JRA“小倉難民”が占める新潟の味!? 開幕週24レースで関西馬「17勝」怒涛の猛威に関東関係者から悲鳴……

 先週から開幕した夏の新潟開催。ある程度予想されていたとはいえ、やはり関西馬の独壇場といった結果だった。

 土日で24レース中、関西馬が17勝、2着も16回、3着は10回と好走。特別戦にいたってはアイビスサマーダッシュ(G3)を含め関西馬が6レースすべてを勝利し、土曜はなんと1~3着を独占した。

 1着は全体の70.8%で2着も全体の68.7%なのだから、あらためて関西馬の強さが浮き彫りになったとみていいだろう。

 ただこの結果は開催前から想定されていたものでもある。というのも、もともとは東京オリンピックの影響で開催が制限され、今年は本来あるはずの小倉開催が8月15日まで行われないのだ。小倉開催がない分、小倉遠征予定の関西馬が新潟に集中するのは当然だろう。

 さらにレースの出走を制限する東西ブロック性も、この3週間は合わせて解除。加えてコロナウイルスの感染防止で、北海道開催の函館競馬場がトレセンとして使えず、関西から北海道への遠征組も減少。以上の理由から、多くの関西馬が新潟に出走すると見込まれていたのである。

 ちなみに昨年の新潟開幕週は、ブロック制が実施されていたこと、そして小倉開催が開催されていたこともあり、関西馬の出走は少なかった。その勝利数もわずか2勝なのである。つまり今年の開幕週で関西馬は、昨年の8.5倍の勝利数を記録したのである。

 関西馬が多く勝つということは、当然その関西馬に騎乗する騎手も同様の傾向となっている。

 通常、夏の新潟開催は関東の騎手が活躍しており、2回新潟開催リーディングも2016年から2019年まで関東のジョッキーが獲得。しかし今年の開幕週では関西の福永祐一騎手と松山弘平騎手がそれぞれ3勝でトップに位置しており、有力な関西馬に多く騎乗できる関西のジョッキーが有利な状況となっている。

 実際に先週も24レース中、関西所属騎手が16勝で関東所属騎手8勝の倍を勝ち、勝率66.7%を記録している。夏の新潟開催は関東の騎手にとって稼ぎどころだったはずだったのだが……。

 また関西所属調教師の成績をじっくり見てみると、関西馬の勝負気配が高いことがわかる。先週17勝をあげた関西厩舎の上位5つの厩舎の勝率・連対率はえげつない数字になっているのだ。

藤原英昭 [2.1.0.4] 勝率28.6%・連対率42.9%・複勝率42.9%

高橋義忠 [2.0.1.1] 勝率50%・連対率50%・複勝率75%

岡田稲男 [2.0.0.2] 勝率50%・連対率50%・複勝率50%

本田優  [2.0.0.2] 勝率50%・連対率50%・複勝率50%

中竹和也 [1.1.0.0] 勝率50%・連対率100%・複勝率100%

 勝率も連対率も複勝率もすべて高水準。関東でトップの厩舎でも、出走回数4度以上に絞れば最高でも勝率は松永康利厩舎の25%(4戦1勝)となっており、その差は歴然。この成績からも、多くの関西馬が新潟に照準を合わせて勝負の仕上げを施し、そして結果を出したことがわかる。

 ちなみに例年夏の2回新潟開催は、騎手同様に調教師も関東所属が上位を独占。昨年はなんと1~32位が関東の調教師だった。そして2016~2019年の開催リーディングは関東の調教師であり、中でも木村哲也厩舎はその4年のうち3度もリーディングを獲得しているほど。騎手同様に関東の調教師にとって稼ぎどころとなる夏の新潟開催。今年は例年と違う傾向となっており、さすがに“悲鳴”が聞こえてきそうだ。

 新潟競馬場は関東ローカルという位置付けにあり、距離も美浦トレーニングセンターから390km(約5時間)に対し、栗東トレーニングセンターからは550km(約6時間30分)と関東馬が輸送も有利だ。

 しかし栗東トレーニングセンターから新潟競馬場へは、高速道路の出入口が近く「信号に引っかかる数もわずか」と言われるほど利便性が高いという。そういった行きやすさもあり、残り2週間の新潟開催も関西馬の攻勢が続くとみられる。関東の調教師や騎手にとっては、小倉開催が始まる8月15日までの辛抱といったところだろうか。

【G1レディースチャンピオン】大規模イベントの制限緩和の先送りで大幅な入場制限! ドル箱の女子頂上戦線にどう影響するか?

 一般戦ながら、アッと驚く80億4913万8700円を売り上げた『住之江ヴィーナスシリーズ第9戦』(7月20~25日、優勝=土屋南)。女子戦の売り上げは天井知らずで、今やボートレース界のドル箱だ。

 だが、8月5日にボートレース多摩川で開幕する『G1レディースチャンピオン(女子王座決定戦)』が大幅な入場制限を敷くことになり、売り上げへの影響が注目される。

 7月22日に政府が大規模イベントの制限緩和を先送りしたことを受け、主催者側は一般客の入場を禁止し、都内在住のテレボート会員限定で入場を認めることにした。それも事前申し込みによる抽選で、1日の上限が200人という狭き門だ。同時に、出待ち、差し入れなども遠慮するよう呼び掛けている。

 厚生労働省によれば、7月28日0時現在の国内の新型コロナウイルス感染症の感染は3万961例(死亡者は998人)。入院治療を要する者は7131人としている。感染者が東京都に集中している現状を考えれば、大幅な入場制限もやむなしと言えるかもしれない。

