セブンイレブン、加盟店が反乱…本部は契約解除強行で“強権的鎮圧”、法的措置も併用

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の大黒柱、コンビニエンスストアのセブン-イレブン・ジャパンが揺れている。セブンは、本部の同意を得ずに営業時間の短縮を続けていた大阪府東大阪市のフランチャイズチェーン(FC)加盟店オーナー、松本実敏氏との加盟店契約を、19年12月31日付で解除した。接客での苦情などを理由にしている。松本氏に貸し出している土地や店舗を明け渡すよう要求。応じない場合は法的措置をとる。松本氏は店の明け渡しを拒否し、地位確認を求めて提訴することを検討している。

 本部からの商品の納入はなくなり、当面は残った商品を売りつつ、独自に商品を仕入れることも検討。レジなどのシステムは使えなくなるが、自前のものを用意して対応。先月31日と元日は休業し、営業を1月2日から始めた。

 コンビニの「脱24時間営業」の流れをつくった東大阪南上小阪店の店主とセブン本部の対立は法廷闘争に移る。松本氏は報道陣に「法的に決着するまで石にかじりついてでも独自の営業を続けたい」とコメントした。

 セブンによる「もの言うオーナー」の口封じ、という厳しい意見も出ている。松本氏は昨年、人手不足を理由に営業時間の短縮を強行し、コンビニの24時間営業というビジネスモデルにノーを突きつけた。全国に約5万8000店あるコンビニ加盟店では、人手不足を背景に24時間営業の限界が表面化。セブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社は対応を迫られている。

 大手コンビニのFC契約では、人件費は加盟店側の負担だ。人件費の高騰で、深夜もアルバイトに頼らずオーナーが働いている店が増えている。加盟店オーナーの劣悪な労働環境にスポットライトが当たり、コンビニの24時間営業は社会問題になった。セブン本部は深夜営業のガイドラインを新たに制定し、昨年11月からは一部店舗が深夜の休業を始めた。

 昨年4月、親会社のセブン&アイHDの井阪隆一社長は、セブンの古屋一樹社長を更迭、永松文彦氏を社長に据えた。永松社長は松本氏との関係清算という道を選び、契約解除を通告した。営業時間短縮は本部主導で行い、“加盟店の反乱”は強権をもって鎮圧すると宣言したが、決着までには時間がかかるとみる法曹関係者が多い。

失態相次ぐ

 昨年は「キャッシュレス元年」と呼ぶべき年だった。19年10月の消費増税に伴うポイント還元が起爆剤になった。主戦場はQRコード決済だ。ソフトバンクグループ傘下でスマホ決済のPay Payは後発組だったが、大規模な還元キャンペーンで知名度を上げ、人海戦術をとる。数千人規模の営業スタッフを動員、中小・零細店を開拓し創業1年で登録者数は2000万人に達した。LINEのLINE Pay(3600万人)に次いで第2位のシェアを確保した。

 11月、ヤフーを傘下にもつZホールディングスとLINEが経営統合を発表した。Pay PayとLINE Payを傘下にもつ両社の統合により、スマホの決済登録者数は5600万人と圧倒的なシェアを握る。

 キャッシュレス顧客の争奪戦でセブン&アイHDは決定的に出遅れた。7月に始めた「7(セブン)Pay」はサービス開始直後から不正利用が相次ぎ、3カ月でサービス停止に追い込まれた。7Payの社長が「二段階認証」を知らず、記者会見でしどろもどろになるという醜態をさらした。

 11月には、セブン加盟店支援担当の本部社員がオーナーに無断でおでん具材を発注していたことが明らかになり、12月にはパートやアルバイトなど店舗で働く従業員の残業未払が発覚した。記録が残っているだけで約3万人、約4億9000万円の未払いが発生していた。2001年に労働基準監督署から未払いを指摘されていたのに、当時はこの事実を公表していなかった上に対応しなかった。セブン&アイHD元会長の鈴木敏文氏はこうした事実を認識していなかったと証言しており、事態の経緯も不明だという。

社是「誠実でありたい」は空文化

 セブン&アイHDの「会社案内」の巻頭には、井阪社長の「セブン&アイグループは流通サービスのリーディングカンパニーとして、豊かで心躍る明日を築くイノベーションにチャレンジしています」という「ごあいさつ」とともに、グループの社是を載せている。

「私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。

私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい。

私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい。」

 本部社員がオーナーに無断で発注することは、オーナーシップの否定につながりかねない。営業体制の見直しではファミマやローソンが先行し、セブンは後手に回る。セブンの本音は24時間営業の継続なのではないか。セブン&アイHDは鈴木元会長の時代から中央集権的な経営体質であり、過去の成功体験に縛られているとの指摘もある。課題が山積しているなか、社是の「誠実でありたい」に立ち戻って再出発する必要があるのかもしれない。

(文=編集部)

チームの力って、なんだ?

