「仕事ができる人」ほど危ない…上司に“はしごを外される人”の共通点 – 定番読書

「仕事ができる人」になりたいと、多くのビジネスパーソンが願う。しかし、知識やノウハウを身につけたからといって、そうなれるとは限らないのが難しいところ。実際には、「仕事ができる」ためには総合的な能力が求められてくるからだ。そのスキルを言語化して豊富な実例とともに解説、ロングセラーになっているのが『Deep Skill ディープ・スキル』だ。「人と組織を巧みに動かす深くてさりげない技術」とは?

「本当にやりたい仕事?」なぜコンサル業界は高学歴の学生を引きつけるのか – ニュースな本

思考力を武器にクライアントの経営課題を解決する組織、コンサルティングファームいわゆる「コンサル」は激務で高給の職場として知られる。働き方改革が進む今の時代でも、とりわけ偏差値の高い大学に通う学生は就職先としてコンサルを選ぶ傾向が強いのだという。なぜ彼らは数多くの職業の中からコンサルを選ぶのか。受験戦争を勝ち抜き、就職してもなお成長を渇望せざるを得ない社会の正体を、新進気鋭の批評家が解説する。※本稿は、批評家のレジー『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。

集中できなくて書類が机に山のよう…発達障害の人の仕事は、スマホアプリで劇的に改善する! – ニュースな本

仕事にまじめに取り組んでいるはずなのに、納期に間に合わず、長時間のデスクワークに疲弊するばかり。しかし、こうした空回りは、心の持ちようやスマホアプリで簡単に解決できる。障害者の就労支援事業を運営する筆者が、毎日の仕事が楽になる方法を教える。※本稿は、株式会社KyoMi代表取締役の柏本知成『ポストが怖くて開けられない!発達障害の人のための「先延ばし」解決ブック』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「土日出勤の社員をランチでねぎらいたい」社長に妻が放った“ド正論”にぐうの音も出ない〈再配信〉 – ニュースな本

土日出勤する社員の様子を見に行こうとした社長を妻はなぜ止めたのか。悪名高い“マイクロマネジメント”によって「自分のクローンをつくろうとした弁護士社長の失敗談」は、部下を持つすべての上司の教訓となるはずだ。本稿は、井上晴夫『任せる社長ほど会社はうまくいく 忙しい経営者は社長失格』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。

小学校入学前に親が子どもに教えておくべきこと・ベスト1 – まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?

「おはしを正しくもつ」「自分で歯を磨く」「整理整頓をする」「ありがとうを伝える」…など、小学校入学前後に知っておきたい93のおやくそくを紹介した書籍『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』が発売された。本書では、生活のきほんや言葉づかい、心の守り方、学校での過ごし方まで子どもたちの毎日に欠かせないテーマを幅広く網羅している。同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。

職場の日本人は「控えめ」なのに……インド人が自己評価を「ほぼ満点」でつけるワケ – インド人は悩まない

「いつも、考えすぎて損してばかり!!」 日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか? 「“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。インド麦茶氏は、数十億規模の案件でインド人部下オペレーションを経験して「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに『日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”がある」を見出した。 新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。

受験で落ちる高校生と受かる高校生のたった一つの違い【推薦入試】 – 12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた

『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、推薦入試で落ちる高校生と受かる高校生のたった一つの違いについて解説します。

ChatGPT、有料会員にも広告?OpenAIが踏み込む“最強ターゲティング”の副作用

●この記事のポイント
・OpenAIが広告モデル解禁へ。会話文脈を使う“対話型ターゲティング”は広告主の聖杯だが、私的相談の商用化は信頼崩壊を招くリスクも大きい。
・巨額赤字と推論コスト増がOpenAIを追い込む。広告は収益の切り札になり得る一方、回答の中立性への疑念が生まれればユーザー離れは加速する。
・対話AIは検索より深く個人情報を抱える。広告導入の成否は技術ではなく透明性と線引きで決まる。覇者か“広告屋”か、分水嶺に立つ。

