JRA金鯱賞(G2)デアリングタクトは「燃え尽き症候群」に注意!? 牝馬三冠馬の復帰初戦は……

 今週の金鯱賞(G2)には、昨年JRAで初めて無敗の牝馬三冠を達成したデアリングタクトが出走する。牝馬三冠を達成しただけでなくジャパンC(G1)ではあのアーモンドアイやコントレイルと接戦を演じており、クロノジェネシスと並ぶ牝馬最強クラスの実力馬と言ってもいいだろう。

 そのデアリングタクト陣営が復帰戦に選んだのは金鯱賞だが、多くの競馬ファンは同馬が負ける姿を想像していないのではなかろうか。しかし過去の牝馬三冠馬の復帰戦を見てみると、意外にも苦戦傾向にあり、ここも絶対とは言い切れない状況にある。

 秋華賞が設立されて以来これまで5頭の牝馬三冠馬が誕生した。スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、そしてデアリングタクトだ。デアリングタクト以外の成績を見てみると、前述のとおり復帰初戦は苦戦傾向にある。


■牝馬三冠達成馬の年明け初戦

スティルインラブ
金鯱賞(G2)8着

アパパネ
マイラーズC(G2)4着

ジェンティルドンナ
ドバイシーマC(G1)2着→宝塚記念(G1)3着

アーモンドアイ
ドバイターフ(G1)1着→安田記念(G1)3着

 唯一アーモンドアイはドバイターフ(G1)を快勝しているものの、その後の国内初戦の安田記念(G1)は3着に敗退。言い換えれば、牝馬三冠馬の国内初戦はすべて敗退しているのである。これはなぜなのか

 そもそも牝馬は牡馬と比較して非常にデリケートであり、また将来母親になる馬ということもあって、競走馬としてのピークを迎えるのが早いという見方もある。実際に社台グループが6歳春で牝馬を引退させるのは、そういった事情があるからだと言われている。加えて競走馬は血統的に早熟型と晩成型と分かれており、3歳時の偉業である牝馬三冠を達成するということは、どちらかといえば早熟傾向にあると言えるだろう。

 そういった意味では、古馬になっても多くのG1を勝利したアーモンドアイやジェンティルドンナは、かなり例外的存在と言ってもいい。逆にスティルインラブは古馬になって8戦全敗、アパパネは9戦1勝など、3歳時ほどの輝きを見せることはできなかった。デアリングタクトも同様に3歳時で燃え尽きてしまっている可能性は否定できない。

 確かにJRA初の無敗の牝馬三冠という偉業は称えるべきものがある。しかし同年代のレベルを疑問視する声も少なくない。オークスで2~3着だったウインマリリンとウインマイティー、秋華賞2着マジックキャッスル、3着ソフトフルートなど、中長距離戦で牡馬相手に結果を出している馬はいない。

 またデアリングタクトの父エピファネイアは多くの活躍馬を出しているが、今年に入ってデアリングタクトの世代はわずか5勝。今年の産駒17勝中12頭が3歳馬で、4歳馬は5勝しかしていないのである。これは父エピファネイアの成長力が少なからず影響しているという見方もある。

 さらにこの金鯱賞は、最後に牝馬が勝利したのが1995年のサマニベッピンまで遡る。過去を見てもリスグラシュー、モズカッチャン、デニムアンドルビー、ルージュバック、カワカミプリンセス、アドマイヤグルーヴ、そして牝馬三冠馬スティルインラブといった牝馬の強豪が敗退している。時期やコースは違えど、この金鯱賞は牝馬が敗退してきたレースでもあるのだ。

 以上のような様々な要因が重なり、この金鯱賞でデアリングタクトが圧倒的なパフォーマンスを見せられるとは言い難い状況にある。もちろん初めてJRAで誕生した無敗の牝馬三冠馬。過去のデータを吹き飛ばすような圧倒的な走りを見せるかもしれない。しかし競馬は歴史を繰り返すもの。この傾向がある限り、デアリングタクトの復帰戦は人気以上に大きな不安を感じさせる。

 しかし同馬は、さらに歴史に名を刻むためにも、これからコントレイルやグランアレグリア、そしてクロノジェネシスといった大きな壁を相手にしなければならない。その壁を乗り越えられるかどうか、まずはこの金鯱賞でどんな走りを見せるか注目したい。

コロナ禍の3つのキャッシュレスインサイト

新型コロナウイルスの第3波が猛威を振るう中、「電通キャッシュレスプロジェクト」は2020年12月、「コロナ禍でのキャッシュレス意識に関する調査」を実施しました。

コロナによりライフスタイルが大きく変化した今、生活者の決済手段がどのように変化し、今後どのような決済が主流になっていくのか。今回は調査結果から見えてきた、3つのキャッシュレスインサイトを紹介します。

約半数が「キャッシュレス決済が増えた」

2020年3月に緊急事態宣言が発令されて以降、「支払いや買い物でキャッシュレス決済の比率が増えた」生活者は47.7%となり、前回調査(2020年5月)の46.7%からは微増の結果でした。コロナの影響が長引く中、生活者のキャッシュレスシフトは続いています。

キャッシュレス決済の比率は増えたか
SA=単一回答

キャッシュレスインサイト①

 


