新型コロナウイルスを防ぐ食事術…ヨーグルト・きんぴらごぼう・イチゴ等が効果的?

免疫力をあげる食事について

 新型コロナウイルスが猛威をふるっています。私たちが新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザ、風邪、その他の感染症などにできるだけ罹らないためには、また、罹っても軽く済ませるためには、普段からどのような点に注意していけばよいのか、管理栄養士の視点から考えてみたいと思います。

 私たちの身体には、細菌やウイルスの侵入を防御する免疫機能が備わっています。その免疫機能をいつでも十分に発揮できる体制を整えておくことが大事であることは、いうまでもありません。

 免疫機能に関わっているのが、自律神経と白血球です。白血球は血液に含まれる成分の一つで、細菌やウイルスなどの外敵を排除する役割があります。自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類があり、活動時、緊張時に優位に働くのが交感神経、一方、副交感神経はリラックス時、睡眠時に優位に働きます。

 白血球は自律神経によりコントロールされているため、自律神経のバランスを保つことが大事です。それには、睡眠不足にならないように、質の良い睡眠をしっかりとって生活のリズムを整えること、ストレスをコントロールすることなどが大切です。

 睡眠ホルモンと呼ばれる神経伝達物質「メラトニン」には、睡眠の質を上げる作用、免疫力を高める働き、抗酸化作用があります。メラトニンは22時~2時の間に分泌が活発になります。メラトニンの恩恵を受けるためには、就寝時刻は24時前とし、7時間程度の睡眠を確保、早寝早起きを心がけましょう。

 また、就寝前の飲食、飲酒は質の良い睡眠の妨げになりますので、夕食後から就寝までの4時間くらいは、水以外は何も口にしないようにすることをおすすめします。メラトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンからストレス軽減作用のある神経伝達物質「セロトニン」を経て産生されます。トリプトファンは食品からしか摂れない成分であるため、肉、魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品などからしっかり補給していきましょう。

 ほかに免疫力に非常に大きな影響を与えるのが体温です。体温が1度下がると免疫力は30%も低くなります。逆に体温が1度上がるだけで免疫力は5倍から6倍も高くなります。寝ている間、体温は下がっています。そのため朝食を摂ることは、体温を上げる意味からも必要な食事となります。食事を摂ると体が温かくなるのは、体内に吸収された糖質、脂質、タンパク質が分解されたときに産生するエネルギーの一部が体熱となって消費されるからです。免疫力アップに朝食は不可欠ですし、1日3度の食事を欠食せず、体温を下げないようにしましょう。

免疫力を向上させる栄養素

 続いて免疫力を向上させる栄養素をみていきましょう。

 まず、食物繊維です。小腸には免疫に関わる細胞があるため、腸内環境を整えることも重要です。免疫力を高めるには、免疫細胞の働きを活発にすることです。食物繊維の多い食品は、噛みごたえのあるものが多いのが特徴です。

 きんぴらごぼうを食べている時を想像してください。必然的に噛む回数が増え、唾液がたっぷり分泌されますね。食物繊維は胃や腸で水分を吸収して膨らむことで便のカサを増やし、腸管を刺激して腸の働きを活性化させます。このような消化活動は、副交感神経が優位になり血流が良くなり白血球も増加し、免疫機能が活性化されます。

 さらに、便通が良くなれば善玉菌が増え、これによっても白血球が増加し免疫力アップがさらに期待できます。食物繊維のほかに、ヨーグルトなどの発酵食品も利用しましょう。発酵過程で整腸作用のある酵素が産生され免疫力アップに貢献してくれます。

 次にビタミンCです。ビタミンCは、細菌やウイルスに排除効果のある白血球や免疫系および炎症の調整をする「インターフェロン」を活性化し免疫力を高める作用があります。ある報告によると大量のビタミンCを摂取することで風邪による発熱、せきなどの症状の回復を短縮できるということです。

 ビタミンCは、人は体内で合成できませんので食事から十分に補給しないといけません。水溶性のビタミンなので、余分に摂取しても2~3時間後に尿から排出されます。2020年版食事摂取基準によると、18歳以上の男女ともビタミンCの推奨量は1日100mgです。

 ビタミンCは、野菜や果物、イモ類に含まれています。たとえば、ミニトマト(10個:100g)32mg、イチゴ(大粒6個:150g)で100mg、じゃがいも(卵大2個:100g)で28mg摂取できます。

ビタミンDは意識して摂取

 最後に、ビタミンDです。ビタミンDは、細菌やウイルスを死滅させる「カテリジン」「β-ディフェンシン」という抗菌ペプチド(タンパク質の1種)をつくる働きがあり、皮膚のバリア機能を高めます。ビタミンDは、紫外線を浴びることで産生されますが、日照時間が短い冬はビタミンDの体内合成量が減り、抗菌ペプチドも減少すると考えられます。

 例えば、茨城県のつくば(北緯36度)では、ビタミンD5.5μgを産生するために必要な日照暴露時間は、12月の12時で22.4分。7月の12時で3.5分というデータがあります。このことからも冬は産生する時間が長くかかることがわかります。

 2020年版食事摂取基準によると18歳以上の男女とも目安量は1日8.5μgとされています。この8.5μgは、日常生活において可能な範囲内で適度な日光浴を心がけながら食事からビタミンDをどれぐらい摂取したらよいかの目安量となります。

