
同競技場では2020年1月1日、新設後初のスポーツイベントとして「天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会」(ヴィッセル神戸 対 鹿島アントラーズ)が開催される。
電通メディアイノベーションラボ主任研究員の天野彬です。2019年10月に『SNS変遷史「いいね!」でつながる社会のゆくえ』(イースト新書)を刊行しました。
社会のありようを大きく変えたSNS。本書では、mixi、Facebook、Twitter、Instagram、LINE、TikTokといった代表的なものはもちろん、2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)、メルマガやブログなども、その前史から説き起こしました。個人ページ型からタイムライン型、さらには体験をシェアする画像・動画共有まで、多様性を増すに至ったSNSの目まぐるしい変化を、ユーザー視点、事業者視点、文化視点などから多角的に描き出しています。
また、オリジナル調査の結果解説に加えて、SNSをテーマとした映画や小説などの作品分析を行っています。そこに描かれたものを分析することで、現代の私たちのコミュニケーションやマインドのあり方の変化に深くフォーカスしています。
この連載では、本書で展開した議論の一部を、ダイジェスト的に編集することでご紹介したいと思います。第1回では、今、最も代表的なSNSといえるTwitter、Facebook、Instagramの特性とその来歴について取り上げます。
Twitter、Facebook、Instagramは、現在のSNSを代表するサービスだといえるだろう。日本国内のMAU(Monthly Active Users)数は、Twitter4500万、Facebook2700万、Instagram3300万となっていて、他のSNSのMAUを大きく上回っている。人と人とのつながりが価値を持つSNSだからこそ、このMAU数をもって「三大SNS」と評することができると思う。
Twitterは、あるニュースが拡散され、それに対する人の反応や意見が見えるという特性がある。「世の中の今を見る場」として、ユーザーも自身のアイデアや考えを広めたり、告知・拡散したりするときに使う。
Instagramは、「個人のとっておきの体験をビジュアルでシェアする場」という際立つ特性があり、自分の“好き”を掘り下げることにアクティブなユーザーが多い。
Facebookは、地元の人や同じ関心を持つ人、会社の同僚など、いろいろな世代の人がつながり、しかも実名なので、フォーマル性を強く帯びる。人生の節目の「ご報告」など、みんなに知らせたい公的な情報を伝える場になっている。もちろん、ニュースや日常の様子を投稿する人もいるので、TwitterとInstagramの中間にあると位置づけることもできるだろう。
各SNSの特性をわかりやすく伝えると、Twitterは世の中の話題を知り、会話に加わるために「広場に出かける」感覚、Instagramはその人の趣味や世界観を知るために「家に遊びに行く」感覚、そしてFacebookは社交的でフォーマルな会話が飛び交う「知った人が参加するパーティー会場に出掛ける」感覚に近い。


Twitterの「なう」は2010年の流行語大賞ベストテンにも選ばれた。この「なう」こそが、Twitterのもたらした変化を最も象徴的に伝えている。つまり、私たちの生活がリアルタイムウェブの方向へシフトしたということだ。
例えば「スタバなう」(今スターバックスにいます)のように使って、何げない近況のシェアを友人知人、ひいては日本中、世界中へと広げる。しっかりとしたメッセージ、つくり込まれたコンテンツを発信するのではなく、何げない「今」のシェアがコミュニケーションとして流通する足場を築き、N to N(多対多)で広がる空間を開拓した。
このような「リアルタイムウェブ」の在り方、その価値観が日本社会にインストールされたことが、Twitterのもたらした社会的な変化のコアにある。それまでの日記・掲示板・ブログ文化にはなかった、“速いコミュニケーション”を生み出した。
実はツイートは「つぶやき」と訳されることが定着しているが、「さえずり」と表現する方が適切だ。それは、Twitterは個人の独白の集合ではなく、小さなコミュニケーションを手早く重ね合いながら交響するようにメッセージが広がっていくさまが頻繁に起こる場であるためだ。