 一方で、”密閉空間”と言える、横に長いガラス張りのスタンド観戦者が少なくない戸田などに比べ、多摩川はコース際や屋外スタンドなど、”開放空間”での観戦者が多いのが事実。もちろん、従来通り、マスク着用、検温、アルコール消毒、ソーシャルディスタンスなど万全の対策を講じたうえで、有観客で開催すると決めたのなら、入場者を1000人程度まで増やし、入場者の居住地についても、もう少し柔軟に対応できないものかと考えるファンも少なくないだろう。

 観客の規模が違うJRAが、いまだに有観客レース開催に踏み切らないのは分かるが、開放感のあるボートレース多摩川で上限200人、東京在住のテレボート会員限定というのは、レディースチャンピオンの生観戦を楽しみにしていた熱烈なファンにとっては、納得のいかない発表だったと言えるかもしれない。

 政府の大規模イベントの制限緩和の先送りに加え、今月21日には初めてボートレーサーの新型コロナウイルス感染が発表されたばかり。主催者からすれば、有観客での開催に踏み切るうえでの、ぎりぎりの選択だったのかもしれないが……。

 レース場での生観戦が最大のファンサービスとも言えるが、今後もレース開催、観客動員に関して、新型コロナウイルスとの、にらめっこ状態が続くことになるだろう。

 いずれにしても、今やボートレースのドル箱となっているオール女子戦。参考までに、無観客で開催された3月の『G2レディースオールスター』(鳴門、優勝=岩崎芳美)の売り上げは44億9771万8300円だった。無観客での目標額(30億円)こそクリアしたが、有観客を想定した当初の目標額(60億円)には大きく届かなかった。ちなみに有観客で行われた昨年の同大会(児島)の売り上げは62億6086万8500円だった。

 今年はほぼ無観客に近いとも言える、大幅な入場制限を加えて開催することになった多摩川の『G1レディースチャンピオン』。昨年大会(蒲郡、優勝=大山千広)の売り上げは95億7676万7700円だった。あくまで新型コロナウイルスの情況を踏まえた対応で、仕方ない面もあるが、今回の最大200人という大幅な入場制限が、売り上げにどう影響するか、関心を寄せている関係者も少なくないだろう。

 オール女子戦では、好きな選手を直に応援できるからこそ、レース場まで足を運び、応援舟券を買うという熱烈なファンが少なくない。今回の入場制限が売り上げの停滞に微妙に影響するのか、それとも昨今の在宅・リモート舟券のパワーで、売り上げ減の不安など杞憂に終わるのか、女の熱い戦いとともに注目したいところだ。

パチスロ「規格外」の出玉スピード!? 「逆襲の赤い彗星」まもなく参戦!! 【新台分析−パチスロ編-】


 パチスロ界の「ニュータイプ」が、間もなくホールへと姿を現す。

シャア専用パチスロ 逆襲の赤い彗星』(Bisty)は1G純増約8枚のAT機。通常時は、CZ「百式BATTLE」に通常時250G+αで突入する。短いスパンで確実にやってくるCZが「WスピードAT」と称される本機の武器のひとつだろう。

 通常時は、CZ突破の鍵となる「コンテナ」を獲得していくゲーム性。毎G溜まっていくポイントが1000P集まれば、コンテナ獲得のチャンスモード「ZEON ROULETTE」に突入だ。リプレイやレア役はコンテナGETに期待できる。

 コンテナ獲得の特化ゾーン「赤い彗星ZONE」も搭載されており、全小役でコンテナ獲得の抽選を行うため、大量獲得に期待できる点もポイントだ。上位ゾーン「赤い彗星ZONE HYPER」に突入すれば、ATへの期待度は最高潮に跳ね上がるだろう。

 CZ「百式BATTLE」は、3回の抽選を突破するゲーム性。コンテナを駆使してMSを3体撃破すれば、1G純増約8枚のAT「NEO ZEON RUSH」へ突入だ。AT中は「シャア」・「クェス」・「ギュネイ」の3タイプの演出から選択が可能。異なるゲーム性が楽しめる仕様となっている。

「シャア」は、多彩な上乗せタイミングや前兆を楽しめるチャンス告知タイプ。「7を狙えカットイン」で成功すると20G継続の「NEO ZEON BONUS」に突入するのが特徴だ。

「クェス」は、「宿命バトル」が搭載されているバトル告知タイプ。バトルに敗北するまで上乗せが続いていくループ仕様となっている。1セット20G(初回は30G以上の可能性あり)で、7揃いはバトル勝利が濃厚となる。

「ギュネイ」は上乗せに特化した一発告知タイプ。上乗せ当選時には必ず先告知される仕様だ。また、「シャア」・「ギュネイ」の関しては「宿命バトル」に突入で、大量出玉の獲得に期待できる。(クェス選択時にはループに期待できる)

 更に、AT中はコインロスする区間がなく、1G純増8枚の恩恵を得られる点も魅力。CZへの突入も早く、これこそが「WスピードAT」と称する本機の大きな武器だろう。人気コンテンツという相乗効果もあって、本機に期待する声は大きい。

『シャア専用パチスロ 逆襲の赤い彗星』の導入予定日は8月3日。シャアの「出玉による粛清」が行われる日は近い。

JRAフィエールマンは足元にも及ばない!? 「世界最強」ステイヤーが凱旋門賞挑戦を示唆。エネイブルに立ちはだかるのは、A.オブライエンではなかった!?