「広告は最後の手段だ」――。かつてOpenAIは、グーグルやメタのように“ユーザーデータを収益化する広告モデル”へ安易に寄らない姿勢をにじませていた。対話AIは、人の悩みや仕事の葛藤、社内の機密、病気や家庭の事情まで吸い込む。だからこそ、広告に走れば一線を越える。そんな暗黙の倫理観が、少なくともユーザーの側にはあった。

 だが2026年、状況は変わった。OpenAIが検討・実装に踏み込むとされるのは、単なるバナー広告の表示ではない。ユーザーがChatGPTに入力してきた「会話の文脈(コンテキスト)」そのものを材料にした、“次世代の対話型広告”だ。しかも「低価格の有料プランでも広告表示を許容する」という方向性が取り沙汰される。つまり、金を払っても広告から逃げられない世界が現実味を帯びてきた。

 背景には、AI産業が抱える残酷な算数がある。モデルを賢くすればするほど、ユーザーが増えれば増えるほど、推論コストとインフラ投資が雪だるま式に膨らむ。巨額赤字を抱えるOpenAIにとって、広告は“悪”ではなく“生存戦略”になりつつある。

 では、OpenAIは広告で「AI界のグーグル」になれるのか。それとも“ただの広告屋”へ堕ちるのか。最大の論点は「収益」よりも、むしろ信頼だ。

●目次

OpenAIが狙う「次世代対話型広告」:キーワードではなく“人生の文脈”を売る

 OpenAIが導入する広告モデルが従来型と決定的に異なるのは、広告が反応する対象が「検索語」ではなく、「会話の流れ」に変わる点にある。

検索広告を超える「コンテキスト・ターゲティング」

 グーグル検索広告は「ユーザーが入力したキーワード」に反応する。一方でChatGPTは、ユーザーが悩みを打ち明け、前提条件を積み上げ、生活背景まで含めて相談してくる。ここに広告が入り込めば、ターゲティングの精度は桁が変わる。

 例えば「最近寝つきが悪い」「仕事のストレスで食欲も落ちた」と数日間にわたり相談しているユーザーに対し、AIは睡眠改善の文脈を理解して広告を差し込める。キーワード単発ではなく、“状態”そのものに広告が反応する世界だ。

「検索広告は“欲しいものが決まっている人”に強い。一方、対話型広告は“まだ欲しいものが自分でも分かっていない人”に刺さる。これは広告の上流工程を抑える構造で、理論上はグーグルより強くなり得る」(デジタル広告アナリスト)

広告の先にあるのは「AI接客」:購買が会話内で閉じる

 第二の変化は、広告を見せて終わりではない点だ。広告が表示された直後、ユーザーは「成分は?」「部屋のサイズに合うか?」「他社比較は?」とAIにそのまま質問できる。AIが“接客”し、最短距離で購入まで伴走する。

 これは広告というより、購買行動を丸ごと飲み込む会話型コマース(Conversational Commerce)に近い。広告のKPIも、クリック率ではなく「対話の進行」「購買までの短縮」に移っていく。

月額8ドルでも「広告あり」?――“有料=無広告”が崩れる日

 もし「低価格プランでも広告表示」という設計が本格化すれば、ユーザーの心理的抵抗は一段上がる。Netflixなどで広告付きプランが浸透したとはいえ、動画は“受動的消費”だ。対話AIは“私的領域”である。

「金を払っても広告が出る」こと自体よりも、問題はその広告があなたの会話の中身に最適化される点だ。ここでユーザーは、初めて“監視”という言葉を現実として意識する。

「対話AIは“相談窓口”に似ている。そこに広告が入った瞬間、ユーザーは“自分の弱みが商品化される”と感じる。炎上の引き金は広告の量ではなく、広告の出方だ」(同)

 OpenAIにとって、広告導入は“収益化”ではなく、ユーザー体験の定義そのものを塗り替える決断になる。

なぜ今なのか:OpenAIを追い詰める「推論コスト地獄」と巨額赤字

 では、なぜOpenAIはリスクの高い広告に踏み込むのか。答えは単純で、金が燃える速度が異常だからだ。

 AIは、ユーザーが増えればスケールメリットで儲かるビジネスではない。むしろ逆で、最先端モデルほど計算資源を食い、利用が増えるほどコストが増える。これが通常のSaaSと違う“AIの宿命”である。

