天丼てんや、「500円天丼」で復活の兆し…値上げで客離れ→新型コロナで持ち帰り需要増

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

「徐々に、お客様が戻られてきたのを感じます」

 東京都内の「天丼てんや」で接客してくれたスタッフは、こう言ってほほ笑んだ。外出自粛の影響で、店内には少なかったが、持ち帰り用の窓口にはお客が並び、次々に弁当を買っていた。

 5月18日、首都圏を中心に国内で約190店を展開する「てんや」がグランドメニューを一部改訂。主力商品の「天丼」(並盛)を540円(税込み、以下同)から500円に値下げした。同商品は、海老、いか、白身魚(きす、または赤魚)、かぼちゃ、いんげんが入り、味噌汁つきでこの価格で、店内で食事をする人の4割以上が注文する看板メニューだ。

 2018年1月11日に、ワンコインで買えた500円天丼を540円に値上げ。それを今回の価格改訂で戻した。値上げ以降、好調だった「てんや」(運営会社はテンコーポレーション/ロイヤルホールディングスグループ)の売り上げは、前年割れが目立つようになる。最近になって改善の兆しが見えたところで、新型コロナウイルスに見舞われた。

 コロナ感染拡大防止のため、特に3月以降になって各店舗は営業自粛や営業時間短縮を余儀なくされ、2020年の既存店売上高は前年同月比で、95.9%(1月)→98.2%(2月)→79.1%(3月)→58.1%(4月)と急降下した。ただし、2月から4月の客単価は99~100%台だ。

 看板商品をワンコインに戻した「てんや」は復活できるのか。天丼に対する消費者心理と合わせて考察したい。

もともと「テイクアウト」も持ち味

 コロナ感染拡大以降、各飲食店がテイクアウトに力を入れ始めたが、「てんや」では以前から持ち帰りの弁当に力を入れていた。

 現在は営業時間短縮や座席調整などの影響で、持ち帰り率が店舗売上の約6割(それまでは3割)に高まり、利用者の7割は女性だという。筆者の取材先である熟練皮革デザイナーの女性も、「忙しくて、食事の支度をしたくない時に利用する」と語っていた。

 最新の調査で、働く女性が7割を超えた現在、料理に手間がかかり、油などの後片付けが大変な揚げ物は、あまり家庭では行わなくなった。とんかつやコロッケは精肉店や惣菜店でも買えるが、天ぷらを買える店は少ない。

「テイクアウトの人気商品は、圧倒的に天丼弁当(5月18日から500円)で、『天ぷらがごはんにのって、タレが染みたかたちで食べたい』という方がほとんどです。持ち帰り容器も、水分を逃すふたを使用して、湯気で天ぷらの衣がしっとりしすぎない形状を取り入れています。

 食べるまでになじんでしまうタレも、店内より3割多くかけて、テイクアウトの楽しさも追求してきました」(広報担当)

 後述するが、こうした工夫を横展開するのも、今後のロイヤルHDの活路につながるのではないか、と筆者は考えている。

垣根の高かった天丼を大衆化させた

 もともと江戸文化の天丼は、海老や魚、野菜を使ったものが主流で、東京・浅草には長年続く名店も多い。

 だが昭和時代、町の食堂メニューの天丼は、カツ丼よりも数百円高く、1000円を超える店が多かった。以前、取材でその理由を質問した際は「当時は冷凍技術も発達しておらず、専門店以外の店では手のかかるメニューだった」とも聞いた。

 それを大衆化させた店が、1989年に、かつて日本マクドナルドに勤めていた岩下善夫氏によって創業された「てんや」だ。創業以来、天丼文化が根づく東京を中心に店を展開。現在は福岡県発祥のロイヤルHDのグループ会社だが、今でも首都圏中心の店舗展開だ。

「てんや」の強みは、「設備」と「人材」にある。

 設備で特徴的なのは、独自開発の「オートフライヤー」と呼ぶ天ぷらの揚げ機器だ。野菜は溶いた天ぷら衣(たね)にそのまま、海老や穴子などの海鮮や肉には打ち粉をまぶし、天ぷら衣をつけて高温に設定した油の中に入れると、短時間で均等に揚げられる。

 このオートフライヤーを使うと、パートやアルバイト従業員も訓練を積めば調理できる。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」も手がけるグループとして食材を一括調達すること、調理に熟練職人を必要としないことが、「てんや」が低価格で商品を提供できる理由だ。

 これ以外に、さまざまな派生商品を投入して店舗メニューを活性化させる。たとえば5月13日からは季節限定メニュー「一本釣りかつおとあさりのかき揚げ天丼」(880円)を販売している。

「ごほうび」を低価格で訴求する手も

 ただし、「天丼」「天丼弁当」(並・500円)、「上天丼」「上天丼弁当」(650円)に比べると、派生商品や季節限定商品は割安とはいえない。

 同社としての経営戦略もあるだろうが、消費者心理を研究する筆者としては、当面は高価格メニューを投入しないほうがいいと思う。

 コロナ禍によって、ほとんどの企業が大打撃を受けた。今後は従業員や取引先への「報酬」(賃金や取引条件)にも影響することを考えると、消費意欲の落ち込みは避けられない。

 そこで「低価格のごほうび」需要を喚起してはいかがだろう。そのベンチマーキングとして、リタイヤ世代の消費動向を参考にする手もある。

「てんや」はリタイヤ世代にも強い。平日午後には、現役時代から利用してきたと思われる年配客が、明るいうちから天丼とビールを楽しむ光景も目にしてきた。「年金支給日の偶数月15日には、店内が一段とにぎわう」という。これを現役世代の訴求に生かすのだ。

