パチスロ『ゴッドの日』到来も…また、必ず「真剣勝負」をできると信じて!!


 待ちに待った「ゴッドの日(5 月10日)」が到来。『ゴッド』シリーズを叩くユーザーが続出する“特別な1日”だ。

「510番座って大爆発中!!」「はい。万枚確定」といった報告も普通に浮上する。看板や景品で盛り上げるホールもあるなど、異様な盛り上がりを見せる。

 最近では、意外な機種も話題に。「700G完走型RT」を搭載した『ミリオンゴッド』のスピンオフ作品『アナターのワイフ ゆるせぽね』の“爆裂”情報が取り上げられた。

 通常時ボーナスからのRT突入はなく、ボーナスで繋ぎながらシリーズの醍醐味「GOD揃い」を狙うゲーム性。出玉のカギを握る「GOD揃い」の確率は1/8192から5倍の「1/1638」へ大幅アップされており、恩恵は「約203枚獲得+RT700G」で獲得期待枚数は「1000枚オーバー」という仕様だ。

 途中でボーナスに当選しても規定ゲーム数の消化が可能となっており、ボーナスを引けば引くほどに出玉が期待できるシステムを実現。RT機の中でも「屈指の出玉性能」と言えるだろう。

 大勝を収めたユーザーの報告も存在。同機の破壊力を絶賛する声が聞かれたが…。

 現時点で注目は一点。撤去が迫っている『ミリオンゴッド〜神々の凱旋〜』(ユニバーサルエンターテインメント)しかない。延期の可能性も出てはいるが、それも詳細は定かではない。

 やはり、この特別な日は打ちたいものだが…。

 現在、私は自粛中。残念だが、今年は見送るしかないだろう。

 このような状況になり、「あぁ母の日も5月10日だったのか」と知らされた。一応、毎年プレゼントしてはいたのだが…日にちを気にはしていなかった。母子家庭で育った私にとって、母は偉大な存在。当然ながら今年も用意しているが直接、渡すこともできないことは寂しくも感じる。

 それと同じく「ゴッドの日」に打てないのは切ない。『凱旋』は本当に打ち込んだ1台だ。どうしても金が必要な“窮地”を救ってくれたこともあった。

 もちろん良いエピソードだけではない。大量投資をした後に「え? これだけ??」という結末も多いが…。

『凱旋』と歩んだ日々は私の宝物だ。だからこそ残る時間は、できるだけ“彼”と過ごそうと持っている。

 今年の「ゴッドの日」は本当に残念だ。しかし、仕方がない。また、会える日に。真剣勝負を存分に楽しもうではないか。

(文=ロベルト竜馬)

パチスロ4号機「夢の4桁AT」が熱狂を呼んだアノ頃… 新規メーカーが生んだ「名機」には攻略法も存在⁉

 4号機時代の2001年1月、オーストラリアに拠点を置くスロットマシンメーカー・アリストクラートテクノロジーズは、サミーとの業務提携のもと、『トリプルシューター2』でパチスロ業界に新規参入した。

 このトリプルシューター2は、「スーパー」「スーパーメガ」「ノーマル」と3種類のビッグで出玉を増やす仕様。

 連なる3種類のビッグ絵柄が全リールに配置された配列は打ち手にインパクトを与えた反面、お世辞にもヒットしたとは言い難かった。

 しかし、同年6月にリリースされた同社第2弾のAT機を記憶しているオールドファンは多いことだろう。

 押し順ナビAT機能を搭載した『ネコde小判』である。

 本機のATは1G純増約3枚で、5Gor40G継続。主な突入契機は通常時のリプレイ3連続揃い(約390分の1)とチャンスタイム中のリプレイ成立で、通常時のリプレイ3連続揃い時は例外なくAT5Gがスタートする。

 AT5Gを消化するとAT40Gへの昇格抽選が行われ、ドット上のサイコロで奇数が出れば昇格(期待度25%)。

 リプレイ3連時の2連目にドット上にたぬきが出現した場合は問答無用で昇格が確定し、プロセスを問わずAT40G後及びビッグ後は必ずチャンスタイムへ移行する。

 チャンスタイムは最大4G継続で、1回でもリプレイを引ければAT40Gに突入。この間にリプレイを引ける割合は約45% と高い数値だが、見事1G目にリプレイを射止められたならば、ここからが本機の真骨頂だ。

 2G目→3G目→4G目と計4連続でリプレイを引き続けられれば4桁継続のジャックポットATが発動するのである。

 このジャックポットATは1000G・ 2000G・ 3000Gの3種類で、振り分けはほぼ均等。AT40Gと異なり継続中にビッグを引いても終了しない。

 首尾よく3000Gが選ばれた場合は超高確率で万枚へ到達することとなるのだ。

 魅惑の4桁ATを求めてファンたちはチャンスタイム中に一打入魂。言うまでもなく、ここでリプレイを4連続で引き当てることは至難の業だが、中には難なく達成させる猛者もおり、それを見るに付けて周囲の客たちはひたすら羨ましがったものだった。

 なお、本機には左リールに特定箇所を狙うことで15枚役奪取率が大幅アップする攻略法も存在した。

JRAコントレイル、フィエールマンに続け!? NHKマイルCで3週連続「鬼門枠」克服なるか

 3歳マイル王決定戦NHKマイルC(G1)が10日、東京競馬場で行われる。8日に確定した枠順を見ると、“4強”と目される馬たちが内と外に2頭ずつ収まった。

 昨年の阪神JF(G1)を圧勝したレシステンシアは2枠3番に、朝日杯FS(G1)2着のタイセイビジョンは1枠2番といずれも内目の枠に収まった。一方、3戦3勝で大一番を迎えるルフトシュトロームとサトノインプレッサは、それぞれ7枠14番と8枠17番の外枠に入った。

