自民党がまた『モーニングショー』に圧力! 内閣府政務官の和田政宗が青木理発言に「事実でない」と噛みつくも嘘は和田のほうだった

 安倍自民党がまたぞろ『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に対し、圧力を仕掛けている。  安倍政権のコロナ対応を厳しく批判し続けている同番組については、内閣官房、厚労省、自民党広報のツイッターが一斉に反論を仕掛けるも、その反論じたいがデマだったことが明らかになり、「...

2019年のインターネット広告費は2兆円超え。媒体費の詳細分析と新項目の解説

3月17日、D2C、サイバー・コミュニケーションズ(以下CCI)、電通、電通デジタルの4社は共同で「2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(以下、本調査)を発表しました。

電通メディアイノベーションラボの北原利行が、本調査内容に加え、インターネット広告媒体費に含まなかった「物販系ECプラットフォーム広告費」についても解説します。

電通メディアイノベーションラボ 北原利行

インターネット広告費は日本の総広告費の30.3%に到達

2019年の日本の総広告費は、6兆9381億円(※)。そのうちインターネット広告費は前年比119.7%の2兆1048億円で、日本の広告費全体のうち30.3%を占めるまでに伸長しました。

※今回から新たに「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」(※1)と「イベント」(※2)を推定対象に追加した。前年同様の推定方法では前年比101.9%の6兆6514億円。

 

2019年 日本の広告費 媒体別構成比

インターネット広告費の中身は、大きく二つに分けられます。一つが「インターネット広告媒体費」で、2019年は1兆6630億円。もう一つが「インターネット広告制作費」で、2019年は3354億円です。これらに加え、2019年から新たに推定した「物販系ECプラットフォーム広告費」が1064億円でした。

インターネット広告費 構成比

今回は上記のうち最も大きな割合を占める「インターネット広告媒体費」についての詳細分析を行いました。


「広告種別」「取引手法別」に見たインターネット広告媒体費

今回の詳細分析では、インターネット広告媒体費1兆6630億円の内訳について、「広告種別」「取引手法別」に分析をしました。

●広告種別ではビデオ(動画)広告が全体のほぼ2割にまで伸長

広告種別
インターネット広告媒体費の広告種別構成比

広告種別では、インターネット広告媒体費全体の1兆6630億円のうち、「検索連動型広告」が40.2%の6683億円と最も多くの割合を占めます。検索エンジンと連動したタイプの広告です。

続いて、さまざまなウェブサイトに表示されるバナータイプの「ディスプレイ広告」が全体の33.3%、5544億円です。

そして今回特に大きな伸長を見せたのが動画ファイル形式(映像・音声)の広告をカテゴライズした「ビデオ(動画)広告」です。ビデオ(動画)広告は、2017年にはインターネット広告媒体費全体のうち9.5%(1155億円)でしかありませんでしたが、2018年には全体の14.0%(2027億円)、そして2019年には19.1%の3184億円に達しました。

前年比でいうと157.1%で、これはインターネット広告費全体の119.7%を大幅に上回っています。

モバイルデバイスの通信速度が年々向上するのに従い、よりリッチな表現を可能とするビデオ(動画)広告が伸び続けるトレンドは、今後もしばらく続きそうです。

●取引手法別×広告種別構成比でもビデオ(動画)広告が伸長傾向

取引手法別
インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

取引手法別では、「運用型広告」が79.8%の1兆3267億円と、全体の約8割を占め、前年までと同じくインターネット広告取引の主流を担う状況は変わりません。

そしてこの取引手法別の広告費の内訳を広告種別で見ると(上図)、「運用型の検索連動型広告」が全体の40.2%で最も大きくなっています。

「運用型のディスプレイ広告」が24.2%、「予約型のディスプレイ広告」が9.1%と大きな割合を占めていますが、2018年のディスプレイ広告は運用型が全体の28.0%、予約型で11.0%だったので、いずれも微減しています。

その一方で、ここでも「運用型のビデオ(動画)広告」が15.2%(2018年は12.0%)、「予約型のビデオ(動画)広告」が4.0%(2018年は2.0%)と、いずれも大きく伸長しているのが見て取れます。

●デバイス別広告費(参考値)の推定について

デバイス別(参考値)
インターネット広告媒体費のデバイス別構成比(参考値)

2018年まではデバイス別(モバイル広告とデスクトップ広告)の調査結果も発表してきましたが、2019年からは参考値として取り扱うことにしました。

理由としては、「デバイスを問わない広告配信」が主流となったことです。従来のような「枠発想」の広告販売から、より個々人の趣味、嗜好や場所、時間によってデバイスを問わずに広告が配信される現状を鑑みるに、今やデバイス別に分けて発表する意義が薄れています。

よって、この数字はあくまでも「参考値」として見ていただきたいのですが、広告費として明確に分けられてはいないとしても、実際に配信される数としてはモバイルデバイスが主となっている現況は把握できるかと思います。

インターネット広告媒体費全体の約30%は「ソーシャル広告」
 

インターネット広告媒体費構成比

ユーザーが投稿した情報をコンテンツとするソーシャルメディア上で展開される広告を、「ソーシャル広告」として推定しています。

さらに「ソーシャル広告」は、「SNS系」「動画共有系」、さらにブログサービスやソーシャルブックマークサービス、電子掲示板サービスなどの「その他」に分類しました。

ソーシャル広告種類別構成比

ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が最も多く2280億円となりました。

ソーシャル広告費は前年比126%と高い成長率で推移し、インターネット広告媒体費全体の29.5%を占める4899億円となりました。今後も高成長が続くのか、注目に値します。

急伸する「物販系ECプラットフォーム広告費」とは何か?