 ビタミンDは、鮭、卵、キクラゲなどに多く含まれます。鮭(生1切れ80g)で25.6μg、卵(1個50g)で0.9μg、乾燥キクラゲ(10個5g)で4.27μg摂取できます。注意したいのは、ビタミンDが、魚類、卵、キノコ類品など一部の食品にしか含まれていませんので積極的に摂らないと不足しがちな栄養素であることです。

 新型コロナウイルスにともなう感染症を避けるには、手洗いと咳のエチケットを順守するほかに自律神経のバランスが崩れないような十分な睡眠と正しい食生活を送ることに努め、免疫力を下げないようにするしか自己防衛手段はないのかもしれません。

 早寝早起き、質の良い十分な睡眠、1日3食、規則正しい時間にバランスのとれた食事をこころがけましょう。

(文=森由香子/管理栄養士)

新型コロナ、政府の基本方針を専門家が一刀両断…国内蔓延の事実を隠蔽、開業医の利益優先

 新型コロナウイルスの影響拡大を懸念して日経平均株価が一時1000円超値下がりした2月25日午後、政府の新型コロナウイルス対策本部が対策基本方針を決定した。これは24日に行われた専門家会議の結果を受けたものだが、対策が手ぬるいとの批判を受け、政府は朝令暮改で一転、イベントなどの中止、延期要請に加え、3月2日から全国の小中高の一斉休校に踏み切らざるを得なくなった。

 政府のこれまでの新型コロナウイルス対策について、一貫して問題提起をしてきた医療ガバナンス研究所の上昌広理事長も、今回の政府の基本方針を「問題だらけ」と一刀で切り捨てた。上理事長に話を聞いた。

政府が触れなかった2つのタブー

――政府の対策基本方針のどこが問題だらけなんですか?

上昌広氏(以下、上) 検査態勢が相変わらず不十分なところです。民間の検査機関での検査、スマホやPCのテレビ電話を使った遠隔診断についてもまったく触れていない。現時点で、新型コロナウイルスの検査は厚生労働省が認めたところでしかできない。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の機械なんか持っているのは、国立感染症研究所や大学病院か大病院だけですよ。

 でも、この病気は患者さんの立場に立てば風邪と同じなんです。風邪で大学病院なんか行かないでしょ。つまり、近所のクリニックで検査できないとダメなんです。どのクリニックも、血液検査や尿検査は民間の検査会社がやっています。検体をとれば民間の検査会社が取りに来て、夜に検査して朝には結果を教えてくれます。

 民間の検査機関は100社あって、900のラボを経営しています。少なく見積もって、ひとつのラボで20検体しか検査できないとしても、1日に1万8000近い数の検査ができる。この検査を保険適用で受けられるようにすればいいんです。

 もうひとつは遠隔診断ですね。病院に行くと、そこで病気を広めたりもらったりする可能性もあるので、スマホやPCを使った遠隔診断は新型コロナウイルスなどの感染症には最適なのですが、遠隔診断が認められているのは再診だけです。初診から認めると、みんな専門医に診てほしいので、近所の開業医が儲からなくなるからです。つまり、開業医の利益を守るために厚労省が規制しているといえます。この2つはタブーなので、触れなかったのでしょう。

 PCR法の検査につべこべ理由を付けているのも、国立感染症研究所や大学病院で検査すれば補助金が下りるからです。民間の検査会社で保険適用で検査できるようになったら、上前をはねられなくなる。つまり、政府は今回の新型コロナウイルス検査も公共事業にしたいのでしょう。

――最大の目標は感染拡大のスピードの抑制と死亡数を減らすこと、とありますが。

 すでに蔓延してかなりの感染者が出ているので、抑制するのは難しいでしょう。それも検査をしたからわかった数字であって、実態を反映した数字ではないですからね。症状が軽い人には検査を受けさせないのですから。厚労省は蔓延していることを否定したいだけ。今の感染者数は、すべて適切に診断できている数字だと言いたいのでしょう。

 重要なのは死者を減らすことですが、死亡のリスクが高いのは高齢者です。クルーズ船でも4人目の死者が出ましたが、あれは健康で元気なおじいちゃん、おばあちゃんを4人殺したのと同じです。外出を自粛するかどうかという以前に、高齢者への感染をいかに防ぐかが大事です。その間にワクチンをつくればいいわけですからね。

パンデミックの可能性が濃厚か

――すでにパンデミック(世界的流行)が起きているのでしょうか。

 2月5日に日本から帰国して感染が確認されたタイ人夫婦も、感染ルートがまったくわかっていない。とにかく、世界中で感染者が山ほど出ています。WHO(世界保健機関)も言葉遊びをしているだけ。アフリカでもヨーロッパでも出ているし、イタリアでは流行しています。私はパンデミックになると思いますが、その議論はどうでもいい。大事なのは、日本だけでなく世界中できちんとした検査が行われていないことです。中国は多くの検査をしたから感染者が増えました。感染者が増えると相対的に致死率は下がるので、中国にとって感染者は増えたほうが都合がよかったのでしょう。

――今回の政府の対策は不十分でしょうか?