 最も安堵したのはレシステンシア陣営だろう。桜花賞では8枠17番から逃げられず2着。今回はそのスピードを存分に生かせそうだ。外枠に入った無敗の2頭も、枠順による有利不利はないと言われる東京芝マイルなら不安はない。むしろ昨年は8枠17番アドマイヤマーズと8枠18番ケイデンスコールの“大外決着”だっただけに、プラスに捉えてもいいだろう。

 過去24回のNHKマイルCの成績を見ると、一度も優勝馬が出ていない馬番が3つある。それは「2番」、「15番」、「18番」で、それぞれの成績は次の通りだ。

【NHKマイルC、優勝馬なしの馬番通算成績】
 2番 0-2-0-22
 15番 0-0-1-23
 18番 0-1-2-20

 今年は内から順にタイセイビジョン、ソウルトレイン、ウイングレイテストが“鬼門枠”に収まった。このうち「15番」に至っては一度も連対がない。今年も人気薄のソウルトレインなので苦戦は必至だろう。3頭の中で最も勝利に近いのが「2番」のタイセイビジョン。実績的にはレシステンシアに次ぐ存在だけにレース史上初めて「2番」の優勝馬が誕生してもおかしくないはずだ。

 この春のG1は皐月賞、そして天皇賞・春と直近の2戦で“鬼門”と言われた枠順の馬が優勝している。いずれも記憶に新しいが、皐月賞はコントレイルが1枠1番を、天皇賞・春はフィエールマンが大外14番枠を克服し、1番人気に応えた。

 皐月賞は1994年のナリタブライアンを最後に1枠1番の勝利がなかった。しかし今年のコントレイルは、福永祐一騎手の巧みな手綱さばきに導かれ、26年ぶりに鬼門の最内枠を克服。まさにナリタブライアン級の強い勝ち方でクラシック第1冠をもぎ取った。

 天皇賞・春は昨年まで過去1勝だけという鬼門「14番」にフィエールマンが入り、大外枠が不安視されていた。しかしこちらもC.ルメール騎手が落ち着いた騎乗を見せ、絶体絶命の位置からきっちりスティッフェリオを捉え2連覇を達成した。

 皐月賞、天皇賞・春に続いてこの春のG1・3戦連続の鬼門克服は成し遂げられるだろうか。タイセイビジョンら3頭の走りに注目だ。

JRA新潟大賞典(G3)「超大穴」に復活条件そろった!? アドマイヤマーズを追い詰めた14番人気2着の激走から1年

 今週から第3場開催の舞台が福島競馬場から新潟競馬場に移り、日曜日には新潟大賞典(G3)が行われる。ハンデ戦らしく、過去10年で一度も1番人気は勝っておらず、2015年から5年連続で馬単配当が万馬券と荒れる要素満載のレースだ。

 そんな中で注目したいのは、18年の新潟2歳S(G3)を制したケイデンスコール(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。

 これまで左回りを中心に使われ、メンバー16頭で唯一、新潟芝コースで2勝を挙げている。新潟での重賞勝ち馬もケイデンスコールだけだ。そんな新潟巧者だが、前日最終オッズは11番人気の24.1倍と盲点になっている。

 人気薄の理由は、過去4戦がいずれも凡走(14、17、12、7着)に終わっている点に尽きる。

 しかし血統的に激走する可能性は十分ある。ケイデンスコールの母インダクティは現役時代、29戦2勝に終わったが、ローカルの条件戦では人気薄でたびたび好走し、穴をあけていた。

 その母の兄弟には、バランスオブゲーム、フェイムゲームという2頭の重賞馬がいる。ともにG1制覇はかなわなかったが、中長距離の重賞戦線で長く活躍した。ともに惨敗後でも得意な条件下では突如激走するという特徴を持ち合わせていた。2頭合わせて重賞制覇は実に13回を数える。

 ケイデンスコールも凡走が続いているが、得意の新潟で一変があってもおかしくない。時期的にもアッと驚かせる要素がある。ちょうど1年前のNHKマイルC(G1)で、14番人気の低評価を覆し、アドマイヤマーズの2着に好走。馬連配当17200円という波乱を演出した。これも久々に左回りに戻っての結果だ。

 鞍上の中谷雄太騎手にとっても、是が非でも取りたい重賞タイトルだろう。“グランプリ男”池添謙一騎手と同じ1998年デビューの中谷騎手。これまでJRAの重賞に80回騎乗しているが、未勝利のまま40歳を迎えた。

 騎手生活10年目の2007年には「61戦0勝」という大不振に陥り、引退危機を迎えたこともある。転機はデビュー18年目の2015年。慣れ親しんだ美浦から、名手ぞろいの栗東に完全移籍を果たした。

 美浦時代は年間10勝がやっとという成績だったが、栗東に移籍した15年以降は5年連続で10勝以上を挙げ、16年には自己最多の25勝をマーク。15年朝日杯FS(G1)と17年ホープフルS(G1)では、ともに3着と大舞台で結果も残した。

 しかし2018年に落馬事故で大ケガをしてしまう。8か月近いリハビリ生活を経て、同年末に復帰したが、負傷前に比べると成績は下降気味だ。

 今年もまだ3勝と調子が上がってないが、今回はJRA全10場で最多33勝と相性のいい新潟競馬場が舞台。1年前に激走したケイデンスコールとのコンビで悲願の重賞制覇を狙う。