2019年5月、国内電通グループ3社(D2C、CCI、電通)は、急拡大する物販系ECプラットフォームの広告市場に着目し、初の試みとして2018年の国内の物販系ECプラットフォーム広告費を推定・発表しました。

■「2018年 物販系ECプラットフォーム広告費の推計調査」解説―急拡大する物販系ECプラットフォームの広告市場規模は1123億円
https://dentsu-ho.com/articles/6754

 

上記の調査では2018年の物販系ECプラットフォーム広告費は推定1123億円でした。しかし、この金額には、従来の「日本の広告費」でもすでに推定していた広告費が一部含まれていることが分かりました。

物販系ECプラットフォーム広告費

今回の「2019年 日本のインターネット広告媒体費」調査では、「日本の広告費」との重複部分を切り出すための定義と設問により、再度推定を試みました。その結果、重複していない部分(従来推定していなかった部分)を1064億円と推定できました(上図赤枠部分)。

なお、あくまで参考値ですが、前述の方法と同様に推計した場合、2019年の「物販系ECプラットフォーム広告費」は参考前年比128.5%の1376億円と推定されます。このことからも、上図のブルーで塗られている部分が伸長していると思われます。

今後も大きく伸長する領域として注目し、調査していく予定です。

2020年のインターネット広告費はどうなる?

「2019年 日本の広告費」では、「インターネット広告費が初めて2兆円超え」「日本の広告費全体の30%にまで伸長」といったインパクトのある数字が推定されました。今回分析したインターネット広告媒体費も、今後も成長基調にあると思います。

しかし、こうした数字をもって「もう従来のマスメディア広告の役割はインターネット広告に置き換わるのではないか」と単純に考えることはできません。デバイス別広告費の項でも述べた通り、今や広告はそうした「枠」単位で考えるものというよりも、あくまでも「人」単位で考え、届けるものになりつつあります。

先日、日本アドバタイザーズ協会常務理事の小出誠さんと、電通メディアイノベーションラボの奥律哉による「日本の広告費 特別対談」をウェブ電通報に掲載しました。この記事の中で小出さんが語っているように、今の時代はオンライン、オフラインを問わない、「メディアニュートラル」な視点での広告プランニングが求められているといえます。

そうした中ではマスメディアかインターネットかといった2項対立にもはや意味はなくなり、それぞれのメディアの長所を組み合わせた、新しい広告コミュニケーションの在り方を考えていく必要があるのではないでしょうか。

なお、インターネット広告の課題として、上記の対談で小出さんが触れていたアドフラウドやブランドリスクといったものがあります。こうした課題はもちろん放置されているわけではなく、日本アドバタイザーズ協会や電通グループ各社も含めた、広告業界全体で解決に取り組んでいます。

私たちの果たすべき役割は、広告主と生活者、双方にとってより良い広告コミュニケーションを実現することです。本調査も、「広告費」という観点から時代の流れを俯瞰できるようにすることで、広告主やメディアの戦略に寄与し、より良い未来をつくっていく一助となることを願っています。

※1 「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」
生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォーム(これを、本広告費では「物販系ECプラットフォーム」と呼ぶ)上において、当該プラットフォームへ“出店”を行っている事業者(これを、本広告費では「店舗あり事業者」と呼ぶ)が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義した。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない。また、2019年7月29日にD2C・CCI・電通3社共同で「物販系ECプラットフォーム広告費」を発表したが、今回「2019年 日本の広告費」調査によって、新たに「日本の広告費」との重複部分を排除、再定義し追加推定した。2018年822億円(参考値、「2018年 日本の広告費」には含まれない)/2019年1064億円(参考前年比129.4%)

参考)2019年7月29日 D2C・CCI・電通3社共同リリース;
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0729-009857.html
2018年実績1123億円(前年比120.6%)
2019年予測1441億円(同128.3%見通し)

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※2 「イベント・展示・映像ほか」
販促キャンペーンも含む広告業が手掛ける各種イベント、展示会、博覧会、PR館などの製作費、シネアド、ビデオなどの制作費と上映費などを合計したもの。従来より推定していた「展示・映像ほか」の項目に、次の定義によるイベント部分を追加した。

「日本の広告費」における「イベント」広告費(2019年1803億円、2018年は推定できなかったため非開示)の定義:広告業が取り扱うイベント領域のうちディスプレイや展示会、博覧会、プロモーション映像制作などを除外した販促キャンペーン、ポップアップストア、スポーツイベント、PRイベントなどの製作費。
 

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SDGsに必要なのは“本気の議論”と“横のつながり”

本連載ではさまざまな有識者や実践者からお話を聞き、SDGs達成のためのヒントを探っていきます。

第1回は、SDGsを広く浸透させるために尽力している、国連広報センター所長・根本かおるさんにインタビュー。

日本のSDGsに対するこれまでの取り組みを振り返り、現在の課題を踏まえて解決のための提言を頂きました。

根本かおる氏
国連の活動を日本で伝えている、国連広報センター所長の根本かおるさん。あらゆる世代でSDGsについての理解が深まり、目標達成に向けてアクションを起こしてもらえるように、メディアやイベント、SNSなどで幅広く情報発信を行っている。

行政のSDGsへの取り組みは早かった日本。制度的なレールはすでに敷かれている

――2015年9月に国連総会でSDGsが採択されました。各国で取り組みがスタートしてから今年で5年目を迎えます。これまでの日本の取り組みを振り返っていただけますか?

