月間500件、相談殺到のキャスティング会社…芸能事務所や広告代理店と異なる多彩な人材

 今年1月下旬、東京都内に本社を持つ会社の社長と会い、業務内容を聞いた。芸能系のキャスティングや人材紹介事業を手がけ、業績はこの4年で4倍以上に拡大したという。取り扱う案件はユニークで、後述するが創業社長のビジネス人生にも興味を持った。

 だが、間もなく新型コロナウイルスが日本国内を直撃。各企業が厳しい経営の舵取りを強いられた。通常であれば開催されたはずの「企業の発表会」や大小の「イベント」が中止・延期に追い込まれ、芸能人や文化人、エンタメ関係者も活躍の場を奪われた。春や初夏のような状況ではないとはいえ、コロナ禍が続く現在、同社はどうしているのか。9カ月ぶりに社長を取材すると、意外な展開となっていた。

 今回は、人材開発における「雇用の流動化」や「働き方改革」の視点でも紹介したい。

大型案件は減ったが、月間500件の相談を受ける

「コロナ禍で以前のような大型案件は減りましたが、小型案件が非常に多くあります。広告代理店や企業、団体、個人から月間約500件の相談を受け、約120件を実施しています」

 株式会社エイスリー(A3)の山本直樹社長は、こう説明する。山本氏が語る「大型案件」とはプロモーション予算全体で1億円超、「小型案件」は同数百万円規模だという。

 まず、近年の同社の業績と営業利益を紹介しておこう。
※売上高と営業利益
2015年9月期:2億2200万円、1000万円
2016年9月期:3億300万円、1300万円
2017年9月期:5億8600万円、7700万円
2018年9月期:9億5400万円、6700万円
2019年9月期:13億1600万円、1億1800万円
2020年9月期:14億6600万円、6700万円
(出所:同社の発表資料より)

「当社は『世界の才能をつなぐ』を掲げ、タレントや俳優、モデルから、アーティスト、アスリート、文化人、専門家、ユーチューバー、インフルエンサーなど、大手芸能事務所や広告代理店系では手が回らない、多彩な人材のキャスティングをしてきました。今期の業績は増収を確保しましたが、コロナの影響により減益となっています」(同)

 提供する人材の幅の広さも特徴なのだ。たとえば、2019年10月から展開されたマルハニチロの新企業CM「つづく、幸。バリューチェーン編」では、出演者をキャスティング。CMでは完全養殖のマグロを紹介しつつ、寿司店でマグロを握って提供する寿司職人も登場する。職人役は俳優ではなく、高級寿司店の料理長を直々にスカウトしたという。

「寿司ネタを扱うシーンはリアリティが求められるため、この手法を採用しました。エキストラやナレーターのキャスティングも当社で行っています」(同)

 本稿では、こうした人を含めて「有能人」の視点で紹介したい。

広告・キャスティングで起きた「3つの変化」

「企業」(団体を含む)と「有能人」をつなぐ業界の変化を山本氏は、こう説明する。

「相談案件の中身が変わったのが最近の特徴で、その構造変化は3つに整理できます。『(1)デジタルが主流の時代』『(2)新しいジャンルの“タレント”が急増』『(3)クライアントのニーズの変化』です。以前からの傾向でしたが、コロナ禍で一気に加速しています」(同)

 具体的に、どう変わったのか。山本氏が続ける。

「(1)は、訴求でデジタルを絡めるのが一般的となり、同じ素材でもテレビCMとウェブでは別々の切り口で制作する例が増えています。また(2)の“タレント”は、事務所に所属しないで個人で活躍する人や、インフルエンサーの取り扱い実績が豊富なUUUMのような事務所が台頭しています。(3)ではSNSを重視する企業が多く、届けたい相手に届けたい情報を、と要請が細分化されてきました」(同)

 実は今回、山本氏に会う前に筆者が気になって視聴していたのも、「UUUM GOLF」というコンテンツだった。

人気を呼ぶ「ツール」も「起用法」もさまざま

 きっかけは「最近、ゴルフ場やゴルフ練習場に若い世代が増えた」というニュースだ。情報を調べるうちに「UUUM GOLFが貢献した」という声もあり、YouTubeを視聴。UUUM GOLFチャンネルに登場する「なみき」という女性MCの存在も気になった。

 コンテンツによって内容が変わるが、20代の彼女がプロのレッスンを受けてスイングすると、飛距離やアプローチが一気に上達するという内容が多い。

「なみき」の本名は糸井なみき氏(1995年生まれ)で、UUUMの社員だ。エイスリーは同社とも取引がある。本人を知る山田愛実氏(デジタルキャスティングユニット責任者)は、こう説明する。

「学生時代にアイドル活動もした後、UUUMでインターンとして働いている時、UUUM GOLFチャンネルのMC役に抜擢されたそうです。ゴルフ経験はなく、同社社長と席が近くて白羽の矢が立ったとか。登場すると人気が高まり、現在ではユーチューバーとして活動しつつ、普段は同社で企画業務をしています」

 ゴルフ練習場で若い女性が練習していると、“教えたいオーラ”を出すアマチュア男性ゴルファーは多い。プロのレッスンを受けながら結果を出す「なみき」に、視聴しながらその思いを投影する男性視聴者は多いのではないか、と感じた。

 この例のように、出演者の起用手段も変わった。前述の寿司職人もそうだが、共通するのは「普通っぽさがあり、その役割の適任者」が求められていることだ。コスプレイヤーや筋肉自慢のようなタイプも人気を呼ぶ時代。ツールや手法も多様化している。

雑草的な活動で得た「自分の強み」

 2008年に設立し、現在は従業員47人(単体。2020年9月末現在)を抱えるエイスリーを創業した山本社長の経歴はユニークだ。独自で道を切り拓き、現在の社業に結実させた。

 兵庫県神戸市出身の同氏は、パイオニアLDC(現NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)で宣伝業務を担当。ホリプロに転職後は、アーティスト担当や同マネージャーを務めた後、IT系に移り、営業、広告開発&広告営業などを行った後、起業した。

 山本氏は「正規ルートでの就職でなく伝手を頼って求職し、芸能界とデジタルマーケティングの経験を積んできた」と話し、自身のビジネス人生をこう振り返る。

「もともとベーシストを目指し、東京の音大に入学しましたが、熱心に練習することもなく、就職活動もほとんどしませんでした。卒業後はバンド仲間の実家の沖縄・宮古島に行ったり、レコード会社でバイトをしたりの生活を続け、一度、神戸に帰省しました」(山本氏)

 転機は1995年に起きた阪神・淡路大震災で、働くことを決意。音楽業界に電話をかけまくり、アルバイトとなる。その伝手でパイオニアLDCの大阪支社で契約社員となり、東京転勤も果たした。その後、同社の業績不振でホリプロを紹介してもらい、入社し8年働く。マーケティングに興味を持ち、「価格.com」を運営するデジタルガレージに転職する。