リアルタイムウェブの象徴としてのTwitterは、エンターテインメントのあり方も大きく変えた。例えば、金曜ロードショーで放送される「天空の城ラピュタ」では、クライマックスで主人公たちが唱える滅びの呪文「バルス」がネットでも大きく盛り上がる。その瞬間に、日本中で「バルス!」とつぶやく楽しさは、同期的なつながりのもたらす盛り上がりによって説明できるだろう―実は、Twitter以前の2ちゃんねるでもこの「祭り」は恒例となっており、「サーバーダウンの呪文」としても知られていた。
一般的にコンテンツは初めて接触するときに効用が高くなるものが、この事例はバルスが来るタイミングが分かっている人ほどカタルシスを味わえるという逆説的な楽しさを立証した。
先が分かっていても、いや分かっているからこそ楽しめるということ。加えて、それが社会的な“祭り”のレベルにまで達していたことに、この事例のメディアコミュニケーション史的な意義がある。見る予定のなかった人でも気になってしまうその同期性の引きの強さは、コミュニケーションとコンテンツとの密接な結び付きを示唆している。
Facebookは、始めは大学生専用のSNSだった。ハーバード大学を起点に、近隣のアイビーリーグなど優秀な大学同士がつながるネットワークを作ろうというのが元々のアイデアだった。限られた人しか使えないという制限を設けることによって、「ぜひともその優秀な大学生しかいないネットワークに入りたい!」という気持ちが刺激されるわけだ。
Facebookを使う理由は、実名性という最大の機能的特性ゆえの種々のメリットと社会的な価値にあるだろう。創業者のマーク・ザッカーバーグ氏も「大学の社交(ソーシャル)を全部ここに移すんだ」と述べている。匿名性ゆえの「荒れた」コミュニケーションにはなりにくい(という傾向がある)、大人な、穏やかな場になるということだ。

企業もその方がマーケティング上有益なので、社会的な注目度は高まり、ユーザーのボリュームも大きくなっていった。そして若者から流行は始まったものの、日本には、大人のためのソーシャルネットワークがなかったため(LinkedIn〈※〉はあったが)、Facebookがそのポジションを代替的に占め、普及への足掛かりとした。
実名で社会的なポジションを背景にしていることから、さまざまなサービスにFacebookのアカウントを使ってログインできたことも普及の要因として大きいと、筆者は考えている。Facebookでアカウントを持っていれば、サービスごとに面倒なアカウント登録作業やログインをしなくても済む。このような利便性は、日々ウェブサービスへの依存を深める私たちにとって重要なことだ。
こうしてFacebookは存在感を高めていった。もともと世界各地にあるローカルのSNSを全て駆逐するように広がってきたわけで、日本でもそれが成功したということができる。「海外の人が使っている」「自分の身の回りの人が使い始めた」といった蓄積がある日、臨界点を超え、一挙に普及していく。まさに「ネットワーク効果」の勝利である。“意識高い系”の大学生が使うところから始まった Facebookは、現在では世界中で22億人のMAUを抱えるまでになった。
ここで大事な概念「ネットワーク効果」について説明しておこう。ネットワーク効果とは、物やサービスの価値が、それを利用するユーザーの数に依存して増えたり減ったりすることを指す。より多くの人々が使ってネットワークが広がればその価値は高まる。しかも、ネットワーク内の人だけでなく、ネットワークの外部にいる第三者にとっての価値も高めるという意味から、ネットワーク外部性と呼ぶこともある。
例えば自宅の冷蔵庫は誰が使っていようが関係なく、自分自身の使い心地のみがその価値を決めるが、電話は自分だけが持っていても全く価値がなく、多くの人にコンタクトできるというネットワークの広さが価値となる。SNSもまさにそのようなものだろう。
ネットワーク効果は、SNSの普及を考える上で非常に大切な考え方だ。先ほど述べたように、Facebookのつながりの価値も、ネットワーク効果に基づいて雪だるま式に大きくなっていったのだ。
SNS拡大期の最大の立役者Instagramは、2012年にサービスが開始された。当時からいまのような状態だったわけではなく、始めはそもそも名前さえ異なるものだった。それが現在ではスマホユーザーにとって最も重要なSNSの一つにまで成長した。現在では世界中で10億人のMAUを誇るが、そこに到達するまでに、わずか7年しか要していない。
Instagramは、スマホユーザーのビジュアルコミュニケーションの中心地で、ユーザーが写真を撮って自分の体験を手軽にシェアするための場を築いた。スマホの操作に長けた若年層は、写真の加工もお手の物で、ウォールとフィードによって自分なりの世界観をつくりあげるためにシェアする。