フジテレビの敏腕プロデューサーとして名高い黒木さんと、電通でチーフ・ソリューション・ディレクターを務める北風さん。異なるようで近しいフィールドで活躍するお2人の対談では、同世代ならではの鋭い視点や葛藤も浮き彫りに! テレビや広告のミライは、“狭間の世代”にかかっているのかも…。お二人の日々の奮闘の様子や熱い思いがあふれる対談を全5回のシリーズでお送りする本企画。

第2回のテーマは、「チームの力って、なんだ?」です。

全員が盛り上がって生まれるモノ

北風:黒木さんご自身はどういう番組に引かれますか?

黒木:番組の出演者の皆さんはもちろん、スタッフやマネージャーさんまで含めて盛り上がっている番組は、魅力的で強いです。「流行ってて活気があるお店」のイメージです。逆に、キャストやスタッフとのストーリーが持てない番組は、視聴者とのストーリーも持ちづらくて。

北風さんがやっていらしたプロジェクトも、たくさんのスタッフの方がいる、ある種の“集団芸”ですよね。テレビも同じで結構人数が多いです。どんな企画だったら面白いのかはそのチームのメンバーの反応で分かるので、そこを大事に考えています。もちろんスターが1人で引っ張っていく番組もありますが、ディレクターが何人かいて、みんなでやっている感じになると、うまく回っていきますね。

黒木彰一氏(フジテレビ)
黒木彰一氏(フジテレビ)

このことはいわゆる「内輪ノリになること」とはちょっと違うことで。「内輪ノリ」というのは一つの手法でしかないんです。いまはあまり好まれなくなっている手法ですが。もちろん、僕自身は80年代に「オレたちひょうきん族」でスタッフが画面に出ちゃうようなノリが当時は強烈にカッコ良かったし、もしかしたら僕自身もフジテレビもそういう時代を忘れられないのかもしれないです。それはそれとして、「チームのノリの出し方」は時代によって当然かわりますし、今は今の手法があります。若手の制作者たちはこれから自分たちがどうやってゆくのか当然、考えています。実はこれは楽しみにしているところでもあります。

北風:でも、「中で盛り上がっていないのに外をどうやって盛り上げるの?」というのは絶対にあると思います。クリエイティブでも同じなんです。どのプロジェクトでもスターは1人くらい必要ですが、コピーを考えてくれるスターが必要なときもあれば、全体の仕組みを考えてくれるスターが必要な場合もあって、ケース・バイ・ケースです。いつも特定のスターを置くのではなく、その時々に必要なスターを見つけてきて、一緒にやってほしいとお願いするのが私の仕事の醍醐味ですね。

黒木:なるほど、よく分かります。

北風祐子氏(電通)
北風祐子氏(電通)

北風:いまどきの広告プランニングというと、「全領域ができるスーパースターになれ」と求められがちですが、それは無理です。自分に欠けているものをよく理解して、それが分かっているからこそ、自分にできないところを誰かにお願いして気持ちよくやってもらえるよう、私も自分自身の領域を全力でがんばっています。そうやってチームができていくと、みんなで「いくぞ!」となるのがすごく楽しくて、それがおもしろくてずっとこの仕事を続けている感じですね。なので、スターはいるけどスタッフやメンバーが全員で盛り上がって、家族みたいな雰囲気で一体となったときに初めてモノを創れるみたいなところが、黒木さんの番組作りとすごく似ているなと思いました。

だから、チームの中でうまくいっていない人や面白くなさそうにしている人がいないように気をつけています。ケンカしてもいいから、黙っているよりは、みんな言いたいことを言え!と伝えていますね。その方が、企画がどんどん良くなっていくんですよ。

この対談の出典は、こちら

黒木彰一氏(フジテレビ)と北風祐子氏(電通)

編集部の視点 #02

クリエイターの大先輩の金言に「雄弁は、銀。沈黙は、金メッキ」というものがある。大人の事情や忖度を重んじる世界では、沈黙こそが最も価値のあるものなのかもしれない。しかしながら、クリエイティブの世界では、そんなものにつゆほどの価値もない。「これ、面白くない? 面白いでしょ?」というメッセージを、周りにいる仲間に発信し続ける。「あれ、つまらなくない? つまらないよね」という発言だって、ありだ。上も、下もない。経験の深さ、浅さも関係ない。ただ、世の中に響いて、世の中から愛されるコンテンツを作りたい。思いは、そこにしかないのだから。「おまえは、バカか?」「相変わらず、センスねえな」と否定されたっていい。否定されるからこそ、議論が始まる。こなくそ!というチャレンジ魂が、メラメラと沸き起こる。その思いは、チームを鼓舞し、電波に乗っかり、最終的にはテレビ画面を通して世の中に伝わる。必ず、伝わる。そんな、お二人の熱い思いが伝わってくる回だった。