「特別のITスキルがないので、問い合わせフォームに『働きたい!』と連絡してみたら採用。とはいえ、入社後は営業の仕事で、2年目からウェブマーケティングを学ぶことができ、さまざまな経験が増しました。振り返ると、新しい手法は好きだけど、手がけたタレントは売れなかった。『自分でできない部分は他人の力を借りる』ことも学びました」(同)

 カッコよくない部分も“さらけ出せる”のは強みで、これが大手との差別化につながったのだろう。高偏差値大学→大手企業出身では、現在の社業の発想はなかなか出てこない。

今後の課題は「リスクマネジメント」

 デジタル化が進むなかで、個人の情報収集における興味・関心も多様化した。

「若い世代は、テレビを観る感覚でYouTubeを観ています。最初は自分に興味があるコンテンツを視聴していても、再生回数1000万回超のような人気動画があると気になって訪れます。時代を超えて、昔のアイドルや生活に興味を持ったり、異色の動画にハマったり。そうした多彩な層への届け方は日々学んでいます」(山田氏)

 今回紹介したように、著名人以外の情報発信力・影響力が拡大する時代。一般人の可能性も広がるが、個人での発信が増えれば増えるほど、リスクマネジメントも重要になる。

「社会経験が少ない人には、各担当者が現場での立ち振る舞いを説明することもします。当社での教育とともに、危機管理の共有も大切。クライアントに対しては、『この場合はこんなリスクが考えられます』と、事前に説明することもあります」(山本氏)

 これまでもアイドルグループが発信前に解散して、冷や汗をかくことがあった。事例が発生すると、徹底的に対応するので対応能力も磨かれ、その良い経験・苦い経験も「知見」となる。最近は反社会的・反市場的勢力排除への取り組みも進めている。

 長年、企業や企業人を取材してきた筆者は、今後は「多くの会社員が“業務委託契約”で働くような存在」となり、「組織にいてもフリーランス意識が高まる」と感じている。

 キャスティングや人材派遣の業界にかかわらず、自社で抱えたがらない時代。「有能人」を「必要な時」に――という構図を俯瞰すると、別の未来像が見えてきそうだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。 近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

売春防止法違反・裁判傍聴記…息子の彼女(女子高生)に援助交際を強要したセレブ美魔女

 東京地裁で13時30分から「児童福祉法違反売春防止法違反」の新件(第1回公判)があった。私は被告人氏名でスマホ検索してみた。息子(高校生)の交際相手(家出女子高生)に売春をさせた母親がヒットした。ちょっと珍しい事件だ。傍聴してみよう。

 東京地裁は傍聴人が非常に多い。色情事件は大人気。女性被告人の事件も大人気だ。女性被告人の色情事件とあっては、傍聴人が押し寄せ大行列になりそう。13時ちょうどに行くと、すでに6〜7人が並んでいた。この法廷の傍聴席は20席だ。間に合った。

 新型コロナウイルス感染症で非常事態宣言が出てから、東京地裁の傍聴席は約3分の2が着席不可とされた。20席の法廷は12席に「不使用」と大きく印刷された紙が貼られ、現在も続いている。今回レポートするのはそれ以前の裁判だ。

息子の交際相手である女子高生に援助交際を強要、「お前に拒否権ねーよ」

 そばの待合室で、長身の中年男性が黒スーツのお年寄りに何か説明していた。弁護人と、被告人の父親かな? その読みは当たりとあとでわかった。法廷前の行列はどんどんのびる。弁護人は父親のために特別傍聴席(要するに取置席)を申請しているのかな?

 13時20分頃にドアの施錠が解かれるや、20席の傍聴席はたちまち埋め尽くされた。座れずに去った傍聴人もいた。立ち見は許されないのだ。それから弁護人と父親が来た。特別傍聴席はない。当然ながら父親は座れず、可哀想に出て行った。

 手錠・腰縄につながれた被告人が、奥のドアから刑務官に同行されて入廷した。鮮やかな赤色のメガネをかけ、鼻すじが通って口元はきりり。ゆったり大きめのお洒落セーター。ちゃんとお化粧すれば“セレブ美熟女”だろうと思えた。しかし犯行時は生活保護を受給していたという。

 息子の交際相手である女子高生が家出して被告人らと3人で暮らすようになり、被告人の息子は自分の服などを買うため女子高生に、検察官いわく「援助交際」をさせていた。女子中高校生の売春は援助交際と呼ぶのだ。やがて息子は「疲れるしめんどくせえ」とやめてしまい、母親である被告人が受け継いだ。「援交やれよ、やれば××区の女子校で1番の金持ちになれる」「はぁ? 何言ってんの?」「てかお前に拒否権ねーよ」、そんなやり取りがあったのだそうだ。

 公訴事実の売春は2件。その“料金”に私は驚いた。1件は4万5千円、1件は6万円。破格の高額といえる。トップアイドル級の容姿だったのか。被告人が商売上手でもあったのか。とびきり個性的な検察官と弁護人との間で非常に興味深いやり取りがあったが、省略しよう。今回のレポートで是非お伝えしたいのはそこじゃないのだ。

傍聴人がなだれ込み、傍聴席からはじき出された被告人の父

 1カ月半後の16時30分、その判決期日があった。16時5分頃に行くと、すでに行列があった。私は8番目だった。さらに6人ほどまとまって行列に加わり、さらに……。16時11分には、傍聴席数と同じ20人になった。そんなことを、腕時計を見ながらいちいちメモする者は、私以外にいないかもしれない(笑)。

 16時12分頃、そばの一般待合室から黒スーツのお年寄りが出てきて、行列の後ろについた。被告人の父親だった。今回は弁護人は特別傍聴席を取っているんだろうか。取っていなければ父親はまた傍聴できない。弾き出される。16時18分、ドアの施錠が解かれるや傍聴人たちが雪崩れ込んだ。特別傍聴席はなく、たちまちぎっしり満席。座りきれず、傍聴席の後ろでうろうろする者が何人もいて、そのひとりが父親だった。

 それから弁護人が来た。父親のほうを見もしなかった。ドアのそばに若い可愛い女性事務官がいた。父親は事務官に「ダメ、ですか?」と言い、寂しげに出て行った。この父親を間抜けだと責めることはできない。善良な一般人は、色情事件で被告人が女性だから傍聴人が押し寄せるとは想像もしないだろう。押し寄せたがゆえに被告人の父親が閉め出されるとは、想像もしないだろう。ちなみに、検察官側と弁護人側の傍聴席の前列端っこの前、バーのところに「関係者が来た場合、この2席は関係者に譲ってもらいます」という趣旨の小さな貼り紙がある法廷も見かける。が、この法廷にその貼り紙はなかった。

 事務官がバー(傍聴席の前の柵)の中に入り、書記官と何かひそひそ話した。書記官は奥のドアの向こうへ行った。ははぁ、父親をなんとか傍聴させられませんかと、裁判官にお願いに行ったのだな? 身内のために折りたたみ椅子をひとつ運んで特別に席を設けるシーンを、私は過去に一度だけ目撃したことがある。

