JRA単勝1.1倍、川田将雅「2億円」フィデルでダノックスに“恩返し”!? 順当デビュー勝ちに「これからの成長が楽しみ」、セレクトセール注目の高額落札馬がヴェールを脱ぐ

 4日、小倉競馬場で行われた5Rの2歳新馬は、川田将雅騎手の1番人気フィデル(牡2、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。ダノンピーカブーとの叩き合いを制し、デビュー勝ちを飾った。

 今夏の小倉開催で最も注目を集めた新馬戦だったかもしれない。

 フィデルは、2016年に米国のブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズ(G1)を制したシャンパンルームを半姉に持つ良血。昨年のセレクトセール1歳で2億900万円(税込)という高額で落札されたほど期待されていた。これだけの馬だけに、デビュー前から評価も高かったが、まずは無事な船出に成功だ。

 単勝1.1倍に支持された断然人気馬の手綱を任せられた川田騎手にとっても責任重大だった。

 8頭立ての少頭数で行われた芝1800m戦。好スタートを決めると、先手を主張したダノンピーカブー、シゲルユキミザケ、オレハリョウタローの3頭を先に行かせ、川田騎手とフィデルのコンビはこれらを見る形で4番手から追走する。

 折り合いを重視する新馬戦特有のスローペースは、1000m通過が1分3秒6のゆったりとした流れ。フィデルは3コーナー過ぎから徐々に進出、最終コーナーでは早くも先頭のダノンピーカブーに並び掛ける。

 内で懸命に抵抗するダノンピーカブーを残り150mで交わすと、1馬身の差をつけて余裕のゴール。着差以上に強さを感じさせられる内容だった。

「スムーズに競馬を勉強しながら全部上手にこなしてくれました。これからの成長が楽しみです」と、レースを振り返ったのは川田騎手。

 これだけの期待馬だ。求められるのはただ、レースを勝つだけではない。

 フィデルの今後を見据え、課題をクリアしたパートナーに合格点を与えた上での勝利である。「成長が楽しみ」というからには、それなりの手応えがあったのだろう。

「ダノンピーカブーに並んでからもムチが一発も入らなかったように、楽勝といえる内容でした。

父は今年で種牡馬引退が決まっているハーツクライ。血統的に距離が延びても問題なさそうですし、晩年の最高傑作となる期待もありそうです」(競馬記者)

 また、ダノックスの主戦を任されている川田騎手が、ダノンピーカブーではなく、フィデルを選んだことも、同馬への期待の表れといえるのではないか。

 今回は別オーナーの所有馬でダノックスに“恩返し”となったが、しっかりと結果を出したあたり、川田騎手の全盛期はまだまだ続きそうな気配だ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

圧倒的世界シェアのTSMC、なぜ今、日本に拠点を設置?日本の半導体関連企業との関係強化

 5月31日、経済産業省は「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」に関する情報を公開した。それによると、茨城県つくば市に世界最大のファウンドリー(半導体の受託生産)企業である台湾積体電路製造(TSMC)が拠点(TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社)を設置し、後工程と呼ばれる半導体の生産プロセスの研究開発を進める。

 そこには、東京応化工業をはじめ、20社超の日本企業が参画する予定だ。業種別に参画する企業を分類すると、どちらかといえば半導体の製造装置を手掛ける企業よりも、部材関連の企業が多いとの印象を持つ。また、日本の研究機関もパートナーに名を連ねている。

 一つの見方として、TSMCは東京応化など日本の半導体部材関連企業との関係強化をより重視している可能性がある。東京応化は常にTSMCの高い要求に応えてきた。中長期的な展開を考えた際、東京応化などニッチ分野での企業の成長が日本経済に与える影響は、一段と大きくなる可能性がある。

半導体の製造プロセスの後工程

 茨城県つくば市においてTSMCは、半導体の後工程に関する技術の研究と開発を進める。その背景には、日本政府からの要請に加えて、東京応化のように世界トップの生産技術を持ち高純度かつ微細な半導体部材などを生み出す日本企業との連携を進める狙いがあるだろう。

 まず、半導体の生産プロセスを簡潔に確認する。半導体の生産は3つのプロセスに分けることができる。(1)半導体の設計・開発、(2)前工程(集積回路の形成、ファウンドリー企業が担当)、(3)後工程(回路の切り出しやケースへの封入など)だ。(1)から(3)の順に、左から右へと流れるフローチャートを頭の中にイメージするとわかりやすいだろう。

 まず、半導体の設計・開発は、米国のアップルなど、一般的に「ファブレス」と呼ばれる企業が行う。例えば、米アップルはスマホやパソコンのICチップを設計、開発し、その生産をファウンドリーであるTSMCに委託する。アップルは設計と開発に注力することによって、生産施設の建設など負担を減らし事業運営の効率性向上を目指すことができる。

 前工程では、ファブレス企業である顧客の要請に基づき、TSMCはシリコンウエハ上に集積回路を形成する。特に、TSMCは集積回路の幅を小さくする微細化に注力し、顧客の要請に的確、かつ迅速にこたえてきた。TSMCは現時点で最先端といわれる回路線幅5ナノメートル(ナノは10億分の1)の生産ラインを確立した。同社は、次世代の2ナノメートルの回路線幅のチップ生産ラインの確立にも取り組んでいる。

 その結果、ファウンドリー分野でのTSMCの世界シェアは55%程度にまで拡大した。状況としては、世界の半導体産業の盟主の座が米インテルからTSMCにシフトしているように見える。TSMCが微細化を推進するうえで、東京応化は高純度のフォトレジスト供給者として重要な役割を担っている。

 3番目が後工程だ。後工程では、台湾の日月光半導体製造(ASE) や米国のアムコー・テクノロジーのシェアが高く、TSMCは後発といわれる。後工程では、ウエハを研磨し、切り出した集積回路をケースに封入するなどする。後工程では、メモリと演算装置を縦に積み上げるなどしてアップルなど最終製品メーカーが求める性能を実現することの重要性が高まっているようだ。

今、TSMCが東京応化などとの関係を重視する理由

 TSMCがさらなる成長を目指すために、前工程での微細化に加えて、3次元積層など後工程での技術の重要性は増している。特に、封入などに用いられる素材に関して、日本企業のシェアは高い。東京応化はその代表的企業だ。

 前後の両工程において、東京応化はコスト、感度、基板と部材の密着性など、世界の半導体メーカーの要求を満たす感光材を提供してきた。それが、TSMCの微細化と歩留まり向上に与えた影響は大きい。それは、日本の他の半導体部材メーカーや半導体製造装置メーカーにも当てはまる。そうした要素がなければ、日本政府からの熱心な呼びかけがあったとしても、TSMCは研究・開発拠点を設けないだろう。

 重要なことは、なぜ今、TSMCが日本に拠点を設けるかだ。世界的な半導体需要が見込まれる中で後工程への取り組みを強化することは、その理由の一つだろう。それ以外にもTSMCが日本を重視する理由が思い当たる。

 例えば、現在、台湾では世界的な半導体不足の深刻化などによって、電力や人材が不足している。干ばつによる水不足も深刻だ。TSMCがそうしたリスクに対応するために、日本において東京応化などとの関係を強化することは、柔軟なサプライチェーンを目指すために重要だろう。