「テレビのハザマで、テレビを語る」3回目となる次回は、いよいよ本対談の核心ともいうべき「テレビ史の“ハザマ世代”論」について語っていただきます。

安倍首相が年頭記者会見でIR汚職をスルー、米国、イランの名も口にせず、自衛隊の中東派遣強行だけは明言!

 政治をめぐって怒涛の幕開けとなった2020年。元旦にはIR汚職で新たに岩屋毅・前防衛相など自民党と日本維新の会の議員に中国企業から現金が渡っていたという疑惑が浮上。さらにトランプ大統領の指令で米軍がイランのソレイマニ司令官を殺害するという事実上の“宣戦布告”を実行。日本政...

浜崎あゆみ出産、父親はバックダンサーとの情報…燻るエイベックスの“ビジネス臭”

“平成の歌姫”こと浜崎あゆみが、昨年末に第1子となる男児を出産していたことを発表した。結婚はしておらず、子どもの父親は非公表のうえ、大みそかには例年通りカウントダウンライブも行ったばかりだっただけに、ファンならずとも多くの人々を驚かせた。それだけに発表直後からインターネット上では、子どもの父親が誰なのか、さまざまな名前が取り沙汰されている。

「昨年泥酔状態で女性を殴った暴行容疑で逮捕された元AAAリーダーの浦田直也や、浜崎の元恋人でエイベックス会長の松浦勝人氏、昨年浜崎との熱愛が報じられたバックダンサーのX氏の名前などが挙げられていますが、やはり父親は昨年5月以降たびたび浜崎とのツーショットが目撃されてきたX氏だというのが、業界内での一致した見方です」(週刊誌記者)

 一方、「今回の結婚の背後には強い“ビジネス臭”を感じる」(音楽業界関係者)という声も聞こえてくる。

「エイベックスは、ドル箱アーティストだった安室奈美恵さんが2018年に引退し、浜崎や倖田來未などの看板アーティストも以前ほどは稼げなくなり、音楽というジャンルにとらわれず新たなビジネスを模索している状況です。そんななか、2020年を“あゆイヤー”にすべく松浦会長が動き出した。昨年8月には浜崎の自伝的小説『M 愛すべき人がいて』(小松成美/幻冬舎)が出版され、かつて浜崎と松浦会長が交際していたことまで明かすなど、衝撃的な内容満載で話題づくりに貢献しました」

 そして今月2日には、浜崎の出産発表直後というタイミングで、松浦会長が16年に離婚していたことが公になった。テレビ局関係者はいう。

「最近のエイベックスは、昨年11月に麻薬取締法違反の容疑で逮捕された沢尻エリカに力を入れていましたが、もともとは音楽の会社。もう一度、エイベックスを牽引してきた浜崎に、花を咲かせたかったようですね。自伝的小説の出版やドラマ化も、浜崎の妊娠がわかったあとで、すべて計画して進められたことじゃないかといわれています」

 実際に『M』の著者・小松氏は昨年9月、SNS上で「今朝早く、幻冬舎から連絡があり、『M』のテレビ朝日での連続ドラマ化が正式に決定しました。2020年4月から、土曜日の23時15分~24時05分の枠で連続ドラマとして放映されるそうです」とかなり具体的に報告し、ヒロインについて「一番、名前があがっているのは、沢尻エリカさん、でしょうか」とまで明かしていた。

「そもそも沢尻は今年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』に出演予定だったものの、それでもなんとかスケジュール調整次第ではと、候補に入っていました。しかし、沢尻逮捕を受けて、ドラマ化の話はなくなる可能性も出ているようです。

 もっとも、もしドラマ化の話が進んだとしても、問題は誰があゆ役を務めるかでしょう。今エイベックスが力を入れる若手女優となれば飯豊まりえあたりが順当かもしれませんが、果たして飯豊があゆを演じられるのか。エイベックス所属の女優から選ぶとなると、現実的にはかなり厳しいでしょう」(前出と別のテレビ局関係者)

 受難続きのエイベックス。母になった“歌姫あゆ”を再び輝かせてくれることに期待したい。

(文=編集部)