「弁護人には来所を伝えてあった」と、被告人の父

 開廷時刻が迫り、奥のドアから手錠・腰縄の被告人が入廷した。まだ勾留されているのだ。あざやかな水色の長袖シャツ、あれはブランド物だろう。ちゃんとお化粧すればセレブ美熟女だろうと、つくづく思えた。

 間もなく書記官が戻り、弁護人に何か告げた。「裁判官に確認したのですが、特別傍聴席の申請がなかったので……」と聞こえた。開廷表によれば、この事件の担当は関洋太裁判官だ。ネットで経歴を調べると、判事補時代に最高裁刑事局で勤務したこともあるエリートだ。エリートらしい判断だと私は思った。いや、皮肉ではまったくない。

 しかし、くっそう! 私は傍聴席から立ち上がり、席に鞄を置いて廊下へ出た。一般待合室の入口のところに父親が所在なさげに立っていた。私は声をかけた。

「お父さんですね? 今日来ると弁護人に言ってあったんですか?」

 言ってあったと父親は答えた。いかにも純朴なお年寄り、という感じだった。

「そうですか、困ったもんですねぇ。こうなることはわかりきってるのに。私が(席を)替わりますから」

 私は父親を傍聴席へ案内し、鞄を取り上げて父親に席を譲った。判決は執行猶予付きに決まっている。その理由として裁判官は何を述べるか聞きたかったが、父親が娘の判決を見届けるほうが意味深いだろう。法廷を出る私に事務官がそっと会釈した。

弁護人と検察官の、わかりやすい“力量の差”

 東京地裁は異様なほど傍聴人が多い。色情事件や被告人が女性の事件は大人気。場合によっては20席の法廷に40人、50人が行列をつくる。しかし弁護人はまったく知らん顔。家族が傍聴できないことは、これはもう”東京地裁あるある”だ。

 一方、検察官はそのことをよく承知しているからだろう、検察官席の側に特別傍聴席が2席設けられていることはよくある。そしてその2席は多くの場合、最後まで無人だ。被害者やその関係者に「○日○時から裁判があります。もし来られるならどうぞ。席を取っておきます」と連絡する、そんな感じなんだろうか。弁護人と検察官の、これはわかりやすい力量の差といえるのかどうか、さらに裁判傍聴を重ねていきたい。

(文=今井亮一/ジャーナリスト)

●今井亮一【いまい・りょういち】
交通ジャーナリストとして著書多数。初めての裁判傍聴は1980年頃。2003年から交通以外の裁判も傍聴し始め、いわゆる裁判傍聴マニアに。メールマガジン「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」を週3号発行。

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インサイトは“聞く”より“狩る”時代へ。「ソーシャルハンティング」のすすめ

「アウトサイド・インサイト(※)」といわれるように、ソーシャルメディアには生活者の本音があふれています。その本音をプランニングに活用しない手はありません。従来のソーシャルリスニングでは見逃してしまう、今後大きな関心事となる兆しやインサイトを“捕獲”する新たな手法「ソーシャルハンティング」と、その活用法を紹介します。

※=アウトサイド・インサイト
ヨーン・リーセゲン氏の著書タイトル。個人や企業・組織がオンライン上に残すあらゆる活動の痕跡(データ)は外部に現れる貴重なインサイトという意味。
 

ソーシャル分析の新しい手法「ソーシャルハンティング」とは?

ソーシャルメディアにあふれる投稿の分析は、ソーシャルリスニングが一般的です。投稿量や話題になったツイートの拡散量、ポジ・ネガの受け止められ方、関心の高いトピックスなどを定量・定性の面で分析します。

こうした分析では、量的多数を捉えることで、話題の拡散傾向や要点を抽出することができます。しかし、投稿量が少ないと、今後大きな関心事となる兆しがあっても見逃す可能性もあります。それを補うため「ソーシャルハンティング」という手法を、電通パブリックリレーションズと企業広報戦略研究所(電通PR内)で共同開発しました。

ソーシャルハンティング

ソーシャルハンティングとは、ソーシャルメディア上から、企業や商品のコミュニケーションに役立つツイートを「捕獲」(ハンティング)するという意味から名付けた造語です。声の多寡ではなく、声の内容に着目し、“感情が発露している”あるいは“トレンドの兆しを感じる”ツイートを捉え、企業や商品のコミュニケーションに生かすアプローチ手法です。

マス情報として存在していないイシューやトレンドの発見につながるため、企業は情報発信主体者としての先行者利益を獲得できます。つまり、ソーシャルハンティングでは、量的多数の分析では見えなかった背景や、生活者のインサイトに迫り、取り組むべきイシューを発見できる可能性があるのです。

本来、「イシュー」とは社会的環境や政治的背景などに紐付く、長い時間をかけて解決する大きな課題として扱われることが多いようですが、今回は個々人の不具合を感じる生活者視点の課題として設定しています。自社製品やサービスでイシューの解決を図るようなプランニングができれば、より多くの共感が得られます。

捕獲したインサイトから訴求ポイントを決める

ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニーでは、目に入る光の量を調節する機能を持つ調光コンタクトレンズの訴求切り口を模索していました。

生活者がクリアな視界でいたい時を探ると、試合観戦やライブなどのイベント前にはブルーベリーサプリメントなどを摂取する行動が見て取れました。

ファンとして強く応援する対象を、いわゆる「推し」と表現しますが、この「推し事」(推しを追いかける活動)をしている人の間でも、そのような行動が顕著に表れています。さらに深掘りをしていくと「推し」をクリアに見るためにコンタクトデビューをする、駆け込みで眼鏡の度数を調整するなどの行動が見られ、視界のコンディション調整をいとわない姿が浮かび上がりました。

そこで推しを一瞬でも見逃したくないのに、「いつも通りの視界では限界がある問題」を生活者サイドのイシューとして設定。そのイシューに共感する生活者とのコミュニケーションのコアに「#推し見逃さない」を打ち出し、潜在的なニーズを浮き彫りにすることを狙いました。

ジョンソン&ジョンソンポスター事例

インサイトに迫る効果的な方法~7つの鬱憤 WARPATH~

ソーシャルハンティングによってインサイトに効果的に迫る方法を、電通PRと企業広報戦略研究所では体系化しています。Twitterに本音として表れやすい、現状に対する不満を「7つの鬱憤 WARPATH」として整理し、鬱憤にまつわるワードを掛け合わせてツイートを検索します。「WARPATH」は「Want=欲求」「Anti=反感」など7つの感情の頭文字を表しており、「Want=欲求」であれば、「したい」「ほしい」「したくない」などのワードを掛け合わせて検索します。