「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」での利用が増加

では、コロナ禍でキャッシュレス決済が増えた場所はどこでしょうか。支払い回数が増えた場所を聞くと、

スーパー・ショッピングモール    40.0%
コンビニエンスストア    38.4%
ドラッグストア        30.0%

が3トップとなりました。

日常の生活導線上にある、身近な場所で増えていることが分かります。

どこでキャッシュレス決済回数が増えたか
MA=複数回答

キャッシュレスインサイト②


増えた場所と増えていない場所では、「電子マネー」「モバイル決済」の利用にギャップが

「キャッシュレス決済が増えた場所」で利用している決済手段について聞くと、場所によって違いがあることが分かります。

増えた場所のトップ「スーパー・ショッピングモール」では、「カード」(58.3%)が最も多く、「現金」(55.7%)を上回っています。「コンビニエンスストア」では、依然として「現金」 (47.1%)が最も多い一方、「電子マネー」(37.3%)や「モバイル決済」(37.1%)が「カード」(27.3%)より多くなっています。

また、「キャッシュレス決済が増えた場所」と「増えていない場所」で、それぞれの決済手段を聞いた場合、特に「電子マネー」や「モバイル決済」の利用にギャップがありました。

キャッシュレス決済が増えた場所
キャッシュレス決済が増えていない場所

例えば、キャッシュレス決済の増えた「ドラッグストア」では、「電子マネー」と「モバイル決済」がそれぞれ21.6%と27.6%であるのに対して、あまり増えていない「タクシー・ハイヤー」では、それぞれ5.3%と5.1%でした。

このように、キャッシュレス決済が増えた要因のひとつとして、現在急速に普及している「電子マネー」や「モバイル決済」の利用可否が関係していることがうかがえます。

キャッシュレスインサイト③


小額決済のキャッシュレス化が進展

キャッシュレス決済が増えた金額帯について聞いたところ、増えた金額帯は「1000円超〜5000円以下」(48.0%)、「500円超〜1000円以下」(41.0%)、「300円超〜500円以下」(25.8%)の順で高く、1000円以下の小額決済における進展がうかがえました。

こうした小額決済の伸びは、「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」といった日常導線上のキャッシュレス利用の増加と相まって、今後のキャッシュレス促進の追い風になると考えられます。

どの金額帯でキャッシュレスが増えたか

日本のキャッシュレスは、「日常使い」の進展で広がっていく

今回の「コロナ禍でのキャッシュレス意識に関する調査」では下記3つのキャッシュレスインサイトが見えてきました。

①「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」といった日常の生活導線上での利用が増加
②「電子マネー」「モバイル決済」の利用が増えるかが鍵
③1000円以下の「小額決済」でのキャッシュレス化が進展

電通キャッシュレスプロジェクトでは、この「日常使い」を背景に、日本のキャッシュレスが今後もますます広がっていくとみています。

<電通 キャッシュレスプロジェクト>
キャッシュレスに関するナレッジについては、データベース「ZUNO」で一部公開しています。詳細は、事業共創局 新産業開発部 吉富(cash-less@dentsu.co.jp)までお問い合わせください。


【調査概要】
調査手法:インターネット調査
調査時期:2020年12月24~25日
調査エリア:全国
調査対象:①一般生活者、②中小企業※経営者
①20~69歳男女500人(人口構成に基づきウェイトバック集計を実施)
②20~69歳男女200人
※従業員数100人以下、資本金5000万円以下の飲食もしくは小売業の中小企業
 

「M-1グランプリ」から考察する、「テレビを見ながらTwitterを楽しむ人」の特徴とは

年末恒例の一大イベント、「M-1グランプリ」。

毎年数千組(2020年は過去最多の5081組)のエントリーがあり、その中から漫才日本一を決めるこの番組は、ファイナリストの「持ちネタ」や「今年の覇者は一体誰なのか?」といった大会の動向だけでなく、各審査員から繰り出される辛口コメントも毎年注目を集めています。

リアルタイムでテレビ視聴する人も多く、2020年のリアルタイム平均視聴率は19.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。同年のテレビ番組全体で29位の高視聴率番組となりました。

今回は、「M-1グランプリ2020」視聴者に対して実施した「テレビを見ながらTwitterを楽しむ人」の実態調査を紹介します。「テレビとTwitter」の関係について、今後の施策を考える上でいくつかの有用なインサイトを得ました。

スマホを片手に、感動や興奮をリアルタイムに共有している

決勝戦では、推し芸人への応援コメントや審査結果に対する反応など、さまざまな声がTwitter上に溢れました。

放送中のツイート数の推移を分刻みで見ると、各ファイナリストの持ちネタが終わった瞬間や審査員のコメントの直後にツイート数が伸びる傾向が見られ、テレビ観戦の傍らTwitterを利用している様子がうかがえます。そして、Twitterを通じてリアルタイムで多くの人が感動や興奮を共有していることも分かりました。

Twitter
出典:「M-1グランプリ」に関するツイート分析、調査機関:Twitter、調査時期:2020年12月、「#M1グランプリ」のツイート数、

首都圏居住の「M-1グランプリ2020(決勝戦)」視聴者(=番組を半分以上視聴した人)に対し、インターネット経由でアンケート調査を行った結果、回答者の64%がTwitterを利用していたことが分かりました。

「番組を見ようと思ったきっかけ」は、「Twitterで話題になっていたから」がネットメディアの中で1位です。特に10代、20代では、Twitterをきっかけに番組視聴している人が、他メディアと比較して圧倒的に多いという結果になりました。このことから、多くの視聴者がTwitter上で同番組に関する情報に触れたことで、関心の高まったことがうかがえます。