 政府の対策は机上の空論の思いつきです。PCR検査をしなければ診断がつかないのですから、可能な限り最優先で検査を行うべきです。しかし、いまだに検査には条件がもうけられており、これではデータを取っていないのと一緒です。一番大事なのは、不安を感じている人に寄り添うこと。厚労省にはやる気がないのでしょう。厚労省が民間の検査会社に問い合わせたのも、つい最近だそうです。袋叩きに遭ったからでしょう。とにかくひどい対応です。

 このままでは、放っておいてもパンデミックになります。日本には、もうウイルスが蔓延していると私は思っています。検査すべき人が検査を受けていないだけです。1人の重傷者がいれば100人は感染者がいる。それは、クルーズ船内の感染者数を見ればわかるはずです。

――ありがとうございました。

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、2月26日までに乗客・乗員あわせて705人が新型コロナウイルスに感染していることがわかった。25日には80代の乗船者1人が搬送先の病院で死亡した。クルーズ船での死亡者は4人目となった。新型コロナは、相当厄介なウイルスなのかもしれない。

(構成=兜森衛)

うつ病患者に明るい曲はNG?楽器演奏で認知症予防?音楽の意外な“医療効果”

 今年はオリンピック・イヤーです。いまだにさまざまな意見が飛び交っていますが、2012年のロンドン・オリンピックの時にロンドンに在住していた経験から、実際にオリンピックが始まってしまえば、みんな大喜びでテレビにかじりつくだろうと予想しています。当時のイギリスでは、オリンピック予算を確保するために、日本の消費税にあたる付加価値税を17.5%から20%に引き上げたり、ロンドン市内の公共機関の料金を1.5倍まで上げるなど、日本では考えられないくらい露骨に国民に負担を強いていましたが、オリンピックが始まってみるとイギリス国民はお祭り騒ぎでした。

 ちなみに、オリンピックに続いてパラリンピックが開催されますが、日本ではパラリンピックは長い間、障害者の福祉という側面から厚生労働省所管となっていましたが、今では本格的なスポーツの一部門として文部科学省に移され、オリンピックと一緒に管轄されるようになったことは、大きな転換期だったと思います。

 視覚障害者のためのサッカーまであり、ボールの中に入っている鈴の音を聞き分けながらプレイをする、鋭い選手の聴覚には舌を巻くしかありません。

 音楽家のなかには、視覚障害を抱えながら素晴らしい演奏を繰り広げて、観客を魅了している方々がたくさんいます。クラシック演奏家以外にも、まだまだ往年のファンも多い、ジャズ歌手でピアニストの故レイ・チャールズは盲目でしたが、聴衆の心を一度つかめば離さない歌唱力とピアノ演奏を繰り広げていました。同じく視覚障害を持ったミュージシャンのスティーヴィー・ワンダーも、まだまだ現役で活躍しています。彼らの視覚障害が、演奏する音楽に直接影響するわけではないので、彼らにはパラリンピック的な考え方は当てはまりません。

 パラリンピックには、視覚障害者だけでなく肢体不自由者、つまりは腕や足を失くしたり、麻痺を持っている選手も参加しています。しかし、ここでも演奏家の場合は事情が異なるのです。それは、楽器のほとんどは脚を使うことがないからで、ヴァイオリンもフルートも演奏に使うのは両手のみです。車いすに乗りながら活躍している演奏家も、たくさんいらっしゃいます。例外として、足でペダルを踏まなくてはならないピアノ、ハープ、オルガンなどもありますが、両手さえあればほとんどの楽器を問題なく演奏できるのです。

音楽によるリハビリ効果

 フランスを代表する作曲家、モーリス・ラヴェルの名作のひとつに『左手のためのピアノ協奏曲』があります。左手だけで演奏する協奏曲ですが、左手の5本の指だけで弾いていることが信じられないくらい、ラヴェルの魔術的な才能が光っている作品です。しかし、この曲はラヴェルが酔狂で作曲したわけではありません。

 当時、パウル・ヴィトゲンシュタインという、オーストリア生まれのピアニストがいました。1913年にデビューをし、順調に活動をしていこうという矢先に、第一次世界大戦が勃発。ヴィトゲンシュタインは戦争に召集され、右手を失ってしまうのです。普通の考え方ならば、これでピアニストの道は完全に断たれるわけで、誰もがそう思ったに違いありません。

 ところが、彼は違いました。「左手で弾ける曲がなければ、作曲家に頼んでつくってもらえばいいじゃないか」と考え、ラヴェルをはじめ、オーストリアのエーリヒ・コルンゴルド、イギリスのベンジャミン・ブリテン、ドイツのパウル・ヒンデミット、ロシアのセルゲイ・プロコフィエフいった当時最高の作曲家に、左手だけで弾くことができる協奏曲の作曲を依頼したのです。そして、彼のもうひとつのすごさは、その鋭い鑑識眼でした。作曲家というのは、生存中は華やかに活躍していたとしても、あっという間に忘れ去られることが実に多いものです。そんななか、彼が選んだ作曲家は、今現在もなお、高い評価を受けている人たちばかりでした。

 彼が作曲家に依頼した左手のための協奏曲は、現在も脳疾患などのさまざまな理由で右手を使うことができなくなったピアニストの主要レパートリーとなっています。日本人では脳出血から復帰された舘野泉さんが有名です。音楽家、特にピアニストは中枢神経系が障害を起こす局所性ジストニアにかかるケースが多くみられますが、一定期間に繰り返し指を動かすことが原因と考えられています。それも、よく動かす右手に障害が出ることが多いのです。左手のための協奏曲は、そんな彼らの活動の場を支えているのです。