7つの鬱憤 WARPATH

例えば今夏は「マスク日焼け」が心配されました。実際に、5月17日にYahoo!ニュースでは「夏場『マスク日焼け』起こる?」という記事が掲載され、Twitter上でも「マスク日焼け」の投稿が活発になっていました。

しかし、遡ってみると3月から「マスク日焼け」に関する投稿は少数ながら生まれています。「WARPATH」の「Awful=悲観」を使うと、「マスク」「夏」「怖い」のキーワード検索で「マスク日焼け」に関する投稿が3月時点でヒットするのです。この発見を足掛かりに深掘りしていくと、「マスク日焼け」を心配する投稿がさらに見つかり、共感性が高いことが予想できます。このように、メディア起点で話題になる前から、イシューの兆しは捕獲(ハンティング)することができます。

マスク日焼け

withコロナの状況では価値観が変化しやすく、それゆえにイシューも起きやすいといえます。例えば、若者の結婚観として「婚約・結婚指輪や盛大な披露宴にコストをかけるよりも、将来の見通しが不安だから投資に回したい」という兆しも浮かび上がっています。

また、ソーシャルハンティングでは既存の商品やサービスに対する意外性のある声を探すこともできます。「グラノーラ」を例に挙げると、「Problem=困難」を使うことで「おなかが弱い、あるいは冬の朝は寒いから冷たい牛乳と一緒に食べられない」「温かい牛乳をかけて食べる」といった「食べ方の工夫」に関する投稿が発見できます。

視点を変えて「Want=欲求」で「したくない」を掛け合わせて検索すると、「雨の日だからコンビニに行きたくなくて、グラノーラで食事を済ます」という「雨の日×グラノーラ」に関する投稿や「適正量ではないが、どんぶりいっぱいのグラノーラでおなかを満たしたい」という「どんぶりグラノーラ」に関する投稿も見つかります。

このように、同じテーマでも鬱憤の視点を変えると、違うインサイトやイシューの兆しが見えてくる場合もあります。

グラノーラ

ソーシャルハンティングで「世の中視点」のイシュー設定を

企業や商品の中には、自分たちが取り組むべきイシューを適切なサイズ感で設定できていないところもあるように感じます。大き過ぎるイシューを設定し、世間が自分ゴト化しづらい場合や、逆に自社ができることだけに意識が行き過ぎて、世の中の問題意識とズレている場合などです。

だからこそ、一方的な「企業視点」でなく、企業も生活者も自分ゴト化しやすい「世の中視点」のイシューを発見・設定するために、ソーシャルハンティングを活用してみてはいかがでしょうか。
 

菅首相が所信表明演説で安倍前首相並みの嘘とゴマカシ!「温室効果ガスゼロ」の影で原発推進を宣言、再稼働だけでなく新増設も

 本日、ようやく臨時国会が召集され、菅義偉首相による所信表明演説がおこなわれた。そもそも、首相就任から所信表明が1カ月以上もおこなわれないということ自体が異常事態だったが、その所信表明で菅首相はすっかり聞き飽きた「私は雪深い秋田の農家に生まれ〜」という立身出世話をまたも披露...

ドコモ新テレビCMシリーズ第1弾 なじみのキャストが先生役で登場 5G対応のiPhone12を持っていたのは!?

NTTドコモは10月23日から、星野源さん、長谷川博己さん、新田真剣佑さん、橋本環奈さん、浜辺美波さんをイメージキャラクターに起用した新テレビCMシリーズの第1弾「先生、5Gって知ってる?」編を放送している。

ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」

同シリーズでは、人と人とのつながりが見直されつつある世の中で、最初につながりが生まれる学校、そして先生に着目。今作は、新たな日常をより豊かなものにする5G、そして5G対応のiPhone12発売への期待感をシンクロさせて描く。
これまでもドコモのテレビCMに出演していたキャスト5人全員が先生役を演じ、職員室を舞台に繰り広げるストーリーだ。

ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」

CMは5Gについて、橋本先生(担当:保健室)が話題を切り出すところから始まる。
興味津々の浜辺先生(数学)と新田先生(英語)が会話に参加する中、長谷川先生(化学)は「新しければいいってもんじゃない」と否定し、新田先生はその考えは時代遅れだと対立。一触即発のムード…と思われたところに割って入ったのは、「ワクワクしちゃうけどな~」と5Gに期待を膨らませる星野先生(国語)。
「なんでも新しければいいってもんじゃない」と意見を曲げない頑固な長谷川先生だったが、かかってきた電話に出る姿を見て、4人はびっくり!長谷川先生が持っていたスマートフォンは5G対応のiPhone12だった。
あぜんとする新田先生らに続き、「それ、一番新しいやつ」と皮肉交じりの笑顔で畳み掛ける星野先生。長谷川先生は急に態度を変え、「ここは最新でしょう」と開き直りながら、4人の先生と仲良く生徒の待つ教室へ向かう。

ドコモ新テレビCM「先生、5Gって知ってる?」
現在、学生のゴールロス(本来体験するはずだった青春が失われている状況)が社会問題となる中、CMでは、バーチャルながらも舞台を「学校」とすることで学生や世の中の気持ちに寄り添いたいという趣旨で企画された。
特設サイトと、オフィシャルSNSでは、先生たちの仲の良さや、各キャラクターの個性をさらに楽しめる全5編のウェブ動画を、同日から順次公開する。

若かりし頃のGoogle、Facebook創業者も受賞した、知る人ぞ知るテックメディアのアワードが日本初上陸

若かりし頃のGoogle、Facebook創業者も受賞した、知る人ぞ知るテックメディアのアワードが日本初上陸

この連載では、マサチューセッツ工科大学の会報誌から始まり、100年以上の歴史を持つメディア「MITテクノロジーレビュー」日本版とタイアップ。同誌が展開する世界的なアワード「Innovators Under 35」が日本で初開催されることを期に、若年層にフォーカスしながら「社会はテクノロジーとどのように向き合うべきか」という問いを考えていきます。

第1回は、同誌を運営する角川アスキー総合研究所の小林久編集長に、ソリューション開発センターの笹川真氏が話を聞きました。

テクノロジーの光と影、どちらにもスポットライトを当てる

笹川:MITテクノロジーレビュー(以下、MITTR)のことは知らない読者もいると思います。まずはどんなメディアか教えてください。

小林:日本ではまだ歴史が浅いですが、1899年に米国で創刊し、今年で121周年を迎えています。もとは名前の通りMITの同窓生向けに発行されていましたが、1990年代後半から一般にも発売されるようになりました。

笹川:角川アスキーが関わるようになったのはいつからですか?