 28日、イギリスのグッドウッド競馬場でグッドウッドC(G1・芝3200m)が行われ、1番人気ストラディバリウス(牡6歳、英・J.ゴスデン厩舎)が優勝した。

 7頭立ての4番手からレースを進めたストラディバリウス。最後の直線では、前が塞がり万事休すに思われた。だが、残り1ハロンで空いた進路を抜け出すと、脚色の違いを見せつけて2着馬に1馬身差で勝利。見事に人気に応え、最強ステイヤーの力を証明した。

 鞍上のL.デットーリ騎手は「馬群に包まれたけど、上がり勝負になればストラディバリウスのものだからね」とコメント。能力の高さを信頼しての騎乗だったことが窺える。

 この勝利でストラディバリウスは史上初となるグッドウッドCの4連覇を達成。また、前走で英ゴールドC(G1)も3連覇しており、3000m超の長距離G1・7勝目となった。

 日本ではフィエールマンが現役最強ステイヤーとして、菊花賞(G1)、天皇賞・春(G1)を2勝の長距離G1・3勝を挙げている。欧州と日本の番組に違いがあるため単純比較はできないが、ストラディバリウスは倍以上の勝ち鞍である。

 世界最強ステイヤーの名を欲しいままにしているストラディバリウス。どうやら今年の凱旋門賞(G1)に参戦する可能性が高くなっているようだ。

 レース後、ゴスデン調教師は「フォワ賞(G2)に行こうと思うから9月中旬までリフレッシュさせる。内容が良ければ凱旋門賞へ行くよ」とストラディバリウスの今後について明かした。ただ、プランについては流動的だと示唆しているため、まだ出走表明というわけではなさそうだ。

「前走のゴールドC後、ゴスデン調教師は『凱旋門賞を走ることもオーナーと話し合うことになる』と話していました。その内容と比べると、凱旋門賞挑戦はかなり現実味を帯びてきたように思えます。

もし、出走となれば同厩のエネイブルとの対決が実現します。距離短縮はストラディバリウスにとってマイナスとなりますが、全く衰えを感じさせず、むしろ今がピークかもしれないぐらいの調子の良さです。楽しみな対決になりそうですね」(競馬記者)

 最強女王エネイブルは前走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)を快勝。こちらも凱旋門賞に向けて好仕上がりと言えそうだ。

 だが、ストラディバリウスも今年のコロネーションC(G1)で2400 m戦に出走し、3着に好走している。この時の1着はエクリプスS(G1)でエネイブルに勝ったガイヤース。休み明けで得意の距離ではなかったことを考えれば、ガイヤース相手の好走は十分評価できる内容だろう。万全の状態で凱旋門賞出走となれば、注意が必要な1頭だ。

 史上初の凱旋門賞3勝を目指すエネイブルに立ちはだかるのは、A.オブライエン厩舎のマジカル、ラブ、アンソニーヴァンダイクらよりも、もしかしたら同厩のストラディバリウスになるかもしれない。

甘デジ「設定1でも継続率80%」!「突破型ST」が秘める「破格の連チャン力」を感じろ!!

 まだ梅雨の明ける気配がないがもうすぐ8月。旅行シーズンの到来である。しかし、新型コロナウイルスの脅威が収まらない現状では、そうもいくまい。近所のホールで銀玉を弾くような夏季休暇となりそうである。

 ところで、夏の旅行といえばもっぱら電車より車をイメージしてしまうのだが、高速道路には休憩施設がある。いつだったか、そのすべてに立ち寄って何か食べ物を買い食いする遊びを一人でやった。

 ただ、こうみえて町男はナイーブな少食男子なので、「ちゃんとした飯」とか「屋台の名物」みたいなものを食べ続けられるとは到底思えず、購入して食べるアイテムをソフトクリームにして挑戦したのである。

 尿意を催したときなどは果てしなく遠く思えるパーキングエリアやサービスエリアは、思いの外、近距離で点在していたのを思い知らされ、おおよそ30分おきにソフトクリームを食していると真夏の暑い盛りにもかかわらず体が異様に冷えて妙な震えすら感じるような有り様となった。ソフトクリームは危険な食べ物なのである。

 後に調べたところ、パーキングエリアはだいたい15キロ間隔で設置されているようで、しかも私としては「売っていないところもある」ことを念頭にいれていたが、立ち寄るパーキングエリアでことごとくソフトクリームが売られていたことが誤算であった。

 一方、パチンカーが「PA」といえば甘デジである。今回の紹介機種は『PA聖闘士星矢4 The Battle of “限界突破”』、タイトル通りの突破型ST機となっている。

 ヘソからの確変直当りはわずか2%なので、基本的にはその後に移行する40回転の時短モードによる引戻しからST突入を狙うこととなる。本機には大当り確率に3段階の設定が用意されていて、時短引き戻し率は30.6%(設定1)から33.1%(設定6)といった確率である。

 ちなみに、大当り確率は設定1:1/109.9、設定4:1/105.7、設定6:1/99.9となっている。大当りラウンド時のオーバー入賞ボイスが「うふふ」、RUSH終了時のリザルト画面に一輝やゴールドクロスをまとった青銅聖闘士と沙織のカットなら設定6濃厚である。

 さて、大量出玉獲得につながる重要モード「海皇決戦モード」で引き戻しを狙うためにポイントとなる演出が「キャラチェンジ」となる。このモードではテンパイ後にポセイドンとのバトル演出が発生するが、そおでキャラクターチェンジが発生すれば激アツ。特に星矢に変化した場合は大当り濃厚となるのである。