もともとは、「Burbn」という名前で、知り合いと自分の予定や位置情報を共有するためのアプリであったが、使われ方のデータを見たところ、ユーザーはあまり位置情報をシェアしておらず、その代わりそこで撮った「写真」をシェアしていたのだ。創業者のケビン・シストロム氏は、この写真シェア機能を初めはあまり重視していなかったが、当のユーザー自身はこれを求めていたというわけだ。そして、名前も「Burbn」から「Instagram」に変更された。
機能をそぎ落とす、シンプルにする、それはユーザーの体験、そして口コミのためでもある。シストロム氏は「“これは何のサービスなのか”を明快に伝えたいと思っていました。あれこれ機能が詰まったサービスだったら、ユーザーは友達になんと紹介したらいいのでしょう」と述べている。
当時はまだスマートフォンのカメラの性能が高くなかったため、写真へのフィルター機能(色味の調整や写真全体のトーン&マナーの調整機能)が斬新かつ、綺麗な写真を残しておきたいというユーザーのニーズを満たしてくれるものだった。フィルターをかければ、誰でもオシャレな写真が出来上がるというわけだ。
また、Instagramの初期は、いわゆるセレブではなくカメラマンやデザイナーなどクリエーターたちに告知し、使ってもらうことに注力していた。いわゆるインフルエンサーマーケティングだが、クリエーティブな場を支援するツールという理念がそこに表れている。
こうした戦略が功を奏し、アメリカ国内で感度の高いユーザー層に根付き、日本でも流行に敏感な層、特に女性ユーザーに人気が出始めていった。コアなユーザーに刺さり、そこから広がっていったという構造は、Facebookと同様である。
そのような出自もあいまって、Instagramは、オシャレな写真をシェアしなければならないというユーザー間でのコード(法律や規則ではない、社会的・文化的に定められたお作法)があり、結果として写真の構図も似通ってくるという現象が見られた。レフ・マノビッチ『インスタグラムと現代視覚文化論』(2018)によれば、四つのタイプがある。
(1)フラットレイ (2)ファーストパーソン
(3)ミニマリズム (4)シーン
簡潔に説明を加えると、
(1)フラットレイは真俯瞰から撮影して被写体/対象物が平らに並べられたもの。高低差がないので構図がシンプルになり、見せたいものを見せられる。
(3)のミニマリズムは背景をシンプルに、被写体を減らし、画面を映したいものだけにフォーカスできるよう「最小限の要素(ミニマル)にする」ということ。
スマホの小さな画面で写真を見るというUXを踏まえた上での最適化という意味では(1)と(3)には共通性がある。
筆者が考えるこの中で最も重要な概念である(2)は、一人称視点(ファーストパーソン)、つまりスマホを持った撮影者の視点で撮られた写真を意味する。例えば洋服の写真であれば、モデルに着せて第三者のカメラマンが撮るのではなく、自分の視点で着ているところを撮影するような在り方を指す。
(4)のシーンもこれと似た概念で、洋服の例で話を続けると、どこかのスタジオで撮るものではなく、実際にその洋服がどんな場所で着れば最も映えるものになるのか、素敵な経験になるのか、それを満たす場所・瞬間(シーン)で撮るべしということだ。
Instagramが個人の体験・経験のシェアの場であるという特性が、(2)(4)には反映されているのだ。
今回は「三大SNS」の出自とその特性を概観してきたが、重要なことはそれぞれの機能を補完し合いながら、ユーザーはSNS上でのコミュニケーションを成立させているということだ。
次回は、SNSがもたらした情報の広がり方について、筆者の提唱するモデルを示しながら分析したい。
今、本当の意味での広告とPR、言い換えればクリエーティブとPRの本質的連携、融合が求められる時代となっている。そんな新たなステージで新機軸の提案を行うために立ち上げられた「dentsu CRAFTPR Laboratory」について、電通パブリックリレーションズの井口理氏と電通のクリエーターの橋本怜悦氏が語った。
井口:「聞いたことある人、手挙げてー」と書きましたが、造語なんで誰も手、上げてないですよね、多分。(笑)実はこれは2019年のカンヌライオンズで、PR部門の審査委員長が「PR is a Craft, Not a Channel」と語ったところからきています。その意味においてはいろんな解釈があると思いますが、われわれはこれを「メディアを含む第三者経由のアプローチだけがPRの主戦場ではない」ということを言い表したのだと受け取りました。そういう「限定されたチャネル」ではないということです。
昨今、PRに関心が高まる一方で「PR=パブリシティー」という一元的な理解が蔓延してしまっていて正直「これはヤバい」と思っています。「パブリシティー」はPRにおけるひとつの手法でしかありません。PRは広告も含めたさまざまなソリューションを駆使して、生活者や社会の理解と共感をつくり、最終的な着地点へと導くこと。その役割は統合コミュニケーション戦略の指揮官であるべきという気持ちがあり、これを機に再度こういった誤解を払拭すると共に新しい価値ややり方を示さねばと思ったんです。
今回出てきたこの「Craft」という言葉はクリエーティブではすでに当たり前に定着しているところに、「何かブリッジできそうだな」とわれわれは考えました。折しも私が2012年にカンヌの審査員をしたときのPR部門審査委員長が「PR業界には表現力が不足している。これは大きな反省点である」と嘆いていましたからPRもクリエーティブをもっとうまく活用しなければいけない。今まさに、この「Craft」という言葉がきっかけとなって「クリエーティブとPRの連携」を見直す時期なんじゃないかなと思ったわけです。
事例解説
ドイツの生理用品に掛かる高い税制の変更を迫る取り組みで、エントリーしたのはドイツのオーガニック生理用品販売をするThe Female Company。実はドイツの消費税は標準税率が19%と非常に高く、食料品や水道水といった生活必需品や新聞雑誌、書籍といった文化的なものは軽減税率として7%の設定となっている。一方で、それらのカテゴリーに入るということから、いわゆる贅沢品と言われそうな食品であるトリュフやキャビア、文化関連でいえば油絵なども7%と低い税率である。
ドイツ人は内税方式に慣れきってしまっており、あまり「何々の税率は高い!」といった不満は噴出しないようだが、女性の生理用品であるタンポンもそういった矛盾する税率の中、19%という高い税率で置き去りになっていたという。このアンフェアな事実を顕在化させ、議論し変更させるために行われたのがこの取り組み。
書籍にかけられる消費税が7%(生活必需品のカテゴリー)であることを逆手に、15個のタンポンが入った46ページの本として販売することで税率の矛盾を突いた。「言われてみればひどいよね」と、これに気付いた女性たちが一斉に声を上げ、税率を議論する議会でも女性議員が賛同し、50年ぶりに税制改正への動きが始まる。国内での署名は瞬くまに17万を超えており、社会を巻き込んだ事例となっている。
生理用品を書籍としてリポジショニングする、またその書籍には女性の生理が自然の摂理であることをイラストなど用いて分かりやすく伝えており、こういった表現にクリエーティブ力が存分に生かされているといえるだろう。
例えば、2019年のPRグランプリである「Tampon Books」。これはPRとデザインひいてはクリエーティブが高い次元で融合し着地をしている好事例です。PR目線で紡いだストーリーを、より分かりやすく伝えるための表現としてクリエーティブが生きている。これを見ても分かるようにクリエーティブも今後はクライアントの真の理念を共有し、共に歩む存在として全体設計の中でどのような関わり方ができるのかを常に考えていかねばならない状況なのではないかなと。
実際に営業戦略や事業企画、さらには経営企画などにも意見が求められる場面は日々増えてきていますから。そんな中、昨今いわれる「企業の社会的存在意義」の再確認、またそれらをいかにコミュニケーションへ融合していくかの提案が期待されるようになっています。次の時代に向けて、クライアントと共に“あるべき姿”を突き詰め、その実現のためにどのような軸足でアプローチしていくのか、これを考えたときにクリエーティブとPRの融合でクライアント貢献するというのがチームの目標です。
橋本:僕らが目指すのは、社会における生活者の関心をベースに、企業・団体といった情報発信主体側のメッセージを「クリエーティブ×PR」の目線で融合させ理解促進、共感醸成を達成するコミュニケーションプランニングです。例えば僕らはかなり長い年月一緒に仕事をしています。僕らのやり方はクリエーティブとPR双方の視点でつくられたストーリーを持ち寄り、ビジュアルやファクト、その他アウトプットに関わる要素までをすべて検証した上で最適な解を提供する、というものです。
そもそもクリエーティブ領域には「Craft」という言葉がありましたが、それはメッセージを伝えきるその表現力、また品質のことでした。同じく今回、PR領域でも「Craft」という言葉がフィーチャーされましたが、これはあらゆるコミュニケーション施策を統合し、意識変化、態度変容まで導く推進力だと定義づけました。
これまでのクリエーティブとPRの連携は、広告表現に話題になりやすそうな要素をまぶしておく、あるいは動画クリエーティブをPRで拡散させる(バズをつくる)といったところにとどまってしまっていた。今回の連携ではもっと深いものを目指します。
企業の意思をくみ、さまざまなコミュニケーションにきっちりと練り込んでいく。その連携自体が既にストラテジーでもあり、また企業好感度を上げるコーポレートコミュニケーションの要素も持ち合わせるといった高いレイヤーで実行されます。そういうプランニングの最上位レイヤーでこの有機的な連携、融合を実現します。