Twitter
調査委託先:電通マクロミルインサイト「テレビ視聴に関する調査」、調査機関:電通、調査対象:「M-1グランプリ2020」を半分以上視聴した、首都圏在住の18~59歳の男女1200人(10代 n=51 / 20代 n=267 / 30代 n=321 / 40代 n=345 / 50代 n=216)、調査時期:2020年12月

番組への「熱狂度」は、Twitter利用者が非利用者を大きく上回る

「M-1グランプリ2020」への「熱狂度」(ハマり具合)を見ると、ツイート接触者(Twitter上で関連ツイートに接触した人)と非利用者を比較して、軒並みツイート接触者のスコアが高い結果となっています。

例えば「誰が優勝するのか最後までハラハラ・ドキドキした」と感じている人は非利用者の1.5倍に上ります。また、「家族や友人と番組について会話が盛り上がるようになった」「番組の内容や感想を誰かに話したくなった」など、番組に関して他の人とコミュニケーションを図りたいとする人も、Twitter利用者の方が圧倒的に多かったのが明らかとなりました。

Twitter
調査委託先:電通マクロミルインサイト「テレビ視聴に関する調査」、調査機関:電通、調査対象:「M-1グランプリ2020」を半分以上視聴した、首都圏在住の18~59歳の男女1200人(10代 n=51 / 20代 n=267 / 30代 n=321 / 40代 n=345 / 50代 n=216)、調査時期:2020年12月

脳波測定で、テレビを見ながらTwitterを楽しむ人の実態を調査

「M-1グランプリ2020」の視聴者に対し私たちは、電通サイエンスジャムが開発した在宅型ニューロリサーチ(※1)を活用した調査も実施しました。

※1 電通サイエンスジャムが保有する「脳波測定による感性把握技術」を活用した感性評価システム。協力者の自宅に計測装置を配布し、在宅中のリラックスした状態でリアルタイムにテレビを楽しんでいただき、脳波データを取得。専用サーバーで解析する。


首都圏のモニター家庭2グループに専用の計測装置を配布し、「M-1グランプリ2020」において視聴者の脳波にどのような影響が出るか、比較実験を行いました。

・テレビ番組のみを視聴するグループ 
・テレビ番組を見ながらTwitterを楽しむグループ(ハッシュタグ「#M1グランプリ」など)

番組視聴中の脳波を分析した結果、「テレビ番組のみを視聴したグループ」と比べて「テレビ番組を見ながらTwitterを楽しむグループ」の方が、番組による「満足度」が高く、反対に「ストレス度」が低いことが分かりました。

Twitter
調査機関:電通サイエンスジャム、調査方法:在宅型ニューロリサーチを活用した定量調査、調査対象:「M-1グランプリ2020」を視聴した20〜52歳男女18名、調査時期:2020年12月20日

脳波から感情を分刻みで見ると、ほぼ全ての時間帯やシーンでTwitter利用者の「満足度」がテレビ番組のみを視聴したグループと比べて高かったことが分かります。

「テレビ番組を見ながらTwitterを使うと、より番組が楽しめる」ということは、これまでも指摘されてきましたが、今回、脳波計測によって改めてその傾向が浮き彫りになりました。

Twitter
調査機関:電通サイエンスジャム、調査方法:在宅型ニューロリサーチを活用した定量調査、調査対象:「M-1グランプリ2020」を視聴した20〜52歳男女18名、調査時期:2020年12月20日

われわれは、同番組放送中に流れるCMのニューロリサーチデータも分析しました。すると、CM視聴中でも、Twitter利用者の方が「ワクワク度」や「満足度」が高く、「ストレス度」が低いという結果が得られました。

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調査機関:電通サイエンスジャム、調査方法:在宅型ニューロリサーチを活用した定量調査、調査対象:「M-1グランプリ2020」を視聴した20〜52歳男女18名、調査時期:2020年12月20日

これはテレビCMに同番組出演者を起用したものもあり、Twitter上でも話題になったことや、番組への熱狂度の高いTwitter利用者に、「コンテンツに連動した広告表現」がより好意的に受け入れられたことが要因ではないかと考察されます。

さて、前回の記事では昨年大ヒットしたドラマ「半沢直樹」視聴者への調査結果を紹介しました。そこでも、「テレビ番組を見ながらTwitterを楽しむグループ」は、番組への熱狂度が高く、番組放送内のCMもポジティブに受け取られることをお伝えしました。

「半沢直樹」は、最終回のリアルタイム平均視聴率は32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、総合視聴率(リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率の合計、重複はカウント1として集計)は44.1%で、共に令和時代においてドラマ部門1位の番組です。

他のテレビ番組より飛び抜けて視聴率が高かったため、前述のテレビ×Twitter効果は、「半沢直樹」視聴者ならではの特徴なのかとも考えられましたが、今回、「M-1グランプリ2020」の調査で、バラエティーの人気番組でも同様の効果があることが分かりました。

テレビ番組コンテンツと連動したTwitter広告によって、広告認知が大幅に上昇

今回、上記の調査と並行して、電通マクロミルインサイトの協力の下、電通が開発したSTADIAを活用してTwiiter広告の効果検証にトライしました。

STADIAは、地上波などのオフラインメディアと、スマートフォンやPC上のオンラインメディアのデータを統合するソリューション。約740万台(2021年2月現在)のテレビの視聴ログデータと、同一環境下のデバイスデータ(スマートフォン・PC)を突合させ、デジタル広告配信やオン・オフラインメディアの統合分析が可能になります。