 TSMCは地政学リスクにも対応しなければならない。経済の側面から考えると、「中国製造2025」の実現のために中国共産党政権は、TSMCをはじめとする台湾半導体産業への影響力の拡大を目指し、台湾への圧力を強めようとしているようだ。TSMCがそのリスクに対応するために、微細化や後工程分野での取り組み強化に欠かせない東京応化などが本拠地とする日本に研究開発拠点を設けることは、想定外の展開に対応するために重要といえる。

 先に示した半導体生産プロセスに基づいて考えると、TSMCが重視していることは、半導体生産の総合力向上だろう。そのために、TSMCは、微細化や後工程での取り組みなど自社の付加価値の源泉と、それを支える社外の要素を、鎖で強固につなぐようにして価値が自社外に逃げないようにし、競争優位性をさらに高めようとしているとの印象を持つ。

重要性増す東京応化など半導体部材メーカー

 東京応化がTSMCにとって不可欠なサプライヤーとしての地位を確立した背景には、日本産業の成長が影響している。1970年代以降、テレビなどの家電分野で日本企業は世界的シェアを獲得した。それが需要源となって日本の半導体産業が成長した。1986年に日本の半導体メーカーの世界シェアは米国を抜き、世界トップ10社のうち実に6社が日本企業だった。その多くが、東京応化が本社を置く神奈川県川崎市周辺(京浜工業地帯の一部)に拠点を置いた。今日、日本の半導体メーカーにかつての強さは見られない。

 しかし、東京応化は世界最大手のフォトレジストメーカーとしての競争優位性を発揮している。その根底には、同社が日本半導体メーカーの要求に応えて微細かつ高純度のモノづくりの力を磨き、さらにはその力を海外で発揮したことがある。

 世界経済全体の今後の展開を考えると、当面の間、半導体供給者としてのTSMCの重要性は増す可能性がある。TSMCは日本の半導体部材、製造装置メーカーとの関係を重視している。他方で、日本には、TSMCやサムスン電子などの半導体メーカー、アップルやエヌビディアなどのファブレス企業、アマゾンなどの大手ITプラットフォーマーが見当たらない。日本経済が世界経済のデジタル化の恩恵を享受するために、東京応化など半導体部材メーカーの重要性は高まるだろう。なぜなら、部品を組み立てて作られる機械やチップと異なり、微細な化学製品は模倣することが困難だからだ。

 ニッチな分野でのモノづくりの力は、中長期的な日本経済の展開に無視できない影響を与える可能性がある。日本の微細、および精緻なモノづくりの力が発揮され、それが世界のIT先端企業などから必要とされている足許の状況は、日本の企業と経済が成長を目指す“最後のチャンス”といっても過言ではない。

 東京応化をはじめ日本の半導体部材や製造装置関連企業がTSMCとの研究・開発を強化できれば、関連分野における日本企業のシェアは高まり、経済のダイナミズム向上にも相応の影響があるだろう。そうした観点から東京応化がどのように微細かつ高純度のモノづくりの力を高め、発揮するかに注目したい。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

「プロレス・格闘技」に、コピーを学ぶ

電通で、クリエーティブ・ディレクター/コピーライターを務めている橋口幸生氏。彼が招待するのは、広告とはまったく別の世界で活躍している「言葉の猛者」たち。

本連載では、隔月のペースで開催されるウェビナーの内容を、編集部視点で再編集。「新しいものは、必ず新しい言葉と共にやってくる」という橋口氏の視点の下で、言葉の持つ力や、その可能性についての考察を深めていく。

第2回にあたる本稿では、格闘家・青木真也氏と橋口氏の対談内容から、「プロレス・格闘技、声に出して読みたい名言・珍言たち。」と題されたウェビナーの肝の部分について紹介していきたい。

文責:ウェブ電通報編集部

 

言葉最前線
青木真也氏:総合格闘家。早稲田大学在学中に柔道から総合格闘技に転向。PRIDE、DREAMに参戦し、修斗世界ミドル級王座、DREAMライト級王座を獲得した。現在はONE Championshipに参戦。2度、世界ライト級王座を獲得している。著書に格闘技専門書の他、「空気を読んではいけない」「ストロング本能 人生を後悔しない『自分だけのものさし』」「距離思考 曖昧な関係で生きる方法」。文筆や講演にも活動の幅を広げ、「note」でのウェブ連載など多数。https://note.com/a_ok_i 橋口幸生氏:クリエーティブ・ディレクター/コピーライター。最近の代表作はロッテガーナチョコレート、「世界ダウン症の日」新聞広告、スカパー!堺議員シリーズなど。キリン「のどごし 夢のドリーム」、UFC日本大会など、プロレス・格闘技関連の仕事も手掛ける。「100案思考」「言葉ダイエット」著者。https://twitter.com/yukio8494


 

「言葉を持たない格闘家は、動物と同じ」(青木真也)

これは、青木氏の著書「ストロング本能」(KADOKAWA刊)の中で「自分の言葉を携えて、自分の物語を紡ぐ」に続けて述べられている言葉だ。青木氏いわく、「自分で思っていることは、自分で発しないと伝わらない。特に格闘家の声は、マスコミに持ってかれちゃう」との考えに至ったのだという。青木氏の言う「持ってかれちゃう」とは、「言葉の解釈を、勝手に変えられてしまう」ということだ。

noteでの連載「月刊青木真也」も、こうした気付きから始まった。「月刊青木真也」のことを橋口氏は、こう評する。「UFC(※)のように、試合だけをストイックに楽しむのではなく、試合周辺にある言葉を楽しむ、ということを久々に思い出させてくれたもの」だと。

単に勝ち負けを見届けるのではなく、その背景にある「さまざまな思い」といったものを言葉から読み解いてこそ、ゾクゾクするようなドラマ性が生まれる、ということだ。青木氏は言う。「ストイックに戦っているだけじゃ、無機質で味気ないじゃないですか。格闘技のダイナミズムは、野生動物のサバイバルとはまったく違うものなのだから」

※UFC JAPAN:アメリカの格闘技団体による日本での興行

 

青木真也
橋口と比べると、青木選手がいかに屈強な体をしているかが、よく分かる一枚。(橋口幸生)

 

「言葉の差は、教養の差」(青木真也)

「格闘技で生きていくために、格闘技以外のことを学ぶ重要性を感じています。必死に生きてきました。それだけは誇れます。僕は必死に生きてきた言葉を持っています」。そう、青木氏は語る。

2020年4月17日、「Road to ONE:2nd」で披露された「生きるっていうのは、家の中に居ることじゃねえ。目の前にあることと戦うことだ」という言葉からも、同じ信念がうかがえる。

「一言でいうと『生きろ!』みたいなことだと思うんです。ファンに対しても、自分に対しても。コロナ禍で試合の機会が減り、開催できたとしても無観客といった状況が続いている。格闘家の仕事って、人を勇気づける仕事だと思う。それができないもどかしさに、正直、押しつぶされそうになる」と、青木氏は語る。

そうした葛藤の中で、歴史や言葉というものを勉強することの大切さに、改めて気付かされた。「14世紀にイタリアを襲ったペストとの闘いなどは、その後、1世紀もの間、続くことになる。そうした我慢を経験した先で、ルネサンスが起こる。坂口安吾などを読み返しても『生きろ!』というメッセージがひしひしと伝わってくるんです」。人は何のために生きるのか。その深淵に迫るには、教養を身に付ける必要がある。教養は言葉となり、誰かの心に希望の灯をともすのだ。