 たとえば「ほろよいセット」として、生ビール(中ジョッキ)と天丼(並)を1000円未満で提供する。現在の店内メニューには、天ぷらとビールのセットメニューはあるが、天丼とビールのセットメニューはない。

 カウンター席が多く、手軽に食べられる「てんや」を牛丼チェーン店と比較する意見もあるが、前述した高級感の視点では、消費者の意識は少し異なるのだ。

「外食」ブランドを「中食」で生かす

 今年2月、ビジネスジャーナルの「企業・業界」コーナーで、ロイヤルHDの新業態となる「GATHERING TABLE PANTRY(ギャザリング テーブル パントリー)」という店の取り組みを紹介した(『ロイヤルHD、ロイホと真逆の新業態店を展開…火と油を使わない&現金使えない』)。

 この中で「中食」市場を見据えた「ロイヤルデリ」(一般向け冷凍食品)の販売にも触れた。コロナ後の経営計画見直しで、ロイヤルHDは拡大する中食市場への訴求をさらに強化するはずだ。ただし、前述した消費意欲の減退を見据えながらの展開となるだろう。

 一般小売店には天丼の冷凍食品も置かれるが、それとは一線を画し、同グループの機内食や病院食事業で培ったノウハウを応用すると思う。合わせて強化したいのがオンライン販売だ。

 筆者が取り上げる機会の多いカフェでも、コーヒー豆をオンラインで販売して実績を上げてきた店は、「営業自粛」の影響も小さかった。この事例から学ぶことはあるだろう。

 実店舗で培った信頼やブランド力を、「三密」がほとんどないオンラインや、少ないテイクアウト事業で生かす。それが企業活動の「次の一手」につながると思う。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント) 1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。 近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

パチスロ4号機「AT 130連チャン」に「熱狂」‼ 「破格」の出玉力を備えた「名機」の思い出


 今ではSANKYOのコンテンツとして有名な、さいとう・たかを原作の大人気劇画「ゴルゴ13」。

 かつては平和がライセンス契約を結んでおり、その第1弾として2001年10月に登場したパチスロ4号機『ゴルゴ13』は、あらゆる面で「13」にこだわった超連チャン機として世間を震撼させた。

 出玉増加の主軸は「ゴルゴチャンス(以下GC)」と銘打たれたAT機能だ。

 突入後は内部的に高確率で成立する12枚役の組み合わせ及び押し順が音声や4thリールでナビされ、これに従うだけで1G純増約7枚のハイスピードで出玉を増やすことができる。

 GCは1セット「13G」継続。単純計算でおよそ90枚の出玉獲得となるわけだが、これは単発で終了してしまった場合の話だ。

 もちろん、このGCには激しい連チャン性があり、初当りでの最大連チャン数は何と「130」。一撃数千枚の爆発は日常茶飯事であり、数あるAT機の中でもトップクラスの破壊力といえる。

 GC突入契機は「通常時の純ハズレ」「REG成立時」「ビッグ中の純ハズレ」の3種類で、通常時の純ハズレ成立時は制御で「強」と「弱」の振り分けが存在する。

 REG成立時の抽選と共に当選期待度は低確・高確と2種類ある内部状態及び設定で変化し、高確時の強ハズレはGC確定、高確時のREGは設定6のみ超高確率でGCへと結び付く。ちなみに、通常時の強ハズレ出現時はリーチ目が停止する。

 また、ビッグ中の純ハズレもGC確定。出現率はかなり低いが、首尾よく射止められれば大連チャンへの発展に大きな期待が持てる。

 したがって、ビッグ中はリプレイハズシを駆使することによる小役ゲームの引き延ばしも重要だ。

 主な高確移行契機はビッグで、ビッグ終了後100G間は例外なく高確に滞在。設定変更時も同様となるため、当時はビッグ後や朝イチ台をカニ歩く戦術が有効とされた。

 天井は2段階で、ビッグ間1500Gで到達する天井は、その後の強ハズレ成立時の2分の1でGCへ突入。

 これは基本的に単発で終了するが、ボーナス間2626Gハマリで到達するもうひとつの天井は超強力で、到達した時点でGC30連チャンが約束される。

 なお、本機は超一流スナイパーのゴルゴ13を前面に押し出したクールな演出も魅力のひとつ。「Gだ。断る」「必ずレクイエムを聞かせてやる」などといったセリフやパイプオルガンの調べに多くのファンが一喜一憂したものだ。 

パチスロ「超多彩」ART機「引退」へ… 「無限の展開」に一喜一憂


 ボーナス中の演出及び抽選システムを自由に選べるマシンは数あれど、このパチスロ機は規格外。オリンピアの『みどりのマキバオー 届け!!日本一のゴールへ!!』が6月1日、惜しまれつつも認定期間満了を迎える。

 本機は1G純増約2.0枚のループ&上乗せ型ART「マスタングラッシュ」が出玉増加の主軸。主なART突入契機は疑似ボーナスで、基本的なボーナス当選ルートはチャンス役直撃、「チャレンジカップ」勝利の2種類となる。

 各種チャンス役の中で実質的にビッグ当選期待度が高い役は強チェリーAで、激レア役の強チェリーBや最強スイカはビッグ濃厚。

 前半9G+後半3Gの「スタンダード」、1G完結の「直線勝負」と2種類から抽選システムを選べるチャレンジカップへはチャンス役を機に上昇する「調子メーター」MAXで突入し、レースのグレードが高いほど当選期待度はアップする。