小林:私たちが日本語版の権利を得て創刊したのは2016年です。すでに、Amazon創業者のジェフ・ベゾスが宇宙に投資したり、Googleが不老不死に数十億ドルかを出す話があったり、いわゆるIT長者たちが「IT以外の分野」にどんどん投資をしている時でした。

ただ日本を見ると、投資額も、メディアの露出も、「テクノロジー=IT」の話に偏っている風潮がありました。アスキーも30年以上、ITに特化してメディアをやってきたものの、海外では「IT以外のテクノロジー」にもお金が集まり、新しいイノベーションが生まれている事実に、もっと目を向けるべき、という思いがありました。

MITテクノロジーレビューが扱うのは「エマージング・テクノロジー」であり、技術が現代社会やビジネスにどのようなインパクトを与えるかです。具体的なところでは、医療や資源開発といった広い意味での社会問題をテクノロジーでどう解決していくかをテーマにしています。

笹川:米国版の翻訳記事は読み応え十分ですよね。前述された、カバー領域をITの外にまで広げたことも編集方針の1つだと思うのですが、いわゆるテックメディアとの違いについて意識されている点はありますか?

小林:大きく3つあると思っています。1つは今お話したカバー領域の広さです。2つめはそれにも関係しますが、テクノロジーが生み出す社会的なインパクトに目が向いていることでしょうか。最近ですと、「なぜ今『AI倫理』の議論が必要なのか」という記事を公開したのですが、何かの技術が社会で活用されることによって、どんな影響があるのかを考えてもらうような視点を提示しています。

また、AIに限らず、最先端のテクノロジーは専門誌や学会誌を読んでも一般の人にはテクノロジーがどう役立つのか分かりません。日々変わっていく社会とテクノロジーの関係性を、いかに企業経営に反映させればいいのか、どんなビジネスが生み出せるか、といった問いを読者が立てやすいように編集しています。

笹川:テクノロジーの話を、一般の人への橋渡しする役割を編集部が担っているんですね。

小林:ただ、テクノロジーのニュースは分かりやすくしようとすると、どうしてもプロダクトやサービスの話になりがちです。そこであえてMITTRではガジェットニュースをほとんど扱っていません。社会とテクノロジーの関係性を明らかにすることが編集方針だからです。

笹川:そして最後。3つ目は?

小林:テクノロジーを礼賛するのではなくて、客観的に「光と影のどちらにもスポットを当てていること」でしょうか。日本のメディアは、「新しいもの=すごい」という盛り上げ方をしていくのが特徴だと思うので、その点は大きく異なると思います。当然、私たちもテクノロジーの可能性を信じてはいるものの、同時に、その怖さも理解しています。だからこそ、前のめりになりすぎないように心がけています。

例えば、ディープラーニングは顔認識技術に用いられていますよね。顔認識技術は便利ですが、実在する人の顔がクラウド上で流通することはプライバシーの観点で懸念がありますし、さらに、肌の色によって認識精度に差があることも分かってきて、新たな人種差別につながると欧米では数年前から問題になっています。それを受けてIBMからは、今年6月、顔認証製品の開発を停止する発表がありました。

笹川:忖度なく負の側面も伝える。MITTRが多くの企業の経営者や新規事業担当を中心に支持されているのも納得できます。そして、中立の立場であるための論拠として、アカデミックな視点も数多く披露されていますよね。

小林:大学など研究機関の動向、政府の法規制などに対する、社会の反応を扱うことが多いです。その時MITを特別扱いせず、他大学の研究成果も扱うことも特徴です。

笹川:小林編集長に推薦いただいた、マイク・オルカット記者のブロックチェーンの記事カレン・ハオ記者の人工知能の記事は、読み応えありました。

社会変革をメディアが後押しするために

笹川:①カバー領域がITの外にもある、②テクノロジーの世の中をどう変えるのか、どんなインパクトを与えるのか冷静に分析する、③テクノロジーを礼賛せずその光と影どちらにもスポットを当てる。こうした編集方針を知ると、単に目新しい情報を報じるのではなく、メディアとして社会の前進にフォーカスしていることが分かりますね。

小林:日本版はまだ歴史が浅いのですが、スタートアップにコミットしたり、産学の垣根を低くしたりして、テクノロジーが世の中にインパクトを与えるサポートをしたいと思っています。そういう意図で、これまで3年間で大小数十回のイベントを開催しています。そして今年、米国で一定の認知度を獲得している「Innovators Under 35」という賞を日本でローンチさせます。

笹川:特に米国など、世界的に見ると「Innovators Under 35」は権威ある賞として認知されていますよね。日本版の開催には読者として楽しみにしていますが、どのようなプロセスでノミネートを行うのでしょうか。

小林:「Innovators Under 35」は毎年、テクノロジーによって社会の変革に貢献する35歳未満のイノベーターを表彰しています。マサチューセッツ工科大学(MIT)のキャンパスで発表されるグローバル版が1999年にスタートし、それに加えてアジア、中国、欧州、インド、ラテンアメリカ、MENAのローカル版が開催されてきました。日本では世界で7番目のローカル版として開催されます。

笹川:アワードの特設サイトで過去の受賞者を閲覧できますが、その顔ぶれが豪華ですね。

小林:賞金があるアワードではないのですが、選ばれた人がのちに大成しているケースは確かに多いですよね。

過去の受賞者を少し挙げると、2002年にGoogle創業者のセルゲイ・ブリン、2007年にFacebookのマーク・ザッカーバーグ、2008年にTwitterのジャック・ドーシー。Appleでデザインを担当しているジョナサン・アイブや、ルンバで有名なiRobotの共同創業者ヘレン・グライナー。

Innovators Under 35 過去の受賞者
笹川:それぞれの受賞時期を見ると、目利きとしてこの賞がしっかり機能していますね。

小林:海外では実際にそういう認知を得ているようです。日本版も同様の評価が得られるよう、盛り上げていきたいですね。2020年度は9月1日から10月31日までの募集です。自薦・他薦の両方で候補者を受け付けています。

Innovators Under 35 Japan 2020年度の募集要項
笹川:驚いたのが、日本での10名の受賞者は、グローバル版にもノミネートされるんですね。審査基準もグローバル版と同じなんですか?

小林:はい、共通の基準で選考します。テクノロジーのメディアが主催する賞なので、プロダクトやサービスをつくっている人が応募しやすいかもしれませんが、審査は「テクノロジーで社会にどんな影響をもたらしたか」を評価します。つまり、社会を変える行動をした人も対象となることを意味しています。

たとえば2018年にヘラ・フセインという受賞者がいました。彼女は家庭内暴力に困っている人のための法的手続きをインターネットで簡単にできるサービスの構築で受賞しています。他にも、女性問題、政府の検閲といった社会課題に対して、テクノロジーを活用して解決を試みた受賞例がいくつもあります。

笹川:必ずしも最先端のテクノロジーでなくても、テクノロジーを活用して、社会の難題に取り組んだ人を表彰する賞なのですね。

Innovators Under 35 Japan 2020年度の審査員

小林:少しずつ、審査員も決定してきました。日本を代表する方々に引き受けていただいてうれしいです。グローバル版と同じ審査をして、審査員の方々からのフィードバックまで入っているので、ぜひご応募いただきたいと思います。