青木真也
試合前の緊張感のある表情と、「幸せな時間が来る。」とのギャップが印象的な一枚。広告でいう、「絵とコピーの掛け算」が見事です。(橋口幸生)

「言葉は作るものではなく、拾うもの」(青木真也)

「36歳になって、家庭壊して、好きなことやって、どうだお前らうらやましいだろう?」。この言葉は、2019年10月13日の「ONE:CENTURY 世紀」で放たれた青木氏のあおり文句だ。「実はこの言葉、鈴木おさむさん脚本・監督の映画『ラブ×ドック』の中に登場するセリフを、自分に置き換えたものなんです。言葉って、拾うものだと僕は思ってるんですよ。ただ単に横着してるだけ、かもしれないけど(笑)」

そんな青木氏の指摘に、「それは、まさしくクリエイターの視点だ」と橋口氏は舌を巻く。「広告コピーなどはまさにそうで、無理やり作り出すものではなく、見つけてくるものなんです。世の中に普通に転がっている言葉、クライアントの中で当たり前のように使われている言葉を、ひょいとつまみあげてみる感じ。石ころに見えているものが、実はダイヤの原石かもしれない。そんなワクワクと共に、僕はいつも言葉を拾ってる。言葉を見つけるためには、とにかく人と話すことだと思います。リモートでも、いいじゃないですか。話をしているうちに、気になる言葉と必ず巡り合える。それを拾いあげて磨いてみる、というのが実はコピーライターの基本動作なんです」

青木真也
練習中の一枚。勝敗はコントロールできない、だから「あとは運」と言えるまで頑張る。そう、青木選手は言う。(橋口幸生)

泣く、笑う、あきれる。それが「声に出して読みたい言葉」たち

ウェビナーの後半は、橋口氏が紹介する「古今東西のプロレス・格闘技の声に出して読みたい言葉」の数々に青木氏がコメントを挟む、というラリーの応酬となった。中には、誰もが知るプロ野球の国民的スターの言葉などもあった。具体的な事例については割愛するが、青木氏のコメントを総括すると、いずれの言葉も「泣く、笑う、あきれる」のいずれかの要素を強烈に満たしている、ということになると思う。

体こそが資本の、試合に勝つことが全てとも思える、プロレスラーや格闘家。一見すると、言葉を紡ぐという行為から懸け離れた真逆な所にいる人たちのようだが、そうではない。自らの立場や、素の自分というものと徹底的に対峙(たいじ)した末に繰り出される言葉には力があり、時には泣かされ、時には笑わされ、時にはあまりの意外さに感心を通り越してあきれてしまう。同時にそれは、人の心を揺さぶるエンターテインメントの本質そのものとも言える。

橋口氏と青木氏のやりとりを聞いていて、こんなことを思った。「声に出して読みたい」とは、「その言葉を反すうしたい」という気持ちの表れではないだろうか。書き言葉(文字)が、理性で解釈した後に感性に響いてくるものなのに対して、話し言葉(音声)は、ダイレクトに心に届くものだからだ。そして、心に響いた言葉は、いつまでも強く記憶に残る。

青木真也
憧れの人に会うと、男でも乙女ポーズをしてしまうものなんですね……。(橋口幸生)

ギリギリの言葉は、強い

「真剣勝負」とか「命を懸けている」という言葉、僕、嫌いなんですよね、と青木氏は言う。「だって、そうでしょう。真剣といったって、本物の刀を振り回して殺し合いをするわけじゃない。だから、あなたがやっていることは、真剣勝負ごっこでしょ?命懸けてるふうでしょ?と、いつも僕はちゃかしてる」

「本物の言葉には確かな熱があり、その熱は、うそや見えからは決して生まれないんですよね」、そう、橋口氏は同調する。プロレス・格闘技の「声に出して読みたい名言・珍言たち」には、そうした確かな熱があるのだ、と。

青木氏によれば、プロレスラーや格闘家が残した名言・珍言の多くは、「言葉遊び」と「ルール遊び」に長けているのだという。「ルール遊び」とは、ちょっと分かりづらいが、「巧みなセルフプロデュースにより、自身や自身の団体にとって有利な仕組みを、世の中の空気と一緒に作り上げていく」、ということらしい。あれ?それってまさに「広告制作の教科書の1ページ」に書いてあることではなかったか。今回、橋口氏が青木氏を招待した本当の狙いは、実はそこにあったのかもしれない。

最後に青木氏は、こう締めくくった。「そして、言葉遊びで一番大事なことは、ギリギリを攻めているかどうか、ということだと思います。ここまでは、許される。ここまでなら、心地いい。ここから先は、ダサくなる。そのギリギリを突かれると、人は心をぐっとつかまれるものですから」

青木真也
軽い気持ちでヘッドロックをかけてもらったら、驚くほど痛い!歯が折れるかと思うほど。そう、痛みって記憶に残るんです。(橋口幸生)
※本連載は、「言葉最前線」と題されたウェビナーの内容を、主催者でありMC役でもある橋口幸生氏(CXCC局)の監修のもと、ウェブ電通報独自の視点で編集したものです。



【参加者募集中】 
「言葉最前線」Vol.3ウェビナー 7月12日(月)開催決定!
辻愛沙子×橋口幸生 「社会を動かす広告の言葉

橋口幸生
ゲストは報道番組「news zero」のコメンテーターも務める、arcaのクリエイティブディレクター、辻愛沙子(つじ・あさこ)さん。社会派クリエイティブを掲げ、「思想と社会性のある事業作り」と「世界観に拘る作品作り」の二つを軸として、広告制作、商品企画、イベントプロデュース、女性をエンパワメントするプロジェクト「Ladyknows」主宰など、さまざま領域で活躍中。ウェビナーでは、多彩な活動を通じて辻さんが掲げる「社会派クリエイティブ」について、言葉から迫ります。

・日時:7月12日(月)20時~21時30分
・参加費:1,500円(税別)

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「プロレス・格闘技」に、コピーを学ぶ

電通で、クリエーティブ・ディレクター/コピーライターを務めている橋口幸生氏。彼が招待するのは、広告とはまったく別の世界で活躍している「言葉の猛者」たち。

本連載では、隔月のペースで開催されるウェビナーの内容を、編集部視点で再編集。「新しいものは、必ず新しい言葉と共にやってくる」という橋口氏の視点の下で、言葉の持つ力や、その可能性についての考察を深めていく。

第2回にあたる本稿では、格闘家・青木真也氏と橋口氏の対談内容から、「プロレス・格闘技、声に出して読みたい名言・珍言たち。」と題されたウェビナーの肝の部分について紹介していきたい。

文責:ウェブ電通報編集部

 