孫正義氏、医療支援の裏でファーウェイの送電網構築を画策か…大赤字・ソフトバンクの命綱

 新型コロナウイルス騒動の発生後から、米国防権限法で禁止された中国通信大手ファーウェイとその仲間が、医療支援に勤しんでいる。

 4月4日、ニューヨーク州知事が中国政府から贈られた人工呼吸器1000台がJFK空港に到着した際に、「中国政府、ジャック・マー、蔡崇信に感謝します」とツイートしたことがアメリカで話題となっている。

 ジャック・マー氏はアリババの創業者、蔡崇信氏はアリババの副会長で孫正義氏の右腕。どちらも、米国防権限法で禁止された中国通信大手ファーウェイのエコシステム企業だ。

 そのころ、日本ではシャープがマスク生産を始めたことが話題となっていたが、シャープはすでに台湾フォックスコン・テクノロジー・グループの子会社で外資系企業だ。

 これは、そろそろ日本ではソフトバンクが動くかと思った頃に、孫氏が医療用フェイスシールドと医療用メガネを緊急に調達できるとツイートし、それに吉村洋文・大阪府知事が「是非、大阪府で買取りさせて頂ければと思います」と返信したことが、日本で話題となった。

 大阪の企業が防護服13万着あると吉村府知事あてにツイッターで書き込んだのは完全無視で、大阪スマートシティで協力関係にあるソフトバンクの孫氏に「孫会長、初めまして」と挨拶しているのが「白々しい」との声も上がっている。

 この医療支援に関わるソフトバンク、アリババ、シャープ、フォックスコン、蔡崇信氏の共通点は、バックにファーウェイがいるということだ。

 ファーウェイは創業者の娘で副会長兼CFO(最高財務責任者)の孟晩舟氏が米司法省に起訴されて以来、日米でイメージが悪化してきているのでPR戦略に打って出たわけだが、これには裏がある。

中国が推進するスマートグリッド、“インフラ・テロ”のリスクも

 中国国家電網が、中国から日本を含む世界を送電網と通信網とセットでつないでしまおうという計画において、ファーウェイのスマートグリッドを推進しているのだ。中国国家電網公司、韓国電力公社、ロシアの国営送電会社、ソフトバンクが、巨大な国際送電網を世界に築くためだ。

 その国際団体の会長に中国国家電網会長の劉振亜氏が就任し、副会長には孫氏が就任しており、孫氏は「アジア・スーパーグリッド構想」の中心人物で日中を送電網でつないで電力の流れを支配下に置く役割を担っている。

 この構想の内容について、中国大手通信事業者に取材したところ、ファーウェイの計画では中国製のスマートグリッドを各家庭に入れれば、ユーザーはインターネット料金が無料になり、モンゴルで発電したクリーンエネルギーを日本が利用できるので、原発事故に悩まされる必要がなくなるというメリットがあるという。

 ただし、スマートグリッドで電気代を節約するには、熱センサーや振動センサーで部屋のどこに人がいるかを察知し、AI(人工知能)が遠隔でライトやエアコンを調整する必要がある。ということは、これが導入されると、日本国民の自宅の通信から、居住者が部屋のどこにいて何をしているのかという情報までもが中国政府に漏洩するリスクがあるのだ。

 拙著新刊『量子コンピュータの衝撃』(宝島社)でも触れたが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの投資で大赤字を出しているソフトバンクが、各自治体の首長にSNSで取り入り医療支援でイメージ改善を狙っていることから、「アジア・スーパーグリッド構想」がソフトバンクの命綱となっている可能性が高い。

 中国は新型コロナ景気対策としてインフラ投資のために新規に建設基金を立ち上げた。このインフラ投資の目玉が5G通信基地局と大規模電力網への投資で、3.5兆円規模の予算が組まれている。

 日本に中国からの送電網を引いて、各地域の電力会社と行政区の首長と話をつけ、中国のインフラ投資の基金にありつければ、ソフトバンクは首の皮がつながる。そのために、孫氏は火だるまになったビジョンファンドを抱えながらも、精力的に医療支援でイメージアップを図っているのだろう。

 そこで思い出すのが、大阪市長が橋下徹氏を関西電力の社外取締役にするように要請し、「拒否すれば訴訟する」と関電を恫喝した一件だ。大阪はそもそもスマートシティで孫氏と関係は良いはずなので、電力会社にスーパーグリッド構想で協力をしてもらおうと考えていたのではないか。

 残念ながら、日本政府は「アジア・スーパーグリッド構想」における電力インフラの脅威に対する政策は打たれていない。

 5月1日、トランプ大統領は「送電網に関する国家非常事態宣言」で、一部の外国製品を排除する大統領命令に署名した。

 敵対する外国政府の支配下にある企業のスマートグリッドによって各家庭を監視されたり、電力供給を勝手に制御される“インフラ・テロ”のリスクから米市民を守るためだ。

 日本政府も、手遅れにならないうちに対策を打ち出してくれることを願うばかりである。
(文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト)

深田萌絵(ふかだもえ)
ITビジネスアナリスト
早稲田大学政治経済学部卒 学生時代に株アイドルの傍らファンドでインターン、リサーチハウスでジュニア・アナリストとして調査の仕事に従事。外資系証券会社を経て、現在IT企業を経営。

キャデラック「エスカレード」、想像を絶する圧倒的な威圧感!運転手の気持ちすら大きくする

 とにかく巨大である。狭い日本の道を走るには、そのサイズを持て余してしまう。慣れるまでは、車線内に納めながら走らせるのにも気を使う。米ゼネラルモーターズ(GM)の高級車ブランド・キャデラックの「エスカレード」は、それほど巨大なSUV(スポーツ用多目的車)なのだ。

