JRAスプリンターズS(G1)ディープインパクトを父に持つキズナを配し短距離王の称号を狙う! 3歳馬ビアンフェ「メイチ」仕上げ!

 秋のG1戦線の開幕を告げるスプリンターズS(G1)。

 今年は例年に比べ超豪華メンバーが集結し、秋G1初戦を大いに盛り上げてくれそうだ。

 現役最強と謳われるアーモンドアイを安田記念(G1)で撃破したグランアレグリアを筆頭に、昨年のスプリンターズS(G1)で2着し、今年の高松宮記念(G1)を勝利したモズスーパーフレア。昨年の高松宮記念勝ち馬ミスターメロディもいる。さらには前哨戦を勝利した、ダノンスマッシュ、エイティーンガール、レッドアンシェル。G1で好走経験のあるクリノガウディーやダイアトニックなど、挙げ始めればきりがない。

 そんな中、現時点での出走可能馬で、唯一3歳馬として出走を予定しているのがビアンフェ(牡3歳、栗東・中竹和也厩舎)だ。

 スプリンターズSでは、3歳馬として2年前にラブカンプーが2着、4年前にソルヴェイグが3着と近年馬券に絡んでいるだけに、競馬ファンとしても無視はできない存在だろう。

 ビアンフェの母ルシュクルは、現役時代に芝1200mで3勝した快速馬。父サクラバクシンオー、母父Unbridledと、見た目にもスピードがありそうな血統だ。

 ビアンフェより前に産んだ4頭の内3頭が3勝以上と仔出しがよく、非常に優秀な繁殖牝馬といえるだろう。

 父にハーツクライを配されたアフランシールは、新馬戦で1800m戦を勝利しているが、その後は1400mで3勝。父ディープインパクトを配されたエントシャイデンは、主に1600mで活躍。同じくブランボヌールは1200mで活躍と、母の影響もありマイルまでの距離で活躍が目立っている。

 今回スプリンターズSに出走するビアンフェもディープインパクト産駒のキズナを配合しだけに、短距離での活躍が期待されそうだ。

 快速馬の母ルシュクルにキズナが配されて産まれたビアンフェは、前走までに1200m戦を3勝。前走のセントウルS(G2)で古馬との初顔合わせとなったが、好スタートから内の3番手で道中は折り合い、しぶとく粘り込んで5着に好走した。控える競馬もこなした事で、今後の可能性を大いに感じさせる内容だったといえるだろう。

 しかし、陣営は前走を振り返り「前走(セントウルS)は中京の芝が合わなかったかもしれない。右回りの方がいい」とコメント。以前「一杯に追うと右にモタれるようなところがある」と話していたように、今回のコース替わりは大歓迎といえそうだ。

 また「かぶされても我慢が利いたし、レースぶりに幅が出た。休み明けを1回叩いた今回はメイチで仕上げる」と、今回へ向けては全力でぶつける構え。

 スプリント路線3歳代表として、初の古馬G1でどんな走りを見せるのかに注目だ。

JRAスプリンターズS(G1)グランアレグリア“血の宿命”には逆らえない? 「コース適性」「レース展開」に大きな不安が……

 10月4日、中山競馬場で秋のスプリント王決定戦、スプリンターズS(G1)が行われる。『netkeiba.com』の予想オッズで1.9倍(29日時点)の1番人気に支持されているのがグランアレグリア(牝4歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。

 昨年は桜花賞(G1)を制し、今年は安田記念(G1)でアーモンドアイを撃破。すでに2つのマイルG1を手にしているグランアレグリアが、次に狙うのがスプリント王の座。ある記者は迷うことなく、グランアレグリアに本命印を打つという。

「安田記念以来、4か月ぶりの実戦はこの馬にとってはベストのローテーション。前走は過去最高の馬体重(492kg)で、そのパワフルな馬体はマイラーからスプリンター寄りになりつつあります。実際に初のスプリント戦となった高松宮記念(G1)では、最も強い競馬をしての2着(3位入線繰り上がり)で距離不安はありません。出遅れや進路をふさがれるなど大きな不利でもない限り、直線で突き抜けてくれるでしょう」(競馬記者A)

 予想オッズが2倍を切っていることからも、グランアレグリアに対するファンの心境は、不安よりも期待の方が大きいはず。しかし別の記者は、グランアレグリアの力を認めた上で「血の宿命には逆らえない」と反論する。

「ご存じの通り、ディープインパクト産駒はこれまで1200mの芝G1では21戦して『0-3-2-16』といまだに勝ったことがありません。グランアレグリア自身も含めて馬券圏内は合計5回を数えますが、血の宿命とでもいえばいいのでしょうか……。確かに高松宮記念では最後の直線で豪脚を見せましたが、同じ1200mでも中山では話は別です。中山コースが初めてというのはディスアドバンテージになる可能性が高いと思います」(競馬記者B)

 ディープインパクト産駒にとって1200mは短いイメージもあるが、アレスバローズやブランボヌールなど、これまで5頭がスプリント重賞を合計7勝している。ところが、競馬場別に1200m戦の成績を見ると、ゴール前に急坂があるコースを苦手にしていることが分かる。

【ディープインパクト産駒の芝1200m場所別成績、勝率順】
福島「16-10-10-82」(13.6%/22.0%/30.5%)
中京「15-20-4-77」(12.9%/30.2%/33.6%)
小倉「30-25-15-205」(10.9%/20.0%/25.5%)
函館「11-13-6-82」(9.8%/21.4%/26.8%)
京都「11-7-10-86」(9.6%/15.8%/24.6%)
札幌「7-4-10-57」(9.0%/14.1%/26.9%)
新潟「5-5-4-45」(8.5%/16.9%/23.7%)
中山「7-2-7-73」(7.9%/10.1%/18.0%)
阪神「5-13-4-69」(5.5%/19.8%/24.2%)
※()内は左から勝率、連対率、複勝率。1200mコースがない東京は除く。