井口:まずはこの「クラフトPR」の概念を皆さんに知ってもらうべく、国内外の事例などをひもときながら実際の業務に取り組んでいきます。この概念に興味のあるクライアントや営業さんをはじめ、クリエーター、マーケター、PRパーソンなど、いろいろな領域の方が声を掛けてくれることを期待したいですね。
われわれが目指すのは目前の仕事ではなく、そういった業務領域の進化です。現場的な仕事の中で、現在のマーケティングの変化を理解しながら、それに応えるコミュニケーションプランニングを実践していく、そういった立場を目指しています。また日々積み重なる事例をひもとくことで、「クラフトPR」の業務推進に理想的なチーム体制やプランニングプロセスなども、どんどん共有していければと思っています。
橋本:「dentsu CRAFTPR Laboratory」はラボという体を取っていますが、研究で終わるものではありません。日々の取り組み、すなわち実践を踏まえた上での知見の蓄積とさらなる実務への反映をスパイラルに展開していきます。僕らの事例を中心にしたworksサイトを立ちあげたので是非皆さんに見てほしいですね。それぞれがどういう視点で仕事に取り組んでいるかなどその立ち位置やプロセスがよく分かると思います。またここからダイレクトに仕事の相談もできるようにしていますので、まずは一声掛けてくだされば。この最初の会話だけでも皆さんに何かを残せる自身があります(笑)。
問い合わせ先:offer@craftprlaboratory.com
【dentsu CRAFTPR Laboratory】
困っている人、手をあげてー!今から会いに行きます!
dentsu CRATPR LABORATORYは、クリエーティブとPRの高次元での融合をベースに、クライアントの真の課題に対し、その社会的存在意義を背景としながら統合コミュニケーション提案をする専門集団です。日々のマーケット状況や社会環境を把握しつつ、最新のデータや社会目線を取り込み、最適なソリューションを提示いたします。
ヤクルト本社は12月19日、乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」の新CMキャラクター発表会を、東京・港区のヤクルトホールで行った。
同飲料は10月から、関東の1都6県で発売。ヤクルト史上最高菌数・密度の「乳酸菌 シロタ株」を含み、同社初の機能性表示食品として、ストレスを和らげ睡眠の質を高める機能がある。