このSTADIAを活用することで、「M-1グランプリ2020」を実際にテレビで視聴したユーザーを調査することができ、より実態と近しい結果が得られます。

調査は下記二つのグループに対し、キャンペーン認知や態度変容などを尋ねました(※2)。

1.「テレビ視聴+Twitter広告接触」グループ 
2.「テレビ視聴のみ」グループ

※2 Twitter広告接触者は意識調査によって判定。


「M-1グランプリ2020」番組中にテレビCMを流し、さらに番組が始まる前に、Twitter上で番組に連動したコンテンツへの広告、いわゆるプリロール型広告(Twitter IVS広告)を出稿した複数のブランドについて、広告認知計測を行いました。

今回のTwitter上での広告施策では、話題のお笑い芸人が広告商品をネタに取り入れたインフォマーシャル的な仕立てになっており、まさにコンテンツと連動したクリエイティブとなっています。

調査の結果、「テレビ視聴のみ」と比べて「テレビ視聴+Twitter広告接触」の広告認知が約6倍になったことが判明しました。テレビで番組を視聴した人が、さらにTwitter上でも番組連動型の広告を閲覧することで、広告認知に対してより高い効果を発揮したと考えられます。

Twitter
調査委託先:電通マクロミルインサイト「M-1グランプリ広告効果調査」、調査機関:電通、調査対象:「M-1グランプリ2020」を半分以上視聴した、全国の18~59歳の男女「TV番組およびTwitter広告接触者」(n=119)「TV視聴のみ(STADIAによる判定)」(n=400)、調査時期:2021年1月

今回、ニューロリサーチやSTADIAによる効果測定など、複数のアプローチからテレビとTwitterを同時に楽しむ人の実態と、そこから見える「テレビ×Twitter」の広告効果について検証しました。これらの調査結果から、テレビ番組と連動したTwitterキャンペーンによって、より高い効果が得られることが明らかとなりました。

次回は、キャンペーンにおけるテレビ×Twitterの可能性について、「広告プランニング」の視点で考察します。

【特別連載④】JRA戸崎圭太らは「極めて稀有」な成功例……「地獄から這い出すことができた」笠松競馬など小規模地方競馬巡る「底なしの闇」の実態とは

 笠松競馬、岐阜県競馬組合は第三者委員会を立ち上げ、馬券購入事件の真相究明を図るという。しかし、この第三者委員会には何も期待できない、と元調教師は肩を落とす。

「利害関係者と思われる弁護士がメンバーに入っているからです。調教師は馬の売買を禁止されているのですが、実際には少なからぬ調教師が売買に関わっています。それも生活のためです。笠松のある調教師が馬売買に関わり、それがトラブルとなった裁判で、この弁護士は調教師の弁護士となっていました。その調教師は既に免許を返上して廃業しましたが、その奥さんが馬券購入の勧進元だったのです」

 とても第三者とは呼べないような弁護士がメンバーとなった第三者委員会は1月22日に発足。すでに1カ月半以上が経っているが、報告の一つも上がってきていない。その間に元調教師1人、騎手3人は書類送検され、立件されるかどうかの瀬戸際に立たされている。

 ホッカイドウ競馬の前例で倣えば、罰金の略式命令、2年間の競馬関与停止あたりが量刑として適当なのだろう。だが、報道によれば笠松で馬券購入に関わっていたのは、廃業した4人だけではなく十数人と伝えられている。

 このうち調教師、騎手が何人いるのかは、第三者委員会が報告を出していない段階では不明だが、たった15人しか在籍してない笠松競馬で更に騎手が関与していたことが明らかになれば、それこそ騎手が足りずに競馬開催ができなくなるという前代未聞の事態も起こり得る。

 笠松競馬を長く取材する地方競馬記者は第三者委員会の苦衷をこう説明する。

「全貌を明らかにすれば、競馬場自体が閉鎖の危機に立たされるかもしれない。真相を明らかにするよりは調教師1人、騎手3人の4人に全てを押し付けて幕を引き、開催再開につなげたいと考えているんじゃないでしょうか? とはいえ、それはなかなか難しいところでしょうね。しかし、報告も出せず、全貌も明らかにできず、この状態が続けば、当然開催再開もできず、このまま立ち枯れてしまう恐れすらあります」

 さて、競馬法で禁止されている競馬関係者の馬券購入は、JRAと地方の交流の拡大で、これまでとは違った局面を迎えている。

 JRAと地方が画然と分かれて競馬を開催していた時代には、JRAの職員を含む関係者は地方で馬券を買うことが許されていた。地方競馬の関係者がJRAの馬券を買うことも同じように許されていた。しかし、JRAと地方の交流が盛んになり、JRAの下級条件馬が地方に出走することが可能になった今、JRA関係者はJRA所属馬が出走するレースの馬券を購入することを禁止された。

 また南関東、ホッカイドウなどの地方競馬では認定外厩制度が採用され、競馬場外の育成牧場でも、条件を満たす大手育成牧場は競走馬の調教をつけて各競馬場に送り出す事が可能となっている。となると、外厩認定された牧場で調教をつけるライダー、厩務員も競馬場内の調教師、騎手、厩務員とおなじく競馬関係者、“エッセンシャルワーカー”とカウントされ、馬券購入は禁止されている。