アンダー35世代の「テクノロジーとの付き合い方」

笹川:Innovators Under 35 は、世界で8カ国目の開催、日本での初開催になりますが、どのようなテクノロジーや受賞者に出会えるのか、今から楽しみですよね。

小林:2020年の日本のアンダー35は、1985年以降なので昭和末期から平成初頭に生まれた方々、バブルが終わって経済不況の間に育った世代なので、海外に積極的に出ていこうとよりも「日本の中でやっていこう」という内向きな志向があるように思います。

一方で、各世帯では少子化が進行した世代でもあります。余裕があって物質的には不自由なく育ってきた世代とも言えます。だから競争の中で何かを勝ち取っていくというより、今あるものの中でどうするかにフォーカスする傾向が見受けられます。「社会に何が還元できるか」とか「自分がすべきことは何か」とか、働くモチベーションも物質的な豊かさではない方向に大きく変化していますよね。

電通イージスネットワーク調査「テクノロジーは世界をより良いものにできるか?」
電通イージスネットワーク調査「テクノロジーは世界をより良いものにできるか?」(図表:statista

笹川:テクノロジーの文脈で見ると、ある調査では「テクノロジーが世界をよくする」と答えたのが日本ではわずか22%で、先進国と言われる国の中でも低すぎるように見受けられます。

小林:大きくは満ち足りている社会で、新たにテクノロジーが何か解決する領域が少ないと感じているのか。そもそもテクノロジーに関心がないのか。

笹川:このデータだけでは結論づけることはできませんが、次回の連載で、特に35歳未満の社会やテクノロジーに対する認知を35歳以下の後輩も交えて、探ってみたいと思います。

小林:ちなみに、海外、特に新興国は外向きですよね。少し前だと、エストニアという小国がSkypeで世界に打って出ていきました。他にも、テクノロジーの活用法として良い例とは言えませんが、マケドニアの人口5万人程度のヴェレスは「フェイクニュース工場」として有名になりました。何もない田舎町から数百名もの若者がフェイクニュースで大きな富を築きました。テクノロジーを活用した、外向きのアクションだといえます。

笹川:マケドニアの事例はたくましいですね。

小林:特に2000年以降はインターネット全盛の時代で、世界がつながり、海外に出て行く機会が増えました。残念ながら、日本はそのチャンスを十分に生かせなかった。そういった意味では、Innovators Under 35という賞を、日本の新しい才能を世界に発信する場になればいいなと思っています。

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日本で初開催。MITテクノロジーレビューが選ぶ、未来を創る35歳未満のイノベーターを発掘する「Innovators Under 35」の詳細はこちら

イノベーションのカギは“関係者”にあり。応援で社内変革を促すアクセラレーター

イノベーションのカギは“関係者”にあり。
「辞めるか、染まるか、変えるか。」と題した本連載では、大企業の変革にまつわるテーマのイベントを通じて、新しい「大企業の可能性」を探ってきました。第3回からは、ONE JAPANに加盟する有志団体の所属企業の中から、大企業の変革に挑戦した事例をピックアップし、その当事者へインタビューする形式で、「大企業の可能性」について考えていきます。
大企業の若手・中堅社員を中心とした企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONE JAPAN

 

インタビューしたのは、リコーの事業共創アクセラレータープログラム「TRIBUS」を運営する大越瑛美氏。新規事業では先頭に立つ人が目立ってしまいがちな中で、それを「応援すること」の重要性について体験談をもとに語ります。

電通若者研究部としてONE JAPANに加盟する吉田将英が聞き手となり、「会社を変えたい」と願う若手社員へのヒントを探りました。

「会社を良くしたい」の原点

「会社を良くしたい」の原点
イラスト:中尾仁士(DCRX)

吉田:早速本題に入っていきたいと思いますが、そもそも今回の大テーマである「大企業が抱える病」とはどんなものだと捉えていますか?

大越:「企業は人なり」という名言がありますが、病も人なりだと思います。自分の環境や立場に対して、何もアクションを起こさずに不満を言う社員って、大企業にいる人であれば誰かしらが思い浮かびますよね。そのような人を見ると「大企業病だなあ」と思います。自分の力不足や境遇を嘆きながらも、給料をもらって会社に生かされているということに気づいてない状態ともいえます。

私はリコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS」の事務局をしていますが、エネルギーを持って取り組んでいるようにみえる人にも自分の力不足を他責にする人がいます。何を隠そう、私もその一人でした。

自分のチャレンジしたいことを会社に提案しても受け入れてもらえず、「なんで理解してもらえないんだ」と思ったりして。それが積もっていくと、会社に対する不満になっていきました。今振り返れば、私が上司や経営層を説得させるほど行動していなかったし、どうすれば実現できるかを突き詰めて考えきれていませんでした。

吉田:自分の力不足に気づかず、「会社が悪い」とか「経営層が悪い」と他責にして、そこで一種の諦めにたどり着いてしまうパターンは、誰しも通る道かなとも思います。それを大越さん個人として、会社としてどのように変化していったのか、ぜひ聞かせてください。

大越:私はTRIBUSに関わる前から、会社や組織に対しては感じたことを発言するタイプでした。最初は入社2、3年目のころです。営業部門としてコピー機を売っているのに、コピー機がどのように作られているのかなど、社内のことを何も知りませんでした。

同じ営業部門の先輩方と生産現場など社内の部署に話を聞いて回って、そこで見聞したことを営業活動に生かすために上司に提案したり勉強会を開いたりしていました。そうした活動を続けるうちに、社内から「新規事業の検討のための若手の意見を聞きたい」という声がかかるようになりました。そこから徐々に現在に近づいていくのですが、この時期が原点だった気がします。

吉田:大越さんとはONE JAPANで初めて出会った時から、とにかく「会社を良くしよう」という気持ちが原動力になっていると感じていました。今の話もそうですが、そういうマインドセットになったきっかけは?

大越:それも営業部門のころでしたが、最初はコピー機を売ることが世の中への貢献になる実感がなかったんです。特に私が担当していた法人営業は、販売台数は多いものの利益率が低いこともあり、自分の役割に疑問を感じていました。でもある時、先輩から「営業がコピー機を売ることで、メーカーとして自社の雇用維持につながる」と言われて腑に落ちたんです。

大きい会社で働いていると、業務を通して、自分が世の中に役立っていると実感する機会は少ないと思います。私の場合は、先輩の言葉でコピー機を売ることで工場にいる社員やその家族など、「顔の見える人のために役立っている」という実感が湧き、みんなが働いているこの会社を良くしたいと思うようになっていきました。

吉田:異動されてからは順風満帆だったのですか?