 マイル以上の距離では中央4場で圧倒的なパフォーマンスを見せるディープインパクト産駒だが、1200mに限ると、良績はローカルに集中している。一方、ゴール前に急坂がある中山と阪神での勝率は、ワースト1位と2位。特に中山での連対率と複勝率は際立って低く、コース適性への不安が顔をのぞかせる。

 また、モズスーパーフレアが作りだすハイペースへの対応も大きな課題だ。グランアレグリアがこれまで経験した最も速い前半3ハロンの通過タイムは33秒9。良馬場なら、モズスーパーフレアは33秒0を切るハイペースで逃げるだろう。

 2~3歳時はしっかり先行できていたグランアレグリアだが、初めて距離を短縮した昨年末の阪神C(G2、1400m)以降は中団からの競馬が続いている。今回はこれまでより1秒前後も速いハイペースが予想され、道中は中団10番手以内に位置を取れればいい方だろう。

 現在3戦連続で上がり最速をマークしているように、しまいの脚は確実。しかし、その鬼脚を繰り出したとしても、中山の短い直線では差し損ねてしまう可能性は高そうだ。

ゆうちょ銀行が警告!「ゆうちょ銀行を騙るメールやSMSによる詐欺」の手口を解説!

生活をもっと楽しく刺激的に。 オトナライフより】

ドコモ口座詐欺事件では、「ゆうちょ銀行」でも6,000万円もの不正引出被害があったことが分かっている。こうした不正引出被害を生む原因のひとつが「フィッシング詐欺」による個人情報の流出だ。そこで今回は、ゆうちょ銀行が警告している「ゆうちょ銀行を騙るメールやSMSによる詐欺」の手口について解説しよう。

ゆうちょ銀行がフィッシング詐欺を警告中!

 急速に普及してきた電子決済サービスの脆弱性が露見することになった「ドコモ口座詐欺事件」。このドコモ口座詐欺事件では多くの金融機関が被害に遭っており、「ゆうちょ銀行」も例外ではない。すでに6,000万円もの不正引出被害があったことが分かっているのだ。さらに、同行が発行するデビットカードの「mijica(ミジカ)」でも不正引出被害322万円も確認されている。  ドコモ口座詐欺事件で、ハッカーがどのような手口で口座情報を入手したかは明らかになっていないが、「フィッシング詐欺」で個人情報を不正に入手したのではないかと推測されている(詳しくは→こちら)。  そんな中、ゆうちょ銀行では「ゆうちょ銀行を騙るメールやSMSによる詐欺」の手口につ…

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パチンコ「天国モード」に「リセットモーニング」…「伝統と格式」をモチーフにした「数珠連チャン」マシン!!

 新型コロナウイルスが示すように、未来永劫「常識」がそのまま「常識」たることはありえない。文化や伝統にもこれと同じことが言えよう。

 特に多様性が問われる現代社会では古き良き価値観が疑惑の視線に晒されることもしばしばある。天皇明仁が生きたままその地位を退いたのは記憶に新しいところである。

 同じような「伝統」を体現する象徴として相撲が挙げられる。古事記や日本書紀に登場するような神話から続くこの行事もまた、儀式や訓練、娯楽やスポーツとしてその時代時代で業態を変化させてきたのである。

 そして、パチンコにおける伝統の相撲、『綱取物語』も同じように、さまざまに形態を変転させながら時代を渡り歩いてきたのである。

 現金機デジパチとして一世を風靡したこの名機は、CR機、潜確を使った疑似数珠連機、ST機といった変遷をたどり、最新作ではなんと権利物として役物機に生まれ変わったのである。これだけ幅広いゲーム性を取り込んだシリーズ機もなかなかないだろう。

 そんな『綱取物語』が名機足り得るのは、言うまでもなく初代の功績が非常に大きい。今では考えられないようなゲーム性から引き起こされる類まれな爆発力で多くのパチンコファンを魅了した。

 具体的には、内部的に3種類のモードが組み込まれていて、それが大当りごとに移行していくのである。その3つのモードとは、通常・天国・地獄で、それぞれ1/247、1/37、1/988と大当り確率が異なるのである。

 ただ、電源を入れた時は必ず通常モードからスタートするようになっていたので、状態がわかる朝イチに打つことがこの台の鉄則となっていたが、電源を切らずに前日の状態で営業するホールも少なからず存在した。この電源オン・オフの有無を確認する方法が「十両・金星・小結」の朝イチ出目なのである。

 電源を入れ直した場合図柄が必ず上記の並びとなっているのである。これで通常モード1/247からの勝負となり、当たれば天国移行を祈るだけ。モードの移行率は、天国が3/6(50%)、通常2/6(約33.4%)、地獄1/6(約16.6%)と半分は天国モードに移行する期待感の高さが人気の秘密でもある。

 したがって、朝にこの『綱取物語』に群がるファンが続出し、パチンコにおける「リセットモーニング」的な立ち回りを広く浸透させた一台でもある。

 とはいえ、いったん地獄モードに転落すればその後は終日大当りを引けないなんていうのはザラなので、初当りを引いた後に300回転、400回転とハマれば即離脱、そのままその台は一日誰も寄りつかないような風景が『綱取物語』のシマでは当り前であった。

 時は1993年。バブルが崩壊し円が当時の戦後最高値を記録。不況は深刻化し、企業はこぞってリストラに拍車をかけるなど経済的には危機的状況であった一方で、皇太子(現天皇)の成婚やJリーグ発足による空前のブームなどお祭り騒ぎの雰囲気もある、振り幅の大きな年であった。この両極端、天国と地獄を携えた『綱取物語』がこのタイミングで流行したのも時代の象徴かもしれない。