 また、通常の変動中にもキャラチェンジ予告が発生することがあり、その際に一輝に変わって「一撃必殺チャンス」に移行すれば大当りが約束されるのである。他にも、金系予告や沙織カットインなど高信頼度演出出現で引き戻しの大チャンスとなる。

 この時短40回で大当りを射止めることができたら80回のST「聖闘士RUSH」突入。継続率80%以上の破格の連チャン性能から一撃必殺の爆裂出玉にチャレンジなのである。右打ち中は18%で1000発オーバーの10R大当りが仕込まれているので、甘デジの限界を突破したビックバン級の出玉を獲得することも可能となっている。

 さらに、おまけポケットの存在や普通に打ってもオーバー入賞が多発するアタッカー周辺の良好なゲージ構成によって、そこはかとなく削られているようなケースも抑制できるだろう。

 ビンビンに小宇宙(コスモ)を感じられるこの『PA聖闘士星矢4 The Battle of “限界突破”』で、ペガサス流星拳ばりの連チャンと出玉を手にしよう!

(文=大森町男)

世界シェア2割でも破綻のサンデン、主力の黒字事業売却の“間違った選択と集中”がアダか

 私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)による経営再建を目指す、自動車エアコン用コンプレッサー(空気圧縮機)を製造するサンデンホールディングス(HD、東証1部上場)と関連会社4社は7月14日、第1回債権者会議を都内で開いた。全取引金融機関から借入金約800億円の返済について一時停止の同意を得た。対象債権者は金融機関およびリース会社で合計十数社。停止期限は債権者会議の終了までとなっている。

 群馬銀行とみずほ銀行から再建までのつなぎ融資として、計80億円規模の資金支援を受けることも決まった。会社側は企業や投資ファンド10社程度が“受け皿”となることに興味を示していることを明らかにした。スポンサー企業を決め、年末までに事業再生計画を策定。2回目以降の債権者会議は11月6日、12月11日に開催する予定で12月中の終結を目指す。

 サンデンHDの20年3月期末時点の連結ベースの負債額は1648億円。うち金融債務(長短借入金、社債、リース債務)は1104億円。スポンサー企業の支援のもと、どの程度の債権カットで金融機関と合意できるかが焦点となる。主力行の群馬銀行はサンデンHDとその子会社に対する債権は166億円にのぼると発表。ぐんぎんリースのリース債権は5億円ある。

 サンデンHDは6月30日、事業再生実務家協会に事業再生ADRを申請し、受理された。新型コロナウイルスの影響により欧州やインド、中国などで都市封鎖が行われ、自動車の生産が激減。同社の部品生産は5月中旬に再開されたが工場の稼働率は6~7割と低迷していた。景気の本格的な回復がいつになるか見通せないため、事業再生ADRを申請した。

 事業再生ADRは過剰債務に悩む企業の問題を解決するために生まれた制度。裁判所を通さず銀行と話し合うため、民事再生法といった法的整理より早期の再建が可能だとされる。

 山本一太群馬県知事は「サンデンは本県を代表するものづくり企業の一つで、雇用や下請けの面でも大きな影響があり、心配している」とコメントし、「雇用の維持や地元協力企業との取引継続を期し、事業再生に取り組んでほしい」と要望した。

今年の上場企業破綻の第2号

 サンデンHDの2020年3月期の連結決算の売上高は前期比25.2%減の2048億円、営業損益は34億円の赤字(19年3月期は8億円の黒字)、最終損益は22億円の黒字(同230億円の赤字)だった。新型コロナウイルスの感染拡大で欧州や中国などの工場が休業し販売が急減。子会社のサンデン・リテールシステムを売却したことも売上高の減少につながり、4期連続の減収となった。自動車機器の営業損益は53億円の赤字に転落したが、流通システム事業のそれは22億円の黒字。切り離した事業が黒字で、「選択と集中」で残した事業が赤字という皮肉な結果となった。

 リストラに伴う早期割増退職金など構造改革費用134億円を特別損失として計上。一方、子会社のサンデン・リテールシステムの売却益254億円を計上したため、最終黒字を確保した。配当は無配。21年3月期の業績予想は未定とした。決算短信に初めて「継続企業の前提に関する注記(GC注記)」を記載した。決算発表と同時に事業再生ADRを申請した。

 今年に入ってからの上場企業の経営破綻は2社目だ。5月15日に、東証1部上場の名門アパレル会社、レナウンが民事再生法を申請した。レナウンも直近決算で初めてGC注記を掲載した。コロナ感染拡大によるGC注記掲載企業からレナウン、サンデンHDに続く上場企業の破綻が出てくることは避けられない。

虎の子の冷蔵ケース事業を投資ファンドに500億円で譲渡

 サンデンHDは群馬県伊勢崎市に本社を置く電機メーカーグループの持株会社。独立系自動車部品メーカーとして群馬から飛躍した地元を代表する企業だ。カーエアコンの中核部品であるコンプレッサーで2割の世界シェアを握り、独フォルクスワーゲン(VW)や独ダイムラーなど欧州勢を主力顧客とし、中国などでも事業を拡大してきた。

 主要取引先の欧州自動車メーカーの不振の影響を受け、近年は業績が振るわなかった。売上高の4割を占める欧州では、排ガス規制が強化されてガソリン車向け空調部品の受注が激減。さらに、米中貿易摩擦で中国の自動車市場が低迷。インドも景気停滞や金融機関の貸し渋りで市場は縮小した。米国の経済制裁を受けたイランからは撤退した。