大越:もちろん苦労はありました。営業の次は360°全天球撮影できる「RICOH THETA」(リコー・シータ)という新規事業の部署に異動しました。チームの人数が非常に少なく、マーケティングや広報など、一人で複数の役割を担当せざるをえませんでした。ちょうど電通からの依頼でしたが、あるイベントの相談があって3日で実施にこぎつけたこともあったり(笑)。営業の頃とは全く違う仕事で大変だったのですが、スピード感と裁量がありワクワクして仕事に取り組むことができたことを覚えています。

その後は希望を出してオープンイノベーションで新規事業をつくる部署に行きましたが、アクセラレータープログラムの立ち上げと同時に、経営企画本部に来ました。

TRIBUSが立ち上がったきっかけは、役員と現場社員の間で行われた対話会です。そこで挙がった数百もの意見やアイデアを分析しまとめた結果、「やりたいことがやれない・挑戦する環境がない」という声が非常に多くでてきました。ならば、まずは事業そのものではなく挑戦できる場をつくろうと経営層が判断し、「アクセラレータープログラムによる新規事業の創出」が経営施策に盛りこまれました。

まだ見ぬ可能性の発掘に欠かせない「応援者」の存在

まだ見ぬ可能性の発掘に欠かせない「応援者」の存在
イラスト:中尾仁士(DCRX)

吉田:自分の経験も踏まえて感じるのは、会社のオフィシャルなプログラムは最初の着火点が燃えるかくすぶるか二分すると思います。起業したほうが早いんじゃないかとか、「うまくいかないんじゃないか」という声とか、そうしたことにどう立ち向かったのですか?

大越:実は当社には1990年代から新規事業創出プログラムがあったのですが、それをポジティブに捉えると、やりたいことは基本的に応援してくれる空気がある会社だといえます。もちろん具体的に支援してもらえるかどうかは提案内容によりますが、スタンスとしては肯定的というか。私も、やりたいことがあり異動の希望を出したら受け入れてもらったりしていて、それを感じていました。

その意味では、今回のTRIBUSも応援してもらうと同時に、まだ声を上げていないけど「やりたい」がある人を応援するプログラムでありたいなと思えたんです。

吉田:たしかに個の思いの強さは大事ですが、サポートのほうが得意な人もいますよね。「人のwillを叶えることがwill」というか。「やりたいことをやれ」というのは、ともすれば“willハラスメント”ではないけど、全員にやりたいことを描かせすぎているかもしれません。人のwillを遠くに飛ばすとか、willどうしをつなげるとか。どうしてもファーストペンギンだけが評価されがちですが、そうじゃない側面もあると気付かされます。

大越:一方で、手を挙げてくれる人はもう辞めてるよ、と最初に言われたりもしました。たしかに、応募してほしいと顔が浮かぶ先輩後輩は辞めていることが多い。結果としては、顔を知らなかったけど思いを持っている人にも出会えて、それが会社のオフィシャルなプログラムとしてやって良かったことです。個人のつてでたどれる人を一本釣りするのではなく、機会が平等にあることで出会える可能性があったなと感じています。

中には何年も温めてきた企画や、すでに退職しているなかでチームとして一緒に提案してくれた企画もあったのはうれしい誤算です。会社として門戸を開いていれば、人のWillは発酵されて必ず形になるのだな、と。

吉田:自分からはなかなか行動できないな、という場合にはサポーターとしての活躍の場も用意したことに加えて、きっかけがあると出てきてくれる人を発掘したのが大越さんたちの成果ですね。性善説で会社や同僚を信じてみることも必要なのかなと思いました。ちょっとした使命感や自尊心に火を付けるだけで、人って変わるのかなあと。

仮に新規事業案を持ち込んでくれる“当事者”が5%しかいなくても、応援者が80%いれば85%。ぼくらはどうしても5%の少なさにフォーカスしてしまいますが、アクセラレータープログラムにはいろいろな入り口やかかわり方あっていいですよね。

「じゃない」側面を大切にすることが変革のカギ

「じゃない」側面を大切にすることが変革のカギ
イラスト:中尾仁士(DCRX)

吉田:アクセラレータープログラムを始めて、会社の雰囲気は変わりましたか?

大越:2019年度の成果発表会(聴衆を集めて新規事業案をデモンストレーションする会:Ricoh Investors Day)の参加者にとったアンケートでは、「会社の雰囲気が変わってきた・すでに変わった」と回答した人が80%を占めました。そのため、プログラムになにかの形で関わっている人の意識は変わってきている実感があります。

とはいえリコーには国内社員が3万人いるので、まだまだ周知が必要です。プログラムに関心を持ってもらったメンバーでチャットのバーチャルコミュニティをつくっているのですが、メンバーが1000人ほどです。まだ30分の1ほどですが、関係者を今後どんどん広げていきたいと思っています。

私自身がうれしかったのは、去年の応募者が、同僚にTRIBUSを自分ごととして紹介してくれているのを偶然社内で目かけたことです。参加して良かったと思ってもらえていることが実感できた瞬間です。

吉田:少し話を戻すと、発端には経営層が社員の声を聞こうと思って実際に意見を集めたことですよね。「なんでもいいから話してよ」という歩み寄りができる経営陣は珍しいんじゃないかと思います。

ポジション的に偉いのもそうですが、忙しさもあって「結論は?」「何の話?」と悪気がなくてもなりがちで、社員と議論するのは案件化している事案についてだけだったりすることもあります。

大越:本当に議題がなかったので、取りまとめた人事は大変だったと思います。それでも経営層は何回も登場していて声を集めていた。その中でトップでしか反映できない声、経営層でなくてもできる話を分けて、経営企画としてアクセラレータープログラムを主導したという流れです。

吉田:今回のポイントだと思ったのは、「じゃない側」の話が大事だなと。決まったアジェンダ「じゃない」ほうを大事にしたり、起案する立場「じゃない」人がどういうスタンスを意識したり。優秀な人だけが集まってべき論を突き詰めるのとは違う、良い柔らかさがありますね。

大越:もう1つのポイントだと思うのは、TRIBUSでは意思決定が事務局に任されていたことです。経営陣直下のプロジェクトでありながら、誰かを説得せずに決められるのが良い方向に転びました。事務局に意思決定が任されていたので、アクセラレーター期間中は、提案してきた事業リーダーやチームの意思を尊重する環境を事務局としても用意できたと思っています。

吉田:共依存というか、自由と責任の難しさはどの組織でもありますよね。若手は自由度を求める一方で、成果が出るかどうか不安がある。それを回避するために、「上がうるさいから」と言いつつ、結局上司に決めさせて意思決定の依存をしている。上司は上司で当事者がいると思っているから、意思決定をしたというよりも「ちょっと意見した」くらいにしか思っていないこともあります。

でも意思決定を任せたと最初から公言されていると、受け取る側にも責任と度量が問われるので、良い関係だなと思います。

大越:不安になる人は不要な上申をしたりして、「そんなの聞いてこなくていいよ」となるケースはたしかにあるかもしれませんね。上司もさじ加減が難しかったと思いますが、口を出さずに見守っていてくれたのはありがたかったです。

個のwillの集合体=大企業

個のwillの集合体=大企業
イラスト:中尾仁士(DCRX)