イオン、接客時のマスク“禁止”通達、社内から「前近代的」と批判&呆れ声噴出…感染の危険

 店員の「接客時のマスク」は、買い物に行く客にとって望ましいのか否か。イオンは2019年12月中旬、客からの「接客時に(マスクを着けていると)声が聞こえづらい」といった声などを踏まえ、グループ各社に接客時のマスク着用を原則禁止する方針をEメールなどで伝達した。ところが、従業員らはインターネット上の掲示板やTwitter上で以下のように反発した。

「受験を控えた子どもがいるのに、自分が風邪やインフルエンザになったらどうするのか。従業員の安全衛生の観点から適切なのか」

「子供を持つ親として、せめてもの予防もさせてもらえない職場に不信感しかありません」

「売り場は乾燥していて、咳やくしゃみをしている子どもも多い。手洗いうがいのみで健康管理をするのは無理だ」

「円滑なコミュニケーションを阻害」

 マスク禁止通達のEメールもネット上に拡散され、イオンの措置に対して賛否両論の意見が噴出した。通達文には次のように書かれていた。

「接客時におけるマスク着用は、顔の半分を覆い隠してしまうため、お客様にとって表情がわかりにくく声も聞こえづらくなるため、お客さまとの円滑なコミュニケーションの妨げになります。また、風邪や体調不良のイメージを持たれ、不安を抱かれる場合があります」

 通達には風邪や花粉症などの場合は上長の許可があれば認めるなど例外規定もある。しかし、基本的に「マスク着用は上長の許可制」という意味にとれる。イオンIR広報部に通達の事実関係と社としての見解を聞いたところ、次のような回答があった。

「一部報道であるように『着用禁止』にはしていません。食品の調理担当者などは、食品衛生法の観点からマスクの着用は義務です。今回の通達では例外規定もあり、基本的に上長と相談して頂ければ誰でもマスク着用は可能です。これまで、お客様から従業員の接遇や礼儀に関するご指摘があり、弊社としてマスク着用のしっかりとしたガイドラインが存在していなかったため、今回、公式見解を作成しただけです」

古株幹部社員の理想論

 だが、こうしたイオンの反論に対しても、再び批判が殺到。現在も議論は収まっていない。接客業のマスク着用の是非をめぐる論争は、これまでも幾度となくなされてきた。例えば、昨年3月ごろには大手ドラッグストア、2014年ごろにはコンビニ大手で「マスク着用禁止」が話題になっていた。なぜ、日本企業は接客担当者のマスク着用を嫌がるのか。イオンの30代社員は次のように話す。

「ジャスコ時代から勤務しているイオンの幹部社員は『昭和の百貨店的な接客至上主義者』です。『接客業に携わるなら風邪などひくな』『お客様を最高の笑顔でお迎えしろ』という前時代的な売り場の理想像があるのでしょう。他の企業の接客担当者と飲みに行ったりするたびに、こうした幹部社員の存在について『困ったものだ』と話しています。

 お年寄りなどから、確かにマスク着用時の声が小さいといったクレームが寄せられたことはあったようですが、要はそれを会社としてどう受け止めたのかという話です。誰かが必要以上に、その意見をピックアップした感は否めません。

 そもそもそうしたクレームに対しては『マスク着用時は大きな声を出しましょう』で良いと思いませんか? それに、うちは銀座三越でも、日本橋高島屋でもありません。誰でも気軽に来られる店だからこそ、老若男女いろいろなお客様がいらっしゃいます。体調の優れない方、お体の不自由な方、お子さん連れの方も多く、私たちからお客様に風邪をうつしてしまわないか気が気ではありません」

「咳エチケット」守ることが重要

 職場の衛生管理、そしてお客への感染予防などの観点から、接客担当者のマスク着用をどのように考えればいいのか。日本医師会認定産業医・内科医の星野優氏は次のように解説する。

「接客業の場合、不特定多数のお客を相手にするため、インフルエンザなどが流行する時期では非常に感染リスクが高いといえます。日本の風習上、接客時にマスクをしていることは失礼に当たるという風習があり、今回の措置もそのような風習に沿ったものだと考えます。

 たしかに、通常のマスクでは、インフルエンザウイルスなどを完全に防御することはできませんが、従業員自らが咳などしている場合、お客に飛沫感染、飛沫核感染してしまうリスクも高いため、近年『咳エチケット』と言われる通り、せめて咳をしている場合だけでもマスクをしたほうがお客としても良いのではないかと考えます。

 食品衛生法では、調理場などではマスクや帽子を適切に装着するよう定められております。さすがに鮮魚や肉類の売り場で作業する方はマスクをすると思いますが、もしそういったバックヤードで調理、食品加工の作業する方にもマスク装着を禁止するようであれば法令遵守の点では問題と考えられます」