 一方で、音楽演奏が脳疾患のリハビリに効果があることも現在、注目されています。治療的楽器演奏というユニークな治療方法で、患者に歌を歌わせたり、楽器を一緒に演奏することで、効果を上げているそうです。

 今、社会問題化している認知症予防にも、楽器演奏は大きな効果があるといわれているのです。

 もちろん音楽を聴かせることも、音楽療法では積極的に行われています。しかし、落ち込んでいる人やうつ病患者に、良かれと思って明るい曲を聴かせて元気づけようとするのは逆効果です。実は、そのような場合には悲しい曲を聴かせるのがよいといわれているのです。

 医療情報源として有名な「コクラン共同計画」の2017年のレビューによると、悲しい音楽は、うつ病患者に少なくとも短期間の効果をもたらしたといい、将来的には音楽療法において悲しい音楽にさらなる焦点を当てることになるだろうと予測しています。

 医学博士でもあった作家の故渡辺淳一さんはコラムの中で、筋肉を傷めた場合、冷やす湿布か温める湿布か、どちらが貼ればいいのかという質問に対し、このように答えていました。

「炎症が起こっているときは冷やしたほうがいいし、回復期には温めたほうがいいとかありますが、簡単に言ってしまえば、患部が気持ち良く感じる湿布を貼ればいいのです」

 音楽も同じで、自分が今、聴きたい曲を聴くのが良いことなのでしょう。
(文=篠崎靖男/指揮者)

●篠﨑靖男
 桐朋学園大学卒業。1993年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで最高位を受賞。その後ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクール第2位受賞。
 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後、英ロンドンに本拠を移してヨーロッパを中心に活躍。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、BBCフィルハーモニック、ボーンマス交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、フィンランド放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団など、各国の主要オーケストラを指揮。
 2007年にフィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者に就任。7年半にわたり意欲的な活動でオーケストラの目覚ましい発展に尽力し、2014年7月に勇退。
 国内でも主要なオーケストラに登場。なかでも2014年9月よりミュージック・アドバイザー、2015年9月から常任指揮者を務めた静岡交響楽団では、2018年3月に退任するまで正統的なスタイルとダイナミックな指揮で観客を魅了、「新しい静響」の発展に大きな足跡を残した。
 現在は、日本はもちろん、世界中で活躍している。ジャパン・アーツ所属
オフィシャル・ホームページ http://www.yasuoshinozaki.com/

場当たり休校要請でひとり親や共働き家庭が生活崩壊! それでも安倍首相は休業補償にふれず「有給を」…国民の実情を平気で無視

 大きな混乱を招いている安倍首相による小中高、特別支援学校への一斉臨時休校要請。休校要請しておきながら、保護者への休業補償を打ち出さなかったことや急すぎる要請によって保護者や学校現場からは悲鳴があがっていたが、これに焦ってか、萩生田光一文科相はきょうになってトーンを弱め、「...

テレ朝『24』リメイク版、放送“できない”危機…「開局60周年記念」が深夜枠?

 人気ドラマシリーズ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』『相棒』、バラエティ番組『ポツンと一軒家』など高視聴率番組が多数ひしめくテレビ朝日。そのテレ朝は昨年1月、世界的に大ヒットした米ドラマ『24』の日本版リメイク『24 Japan』を2020年に放送すると発表したが、その後、正式なアナウンスはされていない。

「『24』といえば、米テロ対策機関のジャック・バウアー捜査官が凶悪なテロ組織に一人で立ち向かうという壮大なアクションドラマ。その日本版となる作品は、テロの標的が女性総理大臣候補で、初の女性首相が誕生するまでの24時間を克明に描くというもの。この世界的ドラマがテレ朝の開局60周年記念ドラマとしてリメイクされるとあって、当初は大きな話題を呼びました。しかし、その発表から1年経つにもかかわらず、キャスティングはおろか放送日程もいまだ伝えられていません」(マスコミ関係者)

 確かにテレ朝の公式サイトを見ても、放送時期やキャスティングに関する情報はまったく更新されていない。一部の週刊誌が「主演のジャック役に唐沢寿明、日本初の女性首相役に天海祐希が内定した」と報じているものの、その後、続報めいたものはない。

「通常であれば、このような大きなプロジェクトは各部署の幹部には日程やキャスティングなどの通知があるのですが、『24 Japan』に関してはそれがまったく降りてこないのです」(テレ朝関係者)

となると、本当に放送されるのかが心配されるが、テレ朝に出入りする芸能事務所関係者は言う。

「テレ朝がこれだけ大々的に発表したので、放送されないということはないようですが、要は『24 Japan』の“放送枠がない”みたいなんです。今年は7~8月に東京五輪がある関係で、各局とも春と秋に人気ドラマを持ってきます。テレ朝でいうと4月期に木村拓哉主演の『BG2』が決まっており、10月期には定番の『相棒』が内定。ほかにも連ドラ枠の調整が難航しているそうで、現在『24 Japan』を放送する時間帯として空いているのが深夜枠だけなのだとか。

 しかし、深夜枠では“開局60周年記念ドラマ”というにはあまりにもショボくなってしまう。しかも放送は24話と2クール、半年にわたって引っ張らなくてはならないわけで、とにかく調整が難航しているそうです。今のところは放送に向けてあらゆる可能性を探っているため、発表ができなくなっているそうなんですよ」

 放送までのドラマを『24』風に伝えたほうが、面白い作品が生まれるかもしれない。

(文=編集部)