(文=大森町男)

JRA藤田菜七子「戒告」に擁護の声も!?「事故が起きないように……」4頭被害で猛省お詫び周りも、2年連続フェアプレー賞は崖っぷち

 昨年の活躍を超えることはできるだろうか……。

 JRA女性騎手として、数々の記録を塗り替えている藤田菜七子騎手。昨年はカペラS(G3)をコパノキッキングで制し、女性騎手として初のJRA重賞制覇を遂げ、年間43勝を挙げるなどの大活躍だった。

 しかし、今年は現在25勝で昨年を下回るペースだ。8月は得意の新潟開催で4勝を挙げたが、9月は2勝に終わった。先週末の開催でも7鞍に騎乗して、1度も馬券に絡むことができなかった。

 そこに追い打ちをかけるかのような不運が藤田騎手を襲った。

 27日、中山8R(芝1200m)で藤田騎手は10番人気リュウグウヒメに騎乗。好スタートから先団にとりついていった。だが、3コーナーでリュウグウヒメが外側に斜行して、他馬と接触。その結果、4頭に被害を及ぼす事態となった。

 騎乗停止、過怠金の処分はないものの、藤田騎手は戒告を受けることになってしまった。

「レース後、藤田騎手はかなり反省して、自分が御せなかったことを周りの関係者に謝っていたようです。

ただ、これは全面的に藤田騎手が悪いわけじゃないという意見もあります。

ある騎手は『藤田騎手は内に入れたかったが……

ある騎手は『藤田騎手は内に入れたかったが、後方で内を走る馬が主張したため、事故が起きないように気を遣って内に馬を入れなかった。それにより、自分の馬が気を悪くして斜行したように思えます』と話しています。隊列が決まりかけており、藤田騎手が内に入れてもおかしくない状況だっただけに、非がないという見方もできるようです」(競馬記者)

 藤田騎手と言えば、今年2月の小倉開催で落馬負傷により左鎖骨を骨折。キャリア初の戦線離脱を余儀なくされた。予定通り1か月後に復帰を果たすも、そこから勝利を挙げるまでに36戦を要した。

 この勝利に藤田騎手は「復帰後初勝利はうれしいし、ホッとした気持ちが大きいです」とコメント。無事に勝利を飾ったことに安堵した様子だった。

「藤田騎手は昨年フェアプレー賞を受賞しているように、制裁の少ないジョッキーです。今年の落馬負傷で休養した経験もあり、さらにフェアプレーを心がけているように感じます。今回の件も、事故を起こさないように藤田騎手が配慮した結果のものですし、引き続き模範的な騎乗に心がけてほしいものですね」(同)

 フェアプレー賞の受賞条件は、年間30勝以上かつ制裁点数が10点以下である。現在、藤田騎手の制裁点は10点となっており、これ以上の制裁は受けられない。

 2年連続のフェアプレー賞受賞のため、今後はクリーンな騎乗で勝ち星を積み重ねることが求められる。残り3か月、藤田騎手の騎乗に注目したい。

三菱UFJリース、日立キャピタルを“吸収合併”…苦境のリース業界、生き残りかけ再編

 三菱UFJリース日立キャピタルは2021年4月に合併すると発表した。合併新会社の総資産は10兆円となり、業界首位のオリックス(約13兆円)に次いで2位に浮上する。両社は2016年に資本・業務提携し、環境・エネルギーといった海外のインフラ投資などで協業を進めてきた。新型コロナウイルス感染拡大の影響でリース事業は厳しさを増しており、経営基盤強化に向けて合併する。

 三菱UFJリースを存続会社として日立キャピタルを吸収する。日立キャピタル株式1株に対して三菱UFJリース株式5.10株を割り当てる。三菱UFJリースは三菱商事が20.00%を保有する筆頭株主。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行が合わせて発行済み株式の20%超を持っている。

 一方、日立キャピタルの筆頭株主は31.27%を保有する日立製作所。三菱UFJリースも出資(21.54%)している。日立は全保有株を三菱グループに売却する。日立はIT事業を成長の柱に据えて選択と集中を進め、本業とのシナジー効果が薄い上場子会社の株式は段階的に売却を進めてきた。合併後の新会社の株主から外れ、親子上場を解消する。日立キャピタルは21年3月30日付で上場廃止となる。

 合併新会社の社長には三菱UFJリースの柳井隆博社長、会長には日立キャピタルの川部誠治社長兼CEOが就く予定。三菱UFJリースの大株主である三菱商事とMUFGが新会社でも大株主となる。リース事業を新たな収益源に育てたい三菱商事が主導権を握って、新会社との連携を強めることになろう。

銀行系とメーカー系の統合で総資産規模で2位に浮上

 三菱UFJリースは2007年、リース業界の大型再編の先陣を切り、三菱グループのダイヤモンドリースとUFJ銀行系のUFJセントラルリースが経営統合して誕生した。総資産6兆2859億円、売上高9237億円(20年3月期)。総資産規模で業界3位、売上高は同4位である。

 他方、日立キャピタルは2000年、日立製作所のクレジット部門から出発した日立クレジットと、同じ日立系でリース事業を手がける日立リースが合併して発足した。総資産3兆7194億円、売上高は4640億円(20年3月期)。総資産規模は業界6位、売上高は業界8位だった。