 ビッグはノーマルとスーパーの2種類で、白7シングル揃いのノーマルは「チャンス告知」「完全告知」「役物告知」「最終告知」「レース」と5種類ある「タイプ」と、「通常」「勝負」「大勝負」と3種類ある「モード」からそれぞれ選択(レースは通常のみ)。

 いずれも最終的にマキバオーが勝利すればART確定で、各種選択によってビッグの継続ゲーム数やART期待度、当選時の恩恵などが大きく異なる。

 一方、白7ダブル揃いで始まるスーパーはタイプのみの選択。同じく自身のチョイスで各種期待度が変化。

 たとえば「100枚+α継続」の役物告知は平均300枚以上獲得できる代わりにART期待度は約47~ 48% 、50G固定の最終告知は獲得枚数が約98枚且つART期待度が約36~39%と低い反面、首尾よくARTを射止められれば「85% 継続」が約束される。

 また、やはり50G固定のレース告知を選択した場合は、その時点でART当選濃厚だ。

 このように、計18種類あるビッグは本物の競馬レースさながらに戦略性あり。手堅くいくか、ボーナスでの出玉を取るか、はたまた大穴のARTロング継続を狙うか。全てはプレイヤーに委ねられているというわけだ。

 ARTへ突入すると、まずは特化ゾーン「ウイニングランモード」で初期枚数を決定(初当り時は40G以上)。

 消化中の上乗せは小役による直乗せよりも「特化ゾーン」がメインで、ライバルに負けるまで続く1セット6G継続の「GIRUSH」はリプレイ以外成立で10~200G上乗せ、直乗せ時の一部で発生する「ムチ連打チャンス」は1~10Gの1PUSH上乗せが97.5%or99.0%ループ。

 さらに、シンボル揃い後に発生する「連勝RUSH」は50%or80%のループ抽選に漏れるまで0G連でセット数が上乗せされ続ける。

 設定推測要素はスイカと弱チェリー出現率、スイカ・弱チェリー・チャンスリプ&チャンス目からのビッグ直撃当選率、スーパービッグ当選に期待できる「白い奇跡誕生!?」ステージ移行率、ARTセット開始時の内部状態振り分け率など。天井はボーナスorART終了後760Gハマリで到達し、前兆を経てビッグがスタートする。

 

セイバン 学校再開の小学生に新聞広告でエール

ランドセルメーカーのセイバン(本社:兵庫県たつの市 泉貴章社長)は6月1日、コロナ禍で休校になっていた学校が同日、全国的に再開されたことを受け、小学生に向けて、毎日新聞全国版(全ページカラー)と毎日小学生新聞(タブロイド1ページカラー)に広告を掲載した。
 

キャッチコピーは、“「あたらしい小学生」のキミへ。”
休校中の頑張りを称え、再開への不安に寄り添いながら、「だけど、キミたちはこの3か月を乗り越えてきたんだから。」「だいじょうぶ。」「あたらしい日常を、しっかりと歩いてける」と励まし、最後は「さあ、ランドセルを背負って。」「すすめ、あたらしい小学生」とエールを送っている。
同社イメージカラーのブルーをバックに、全面コピーと同社の人気ブランド「天使のはね」・企業ロゴのみで構成したシンプルな紙面が目を引く。
同社は「学校再開の当日に、このメッセージを発信することに意味があると考えた。当社は今後も、お子さまとそのご家族の笑顔を実現する企業でいられるよう努めていく」としている。
公式HP: https://www.seiban.co.jp/

 

 

甘デジ『北斗の拳』シリーズ「新時代の覇者」に!?「秀逸なスペック」と「機種の完成度」を特集

 パチンコ界に燦然と輝く大スター『海物語』シリーズは、当然ながら甘デジ部門においても圧倒的な存在感を見せつけている。甘デジコーナーにおいて『海』シリーズが設置されていないホールなどほぼ存在せず、スタメンとして、あるいは癒やしとして、ある時は救いとして、密接に接続されているのである。

 それ以外の機種は、時代の先端だったり、人気のマシンだったり、責任者の趣味やセンスだったりとバラエティに富んだラインナップとなっているのが常であろう。

 つまり、甘デジ界隈においても『海物語』の優位性が確立されている状況である。しかし、その中でもこの巨星に勝るとも劣らない輝きを放つ人気と実力を兼ね備えたシリーズ機種があるのではないだろうか。『北斗の拳』シリーズである。

 本家シリーズとしては2代目にあたる『ぱちんこCR北斗の拳強敵/伝承』の甘デジタイプ『CR北斗の拳STV』として登場したのを起源とし、6代続く老舗ブランドとなったのである。特に“慈母”で知られる「ユリア」をモチーフにしたシリーズ機は安定した人気を博し、「北斗の甘デジ」をファンやホールに強く印象づけた。

 初代から脈々と受け継がれている100%突入する4回転(初代とユリア)もしくは5回転(慈母シリーズ)のST構成とラオウに出会えば大当りという演出スタイルで、わかりやすさと緊張感、時折みせる爆発力を武器に甘デジシーンを剛掌波したものである。

 ただ、P機時代に突入するとその方向性に変化の兆しが見えた。現時点での本家シリーズ最新作『デジハネPA北斗の拳7天破』は突破型の爆裂RUSH仕様となっているのである。