 売上が伸びていても、インフラ投資と研究開発費がそれを上回る。外部資金による延命が続けば、いずれ資本市場の空気が変わる。金利上昇、景気後退、投資家心理の冷え込み――どれか一つで綱が切れる。

 さらに、競合の存在がOpenAIの焦りを加速させている。

 ・グーグル/メタ:広告の既得権益を持ち、AI開発費を広告利益で吸収できる
 ・マイクロソフト:AzureとAIを接続し、法人収益の器をすでに持つ
 ・アンソロピック:法人中心で効率経営に寄せ、コスト制御の評判が高い

 つまりOpenAIだけが、「AIの覇権」を握りながら、収益の装置が細い。広告は、そこを一気に太くする唯一のレバーになる。

広告主にとっては“聖杯”:グーグルを超える「意図の把握」

 広告主目線で見れば、OpenAIの広告は夢の媒体に見える。

 従来の広告は、ユーザーの行動履歴や検索語、閲覧ページなどから意図を推測してきた。だがChatGPTでは、意図が推測ではなく、ユーザー自身の言葉で開示される。

「転職を考えている」「英語を伸ばしたい」「今月から不眠が続く」「離婚を迷っている」――。購買や契約につながり得る“人生イベント”が、会話として蓄積される。これは広告産業が長年追い求めた「ゼロパーティデータ(本人が自発的に提供するデータ)」の究極形とも言える。

「広告の理想は“欲しいと思った瞬間に出る”ことではない。“欲しいと思う直前”に出ることだ。対話AIはその手前の迷いと前提条件を握る。広告主が欲しがるのは、そこだ」
(戦略コンサルタント・高野輝氏)

CPMやCPCでは測れない、“成約への最短導線”が成立する可能性がある。

最大の地雷:プライバシー侵害と「信頼の崩壊」

 しかし、このモデルは同時に最悪の副作用を呼ぶ。OpenAIが失うものは、利益ではなく“信頼というブランド資産”だ。

「プライベートな相談」が広告に変換される恐怖

 ChatGPTは検索より深い。ユーザーは、検索窓に入れないことまで入れる。

 ・病気や心身の不調
 ・家族関係・離婚・育児
 ・会社の非公開情報、企画書、契約書
 ・自分の弱点や過去の失敗
 ・投資や借金、資産状況

 ここに広告が差し込まれた瞬間、ユーザーは「助けてくれる友人」ではなく、「分析して売る装置」だと認識する。たとえ匿名化・集計処理が施されても、心理的な嫌悪は消えない。

「プライバシー問題は“漏れたかどうか”より、“漏れ得る構造かどうか”で燃える。対話型広告は、まさに漏れ得る構造そのものだ」(同)

「回答の中立性」が疑われた瞬間に終わる

 広告が紛れ込むことでさらに厄介なのは、AIの回答の中立性が疑われる点だ。ユーザーは、AIの推薦が“善意の提案”なのか“スポンサーの都合”なのかを区別できない。

 この疑念は、一度生まれると回復が難しい。ニュースメディアが「記事広告」を明示しなければ信頼を失うのと同じだ。AIの世界では、それが対話の全体に及ぶ。

競合にとっては「歴史的チャンス」:ユーザー大移動は起きるのか

 OpenAIが広告を導入した瞬間、競合はこう言える。

「うちは広告を入れない」
「うちはログを使わない」
「うちは法人の機密を守る設計だ」

 この“メッセージの強さ”は、スペック差以上に効く可能性がある。特に企業ユーザーは、個人よりも厳格だ。監査、コンプライアンス、取引先への説明責任がある。広告モデルが混ざるだけで、利用ポリシーが一気に難しくなる。

 つまり、広告導入は「収益化の切り札」であると同時に、「法人市場での失点」になりかねない。

OpenAIは「テックの覇者」か、「広告屋」か

 OpenAIの広告参入は、AI業界が「研究・開発フェーズ」から「回収フェーズ」へ移った合図である。これは避けがたい流れでもある。モデル開発は慈善事業ではなく、コンピュートには金がかかる。