 2016年5月、日立製作所とMUFGが金融分野で資本・業務提携することで合意。日立はMUFGに1081億円で日立キャピタル株式の27.2%を譲渡した。日立キャピタルは市場から三菱UFJリース株を約3%取得した。銀行系、メーカー系でそれぞれトップのリース会社が手を組み、電力や交通などインフラ輸出を金融面で支えた。経営統合は既定の方針だった。経営統合で業界最大手、オリックスを追う立ち位置を確保した。

 リースは戦略部門だ。MUFGは国内の銀行業務の収益が低迷するなか、顧客開拓につながる海外のリース事業を重視している。三菱商事は市況変動で業績が左右される資源分野への依存度を下げるため、リースに注力した。

MUFGは独の航空機ファイナンス事業を7000億円で買収

 MUFGは19年3月、独2位の銀行、DZバンクの子会社から航空機ファイナンス事業を買収すると発表した。買収金額は非公表だが約7000億円とみられる。DZバンクグループの航空機ファイナンス事業は、航空機を購入する航空会社やリース会社への融資を行っている。貸出債権の総額は約7163億円。

 コロナ前の民間の予測によると、世界の民間航空機の資金需要は23年に18年の1.5倍になる。MUFGは18年度に始めた中期経営計画で、欧州の主要施策として航空機のリースを据えていた。銀行へのM&A(合併・買収)を除いた金融事業の買収ではMUFGのこれが過去最大だったとみられている。

 傘下の三菱UFJリースは航空機リースや海外事業を強化してきた。そこへ新型コロナ禍が襲った。世界的な旅客需要が激減し、三菱UFJリースが力を入れてきた航空機リース需要が蒸発してしまった。

東京センチュリー、芙蓉総合リース、みずほリースは統合するのか

 リース事業を取り巻く環境は厳しい。金利などを基準に決めるリース料は長引く低金利の影響で低いまま。利益が出にくくなっている。19年1月に国際会計基準(IFRS)でリース資産の算定方法が見直されたことも、リース業界の逆風となった。リース契約も利用企業が貸借対照表(バランスシート)に計上することになり、負債も資産も膨らんだ。企業にとってリースを利用するメリットが薄れた。

 これで再編待ったなしの状態に追い込まれたのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)系のリース各社である。第4位の航空機リース大手、東京センチュリー(約5.6兆円)、7位の芙蓉総合リース(約2.7兆円)、8位のみずほリース(旧興銀リース、約2.3兆円)。3社が統合すれば総資産は約10.6兆円規模となり、三菱UFJリース=日立キャピタル連合を上回る。

 3行が統合したみずほFGは、旧3行の主導権争いに終始し、系列事業会社の統合が進んでいなかった。リース事業はその典型。グループ会社同士が競合することに手をこまねいてきた。三菱、みずほ系が統合に動けば、2位の地位を脅かされる三井住友系が黙ってはいまい。三井系リース事業会社とJA系の協同リースが経営統合したJA三井リースとが統合に動くことも考えられる。JA三井リースの総資産額は1.7兆円で業界9位。三井住友ファイナンス&リースと合わせると8兆円になる。

 オリックスを追って、三菱UFJ、みずほ、三井住友が僅差で競い合う業界地図に塗り替えられる可能性がある。

(文=編集部)

中国の若者にアプローチするためのヒント。ポストコロナで変化した中国人の生活行動

新型コロナウイルスによって中国でも多くの変化が起きました。デジタル先進国の中国において、コロナ禍は生活者の意識やデジタルコンテンツにどのような影響を与えたのか。特に今後の消費を担う若者を焦点に、電通東派の王欣がお伝えします。

コロナをきっかけに起こった生活変化

先日、WeChatでこんな話題が流行っていました。「企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を起こしているのはCEOでもCTOでもなく、コロナだった」。笑い話ですが、実際にコロナの影響でこれまで持続してきたことは中断され、今までとは違う新たな行動を起こすようになりました。DXを例にすると、コロナ前は企業の選択肢のひとつにすぎませんでしたが、コロナ後は必須となりました。

コロナに対し、中国政府は迅速に政策を打ち出し、企業は生き残りの道を模索し、国民は前向きで楽観的な態度でコロナに立ち向かいました。

留学生が世界中から支援物資を集め、中国に届けてくれました。また3月には、市民が自発的に、上海の街頭に配達員のための無料物資ステーションを設置。他人や社会を気にかけるようになり、人間の根本にある“善”が拡大され、自分の行動が社会にどう貢献できるのかを考えるようになりました。

また、社会科学院の「鍾南山(Zhong Nanshan)教授」、上海流のズバっと辛口なコメントで一般生活者のコロナ対策ポイントを指摘してくれた「張文宏(Zhang Wenhong)医生」、中国のインフルエンサー「ペーパークリップ」ら、“理科系男子”がアイドルになりました。

感染の不安、死者への悲しみ、武漢支援の感動…。感情をあおるような報道が集中した時期に、心を静めてくれたのは知識・サイエンスのコンテンツです。客観的な科学解説は、人々の不安を取り除いてくれました。

コロナにより人々はデータに裏付けられた科学を信じるようになりました。科学は実験室だけのものではなく、生活に役に立つものに。知識は冷たい教科書的な存在ではなく、「BiliBili」「WeChat」「TikTok」の人気コンテンツになりました。

2020年をきっかけに科学知識、データ分析、役に立つ情報の注目度はますます高まっていくと考えられます。消費者のブランドに対する期待も“娯楽価値”の提供から“役に立つ価値”の提供にスイッチ。特に日系ブランドの強みである高い研究開発能力、自社ラボ、自社研究員などは良いコンテンツになると思います。

理系コンテンツイメージ

また、外出禁止、自宅待機の中でも、娯楽のニーズは依然として高い傾向がありました。消費者の目線が“内向き”にスイッチし、これまで気付かなかった日常の楽しみに注目する人が多くなったのです。料理、化粧、写経、エクササイズなど、さまざまな「革新的な娯楽」が自発的に創造されました。

日常生活に多くの時間を使い、日常にこだわることこそ達成感が高い!