言葉最前線
青木真也氏:総合格闘家。早稲田大学在学中に柔道から総合格闘技に転向。PRIDE、DREAMに参戦し、修斗世界ミドル級王座、DREAMライト級王座を獲得した。現在はONE Championshipに参戦。2度、世界ライト級王座を獲得している。著書に格闘技専門書の他、「空気を読んではいけない」「ストロング本能 人生を後悔しない『自分だけのものさし』」「距離思考 曖昧な関係で生きる方法」。文筆や講演にも活動の幅を広げ、「note」でのウェブ連載など多数。https://note.com/a_ok_i 橋口幸生氏:クリエーティブ・ディレクター/コピーライター。最近の代表作はロッテガーナチョコレート、「世界ダウン症の日」新聞広告、スカパー!堺議員シリーズなど。キリン「のどごし 夢のドリーム」、UFC日本大会など、プロレス・格闘技関連の仕事も手掛ける。「100案思考」「言葉ダイエット」著者。https://twitter.com/yukio8494


 

「言葉を持たない格闘家は、動物と同じ」(青木真也)

これは、青木氏の著書「ストロング本能」(KADOKAWA刊)の中で「自分の言葉を携えて、自分の物語を紡ぐ」に続けて述べられている言葉だ。青木氏いわく、「自分で思っていることは、自分で発しないと伝わらない。特に格闘家の声は、マスコミに持ってかれちゃう」との考えに至ったのだという。青木氏の言う「持ってかれちゃう」とは、「言葉の解釈を、勝手に変えられてしまう」ということだ。

noteでの連載「月刊青木真也」も、こうした気付きから始まった。「月刊青木真也」のことを橋口氏は、こう評する。「UFC(※)のように、試合だけをストイックに楽しむのではなく、試合周辺にある言葉を楽しむ、ということを久々に思い出させてくれたもの」だと。

単に勝ち負けを見届けるのではなく、その背景にある「さまざまな思い」といったものを言葉から読み解いてこそ、ゾクゾクするようなドラマ性が生まれる、ということだ。青木氏は言う。「ストイックに戦っているだけじゃ、無機質で味気ないじゃないですか。格闘技のダイナミズムは、野生動物のサバイバルとはまったく違うものなのだから」

※UFC JAPAN:アメリカの格闘技団体による日本での興行

 

青木真也
橋口と比べると、青木選手がいかに屈強な体をしているかが、よく分かる一枚。(橋口幸生)

 

「言葉の差は、教養の差」(青木真也)

「格闘技で生きていくために、格闘技以外のことを学ぶ重要性を感じています。必死に生きてきました。それだけは誇れます。僕は必死に生きてきた言葉を持っています」。そう、青木氏は語る。

2020年4月17日、「Road to ONE:2nd」で披露された「生きるっていうのは、家の中に居ることじゃねえ。目の前にあることと戦うことだ」という言葉からも、同じ信念がうかがえる。

「一言でいうと『生きろ!』みたいなことだと思うんです。ファンに対しても、自分に対しても。コロナ禍で試合の機会が減り、開催できたとしても無観客といった状況が続いている。格闘家の仕事って、人を勇気づける仕事だと思う。それができないもどかしさに、正直、押しつぶされそうになる」と、青木氏は語る。

そうした葛藤の中で、歴史や言葉というものを勉強することの大切さに、改めて気付かされた。「14世紀にイタリアを襲ったペストとの闘いなどは、その後、1世紀もの間、続くことになる。そうした我慢を経験した先で、ルネサンスが起こる。坂口安吾などを読み返しても『生きろ!』というメッセージがひしひしと伝わってくるんです」。人は何のために生きるのか。その深淵に迫るには、教養を身に付ける必要がある。教養は言葉となり、誰かの心に希望の灯をともすのだ。

青木真也
試合前の緊張感のある表情と、「幸せな時間が来る。」とのギャップが印象的な一枚。広告でいう、「絵とコピーの掛け算」が見事です。(橋口幸生)

「言葉は作るものではなく、拾うもの」(青木真也)

「36歳になって、家庭壊して、好きなことやって、どうだお前らうらやましいだろう?」。この言葉は、2019年10月13日の「ONE:CENTURY 世紀」で放たれた青木氏のあおり文句だ。「実はこの言葉、鈴木おさむさん脚本・監督の映画『ラブ×ドック』の中に登場するセリフを、自分に置き換えたものなんです。言葉って、拾うものだと僕は思ってるんですよ。ただ単に横着してるだけ、かもしれないけど(笑)」

そんな青木氏の指摘に、「それは、まさしくクリエイターの視点だ」と橋口氏は舌を巻く。「広告コピーなどはまさにそうで、無理やり作り出すものではなく、見つけてくるものなんです。世の中に普通に転がっている言葉、クライアントの中で当たり前のように使われている言葉を、ひょいとつまみあげてみる感じ。石ころに見えているものが、実はダイヤの原石かもしれない。そんなワクワクと共に、僕はいつも言葉を拾ってる。言葉を見つけるためには、とにかく人と話すことだと思います。リモートでも、いいじゃないですか。話をしているうちに、気になる言葉と必ず巡り合える。それを拾いあげて磨いてみる、というのが実はコピーライターの基本動作なんです」

青木真也
練習中の一枚。勝敗はコントロールできない、だから「あとは運」と言えるまで頑張る。そう、青木選手は言う。(橋口幸生)

泣く、笑う、あきれる。それが「声に出して読みたい言葉」たち

ウェビナーの後半は、橋口氏が紹介する「古今東西のプロレス・格闘技の声に出して読みたい言葉」の数々に青木氏がコメントを挟む、というラリーの応酬となった。中には、誰もが知るプロ野球の国民的スターの言葉などもあった。具体的な事例については割愛するが、青木氏のコメントを総括すると、いずれの言葉も「泣く、笑う、あきれる」のいずれかの要素を強烈に満たしている、ということになると思う。

体こそが資本の、試合に勝つことが全てとも思える、プロレスラーや格闘家。一見すると、言葉を紡ぐという行為から懸け離れた真逆な所にいる人たちのようだが、そうではない。自らの立場や、素の自分というものと徹底的に対峙(たいじ)した末に繰り出される言葉には力があり、時には泣かされ、時には笑わされ、時にはあまりの意外さに感心を通り越してあきれてしまう。同時にそれは、人の心を揺さぶるエンターテインメントの本質そのものとも言える。

橋口氏と青木氏のやりとりを聞いていて、こんなことを思った。「声に出して読みたい」とは、「その言葉を反すうしたい」という気持ちの表れではないだろうか。書き言葉(文字)が、理性で解釈した後に感性に響いてくるものなのに対して、話し言葉(音声)は、ダイレクトに心に届くものだからだ。そして、心に響いた言葉は、いつまでも強く記憶に残る。

青木真也
憧れの人に会うと、男でも乙女ポーズをしてしまうものなんですね……。(橋口幸生)

ギリギリの言葉は、強い

「真剣勝負」とか「命を懸けている」という言葉、僕、嫌いなんですよね、と青木氏は言う。「だって、そうでしょう。真剣といったって、本物の刀を振り回して殺し合いをするわけじゃない。だから、あなたがやっていることは、真剣勝負ごっこでしょ?命懸けてるふうでしょ?と、いつも僕はちゃかしてる」

「本物の言葉には確かな熱があり、その熱は、うそや見えからは決して生まれないんですよね」、そう、橋口氏は同調する。プロレス・格闘技の「声に出して読みたい名言・珍言たち」には、そうした確かな熱があるのだ、と。