 企業の社会責任が強く問われる時代だ。建前や理想論で、従業員やお客の健康が守られるのならいいのだが、商慣習も時代に合わせて変えていく必要があるのかもしれない。

(文=編集部)

 

ゴーン海外逃亡、空港の保安検査“穴だらけ”の呆れた実態…過酷な労働環境で職員疲弊

 空前の逃亡劇に世界中の注目が集まっている。前日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡した事件。年末から年明けにかけて、どのようにゴーン被告が逃亡したのか、その手法についてさまざまな報道がなされた。産経新聞インターネット版は5日、「関空、荷物エックス線検査せず ゴーン被告逃亡」と報道。「被告が出国に使ったとみられるプライベートジェット機に持ち込まれた荷物が、関西国際空港でエックス線検査を受けていないことが5日、関係者への取材で分かった」としている。出国した空港は関西国際空港だが、ここで疑問なのが、なぜ空港の保安検査員はゴーン被告の逃亡を見逃してしまったのかという点だ。

「成田空港、保安検査員大量離職」

 今から3年前の2017年2月9日、テレビ番組『NHK首都圏ネットワーク』で放送された「成田空港の保安検査員 大量離職の背景は」と題した特集で、離職者が相次ぐ空港の保安検査現場の厳しい環境が報道されていた。

 番組では保安検査職員に密着。不規則な勤務に月給が手取り15万円であることなど、厳しい労働環境を伝えている。昇給など労働条件の改善が難しい業界特有の事情を解説している。

 出入国時の荷物検査など、保安検査は国が行うものではなく、各航空会社の責任で行うことが航空法86条で定められている。航空会社には保安検査を行うノウハウや人員はないので、警備会社に委託することになる。そして、保安検査場は各航空会社が共同で使っているため、複数の航空会社が委託料を分割負担して支払うシステムになっている。仮に、警備会社が検査員の給料を上げるために委託料の値上げを打診しても、委託しているすべての航空会社の同意を得なければならない仕組みになっているという。

疲弊する保安検査場

 成田空港などの保安検査を請け負う警備会社大手セノンの元社員は次のように語る。

「今回のゴーン被告の逃亡事件の報道を見て、ああ、ついにやってしまったなと思いました。昨年は伊丹空港などで、保安検査のミスで、乗客がカッターナイフを機内に持ち込んでしまった事件が話題になりました。訪日外国人の急増、格安航空会社の増加などで、成田のみならず各国際空港は人員不足で、保安検査場は正直疲弊しきっています。うちの会社は元自衛官が在籍し、タフで注意深い職員も多いですがそれでもキツイ仕事です。

 一部報道では、ゴーン被告はアンプやスピーカーなど音響機器用の機材箱に隠れていたという指摘があるようですが、正直、エックス線検査機に入らない箱なら、もはや検査場はお手上げです。注意深い検査員なら、箱を開けて中身を確認したかもしれませんが、相当重量があるものでしょうし、中身を外に出して確認というわけにはいかないでしょう。

 開けてもそれらしい機器が見られれば、OKを出すでしょう。入国時であれば、細心の注意を払うかもしれませんが、出国となると話は別です。日本は比較的厳しいほうですが、米国などでも『出ていく者(物)は追わず』という不文律があり、やはり甘くなりがちです。いずれにせよ、東京五輪前になんらかの対策が必要になるでしょうね」

 今回の手口が、他国の情報機関や犯罪組織が物や人を運ぶ際に使われていた可能性もある。また逃亡の足跡にも気になる点は多い。ゴーン被告は自宅から出て、どこで問題の「箱」に入ったのか。空港で入ったとは考えにくく、どこかで偽装工作をしたうえで逃亡した可能性が高い。いずれにせよ、世紀の逃亡劇の波紋は当面収まりそうにない。

(文=編集部)

 

お正月太りをラクに解消する「間食ダイエット法」…間食してヤセる食品リスト

 日本人にとって最大のイベントであるお正月が終わりました。お正月は、食生活のリズムが普段と異なる結果、体重が増えてしまうもの。毎年この時期になるとダイエットを始める方も多いのではないでしょうか。

 お正月の食生活スタイルをみていきましょう。まず、1日中、何かを食べ続けたり、飲み続けたり、しかも就寝間際まで飲食していたり不規則な食生活を送ることが多いです。次に、食事の内容が、おしるこ、お雑煮、焼きもち、お蕎麦、おせち料理、お酒、お菓子と糖質が高いものを食べることが多く、栄養バランスに偏りがみられがちです。

 3つめは、暖かい部屋でテレビなどをみて過ごし、体を動かす時間が減ることにより、エネルギー消費量が普段以上に少なくなります。4つめは、起床時間や就寝時間が不規則となり、体のリズムが乱れることがあります。