 19年5月に経営トップに就いた西勝也社長は思い切った構造改革に着手した。自動車機器に次ぐ柱だった流通システム事業の売却を決断し、社内外を驚かせた。19年10月、コンビニエンスストアの冷蔵ケースや自動販売機などを手掛ける流通システム子会社のサンデン・リテールシステム(群馬県伊勢崎市)の株式のすべてを投資ファンド、インテグラル(東京・千代田区)に売却した。株式や貸付債権などを含む譲渡額は500億円。流通システム事業の19年3月期の売上高は694億円。全社売上の4分の1を占めた。

 セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートなどのコンビニには、サンデン・リテールシステム製の冷蔵・冷凍ケースが置かれ、それぞれ3割のシェアがある。自動販売機も世界3位シェアを誇っていた。コンビニで本格的なカフェラテを飲めるようにしたのもサンデン・リテールシステムの製品だった。

 サンデン・リテールシステムを切り離した西社長は、「23年度までに世界で従業員の2割にあたる2400人を削減。中国3カ所の工場も閉鎖する」ことを骨子とした構造改革をまとめた。だが、コロナの一撃で「選択と集中」は吹き飛んだ。

(文=編集部)

米国政府が5兆円投資し「半導体製造」に本気を出し始めた…戦略もヤル気もない日本政府

米国と日本がTSMCの半導体工場を誘致

 1987年に、製造専門の半導体メーカー(ファウンドリー)として設立された台湾TSMCは、今や微細加工技術のトップランナーになった。

 昨年2019年に7nmプロセス(N7)を立ち上げ、孔系に最先端露光装置EUVを適用するN7+の量産を実現した。今年2020年は、孔だけでなく配線にもEUVを使う5nmプロセス(N5)の量産態勢が立ち上がっている。さらに、来年2021年に量産が開始される3nm(N3)の開発が完了し、現在は2nmプロセス(N2)の開発が本格化している。

 TSMCの微細化に追従しようとしているのは、韓国サムスン電子だけであり、米インテルは2016年に10nmプロセスの立ち上げに失敗して以降、14nmから先に微細化を進めることができていない。

 このように、世界最先端の半導体の微細化を驀進しているTSMCに対して、米国が国内へ半導体工場を建設するよう要請していた。そして、とうとう5月15日にTSMCがアリゾナ州に半導体工場を建設することを発表した(5月15日のTSMCのニュースリリース)。TSMCの発表によれば、2021年から120億ドルを投じて、5nmプロセスの半導体工場を建設し、2024年から月産2万枚のウエハで半導体を製造するとしている。

 一方、日本政府もTSMCの半導体工場を国内に誘致しようとしていることを、7月19日の読売新聞が報じた(ニュースソースは7月20日の中央日報)。上記記事によれば、日本政府は半導体産業育成戦略を大幅に修正し、既存の日本企業同士の連帯方式を断念する代わりに、半導体生産競争力が優れた外国企業と、日本が強みを持つ素材・部品・装置企業同士の国際連帯を支援する方向に舵を切る。そして、日本政府はTSMCが日本に工場をつくる場合、今後数年間に1000億円の政府資金を支援する計画であるという。

 しかし筆者は、TSMCが日本に半導体工場をつくることはあり得ないと考えている。本稿では、TSMCが米国に工場をつくる一方、日本にはつくらない根拠を論じる。

 結論を先取りすると、TSMCにとって、米国と日本では政府支援の規模や本気度が違う上、TSMCのカスタマーの約60%が米国であるのに対して日本はわずか5%にすぎないことが、工場建設の可否に直結しているといえる。

米国が半導体製造のために2つの法案を提出

 米国政府は、米国内における半導体製造を強化する目的で2つの法案を議会に提出した。

 まず、超党派の米議員たちが6月10日に“CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors) for America”という法案を提出した。この法案は、国内の半導体製造を復活させ、研究開発に資金を提供し、技術サプライチェーンを確保することを目指している。

 6月22日付のEE Times Japanの記事によれば、「CHIPS for Americaは、マーケティングとは別に、米国防総省が既に実施しているエレクトロニクスの『復活』に向けた取り組みに少なくとも120億米ドルを投入する他、半導体の研究開発に向けてその他の連邦政府機関に50億米ドルを投資することを提案している」という。

 さらに6月25日には、やはり超党派の上院議員たちが、2つ目の法案となる“American Foundries Act of 2020 (AFA)”を提出した。CHIPS for Americaは米国国防総省をはじめとする政府機関によるプロジェクトへの資金提供を主とした法案であるが、AFAでは、米国の各州に対し、商業的な半導体製造施設の拡大を促すための助成金を提供する。各法案での資金提供額はAFAが250億米ドル、CHIPSが220億米ドルであり、その合計は470億米ドル(約5兆円)にのぼる。

 7月2日付のEE Times Japanの記事によれば、「AFAは米商務省に対して、150億米ドルの資金を提供する権限を与えることにより、州政府が、半導体工場の他、アセンブリやテスト、最先端パッケージング、最先端の研究開発を行う関連施設の建設や拡張、近代化をサポートできるようにするという」。

 CHIPS for AmericaとAFAの2つの法案が可決されれば、TSMCのアリゾナ工場建設に多大な支援が行われることになるだろう。また、TSMCがファウンドリーで半導体を製造する周辺には、各種製造装置、各種半導体材料、半導体のテストやパッケージなどのエコシステムが必要になる。2つの法案は、そのエコシステムの構築を強力に推し進めることができる。