公立学校休校、文科省も寝耳に水で大混乱…安倍政権、批判漏らす官僚の犯人捜す“恐怖政治“

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、安倍晋三首相が打ち出した「全国すべての小中学校、高校の臨時休校要請」。衝撃の一夜が明けた東京都霞ヶ関の官庁街では、早朝から赤い目をこすりながら登庁してくる文部科学省職員の姿があった。突如として厚生労働省から文部科学省にまで拡大した“コロナ防衛線”の拡大を受けて泊まり込んだ職員も多いという。みな一様に口は重く「想定を超える拡大方針です。とにかく官邸に聞いてください」「何も言えないことになっている」「現段階では何も言えない。どこで何が決まったのかもわからない」と足早に通り過ぎていく。

 岩盤規制撤廃、官僚主導の政治脱却を目指した現政権。「スピード感のある政策実現」「決められる政治」の結末がこれだ。全国の教育現場で混乱が広がるなか、事態を掌握できていなければいけないはずの文科省ですら、この異常な状況に翻弄されている。

結局、責任と判断は自治体に丸投げ

 萩生田光一文科相は28日朝、閣議後の記者会見で次のように語った。

「この状況を乗り越えるため、この1、2週間は極めて重要な時期だと判断した。臨時休業を実施する期間や形態については地域や学校の実情を踏まえて、設置者においてさまざまな工夫があってよいと考えている。行政機関や民間企業には引き続き、休みがとりやすい環境を整えてもらうとともに、保護者への配慮をお願いしたい。こうした措置に伴って生じるさまざまな課題に対しては政府として責任をもって対応していく」

 こうした発言を与党関係者は次のように解説する。

「つまり、首相は強い言葉で要請はしたが、最終的には自治体の責任で判断してほしい。加えて官邸のいつものロジックからすると、政府は責任をもって対応するが、責任を取るとは言っていないということですね。これは、各都道府県知事や自治体首長から批判が殺到するでしょう。しがらみにとらわれた政治決定プロセスでは、迅速な問題対処ができないかもしれません。それでも、混乱を防ぐための最低限の根回しは必要だったのではないでしょうか。公明党はもちろん自民党内ですら、まともなコンセンサスは取られていません」

緊急事態にもかかわらず“反乱分子”探し

 そんな状況下なのにもかかわらず、官僚や現場公務員への統制だけは強まっているようだ。政府関係者は次のように話す。

「クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』での感染拡大以降、厚労省などの現場職員から『すぐ特定されてしまうので、言えない』とのコメントが増えていると思いませんか?

 マスコミは取材源の秘匿を守るためにそれなりのノウハウを持って取材対象者と接触しているようですが、官邸がやっきになって『S』(スパイ)や『穴』の存在を探っています。機密情報はもちろんのこと、安倍晋三首相や政府対応に批判的な感想や愚痴を漏らすのもアウトです。

 普段でも新聞や雑誌へのリークが確認されるたびに各省内で非公式に情報源探しが行われ、『あいつではないのか』といった噂話が流れますが、現在の状況ははっきりいって異様です。国の一大事ですから関与するのは当たり前なのかもしれませんが、内閣情報調査室が動いているという話もあります。もうコロナに対応する各省の職員は軽々に口を開けません」

 官邸が自己防衛に労力を注ぐ中、感染者が増えている北海道の鈴木直道知事は28日午後5時半、緊急事態宣言を出した。28日から3月19日まで道民に対して不要不急の外出控えるよう呼びかけた。

 日本史上に残る混乱の週末は始まったばかりだ。ゴールはいっこうに見えない。

(文=編集部)

安倍首相、独断で一斉休校要請に批判の嵐「事実上の強要」「科学的根拠なき線引き」

 感染拡大が止まらず、日常生活に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス。安倍晋三首相は全国の小・中・高校に対して“臨時休校”を要請したものの、識者を含めて激しい議論を巻き起こすことになった。

 報道によると、安倍首相は2月27日に「子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点」から、臨時休校を要請すると発表した。特別支援学校も含め、臨時休校期間は“3月2日から春休みに入るまで”だという。

 安倍首相の要請について、千葉市長・熊谷俊人氏は同日更新のツイッターを通して「いくらなんでも…」と苦言を呈し、続けて「医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねません」「学校を一斉休校にして、親が満員電車に乗って仕事をして帰ってきたら意味が無い」などと危険性を訴えた。

“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹氏も同日にブログを更新し、「あまりに突然 しかも 企業や職場の責任者への具体的な保護者サポート策の要請もなかったものですから 学校も保護者も大混乱しているのは当たり前です!」と驚きを隠せない様子。「緊急措置はコロナ封じ込め対策としては極めて的確だと思います」「ただ保護者が休み易い措置をとるように雇い主さんに要請することが大切」といった持論を展開している。

 また、立憲民主党の蓮舫参議院議員は28日、今回の要請に“保育所・学童は原則含まれない”という報道をツイッターで引用し、“働く親に考慮”という理由について「新型肺炎へのリスク対策と言いながらこの科学的根拠なき線引きに驚く」「場当たり的政府の対応はどうなの?」と怒りを露わにした。