吉田:大越さんはいま入社して12年です。スタートアップなどに転職するといわゆるC職(CFO、CMOなど各部門トップの役職)を担っている人もいると思いますが、大企業ではまだ若手といわれることもある年次です。いろいろな選択肢がある中で、転職せずに大企業、あるいは今の会社で働き続けることの何が価値だと感じているかを知りたいです。

大越:社内では「Why Ricoh?」という言葉が飛び交っています。現在のリコーの主力事業はオフィス向けの画像機器を中心とした製品・サービスですが、新型コロナウイルスの影響により会社に行く機会が減り、お客様のプリント出力量は減少しました。入社した2008年を思い出すと、このときもリーマンショックでコピー機に「使用禁止」の張り紙があるお客様も見てきました。そうした意味で、自分たちの存在意義とは何か、という問いには向き合い続けています。

質問の答えになるかわかりませんが、アクセラレータープログラム後の社長の総評で「ポストモダニズム時代の新しい会社の形態」という一言がありました。これは「社員がそれぞれやりたいことをやっていて、結果としてそれが会社になっている」という意味です。個々が実現したいことをできていて、組織として成り立っていれば、それも一つの形かなと思います。そうした環境を「応援者」として実現していくことが、自分のやりたいことにもリンクしているので、それがまだリコーにいる意味の一つです。

吉田:「行く先」と「あり方」ですよね。リコーの行く先には、社員の幸せや雇用を守ることがあると思います。破壊的イノベーションがさけばれる時代でも、破壊のベクトルを間違えるとおかしなことになりかねません。だから行く先は同じでもあり方を変えるというのは大切ですよね。会社によっては、行く先を変えるけどあり方を守るパターンもあって、それを見て「大企業はダメ」だ、と脱藩する人もいる。

あり方を編集するスタンスがあれば、豊富な資源を新しい形に変えて、同じ方を目指すこともできます。おもちゃのブロックみたいに、一度ばらして組み直せば全然違うものができる。そう思えると、大企業を捨てたものじゃないと思えるし、可能性があるんじゃないかと、当事者として感じます。

大越:アクセラレーターとか事務局っていうと、優秀でやる気のある人に成功事例を立てていくように見られてしまいがちですが、潤滑油としての役割という方が近いと思っています。新規事業だけではなくて、みんなが思っていることを受け止めて翻訳する役割だなと。

たとえ現在の職域では思うように評価されなくても、新しい領域や自身の役割の捉え方次第で力を発揮させられる人がいます。そのような人含めても活躍できる環境をもっと整えていきたいです。彼らのチャンスになりたいし、それを応援することが会社の明日をつくることにもつながるはずです。

どこまで信用できる? 続々報じられる「スマホ代値引き」は本当に4割下がるのか

生活をもっと楽しく刺激的に。 オトナライフより】

現在、スマートフォン料金が大幅な見直しを迫られている。「楽天モバイル」のCMで女優の米倉涼子が「日本のスマホ代は高すぎる!」と叫んでいるように、これまでにもたびたび見直しの話は持ち上がっていた。これまでは議論が立ち消えになり続けていたものの、9月に菅義偉内閣総理大臣が誕生して以降、動きが加速しているように感じられる。
今回は、携帯電話業界の値下げの実現性について考えていきたい。

新総理就任で加速したスマホ料金の値下げ

 2018年に菅総理(当時は内閣官房長官)が、「今よりも4割程度下げる余地がある」と発言したことが大きな波紋を呼んだ携帯電話の料金体系。「docomo」「au」「SoftBank」の3大キャリアのユーザーは、毎月の支払いが1万円を超える人も珍しくない。auとSoftBankは、そんな高額な料金を嫌ったユーザーをターゲットとしたサブブランド、いわゆる“格安スマホ”も用意しているほどだ。

 そんな中、値下げに言及した菅総理が今度は内閣総理大臣に就任。「デジタル庁の創設」など重要政策に掲げる日本のデジタル化を推進する一環として、改めて携帯料金の改革に踏み込ん…

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パチスロの「完成形」!? 革新的メーカー最新作は「バトル」勝利で「特化ゾーン突入」

 ファンが求める全てを完全集約。フィールズはこのほど、シリーズ累計発行部数350万部超を誇る人気作品とのコラボ―レーションパチスロ、七匠製造『アカメが斬る』の機種情報を製品サイトで公開した。

 出玉増加のカギを握るのは、1セット30G+α、1G純増約4.0枚のAT機能「アカメチャンス」。主な突入契機はボーナスで、通常時は規定ゲーム数の消化やCZを経てボーナスに当選する。

 通常時の基本ステージは4種類で、「レオーネステージ」「ラバックステージ」への移行は高確滞在の可能性大。「作戦会議ゾーン」への移行は前兆に期待でき、最終的にバトル演出発展で当否がジャッジされる。

 強チャンス役が突入契機のCZは「ナイトレイドチャレンジ」「エスデスゾーン」の2種類。消化中の抽選システムは不明だが、CZからのボーナス当選はビッグに大きな期待が持てるとのことだ。

 ボーナスはビッグ、REGの2種類で、ビッグは約120枚の獲得が可能。消化中の演出は3パターンから好みで選択でき、チャンス告知はBAR図柄が揃えば、バトル告知は後半のバトルで敵に勝利すれば、完全告知は「フェイスオブインクルシオ」が発生すればATが約束される。

 REGは約60枚増で、入賞時はフリーズ抽選。消化中はキャラ紹介画面に秘密があるようだ。

 AT中はチャンス役成立でゲーム数上乗せ及び規定ゲーム数短縮抽選が行われ、規定ゲーム数到達で「イェーガーズバトル」に発展(AT初回は必ず発展)。バトル中は毎ゲームの勝利抽選で、「アカメVSクロメ」は勝利が確定すると思われる。また、バトル敗北時は次回バトルの勝率がアップするようだ。

 首尾よくバトルに勝利すれば、例外なく特化ゾーンへ突入する。特化ゾーンは「アカメチャンスin温泉」「革命ノ刻」「エピソードボーナスの」3種類で、アカメチャンスin温泉は1セット6G、最大7セット継続。毎ゲーム全役で上乗せが発生し、1セット平均約40Gの上乗せが見込める。

 革命ノ刻はバトル型上乗せ特化ゾーンで、バトル継続の度にゲーム数上乗せ。継続時の追撃発生やエンディング到達でさらなる上乗せが発生する。

 エピソードボーナスは30Gの上乗せ高確状態。エピソードは複数種類あるようで、消化中は3桁上乗せの大チャンスを迎える。

 先述したREG入賞時を含めてフリーズが発生した場合は、本機最大の出玉トリガー「KILL RUSH」がスタート。その後は15G間、毎ゲーム上乗せが発生し、AT完走に大きく前進する。

 ATまでの道のりは王道パターンで、AT中は多彩な特化ゾーンを搭載。気になる本機の導入は、11月9日を予定しているとのことだ。

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