米国と日本の本気度の違い

 前掲記事のなかで、米上院議員のJim Risch氏が「半導体産業は米国で始まったが、アジア、特に中国が半導体製造に多大な投資を行う中、米国は製造で後れを取る危険性がある」と指摘している。要するに、「中国製造2025」という政策を掲げて、半導体製造を強力に推し進めようとしている中国に大きな警戒感を持っているというわけだ。

 つまり、TSMCの半導体工場を米国に誘致し、2つの法案を提出した米国には、中国に対する危機感がある。それが、2つの法案で合計470億米ドル(約5兆円)を支援する巨額の金額にも表れている。要するに、米国の半導体製造への回帰は本気モードなのだ。

 これに対して、我が国日本はどうだろうか。

 半導体製造を支援するための法案が検討されているという話は聞こえてこない。その上、TSMCの工場誘致に対する政府の支援金は、わずか1000億円である(しかも数年間で)。桁が一つ足りないのではないか。この支援額では、TSMCが半導体工場を建設するモチベーションには到底なり得ないだろう。

 このように、米国と日本では、TSMCの半導体工場誘致に対する支援金の金額にも、本気度にも、雲泥の差がある。したがって、TSMCが日本に半導体工場をつくることはあり得ないように思う。

TSMCの地域別売上高構成比

 TSMCの半導体工場を誘致しようとする日米政府の本気度や支援額に大きな違いがあるが、TSMC側にも日本に半導体工場をつくるモチベーションが湧かない事情がある。

 図1は、TSMCの地域別四半期毎の半導体売上高構成比の推移を示したグラフである。TSMCにとって、最大のカスタマーが米国であることは一目瞭然であろう。2002~2010年までは、米国比率が70~80%を占めていた。2010年頃から中国比率が増大し始めてから、米国比率が減少したが、それでも約60%を占めている。

 米国には、アップル、クアルコム、ブロードコム、NVIDIA、AMDなどのビッグカスタマーが勢ぞろいしており、TSMCの最大の顧客なのだ。直近の2020年第2四半期では、米国が58%、ファーウェイの成長とともに売上高構成比が上昇した中国が21%、中国を除くアジアが10%、欧州が6%、日本が5%となっている。なお、2020年9月以降、TSMCは米国政府の要請により、ファーウェイ向けの半導体を出荷しなくなるため、中国比率が激減することが予想される。

 話を日本に戻すと、TSMCから見た日本とは、たった5%のビジネス規模しかない国である。約60%を占める最大顧客の米国とは、まるで重要性が異なるのである。

やるなら本気でやれ

 まとめると、TSMCにとって売り上げの約60%を占める最大顧客の米国は、半導体工場誘致にあたり総額470億米ドル(約5兆円)を支援する2つの法案を提出している。一方、わずか5%の売上規模しかない日本では、TSMCに対する政府の支援金額は、数年間で1000億円しかない。

 いくら、日本が製造装置や材料に強みを持っているといっても、TSMCにとって日本は魅力的な国には見えないだろう。本当にTSMCの半導体工場を誘致したいなら、TSMCがよろめくほどの支援策や支援金を提示するべきである。たった1000億円で、TSMCが最先端の半導体工場をつくってくれると思ったら大間違いだ。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

とまどいの社会学もどかしさの経営学 #01

社会はいま「とまどい」の中にある。そうした「とまどい」の下、経営はかつてない「もどかしさ」を抱えている。先行きは、不透明で、不確実なことだらけ。得体の知れない不安が広がっている。

杉浦正和先生

不安にかられると、人も企業も社会も、ついつい思考を停止してしまう。「考えるほどに、不安はつのる。ならばいっそ、考えるのをやめてしまおう」。そうした意識が、ビジネスを停滞させ、失速させているのではないだろうか。

本コラムでは「とまどい」や「もどかしさ」の正体を解き明かすことで、「不確実な時代のビジネスのあり方」について、考察を深めていきたいと思う。

幸運学 書影

『不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方 幸運学』杉浦正和著
企業の幹部候補生が数多く通うという「早稲田大学ビジネススクール」の教授が「運」の正体について解き明かす。運の良い人と悪い人は何が違うのか?自分でコントロールできる運と、コントロールできない運をどう扱うか?開運財布を買うよりも、冷凍餃子をおいしく焼けるほうが幸運に恵まれる?「運の教科書」で、人生を賢く強化。日経BP
 

ビジネスというものを、科学してみよう。

ビジネスを「科学」せよ、と言われるとMBAに代表されるような「統計学」や「経営学」を思い浮かべて誰しもが、「ムズカシイもの」と敬遠しがち。(自分にはムリだと思ってしまう)でも、その一歩手前で考えれば、「微分」と「積分」の考え方さえわかっていればいい。

ところが、世の中のひとの多くは「微分」「積分」と言われると、ムズカシイもさることながら「メンドくさい」と思う。では、こう考えてみてはどうだろう?「微分」とは、一瞬、一瞬をどう生きるか、ということ。(時間をスライスするイメージ)「積分」とは、これまでどう生きてきたのか、ということ。(重ねてきた行動の総量)

そのイメージがもてると、なにが見えてくるのか?小学校のとき、算数の授業で習った極めてカンタンな「確からしさ」が見えてくる。「確からしさ(確率)」の意識をもって、世の中の現象を見ると「期待値」がわかる。「複利の構造」がわかる。「行動の指針」が見えてくる。モノ、コト、他人、おカネ……あらゆることに対する「センサー」が身につく。センス(=感性や勘といったあいまいなもの)ではなく、センサー、すなわち理性や具体的な数値で、現状分析や未来予測ができるようになる。