青木氏によれば、プロレスラーや格闘家が残した名言・珍言の多くは、「言葉遊び」と「ルール遊び」に長けているのだという。「ルール遊び」とは、ちょっと分かりづらいが、「巧みなセルフプロデュースにより、自身や自身の団体にとって有利な仕組みを、世の中の空気と一緒に作り上げていく」、ということらしい。あれ?それってまさに「広告制作の教科書の1ページ」に書いてあることではなかったか。今回、橋口氏が青木氏を招待した本当の狙いは、実はそこにあったのかもしれない。

最後に青木氏は、こう締めくくった。「そして、言葉遊びで一番大事なことは、ギリギリを攻めているかどうか、ということだと思います。ここまでは、許される。ここまでなら、心地いい。ここから先は、ダサくなる。そのギリギリを突かれると、人は心をぐっとつかまれるものですから」

青木真也
軽い気持ちでヘッドロックをかけてもらったら、驚くほど痛い!歯が折れるかと思うほど。そう、痛みって記憶に残るんです。(橋口幸生)
※本連載は、「言葉最前線」と題されたウェビナーの内容を、主催者でありMC役でもある橋口幸生氏(CXCC局)の監修のもと、ウェブ電通報独自の視点で編集したものです。



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「言葉最前線」Vol.3ウェビナー 7月12日(月)開催決定!
辻愛沙子×橋口幸生 「社会を動かす広告の言葉

橋口幸生
ゲストは報道番組「news zero」のコメンテーターも務める、arcaのクリエイティブディレクター、辻愛沙子(つじ・あさこ)さん。社会派クリエイティブを掲げ、「思想と社会性のある事業作り」と「世界観に拘る作品作り」の二つを軸として、広告制作、商品企画、イベントプロデュース、女性をエンパワメントするプロジェクト「Ladyknows」主宰など、さまざま領域で活躍中。ウェビナーでは、多彩な活動を通じて辻さんが掲げる「社会派クリエイティブ」について、言葉から迫ります。

・日時:7月12日(月)20時~21時30分
・参加費:1,500円(税別)

お申し込みはこちらから
https://peatix.com/event/1948644/view=

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アルツハイマー治療薬が米国で承認、専門家の間でも物議…日本医療にも甚大な影響の可能性

 米食品医薬品局(FDA)は6月7日、米バイオジェン社の「アデュカヌマブ」をアルツハイマー病(AD)の治療薬として迅速承認した。米国でのAD治療薬の承認は、2003年10月のメマンチン以来、18年ぶりとなる。しかし、アデュカヌマブの承認には、海外のみならず日本でも疑問視する声が多い。

 FDAが行う迅速承認(Accelerated approval)プログラムは、生命にかかわる重篤な疾患の治療薬で、「治療開発の必要性」を満たす医薬品が対象となる。迅速承認制度は、通常の医薬品の認証制度で行われる評価項目の代わりになる「代替評価項目」に基づいて承認する。代替評価項目は、対象となる医薬品がどの程度の治療効果があるかを示す間接的な指標である。その指標は予測的な側面もあるため、迅速承認後も検証的臨床試験が必要であり、対象医薬品の有用性を示すことが必要である。承認後の臨床試験によって、その効果や有用性が認められなければ承認が取り消されるという不安もあり、迅速承認自体に100%の信頼が持てるとはいいがたい。

アルツハイマー病の原因はひとつではない

 近年、認知症に関する研究が進み、その原因はひとつではないことが解明されている。そのなかでも「リコード法」による治療効果は目を見張るものがある。日本初のリコード法認定医、ブレインケアクリニック名誉院長の今野裕之医師に話を聞いた。

「アデュカヌマブに期待はしています。しかし、アルツハイマー認知症の根本的治療薬ではないと考えています。実は従来、アルツハイマー病はアミロイドベータという物質が脳に蓄積することで起こるとする『アミロイド仮説』が信じられており、それをもとに薬の開発が行われてきました。しかし、この仮説に基づいた治療薬が期待された結果を出せなかったことから、アミロイド仮説の信頼性が揺らいでいるのです」

 実は、若い人の脳内でもアミロイドベータがつくられることがあるが、加齢などの影響によりアミロイドベータが適切に処理・排出されずに凝集し蓄積するとアミロイド斑ができ、認知機能に影響する。しかし、アミロイドベータはアルツハイマー病の本当の原因ではないかもしれないのだ。

「これまで報告されている研究結果のなかには、死後の解剖で脳に多くのアミロイド斑がみられたが、死ぬまで認知機能に問題がなかった人もいます。アミロイドベータは健康な人の脳内にも存在しますが、単体ではあまり害はなく、むしろ抗菌作用や抗酸化作用、神経保護作用など有益な効果があることが報告されています。つまり、アミロイドベータは脳に害を及ぼす問題に対する防御反応として増えているとも考えられるのです。しかし、なんらかの原因でアミロイドベータが凝集しアミロイド斑となってしまうと、アルツハイマー病の発症につながります」

 アルツハイマー病の発症に影響するものはアミロイド斑だけでなく、遺伝的要素や特定の薬物、ライフスタイル、環境要因、そしてタウ等のタンパク質など、さまざまな要素が原因となっている。複雑な原因から発症するアルツハイマー病に対し、アデュカヌマブはアミロイド斑を唯一標的にしており、ほかの要素にはまったく影響しない。このアミロイド斑を減らすことと認知機能の低下を遅らせることに関しては、明確な関連性が証明されていない。

追加データから有効性を導き出した?

 また、アデュカヌマブの開発に至るまでの経緯に疑問を感じるとの声も多く上がっている。

「アミロイドベータに対するワクチン療法が当初開発されましたが、ワクチン投与により脳炎の副作用が出現したため、それを回避するためにつくられた薬がアミロイドベータに対するヒトモノクローナル抗体であるアデュカヌマブです」

 大きな期待が寄せられたアデュカヌマブだったが、2019年の治験では思わしい結果が出ず、一度は中止となったが、その後、承認へと一転した。

「中止となった際に加えられていなかったデータを追加し、解析し直したところ、症状の悪化を抑制したという結果が得られたのですが、それまでの経緯を踏まえると、欧米でも専門家の意見は賛否両論で、承認すべきではなかったという意見もあるようです」

 また、今回のFDAのアデュカヌマブ迅速承認には、エビデンスの質を疑う声が多いだけでなく、その副作用にも懸念がある。アデュカヌマブは治験参加者の約40%に脳浮腫の副作用がみられ、使用に際しては定期的な検査を必要とする。

 FDAは承認の条件としてアミロイド斑の減少が患者の病状改善につながっていることを証明するための臨床試験を製薬会社に要求しており、このことが証明されなければ承認が取り消される可能性がある。

効果は限定的な可能性

 アデュカヌマブ承認のニュースを受け、6月8日の東京株式市場では、バイオジェン社と共同開発するエーザイの株価が急騰して値がつかない状況が続き、この日エーザイ株は米国預託証券(ADR)で56%上昇、東京株式市場8日午前で19%高となった。

 これほどの期待を寄せられたのは、アデュカヌマブがアルツハイマー認知症の根本治療薬であるという“過大イメージ”が先行したことが大きな要因だろう。しかし、その作用は根本的なものではないかもしれない。アデュカヌマブはアミロイド仮説に基づいてつくられているが、前述したようにアルツハイマー病の真の原因はアミロイドベータではない可能性がある。また、仮にアミロイド仮説が成り立つとしても、脳の萎縮が進行し、かなりの脳細胞が死滅した患者では、アミロイドベータを取り除いても萎縮した脳が元に戻ることは期待が薄い。