 だが、対話AIが抱える本質的な価値は、回答精度だけではない。ユーザーが弱みや機密を預けられる“心理的安全性”にある。ここを崩せば、どれほど賢いモデルでも、人は心の奥に踏み込ませなくなる。するとAIは「人生の伴走者」から「便利な検索代替」に格下げされる。

 月額3000円を払えば“監視”から逃れられるのか。そもそも監視と呼ぶべきものなのか。OpenAIは今、自らの魂とも言える「信頼」を担保に、史上最大のギャンブルに出ようとしている。

 そしてこの勝負の行方は、広告導入それ自体では決まらない。決め手になるのは、次の3点だ。

(1)会話データを広告に使う範囲をどこまで限定するのか
(2)広告と回答の線引きを、ユーザーに“疑いなく理解できる形”で示せるのか
(3)法人・個人それぞれに、透明で選択可能な設計を用意できるのか

 OpenAIが「AI界のグーグル」になるか、「信頼を売った広告屋」になるか。分水嶺は、技術の強さではなく、透明性と倫理設計の強さにある。

 OpenAIの広告モデルは、マーケターにとっては巨大な商機になり得る一方、企業ユーザーにとってはリスク要因にもなり得る。現時点で企業・個人が取るべきアクションは明確だ。

・社内ポリシーの再点検:ChatGPTに入力して良い情報/悪い情報の線引きの再定義
・機密情報の遮断策:社内専用環境、ログ設定、匿名化、利用規約の確認
・“推薦の広告汚染”対策:意思決定に使う場合は一次情報・複数ソースで検証
・代替AIの確保:Gemini、Claude、Perplexityなどのバックアップ運用
AIは「便利な道具」から「企業の頭脳」になった。だからこそ、広告という収益化の刃が、その頭脳の中に入り込む瞬間を、軽く見てはならない。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

宿泊税導入ラッシュに突入…京都市は最大1万円、客離れと財源確保の危険な綱引き

●この記事のポイント
・宿泊税が2026年に全国へ拡大。京都は最大1万円に引き上げ、観光コストを「受益者負担」へ転換する。鍵は使途の透明性だ。
・オーバーツーリズムで清掃・警備・インフラ負担が膨張。自治体は宿泊税で財源確保を狙うが、現場には徴収負担と混乱が残る。
・「観光で稼ぐ街」は、観光で壊れる。宿泊税ラッシュは日本の観光経営を変える最終手段だ。成功は“増税”で終わらせない設計次第。

 インバウンド(訪日外国人客)の波が、再び日本列島を覆っている。主要観光地では宿泊単価が上がり、街には活気が戻った。一方で、ゴミの散乱、雑踏、交通渋滞、マナー問題、住民の生活環境悪化――「観光が生むコスト」が、限界点に近づいている。

 こうした“観光の副作用”に対し、自治体が選び始めた最終手段がある。宿泊税だ。

 これまで多くの自治体は、観光に伴う追加コストを一般財源、つまり住民の税金で吸収してきた。だが、インフレで物価が上がり、人手不足で清掃や警備の委託費も高騰するなか、「持ち出し型観光行政」はもはや持続しない。受益者負担へ――。その大転換が、2026年に一気に現実になる。

●目次

2026年、全国で相次ぐ「宿泊税」導入ラッシュ

 今年、日本の宿泊税を巡る地図は塗り替えられる。象徴的なのが、1月から運用を開始した宮城県・仙台市の動きだ。県と市が“二層”で課税する仕組みは、宿泊税を「観光地の標準装備」へと押し上げる強いメッセージになった。

 実務の現場はすでに慌ただしい。

「予約済みのお客様にも一律でご負担いただくため、フロントでの説明には非常に神経を使います。海外のお客様だと、そもそも“宿泊税という概念”が国によって違いますから」(仙台市内のホテル支配人)

 宿泊税は、税そのものよりも「徴収と説明」が難しい。宿泊料金に含まれるのか、別会計なのか。事前決済に含まれるのか、現地徴収なのか。免税や減免はあるのか。自治体ごとに微妙に異なる制度を、宿泊事業者は“窓口”として処理しなければならない。