 JRA・地方競馬の交流拡大、そして認定外厩制度が立ち上がって、競馬関係者、“エッセンシャルワーカー”はこれまで以上に拡大している。

 しかし、その一方で馬券購入に対する監視態勢は全く手つかずといってもいい。ネット販売のおかげで、おそらく今年の地方競馬も売上新記録を更新することになるだろう。取材者の手に落ちる売上増の真水部分は少ないとはいえ、経済的余裕のある時にこそ、監視態勢を整えなくてはいけないのではないだろうか。

 そして、何よりも馬券購入などの不正の温床になる貧困問題を解決させなければ、地方競馬は遠からず公営競馬を確保できず、信用を失い存続の危機に立たされることは間違いない。

 売上増から賞金を積み増しする主催者が少なくないが、馬主がその恩恵の殆どを享受する賞金の積み増しの前に、不正の誘惑を未然にシャットアウトする措置が何よりも求められている。調教騎乗料やレース騎乗料の増額は今すぐにでも着手できるはず。それだけに留めず、経済的な措置以外にも紳士のスポーツの担い手に相応しい待遇と条件を整備しなければならない。

 南関東からJRAに転じ、リーディングジョッキーにも輝いた戸崎圭太は何故JRAではなく地方競馬から騎手となったのか、と問われ「JRAの存在を知らなかった」と答えた。

 戸崎は幸い地方競馬で最も条件の良い南関東でデビューし、更に幸運なことにJRAへ移籍ができた。しかし、南関東以外の競馬場に配属されれば、笠松と似たような辛酸を嘗めさせられる例は少なくない。

「自分は東京出身なので南関東に行きたかったのですが、調教師や騎手の子弟が優先されるので、その夢は叶いませんでした……」

 この青年は中位以下の競馬場に配属され、馬券は購入していなかったものの、騎乗馬の情報を外部に漏洩したとの疑惑から、自ら騎手免許を返上することを強要されて廃業。今では北海道の育成牧場で働いている。

「北海道の生活は競馬場よりも快適です。収入も上がって安定しましたし、何よりも夜明け前から調教、一休みして夕方までレースという地獄から這い出すことができました。所帯も持てそうです」

 屈託なく喜ぶ笑顔を見て、地方競馬は一体何をしているのか、と怒りに火が付いた。地方競馬教養センターの公式動画「騎手になるには」の冒頭には「馬に乗ると、視界(ユメ)が広がる」とのキャッチフレースが躍っている。

 笠松などの過酷な現実を目の当たりにすれば、広がるのはユメなのか? 絶望なのか? と問いたくなる。<了>

<プロフィル>

売文家・甘粕 代三(あまかす・だいぞう):1960年東京生まれ。早大在学中に中国政府給費留学生として2年間中国留学。卒業後、新聞、民放台北支局長などをへて現業。時事評論、競馬評論を日本だけでなく、中国・台湾・香港などでも展開中。

パチンコ「3000発×約72%ループ」の極スペック!「一撃7万発」も霞む“最強”の超RUSHを実現!?

 近年のパチンコ分野を牽引する大手メーカー京楽産業.。

 そんな同社は、2021年のスタートに甘デジ分野へ超激アツ機を投入した。先日リリースされた『ぱちんこ AKB48 桜 LIGHT ver.』が絶賛稼働中だ。

 本機は、初当りの50%で突入するRUSHの継続率は驚異の「約93%」だ。更に右打ち中の大当りは全て1G連となるため爽快なスピード感を楽しむことができる。

 ホール導入後は、その出玉性能を遺憾なく発揮。中には連日「2万発オーバー」を吐き出しているとの報告も挙がっていた。「万枚を狙える甘デジ」と称賛するユーザーも少なくない。ユーザーの期待を裏切らない京楽産業.の手腕には脱帽である。

 そんな同社の勢いは更に加速しそうな気配だ。今度はミドルスペック分野へ衝撃作を投入する。パチンコ新台『ぱちんこGANTZ極』の製品サイト及びPVを公開。シリーズ史上最強のSUPER小当りRUSHが早くも熱視線を浴びている。

『ぱちんこ GANTZ極』(オッケー.)

■大当り確率:1/319.9→1/114.0
■賞球:3&1&3&5&15(10C)
■遊タイム突入条件:低確率状態を950回転消化後
 遊タイム時短回数:100回
■超GANTZ EXTRA突入率:約46%
■時短回数:0or30回(遊タイム時は100回)
■特賞出玉:2R300発/10R1500発
○○〇

 大当り確率1/319.9のミドルスペック。シリーズお馴染みのSUPER小当りRUSHを継承・進化させた破壊力のあるRUSHを搭載している。1500発の大当りとSUPER小当りRUSHによって大量出玉の獲得にも十分期待できるだろう。

 初当り時の確変振り分けは「10R確変1500発+RUSH」が5%。「2R確変300発+RUSH」が38%。「2R確変300発RUSH非突入」が2%の合計45%。残り17%が「2R通常300発+時短30回」。38%が「2R通常300発」となっている。時短引き戻しを含めたRUSH突入率は約46%だ。

 注目のRUSH「超GANTZ EXTRA」は「10R確変+RUSH」がループする仕様。RUSH1回の期待出玉は「約3000発」を誇り、トータル継続率は約72%と極限まで出玉に特化したゲーム性となっている。