根本氏:SDGs(Sustainable Development Goals)は、193の国連加盟国が2016~2030年の15年間に達成するために掲げた「持続可能な開発目標」です。世界のあらゆる貧困や差別をなくし、気候変動や環境保護などにも目を向けながら、社会開発を行っていくために、17の目標と各目標に紐づく169のターゲットを定め、世界が一丸となって取り組む非常に大きなチャレンジです。

SDGs
取り組みがスタートしたのは2016年1月ですが、日本は同年のG7サミット(伊勢志摩サミット)の議長国でした。このサミットではSDGsが初めて首脳レベルで議論されることもあり、日本は首相を本部長に全ての閣僚がメンバーとして関わるSDGs推進本部を設けました。全省庁を横断する会議体をつくる取り組みは、世界の中でも大変早かったと思います。

さらに2016年12月には、日本の方向性を示すSDGs実施指針を策定。その改訂版が2019年12月に出されました。加えて、政府はSDGsの目標を実現するためには、自治体の動きが大切と考え、自治体の中から、SDGsに向けた優れた取り組みを提案する29都市を「SDGs未来都市」に選定。中でも特に先導的な取り組みを行う10事業について補助金を出す制度が2018年から始まりました。

政府以外にも、経団連は、Soiety5.0(※)のAI、IoTという技術をベースに、「誰一人取り残さない豊かな社会を築いていこう」というビジョンを掲げています。教育界に目を向けると、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から学習指導要領にSDGsについての学びが入ってきます。すでに先取りしてSDGsについて教えている先生もいらっしゃいます。実際、若年層におけるSDGsの認知度や関心は大変高まっています。

これまでの国の取り組みを振り返ると、制度的なレールはすでに敷かれていて、あとは自治体や企業、団体がどれだけ具体的なアクションを起こしていけるかというフェーズになっています。

※Society5.0:狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、政府の第5期科学技術基本計画においてわが国が目指すべき未来社会の姿として提唱された。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会を指す。


根本かおる氏2

日本のSDGsの取り組みは、まだ入り口の段階

――日本の制度整備は早くから行われているのですね。SDGs達成に向けて実際にはどの程度進んでいると感じていますか?

根本氏:SDGsについて企業の方から話を伺う機会がありますが、まだ入り口の段階だと感じます。これまでの自社の取り組みを、SDGsの17の目標や169のターゲットに紐づけしている状態です。2030年に到達したい目標に向けて、「わが社はこう貢献する」と戦略を練り、計画まで落とし込んでいるところはまだ少ないですね。

もちろん良い取り組みもありますが、それらはあまりにも規模が小さく、スピードも遅い。もっと規模を拡大して、加速することが必要です。

企業がSDGsを推進する場合、ガバナンスやコンプライアンスなど対内的なさまざまな施策、コアなオペレーションの計画、パートナー企業や取引先、消費者も巻き込んだエンゲージメント。この三つの要素がありますが、これらが横断的に捉えられていないのかもしれません。

――横断的に捉えていくためにはどうすればいいのでしょうか?

根本氏:SDGs推進室を設けている企業はたくさんあるでしょうが、SDGs推進室のスタッフはさまざまな部局の計画会議などに参加することが重要です。川上から川下まで、SDGs推進室のスタッフが要の時に呼ばれて、「SDGsを推進するためにはこういうことが大切ですよ」「世界のSDGsの流れは今こうなっていて、わが社はここができているけど、ここはできていない」といった議論が、社内でもっと活発に行われるべきだと思います。

――SDGsの17の目標のなかで、世界との乖離を大きく感じる項目はありますか?

根本氏:日本においてもっとも大きな課題を感じるのは、ジェンダー平等です。電通の生活者意識調査でも、「17のゴールの中で、もっとも日本の生活者の考えや行動から遠い目標」であることが分かっています。

ジェンダー平等が実現できない原因の一つには、広告などの影響もあるのではないかと思います。グローバル企業をはじめとする世界の人たちは、多様な人々に向けて商品やサービスを販売するため、どのように情報発信をすべきか考えています。そういう人たちから見たとき奇異に映る広告が――特にジェンダーの面から見たときに――日本にはまだまだ多くあるのではないでしょうか。

SDGsを掲げている会社や広告表現・メディア表現を担う会社は、この点を強く意識し改めて、もっとグローバル基準での情報発信をしていかなければならないと思います。

メディアや広告業界においては、女性の決定権者はまだまだ少ない。企業のトップである社長が意識を変えて、役員など責任ある立場の女性を大胆に増やし、多様性に富んだ環境で議論し情報発信する必要があります。

また、少数者への配慮や働き方改革なども、SDGsを達成するために重要です。ガバナンスやコンプライアンスという点でも恥ずかしくない行動をとっていただきたいと思っています。