 そして2026年の宿泊税議論を一気に加速させたのが京都市だ。

 京都市は宿泊料金10万円以上の宿泊者に対し、上限額を最大1万円へ大幅に引き上げる。これは、国内の宿泊税として異例の水準であり、“高付加価値観光”へ舵を切る象徴でもある。言い換えれば、「観光客数で稼ぐ時代は終わった。これからは質で稼ぐ」と宣言したにしい。

北海道で「10以上の自治体」が一斉導入、地域間競争も激化

 2026年の“徴収ラッシュ”を決定づけるのが北海道だ。道が宿泊税を導入するのに合わせ、札幌・函館・小樽・旭川など主要自治体が独自に上乗せ課税を検討・導入する流れが広がる。

 ここで重要なのは、宿泊税が「一度導入されると戻りにくい制度」だという点だ。導入に伴う行政手続き、宿泊事業者のシステム改修、徴収オペレーションが整うと、次に起きるのは“税率の見直し”である。

 実際、総務省資料などを参照すると、宿泊税収は今後拡大していく見通しが語られてきた。2026年の全国導入拡大で、その流れは一段加速すると見られる。

「ここから先は、宿泊税が『ある地域/ない地域』ではなく、『いくらかかる地域』の比較に変わっていく。観光地同士の競争軸が、価格・景観・体験価値・混雑の許容度へと移ります」(観光政策アナリスト・湯浅郁夫氏)

なぜいま「宿泊税」なのか?――現場の悲鳴が限界を超えた

治体がここまで強硬に宿泊税導入を進める背景には、観光地の“コスト構造”が変質したことがある。

(1)ゴミ対策:観光客の生活ゴミを住民税で処理する歪み

観光客が落とすゴミ、放置される食べ歩きの容器、あふれる公共ゴミ箱。これらの回収・清掃は本来、観光のための追加コストだ。だが現実には、自治体の一般財源、つまり住民負担で賄われてきたケースが多い。

(2)安全確保:雑踏警備が“イベント並み”の常態に

京都、鎌倉、渋谷、ニセコ……人気スポットでは、休日だけではなく平日も混雑が続く。交通整理や雑踏事故防止のために警備員を配置すれば、人件費は年間で数千万円単位になり得る。さらに人手不足で委託費は上がる一方だ。

(3)インフラ:トイレ・道路・案内表示・Wi-Fiまで「見えない維持費」

観光地の公共トイレ清掃頻度を上げる、案内板を多言語化する、駅から観光地までの導線を整える。どれも“当たり前に存在する便利さ”の裏にコストがある。

「これまでは『おもてなし』という言葉で、自治体が無理をしてきた。しかし今は、住民が耐えるべき負担を超えている。受益者である旅行者に負担をお願いするのは、むしろ国際標準です」(湯浅氏)

世界では宿泊税は“当たり前”――日本はようやくスタートラインへ

 宿泊税は日本独自の増税ではない。観光都市の多くは、宿泊税を当然のように導入している。

 たとえば米ハワイでは宿泊税(TAT)などが観光財源として機能し、道路や環境、景観維持に投じられている。欧州の観光都市でも、宿泊税は「観光客が街を使う対価」として制度化されている。

 ここで重要なのは、宿泊税が“税金である”以上に、“観光都市経営の仕組み”だという点   だ。観光で稼ぐ。観光で傷む。その修繕費を、観光が生んだ収益から回す。

 この循環が成立して初めて、観光は「持続可能な産業」になる。

「宿泊税は、単なる財源ではなく“観光のライフサイクルコストを可視化する装置”です。観光地に必要なのは、客数の最大化よりも、負荷と収益のバランス設計です」(同)

 宿泊税が増えるほど、宿泊事業者の表情は険しくなる。理由は単純だ。宿泊税のコストを払うのは宿泊者だが、徴収の実務を担うのは宿泊事業者だからである。

苦(1)システム投資:自治体ごとに違う制度が“標準化できない”