 低確率状態を950回転消化する遊タイムは、発動後に「時短100回」が付与される。この間の大当りは70%が「10R確変+RUSH」となるため強力だが、大当りせずにスルーする可能性も高いので注意が必要だ。

「ヘソ大当りからのRUSH突入率が低く、通常大当りを引いた際の38%は時短すら付与されません。ハマリ救済の遊タイムも時短100回のみですし、RUSHへのハードルは群を抜いて高い印象ですね。その点が稼働にどう影響するでしょうか。

ただ、ひとたびRUSHへ入れてしまえば、『期待値3000発×約72%ループ』という強力な恩恵を手にする事ができます。『一撃7万発』報告で話題となった『PFゴルゴ13 疾風ver.』ですら『3000発×約60%ループ』ですから、本機にかかれば5万発レベルの出玉は朝飯前でしょう。出玉革命が起こるかもしれませんね」(パチンコ記者)

『ぱちんこ GANTZ極』の導入予定日は4月5日。シリーズ史上最強のSUPER小当りRUSHを堪能できる日は近い。

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JRA金鯱賞(G2)見落とし「厳禁」の二頭。デアリングタクト、グローリーヴェイズの二強対決に一角崩しのチャンス

 14日、中京競馬場で行われる金鯱賞(G2)。昨年のジャパンC(G1)で3着に入った三冠牝馬デアリングタクトや、同レースで5着に入った2019年の香港ヴァーズ優勝馬グローリーヴェイズ。同じくジャパンCで大逃げを図り見せ場を作った2017年菊花賞馬キセキ、先日の白富士S(L)で4連勝を決め、これが重賞初挑戦となる新星ポタジェなど、実力馬たちによるハイレベルの争いが注目を集めている。

 戦前の下馬評では、デアリングタクトとグローリーヴェイズという2強の争いになるという見立てが強そうだ。

 だがそう決めつけるのはまだ早いかもしれない。二強の一角崩しを期待できそうな2頭の存在である。

 まず1頭目は去年の新潟記念(G3)を制し、チャレンジカップ(G3)で2着のブラヴァス

 実績的には多少見劣る印象は否めないが、今回の舞台は中京芝2000m。ブラヴァスの鞍上が福永祐一騎手であることを踏まえると、実力以上の力を発揮する期待もある。

 7日現在、今年度の中京競馬場における騎手成績を見てみると、福永騎手の勝利数は17回でこれは全騎手の中で最多となっている。また勝率は21.3%、連対率は41.3%、3着内率はなんと58.8%という好成績を残しているのである。

 ブラヴァス自身が中京競馬場を経験したのは初レースとなった2歳新馬戦の1レースのみ。この時は3着という結果に終わっているが、鞍上は福永騎手ではない。今回、中京競馬場で初めて福永騎手とタッグを組むことを踏まえると、期待したくなるのは当然だろう。

 これに加えてブラヴァスの血統を見てみると、父はキングカメハメハ。キングカメハメハ産駒の中京競馬場での勝率自体は8.7%と10%を割っており、そこまで高い成績ではない。だが、これを中京芝2000mに限定した場合、連対率は25.5%と阪神・芝2400mに続き2番目に高い結果を残している。

 デアリングタクトとグローリーヴェイズの金鯱賞出走は、おそらく次走に向けての調整が濃厚。一方、G1を見据えた初のG2出走で何としても結果が欲しいブラヴァスということを考えても、激走の下地は十分にありえるといえるだろう。

 そして気になるもう1頭がサトノフラッグ。

 サトノフラッグといえば先日のAJCCで2番人気を裏切る11着に終わったことで、人気の盲点となりそうだが、セントライト記念(G2)2着、菊花賞(G1)3着という結果は押さえておくべきだろう。

 セントライト記念では中盤まで脚を溜め、最後のコーナーで好位置を取り、最後の直線で勝負を仕掛けるというお手本のような流れで2着を確保した。菊花賞でも最後の直線で勝負をかける作戦で、昨年の三冠馬コントレイルと先日のAJCC覇者アリストテレスについで5番人気ながら3着という結果を収めている。

 前走後のコメントで戸崎騎手が「最後は脚が上がってしまった。(休み明けで)まだ馬体に余裕があった(前走比10キロ増)かな」と話していたことを踏まえても、前走は調整が整っていなかったことが伺える。

 また国枝調教師も「状態としては良いのではないかと思ったのですが、結果的に位置取りも後ろからになってしまって、流れに乗れずもう一つでした。(敗因は)馬場もありましたし、いくらか動きも重かったかなと思います」と、完調にはまだ戻っていなかったと感じられるコメントを残している。休み明けを叩かれたことで状態が良化していれば、復活の可能性は十分にある。

 そして今回、C.ルメール騎手が再び手綱を執るのも不気味だ。数々の名馬をG1レースで勝利に導いたジョッキーが昨年の皐月賞以来のタッグでどのようなレース展開になるのか期待に胸が踊る。

 去年の皐月賞では三強と呼ばれていたコントレイル、サリオス、サトノフラッグ。ライバルたちが優秀な成績を収める中、不振が続くサトノフラッグの復活も見られるかもしれない。