 本作に影響を与えたのが『ぱちんこCR真・北斗無双 夢幻闘乱』であることに疑いの余地はないであろう。メガヒットを飛ばし時代を象徴する一台となった『ぱちんこCR真・北斗無双 』の狂暴性を宿した圧倒的攻撃力を甘デジで再現した名機である。当然といえば当然といえよう。

 ただ、遠くトップを激走する『海』シリーズを見据えるのであれば、多様性という観点から、本系『北斗の拳』シリーズは「慈母」を継承しつつ、『北斗無双』の側で連チャン性や出玉力を謳う甘デジシリーズを展開する戦略もあったのではないだろうか。

 あるいは『ぱちんこ北斗の拳』シリーズの初期コンセプト、『伝承』と『強敵』や『ケンシロウ』と『ラオウ』のような対になる違ったスペックをパッケージとして売り出す形式である。

『慈母』と『突破型RUSH』、どちらも秀逸なスペック性能と機種の完成度となっているので、その効用は極めて大きくなるはずである。私自身、あらゆるシーンで、さまざまなケースで、2つのゲーム性を楽しみたい願望があるし、そうすることで新時代の覇者となれる可能性を充分に秘めている。

(文=大森町男)

朝ドラ『エール』で「美人すぎる」と話題の春花&入山法子、モデル兼女優の確かな存在感

 NHKの連続テレビ小説『エール』第9週では、古山音が挑戦する「椿姫」のヒロイン・ヴィオレッタ役の審査が最終局面を迎えた。また、古山裕一の幼なじみの村野鉄男の恋物語も大きなポイントとなった、5月25日(月)~29日(金)のストーリーを振り返る。

カフェーのバイトで“恋愛偏差値”を高める音

 音(二階堂ふみ)は、記念公演の審査員として招かれた双浦環(柴咲コウ)と再会する。幼い頃に豊橋で会っていることを伝えつつ、ヴィオレッタ役の二次審査に挑み、結果は合格。音と夏目千鶴子(小南満佑子)の2人が最終審査に残った。音は一安心するが、審査後に双浦から「最終選考で勝つのは難しい」と言われる。

 喫茶バンブーで、音の歌からは何も伝わらないとダメ出しを受けたと、裕一(窪田正孝)とオーナー夫妻(野間口徹・仲里依紗)と佐藤久志(山崎育三郎)に相談するうちに、音の“恋愛偏差値”の低さが判明。そこで、ヴィオレッタの気持ちを理解するために、音はカフェーでの短期バイトを決意する。

 一方の裕一は、早稲田大学応援部の影響を受けて前向きになっており、その勢いのまま、村野鉄男(中村蒼)に上京して作詞家として活動しないかと持ちかける。しかし、鉄男からは時期尚早と断られてしまう。

 コロンブスレコードでは、廿日市誉(古田新太)から地方小唄(ご当地ソング)の作曲を打診されてやる気になるが、ダメ元で発進したプロジェクトだったこともあり、うまくいかずに落ち込む裕一。さらに、木枯正人(野田洋次郎)から、カフェーでの音の人気ぶりを聞いて取り乱してしまう。

―――

 新人ながら指名をもらい、カフェーでうまくやっていた音。ある日、客とトラブルを起こして叱られているところに先輩女給の希穂子(入山法子)がフォローに入り、2人は仲良くなる。気を取り直した音は次の指名客の席に向かうと、そこには鉄男の姿があった。そして、お互いを見て驚く鉄男と希穂子。

 実は、鉄男と希穂子は元恋人だった。しかし、鉄男に新聞社の社長令嬢との縁談が持ち上がったため、希穂子は東京に出てきたのだった。

 音のバイト最終日。鉄男はカフェーを訪れて、希穂子に話をしたいと伝えるが、「話すことは何もない。あなたが重荷になったから福島を離れただけ。迷惑だ」と言われ、放心状態でカフェーを後にした。

 古山家では、久志を招いて鉄男の失恋慰め会を開催。そこで、鉄男が久しぶりに書いたという「福島行進曲」を見せると、2人は感動し、歌詞にいたく共感した裕一は「この歌詞に曲をつけさせてほしい」と懇願する。そして、すぐに曲を考えて廿日市に提出すると、あっさり通り、裕一の初レコードが発売されることとなった。

―――

 音は、人妻・学生・女給の三役で、クタクタになりながら学校に通っていた。そんな音に音楽への熱意を感じず激怒した千鶴子は、「強欲なあなたには絶対に負けない」と宣言。まさかの言葉にショックを受けながらも、音は最終審査への練習を重ねた。

 ある日、喫茶バンブーで譜面を読んでいると、オーナー夫妻が裕一の初レコード発売のお祝いパーティーをしようと提案する。そこで、音は久しぶりにカフェーに向かい、希穂子にパーティーに出席してほしいと伝えた。

 しかし、希穂子は首を縦には振らなかった。実は、前の話には続きがあり、新聞社の社長から、手切れ金と引き換えに鉄男と別れろ、さもなければ鉄男を解雇する、と脅されていたと告白。父親の治療費が必要だったこともあり、その申し出を受け入れたため、後戻りはできないと伝えた。

「それでも、希穂子さんには来てほしい」という音の泣きの訴えが通じ、お祝いパーティーに希穂子が飛び入り参加。そこで、鉄男は再びよりを戻したいと伝えるが、希穂子は「結婚が決まった」と嘘をついた。