高額な医療費

 費用は軽度の認知障害を持つ平均体重の患者に対し、年間卸価格が5万6000ドルになるといわれている。日本で承認された場合、約613万円になる。また、治療に確定診断が必要となれば、「アミロイドペット検査」によりアミロイドベータ蓄積の有無や程度を調べることができるが、現在は自由診療のため検査費用は数十万円に上るため、治療費はさらに高額になるだろう。

 根本治療ではないばかりか、副作用が起きる可能性もある高額なアデュカヌマブに対し、保険適用する意義があるのかという疑問を感じるのが正直なところだ。日本での承認には、医療費の問題の解決が必須だ。

 承認されれば日本の医療に大きな影響を与えることになるアデュカヌマブの開発に対し、エーザイの思いを聞きたいと取材を申し込んだが、「辞退する」との返答だった。今後の臨床試験と評価が、公正に行われることを願う。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)



吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

ワークマンのリバーシブルセットは4800円!使い勝手バツグンの“次世代スーツ”3選

 ビジネスシーンで欠かせないアイテムの1つである「スーツ」。商談や会議などに参加するときに活躍しますが、体を大きく動かすような作業には不向きですよね。しかし、最近は“動きやすさ”に特化した“次世代スーツ”が続々と登場している模様。そこで今回は、新たなスタイルを提唱したスーツを3つご紹介しましょう。

カジュアルすぎない“きちんと感”を演出したセットアップスーツ

 スーツといえばジャケットとワイシャツを着用するため、暑い夏になれば着るのが嫌になる人も少なくないはず。しかし、AOKIが展開するショップ「ORIHICA」の「シャツパンスーツ」(4290円)は半袖シャツ×パンツのセットアップスーツで、スーツ特有の“暑苦しさ”を感じさせない新商品です。

 そもそも多くの人がリモートワークを実施しているため、リラックスできる着心地と“きちんと感”を兼ね備えた服装が人気のよう。「シャツパンスーツ」のシャツとズボンは同素材でつくられており、カジュアルすぎない“きちんと感”をしっかりと演出。また、動きやすくするための“ストレッチ素材”や、パンツのウエスト部分に着席時の窮屈感を軽減する“シャーリング”が使用されています。

 快適なリモートワークを実現する新スーツは大好評で、「着心地が抜群に良くて動きやすいので、ストレスなく仕事できる」「プライベートでも着れるから1着持っておくのがおすすめ」などのコメントが尽きません。

 ちなみに“ORIHICA限定店舗”で「シャツパンスーツ」の“ショートパンツVer”(4290円)も販売中。好みのタイプをぜひゲットしてみてくださいね。

リバーシブルタイプのワークスーツ!?

「シャツパンスーツ」はデスクワークであれば使い勝手の良いウェアですが、アクティブに動く作業の場合はワークマンの「SOLOTEX(R)リバーシブルワークスーツ」(上下セットで4800円)が最適かも。

“リバーシブルジャケット”(2900円)と“2WAYパンツ”(1900円)がセットになった同商品ですが、ジャケットは“裏返しにすれば作業服になる”というリバーシブルウェア。そのまま着ればビジネスシーンで役立つ“ジャケットスタイル”になり、裏面にすれば収納力抜群の“着脱式フードつきのパーカー”に早変わりします。

「耐久撥水」加工も施されているため、外出中に急な雨が降っても安心。また、ジャケットだけでなくパンツのポケットにも便利な仕掛けが。右後ろポケットが工具袋のような“大容量ポケット”に変身するそうです。

 購入者からは「シーンによって使い分けられるのがかなりありがたい」「ポケッタブル仕様なので、手軽に持ち運べる。カバンに忍ばせておけば、急にジャケットが必要になっても問題なし」といった反響が。

世界初の“スーツに見える作業着”

 作業着としても使えるスーツといえば、オアシススタイルウェアの「ワークウェアスーツ」も見逃せません。

「ワークウェアスーツ」は世界初の“スーツに見える作業着”で、スーツのフォーマル感と作業着の機能性を兼ね備えた優れものです。ワークマンの「リバーシブルワークスーツ」と同様に水や汚れに強く、コンパクトに折りたためるなどのメリットがあります。

“洗濯機で洗えない”というイメージが強いスーツですが、同商品は“毎日洗える”のが魅力の1つ。バリエーションは定番の「テーラードジャケット」(1万9800円)や「アンクルストレートパンツ」(1万3200円)に加えて、軽量化に成功したライトモデル「テーラードライトジャケット」(1万7600円)などを取り揃えています。

「テーラードライトジャケット」は裏地がなく通気性の良いデザインにもなっているため、暑い夏に最適な一着。すでに「ワークウェアスーツ」を利用している人からは、「見た目は完全なスーツだけど、ジャージと変わらないくらい着心地が軽い」などの感想が。もっと身軽にスーツを着こなしたい人にとっては必見のアイテムですね。

(文=編集部)

※商品の価格は記事作成時の実売価格です。

松本人志「コア視聴率問題」は本当か…製作現場では「TVerでの回転率を重視」の指摘も

 長きにわたってお笑い界のトップに君臨し続ける松本人志(57)。去る6月12日にオンエアされた『キングオブコントの会』(TBS系)の世帯視聴率が6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことに対して「キングオブコントの会は内容的にも視聴率的にも大成功でした ネットニュースっていつまで“世帯”視聴率を記事にするんやろう? その指標あんま関係ないねんけど。。。」と自身のTwitterに投稿。メディアが「視聴率」を扱う際に参照することが多い「世帯視聴率」に異論を唱えたことが物議をかもしているのだ。

 これに対し、多くのレギュラー番組を抱えるある放送作家はこう語る。

「確かにいまテレビ局では、CM枠を買ってくれるクライアントに対しては『コア視聴率』がもっとも重視されています。ざっくりいうと49歳以下を対象にした視聴率なのですが、各局で呼称が違い、また各局で扱う年齢の幅も異なるため、オフィシャルな指標としては出しづらいんです。なので、公表されるのは世帯視聴率のみ、ということになってしまう。例えば世帯視聴率はさほど高くない『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は、実はコア視聴率が高いため、CM枠は飛ぶように売れています。ゆえに、松本さんがTwitterで語ったことは、ある側面では正しいといえます。

 しかし、そもそも視聴率をランキング化してあおったり、『年間三冠王』などと騒いでいたのもまた、テレビ局の側。それを、『今は世帯視聴率は重視してないから、記事にするな』といわれてもねえ。なので、高視聴率をうたい文句にさんざんお茶の間をあおってきたくせに、今さらそんなこと言われても……という声がメディアの側に多いのも事実です」

アドリブだらけの『キングオブコントの会』を、お茶の間は本当に楽しんだのか?

 では、そもそも松本人志がコア視聴率に言及した『キングオブコントの会』は、“本当に成功した”のだろうか?