日常における創造こそが、個人の価値を最大化する!

日常をクリエイティブにするアイデアは社交性が高く、周りに波及しやすい!
という価値観が定着。ブランドは生活者の「日常」を豊かにするために、何ができるかを再定義する時期になっています。

「Live+」時代到来!ライブコマースが大躍進

このような生活者の変化に伴い、Liveは大きく開花しました。Liveといえば、音楽バンドがオフラインで行うものを想像する方もいると思いますが、中国ではオンライン上で、リアルタイムにコンテンツを流すことを指します。内容の幅が非常に広く、質もバラバラです。商品販売につなぐLiveコマースもあれば、オーディエンスからの賞金が目的のタイプもあります。そのため、Liveは雑多でそれほど価値のないものと認識されてきました。

しかしコロナ発生後は、中国の国営テレビ・中国中央電視台(CCTV)のトップアナウンサーがグループを結成。央視新聞(CCTVのニュースアプリ)、TikTok、ECサイト国美微店(国美のWeChatにおける自社コマース店舗)、Pinduoduo(ソーシャルコマースアプリ)、JDなどのプラットフォームで同時Liveを行い、商品を販売しました。3時間で閲覧数は1000万人を超え、5億元(約77億円)超の売り上げを叩き出しました。

主流メディアのアナウンサーが商業Liveに出演するということは、国としてLiveでの販売活動を推進する態度を示したと考えられます。タレントはLiveの常連になり、レギュラー番組を持つようになりました。企業トップも販売員に変身して出演しています。

コロナで今までのコミュニケーション活動、販売活動が中断され、企業も消費者も新たな道を求めていました。そこで“その場で見える・その場で聞ける・その場で買える” Liveが、代替案として受け入れられたのです。

従来は販売中心だったLiveの目的と形式も多様化しています。例えばLive+エクササイズはオンラインでコーチとインタラクティブに交流し、その場で指導してくれるサービスです。また、Live+コンサート、+オークション現場、+工場見学などシチュエーションも増えてきました。

Liveエクササイズイメージ

さらにLiveで農園試食、猫カフェ体験、ヘリコプター体験など、従来オフラインでしかできなかったこともオンラインで体験できるようになりました。

ブランドにとって、Liveはマイナーな販売チャネルから重要なコミュニケーション手段となり、認知、興味喚起、体験、ファン化など、ブランドの課題に応じて使い分けられるようになっています。

LiveのプラットフォームはTaobao、TmallのようなECプラットフォームからTikTok、Redbook(口コミレビューアプリ)まで広がりました。コロナ中、有名な文化人「羅永浩(Luo Yonghao)」がTikTokでLiveデビューしたことが、ソーシャルプラットフォームLiveの認知度とユーザーを一気に広めました。

また、アパレルブランド「衣恋Eland」はWeChatミニプログラムで自社ECを立ち上げ、Live+D2C(ソーシャルEC)の新しいビジネスモデルを構築しました。自社ECでLiveを行い、オフラインの優秀な販売員がオンラインで商品を紹介するのです。1万人以上の社員がブランドのアンバサダーになり、ローンチ期において、3日間で10回のLiveを実施。売り上げは2000万元(約3.1億円)に達しました。

「Live+」時代の若者はどう変わった?

Live+時代の下、若者も変化しています。最近の映画やドラマでも、多様な生き方・価値観を提示したものが話題作となっています。“こうであるはず”といった予定調和は崩れ、多様な価値観を許容し、リスベクトするようになりました。

そんな若者にとって“私”は最も重要なキーワードです。「私が好きだから、私がやりたいから、私が欲しいから、私が嫌いだから」、全て自分の気持ちで判断します。
若者たちはさまざまな文化に接し、自分自身で消化し、融合させています。例えば、今日は漢服で外出し、次の日はTシャツでクラブDJをする。中国古風の色彩を取り入れている化粧品も購入すれば、日本アニメのプラモデルもコレクションする若者もいます。多様な要素を融合する基準は“私”なのです。

“私”に選ばれるために、ブランドは若者と対等な状態でなければなりません。

“私”の言葉で話す(若者言語)

“私”のレベルに達している(商品の品質)

“私”と見合った中身を持っている(ブランドの提供価値・世界観)
この三つは、若者を対象とした作業で私が心掛けていることです。

若者とのコミュニケーションでは、押し付けも説教も迎合も受け入れられません。若者に議論や発信の余地を与え、対等な立場で寄り添う姿勢が大事だと感じています。

Live+時代に入り、マーケティングはますます複雑になってきました。しかし、マーケティングの本質は変わっていません。Liveはあくまでも手段であり、目的ではないのです。

Liveをどの目的で使いたいのか。
短期間の売り上げ?EC旗艦店のファンの増加?大手ECサイトに依存しないための自社コマースサイトの盛り上げ策として?