 鉄男と希穂子の別れを目の当たりにした音は、複雑な気持ちのまま最終審査へ。2人の恋模様は「椿姫」と重なり、音は感情のままに課題曲を歌い切り、見事に最終審査をパスした。

社長令嬢とカフェー女給の“2人の美女”が話題に

 先週、ネット上を騒がせたのは、鉄男が働く新聞社の社長令嬢である堂林仁美と鉄男の元カノ・希穂子の2人だ。特に仁美は回想シーンのみの出演だったにもかかわらず、登場した途端に「美人すぎる!」とツイッターで盛り上がり、ネットニュースにもなった。

 そんな仁美役を演じるのは、ドラッグレーサー・女優・モデルの春花。2010年にファッション誌のモデルとしてデビューし、16年からは女優業もスタート、数々のテレビドラマや映画に出演している期待の新人だ。NHKでは、『梅ちゃん先生』『八重の桜』にも出演している。

 一方、鉄男の元カノの希穂子役を演じるのは、女優・モデルの入山法子。愛する人のために身を引く難しい役どころを完璧にこなし、朝から視聴者の涙を誘った。入山はテレビドラマを中心に活動しており、17年にはリバイバルされたドラマ『きみはペット』(フジテレビ系)で主演を務めて話題となった。

 控えめながらも確かな存在感で、先週の『エール』を“感動週”に格上げした2人の名バイプレイヤー。彼女たちの今後の活躍にも期待しよう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

JRA横山典弘マイラプソディ日本ダービー(G1)渾身の大マクリ! オークス(G1)ウインマリリンに続き「2週連続」大暴れ! キングオブコージで目黒記念(G2)制す

 今年の競馬の祭典・日本ダービー(G1)は福永祐一騎手の1番人気コントレイルが2着サリオスに3馬身差をつける圧勝で無敗のクラシック2冠を達成した。菊花賞(G1)を勝てば史上8頭目となる3冠馬に向け、秋への期待は膨らむばかりだ。

 コントレイルの強さが目立った今年のダービーだが、名手・横山典弘の手綱捌きが冴えた日曜東京だったともいえそうだ。

 オークス(G1)では、8枠16番からのスタートとなった7番人気ウインマリリンで果敢な先行策から内へ潜り込み、デアリングタクトと半馬身差の2着に食い込んだ。ただ前に行くだけではなく、追い出しをワンテンポ遅らせるというベテランらしい見事な手綱捌きを披露した。

 日本ダービーで横山典騎手が騎乗したのは、デビューから3連勝で昨年の京都2歳S(G3)を制し、クラシック候補の期待が大きかったマイラプソディ(牡3、栗東・友道康夫厩舎)。皐月賞を13着に敗れ、今回は主戦の武豊騎手がサトノフラッグに騎乗したために託された。

 11番人気と大きく評価を落とした横山典騎手とマイラプソディのコンビは後方から2番手につける待機策を選択した。だが、先頭に立ったウインカーネリアンが思いのほかスローペースに落としたこともあり、800m過ぎから一気に外から大マクリを決める。果敢に先頭に立ったマイラプソディは残り300mまで先頭を守ったものの、力尽きて9着に敗れた。

 敗れたとはいえ、1000m通過61.7秒という緩慢な流れに一石を投じた横山典騎手の『賭け』は、大いにレースを引き締める結果となった。また、陣営がマイラプソディの近走の不振を体よりも心に原因を疑うコメントもしていたことから、そういう意味では一見、無謀に思えるこの大マクリも復活へのカンフル剤となったかもしれない。

「オークス、ダービーと続いた東京開催で横山典騎手の存在感は際立っていました。『ノリなら何かやってくれそうだ』という期待が持てる騎乗ぶりでしたね。今年ブレイクした息子の武史騎手の活躍もいい刺激となっているようです。

最近はかつてのような『ポツン』騎乗も見なくなりましたし、ノームコアに騎乗を予定している安田記念(G1)でも台風の目となるかもしれません」(競馬記者)

 11Rのダービーで大マクリを決めた返す刀で、1番人気キングオブコージに騎乗した12Rの目黒記念(G2)を勝利した横山典騎手。後方からレースを進めながらロスなく馬群をすり抜けたように、『横山マジック』はまだまだ健在である。

 来週の東京も冴え渡るベテランの手綱捌きから目が離せなさそうだ。

JRA安田記念、アーモンドアイに“激ヤバ”情報?プロ集団が掴んだ本命馬の「裏事情」とは

 7日に東京競馬場で開催される今年の安田記念は、かつてない豪華メンバーとなりそうだ。

 主役は、なんといっても芝G1・8勝目の新記録がかかる最強女王アーモンドアイ。前走のヴィクトリアマイルではノーステッキのまま先頭に立ち、最後は主戦のクリストフ・ルメール騎手が後ろを振り返るほどの楽勝だった。

 今回の安田記念は、昨年敗れて3着だった舞台だが、スタートで致命的な不利を受けての敗戦。むしろ、最後の直線で見せた上がり3ハロン32.4秒の“鬼脚”は、アーモンドアイのずば抜けたパフォーマンスを知らしめるのに十分な内容だった。

 今年もメンバーはそろったが、主役は不動だ。週末のスポーツ紙や競馬新聞には「◎」がいくつも並び、単勝オッズも圧倒的な支持を受けることは確実。ディープインパクトやキタサンブラックでも達成できなかった、前人未到の芝G1・8勝目へ視界は極めて良好だ。