日本企業は本質的な議論とアクションが足りない

――企業の中には、SDGsのマークを掲げ、取り組みを発信していこうという動きがあります

根本氏:世界的に見て、これほどSDGsのロゴとアイコンが世の中に溢れているのは日本くらいです。その一方で、「企業がSDGsの内容を理解してアクションを起こしているか?」というと、その乖離は大きい。もう少し本質を見据える議論をしてほしいですね。

海外では、日本ほどSDGsのマークを露出していません。ただ、SDGsという言葉やマークは使わなくても、それぞれの社会課題のもっと本質にまつわる議論はしていると感じます。

グローバルな仲間とSDGsについて議論する場に、どんどん日本企業や関係者は入っていってほしい。SDGsは、世界の共通言語であることが良いところです。SDGsの中から同じ目標を選んでいる企業同士は、つながりやすい環境にあります。自分たちの体験、自分たちの教訓というものをシェアし合い、学び合い、高め合うことができます。しかしそのような場では、日本の関係者の姿をあまり見かけないのが残念です。

根本かおる氏3

――1月にはダボス会議(世界経済フォーラム)がありました。今年は、経済問題よりも、SDGsに関することがメイントピックだったように見えました。世界的に議論する内容の「潮目が変わった」という話もありました。日本企業も参加、登壇していましたが、世界の中での存在感はどう映りましたか?

根本氏:私は、もっと現実を捉えた議論をしてほしいと思いました。例えば使い捨てプラスチックのごみ問題。生分解性や植物由来プラスチックの開発ももちろん大切です。しかし現在世の中に溢れているプラスチックは大変な量です。プラスチックごみをどうやったらもっと減らせるのか。その議論を世界がしているときに、日本の関係者はあまりそちらの話をしない。

気候変動も同じです。さまざまな技術革新はもちろん必要ですが、圧倒的に増えてしまい問題となっているCO2排出量をどう革新的に減らせるか。その議論が日本でなかなか巻き起こらないことに、世界とのずれを感じます。

沢山のifが重ならないと、実現の可能性がないさまざまな技術がありますよね。それに賭けると言われても、気候変動のしっぺ返しをもろに受けることになるグレタさん世代の若者たちは納得しないのではないでしょうか。

今年のダボス会議では、気候変動に議論が集中しました。ダボス会議の流れを受けて、日本の多数の企業や団体、自治体が政府に対し、日本の温室効果ガス削減目標を引き上げ、国連に提出することを求めたメッセージが「気候変動イニシアティブ」です。これに賛同の動きがあったことは評価すべきでしょう。

今後はどのように大胆な削減案の策定につなげられるかということがポイントになります。やはり日本がより大胆な削減目標を示さないと、国として信用を失ってしまう。そういう危機感も強くあり、多くの企業が政府に対してものを言う署名を行ったのかなと感じています。

もちろんSDGsは環境問題に矮小化できないところもあります。社会全体の問題であり、経済の問題でもある。経済、社会、環境がつながっています。

今後SDGsを醸成させていくためには、ビジョンを語ることも必要です。もちろんワークプランなどに落とし込まなくてはいけませんが、日本の経営者はビジョンを語らなさ過ぎだと思います。海外の経営者は、経営者同士の集まりになると、社会課題について話し合うのが当たり前です。

ハウツーの話だけではなくて、本質。「わが社の強みや弱みって何だろう?」「どのような場面で社会課題解決のアクションを起こせるだろう?」「同じ問題を共有して解決できる企業はないだろうか?」などなど。SDGsをコンテクストにいろいろ話し合うことがもっとできると思います。

 

TeamSDGs

TeamSDGsは、SDGsに関わるさまざまなステークホルダーと連携し、SDGsに対する情報発信、ソリューションの企画・開発などを行っています。

TeamSDGsのウェブサイトでは、ウェブ電通報とは違う切り口で根本さんのインタビューを紹介。併せてご覧ください。

コロナ補償で「在日外国人、生活保護受給者に払うな」の排除論が跋扈! ネトウヨ、小野田議員や百田尚樹だけでなく安倍首相も

 新型コロナウイルスをめぐり、生活者への「一律の現金給付」など幅広い補償を求める声が高まっているが、安倍首相はまったくそんなつもりはないらしい。  昨日の参院決算委員会で安倍首相は、「現金給付については国民全員に一律で行うのではなく、甚大な影響を受けている中小・小規模事業...

JRA種牡馬では最強世代「No.1」か!? グラスワンダー種牡馬引退で「第3」のステージへ!

「どの世代が最強だったか」

 競馬談義でよくある話題だ。そして必ず「1995年生まれ」が挙げられる。

 武豊に初の日本ダービー(G1)勝利をプレゼントした「スペシャルウィーク」、ジャパンC(G1)制覇、凱旋門賞(G1)で2着の「エルコンドルパサー」、グランプリ3連覇の「グラスワンダー」らが、1995年生まれ世代だ。

 他にもセイウンスカイ、キングヘイロー、アグネスワールド、ウイングアローなど多くの名馬がいるが、上記3頭がやはり代表的な存在である。

 2日、そんな最強世代の1頭であるグラスワンダー(牡25歳)が種牡馬を引退することが明らかになった。繋養先のビッグレッドファームが公式ホームページで発表している。今後は明和牧場にて余生を過ごす。