ビジネス課題を解決するために、施策の目標を明確に定めKPIを設定し、最新のトレンドに合わせて最適な手段を取り入れる必要があります。Live+時代はブランドの価値定義と若者の意見を引き出す工夫の両輪が重要です。中国の若者へのアプローチを考えている方は、変化した今の時代の若者に合っているのか、ブランドの提供価値、ブランドの世界観を今一度見直してみてはいかがでしょうか。

セブン-イレブンアプリ+PayPay、“エゲツない”お得ぶり…何重にも還元&クーポン

 大型施策となった「キャッシュレス還元事業」。惜しくも6月で終了してしまったが、その覇者は、当初から大々的なキャンペーンを打ち出してきたPayPayだろう。今も数々の目玉キャンペーンを展開してユーザーを増やしつづけているが、10月からはセブン-イレブンアプリにも導入されることが決まっている。セブンは2019年7月に独自サービスの「セブン・ペイ」のサービスを開始したが、不正利用事件によりわずか3カ月で廃止に追い込まれたという苦い記憶がある。そこでセブンは他社サービスを導入する方向に転換し、晴れてPayPayが選ばれたということになる。

 ビジネスパーソンにとっても利用頻度の高いセブンでのPayPay活用法を探ってみよう。

セブンアプリのおトク度が爆上がりするダブル活用法

 セブンアプリは簡単な登録で会員になると、セブンで使えるクーポン券がもらえたり、サンドイッチを10個買うと1個もらえるといったキャンペーンに参加できるなど、利用者にとってはかなりおトクなアプリ。これにPayPayを連動させると、会員コードの読み取りとPayPayでの支払いが同時に行えるようになる。

 これにより、会員コード提示で受け取れるセブンマイル(税抜200円の購入で1マイル還元)とPayPayの還元が同時に受け取れる二重取りが可能になる。セブンマイルは、セブン&アイグループの「オムニ7」上でさまざまな特典と交換できる。また、セブンアプリでの支払いでも利用金額や利用回数によって還元率が上がる「PayPay STEP」のカウント対象になるので、PayPay側にもメリットがあり、使えば使うほどおトクだ。

 ちなみにセブンマイルはセブンアプリ以外でも、イトーヨーカドー、LOFTなどのアプリでも貯めることができる。マイルは商品だけでなく、イベントチケットや各種サービスの体験クーポンなどにも引き換えることができるので、コツコツ貯めて損はない。

 セブンでの利用の一例を挙げると、100円のコーヒーを10杯、セブンアプリを提示して、かつPayPayで支払ったとする。コーヒーは1杯100円だが、アプリに30円引きクーポンが配布されているので、1杯分は70円となる。支払いは計970円。セブンマイルは200円につき1マイルたまるので、4マイル貯まる。

 さらに、セブンアプリでは「セブンカフェを10杯買うと1杯無料」というスタンプラリーもあるため、コーヒーがさらに1杯無料に。そしてPayPayの還元率が1.5%だと14円分がPayPayボーナスとして返ってくる。

 上記のケースだと、1100円分のコーヒーが、実質956円で買えて、さらに4マイルついてくる。約150円分もおトクだ。日常的に使うコンビニにおいて、このシステムを使うか使わないかでは恐ろしいほどの損得が発生するのだ。

 還元もあり、「PayPay STEP」の金額と回数も稼げて、スタンプラリーで商品ももらえると、いいことしかないセブンアプリとPayPayの同時利用。10月以降は、ぜひセブンにてお得にPayPayで支払ってみてはいかがだろうか。

「PayPay STEP」とは?

 改めて、現在のPayPayの基本的なスペックを解説しておこう。

 PayPayの基本還元率は4月から0.5%となっている。ただし、前月の決済回数と決済金額に応じて還元率が最大1.5%まで上がる仕様となっており、前月に100円以上の決済回数が50回以上を達成していればプラス0.5%、前月の決済金額が10万円以上だとさらに0.5%プラスされるという内訳になっており、この利用条件は「PayPay STEP」と呼ばれる。

 ちなみに還元対象となる支払い方法は銀行口座やセブンATMからのチャージによる「PayPay残高」および「ヤフーカード」のみで、その他のクレジットカードの支払いでは還元されない。ヤフーカードをつくるのが面倒だという人は、銀行口座からのチャージで利用するのが基本となる。

 これで還元率1.5%となるが、とはいえ6月以前のキャッシュレス還元期間から見れば、そこまでのおトク感は感じられない。しかし、それをカバーするようにPayPayは多種多様なキャンペーンを行っている。以下、いくつか例を挙げたい。

 9月中に行われていたのは、ZOZOTOWN、DMM、ジャパネットなどの対象オンラインストアで決済を行えば10%還元されるというもの。さらに抽選で最大100%還元が当たるキャンペーンも行っていた。

 また、飲食の事前注文サービス「PayPayピックアップ」の利用で支払い金額の20%が還元されるキャンペーンもあった。これを読んで「乗り遅れた!」という人も、慌てないでほしい。10月からは、特に見逃せないイベントがスタートする。

利用しなければ損!「超PayPay祭」に乗り遅れるな

 PayPayではオンラインとオフライン双方において大規模セールを展開する国内最大級の買い物の祭典、「超PayPay祭」を10月17日〜11月15日まで開催する。「超PayPay祭」は、1カ月にわたっておトクに買い物を楽しめる複数のキャンペーンの総称である。

 たとえば、多くの人にとって身近な牛丼チェーン「松屋」でもこの恩恵が受けられる。松屋、松のや、マイカリー食堂、ステーキ屋松、松そばなど松屋系列の飲食店でPayPayを利用すると、10%の還元が受けられるのだ。また、ラーメン・中華の「日高屋」、飲みにも使える「銀だこ」でも10%還元が受けられる。

 前述の「PayPayピックアップ」のキャンペーンも引き続き行われるので、うまく利用すれば日々のランチがかなりおトクになる。

 ほかにもマクドナルドの「マクドナルド モバイルオーダー」からの注文をPayPayで支払えば10%還元、全国のPARCOでPayPayを利用すると5%還元、パリミキ、メガネの三城での利用で10%還元など、店舗ごとに細かいキャンペーンを行っている。

 セブンでも、PayPayと連動したキャンペーンが行われる可能性が高い。今から各種手続きを済ませて注視しておこう。

(取材・文=清談社)