 しかし、そんな世間の楽観的な見解とは異なり、「真のプロフェッショナル集団」は今回のアーモンドアイに少なからず「疑問符」を付けているようだ。

「ここだけの話ですが、実はアーモンドアイは今回、1週前の追い切りを行っていないんですよ。中2週とレース間隔が詰まっていることが理由ですが、こんなことはこれまで一度もなかった。中間にノーザンファーム天栄で調整する時間がなかったことも、これまでとは違うパターン。

 これ以上、詳しいことはここでは話せませんが、新聞やネットの記事では景気の良いコメントが飛び交っていると思います。すべてを鵜呑みにしていると、なかなか馬券を当てるのは難しいでしょうね」

 そう話すのは、かつて「競馬予想の神様」と呼ばれた故大川慶次郎氏が設立した『ホースメン会議』の関係者だ。

 来年で創業40年の節目を迎えるというホースメン会議は、これまで数々の伝説的な的中実績を残してきた「情報戦」の絶対的王者だ。

 大川氏亡き今は、後継者として指名された、テレビやラジオ解説でお馴染みの【能勢俊介】が総監督を務めており、日刊スポーツの本紙予想を25年にわたって務めた【堀内泰夫】や、大阪スポーツ本紙歴37年の【米原聡】といったレジェンド級の記者が在籍。他の追随を許さない圧倒的な情報力は、業界トップクラスといわれている。

「大手マスコミは調教師や騎手との付き合いもありますから、例え取材して『今回は見送りかな』『これはヤバいな』と思っても、それをそのまま記事にすることはできないんですよ。その結果、一般の読者に必ずしも正確でない情報が伝わってしまうことも珍しくありません。

 競馬ファンの方なら『実はソエ気味で』『輸送で馬体が』などといった情報が“レースの後”に出てきて、思わず『先に言ってよ!』と言いたくなった経験があるんじゃないでしょうか」

 そんな一般的なマスコミとホースメン会議がもっとも異なる点は、組織が得た情報のすべてを、ニュースではなく「馬券」という形でしか表現しないことにある。つまり、単純に良いと判断した馬は“買い”で、ダメと判断した馬は容赦なく消すのだ。競馬新聞やスポーツ紙とは比較にならないほどの情報のすべてが組織内で処理され、「確信的な情報」は一般には一切出回らない

「逆に言えば、だからこそ調教師や騎手は安心して『本音』を語ることができるんですよ。“身内”同士の『ここだけの話』というものを想像していただければ、わかりやすいかもしれません。どんなにヤバい情報、たとえばG1レースで、単勝1倍台の大本命が抱えている致命的な欠点でも『ホースメン会議』が、それを外に漏らすことは絶対にありません」

 ホースメン会議は、長く競馬界の“不文律”を厳守してきたプロフェッショナル集団だからこそ、調教師や騎手も信頼して「すべて」を話せるというわけだ。

 そして、そんな真のプロフェッショナル集団・ホースメン会議が今回、「お宝馬穴馬3頭」を含めた安田記念の買い目を「無料公開」するという。しかも、万が一不的中だった場合、7月5日まで4週間、【1日1鞍の渾身予想】を無料で公開するというのだ。

 一見、彼らにとってはなんのメリットもない提案だが、逆にいえば、それだけ今年の安田記念で「激ヤバな情報」を数多く入手しているのだろう。

「人間誰でも秘密を持っていて、それがヤバければヤバいほど、人に話して安心したくなるもの。毎週、大金が動く競馬の世界にも当然“それ”は結構あって、『ホントはこうなんだけど、誰にも言えない』『もしバレて記事にでもなったら大事だぞ』という話が珍しくないんですよ。

 そういった“真実”は、得てしてレースの結果に直接つながるもの。ごくわずかな人は『正しい答え』にたどり着けますし、何も知らなければ“その他大勢”と一緒に馬券が外れてしまうだけですね」

 ホースメン会議の関係者が話しているのは「情報戦」の神髄だ。単純に、知っていれば勝ち組になり、知らなければ負け組になる……。競馬予想とは結局、そういうものなのだろう。勝つには「必ず勝てるだけの情報を知る必要がある」ということだ。これは、投資や先物買いといったビジネスにも通ずるに違いない。今回は、トッププロ集団の“力”を体感する絶好の機会といえるだろう。

(文=編集部)

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今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。

連載第4回は、工藤一朗さんを紹介します。


クライアントの期待はコンサル重視へ

日用品から医療用医薬品、社会インフラ、BtoCからBtoBに至るまで広範囲なクライアントを担当しています。また、業務上の立ち位置も、ある時はプロデューサー、ある時はコンサルタントといった感じでさまざま。クライアントから求められる内容に応じて一つ一つカスタマイズの必要があるため、私自身の役割は常にフレキシブルでありたいと心掛けています。

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ここ数年、クライアントが電通に期待する役割も大きく変わってきていると感じます。単なる広告コミュニケーション領域だけでなく、より川上の事業/商品開発といった分野から一気通貫してやってほしいという要望が多い。直近では新規事業開発も。

言い換えると、クライアントのビジネスに即時直結するソリューションやビジネスグロースのための事業そのものに影響を及ぼす戦略が求められている、いわゆるコンサルテーション業務です。

価値創造で求められるのはアイディエーション

コンサル業務では、①思考の速さ②思考の深さ③アイディエーションの三つのファクターが求められます。また③は、非連続の発想をいかに生み出せるか、ということだと解釈しています。