 全長は5195mm、全幅は2065mm、全高は1910mmと、堂々とした体躯だ。四角い型にはめて成形したかのようにスクエアなフォルムは、宮殿を前に仰ぎ見たかのような威圧感がある。全長は想像通りだったが、幅がとにかく広い。運転席に着座してみると、助手席の人員が遠く見える。2人の間には太いコンソールがあり、そこにはクーラーボックスサイズの収納庫がある。そう思って確認したら、そこは確かに冷蔵庫だった。

 高さも極め付きである。1910mmもあるから、見上げる感覚である。乗り込みも特殊だ。ドアを開けると足元にステップが自動で迫り出してくる。そのステップを階段がわりに足を乗せ、右手で掴んだフックを引き寄せるようにする。コクピットによじ登る要領である。思わず「ヨイショ」と口をついて出そうになった。

 視線の高さも想像のとおりだ。視点が驚くほど高いから、前走する乗用車のルーフを越えて、はるか前方まで見通せる。信号待ちで路線バスと並んだら、その運転手と同じ高さで目線が交錯してしまって照れくさかった。それほどの高さである。

 だが、その大きさに閉口していたのも束の間、慣れれば取り回しもこなせるようになるから不思議だ。料金所や100円パーキングでは、物理的なサイズの問題があり、気を使う。だが、スクエアなボディは車両感覚を掴みやすい。しかも、前輪の切角が大きいから、思いのほか狭い道でも苦労はない。

 乗り心地は粗い。プラットフォームがトラックベースだから、前後左右にグラグラと揺れながら走る。観光地で象の背中に揺られたことを思い出した。のしのしと大地を踏み締める感覚なのである。ただしそれも、最新の快適SUVと比較した上での話だ。マグネチックライドと呼ばれる電子制御サスが組み込まれており、285/45R22という超大径のタイヤがドタバタするだけで、無骨なオフロードSUVと考えれば、優しくもある。アメリカでは街中を走るエスカレードを頻繁に見かけるし、ハリウッドスターがレッドカーペットに横づけするシーンも目にしたことがある。道なき道を突き進むためのオフロードモデルではなく、むしろ都会的なシーンが似合うアーバンSUVの風格が備わっている。

 搭載するエンジンはもちろん、V型8気筒のOHVである。排気量は6.2リッターに達する。最大出力は426ps、最大トルクは623Nmにも及ぶ。その粘り強い推進力で2.7トンのボディをひっぱるのである。加速スタイルも強引で、まさに象が駆け足したかのようだ。絶対的には速いのだが、俊敏ではない。

 コラムシフトのレバーの先には、トーイング用モードが選択できるようになっており、クルーザーやモーターホームの牽引は得意である。その点では、都会を離れて緑深いキャンプサイトに出かけることも容易である。

 このように、守備範囲の広さもエスカレードの特徴なのだが、最新のモデルらしく環境にも優しい。動弁機構は古典的なOHVでありながら筒内直噴であり、バルブタイミングは可変だ。気筒休止もやってのける。高速道路と市街地が約50%ずつのおよそ200kmの行程で、オンボードコンピューター上の燃費計は7.6km/lだった。

 エスカレードに乗っていると、巷の小さないざこざが無意味に思えてくる。エスカレードのそのゆったりした乗り味は、ドライバーの気持ちをも大陸的にしてくれるのである。これはまさに、大きさを楽しむためのクルマなのだ。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

破産1.5回→起業、今は普通に生活の私が断言、「自己破産しても人生再建は可能」

 誰も予想すらしなかった新型コロナウイルスの感染拡大。個々人の努力ではコントロールできない、まさに災難です。人生の一時撤退を選択肢のひとつとして考えざるを得ない方々も少なくないと思います。そこで、自己破産経験者である私からのアドバイスを、法律家とはまったく違う観点からお伝えします。結論は「破産しても人生再建は誰でも可能」です。破産は人生再建の手法のひとつですから。

【筆者の破産に関する説明動画はこちら】

『自己破産の費用と支払い方法』

『緊急特集!自己破産するとどうなる?』

『破産からの復活法シリーズ』

1.自己破産と免責を解説します。

 私、辛酸なめ過ぎ太は25年前の1995年阪神・淡路大震災に兵庫県芦屋市にて被災しました。大阪で零細貿易企業経営者としてバブル崩壊をうまく乗り越え、愛車にメルセデスSクラス、芦屋市に3LDKの自宅を所有し、家内と幼い息子2人と共に穏やかで満たされた毎日を送っていました。

 しかし震災の日を境に人生は大転換、可能な限りの努力を試みましたが、2年後の1997年2月28日に不渡り事故で自己破産申し立て。あとから知ったことですが、同じ自己破産でも、事前準備やマインドセット次第で、その後は大きく変わります。その経験から、複数の依頼人からの破産事件に対応し、弁護士と違う視点のアドバイザーとして合法的にソフトランディングに導きました。

 もうひとつ、私の経験を先にお話ししておきます。破産から5年後、運良く仕事に成果を出したため、外資系企業専門の外国人ヘッドハンターからお声が掛かりました。面談の際に僕は過去に破産をしていると正直に話しました。するとヘッドハンターは「素晴らしい、我々は同じ能力の人物が2人いたら、失敗経験のある人物を推薦します。失敗していないイコール挑戦をしていない人です」。この一言は、まさに目から鱗でした。日本社会はマイナス評価で、失敗をしていない人物が高く評価されます。グローバルスタンダードでは“失敗経験が評価される”ということを知りました。制度が違うとはいえ、アメリカのトランプ大統領は会社を4回破産させています。