「インバウンド=成長戦略」は虚妄…異常に訪日客が少なかった“先進国”日本の根本的問題

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、政府が進めてきたインバウンド戦略は事実上、頓挫した。一部からは、感染が一段落した段階で再度インバウンド戦略を強化してほしいとの声も出ており、菅新首相も「インバウンドも含めて全力でがんばりたい」としている。

 筆者はインバウンド需要について否定するつもりはないし、うまく活用したほうがよいと考える立場である。だが、日本が先進国であるとの前提に立つならば、海外からの観光客というのは、結果として付いてくるものであって、それ自体を成長の原動力にするものではない。

 一般的に、観光客が落とすカネに依存する経済構造というのは、観光以外に目立った産業のない新興国の話であり、豊かな先進国はこうした呼び込みがなくても、人は勝手に外国からやってくるものだ。このあたりの常識を取り違えてしまうと、成長戦略において致命的なミスをしてしまう。

先進国であれば、外国人は勝手にやってくるもの

 安倍政権はインバウンドを成長戦略のひとつとして位置付け、2013年の日本再興戦略において訪日外国人客数を2030年までに3000万人に増やすという目標を掲げた。その後、順調に訪日客が増加したことから、2016年には目標が引き上げられ、2030年に6000万人を目指すとしている。

 だが、こうしたインバウンド誘致というのは、厳密には成長戦略とは呼べないものである。なぜなら、日本レベルの経済力を持つ国であれば、この程度の数字は、はるか昔に実現していなければならない水準であり、むしろこれまでの訪日客数が異様に少なかったというのが現実だからである。

 訪日観光客の数が1000万人を突破したのは2013年のことだが、この段階で、フランスは年間8000万人、米国や中国は6000万人の訪問客を受け入れている。

 一般論として、それなりの経済規模と歴史があり、1000万人規模の大都市を抱えている国は、ほぼ例外なく、外国から多数の訪問客が訪れる。フランス、中国、米国、英国などはすべてその条件を満たしており、当然のことながらおびただしい数の外国人が訪問する。

 日本もこの条件を満たしているが、そうした国であるにもかかわらず1000万人しか観光客がいなかったというのは、むしろ異常な状況だったといってよい。

 経済が豊かであれば、多くのビジネス需要があるし、一定以上の歴史があれば、観光資源にも事欠かない。大都市があればホテルなどのインフラも整備されているので、黙っていても人がやってくる。つまり、豊かな先進国にとって観光というのは、主要産業のオマケとして付いてくるものであって主要産業にはなり得ない。経済規模が大きい場合、観光業という小さなビジネスだけでは成長の原動力にならないのだ。

 わざわざ観光業を振興させ、外国人が落とすお金で経済を回すのは、ギリシャやスペインなど、目立った産業がない国が採用する手法である。日本は本来、技術大国、経済大国なはずであり、観光以外に目立った資源のないギリシャなどとは違うはずだ。そもそも、本格的な成長戦略を実現し、日本経済が順調に成長していれば、何もしなくても、数千万人の訪日客など自動的に獲得できたという現実を忘れてはならない。

 インバウンドを成長戦略として位置付けてしまった段階で、経済成長に対する根本的なボタンの掛け違いがあったと考えてよいだろう。

輸出が直接的にGDPに占める割合は低い

 本来なら、巨大な内需によって成長を実現するという本質的な部分での施策を実施すべきだったが、ビザ緩和など目先の措置で観光への依存度を高めてしまった。結果として、日本人による内需は拡大せず、消費経済は外国人が落とすお金に依存することになった。コロナ危機の発生はまったくの偶然だろうが、外的要因に対する脆弱性という点では、必然の結果だったともいえる。

 こうした掛け違いが発生した最大の理由は、「輸出によって経済を成り立たせる」という昭和時代の思考回路からいまだに脱却できていないことであると筆者は考えている。

 日本のGDP(国内総生産)の6割以上は個人消費であり、日本はすでに輸出ではなく、日本人自身の消費で経済を回す消費主導型経済になっている。確かに昭和の時代までは輸出主導型経済だったかもしれないが、それについても大きな誤解がある。

 かつての日本経済が輸出主導だったといっても、輸出そのものがGDPに占める割合というのは意外と少ない。輸出主導型経済の原動力となるのは、輸出産業が国内で実施する設備投資であり、限りなく内需拡大に近いものである。

 海外からの受注が増えると各社は増産を検討するので、生産設備が増強される。国内に新工場をつくったり、生産ラインを拡充することによって、サービス業を含めあらゆる業界に恩恵が及ぶ。設備投資の増強によって、国内労働者の所得が増え、これが最終的に個人消費を増やすのだ。

 つまり輸出主導型経済というのは、輸出をきっかけとした国内設備投資によって内需を拡大させるメカニズムであって、決して輸出そのもので経済を回すわけではない。

外国に頼らず経済を回す仕組みの構築が必要

 経済の屋台骨である個人消費が動かなければGDPを成長させることはできないので、最終的にはいかに個人消費を拡大させるのかがカギを握る。

 もし輸出産業がドイツのような高付加価値型にシフトし、今でも国内に工場が存在しているのなら、輸出の増加は個人消費の拡大につながるだろう。だが、日本企業の多くはこうしたビジネスモデルの転換を行わず、韓国や中国と価格勝負するという安易な戦略に走り、コスト削減の必要性から多くの工場を海外に移してしまった。

 仮に企業が設備投資を強化するにしても、お金が落ちる先は海外であり、日本人の所得は増えない。企業の業績が拡大しているにもかかわらず、日本人の賃金が伸びず、消費が停滞しているのは、国内にお金が落ちる仕組みが構築されていないからである。