堀北真希を「引退させた」過去も!? スウィートパワー社長、未成年女優への“セクハラ疑惑”……「束縛強いという話は聞く」

サイゾーウーマンより】

 芸能プロダクション社長の“セクハラ疑惑”が、3月11日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で特集されている。スウィートパワーの女性社長・岡田直弓氏は、気に入った10⑱代の所属女優を自宅に住まわせ、同じベッドで就寝、体に触れたり入浴中に風呂場を覗こうとするなどしていたという衝撃的な内容だが、芸能界隈では「ついに出たか……」といった、ため息まじりの声がそこかしこで聞かれるようだ。

 記事によると、岡田社長はつい先日契約終了が発表されたKARAの元メンバー・知英(ジヨン)にも、今回被害者として取り上げられた未成年女優と同じように、セクハラ行為を繰り返していたという。

「ところが岡田社長は『文春』の取材に対し、セクハラ疑惑を完全否定。しかし、スキンシップひとつをとっても、被害者側が嫌な思いをしているとすれば、当然セクハラは成立するでしょう。また『事務所の社長と所属タレント』という関係性に鑑みても、『立場を利用して悪質な行動に出たのでは……』という疑問は拭いきれません」(スポーツ紙記者)

 岡田社長の所属タレントに対する入れ込み具合は、以前から業界内で「都市伝説」として、よくささやかれていたという。

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てんちむの“印象操作”に失望の声 動画コメント欄を承認制にしている?

てんちむYouTubeより

正解のないWEBマガジン〜wezzyより】

 てんちむに「印象操作がひどい」という疑惑の声があがっている。てんちむの出す動画には、低評価がたくさん付くわりに、コメント欄に擁護コメントしか見当たらないせいだ。どうやらてんちむは、コメントを承認制にし、否定的なコメントは削除しているらしい。

 てんちむは自身の努力で「バストをAカップからFカップにした」と公言し、数々のバストケア商品をプロデュースしてきたが、10年来の親友である「かねこあや」に豊胸していることをばらされ、大炎上。かねこあやからの「豊胸手術によって人生が変わっただろう」という問いかけに対し、てんちむは「かなりな しかもサプリもブラも売れて儲けてるし」「まじ余裕過ぎた 乳って最高」「乳なきゃ釣れねーわ」などと発言していた。

 てんちむは、大炎上を受け、バストケア商品モテフィットの全額返金を申し出たことにより、一部の視聴者から「てんちむは誠意がある」「どうしててんちむがすべて背負わなきゃいけないの」などの声があがり、同情的な声が寄せられていた。

中国、台湾のワクチン確保を妨害、露骨なワクチン外交で「大中華圏」構築か…ロシアも台頭

 新型コロナウイルスのワクチン接種が世界115カ国・地域で始まっている(3月11日時点)。昨年12月上旬の英国を皮切りに世界各国での接種が本格化し、累計接種回数は3億を超えたが、各国ごとの接種状況にばらつきがあることから、世界各地で対立の火種となるとの懸念が生じ始めている。

 世界で最もワクチン接種が進んでいるのはイスラエルである(人口100人当たりの接種回数は99.1)。3月7日付ブルームバーグは「イスラエルは今年4月に人口の75%が2回のワクチン接種を終えることから、世界で初めて集団免疫を獲得する国になる」と予測している。

 国内でのワクチン接種に目途が立ったことから、イスラエル政府は「余剰分のワクチンを諸外国に提供する」との方針を打ち出した。その内訳を見てみると、チェコ、ハンガリー、グアテマラ、ホンジュラスなどが含まれているが、これらの国々は大使館をエルサレムに移転させることに前向きである。イスラエルが「ワクチン外交」で大使館のエルサレム移転を後押しようとしていることについて、パレスチナは自国へのワクチン提供をないがしろにしているイスラエルの姿勢に反発していることはいうまでもない。

 イスラエルとは対照的に域内でのワクチン接種が事前の予想通り進んでいないのがEUである。人口100人当たりの接種回数はポーランドの10.8が最高であり、ドイツは9.8、フランスは8.9にとどまっている。ワクチン接種が進まない現状について3月9日付ブルームバーグは「EU域内から最大1000億ユーロ(約13兆円)」の資金が流出する恐れがある」と報じている。

 EUは1月下旬、「ワクチン製造業者が当初合意していた加盟27カ国に対する供給量を満たさない場合には、EU域外へのワクチン輸出を停止する」方針を明らかにしていたが、イタリア政府は3月4日、自国で製造された英アストラゼネカ製ワクチン約25万回分の豪州への輸出を差し止めた。その理由は「豪州は新型コロナウイルスの影響を受けやすい脆弱な国のリストに含まれていない」というものである。

 EUのミシェル大統領は9日、「EUは新型コロナウイルスワクチンの輸出を止めていない」と述べ、EUに対する「ワクチンナショナリズム」との非難を否定するとともに、「ロシアや中国が新型コロナウイルスワクチンを自国の宣伝活動に利用している」と批判した。

ロシアの「スプートニクV」

 日本ではあまり知られていないが、世界で2番目に多くの国で承認されているワクチンは、ロシアの「スプートニクV」である(48カ国)。ワクチン不足を解消するため、イタリアでスプートニクVの接種が6月から開始されるとの動きが出ていることから、欧州医薬品庁(EMA)は4日、スプートニクVの審査を開始したが、その矢先の7日、EMAの幹部はEU加盟国に対し、「効果を示す十分なデータが得られていないとしてスプートニクVの緊急使用を控えるよう」呼びかけた。