 ネット上に寄せられたコメントを見ても、批判的な意見があふれており、

「緊急事態とはいえ本当に急だし、何より一国の首相として対応が遅すぎる」

「まさに、なんでも思いつきで動く安倍政権らしいやり方」

「建前上は個々の判断次第となっているけど、首相のトップダウンなのだから事実上の強要に近い」

「簡単に“要請する”なんて言わないでほしい。基本方針や具体的な対応策は政府内で決まっているの?」

といった反応が上がっている。

 さらに、両親が共働きのケースを踏まえ、臨時休校措置がさらなる感染拡大を引き起こしかねないという指摘も目立つ。「監視の目がなく外へ遊びに出てしまったら、より感染を広めてしまうだけなのでは?」「祖父母に預けたくても、子どもが無症状なだけで実は感染していたらと思うと怖い」などの声が寄せられており、先行き不透明な要請に不安を抱える人の多さが浮き彫りとなった。

 また、今回の決定が安倍首相の“独断”であったことも波紋を呼んでいる。報道によると、休校要請の方針が与党幹部に伝えられたのは公表される直前で、萩生田光一文部科学大臣にも“春休みまで”という期間については知らされていなかったという。

 あまりにも急な一斉休校要請は、今後どのような事態を招くのか。いずれにしても、新型コロナウイルスの問題が一刻も早く収束することを祈りたい。

(文=編集部)

新型コロナウイルスをばらまく日本へ相次ぐ批判 「安全通貨」の地位を失った「日本円」と経済危機

正解のないWEBマガジン~wezzyより】

Bloomberg(Getty Imagesより)

 2月21日の為替市場では、珍しい現象が見られました。新型コロナウイルスの不安で世界の株が売られる中で、日本の円が韓国ウォンとともに売られたのです。

 これまで日本の円は「安全通貨」と認識され、株価が大きく下落したり、世界の市場が不安に襲われたりした場合には真っ先に買われていました。円はいわば「駆け込み寺」のように見られていたのです。このため、市場に不安が大きいほど円が買われ、円高になりました。

 しかし今回の新型コロナウイルスにおいては、従来と様相が異なります。感染の不安が広がり市場が怯える中で、安全資産と見られ、新たな「駆け込み寺」の役割を果たしたのは米国債でした。米国債が買われ、その結果ドルも買われてドル高が進みました。

『女子高生の無駄づかい』コメディ漫画の実写ドラマ化は成功か?視聴率苦戦もハマる人増殖

 このところ、毎年冬は医師や刑事のドラマばかりで重いムードのものが多い。とりわけ今年ほど揃ってしまうと、さすがに視聴者も食傷気味になってしまう。実際、SNSには「もっとカラッとしたドラマが見たい」「何も考えずに笑って見られるものがない」などの声が飛び交っていた。

 その意味で好き嫌いこそハッキリ分かれるものの、笑い、しかも“バカ”に特化することで差別化に成功しているのが『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日系)。「女子高生たちのキラキラとした姿ではなく、ハナクソみたいな現実の日々を描く」という突き抜けたコンセプトは、いい意味で浮いている。

 同作は原作漫画があるほか、昨年アニメも放送・配信され、多くの人々を笑わせてきた人気コンテンツ。しかも「コメディ漫画の実写化は難しい」と言われることもあって、現在でも「イメージと違う」「笑えない」という批判も散見される。

 しかし、「バカバカしいのに、なぜか見てしまう」「時々、声を出して笑っている自分に気づく」などの声がジワジワと増えているのも事実。ここでは、視聴者がハマっているポイントに焦点を当てつつ、コメディ漫画の実写化についても掘り下げていく。

開始6分で3つ目のエピソードに突入

 2月21日に放送された第5話の冒頭シーンは校門。朝の“あいさつ運動”で生徒との交流を図ろうとしている教頭(大倉孝二)の後ろで、ヒロインの“バカ”こと田中望(岡田結実)が反復横跳びをしながら登校中の生徒にあいさつをしていた。

 どうやら、「あいさつをしながら本当の運動もしている(つまり、あいさつ運動)」ということらしい。それを見た教頭は怒るのではなく、負けじと縄跳びをしながらあいさつをするが、“バカ”は腕につけていた重りを外し、スピードアップして圧倒した。

 直後、教室のシーンに変わり、画面右下に「むだげ」というタイトルが表示される。“バカ”は突然、“ヲタ”こと菊池茜(恒松祐里)と“ロボ”こと鷺宮しおり(中村ゆりか)に「ウチ、毛深くなりたい」と宣言。「毛は身を守るために生えているから、心臓を守るために胸毛をボーボーに生やしたい」らしい。

“ヲタ”が「女性は胸の脂肪がクッションになるからいらない」と言うと、“バカ”は「クッションの役割を果たせていない女もいるでしょうが!(自分の胸を指しながら)ココに!」と怒り、「もうダメだ。ウチの体は心臓を守る気がサラサラないんだ……」と落ち込んだ。

 さらに舞台は保健室に変わり、画面右下に「なやみ」というタイトルが表示され、“ヤマイ”こと山本美波(福地桃子)が登場。ここまで放送開始からわずか6分程度であるにもかかわらず、3つ目のエピソードに入るハイテンポが当作の売りとなっている。

 そのハイテンポが意味するものは、欲張って爆笑を狙うのではなく、「ウケなかったら次のネタをどうぞ」という切り替えの速さであり、ハードルの低さと言えるかもしれない。「スベっても、まあいいか」というゆるいムードが常にあるのだ。当作が醸し出す不思議な世界観は、そんなハイテンポとゆるいムードという真逆の要素を両立させたからだろう。