 このように、食べ過ぎ飲みすぎ、偏った食事、そして運動不足、生体リズムの乱れから体重が増えるのです。逆に考えれば、この4つに注意をして食生活を送れば、体重の増加を防ぐことができるともいえます。

 お正月明け、いつもの生活に戻れば自然に減量できる人もいますが、一度ついたダラダラ食い、食べ過ぎや飲みすぎの習慣を修正するのは大変なことであり、それらが原因でなかなか体重が減らず、増加の一途をたどる人が多いのも事実です。自由奔放に食べていたお正月と打って変わり、ダイエットのために食欲を我慢し食事量を抑えることは、本当に至難の業です。

 まず、ダイエットを始めるにあたり、間食をやめる人が多いでしょう。さらに食事量も減らし、強い空腹を我慢して減量を試みる――。

 よくある失敗例として、食欲を我慢の末、我慢しきれず爆発してドカ食い、まもなくリバウンドという一途をたどるケースがあげられます。また、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間が長くなってしまう場合、朝食や昼食を抜いた場合も同様です。長い空腹状態を我慢してからの食事は、食べ過ぎを招くのではないでしょうか。長い空腹時間のあとに摂る食事は、血糖値の乱高下により体脂肪が蓄えられやすくなります。

フルーツや牛乳・乳製品を食べる

 そこで、私はむしろ間食を上手にとりいれて食欲をコントロールし、食事での食べ過ぎを防ぐという減量を試みてほしいと思います。ダイエットしたい人は、間食をしてください。必要以上に食べ過ぎなくてすむばかりでなく、食べる回数を増やすことで体の熱産生が高まり、代謝量アップ効果も期待できます。

 とはいっても、お菓子をだらだら食べることはお勧めできません。また、何を食べてもよいわけではありません。まず、フルーツや牛乳・乳製品を食べてください。これらの食品は、ビタミンCやカルシウムなど意識して摂らないと不足しがちな栄養素の供給源でもあり、毎日摂るべき体に必要な食品です。それぞれ適量であれば余分なエネルギー摂取にはなりません。

 体に必要な食品が摂れて体に必要な栄養素が供給できれば、代謝を助け健康的にやせやすい体をつくることができます。

 ここまで読んで「お菓子は絶対にダメなの?」と思われた方もいるかもしれません。そんなことはありませんが、個人によって、さらには日によって適切な食品は異なると考えています。拙著『おやつを食べてやせ体質に!間食ダイエット』(文藝春秋)で、牛乳・乳製品やフルーツのほかに、あなたにとってベストな間食は何か、お菓子を食べた時の太らないコツ、間食をしながら健康的にやせるコツ、ノウハウなどを書かせていただきました。

 これまで間食で太ってしまった方は、食べ方や選び方が間違っていたかもしれません。2020年、お正月太り解消に、そして今年こそやせたい人は、間食をしてください。

(文=森由香子/管理栄養士)

東京五輪時期、宿泊施設の料金高騰…1泊1万円→94万円に上昇の部屋も

 今年の夏に迫った東京五輪を前に、宿泊施設の料金が高騰している。昨年12月下旬に宿泊予約サイトで五輪開幕日(7月24日)チェックイン分の料金(1泊)を調べてみた。すると「東京」で796軒が見つかったものの、「選択した日程では、この目的地にある室の81%が当サイトで予約不可となっています」と表示された。料金は1泊8600円から。

 その最低料金の部屋をみると、「大人2名 二段ベッドのベッド1台 12平方メートル」で「最後の1部屋」となっていた。外国人向けのゲストハウスのようだ。アパート(マンション)タイプの民泊施設(50平方メートル)は「1ベッドルーム 定員7人」で手数料・税込みで10万7200円、お台場のリゾートホテルは「スーペリア ダブルルーム ベイビュー」で11万4660円。そして、銀座に近い中央区内のゲストハウスは25平方メートルのダブルルームは94万円。サイトには「キッチン施設が充実。自宅のように寛げた」「ワンルームマンションの感覚で使えた」といった利用客の声が添えられている。この施設、1月中旬の料金を調べてみると、1万3260円となっている。

 スカイツリー近くの開会式当日の物件で、1泊120万円というものもあるという。現在は1泊8万円強で、あるテレビ番組で取り扱い業者がAI(人工知能)で120万円の値付けをしたと説明していた。こうした極端なケースは別にしても、通常期に比べ料金が高騰するのは間違いない。都心のホテルの多くが五輪の大会組織委員会や旅行会社などに押さえられているからだ。そのため空いている部屋の多くは民泊施設(アパートタイプ)のようだ。2万円、3万円の部屋が安く思えてしまう高騰ぶりには唖然とさせられる。 