 この異例ともいえる呼びかけに対し、ロシア側はEMAの中立性に疑義を呈し、公式な謝罪を要求した。その後ドイツの専門家委員会のトップがスプートニクVを支持する姿勢を示す展開になっているが、ロシアに対するEUの温度差が改めて浮き彫りになったといえよう。

 米国ではロシアに対する根強い不信感からか、「ロシア諜報機関が国内で使用されている新型コロナウイルスワクチンに関する偽情報を拡散している」との批判が強まっている。

 ロシアはスプートニクVの生産を中国で行う意向を示すなど、その蜜月ぶりをアピールしているが、両国は水面下では激しく競争している。カザフスタンやトルクメニスタンなど中央アジア諸国では中国との争いを制してスプートニクVの導入に成功し、現在、ワクチン接種が遅れているバルカン半島諸国で激しくしのぎを削っているといわれている。

「ワクチンパスポート」

 ワクチンの売り込みでロシアの後塵を拝している中国だが、巻き返しの手段を打ち出している。中国政府は9日、海外への渡航者向けに新型コロナウイルスワクチンの接種を証明する「ワクチンパスポート」の発行を世界で初めて開始した。その目的について「PCR検査やワクチン接種などの情報の相互確認を実現し、人々の安全で秩序ある交流に貢献すること」と説明している(中国の人口100人当たりの接種回数は3.7)。

 ワクチンパスポートについては、EUが中国に先行して議論を開始していたが、世界保健機関(WHO)はワクチンパスポートについて反対の立場を示している。ワクチンの免疫力がどれほど持続できるかについての確実な情報がなく、世界的にワクチン接種が十分に行われていない現状にかんがみ、時期尚早であるというのがその根拠である。

 中国はどの国と交渉しているかについては明らかにしていないが、「各国の中国同胞にワクチンを提供する」としており、コロナ禍で停滞する人の流れをワクチンパスポートで活性化することにより、「大中華圏」を構築しようと目論んでいる可能性がある。

 中国のワクチン外交は「ソフトパワー」にとどまらないことも気かがりである。中国企業が台湾のワクチン確保を妨害する事案が2月中旬に起きており、今後も露骨な外交圧力の手段として利用されるのではないだろうか。

 日本、米国、豪州、インドの4カ国首脳会談が12日に初めて開催されるが、「インドのワクチン生産能力を活用して、途上国にワクチンを供与する新たな枠組みを創設する」ことが主要議題の一つとなっている。会議の場で日本、米国、豪州はインドのワクチン生産拡大に資金支援を表明するとされているが、この動きに対して中国側は「ワクチンにナショナリズムを持ち込むことに反対する」との立場を示している。

 このようにワクチンをめぐる国際的な対立が強まりつつあるが、かつてのワクチン大国だった日本の存在感がかつてなく小さくなってしまっていることは残念でならない。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

JRAかつてのライバル、サリオス、レシステンシアの遠ざかる背中……。復活期すあの馬に激走の予感

 14日、中山競馬場で行われる東風S(L)にクラヴァシュドール(牝4、栗東・中内田充正厩舎)が出走する。

 クラヴァシュドールは、19年2月の2歳新馬戦をデビュー勝ちするも、以降勝ち星がなく、悔しい結果が続いているもどかしい現状。2ヶ月前のニューイヤーS(L)では1番人気を裏切る5着に凡走したが、過去の実績から重賞でも結果を出してもおかしくないような片鱗をところどころに見せている。

 例えば、2年前阪神JF(G1)。3番人気で3着に終わったが、4番人気に過ぎなかった勝ち馬のレシステンシアを上回る評価。このレースで1番人気だったリアアメリアは中山牝馬Sでも1番人気が予想されている実力馬だ。

 それ以上に注目したいレースは約1年前のチューリップ賞(G2)だろう。

 最内の1枠1番から4番手の好位につけながらレースを展開し、直線に入り先頭を窺ったクラヴァシュドール。残り200mから抜け出て先頭に立ったものの、マルターズディオサの前にハナ差の2着でレースを終えた。敗れたとはいえ、阪神JFで敗北を喫したレシステンシアを抑えた好走であることを考えると、トップクラスの力を証明したといえるだろう。

 重賞初挑戦となったサウジアラビアRC(G3)も押さえておきたい。9頭立てのレースで5番手の中団につけ、最後の直線に入って追い出されると、1番人気のサリオスと一騎打ちの展開。サリオスとの叩き合いには敗れたが、0.2秒差の2着でレースを終えた。

 この後、サリオスは朝日杯FS(G1)を優勝し、古馬が相手となった毎日王冠(G2)でも勝利を飾る活躍を見せた。クラシックでも皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)で、連続してコントレイルの2着に入るなど、輝かしい成績を収めている。今年は大阪杯(G1)からの始動を予定しているように、その力は現役トップクラスである。

 そんな、リアアメリアやレシステンシア、そしてサリオスと肩を並べていたクラヴァシュドール。好成績を収めたライバルたちはいまや遠い存在となってしまったが、諦めるのはまだ早い。

 父ハーツクライが有馬記念(G1)やドバイシーマC(G1)で悲願の勝利を果たしたのは、今のクラヴァシュドールと同じく4歳の時である。

 とはいえ、そろそろ重賞での勝利を手にしたいのは紛うことなき事実だ。まずは今週末の東風Sを無難に勝利することで、勝ちのリズムを作っていくきっかけを掴んでくれることを願うばかりである。