 よく比較される最強世代3頭の中でも、グラスワンダーが種牡馬としては1番の成功を収めているといっても過言ではないだろう。

 グラスワンダー産駒では、アーネストリー、セイウンワンダー、スクリーンヒーローの3頭が平地G1を制覇。さらにスクリーンヒーローは、すでにモーリス、ゴールドアクターと2頭のG1馬を輩出して、グラスワンダーの血は「孫世代」に脈々と受け継がれている。

 対するスペシャルウィークも、シーザリオ、ブエナビスタ、トーホウジャッカルと3頭のG1馬を輩出。だが、シーザリオ、ブエナビスタは牝馬だ。シーザリオはエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアと3頭のG1馬を輩出しており、ブルードメアサイアーとして血を残すことは決定的だが、父系においては今年産駒がデビューするトーホウジャッカル次第という状況である。

 そしてエルコンドルパサーも、わずか3年という種牡馬生活ながら、ヴァーミリアン、アロンダイト、ソングオブウインドのG1馬を3頭輩出。だが、その産駒は現在重賞1勝どまり。それでもブルードメアサイアーとしては、マリアライト、クリソベリルを輩出。血が受け継がれることを期待したい。

 このような状況のため、グラスワンダーが最も順調に血脈を受け継げていると言えるだろう。

 また、グラスワンダーの孫にあたるモーリスの産駒は、2歳馬が今年デビューを予定している。

「モーリスの産駒は馬産地でも評判がいいようです。デビューが待ち遠しいですね。また昨年の年度代表馬リスグラシューは、今年モーリスと交配しています。まだ生まれていませんが、こちらも注目ですね」(競馬記者)

 いずれグラスワンダーの「ひ孫」からG1馬が誕生する日が来るだろうか。

 すでに同期のスペシャルウィーク、エルコンドルパサーはこの世を去ってしまっている。第1の仕事・競走馬生活、第2の仕事・種牡馬生活を駆け抜けてきたグラスワンダー。次のステージ「余生」を健やかに過ごしてほしい。

JRAダービー卿CT(G3)プリモシーン「以前から乗りたかった」M.デムーロ騎手が惚れ込む逸材!

 4日(土)、中山競馬場では古馬マイルのハンデ戦、ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)が行われる。

 『netkeiba.com』の予想単勝オッズでは、2.2倍の1番人気に評価されているのがプリモシーン(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)である。昨年のヴィクトリアマイル(G1)2着馬で、これまで獲得した重賞タイトルは、2018年のフェアリーS(G3)と関屋記念(G3)、そして前走の東京新聞杯(G3)の3つである。

 その東京新聞杯は単勝オッズ7.8倍で4番人気という、G1好走歴があるプリモシーンとしては、意外な低評価だった。府中牝馬(G2)で15着、マイルCS(G1)で11着と、二桁着順が続き、休養明けの一戦だったことも、低評価の理由だったのかもしれない。

 だが、プリモシーンは初コンビとなるM.デムーロ騎手を背に、そんな低評価を覆しての快勝だった。レース後、デムーロ騎手はこんなコメントを残している。

「能力がある馬とずっと思っていた馬で、以前から乗りたかった。切れる脚があるので、自信を持って乗りました」

 デムーロ騎手はこれまでライバルの背中から、プリモシーンの強さを見続けていたという。だから、初騎乗となった前走の東京新聞杯でも、そのストロングポイントを引き出して、勝利に導いたということなのだろう。

 デムーロ騎手としては、ようやく巡り会えた「恋人」を簡単に手放す訳にはいかない。今回も引き続き、同騎手が手綱を取る。前走と同じ56キロだが、重賞を連勝してG1タイトルに挑む準備を万全なものにしたいところだ。

 今年、デムーロ騎手がプリモシーンを管理する美浦・木村哲也厩舎の馬に騎乗した際の成績は【2・0・1・2】で勝率40.0%、3着馬率60.0%。この組み合わせの信頼度は高い。

 木村哲厩舎も前述した東京新聞杯の他に、ダーリントンホールで共同通信杯(G3)を制しており厩舎自体も好調だ。

 1日(水)の最終追い切りではデムーロ騎手を背に5F69秒3、ラスト1F12秒5を馬なりでマーク。デムーロ騎手は『デイリースポーツ』の取材に「良かった。前回とコンディションは一緒くらい」と語っている。状態面にも全く不安はないようだ。

 このレースは近10年で5歳馬が7勝を挙げている。成長力を期待される4歳馬よりも、レース経験豊富な5歳馬の方が好成績を挙げている。惚れ込んだ鞍上が引き続き騎乗する点に加えて、こうしたデータもプリモシーンにはプラス材料と言えそうだ。

コロナ:安倍首相、マスク2枚配布の思考回路…国民が望むものを察知する能力が欠如

 安倍首相が4月1日、新型コロナウイルス特措法に基づく政府対策本部会議で、全世帯に2枚の布マスクを郵送で配布する方針を表明した。このニュースを見て、私は思わず吹き出し、いったい何を考えているのかと首をかしげずにはいられなかった。

 私自身、外来診察の際につけるマスクを、勤務先の病院や診療所がちゃんと支給してくれるわけではないので、自分で調達するのに苦労してきたのだが、3月初旬に某通販サイトで注文していた中国製のマスクが最近になってやっと届き、一息ついた。