 税率、課税対象、免税・減免(修学旅行生など)の扱い、課税開始日、徴収方法――自治体ごとの違いが大きいほど、予約・会計システムの改修は高額になる。

 中小の旅館・ホテルにとって、数百万円規模の改修費は決して軽くない。

苦(2)フロント負担:クレーム対応の矢面に立たされる

 現場で最も厳しいのが「事前決済したのに、なぜ追加で払うのか」という説明だ。OTA(オンライン旅行会社)の仕様が追い付かず、現地徴収になれば不満が噴き出す。英語、中国語、韓国語での説明も求められる。

 本来なら“ホスピタリティの時間”であるはずの接客が、“税務説明の時間”に置き換わる。現場疲弊が起きるのは当然だ。

苦(3)使途の不透明性:「本当に観光に使われるのか」という疑念

 宿泊事業者や観光業界が最も警戒しているのがここだ。

「宿泊税の徴収代行は、我々にとって完全に“持ち出し”の作業です。その税が、二次交通や景観保護など“宿泊客が価値を感じる改善”に使われるなら理解できますが、単なる穴埋め財源なら反発は強まります」(前出・ホテル支配人)

 宿泊税が成功するか否かは、税率よりも「納得感」で決まる。納得感の根拠は、透明性と成果である。

「客離れ」は起きるのか?――鍵は“価格”ではなく“体験価値”

 宿泊税の議論は、しばしば「客離れするかどうか」に収束する。もちろん無視できない論点だ。だが、国際観光の現場では、宿泊税の有無そのものが旅行需要を決定づけるケースは多くない。

 旅行者が評価するのは総額であり、そして体験価値である。

・宿泊税を払っても「街がきれい」「移動が便利」「混雑が制御されている」なら納得される
・宿泊税が安くても「汚い」「危ない」「移動が不便」「住民が観光客に苛立っている」なら評価は下がる
観光都市が問われているのは、宿泊税を“収入”として見るか、“投資原資”として見るかだ。

「旅行者は税そのものより、払った結果として何が改善されるかを見ています。説明責任があるのは自治体で、宿泊事業者に負担を押し付ける設計だと、長期的には地域全体が損をします」(湯浅氏)

定額から定率へ――宿泊税は次のフェーズに入る

 宿泊税は「1人1泊いくら」という定額方式が主流だった。しかし、2026年以降は「定率課税(宿泊料金の○%)」を採用する動きが注目されている。

 沖縄県が導入を目指す“定率制”は、物価上昇や宿泊単価上昇に連動しやすく、自治体側から見れば安定財源になりやすい。一方で、宿泊料金が高い高級宿ほど負担が増えるため、宿泊業界からは慎重論も出やすい。

 また東京都も制度見直しを予定しており、大都市部で定率化が進めば、全国の制度設計にも影響する可能性がある。

 ここで重要なのは、宿泊税が「観光財源」から「観光ルール」へと変わりつつあることだ。課税は単なる金額の問題ではなく、地域がどんな観光を望むかの意思表示になる。

 宿泊税は、自治体にとっては財源確保の手段であり、住民にとっては生活環境を守るための防衛線でもある。しかし宿泊事業者にとっては、徴収業務の負担と説明責任が重くのしかかる。旅行者にとっては、旅の総額を押し上げる要素であると同時に、観光地の質を測る指標にもなる。

 つまり宿泊税は、誰かが得をして終わる制度ではない。設計を誤れば反発と疲弊を生み、地域の魅力を損なう。だが、透明性と投資が伴えば、観光都市の持続可能性を支える武器になり得る。

 鍵は明確だ。

(1)使途の透明化(見える化)

(2)宿泊事業者の徴収負担の軽減(標準化・システム統合)

(3)住民が納得できる生活環境改善の成果

(4)旅行者が“払う価値”を感じる体験価値の向上

 2026年、日本が「観光大国」として成熟できるかどうかは、宿泊税という“痛みを伴う仕組み”を、都市経営の成長エンジンに変えられるかにかかっている。

 観光で稼ぎ、観光で壊れ、観光で修復する。この循環を構築できた自治体だけが、次の時代の勝者となる。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

営農型太陽光は、なぜ農家の事業になりきれないのか──農業×再エネの実践を阻む、制度の壁

前編では、農業と再生可能エネルギーを切り離さず、現場の当事者として向き合う千葉エコ・エネルギーの取り組みを紹介しました。

 前編はこちら

農業とエネルギーを地域の中で循環させる——。営農型太陽光は、その実践例として確かに可能性を示しています。しかし、その可能性が広く農家の事業として根付いているかといえば、現実はそう簡単ではありません。