ステージには、新CMキャラクターに起用された大相撲の大関・貴景勝関が登場した。今回の起用は、レーシングドライバー・佐藤琢磨さん、ダンサー・菅原小春さんに続き3人目になる。
大関は「商品の機能は、プロの自分にはありがたい。部屋の人間にも薦めている」と話し、初めてというCM出演について「実際の稽古場での撮影だったので、緊張もなく楽しめた」と明かした。
成田裕専務執行役員は「大相撲で注目の大関は、CMのコンセプト“第一線で活躍するプロフェッショナルも、ストレスと睡眠の問題と戦っている”にピッタリだ」と起用理由を述べ、林田哲哉常務執行役員は「商品の販売は好調だが、大関の起用でさらに売り上げがアップするはず」と期待を示した。大関が出演するCMは、2020年1月から放送予定。

同社からは、赤色の地に商品をレイアウトした鮮やかな化粧まわしと、商品1年分が贈呈された。大関は「赤いまわしは初めてなので、身の引き締まる思い。ますます精進して頑張りたい。商品も毎日飲めると思うとうれしい」と語った。

会場には、年末にかけて多忙で、ストレス緩和と睡眠が必要な芸人・ダチョウ俱楽部の3人が“ヤクルト応援隊”として駆け付けた。
メンバーの肥後克広さんと寺門ジモンさんは「最近、上島(竜平)の芸にキレがない」と嘆き、大関に、ダチョウ俱楽部改め上島さんを外した“ドスコイ倶楽部”の結成を持ち掛けるなど、はじめからハイテンション。遅れて登場した上島さんは、けんか腰で相手に迫って最後はキスをするというお約束の芸を女性MCに試すも、あえなく失敗して会場を沸かせた。
大関はヤクルトを試飲して「「場所中はストレスにさらされるので、それを和らげ質の高い睡眠が取れるのは大切なこと。飲みなれた安定の味わいでおいしい」と話した。

ダチョウ俱楽部は、3人のファンという大関の前で、“ストレス緩和ギャグ”を2本披露。新作にもかかわらず、大関の判定はどちらも「面白くない」で撃沈。あきらめきれない3人は、大関との腕相撲対決を提案。いつもの押し付け合いの末、勝負するのは結局上島さんに決定。上島さんは両手使用OKのハンディ戦だったが、2回とも瞬殺され「何で真剣にやるんだよ!」とキレ芸で笑わせた。
大関は「念願の共演で、ストレス解消になった」「ヤクルトを飲んで、初場所も好成績を目指したい。これからも応援してください」と締めくくった。
右岸派のゴダールやトリュフォーに先駆けて、左岸派のアニエス・ヴァルダが撮ったヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品。
投稿 映画レビュー「ラ・ポワント・クールト」 は 映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。
最近、外国人観光客の方々が一段と増加していると思いませんか?
中でも中国人観光客の増加が目立ち、日本におけるインバウンド消費もさらなる盛り上がりを見せています。日本と中国の消費は、ますますつながりが深まることが予想されます。
その状況下、日本と中国の企業が抱える日本・中国ハイブリッド市場のマーケティング課題にクロスボーダーで対応していくための電通グループ横断組織「Dentsu China Xover Center」略称「Dentsu CXC(デンツウ シー・バイ・シー)」が、2019年6月に発足しました。
本連載の1回目となる今回は、Dentsu CXCが12月に発表した日本・中国クロスオーバー消費行動モデル概念「SSSフレーム」をストラテジック・プランナーの武藤隆史から紹介させていただきます。
外国人観光客の数は、10年前の2009年には約680万人でしたが、2018年には3000万人の大台を超え、政府は2020年に4000万人達成を目指しています。
中でも訪日中国人はここ5年で大幅増加。2018年には838万人に達し、今では国・地域別で最大となっています。
日本市場が成熟化する中で、中国の需要をいかに取り込めるかが、日本企業の成長エンジンのひとつとなり得ます。マーケターにも両方の市場を俯瞰的にとらえたプランニングが今後ますます求められるようになります。
この事実を背景に、電通は、グループ横断組織「Dentsu CXC」を発足しました。