 日本での2018年度の自己破産件数は7万3000件と増加傾向にあり、今年は大きく増えると推測できます。自己破産事件とは、免責と呼ぶすべての借入金を法的にゼロにする代わりに、個人財産として現金99万円と価値が20万円以下の生活必需品や衣料を残して、すべて債務比率で弁済する制度です。申し立てを弁護士か司法書士に依頼し、裁判所が任命する管財人が申し立て内容を確認し、裁判所が決定を下すのが通常の流れです。通常は3カ月から半年くらいで終了します。費用は安くても手付金として最低20万円が必要です。金額によって費用も変わってきます。

 では、自己破産をするとどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。  

2.自己破産のメリットとデメリット

 最大のメリットは、借入金に関するすべての督促行為等が代理人(通常は弁護士)になり、本人はそれらから解放されます。また返済もストップできます。そして免責が決定すれば、借入金の返済義務はなくなります。良く言われる「借金チャラ」です。

 これは経験者でないとわかりませんが、借金に追われると、まともな判断ができなくなります。

 頭の中が返済と支払いの金のことばかりに陥るのです。まさに金に追われる日々から、嘘のように脱出できます。ただし、その使い道がギャンブルや浪費であったり財産を隠していたりすると、裁判所は免責を認めません。また、未払いの税金等も対象外です。住民税は前年度の所得に関して課税されますので少額ではありません。未納分も合わせて私の場合は長期分割で納付しました。

 世の中、もちろんおいしい話ばかりではありません。デメリットとしては、金融関連の情報が銀行系、サラ金系、クレジットカード系のブラックリストに登録されます。名前と生年月日で、2社は5年、銀行系は7年間といわれています。

 普通預金の取引は問題ないですが、一切の信用供与は受けられません。つまりクレジットカードもローンも無理です。そのほかに、会社は辞める必要はありませんが、自己破産から復権するまでの期間は資格制限があります。主に士業と呼ばれる専門的な職種や会社役員も対象です。通常であれば期間は3カ月から半年くらいが目安です。ほかにも、手続き中の海外渡航、長期の旅行、引っ越しは裁判所の許可が必要です。考えようですが、普通の生活ならば支障なく続けられます。

3.手続き前にできれば準備しておきたいこと

 実際に手続きをすると、前述のとおりデメリットに耐えなければなりません。具体的な対処方法として、もし可能なら次の予備対策をお勧めします。

 まず新しい携帯電話です。手続きをすると分割払いができません。名義は本人でも家族でもかまいません。新しい人生のためには必須です。次に困るのがクレジットカードを持てなくなることです。現代社会ではカードがなければ出張予約やネット購入時の不便は測りしれません。ですからご本人の年令にもよりますが、ご両親やパートナー名義カードの家族メンバーとして、先に1枚発行を済ませておきます。家族カードは破産者でも持てます。

 また、現金は限られますので、もし高価な時計、ブランドバッグ等があれば、申し立ての弁護士に相談して、先に家族宛に売却して手元に残します。これは、どうしても必要な際に質屋で現金を借り入れる質草になります。金利はとても高いですが、金に換えられない突発時、例えば入院とか親戚の不幸等の非常事態の際に役立ちます。皮肉なもので、一銭もない時に限ってこのような場面に接する事態が起こります。人生にはどうしようもない時期が続いて起こるものです。破産は本当に「お金」のありがたみを学ばせてくれます。

まとめ 絶望は必ず希望を連れてやって来る。“Crisis brings opportunity”

 まずは個人破産の流れと、事前にやっておきたい事柄を説明しました。次回は手続きの具体的準備内容と、弁護士が債権者に受任通知を送付した直後に人間関係が大激変することを経験談を交えてお伝えします。

 そして人生再建に向けたマインドセットが必要です。なぜなら人生最大の想像以上の「心の折れ」を経験します。必ず自殺が浮かびます。それらを乗り越える具体的方法や考え方をお伝えします。

 繰り返しますが、破産は人生再建の選択肢のひとつにすぎません。私もこうして普通の生活を取り戻し、子供も社会人となりました。誰にでも人生再建は必ずできます。次回連載も続けてお読みください。      

(文=辛酸なめ過ぎ太/人生再建アドバイザー)

JRA NHKマイルC(G1)は上位人気で決まらない!? レシステンシア、ルフトシュトローム「切り」! 強力現場情報をもとに三連単で攻略!

 10日、東京競馬場でNHKマイルC(G1)が開催される。桜花賞(G1)で2着のレシステンシア、前哨戦・アーリントンC(G3)の勝ち馬タイセイビジョン、無敗馬サトノインプレッサ、ルフトシュトロームと人気が分かれる混戦模様だ。また3年連続で3連単は10万馬券越えと荒れるレースでもある。今回、「強力現場ネタ」からNHKマイルCをハナビ杉崎が攻略する。

 まず「◎」はサトノインプレッサ(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。

 前走の毎日杯(G3)は出遅れて、直線では前が空かない状況となった。だが、進路が空いてからは鋭い末脚で差し切り勝ち。2着のアルジャンナは重賞戦線で好走している馬のため、いい指標となるだろう。3戦3勝の底を見せていない無敗馬が1歩リードと見て本命に指名する。

「前走後に少しソエが出ましたが、しっかりとケアをしているので問題ありません。歩様はスムーズです。馬体も成長が見られ良くなってきています。また調整も予定通りに来ており、いい仕上がり。3連勝と能力は非凡ですし、ここでも楽しみですね」(厩舎関係者)