 周囲の医療関係者からも、最近マスク不足が一時期に比べると少々改善したという声を聞く。もちろん、現在もなおマスクを手に入れるのに苦労している方は少なくないだろうから、そういう方にとっては、マスク2枚の配布は朗報に違いない。ただ、その前に休業補償をはじめとして、やるべきことは他にいくらでもあるはずというのが私の正直な気持ちである。

 マスク2枚配布という方針を安倍首相が打ち出したのはなぜなのかと私なりに頭を悩ませているうちに、ルネサンス期のイタリアの政治思想家、マキアヴェッリの「恩賞は小出しに与えるべし」という戒めを思い出した。安倍首相はこの戒めに忠実に従っただけなのかもしれない。

 だが、この戒めの理由を説明する「それを人によりよく味わってもらうために」という言葉も忘れてはならない。マスク2枚では、国民によりよく味わうってもらうどころか、むしろ反感と怒りをかき立てるのではないか。

 もっとも、こういう反応を引き起こす恐れがあることを想像できないからこそ、安倍首相はマスク2枚配布という方針を表明したのだろう。したがって、この連載で以前取り上げた妻の昭恵夫人と同様に想像力が欠如している可能性が高い。安倍首相は、母方の祖父が首相で、父方の祖父も父も代議士という名家のお坊ちゃまなので、想像力を働かせる必要がなかったとしても不思議ではない。

「他者の欲望」を察知する能力の欠如

 それよりも私が深刻だと思うのは、国民が何を望んでいるのかを敏感に察知する能力、つまり「他者の欲望」を察知する能力が安倍首相に欠如しているように見えることだ。というのも、「他者の欲望」を察知し、政策に反映させていく能力は政治家に不可欠だからである。

 もちろん、「他者の欲望」を察知して実行することをやりすぎると、ポピュリズムに堕する危険性がある。だから、いくら国民の反発を招こうと、必要な政策を実行していくべきだが、逆に「他者の欲望」を察知する能力が欠けていると政治家として失格といわざるをえない。

 安倍首相は、現在国民が求めているのは何なのかを敏感に察知して、政策に反映させていくべきだ。たとえば、私が定期的にメンタルヘルスの相談に乗っている金融機関では、運転資金の融資の相談に5時間待ちと聞く。また、私の外来に通院中の「保険のおばちゃん」の話では、保険を解約する人が増えているという。それだけ、逼迫(ひっぱく)している方が多いのだろう。

 そういう現状を安倍首相は全然わかっておらず、ただ「自分は国民のためにちゃんとやっている」ことをアピールしたいだけのように見える。コロナ禍への安倍首相の一連の対応を見ていると、マキアヴェッリ

「力量に欠ける人の場合、運命は、より強くその力を発揮する。なぜなら、運命は変転する。国家といえども、運命の気まぐれから自由であることはむずかしい」

という言葉を思い出す。

 新型コロナウイルスの感染拡大は「運命の気まぐれ」と呼ぶしかない国難だが、こういうときこそ政治家の真の力量が試されるのである。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

会田雄次『決断の条件』新潮選書

塩野七生『マキアヴェッリ語録』新潮文庫

JRA武豊マイラプソディ皐月賞(G1)に「黄色信号」!? 同世代「重賞未勝利馬」に置き去り……

 19日に中山競馬場でクラシック初戦・皐月賞(G1)が開催される。残念ながら無観客での開催が決定したが、楽しみな1戦であることに変わりはない。

 ホープフルS(G1)勝ち馬コントレイル、朝日杯FS(G1)勝ち馬サリオス、弥生賞(G2)勝ち馬サトノフラッグの「3強」ムードの様相で、ハイレベルなレースが予想される。

 一方、かつてはクラシック候補と目されたマイラプソディ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が皐月賞で巻き返すことができるかにも注目が集まる。

 デビューから無傷の3連勝で、昨年11月の京都2歳S(G3)を制したマイラプソディ。今年は2月の共同通信杯(G3)から始動した。同じく無敗のコントレイル、サリオスと並んで、“3強”と目されていたこともあり、単勝「1.5倍」の圧倒的1番人気に支持される。

 しかし、レースでは全く見せ場なく4着に沈んだ。

 この敗戦に鞍上の武豊騎手は「残念でした。状態も良かった。ただ、走らなかった」と腑に落ちない様子。

 その後、弥生賞(G2)を圧勝したサトノフラッグに「3強」の座を譲ることになってしまったマイラプソディ。しかし、前走が不可解な負け方だけに、本番の皐月賞では巻き返したいところだ。

 そんなマイラプソディに「不安」が大きくなる出来事が……。

 2日、栗東DPコースで皐月賞の2週前追い切りを併せ馬で行った。相手は同じく皐月賞に出走予定の僚馬ラインベック。マイラプソディがラインベックを追いかける形で行い、3、4コーナーで徐々に差を詰める。

 最後の直線でラインベックをマイラプソディが捉えに行ったが、2頭の差は縮まることなく、そのままラインベックに先着を許す結果に……。結局、マイラプソディは馬体を並べることすらできなかった。

「先着を許した相手のラインベックは良血馬として注目されていますが、ホープフルS(G1)で4着、若駒S(L)で3着と、クラシックに挑むとなるとワンパンチ足りない印象。

 追い切りとは言え、そんな僚馬にまったく歯が立たないとは……皐月賞に向けてマイラプソディに『黄色信号』が灯ったと言えるかもしれません。同じレースが予定されていますが、直前の追い切りではグループを分けるかもしれませんね」(競馬記者)