都内の民泊施設届出数は約7000件

 五輪期間中、主だったホテルの予約が取りにくいとなると、狙いは民泊施設だろう。2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから1年半。民泊の状況はどうなっているのだろうか。

 観光庁が発表した2019年12月11日時点の民泊施設の届出状況は、全国で「届出件数」が2万2671、「事業廃止件数」が2471、「届出住宅数」が2万200となっている。同法施行前は全国に民泊施設は約5万6000あるといわれていたが、現在合法的に営業しているのは半分以下ということになる。

 都道府県別では東京が最も多い。届出住宅数は東京都(東京都下)が190、23区が6775で合計6965件となっている。次いで大阪府、大阪市、堺市を合わせた大阪が2822件、北海道と札幌市が合計で2796件となっている。ひところ闇民泊問題が話題となった京都は京都府と京都市合わせて724件にとどまっている。

 宿泊の実態はどうか。2019年8-9月の2カ月間の事業者からの報告数によると、全国における宿泊総日数は30万4879日。東京都が11万7864日で最も多く、次いで北海道(4万7396日)、大阪府(4万623日)の順。宿泊者数は総数が38万4999人。最多は東京都の10万1294人で、北海道(6万3993人)、大阪府(3万8550人)と続く。

インバウンドは伸び悩み気味

 民泊というとキャリーケースを引っ張った外国人客というイメージだが、実際はそうでもないようだ。事業者からの報告によると、利用者の内訳は日本国内に住所を有する者が15万5312人で40.3%。海外からの宿泊者が22万9687人で59.7%だった。前回調査(6-7月分)は日本が8万948人、海外が26万9249人だった。日本人利用者がほぼ倍増し、海外客が4万人近く落ち込んだ。韓国人の利用者が2万人ほど減っている。

 外国人利用客の内訳は1位が中国(30.9%)、2位が台湾(10.5%)、3位がアメリカ(9.5%)、4位が韓国(7.8%)、5位が香港(7.5%)。この5カ国・地域で全体の3分の2を占めている。

 政府は2020年のインバウンド数を4000万人とする目標を掲げているが、日韓関係の冷え込みによる韓国客の大幅減少により、2019年1-11月の訪日客は2935万5700人で、前年同期比2.8%増と伸び悩み、2019年通年の訪日客数は3200万人程度とみられている。2020年の4000万人達成は困難との見方が出ているが、数の目標を追いかけるのはもはや意味がないのではないか。

 すでに全国各地の観光地でオーバーツーリズムの弊害が顕著になり、五輪を控えた東京の宿泊料金高騰も問題となりつつある。それでも政府は富裕層向けの超高級ホテルの建設やカジノ誘致などに熱心だが、それで一体誰が潤うのか。カジノ誘致では国会議員が逮捕される事態となった。前のめりの「観光立国」路線の中身と方向性を、冷静に議論すべきではないだろうか。

(文=編集部)

六代目山口組と神戸山口組がいよいよ特定抗争指定に…曖昧な逮捕基準や地下潜伏への危惧も

 2017年4月、兵庫県尼崎市で任侠山口組が結成式を行ったことで、当時、同市内が騒然としたことがあった。同組織の関連組織周辺には、警備やマスコミの数が増え、物々しさを醸し出していた。それも月日の経過とともに落ち着きを取り戻し、町中が以前と同じ空気に包まれていた昨年の11月下旬に起きたのが、神戸山口組幹部射殺事件であった【参照「山口組に狙われ続けた神戸山口組幹部」】。尼崎市内随一の繁華街、阪神尼崎周辺でマシンガンが乱射されたこの事件の影響は、繁華街にとっては書き入れ時である年末にまで及んだのであった。

「11月にマシンガン事件が起きたので、どこの店も忘年会のキャンセルが相次いでいた」と話す地元の飲食店関係者も少なくはなかった。この事件をきっかけに、尼崎が六代目山口組と神戸山口組の抗争の舞台と化してしまうのではないかと震撼する市民が少なくなかったということだろう。

 その尼崎市も、今回、六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団に指定されたことに伴って定められた警戒区域に含まれたのである。両団体は1月7日にも特定抗争指定暴力団として官報に公示され、暴力団対策法に基づくさまざまな規制を受けることになるが、例えば、警戒区域では組員が5人以上で集まったり、敵対する組織に対して抗争を誘発する行為をしたりすれば、逮捕の対象になる。