Dentsu CXC 公式HP
https://cxc-dentsu.com/
電通リリース
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0529-009829.html
私たちは、これからの消費の大きなトレンドである、訪日中国人の需要を効果的に取り込むために、日本・中国クロスオーバーの消費行動をくくる概念が必要であると考え、「SSSフレーム」を開発しました。各種調査をベースに、CXCメンバー、電通・インバウンド担当セクションの高橋(邦)チーム、外部有識者と検討を重ねて開発しています。
電通は過去にネット時代の消費行動モデル概念として「AISAS」、SNS時代のモデルとして「SIPS」を開発しましたが、これからの日本・中国クロスオーバー時代に対応するモデルが「SSSフレーム」となります。

電通リリース
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/1202-009966.html
それでは、架空の中国人女性Lilyさん(20代/上海)が初めて日本旅行に行く際を例に、彼女へのインタビューを交えながら、各プロセスを具体的にご説明します。
【Lilyインタビュー】
Q.普段はどのようにして日本の商品/サービスを知るのですか?
RED(小红书:中国版インスタグラム)でタレントやKOL(キー・オピニオン・リーダー)のコスメレポート動画を見て、日本の商品をチェックしています。Weibo(微博:中国版ツイッター)アカウントでは面白い日本のニュースもチェック。フォローしたWeChat(微信:中国版ライン)アカウントでよく日本のファッショントレンドや日用品の投稿記事を見て、その美しいデザインと実用的な機能に感心したり、bilibili(哔哩哔哩:中国版ニコニコ動画)では日本の商品を扱った面白い動画も楽しんで見ています。
Q.旅マエにどのように日本の商品/サービスを調べましたか?
はじめての日本旅行。Baidu(百度:中国版Google)で地名を入れて検索し、みんなの旅行記を見たり、東京のカフェランキングを調べたり。気になっていた化粧品、日本のコスメに詳しい友達に改めて聞いた化粧品をREDで調べて、買いたいものをスマホに保存しました。Ctrip(携程:中国版エクスペディア)で航空券を購入したら、WeChatグループに追加され、V-guide(微领队:オンライン旅行ガイド)が日本旅行のアドバイスや注意事項を教えてくれました。

【ここで解説】

旅マエは、まずは「共感:Sympathize」が大切です。「注目:Attention」を狙うだけでは中国国内の商品、欧米商品、韓国商品、日本商品など、膨大な商品情報の中で埋もれ、スルーされてしまうため、「共感:Sympathize」まで獲得できる出合い方が大切であると考えます。
中国人の商品に関する情報収集源として、テレビCMなどのマス広告以上に、家族・友人・知人からの情報や、SNSからの情報源(有名KOLなど)を重視していることが下記の調査結果から分かります。共感できる人、共感できる情報源を介して出合ってもらう場を設ける必要があります。
「共感:Sympathize」されれば、その後の自発的な「探索:Explore」につながり、納得できれば買い物リストに入れてくれます。下記調査結果からも分かるように、旅マエに買い物リストを作成していない人はたった13.5%しかいません。旅マエに、買い物リストに入れてもらうことが重要となります。
【Lilyインタビュー】
Q.旅ナカでは、どのような情報に接触しましたか?また印象に残ったことは?
機内にあった雑誌を読んでいたら、知らなかったコスメ商品の情報をゲットできたり、ドラッグストアのクーポン券を入手できました。空港の化粧品の広告が中国語で書かれていてとても親切だなと思いました。電車に乗ると静けさにビックリ。一方で渋谷の交差点の人や広告の多さに驚きました。山手線で見たスキンケアの広告が良さそうで百度で検索しました。街の人たちもとても親切で観光客に優しい国だなと思いました。V-guideがグループチャットに新宿の百貨店でコスメ品がセール中という情報を流してくれて、活用しようと思いました。