 その後も、「かこ」「ちゅうさい」「連続ドラマ内小説『ロボっこ』」「ゆうじょう」などの細切れのテーマを次々に放送。メインのストーリーがなく、女子校の日常を描いた各シーンをつないでいくだけだから、頭と体をゆっくり休めたい金曜夜のイージーウォッチングにフィットする。

回を追うごとにかわいらしく見える理由

 当作最大の魅力は、極端なキャラクターの女子高生たち。

 すがすがしいほどのバカで問題児の“バカ”、漫画家志望だが才能が壊滅的な腐女子“ヲタ”、天才だが感情が死滅した“ロボ”、全身に包帯や絆創膏を巻いた中二病の“ヤマイ”、どんなことも真に受け止めてしまう“マジメ”、見た目の幼さを気にして必死に虚勢を張る“ロリ”、人見知りのコミュ障でオカルト好きな“マジョ”、スタイル抜群だがオスアレルギーを持つ“リリィ”。

 極端なキャラクターばかりであるにもかかわらず視聴者に受け入れられているのは、彼女たちが流行に敏感な「キラキラ女子高生」ではなく「意識低い系女子高生」だからだろう。それどころか、女子高生としての青春をいたずらに消費していく彼女たちが、回を追うごとにかわいらしく見えてくる。

 もちろん、主演の岡田結実を筆頭に、恒松祐里、中村ゆりか、福地桃子、浅川梨奈、畑芽育、井本彩花、小林由依ら「次世代のブレイク女優候補が揃っているから」とも言えるが、お世辞にも彼女たちの演技はうまいとは言えず発展途上の段階。

 実際、「学芸会」なんてヤジも見かけるが、当作はうまい女優が演じるほど「笑わせてやろう」「この笑いをどうぞ」という鼻につくものになりかねない。その点、演技が発展途上であり、名前と顔すらあまり知られていない若手女優たちだから、極端なキャラクターを演じても鼻につかないのではないか。

 そんな若手女優たちを動かす新進気鋭のクリエイターこそが、当作最大の強みだ。田辺茂範(劇団 ロリータ男爵)、矢島弘一(劇団 東京マハロ)、角田貴志(劇団 ヨーロッパ企画)、山田由梨(劇団 贅沢貧乏)、安藤奎(劇団 アンパサンド)、玉田真也(劇団 玉田企画)が週替わりで手がける脚本は、舞台巧者らしい会話劇の楽しさを感じさせてくれる。脚本家にしてみれば、「ブレイク前の若手女優だから、思い切った笑いを仕掛けやすい」という面もあるだろう。

コメディ漫画の実写化が難しい理由

 当作の視聴率が芳しくないように、コメディ漫画の実写化は難しく、人々の笑いのツボにハマる確率は50%もないのかもしれない。紙やディスプレイに描かれたものは別次元の人間がすることだから笑いやすいのであって、生身の人間が演じることで現実感が出て、一気に醒めてしまうからだ。

 また、どんなに才能のある俳優でも、若くしてコメディセンスに恵まれた人は少なく、「舞台経験を積みながら培っていく」という形がスタンダード。つまり、当作はコメディ漫画の実写化である上に、メインの女子高生たちを若手女優が演じるという二重のハードルがあった。そこに挑戦しただけでも、胸を張っていい作品だろう。

 オムニバスのような作風だけに、今から見始めても遅くない。ハマるか、ハマらないかは、あなた次第。その意味では、「コメディ漫画の実写化が好きか嫌いか」を判別するリトマス試験紙的な作品とも言える。

(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

異端の“中卒”作家・沖田臥竜が15年かけて世に問う純愛小説『忘れな草』とは?

当サイトでは、山口組分裂騒動に関するレポートや犯罪分析など、社会派の書き手として活躍する作家・沖田臥竜氏。だが、同氏の物書きとしての出発点は「見知らぬ人を涙させる小説が書きたい」という想いにあったという。そんな想いを載せた小説が15年間の執筆期間を経て上梓されるにあたり、沖田氏本人が、今日までの道程をエッセイとして寄せた――。

『鉄道員』に受けた衝撃

 学生時代を振り返ってみても、哀しくなるくらい勉強というものをしたことがない。そもそも、学生時代と偉そうなことを書いているが、中卒だから、たった9年間しかない。その短い期間すら、宿題なるものに触れた覚えがまったくない。決して宿題がない学校ではなかったのに、それらに向き合う気さえなかったのだ。

 そのくせ、小学校1年生から、姉と一緒に塾に通わされていた。だが、そこでも勉強を教わった記憶がない。

 「お母さんが先生にお金を払ってるんやろう!だったら、怖い話してや!」
 「今なんて言うた !?」
 「うるさい! ばばあ! お金もらっといて、怖い話もできんのか!」
 「なんて! 誰に、ばばあなんて言ってるの!」

 鬼の形相で睨みつけてくる女性講師に、泣きながら踊りかかっていった記憶くらいしかない。

 学校でも塾でもノートにマンガばかりを書いていた。プロ野球選手になるものとばかり思っていたので、読み書きと、後は足し算引き算、かけ算割り算さえできていれば、なんとか社会で生きていけると考えていたように思う。そんな考えだから、おかげさんでろくな大人にならなかった……。