さて、ここが大事なところなのですが、センサーを身につけると、どういうことが起きるのか。「機会」と「確率」を、手に入れることができるようになるんです。機会とは、♣️未来開拓(キャリアの形成)と❤️関係構築(人との付き合い方)確率とは、♠️意思決定(たとえば経営判断)と♦️自己管理(資産管理など)
のこと。「確率」という数学用語に抵抗があるひとは、「機運」のことだとお考えになるといい。

幸運学 図解

「機会」と「確率」を操れると、未来への道筋がはっきりと見えてくる。無駄なく、わかりやすく、非常にシンプルな「未来像」が見えてくる。本コラムではそうした観点から、「不確実で、不透明な、いまのビジネスのあるべき未来像」を
全5回にわたって、掘り下げていこうと思います。
 

長友佑都の盟友が明かすビジネス術 #01

ベンチャー、スタートアップ、さらには企業内起業、という言葉が使われ始めて久しい。「働き方改革」の潮流の中、大手企業も、いや、大手企業ほど、人事制度や評価制度の抜本的な見直しが迫られている。しかしながらその実態は、まだまだ手探りが続いていることも事実。この連載では、長友佑都氏と「二人三脚」で株式会社クオーレを運営する津村洋太氏に、その本質について、3回の連載で大いに語っていただきます。

長友佑都氏と津村氏
会社立ち上げ直後の津村氏(右)

プロデューサーとは、黒子であり、参謀である

高校の同級生である長友佑都とつくったクオーレという会社は、4年前に立ち上げました。ヘルスケアを核に、“運動”と“食事”を科学的に解析し実用化していこうという会社です。

前者の“運動”は「長友佑都=体幹」というイメージの通り、彼が実際にトレーニングで使っていた器具「Flowin」やトレーニング方法などを、アスリートでない一般の方にも取り入れてもらおうという試みです。後者の“食事”は、長友の専属シェフが、3年間という歳月をかけてグラム単位で確立した、主に「血糖値の管理方法」を、これまたアスリートでない方々に広めていこう、というものです。特に後者は、従来の「炭水化物に頼った方法」とは真逆のもので、書籍やウェブなどを通じて、世の中への理解浸透を目指しています。

Flowin
スウェーデンの元オリンピック選手が開発したトレーニングアイテム「FLOWIN」。
長友佑都が在籍していたインテルやユベントスなどの欧州のトップチームが使用しているアイテムであり、けがから復帰するリハビリテーションの現場でも使われている。日本では同社が独占販売権を取得して2016年12月からCUORE ONLINE SHOPとAmazonで販売をしている。

FLOWINのサイトは、こちら
 

ファットアダプト食事法 書影
長友佑都の専属シェフ加藤超也、顧問を務める山田悟医師が一つのチームとなって取り組んできた食事法を記した書籍。ファットアダプトを実践するメリットや期待できる効果、実践方法までを収録している。2019年6月に幻冬舎から発売。
ファットアダプト調理例
ファットアダプトの料理例。糖質を1食当たり40~60グラムに管理しながら、良質な脂質と豊富なたんぱく質を摂取できる料理。ファットアダプト食事法を実践するための献立レシピサイトに300以上のレシピと30万以上の献立が作成される。

ファットアダプト食事法の献立レシピサイトは、こちら


ビジネスの核は、やはり長友自身の「体験」にあります。その「体験」をプロダクトやサービスにいかに翻訳できるか。それが、プロデューサーの手腕だと僕は考えています。一言で言えば、「型へのチャレンジ」ということです。長友個人の体験を、まず「型」に起こす。ビジネス用語でいうところの「フレーム」に落とし込む。次に、その「型」をどうすれば破れるか、と考える。

柔らかい発想とか、研ぎ澄まされた感覚とか、溢れ出る熱量といった、一流アスリートならではのエネルギーは、ある意味、理屈を超えたところにある。その域に迫れてこそ、本当の意味のプロデュースができる。僕は、そう考えています。

「長友佑都=超人」では、決してない

長友佑都、という人間のことを、皆さんはどのようにイメージされているでしょうか?溢れ出る熱量とか、チャレンジャー精神といったものをイメージされる方が多いのではないでしょうか?確かに、そうした側面はあります。でも、パートナーとして一番感じるのは、長友がどうやって数々の挫折や苦難を乗り越えてきたのか、という点に注目しています。

長友の言葉に「常に、最高の自分をイメージしている」というものがあります。最高の自分へのイメージを因数分解すると、「好奇心×探究心」ということになると僕は思うのですが、好奇心はだれでも持っているもの。いわゆる「自分探し」的なことは誰でも無意識にやっていることだと思うんです。でも、長友の場合、好奇心もさることながら「探究心」が半端ない。

例えば、食事法を究めるとなれば、素材から調理法まで、すべてのメニューをチェックする。投資ビジネスにおいてもそれは同じで、あらゆるデータを入手して分析する。もちろん、直感も大事なのですが、直感が正しいものである、という理由をとことん問い詰める。それが長友流の「探求心」。

そのあたりの詳しい内容を、次回からご紹介したいと思います。

長友佑都氏のオフィシャルサイトは、こちら

ロカポイベントにおける長友佑都さん
ロカポイベントでの長友さん。2019年6月22日にファットアダプト食事法の出版リリースイベントを六本木の東京ミッドタウンで開催。実践方法や体の中に入れる食事の重要性について自分の経験をベースに熱く語り、協賛企業も15社以上が集まった。ファットアダプトのサービスは85%以上のユーザーが女性であり、長友佑都のファン層の真逆の比率で運営されている。