 しかし、この追い切りの時計は6ハロン80.5秒ラスト11.6秒。実は好タイムを記録している。マイラプソディが走っていないのではなく、ラインベックの動きが良すぎたのかもしれない。

 まだ2週前追い切り。来週以降の変わり身も十分にある。皐月賞に向けて、マイラプソディとラインベックの“スパーリング”に注目だ。

JRA武豊「めちゃくちゃ不利ですよ、これは」伝説の“トラウマ”今でも!? 「1位入線→最下位降着」29年前、世間を騒がせた苦い思い出

「めちゃくちゃ不利ですよ、これは……」

 温厚なイメージのある競馬界のレジェンド武豊騎手が、珍しく不満をこぼしたのは自身が番組のホストを務める『武豊TV! II』(フジテレビ系)での一幕だ。

 武豊騎手が騎乗したレースを、本人の解説付きで振り返る人気番組。詳細は番組を見て頂きたいが、テーマに挙がったのは今年2月に行われた白富士S(L)だった。

 東京の芝2000mで行われるこのレースで、武豊騎乗のアイスストーム(牡5歳、栗東・吉村圭司厩舎)は、大外の8枠14番だった。天皇賞・秋(G1)が開催されることで有名な本コースで、外枠が不利なことは、熱心な競馬ファンなら周知の事実だろう。

 その上で、百戦錬磨の武豊騎手があえて白富士Sの問題点を指摘したのは、毎年このレースが東京の「Dコース」で行われるからだ。

 JRAの多くの競馬場はコース内側の仮柵を動かすことによって、芝コースのダメージを分散している。東京競馬場の場合、内からABCDと4つのコースが設けられているのだが、Dコースは最も外側のコースということになる。つまり同じ競馬場の、同じ距離のレースでも、使用コースによってトラックの形状が微妙に変化するということだ。

 ちなみに東京のDコースは、最内のAコースより9mも外側を回るというから驚きだ。その影響もあって、普段18頭がフルゲートの東京だがDコース使用時には16頭となる。

「ただでさえ、東京の2000mは外が不利ですけど、Dコースになるとゲートの位置がかなり前になるので……コーナーでスタートするような感じですから」

 実は毎年2月の東京開催では、このDコースが使用されている。該当する共同通信杯(G3)や東京新聞杯(G3)のフルゲートが16頭なのは、このためである。武豊騎手が話している通り、Dコースの芝2000mは1コーナーまでの距離がかなり近く、外枠が圧倒的に不利なコースとして有名だ。

「東京芝2000mはコーナー手前からのスタートとなるため、昔から関係者には『フェアじゃない』と不評でした。2003年にコースが改修されたことで、かなり改善されましたが、コーナーが大きいDコースの2000mは相変わらずなようで……。

武豊騎手が指摘している白富士Sのアイスストームは、前走が中日新聞杯(G3)で3着だったにも関わらず、格落ちのレースで前走よりさらに人気を落としていましたからね。Dコース2000mの外枠が、いかに不利なのかを物語っていると思います」(競馬記者)

 実際に、武豊騎手も「言ってるんですけどね。Dコースの2000mはなるべくやめてほしいっていうのは」と長年、問題点を指摘しているようだ。

 騎乗したアイスストームは以前から「好きな馬」と話しており、「重賞でも勝負になる」と高評価を与えている存在。それだけに、大外枠を引いてしまったことに肩を落としたという。結局、レースは最後の直線で不利を受けたことあって5着に終わっている。

「武豊騎手と東京芝2000mと言えば、1991年の天皇賞・秋が有名です。単勝1.9倍のメジロマックイーンは7枠13番という難しい枠からのスタート。発馬を決めて一気に内へ切れ込み、見事先頭でゴール板を駆け抜けたメジロマックイーンと武豊騎手でしたが、スタート直後の切れ込みが斜行と判断され最下位に降着となりました。

レース内容自体は、後続に6馬身差をつける圧巻の内容。レース後、武豊騎手自身も珍しく何度もガッツポーズをして、ゴーグルをスタンドに投げ入れるパフォーマンスまでやったんですが……」(別の記者)

 GIの1位入線馬の降着処分は、日本競馬史上初。舞台が有名な天皇賞・秋だったこともあり、武豊騎手とメジロマックイーンの降着は、一般の新聞でも取り上げられるほど大きな騒動となった。

 あれから29年。東京競馬場のコースが改修されたことで、問題点が緩和された芝2000mだがDコース使用時だけは、依然「過去」を彷彿とさせるような状況だ。“渦中の人”だった武豊騎手の記憶にも、苦い思い出として残っているのかもしれない。

ドイツは中小企業に65万円援助、米国は医療に1千億ドル投入…緊急事態宣言以前にすべき政策

 日本でも東京や大阪を中心に新型コロナウイルス感染者の増加傾向が鮮明になっていることから、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言の発令が取り沙汰されるようになっている。政府の専門家会議の尾身茂副座長は1日、「爆発的感染が起こる前に医療体制が機能不全に陥ることが予想される」と警告を発した。

 医療崩壊を恐れる日本医師会も、3月下旬から特措法に基づく緊急事態宣言を求めている。緊急事態宣言が発令されれば、(1)住民に対して必要な場合を除き外出しない、(2)施設管理者に対して大規模イベントなどを停止することなどを要請できることから、感染者の拡大が抑制できると考えているのだろう。だが、要請に従わない場合、諸外国のように罰則が科されるわけではなく、実効性が乏しいといわざるを得ない。安倍晋三首相も1日の参議院決算委員会でそのことを認めている。