前編でも触れたように、営農型太陽光は農業と発電を両立できる仕組みです。しかし実際の現場では、農業法人が主体となって発電まで担うケースは少なく、多くの場合、農地の貸し手にとどまっています。なぜ、農業と再生可能エネルギーを両立させるはずの仕組みが、農家自身の手に委ねられていないのでしょうか。

千葉エコ・エネルギー株式会社 専務取締役の蘒𠩤(はぎわら)領氏に、営農型太陽光が抱える制度的な壁と、その背景にある構造について伺いました。

農業法人が営農型太陽光に踏み出せない“壁”



安藤:海外においては、営農法人が営農型太陽光の発電所を所有して発電を行う方法もありますよね。

蘒𠩤:そうですね。実際、農業法人が営農型太陽光を運用し、農業用の灌水ポンプの動力として活用するなどの事例もあります。

安藤:一方、日本国内においては、農業法人は営農型太陽光のために農地やその地上権を貸し出すのみで、発電者は別法人のケースが一般的です。
農業法人等が発電所を所有し、当社のような小売電気事業者に対して電力を販売するスキームがあれば、アセットを持たない小売電気事業者にとってはメリットが出てきますし、農業法人も営農と合わせた設備のO&M等とも親和性があるのではないでしょうか。

蘒𠩤:農業法人が営農型太陽光を行うにあたってはいくつか障壁があるのです。

おもなものとして、

・発電設備の初期投資が大きく、資金調達のハードルが高いこと
・需給管理や計画提出など、電力事業特有の対応が求められること
・関係省庁が複数にまたがり、制度の整理が十分でないこと
・発電収入の比率によって、農地適格法人から外れる可能性があること
・太陽光発電に対する心理的な抵抗感が残っていること

などが挙げられます。

莫大な初期投資というハードル

蘒𠩤:まず、発電事業に参入するには、設備投資に莫大なコストがかかります。しかし、一農業法人が個人で負える投資規模はそう大きくありません。発電事業のための投資を、自分たちの与信だけで調達するとなると、かなり厳しいのが現実です。

海外では、政府や地方自治体が補助を出したり負担したりすることで、設備投資のリスクを分散させるなどの仕組みをつくっているケースもあります。日本でも同じような座組ができれば、コスト面のハードルはかなり低くなるのではと思います。

需給管理という、もう一つの専門性

蘒𠩤:FITを活用した売電であれば、発電した電気を電力会社が固定価格ですべて買い取るため、需給管理の必要はありません。発電事業に知見のない農業法人でも参入障壁は低いはずです。

安藤:確かに、FIPや非FITの場合は、発電量の予測や、計画提出を発電者である農業法人が行うとなるとハードルが高そうです。

蘒𠩤:そもそも、地方の農業法人が、電気の売り先を検討してくれるレジル社のような小売電気事業者とつながりを持つこと自体が困難です。知見がなく頼る相手もいない中で、仕組みが複雑な新領域に参入するくらいなら、本業を成長させるべきだという考えに落ち着いてしまうのでしょうね。

三省庁にまたがる制度が、現場を迷わせる

蘒𠩤:営農型太陽光を農業法人が行う場合、複数の官公庁が関与することになります。たとえば、脱炭素分野は環境省、エネルギー分野は経済産業省の資源エネルギー庁、農業分野は農林水産省です。この三省庁はいずれも、営農型太陽光を地域共生型の電源として位置付けていますが、実際の制度設計や判断基準はそれぞれ異なります。

環境省の場合、脱炭素と同時に生物多様性への配慮を求めますし、経済産業省の場合は電力の安定供給や安全性を重視します。農林水産省は、農家や農地の保護です。現在の制度下では、どの省庁に基準を合わせればよいのかが不明確なまま、営農型太陽光をスタートさせることになってしまいます。