農薬が子供の発達障害を引き起こす可能性も…EUで禁止の危険な農薬が野放しの日本

 6月3日掲載の本連載記事『今こそ、農業従事者を増やすべきでは?危機的に低い食料自給率改善と失業者救済の提言』で筆者は、COVID(コビット)-19の一連の災禍によって職を失った方々を政府が支援して農業に就いていただいたらどうかと提案しましたが、それを実際に行っている国がありました。フランスです。

 フランスでは、もうすでに20万人もの方が、農水大臣の呼びかけに応じて農産物の収穫作業などに携わっているそうです。どうして、このような柔軟さが日本の省庁にないのか、筆者にはわかりません。いらぬ時間ばかりかけて、いざという時の実行力がないということはマスクの一件でも明らかになりましたが、そこに私たちが支払った税金が使われていると思うと、いささか腹立たしい気分になります。

 フランスは、言わずと知れた農業国です。国土面積は日本の約1.5倍程度ですが、その農地面積は国土全体の52.5%を占めています。ちなみに、日本の農地面積は12%です。食料自給率も、日本が37%であるのに対し、フランスは129%です。人口は6600万人といわれていますが、国内総生産(GDP)は2兆8064億ドルで世界第5位。人口が1億2593万人(令和2年6月1日現在<概算値>総務省統計局調べ)の日本のGDPが4兆8985億ドル(世界第3位)であることを考え合わせると、農業国といえども、いかに効率よく生産性を上げているかということでもあります。

 どう見ても農業を大切に考えているとは言いがたい日本が、これからどうなっていくのかについては、筆者のみならず心配されている方が多いのではないかと思います。

 そもそも、火山国である日本の国土は、そのほとんどが火山灰土で覆われています。火山灰土は、火山が噴火した時に空中に放出された灰、砂、礫などが地表に落下して形成されるものですが、火山活動が休止、または衰退することによって土壌生成が始まります。その土壌生成の時間の長短によって、性質もまた異なります。一般的には、水はけが良く、耕うんが楽だといわれていますが、土壌が酸性に傾くという特徴もあります。そのために酸性矯正資材である石灰分を畑に入れたり、リン酸肥料を使ったりするのですが、それは施肥をしないと土壌が痩せてしまい、作物をつくることができなくなってしまうからです。

 本来であれば、腐植といって、植物が枯れたり倒れたりして、それが長い時間をかけて土に戻ったものと融合し、表層を覆うことが理想的なのですが、今やそれは時間的に、また物理的にも不可能です。したがって、それに準ずる「有機肥料」を入れるのが次善の策ということになります。筆者がオーガニックを推進しようと試みているのは、ここに根拠があります。

ネオニコチノイド系農薬を使用するリスク

 まったく肥料を使わずに農業を行う試みもあり、その努力を筆者は認めてはいますが、現実的ではないと考えるのは、日本の土壌では無施肥では限界がある、という理由からです。

 それでも、ネオニコチノイド系農薬を使うのとは、それこそ天と地ほどの差があります。これも再三にわたって申し上げてきましたが、EUなどでは使用禁止となっている農薬に対する規制が、我が国、日本では緩和されています。その影響はさまざまなかたちで表れていますが、国は認めようとはしません。

 ある研究によれば、子供の発達障害を引き起こす可能性があるともいわれています。ネオニコチノイド系農薬が、ミツバチの神経系に作用を及ぼし、死に至らしめるということが話題になったことがありましたが、その後はあまり語られなくなりました。

 筆者は岐阜県大垣市に住んでおり、住まいから数十歩ほど歩いたところには、小さな田んぼもあります。時期によっては時折、カエルの鳴き声も聞こえてくることもありますが、以前からこの地に住んでいる人に聞くと、その声は昔とは比ぶべくもなく小さくなったといいます。また、蝶や蜻蛉の数も圧倒的に減ったそうです。これも間違いなく農薬のせいでしょう。

 もし、COVID-19のことがきっかけとなって、農業に従事しようと考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひオーガニック農業に取り組んでいただきたいというのが、筆者の願いです。

 最近読んだ『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治/新潮社)には衝撃を受けましたが、この本に書かれている子供たち、若者たちが抱える認知機能の弱さ、想像力の欠如、感情統制ができないこと、加えて身体的不器用さなどにも、間違いなく食事内容が影響しています。この本の中では、「軽度知的障害」が人口の14%にも上っていることや、脳機能と犯罪との関係、性犯罪者のことなども詳しく書かれていますが、その解決方法のひとつに食事のあり方が書かれていないことが、筆者としては片手落ちではないかと思っています。

 当然のことながら、食品添加物が大量に使われている加工食品の問題もありますが、農薬のことも考慮しなくてはならないと思うのです。農薬を使う方や売る方は無害を主張しますが、そんなことはありません。米生物学者のレイチェル・カーソンや、小説家の有吉佐和子を引き合いに出すまでもなく、そのことはすでに証明済みです。

 COVID-19は、私たちのライフスタイルを大きく変化させることになります。その変化をネガティブと捉えるのか、ポジティブなものとして受け入れ、積極的に取り入れていくのかは、私たち次第です。

 職を失ったことは一時的にネガティブなことではあるかもしれませんが、それをきっかけにして、その先の人生をどう思考し実現させていくのかは、私たち自身に課せられたミッションです。

 また、食事のあり方をもう一度考え直すということも、私たちが取り組むべき課題であると筆者は思っています。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。