 毎日杯勝ちからNHKマイルCを制した馬は過去にディープスカイ、キングカメハメハ、クロフネといった名馬揃い。これまでのサトノインプレッサの走りを見る限り、名馬と肩を並べてもおかしくないポテンシャルを感じる。クロフネの手綱を取った武豊騎手とのコンビも心強いだろう。

 つぎに「〇」はウイングレイテスト(牡3歳、美浦・青木孝文厩舎)だ。

 前走のニュージーランドT(G2)は4コーナーで大きく外に振られる不利があり3着。今回こそは実力の発揮に期待したい。

「横山武史騎手は『(前走は)不利がなければ勝っていたと思います。長く脚の使えるタイプで東京に替わるのはむしろプラスですね』とかなり強気です。今回、2度目の騎乗となるため、馬の癖も掴んでいると思いますし、心強いですね。今度こそ能力を示すのではないでしょうか」(競馬記者)

「状態面は文句なしです。ただ、敢えて心配な点を挙げるなら持ち時計がないことです。ペース次第では1分31秒台決着もありえるので……」(厩舎関係者)

 今年のフローラS(G2)を制した「ウイン×横山武」コンビがG1でも、あっと驚くレースをするかもしれない。

 「▲」はタイセイビジョン(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)だ。

 朝日杯FS(G1)ではサリオスに敗れたが、前走のアーリントンC(G3)を圧勝。これまで連対率100%で、重賞2勝の安定感は信頼できる。

「馬体の仕上がりは文句なしで、確実に前走以上です。今の時計の速い東京であれば、スピードと切れが持ち味のこの馬には持って来いですね。輸送なども経験済みで、不安らしい不安はないです」(厩舎関係者)

 有力馬が初の「左回り」や「長距離輸送」と不安があるなか、タイセイビジョンだけがどちらもクリアしている。ここでも大崩れはまずないだろう。

 「△」はギルデッドミラー(牝3歳、栗東・松永幹夫厩舎)だ。

 前走のアーリントンCはタイセイビジョンの2着で、3走前はサトノインプレッサとタイム差なしの2着。重賞勝ちはないが、有力馬たちに決して引けを取らない能力を持っているはずだ。

「ハミを替えるなど馬具を工夫して、ようやく競馬の形ができてきました。気性面はまだ完璧ではありませんが、潜在能力はかなりのモノです。スムーズに折り合って、終いをいかす形になればチャンスはあります」(厩舎関係者)

 鞍上の福永祐一騎手は先週通算2300勝を達成。皐月賞(G1)をコントレイルで制してから、マイラーズC(G2)、かしわ記念(G1)と好調を維持している。今ノッている騎手にはあやかっておきたい。

「☆」はボンオムトゥック(牝3歳、栗東・高橋亮厩舎)だ。

 実績では劣るが、父クロフネ、母父ダイワメジャーという血統が魅力的。NHKマイルCの種牡馬成績ではダイワメジャーがトップの3勝、続く2位がクロフネの2勝なのだ。まさにこのレースを勝つための血統といったところだ。G1の大舞台で血が覚醒するだろうか。

「これまでのレースは素質だけで走っている印象がありますね。陣営の話だと、状態自体は悪くないのですが、まだカイバが実になってないようです。そのため、初の長距離輸送が鍵になるのではないでしょうか。当日の馬体重に注意した方がよさそうですね」(競馬記者)

 今回、上位人気が予想されるレシステンシアは初の長距離輸送、軽めの仕上げという部分で、ルフトシュトロームは上積みが少ないとみて、「消し」とする。

 買い目は以下の通り。

 3連単 1頭軸流し 12点

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 コントレイルに続いて、矢作厩舎2頭目の無敗の3歳G1馬誕生に期待したい。

(文=ハナビ杉崎)

コロナ禍で「ハンコを押す」行為が無意味だったと判明…今や本人証明の機能も果たさず

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を受け、数々の企業がリモートワークを取り入れようとしている今、いまだ日本企業の間に根強く残る“ハンコ文化”が、その大きな妨げとなっているようだ。

 事務処理を紙とハンコで行うのが慣習だったため、在宅勤務へスムーズに移行できないという企業は多い。そればかりか、リモートワークを導入したにもかかわらず、ハンコを押すために社員が毎週出社しなければならない企業もあるという。

 日本企業の生産性向上を阻んでいるともいわれているハンコ文化については、見直す動きも本格化してきているようだ。4月20日に行われた総務省の有識者会議では、企業の作成した電子書類が本物であることを証明する民間の認定制度「eシール」を、2022年度から運用し始めるという計画が示された。

 電子版の社印であるeシールが普及すれば、書類に社印を押し郵送するという従来のやり方に比べ、大幅に手間を省けるという。また、現在広まりつつあるリモートワークの定着に貢献するとも期待されているようだ。

 日本社会におけるデジタル化の遅れや、生産性の低さの象徴ともいえるハンコ文化をやめるには、何が必要なのだろうか。今回は、情報社会学が専門の武蔵大学社会学部教授で、行政やビジネスのデジタル化に詳しく「脱ハンコ」に積極的な庄司昌彦氏に取材し、ハンコ文化の欠点や、改革のために重要なポイントについて話を聞いた。

日本企業の体質が、ハンコ文化からの脱却を阻んでいる

 企業内でハンコは、申請や届出を本人が提出したことの証明や、稟議書・決裁書類を責任者が確認・承認したことの記録として利用されてきた。また、他社との契約時など、企業間のやり取りや行政手続きの場面でも用いられてきたわけだが、そんなハンコには、どのようなデメリットがあるのだろうか。