Q.どのように初回購入しましたか?
化粧品やサプリメントを買うために、安く買えると聞いていたドラッグストアに行きました。WeChat Pay(微信支付:中国版PayPay)、Alipay(支付宝:中国版PayPay)のロゴが見えて親切なお店だと思いました。入店したら商品が多過ぎて、漢字以外読めないし、迷ってしまいました。スマホに保存したメモを見ながら探したり、店員に聞きながらかごに入れていきました。見たことがあって興味を持った商品はとりあえずかごに入れました。REDで大人気だけど中国では買えないコスメを見かけて、迷わずかごに入れました。化粧水にNO.1のシールがついたものも買いました。

【ここで解説】

旅ナカのSは、「驚感:Surprise」と設定。旅マエよりも深い情報提供、体験提供が可能な旅ナカにおいては、大なり小なり、「驚感:Surprise」まで獲得できると強く印象に残すことができ、「購入:Purchase」や「共有:Share」に、良い影響を与えることができると考えます。
「Dentsu CXC」が実施した訪日中国人インタビュー調査で、今回の訪日旅行で印象に残ったことを聞いたところ、下記のような、街のきれいさ、人の優しさ、マナーの良さに驚き感動したという声を多数聞くことができました。
まだ商品やブランドに関連したエピソードを語る人が少ない状況下、中国国内よりも深い体験や情報を伝えることができる旅ナカにおいて、驚きや感動のあるコト体験の提供や、深くタイムリーな情報提供を行うことができれば、競合に先駆けて競争優位性をつくれる好機であると考えます。

【Lilyインタビュー】
Q.帰国して、使って良かったらどのように薦めますか?
旅行中、その日に買った商品をWeChatモーメント(朋友圈:SNSのタイムライン)にアップしたら、代理購入してほしいと友達から連絡が来ました。サプリメントや美顔器に対する推薦コメントももらえました。帰国してお土産を友達や会社の同僚に渡すときに、旅の思い出や、今回の旅行で買って使ってみて良かった商品を紹介しました。ちょうど来月日本に行く友達がいて、自分の話を聞いて早速スマホにメモを残したり調べたりしていました。

Q.どのように次回購入しますか?
旅行1カ月後、日本旅行でとても気に入ったスキンケアグッズが切れそうになって、忙しくて日本へ行けない中、そろそろ11月11日(中国の「独身の日」)セールキャンペーンなので、Tmall(天猫:中国版Amazon)の旗艦店を調べたら、ちょうど事前販売キャンペーンをやっていて、日本よりやや高いけど、限定パッケージを2セット予約しました。

【ここで解説】

訪日時に初回購入して、使って良かった商品は、SNSやリアルで「共有:Share」してくれて、それが、周辺の人々の旅マエの「共感:Sympathize」に繋がっていきます。
また良かった商品は、越境ECなどで多くの人々が継続購入してくれることも調査結果から判明しています。
以上、「SSSフレーム」の概要をLilyさんの体験の形で紹介しました。

今回説明したように、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」と日本と中国市場を一気通貫でプランニングすることが、これからのインバウンド、越境EC、中国マーケティングを考えていく上で、重要な視点であると考えます。
Dentsu CXCは、日本・中国クロスオーバー消費行動モデル概念「SSSフレーム」を多くの人々に自由に活用していただくことで、日本・中国ハイブリッド市場が今後ますます盛り上がることを願います。次回以降の連載もお楽しみに。
お問い合わせはこちら。
株式会社電通 Dentsu CXC(デンツウ シー・バイ・シー)
Email:dentsucxc@dentsu.co.jp
これまで4回にわたって、SDGsに関してどんな意識や行動が芽生えているのか、調査結果を基に解説してきました。SDGsという言葉を知っていても知らなくても、すでに行動している人もたくさんいます。また、17の目標に対して、関心や共感がどこにあるかは人や地域によってさまざまです。今回は、企業の課題に対して、電通TeamSDGsが何を提供できるのか、お話しいたします。
今年7月に行われたG20大阪サミット、9月にNYの国連で開催された環境サミットなど、多くの重要な国際会議でSDGsへの取り組みがメイントピックとして議論されてきました。そしてその間にも目を疑うような国際問題や気候変動による大規模な災害が起きています。SDGsへの取り組みは世界規模でもはや待ったなし。遠い現実ではなく今ここで起きている危機になっています。金融業界も動きだし、投資や融資という点で、ESGやSDGsに貢献していない企業には非常に厳しい状況になっていきます。それを受けて、企業のSDGsへの取り組みもより一層加速していくと考えられます。
電通TeamSDGsには、さまざまなクライアントから日々問い合わせや提案依頼が寄せられています。昨年から今年前半までは「SDGsについて知りたい/社内で勉強会をやりたい」というものが多かったのですが、ここにきて企業の取り組みも加速し始め、「新たなサービスや事業を開発したい/具体的な取り組み先を教えてほしい」という問い合わせが増えてきています。同時に、どうやって社内の理解や共感を得るかという悩みも寄せられ、具体的な実施という第2フェーズに進んできているといえます。
電通TeamSDGsが考える「SDGsについて取り組むべきこと」は大きくは下の七つに分類されます。上半分はこれまでの事業の延長線上にあるもので、きちんと取り組んで情報を発信していく、いわば「守りのSDGs」です。下半分はSDGsを達成するために不可欠な非連続のイノベーションやチャレンジで、企業のビジネスにもつながるものです。
そして全てに共通するのは、企業としてのスタンスや方針をきちんとコミュニケーションしないと伝わらない、伝わらないとやっていないと見なされるということです。