「松本さんが言うように、コア視聴率で横並びトップだったのは成功といえるでしょう。しかし、松本さんがつくったとされる2本のコントに関しては、『民放20年ぶりの新作コント』とのうたい文句のわりには、2本ともあの『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)が生んだ名物キャラ『キャシィ塚本』っぽい雰囲気で、特段新しさは感じられませんでしたよね……。

 このコントの収録で松本さんは、台本通りには進めずアドリブで展開していく“ごっつええ感じ方式”でやったそうなのですが、共演した後輩芸人たちはみんな面食らったそうです。台本通りにしかコントをやったことがない後輩芸人からすると、天才・松本人志に合わせるだけで大変だったでしょうね。そんな彼らの戸惑いは画面からも伝わってきたため、仕上がりまくった傑作コントという感じではなかった。松本さん的には満足のいく仕上がりになったのかもしれませんが、お茶の間がどこまで笑ったかは、正直なところ微妙ではないかと思いますね」(前出の放送作家)

実は番組制作の現場では、「TVerや動画配信サービスでどれだけ観られているか」が重要視されている

 あと2年と少しで還暦を迎えるという年齢ながら、いまだお笑い界のトップを走り続ける松本人志。彼が本当の意味で、視聴率的にも内容的にも再びお茶の間を席巻する日は来るのだろうか? あるテレビ局のプロデューサーは次のように語る。

「松本さんが言うように、もはや世帯視聴率で我々は商売をしてません。ではそれがコア視聴率に移行したのかというと、実はそういうわけでもないんです。たとえば今、スポンサー営業的に重視されるコア視聴率とは別に、現場の指標としては、バラエティもドラマも、TVerや動画配信サービスでどれだけ観られているか、という視点が非常に重要視されています。だから松本さんが本当に『視聴率的にも成功した』のだと世間にいわしめたいのならば、例えばYouTubeでやってみせるのがもっともわかりやすいのでしょうね。

 松本さんのつくる笑いは“作家性”がとても強い。それが評価されたからこそ、Amazonプライム・ビデオで手がける『ドキュメンタル』や『FREEZE』は、ともに2020年の年間ランキングのツートップを独占したのでしょう。しかし、同サービスでは、実際の再生回数は公表されていません。これがYouTubeとなれば再生数がはっきり出るわけで、もっともフェアだといえる。ゆえにもし松本さんが視聴率的な評価に不満を抱えているなら、ぜひとも“ストロングスタイル”のYouTubeでやっていただきたいところではある。

 とはいえ、かつてのライバルであるとんねるずがテレビから締め出される一方で、ダウンタウンはいまだにテレビ界のど真ん中に君臨し続けている。そんな状況下で、そんな不利な戦いはしないでしょう。吉本芸人がここまでバラエティ界を席巻している以上、松本さんがテレビから締め出されることはまだまだないでしょうし、となれば、そもそも視聴率なんて気にする必要もないはず。今回の視聴率に対する松本さんの苦言は、“キングオブバラエティ”ならではの“高次元な悩み”なのではないでしょうか」

 今のお笑い番組のベースを作り上げ、しかもそれを常にアップデートし続けてきた男、松本人志。孤高の天才が抱える悩みは、まだまだ尽きそうもないようだ。

(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara

かまいたち、若手時代は「パチスロ狂い」で借金まみれ!? 人気芸人の「ギャンブル失敗談」が大反響!

 お笑いコンビ・かまいたち。その活躍ぶりは目覚ましく、ニホンモニター調べによる「2021年上半期タレント番組出演本数ランキング」では、ボケ担当の山内健司が「201番組」で堂々の18位にランクインしている。

 かまいたちは山内とツッコミの濱家隆一からなるコンビで、2004年に結成。キングオブコント2017で優勝を果たすと2018年には東京へ進出し、現在はお笑い番組のみならず、多くの番組に出演中だ。

 また、2020年からは公式YouTubeチャンネル「かまいたちチャンネル」を開設し、コンスタントに動画をアップ。7月2日現在、チャンネル登録者数は118万人を超えるなど、こちらも抜群の人気を誇っている。

 そんな同チャンネルでは先日、「【パチスロ】かまいたち山内・濱家がパチスロBEST5を発表」を公開。1時間を超える長尺の中、ベスト5と謳いながらも4号機を中心に多くの機種を紹介しており、彼らのパチスロ愛を窺い知ることができる。
 
 このほかの注目動画としては、「【ギャンブル】かまいたち山内がギャンブルで経験してきた失敗を全て話します!」がある。

 こちらは文字通り、過去に後輩芸人から「ギャンブルデブ」と呼ばれた山内のギャンブルによる失敗談で、まず山内はギャンブルを始めたきっかけを告白。初打ちは4号機『サンダーV』だそうで、3千円で射止めたビッグで「コインが出てくるのが面白かった」と振り返っている。

 その後、パチスロ攻略誌で勉強した山内は、同じく4号機の『ドンちゃん2』や『玉緒でポン』などにハマり、一時期は「大学へも行かなかった」と発言。バイト代や仕送りでも足りないほど負け続け、両親などに借金を重ねていったという。

 そんなある日、『猛獣王』の連チャン中にヤメようとした客に極力へりくだりながら話しかけ、ちゃっかりと譲ってもらったとのこと。既に前任者が「30万円分」くらいの出玉を持ち帰ったそうだが、そのまま閉店まで当たり続けて「60万円」くらいプラスになったという。

 これが「人生を変えた転機」と語った山内だが、翌日はクソ負け。以降、大学を卒業してNSCへと入学した後もパチンコ屋に通い続けるほどのめり込んだそうだ。

 結果、消費者金融にも借金をし、「借金=貯金」という感覚に。パチスロと無縁だった当時の彼女をも巻き込んでしまったそうで、その人の「今後の人生を変えちゃう可能性がある」と当時を回想しつつ、他人を巻き込むことへの危険性を注意喚起している。

 加えて、借金してまで打って「勝ったヤツを見たことがない」と、ギャンブルでの借金は「身を滅ぼす」ともコメント。あくまで娯楽という点を忘れずに、「自分の楽しめる範囲」で楽しむのが一番との教訓も述べている。

 パチスロにどっぷりとハマったものならば、思わず誰もが頷いてしまう内容。自らを律するためにも、一度は見ておくべきであろう。 

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JRA「超弩級」の大外分回しで1番人気ボーデン6着轟沈……「申し訳ないです」キャリア初重賞1番人気の代役・武藤雅に「川田なら……」の声

 4日、福島競馬場で行われたラジオNIKKEI賞(G3)は、4番人気のヴァイスメテオール(牡3歳、栗東・木村哲也厩舎)が重賞初制覇。日本ダービー(G1)トライアルのプリンシパルS(L)で1番人気に推された素質馬が、実りの秋へ大きな弾みをつけた。

 一方、秋へ向けて手痛い敗戦を喫したのが、同じ木村厩舎の1番人気ボーデンだ。

 16頭立て、芝1800mのレース。スタートで出遅れた3枠5番のボーデンは、後方からの競馬を強いられた。これまで好位から粘り込む競馬を身上としていただけに、鞍上の武藤雅騎手のレースプランは大きく計算が狂ってしまった。

 致命傷となったのが4コーナーだ。相棒の力を信じ、外からまくりの競馬に出た武藤騎手だったが、内を走る馬たちが激しく抵抗……8頭が横一線になる中、あろうことか一番大外を回る羽目になってしまった。