「ここのところ推奨されているリモートワークでは当然、隣の人にぱっと紙を手渡すことはできません。そうなると、紙にハンコを押さなければならないときのやり取りが、非常に大変です。ハンコが必要な人たちに、いちいち郵送で紙を回していたら時間も手間もかかってしまうので、結局は人を直接動かしたほうが早いということになります。会社へハンコを押しに行かなければならないという理由で外出し、新型コロナウイルスに感染するリスクを高めてしまっているのが、一番の問題でしょう。

 一方、事務処理を紙で行うと、それを保存しておくためのスペースがいるという別の問題もあります。また、かつてであれば、まったく同じハンコの印面は存在しないということから、ハンコがつくり出す印影が証明として機能していました。しかし現在では、デジタルで印影を偽造できてしまいます。

 それに、認め印として使われているハンコは、どこにでも売られている大量生産品であることも多く、他の人が代わりにハンコを押せてしまう可能性を否定できません。偽造やなりすましが行われてしまうリスクもありますし、ハンコの印影が、本当にその人が認めたという印にならなくなってきているということですね」(庄司氏)

 もちろん、電子サービスにも使いづらさや普及度といった別の課題はあるものの、紙やハンコの利用をやめてデジタル化を進めれば「時間の短縮、コスト削減、セキュリティの向上ができる」と庄司氏は語る。それならば、なぜハンコ文化は延々と続いているのだろうか。

「本質的な原因は、慣れ親しんだ仕事のやり方を変えにくいという企業文化・体質だと思います。紙やハンコの利用をなかなかやめられないのは、新しいやり方を取り入れたときに『何か不具合が起きたらどうしよう』という不安があるからではないでしょうか。やり方をいざ変えようとなったら、上司を説得しなければならなかったり、責任者は一つの決心を迫られたりすることになりますが、そういった取り組みを、私たち日本人は避けてしまう傾向にあります。

 ただし、これが企業内に限った話であれば、トップがしっかりと指示すればデジタルに移行できるはず。やはり、行政手続きや業界内でのやり取りで、書類にハンコを押させる文化がいまだに残ってしまっていることこそが、デジタル化を遅らせているのでしょう」(同)

ハンコによる証明のデジタル的な代替手段はいくらでもある

 とはいえ、ただ闇雲にデジタル化すればいいというわけでもないらしい。冒頭で触れたeシールのようなサービスにも、庄司氏は懐疑的な見方だ。

「最近では、手で押す実物のハンコに替え、電子的にハンコのマークを紙に押せるサービスも登場していますが、私個人としては、単純に置き換えるのはあまり望ましいものではないと考えています。ハンコを電子化するのではなく、“ハンコを押す”という手続き自体が本当に必要なのかを疑うべきですね。

 例えば、ある人が申請書を出したということを確認したいだけならば、その人が普段使っているメールアドレスから申請書が送られてきたという事実だけで、証明は済んでいるはずです。別にハンコが押されていなくても、ちゃんとメールが残ってさえいれば本人の意思を確認したことにするなど、この機会に今までの仕事のやり方をチェックし、プロセスを再構築することが求められるでしょう。

 また、意思決定する責任者の他に、中間管理職にも資料を見せて、その確認のためにハンコを押させるといった慣習もありますが、それも開封したことがわかる電子メールを利用したり、それこそ『見ました』と一言メールしてもらったりすれば済む話ですよね。確認や承認の証明を、ハンコではない違う手段で代替できないかと検討するのも、大事なことだと思います」(同)

 庄司氏はさらに、日本企業の多くが抱えている課題点について、こう指摘する。

「そもそも、権限が分散されていないというところが大問題です。下の人たちに仕事を任せたのであれば、任せたということでそのまま進行すればいいのに、やれ報告書だお伺いだと、あれこれ書類を書かせて回させるというのがよくない。権限の分散化や明確化のために、社内の誰と誰が仕事内容を知っていればいいのかということについて、見直していくのも大切なのではないでしょうか」(同)

 デメリットだらけのハンコ文化をやめるには、これまでのやり方に固執してしまいがちな、人々の意識を改めなければならないのだろう。感染症の流行によって環境が一変してしまったこの状況を、日本企業のみならず社会全体がハンコ文化から脱却するための、またとない機会にしたいところだ。

(文・取材=後藤拓也/A4studio)

中小企業を襲う、コロナ禍後の“長く深刻な不況期”…生き残りに必要な3つの根本的“発想の転換”

「今を乗り越えれば、なんとかなる」と思っている人も多いようですが、アフターコロナは、供給ショックにより深刻な不況による深いトンネルに入り込む懸念があることも、視野に入れておく必要があります。中小企業の経営者は、「店を閉める」か「戦略を変更して続ける」かを即決する必要があります。

 中国がいち早く経済回復すれば日本も多少は恩恵を受けやすく、最悪の事態は避けられると思っている方もいるかもしれませんが、国内に目を向けると、人口減少で消費は減るするばかりです。新型コロナウイルス感染により3月だけでも全国の倒産件数は744件にも上り、前年同月比で14%増加、なかでも飲食店が33%も増えています。

 海外では、設立したばかりでも利益が出なければさっさと閉め、少し、経過したら違う場所で再び開業する経営者もいます。経営者が自分の生活費や貯金を崩してまで店を継続しようとする意識はほとんどありません。倒産の前に閉めてしまうほうが、新たな借金をせず自己破綻もしなくてすみます。

 コロナの感染拡大で厳しい経済苦境に陥る可能性があるのは、1)長期休暇などの悪影響を受けやすい労働集約型、2)観光への依存度が高く、3)中小規模の企業の比率が高い国です。労働集約型産業に依存しているのは、バングラデシュ、香港などの東南アジア、チェコやスロバキアなどの中欧です。