 勘のよい読者の方であれば、インバウンド戦略を実施しても同じ結果になることは容易に想像できるだろう。いくら外国人の消費が増えたからといって、日本の人口の何倍もの人がやってくるわけではない。日本人による消費が減った分を外国人に頼っているだけでは、国内の設備投資は増えない状態が続く。実際、小売店やホテルなど一部の業界を除いて、日本の労働者全体にはお金が落ちず、個人消費の拡大にはつながらなかった。

 政府が行うべきだったのは、なんらかの形で日本人自身にお金を支出させ、個人消費を拡大する施策であった。これが実現できれば、海外とのやり取りも必然的に多くなり、黙っていても外国人観光客は押し寄せてくる。

 フランスは突出した観光大国ではあるが、昔から観光客に対するサービスの悪さは折り紙つきである。それでも観光資源を持ち、経済が豊かであれば、人々は喜んでお金を落としてくれる。日本もまっとうな戦略で諸外国並みの経済成長を実現していれば、社会はもっと豊かになり、今のレベルの観光客数など何の努力もせずに実現できただろう。

 結局のところ経済を動かすのは、自国民による巨大な消費であり、この部分を無視して成長戦略を立案することはあり得ない。こうした基本認識の欠如こそが、日本経済が停滞する真の理由といってよい。

(文=加谷珪一/経済評論家)

ボルボ、有史以来最大の変革期に突入か…新型「XC40」、驚異的な環境性能&安全性&パワー

 いまボルボ(スウェーデン)は、有史以来最大の変革期を迎えようとしているのかもしれない――。

 ボルボは、2019年から発売するすべてのクルマを電動車にすると宣言した。「安全のボルボ」に加え、「環境のボルボ」という名誉の称号を得ようとしているのだ。

 とはいえ、内燃機関との絶縁ではない。遠い将来に想いを馳せれば、いずれ内燃機関を墓場に葬り去ろうとしているようにも思えるものの、現状では内燃機関も活用する。純然たる電気自動車であるEVとプラグインハイブリッドを大きな枠で「リチャージ」と命名、一方、48VのISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)を基本としたハイブリッドを「マイルドハイブリッド」としてカテゴリー分けし、その両方を生産。動力を内燃機関だけに頼ったモデルとの決別を発表したのだ。

 今回紹介する新型「XC40 B5 AWD R-Design」は、コンパクトSUVのカテゴリーに属する。全長は4425mm、全幅は1875mm、全高は1660mm。直接のライバルはBMW「X1」、アウディ「Q3」あたりになるのかもしれない。

 直列4気筒2リッターターボガソリンエンジンを基本とし、48VのISGMと組み合わせている。ISGMは、クランクシャフトと直結したモーターが発電をしながら直接エンジン出力をサポートする。あくまで主体はエンジンであり、電気モーターはアシスト役でしかない。モーターだけで走行することは、かなわない。マイルドハイブリッドなのである。

 発進は、いちいちスターターでエンジンを始動させる必要はない。クランクに直結だから、いわば押しがけをするようなイメージで、スルスルとスタートする。エンジンが始動しても不快な振動はなく、かといってモーターがアシストしている感覚もない。ただ単にパワーが十分なだけで、ハイブリッドであることは、聞かされなければわからないという奥ゆかしさなのだ。

 ちなみに、「B4」と「B5」の2グレードの違いは、パワーの差である。エンジン本体やモーター容量等には違いはなく、コンピューターの細工による出力の高低だけでしかない。今回試乗したB5は、よりハイパワーな仕様であり、最高出力250ps、最大トルク350Nmを発生する。ISGMのアシストによる加速は、その数字から想像する以上の力強さだった。

XC40の特筆すべき環境性能

 それにしても、XC40は奥ゆかしい。ISGMが完璧な黒子となって、いい仕事をしているのだ。ISGMの献身的な仕事ぶりを視覚的に知る手立てはない。インパネ上のメーターにもそれらしい表示はなく、唯一ハイブリッドであることを誇るのは、計器の片隅に小さく、指摘されなければ気がつかないほど小さな「電池」のマークがあるだけだ。回生ブレーキが作動している瞬間だけにそれがささやかに灯るだけで、一般的なハイブリッドに備わっているような、バッテリー残量や制御状態をライブにアピールするエネルギーモニターもない。

 そもそも、車名にもハイブリッドを声高にアピールする文言はない。「XC40 B5 AWD R-Design」と「B5」でハイグレードであることを伝え、「R-Design」でスポーティ感が際立っていることを匂わせるだけなのだ。これほど環境性能とパワー感が秀でているのに、環境を誇示することがないのはいかにもボルボらしいと思える。

 さらにいえば、走りは上質である。路面とのあたりは、まるで本当にタイヤが路面に接しているのかと疑いたくなるほどに優しい。不快な振動やノイズは完璧に遮断されている。

 XC40が加わるコンパクトSUV市場は、いま世界が熱い視線で注目しているクラスである。セダンやハッチバックから、国民車的なメジャーな存在を奪った。当たれば爆発的な販売が期待できる市場でもあり、各メーカーとも次々と刺客を送り込んでいる。

 そんな群雄割拠うごめくカテゴリーだけに競争も激しい。それぞれ個性を打ち出す必要があり、技術的にもデザイン的にも、百花繚乱なのである。そんななか、ボルボは環境性能を手に入れようとしたのだ。

 いやはや「XC40 B5 AWD R-Design」は、とてもよくできたクルマである。安全性は折り紙付きである。それでいて高度なハイブリッド技術を投入した。そう、「安全のボルボ」は「環境のボルボ」にもなったのだ。そしてさらに僕は、上質な走り味も褒め称えたいと思う。「上質なボルボ」である。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。