この中で、電通が競合するコンサル会社と相対した際に強みとなるのは、きっと③だと思います。コンサル会社の持つ独自のフレームワークや分析力に舌を巻く場面は多々あります。けれど、分析結果をアイデアに昇華させ戦略ストーリーを描く、そして戦略から施策までを一気通貫させ最後まで責任を負う。それが電通の強みではないでしょうか。

クライアントが求めているのは、事業計画が右肩上がりで“伸びる、その角度を上げる”こと。それは、データの分析やフォーマット化だけでなく、アウトプットがあって初めて可能になります。

とはいえ、このアイディエーション、決して簡単なものではありません。フォーマット的に処理できるものではありませんから。毎日毎度、常に生みの苦しみを味わっています。

日頃から気を付けていることは、クライアントのコンディションを常に洞察し続けること。社長・役員から担当者、さらにはクライアント周辺の関係者に至るまで。とにかく聞きまくって情報を集めます。そうして混在する課題を整理し、担当スタッフ全員に同じタイミングで共有する。時系列をはっきりさせて伝えることも大切です。そうすることで、それぞれ役割を持つチーム員全員から同じテーブル上で新しいアイディエーションが生まれる。クライアントの良きパートナーとして居続けるための大事な価値を創造していきます。

超絶技巧に、ビジネスチャンスあり!

京都大徳院総門の正面に店を構える、古美術商「鐘ヶ江」。
取り扱う品々は時代屏風、近代美術工芸品を中心に
現代美術まで多岐の分野にわたるが、
「仕事の良さ、面白さ」を基準とするモノ選びの姿勢は
終始、筋を通しているのだ、と鐘ヶ江英夫氏は言う。

一刻<ロボットの腕> 前原冬樹   木彫

モノの良さとか、モノの価値とかといったものに対して
「脊髄反射」の時代になったのではないか、と
インタビュアーである僕個人としては、感じている。
ある事象が起きた際、
そこにある歴史的経緯とか、自分なりの推察といったものを介さずに、
直感的、あるいは感覚的に、
周りの空気を読んで「賛成」「反対」を表明することが
ひとつのフォームになっているのではないか、と。

周りに解け込むことで、人間関係が構築される。
時代におもねることで、マーケティング戦略がつくられる。
でもそれは、同質化や画一化への道を進むことだ。
無難で、平均的なアウトプットしか期待できない。

対して、「アートの本質とは、違いをつくることなのだ」と。
そのあたりについて、ぜひ、いろいろと伺ってみたい。
この時代、誰しもが抱えている閉塞感を打ち破るヒントが、
そこには必ずあるはずだから。

(文責:電通CDC柴田修志)

 

古美術商の「古」のイメージから、脱したい

古美術といわれると、ほこりをまとった陶器に高い値をつけて取引しているようなイメージがあると思うのですが、アート作品に対しては「100年、200年先に評価されるかどうか」という視点で向き合うようにしています、と鐘ヶ江氏は言う。「つまり、過去ではなく、未来を見ているのです。流行というものには、興味がないですね」。

古美術 鐘ヶ江 ディレクター 鐘ヶ江英夫氏。京都造形芸術大 環境デザイン科を卒業後、実家の美術商「古美術鐘ヶ江」を継ぐ。日本の美術工芸を独自のデザイン思考で再構築を試みている。
古美術 鐘ヶ江 ディレクター 鐘ヶ江英夫氏。京都造形芸術大 環境デザイン科を卒業後、実家の美術商「古美術鐘ヶ江」を継ぐ。日本の美術工芸を独自のデザイン思考で再構築を試みている。

私は古美術商ですから、時に流されて行動するのではなく、悠久の時間を常に意識しながら、ブレない価値を見いだす。それが、鐘ヶ江の仕事だというのだ。同時に「古き良きものは、もう二度とつくれない。技術も、道具も、材料すら失われてしまったのだから」などと言う人の見解を、鐘ヶ江は断固として否定する。現代社会の技術をもってすれば、「古美術」に匹敵する、あるいはそれを超える作品が必ずできる。その可能性を信じ、現代作家たちと制作に挑んでいるのだ。

美術とは、常に革新的でモダンな存在であるべき

「美術とは、常に革新的でモダンな存在であるべきだ」と鐘ヶ江氏は言う。それは、1000年前の作品であっても、現代の新進気鋭の作家による作品であっても同じ。「大切なのは時を超えてもなお、人々に“斬新である”と思われること。これはその時代における常識に抗い、チャレンジをしている者にしか作れません。その場しのぎの作品ではなく、私や作家たちがこの世を去った100年200年先に、その本当の価値を示す」。それが鐘ヶ江の理想なのだ。

2 草花蒔絵文机  江戸後期 かつて孝明天皇の遺物として下賜された本作。洗練を極めた雅な姿は、今でも少しも色褪せず、美しい。個人的には、倉又史郎のミスブランチと合わせて飾ってみたいと密かに夢みている。2 草花蒔絵文机  江戸後期 かつて孝明天皇の遺物として下賜された本作。洗練を極めた雅な姿は、今でも少しも色褪せず、美しい。個人的には、倉又史郎のミスブランチと合わせて飾ってみたいと密かに夢みている。
【草花蒔絵文机】江戸後期にかつて孝明天皇の遺物として下賜された本作。洗練を極めた雅な姿は、今でも少しも色褪せず、美しい。個人的には、倉又史郎のミスブランチと合わせて飾ってみたいと密かに夢みている。
 

「モダンである」とは何か?
 