 むしろ副作用のほうが大きいのではないだろうか。地域や期間を限定して発令したとしても、国民がパニックに陥り日本全体が大混乱になれば、かえって感染拡大が助長される可能性があるからである。仮に都市封鎖(ロックダウン)がなされれば、経済に与える悪影響も甚大である。第一生命経済研究所は3月30日、「東京都を1カ月封鎖すれば、日本のGDPの1%に相当する5.1兆円の損失が発生する」との試算結果を公表している。

 新型コロナウイルスについて、政府の専門家チームはクラスター(時間的及び地理的にみて、特定の疾患の発生率が非常に高い集団)に注目して国内での感染拡大を抑止してきたが、自粛要請についても同様のアプローチが有効ではないだろうか。

「休業補償付き歓楽街封じ込め」策

 専門家チームは3月末から「夜間を中心に営業する接客業や飲食店等で感染が広がっている可能性が高い」と懸念視していることから、いわゆる歓楽街をターゲットにした封じ込め策が効果的だと思う。その際肝心なのは「自粛したくても店を開かざるを得ない」経営者に対して休業補償(テナント料などの固定費に対する補助など)を行うことである。

 参考になるのは、ドイツの新型コロナウイルスに対する緊急経済対策である。3月27日に成立した経済対策の規模は7500億ユーロ(約90兆円)、注目すべきはそのうち中小企業への支援金が総額1560億ユーロ(約19兆円)も計上されていることである。支援策の実施の速さにも瞠目すべきものがある。同30日に支援金の申請手続きが開始され、中小企業は面倒な審査なしに、まずは1回限りの5000ユーロ(約65万円)の援助が受けられる。返済なしというから、経営に窮する中小企業にとってつなぎの資金として大変ありがたいことだろう。

 日本でも緊急経済対策が議論されているが、休業補償制度を導入しようとする動きはほとんど見られない。新型コロナウイルスの感染が抑制された後の消費喚起策として現金給付や商品券の配布などが検討されているが、国民に自粛要請を強いながら、将来の消費喚起に躍起になっている姿勢に違和感を抱かざるを得ない。「明日の100より今日の50」ではないが、今必要なのは収入減で生活に不安を抱えている人たちへの補償である。

 小池百合子東京都知事は休業補償を含め霞ヶ関からの多額の財政支援を期待しているようだが、このような緊急事態においては、東京都が自ら率先して「休業補償付き歓楽街封じ込め」策を実施したらどうだろうか。このパッケージは強制力のない緊急事態宣言発令よりも実効性が高く、東京都が小さくても「始めの一歩」を踏み出せば、自民党内の空気を一変させることができるだろう。

重要なのは実効性が高い政策の迅速な実施

 医療崩壊を防ぐためには、国民の外出自粛に加えて、今後入院が必要とされる患者全員を収容できる病床の確保も喫緊の課題である。日本全体で約4800の病床が用意されているが、ピーク時に発生する患者数は最悪の場合、20万人を超えるとの試算がある。

 米国や中国では、軍が公園や空き地などに野戦病院を短期間で設置しているが、日本がまず実施すべきは限られた病床の有効活用である。指定感染症とされた新型コロナウイルス感染者は症状が出ていなくても強制入院を余儀なくされ、その後体調が回復してもPCR検査で2度陰性とならない限り退院できない。このことから入院期間が不必要に長期化するという問題が生じている。政府は制度の運用を弾力化するとともに、(1)無症状感染者や(2)体調が回復したものの経過観察が必要な者を隔離できる施設を確保することが不可欠である。

 大阪府などはそのための隔離施設として民間のホテルなどを活用したいとしており、その円滑かつ迅速な実施のために、「臨時の医療施設を開設するため、土地や建物を強制使用することが可能となる(特措法第49条)」緊急事態宣言の発令を求めている。特措法第49条に限定して緊急事態宣言を発令するのなら、前述したような悪影響は少ない。ただちに実施すべきだろう。

 医療崩壊を防ぐための最後の方策は、長年の予算制約の影響より綻びが見え始めている医療現場への全面的な支援である。2兆ドル規模の緊急対策をまとめた米国では、そのうち1000億ドルが医療体制の整備に充当されるが、日本では「医療体制へ全面的なバックアップを行おう」という声が聞こえてこない。

 米国では国防生産法という戦時立法を適用して産業界全体に対して不足している人工呼吸器などの増産を命じているが、日本でも人工呼吸器をはじめ、防護服や薬品、その他の医療用製品を大量に生産する体制を早急に構築し、増産分すべてを政府が買い上げ、医療現場に支給できるような財政支援を行うべきである。

 ハードの整備に加え、マンパワーの拡充も欠かせない。英国政府は、退職した医療従事者に現場復帰を促すとともに、獣医師を医療現場に投入し、さらに失業状態にある航空会社の客室乗務員(約1.3万人)が医療支援を行う整備しつつあり、日本も見習うべきだろう。

 このように、日本の医療現場の崩壊を防ぐためには、緊急事態宣言発令の是非ではなく、実効性が高い施策を迅速に実施できるかどうかにかかっているのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)