営農型太陽光と「農地適格法人」の壁

蘒𠩤:営農型太陽光を行うことで、農地適格法人から外れ、農地の購入ができなくなる可能性があることも、大きな障壁です。農業法人には、売上の過半を農業によるものとするなど、一定の要件が課されています。そのため、発電事業など農業以外の事業の売上が農業の売上を上回ってしまうと、農地を買えなくなったり、是正を求められたりする可能性があるのです。

ただ現状では、発電事業で得た収入を農業収入と認めるケースもあれば認めないケースもあります。営農型太陽光は比較的新しい取り組みのため、制度がまだ追いついていないのです。

農林水産省で今年、「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」が開催されるなど、営農型太陽光に関しては、どのような形で運用していくのがよいのか、まだまだ整理・議論の段階にあるといえます。

制度だけではない、現場の心理的な障壁

蘒𠩤:これに関しては太陽光そのものに対する抵抗感というよりも、「先祖代々守ってきた農地を自分の代で変化させてしまってよいのか」という心理的な障壁ですね。

村田:おそらく、農業従事者に高齢者が多いことも原因なのでしょうね。比較的若い方だと、発電事業者と組んで営農型太陽光のために地上権を貸し出すことに抵抗がない方もいるのではないかと思います。

蘒𠩤:そうですね。地域のつながりという部分もあるかと思います。周囲が農業だけで事業を成り立たせることに苦労していたり、耕作放棄地を持て余していたりしている一方で、営農型太陽光などを行うことが“抜け駆け”のように感じられるのかもしれません。

安藤:発電所を設置することで、今後十数年にわたって管理が必要になることも、高齢者が産業の中心である農業では足踏みしてしまう一因になるでしょうね。

国土の制約から考える、土地利用の再設計


安藤:実際に営農型太陽光を行うことになっても、農機の動線や発電量などを考慮して太陽光パネルをレイアウトすることになりますよね。そう考えると、ただ農地に太陽光パネルを設置すればよいわけではなく、農業を行う上での効率性も含めて設計しなければなりません。

蘒𠩤:ヨーロッパでは、「土地の総合利用効率」という考え方が研究されています。ひとつの土地を複数の用途で活用する場合、単体で活用するよりもそれぞれの生産率は20〜30%減少するとしても、総合的な生産率は150%になる、といった考え方です。日本は国土が狭いですし、平野部も限られています。エネルギーも食料も自給率を高めていく必要がある中で、こうした複合利用の考え方にシフトしていくことは避けて通れないと感じています。

営農型太陽光を行うにおいては、農地としても発電設備としても扱われる特性を踏まえ、どのような考え方で管理・運用するのかを整理すべき段階にきているといえます。

時代の変化に合わせて、制度を点検し直す


村田:営農型太陽光の運用方法や位置付けを整理したり、農業法人でも実施できるように制度を整えたりするにあたって、千葉エコ・エネルギーができるアプローチを教えてください。

蘒𠩤:千葉エコ・エネルギーは、自分たちを政策系スタートアップであると定義しています。現在の制度や仕組みに対して、現場で農業の当事者として動いている我々からのフィードバックや提言が大切だと考えています。

現在、農業法人が自分たちで営農型太陽光を運用しづらい仕組みになっているのは、どこかの省庁や農業従事者に原因があるということではありません。これまで適用に違和感が生まれなかった制度や法律が時代に合わなくなってきた部分があるのです。 たとえば、農地法により、農地は他用途への転用が難しくなっています。現在はこのルールに頭を悩ませている農業法人が多いですが、当初は「農地を守る」ためのルールとして機能していました。こういった時代と齟齬が出ているものに対して、感情論ではなく、現場を見ているからこそのエビデンスをもって制度をどう変えていくべきかを提案していく。そういった“点検作業”こそが、我々千葉エコ・エネルギーの持つ役割だと考えています。

 

営農型太陽光が農家の事業として根付かない背景には、個々の農業法人の意思や努力だけでは越えられない制度的な壁があります。

農業とエネルギーを対立させるのではなく、両立させる前提で仕組みを見直す。現場からのエビデンスをもとに、その“点検”を続ける千葉エコ・エネルギーの取り組みは、営農型太陽光を次のフェーズへ進めるための重要な一歩といえるでしょう。

※本稿はPR記事です。