 こうなると福島の短い直線で挽回することは極めて難しい。結局、ボーデンは後方から追い上げを見せたものの6着までが精一杯……1枠2番の好枠を活かし、馬場の真ん中内目から突き抜けたヴァイスメテオールとは、あまりにも対照的な結果となった。

 この結果には、ネット上の競馬ファンもSNSや掲示板などで「あり得ないブン回し」「あれで完全に終わった」「言いたくないけど、さすがに下手過ぎる」「川田なら……」と不満の声が続々……重賞の1番人気馬だっただけに、納得いかないファンも少なくなかったようだ。

「もったいないレースになってしまいました。レース後に武藤騎手が『スタートが全て』と話していた通り、出遅れてしまったことが敗戦の起因になっていることは確かですが、スタート直後から自分で外へ持ち出した判断には疑問が残りますね。

というのも、この日の福島はまだ開幕2日目と馬場コンディションが良く、小回りということもあって、内目を通った馬たちがよく馬券に絡んでいたからです。

その結果、極端な大外を回る羽目になった最終コーナーでも、内を突く選択肢もあったはず。もちろん重賞で1番人気の馬ですから『確実に外を回したい』という気持ちもわかりますが、今回はそれが完全に裏目に出た格好でした」(競馬記者)

 実際に、この日のラジオNIKKEI賞は勝ったヴァイスメテオールこそ、最後の直線は真ん中内目だったが、11番人気・7番人気・9番人気で2・3・4着したワールドリバイバル、ノースブリッジ、タイソウらは揃ってインから粘り込む競馬。大外を回ったボーデンには、あまりに苦しい展開だった。

 ボーデンが抽選対象だったこともあり、この日、主戦の川田将雅騎手は小倉で騎乗。代役に抜擢された5年目の武藤騎手にとって、今回のラジオNIKKEI賞は千載一遇のチャンスだった。

 いや、キャリア初の重賞1番人気だったことを鑑みると「最大のチャンスだった」といえるだろう。

 デビューイヤーに24勝を挙げ、2年目も37勝。乗れる若手の1人として注目されていた武藤騎手だが、ここ数年は頭打ちの状態……今年はここまで10勝と、36勝を挙げた昨年のペースから大きく遅れてしまっている。

「武藤騎手も『流れに乗れなかった』と話していましたが、もしかしたら焦りのようなものもあったかもしれません。

若手騎手の中では頑張っている方だと思いますが重賞には縁がなくて、これまで未勝利……。先月もマーメイドS(G3)で藤懸貴志騎手が重賞初制覇を飾ったように、ここ最近は若手騎手の重賞初制覇が相次いでいたので、武藤騎手としても思うところがあったと思います」(同)

 実際に、武藤騎手はこれまで重賞で55回騎乗して勝利なし。また、最近では昨年6月のユニコーンS(G3)から14戦連続で2桁人気馬に騎乗と、重賞ではほぼノーチャンスの状況が続いていた。

 そんな中でいきなり巡ってきたキャリア初の重賞1番人気。武藤騎手としても相当なプレッシャーがあったはずだ。

「人気していたのに、申し訳ないです」

 レース後、そうファンや関係者へ謝罪の言葉を告げた武藤騎手。今回のボーデンの騎乗ぶりに納得しているファンは少ないだろうが、武藤騎手自身も全く納得していないはずだ。(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

パチンコ「15分で万発」が可能な時代…「爆速出玉」によって生まれるホール側の恐怖!?【谷村ひとしパチンコ実戦記】

P牙狼月虹ノ旅人』の人気が「うなぎ登り」どころか、月までロケットで行っちゃって本物の月にプレミアのガロのエンプレムマークが浮かんでいます。

 ヘタをすると1時間~2時間張り込み中の刑事並みに牙狼のコーナーの片隅で、席を立つ人を待つ日々が2週間続いています。ひと足先に導入された西日本では3週も続いています。中古市場ですでに『P牙狼月虹ノ旅人』は200万円を突破して、ホールの奪い合いが続いています。

 200万円なんて、ホールですぐ売り上げてくれる錬金マシンのような牙狼です。ホールが長い間首を長くして待っていた台が『P大工の源さん超韋駄天』で火が点いて、遊タイムのある『ウルトラマンタロウ2』で粘るスロッターも集まりました。その流れで登場したハマっても面白くバカ吹きも多い牙狼へ、シフトチェンジしている方も多いようです。

 圧倒的な設置台数不足が拍車をかけて、中古価格は200万円を軽く突破。車1台買えちゃいます。

 30年前、初代『CRギンギラパラダイス』の中古価格が230万円まで上昇して、関西のとあるホールの店長が10台のギンパラを売って2300万円持ち逃げした有名な都市伝説が延々と語り継がれていることを思い出します。

 大人気の『P牙狼月虹ノ旅人』のおかげで座れない人たちが『超韋駄天』や『タロウ2』に座るので、改めて稼働がUPしてきて片づけるのをちょっと待つホールも出てきたようです。『タロウ2』にもうひと踏ん張りしてもらうホールが続出で、嬉しい悲鳴です。

 それとは逆に本当に悲鳴を上げているのが、ホールの出玉を循環させて配球するシステムの老朽化。10年~20年は当たり前の連日の稼働で、2021年のハイスピードマシンの配球に対応出来なくて、店員さんも対応に大わらわです。

 ましてやドル箱のあるホールではさらに大変な状況になっています。
 
 6月24日夜、35回大当り3万発出てる台で80回転の台にやっと座ったのが8時17分です。牙狼の保留変化の面白さは群を抜いていて鞘保留に牙狼剣が刺さって1万発出して帰ってもいいかなと思ったら、わずか90回転目にまた鞘保留に牙狼剣が刺さって再びマカチャンに入ったのが、9時8分です。

 3連めで、その事故は発生しました。シマ全体の配球システムが故障して巻き上げ機が完全に止まってしまいました。裏の『P大工の源さん超韋駄天』も一緒にパニックです。

 出玉をカードに入れられなかったり、玉貸機もSTOPして完全にシマ全体が死亡してしまいました。満席のお客さんも動けず何ともイヤなムードでした。

 結局各台不足分の玉を他から持って来て、ボクのようにP.F.O.Gのガロの生首が上に出っぱなしの人は、閉店まで待ちましたが、思いがけない事故で、店員さんたちも汗だく…。巻き上げ機の修理とこぼれたパチンコ玉をカキ集める作業に追われて、とんでもないことになってました。

 古い配球システムのせいで、牙狼で連チャンしたあと遅れて吐き出される出玉をずっとボタンを押しながら待つ至福の刻を味わっている方が、全国各地で一体何千人何万人いることでしょう。

 このあと更にハイスピードの『Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン』が登場するかと思うとホールは、ゾッとしていると思います。

 2021年型のパチンコホールのハイスピード配球システムが急に必要になってきました。

 いまや、閉店前でも15分で1万発が可能な時代になって、夜のお客さんもどんどん増えて、朝の行列も牙狼へ流れる時代が来ました。

 今年の秋には、もっと凄い新台が出るので、全国のパチンコファンは、胸を膨らませて待ってて下さい。

 いままでパチンコと少し距離を取ってた方たちも、放っておいてもホールに帰ってきそうな2021年です。

(文=谷村ひとし)

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