100年後も評価される「モダンさ」とは何か?古美術商である鐘ヶ江の立場からいえば、それは「その時代の匂い」が感じられることだと言う。「例えば、大正時代につくられた家具や食器には、ある種の『モダンさ』を感じたりしますよね?それは、ただ単に開国による西洋文化の影響だけではありません。『大正』という時代に新しい流れをつくろうとしていた空気を、作品を通して現代に生きる私たちでも感じとれるからなんです」。モダンであることの正体。それは、「その時代において常に革新的な物を作ろうとすること」。それが制作の源であり、また、それをどの時代のお客さまも求めているという。革新がなければ「ビジネス」のチャンスも、広がっていかない。「大げさな言い方をするなら現代の工芸家たちとこの時代の『美術運動』を起こしたいんです。運動には、今までにない発想や、流行に対する『反骨心』のようなものが不可欠です。ピカソのキュビズムとかも、そうですよね?」。今までの常識を疑い、この時代の新しい常識をつくっていきたいのだ。

3 竹の水仙 大竹亮峯 木彫 落語「竹の水仙」から着想を得た作品。 作品に水を注ぐと、ゆっくりと蕾が開いていく。目を疑う様な作品である。その様を一度ご覧頂ければ、ただのカラクリではない事が分かって頂けるであろう。神秘的で人の心を打つ怪作だ。 ※この作品だけ写真クレジット入れてください。 Tadayuki Minamoto
【竹の水仙 大竹亮峯 木彫 ©️Tadayuki Minamoto】落語「竹の水仙」から着想を得た作品。 作品に水を注ぐと、ゆっくりと蕾が開いていく。目を疑う様な作品である。その様を一度ご覧頂ければ、ただのカラクリではない事が分かって頂けるであろう。神秘的で人の心を打つ怪作だ。

アートには「ストーリー」が必要

学生時代にサッカーをやっていたせいか、アートとスポーツには共通するものがある、と鐘ヶ江氏は言う。アーティストをアスリートに重ねることもあるし、アートビジネスをスポーツビジネスに重ねている部分もあるという。「スポーツって、どんなに良い選手がいても、それだけではビジネスとして成立しませんよね。スポンサーがいて、なにより熱狂的な観客(ファン)がいてはじめて成立する。そうした『場』をつくるのが、私のような美術商の役目だと思います」。
その「場」の上にいるのがアーティスト。彼らの鍛錬を積んだ技術や、生み出す「ストーリー」は人々を魅了する。「私が『超絶技巧作品』に魅せられる理由も、彼らの並外れた技術と共に、作品のストーリーがあるからです。ただし、それを言葉では表現しません。彼らは口下手な小説家です。作品で物語を語るのです。サッカーでいえば、それはスター選手の目を見張るスルーパスでしょうか。味方に言葉はなくとも、次のプレーを誘発させるメッセージ付きのパスを送る。そのような、語りかけてくる作品に引かれますね」。

一刻<ロボットの腕> 前原冬樹   木彫  継ぎ目などはない。コードも含めて全て、一木から彫り上げられている。
冒頭で紹介した、一刻<ロボットの腕> 前原冬樹   木彫。驚くべきことに、継ぎ目などは一切ない。コードも含めて全て、一木から彫り上げられている。これぞ、超絶技巧。その仕上がりには、ただただ唸らされる。、
京都「鐘ヶ江」店内の様子
京都「鐘ヶ江」店内の様子。懐かしさとモダンさ、その調和が絶妙だ。

「それとアスリートの進化って、すごくないですか?30年前のプロスポーツの試合などを見ていると、今と比べてなんだか違和感を覚えませんか?それだけ、今のスポーツ界の進化や競争が激しいということなんです。そうした進化のスピード感、躍動感を、もっとアートの世界でも実現したい」
現在、スポーツブランドやテック企業とコラボした「アートギア」という、科学的に一歩踏み込んでアーティストをサポートする活動を鐘ヶ江は進めようとしている。その背景には、そうした熱き思いがあるのだ。

古美術商「鐘ヶ江」のホームページは、こちら

なぜか元気な会社のヒミツ Season2ロゴ

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、
電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。初回は、古美術商「鐘ヶ江」をご紹介しました。

「なぜか元気な会社のヒミツ」Season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


(編集後記)

京都を拠点にビジネスを展開する鐘ヶ江氏に、京都の魅力について尋ねたところ、意外な答えが返ってきた。京都という街、京都に住む人は「境界」を共有しているのだ、と。神社仏閣が、そこかしこにある京都。聖なるものと俗なるものが共存する街で生きていくためには、その境界(ゾーン)を常に意識する必要がある。そこに、礼儀や作法が生まれる。他人やアート、先人に対するリスペクトが生まれる。だからこそ、文化を継承していくことができるのだ、と。なるほど、とうならされた。

鐘ヶ江氏の仕事には、作品に対するストイックな目と、アーティストへのリスペクトがある。厳格さと深い愛情、そのどちらが欠けてもビジネスは成立しない。それは、あらゆる職業に当てはまる哲学であり、姿勢なのではないだろうか。
「一見さん、お断り」のイメージが強い京都。その敷居の高さに、よそ者はついひるんでしまいがちだが、それは「境界線」が見えていないから、なのだと思う。一定の距離を保ちながら、冷静に物事を見る。相手を敬う。鐘ヶ江氏の答えに、日本人の美意識の原点を見た。