 ただ小さな頃から、作文だけは、褒められるというよりも、先生にびっくりはされていた。

 「これ、本当にあなたが1人で書いたの? お母さんかお姉ちゃんに手伝ってもらってない?」

 ばあちゃんが亡くなった時の思いを描いた作文は、学校に貼り出されたこともあった。はっきりと自覚したことはないが、物を書くのが嫌いではなかったと思う。好きと言うよりも、物を書いていると時間を忘れ、退屈な授業をやり過ごすことができると考えていたといったほうが適切だろう。

 作家になろうとはっきりと意識したのは、今から19年前の25歳の時だった。二十歳過ぎから読書を覚えたのだが、そこで出会ったのが浅田次郎著『鉄道員(ぽっぽや)』であった。それは衝撃的な出会いでもあった。文字だけで、読み手の脳裏へと入り込み、さまざまな場面を想像させて、挙げ句の果てには、泣かせて見せてくるのである。涙を流させるのである。

 早くに父親を亡くした私は、どんなことがあっても男は涙を流してはいけないと心に決めて生きていた。そんな決意すらも太刀打ちできずに、涙が止まらなかったのだ。

 それも、ノンフィクションならまだわかる。実在した登場人物に感情を移入させるのは、そこまで難しいことではない。だが小説は違う。完全な創作の世界だ。ひとりの書き手の頭の中で作り上げた物語で、泣かせにくるのである。そこに私はいたく感動させられてしまったのだ。そして誓った。自分も、ペンを武器に世に出てやろうと。

 当時のレベルは、多分人よりも作文がうまい程度だったと思う。それだけで勉強なんて全くしてこなかった。

 「オレは、作家になるねん!」

 そう周囲に宣言してみても、鼻で笑われるだけであった。誰ひとり本気にしていなかった。ただ自分自身だけは、ようやく夢を見つけることができた気がしていた。とにかくそこから、書く、読む、写すを延々と7年間繰り返すことになった。それが私の基礎になっていくのだが、書くことがしんどくて辛い時には、何度も挫けそうになりもした。

――そんなことをしてもムダムダ。やめとけ、やめとけ――

  隙を見ては、そんな感情が鎌首を擡(もた)げてくるのである。それでも、諦めたりはしなかった。それまでの人生は、途中で投げ出し、何度も諦めてきた結果がその時の現実であった。努力といっさい無縁だったのだ。一度くらい本気で努力してみてもいいのではないかと考え続けていた。

 どうしても、書くのが辛くて苦しい時には、ただひたすら空想していた。いつか自分が書いた小説が書店に並び、映画化されて、見ず知らずの人たちが、本を読んで、映画を観て、涙を流すシーンだけを想像して、自らを奮い立たせた。

 その時のイメージの中にあった小説が、まもなく発売される小説『忘れな草』となる。

ヤクザが主人公のピカレスク・ロマン

 これまで何千冊と小説を読んできた中で、やはり文芸の王道となるテーマは、出会いと別れの恋愛。そして、究極は生と死。

 『忘れな草』は、この2つのテーマをとり入れたのだが、これまでの名作と呼ばれる恋愛小説にはどう考えても太刀打ちできないし、世の藻屑へと埋もれてしまうだろう。そこで考えたのが、主人公をヤクザとした、リアルな恋愛小説。その上で、小説だからこそ描ききることのできる、ピカレスクな世界を取り入れた。

 29歳の時に書き始めた小説なので、かれこれ15年の付き合いになる。この間、何度も何度も書き直している間に、1カ月や3カ月で書き上げた本、半年かけた本、10年かけた小説などが、私の元を飛びたっていった。一方で、気がつけば、『忘れな草』を読み直しては、書き直すという作業に戻っていたのである。

 そんな物書きとしての原点であり、ライフワークだった『忘れな草』がついに出版される。やれることをやろうと心に決めた。なんせ、15年も付き合ってきた小説なのだ。上梓させて、漠然と呑気に売れるのを待っているだけというわけにはいかない。そんなことで売れるほど、今の出版業界は甘くない。

 自分の足を使い、書店回りの営業から『忘れな草』が遠い存在になるまで、やれることはやろうと思っている。心許ない小説かもしれない。だけど、ずっと夢みてきたシーンをこの小説で叶えてやりたい。

 劇場で、主題歌が流れ、まったく知らない人たちが涙を流す。

 すまぬ。バカ売れして、家が建つかもしれんな(笑)。

 『忘れな草』の発売に関して、出版社や担当編集者、デザイナー、校閲者などの方々に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。

 結局、作家みたいなものは、こういう裏方の方々がいてくれて成り立つ商売である。たまたまクレジットに代表的な立場みたいに作家名が出るだけで、異なる持ち場にいるそれぞれの人たちが一生懸命やってくれるからこそ、時に輝ける瞬間があるのだ。作家だからと言うよりも、人として、そういった裏方の方々のことを忘れてはならないと思っている。

 そして、『忘れな草』が出たからと、一段落している場合ではない。年内にあと3冊は出す。まだまだ走り続けることになりそうだ。
(文=沖田臥竜/作家)

『忘れな草』刊行記念 シークレットイベント開催!

『忘れな草』の発売を記念して、限定30名のシークレットイベントを開催します。沖田氏が東京でイベントを行うのは初めて。一般人とは異なる視点から社会や芸能界を見続けて、圧倒的な情報網から各メディアで情報発信してきた著者ならではの、過激かつ裏情報満載の濃密トークが展開される120分です。
【詳細、申込はこちらまで→サイゾー・ブックストア

 

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が3月中旬発売予定。