今回はその中から電通TeamSDGsが提供しているソリューションをいくつかご紹介します。
SDGsが掲げる17のゴールは非常に多岐にわたっており、自社の資産をどう生かし、どの課題にどこから手をつけたらいいかを考えるのはなかなか難しいと思います。そこで電通では四つのステップに分けてSDGsへの取り組み方を考える発想法を提唱しています。

STEP1 自社の資産や強みを生かし、目的などをもとに、取り組む課題を選定
STEP2 企業としての成長が見込めるかどうかの検証
STEP3 相乗効果を得られる他業種・他セクターとの連携体制の検討
STEP4 17目標の10(人や国の不平等をなくそう)を基準に新たな不平等を生まないかを検証
自社のリソースを社会課題に結びつけるに当たって、17のゴール別に家庭から職場、市町村、日本や海外まで、それぞれのレイヤーでどんなことが課題になっていくか、をまとめたマップです。取り組むべき課題の発見や新しい商品やサービス、あるいは事業の開発のためのヒントにお使いいただけます。
1番目の「貧困をなくそう」というゴールでは、円の中心から例えば、家庭では 貧困家庭 、学校・職場では 賃金格差、都道府県・日本では非正規労働者の増加、 世界・地球では人口急増と、それぞれのスケールでのどのようなことが問題になっていくかがプロットされています。

持続可能な社会のためには企業そのものも持続可能、つまり企業として収益を上げていく必要があります。そのためにはSDGsに取り組んでいるけどあえて口に出さない、陰徳の美では伝わらないし、事業として広がっていきません。
インナーはもちろん、投資家や消費者など外に向けてのコミュニケーションが必要不可欠です。コミュニケーションしていくことで、新たな連携先も広がり、さらに大きなうねりになっていく可能性があります。そのコミュニケーションにおけるSDGsのロゴの使い方やSDGsウォッシュと言われないための注意点を示した「コミュニケーションガイドライン(※)」を制作して、公開しています。

サービスや事業開発、インナーやアウターに向けたコミュニケーションなどを手掛けています。今後はさまざまなステークホルダーが集まり、アイデアやソリューションをつくるための場づくりを進めます。
この他にも広告業界の動きとして、2020年からは広告電通賞にSDGs特別賞が新設されました。SDGsに関するさまざまな知見を持つ方々を審査員に迎え、広告を通じてSDGsに対する啓発や取り組みそのものを促進していくことを目的としています。
①「共創(=アライアンス)」
SDGs達成のためにはパブリックセクター(官公庁)、企業、大学、地域、NPOなどさまざまなステークホルダーがつながり、議論して、新たな何かをつくり出す、「共創」が重要です。
②「アイデア/クリエーティビティー」
どの課題のどんなところに目をつけるのか?そこで何をつくり出すのか?それを誰と組んでやるのか?どうやって分かりやすく魅力的に伝えて、人の心を動かしていくのか?そのすべてのプロセスでアイデアやクリエーティビティーが必要です。
③「持続可能なソリューション」
SDGsは2030年そしてそれ以降の社会のために設定されたものです。SDGsに関するソリューションそのものもは、「持続可能」かどうかの観点が重要となります。状況の変化に合わせてもちろん途中で見直し、より良い結果を求め柔軟に対応していくことも、同時に求められます。
来年には2020東京オリンピック・パラリンピック。そしてその先には2025年の大阪万博も開催が予定されています。日本が国際的にも注目され、情報発信していくチャンスが続きます。
何の社会課題やニーズに、どんなリソースで誰と組んで取り組むか、テストも含めて今から取り組む必要があります。SDGsという壮大な目標に向かって、皆さんの課題やリソースを持って議論し合い、新たなものを一緒につくり出し、持続可能な世界をつくっていきましょう。
何か一緒にやりたいと思っていただいた方は、ぜひteam-sdgs@dentsu.co.jpまでご連絡ください。

*電通TeamSDGs
さまざまなステークホルダーの連携を促して、SDGsに対する社会の大きなうねりを生み出すことを目指し、SDGsに関する情報発信、ソリューションの企画・開発、ビジネス支援を行っていく専門チームです。