 観光業がGDPの10%を超えるのはタイ、フィリピン、マダガスカルで、他にもスペイン、ポルトガル、インド、ベネズエラ、エチオピアが観光収入に依存しています。南欧では非金融部門の人口の8分の1が観光業に従事しています。ちなみに観光客が増えているとはいえ日本は5%程度です。

 日本は観光依存度は低く、労働集約型企業の比率もそこまで高くはありませんが、中小規模の比率が高い国に当てはまります。特に余裕資金のない10人以下の小規模企業が多い国は、経済自粛が続くと回復ができず、倒産件数が増加して経済全体に悪影響を与えます。

 アメリカでは小規模企業の25%が、1カ月分の事業継続費用を賄える貯金さえありません。しかし、アメリカはイギリスと同様に小規模企業の労働者の割合がさほど多くなく、より深刻なのは、50%以上を占めているイタリア、日本です。そして、日本では、すでに後継者不足などにより廃業のほうが、開業を上回っている現象が全産業においてみられます。

 帝国データバンクによると、2019年の倒産は8354件で、特に個人消費の低迷で小売店が1945件で前年同月比7%増加しています。注視すべきは、過去最高の件数になった飲食店の732件です。高齢化により、ますます消費は減少します。特に都市部ではテレワークが進めばオフィス街の飲食店は半分に減っても、需要と供給のバランスが保たれるかもしれません。同じチェーン店のコンビニエンスストアやドラッグストア、ファストフードが徒歩数分以内に数店舗あったり、似たような個人経営の飲食店や整骨院が同じエリアに何軒も集まっていることもあります。都市部では、多すぎる店舗数が過度な競争を生み、結果として十分な収益が確保されないという実態もあります。

 もし事業を継続させたいなら、発想の転換が必要です。これを機会に経営戦略を見直す必要があります。

不況時の経営戦略(1):需要のある地方でニッチな店(希少価値)

 例えば、都市部や繁華街で似たような店が多すぎる場合、いったん閉店して、同じような店が少なく、家賃や仕入れコストが低い地方へ新店舗を出す方法もあります。政府がコロナ拡大が一段落した時に景気刺激策として観光チケットを配布するなら、都市部の人々が地方に遊びに行く動きも広まるかもしれません。

 もし、現状のままの店舗を進出しても、地方で需要がない場合は、今の店を現地の需要に合わせて少しアレンジすればいいのです。金融機関に対して返済が残っている場合でも、賃貸が安くなり、需要のある地方へ移転すると説明すると考慮してくれることもあります。

 例えば、倒産している飲食店をみると居酒屋、焼き鳥、酒場、ビヤホール、フランス料理、イタリア料理などの西洋料理店、ラーメン店、餃子店などを含む中華料理、アジア料理店で全体の半分以上を占めています。一方、天ぷらやとんかつ、すし屋、うどん・そばなどの日本食は、もともとの店舗数が少ないため生き残っています。同じような業種の店が増えると、市場は縮小し、消費者の数が減少しているのにライバルの店が増え、顧客を奪い合うことになります。ですが、その地域に1つしかない店なら、選びようがありません。例えばテナントが1つだけ空いていて、その周辺に類似した店がない場合などが狙いめでしょう。

不況時の経営戦略(2):共同化

 経営戦略として「共同化」があります。例えば、現状の店をライバル社と店舗を共同で利用して家賃を半額にしたり、従業員を時間帯に応じて2つの店で働いてもらったり、仕入れにおいても、原材料を一緒に仕入れると大量に仕入れ安くすることができます。

 例えば、居酒屋と隣のパスタ屋が昼は店舗を昼と夜に時間帯を分けて利用したり、半分ずつのスペースで利用しあうこともできます。大規模にするなら商店街組合などで共同化できる店を募集しあうこともできます。最近、流行りのサブスクリプションも共同化の一種です。東急電鉄などによる電車・バスや自転車レンタルや映画館、蕎麦屋などにおいて、顧客を共同化しようとしています。グループ内に鉄道会社と百貨店を持ち、電車に乗って百貨店に来て買い物してもらうというように同じ顧客に続けてお金を落としてもらう戦略もあります。航空会社のワンワールド加盟方式もそうです。

不況時の経営戦略(3):選択と集中

 経営学者ピーター・F・ドラッカーが提唱した「選択と集中」に従えば、経営が悪化している時は、販売する商品の種類を絞り、それ以外の商品の開発や販売をやめるのも方法の一つです。腐りやすい材料の仕入れや従業員の手間が必要な商品の販売をやめて、店舗を小さくして利益率の高い商品だけに集中して絞るのです。飲食店の場合、メニューが豊富なほうが客には喜ばれますが、手間もコストもかかり利益が出ません。

 また、高い家賃を払うのをやめて、バンのような屋根付き中型車をもっているなら、1種類のお弁当の販売だけに集中させて、飲食店が少ない地域に販売に行く戦略をとる方法もあります。ライバル店が少ない地域ならプラスチック容器代、ガソリン代込みでも多少の利益は出るかもしれません。

 こうした選択と集中により、コスト削減が可能になり、イノベーションや新しいアイデアが生まれやすくなります。デメリットとしては、戦略により絞った商品が、なんらかの影響で売れなくなった場合には、リスクがあることです。その場合に備えるなら、まったく正反対の業種に手を出しておくことです。

 人口減少により消費の拡大は今後も期待できません。需要の多い地域での新たな戦略が問われています。

(文=柏木​理佳​/城西国際大学大学院准教授、生活経済ジャーナリスト)