 2012年に暴対法が改正され、特定抗争指定暴力団の指定制度が設けられて以来、同指定を受けるのは、同年に指定を受けた道仁会と九州誠道会(解散)以来となり、今回が2度目のケースということなる。ただ、2012年の時は指定を機に両組織が抗争を鎮静化させ、九州誠道会が解散することで指定も解除されており、指定期間における組員の逮捕者は出ていない。そのため、どのような行為や活動で逮捕されるのかという点では、前例がない制度といえるのだ。

「明確な逮捕基準がまだないために、当局サイドも、現場の捜査員になればなるほど判断しにくいという声があるようです。むろん、抗争が激化すれば、逮捕の基準も一気に跳ね上がる可能性もあるでしょう。組員が抗争に関連する行為をしたと当局が解釈すれば、ちょっとした行動でも即逮捕されることも考えられる。現時点では、何をしたら逮捕されるかということを誰も理解できていないわけです」(暴力団に詳しいジャーナリスト)

 だからといって、今回の指定で必ずしも抗争が終焉する、もしくは山口組が壊滅状態になるかといえば、そうとはいえないだろう。特定抗争指定とは、あくまで抗争を拡大させないための措置であり、組織を壊滅させるために設けられた制度ではない。現に警戒区域以外では、これまでのように組事務所に出入りすることも可能であり、組員が5人以上集まってはならないという制限を受けることもないのだ。必然的に、警戒区域内に拠点を置いていた組織は、区域外の関連施設に臨時的に機能を移転させ、組織運営を行うことになるというわけだ。

「ただ、そうした施設近辺で抗争に関連するような事件が起きれば、当局はその地域も警戒区域に定めるでしょう。そうして、両組織の活動を取り締まっていき、抗争ができない状態どころか、通常の組織運営がしにくい状況へと持っていくことが狙いなのではないでしょうか」と法律に詳しい専門家は指摘しながらも、このような警笛を鳴らしている。

「警戒区域が拡大され、組織活動が制限されていく分、今後はこれまで以上にヤクザの身分を隠して、一般社会に溶け込んでいくケースが増えることが予想されます。それが海外のマフィアのように、地下へと潜るきっかけになり得る可能性もあるわけです」

 これまでヤクザは、自分たちがヤクザであること、その事務所がどこになるかなどを、ある種の矜持を持って律儀なくらいに世間に示して存在してきていた。それは、どれだけヤクザに対する厳罰化が進んでも変わらなかった。ある意味、そのようにヤクザ組織や組員たちがわかりやすく社会に存在し、一般市民とは一線を画しながら活動してきたからこそ安心できる側面があったと、この専門家は指摘しているのだ。それゆえ、身分や活動拠点を隠されてしまったほうが、市民にとっては恐怖となるのではないかというのである。それはそうかもしれない。たまたま知り合った相手と親しく付き合うようになったら、後で実はヤクザの幹部だったと聞かされるケースも出てくるかもしれないからだ。

 おかしな話かもしれないが、町中にヤクザの組事務所があり、そこに組員が出入りする……そうすることで地域住民は誰がヤクザの組員であるかを理解することができるという構図は、一般市民においても一定のメリットがあったといえるのかもしれない。いずれにせよ、今なお続く六代目山口組分裂抗争において、今回の特定抗争指定暴力団への指定は大きな転換期になるだろう。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新刊は、元山口組顧問弁護士・山之内幸夫氏との共著『山口組の「光と影」』(サイゾー)。

JRA理事長ジャパンC「外国馬ゼロ」問題を語る。東京競馬場に新・検疫厩舎も「高速馬場」改革には……

 問題解決へ、大きく舵を切ることになりそうだ。

 昨年、1981年の創設から39回目にして「外国馬の出走ゼロ」となったジャパンC(G1)。日本競馬最大の国際レースとして「存在意義を失った」という厳しい声もあるが、主催するJRAもその事実を重く受け止めているようだ。

「物理的にクリアできるものはクリアしていきたい――」

 そう話したのは『週刊ギャロップ』(サンケイスポーツ)で、毎年恒例の年頭インタビューに応じた後藤正幸JRA理事長だ。詳細は本誌をご覧いただきたい。

 昨年、外国馬が出走しなかったことを受け、多くのファンから批判の的となったジャパンC。

 だが、JRAの生え抜き理事長として、海外の駐在員事務所の所長を歴任した経験を持つ後藤理事長は「これまでの38年間、よく1頭でも2頭でも(海外からの)出走馬を確保できたと思いますよ」と、外国馬の招致の難しさを語っている。

 まさに「経験者は語る」だ。だが、日本の競馬ファンからすれば、毎年のように世界各国から強豪が名を連ねるドバイミーティングや香港国際競走を知っているのも事実。それだけに日本を代表する国際レースに外国馬が1頭も来なかったという状況は、何とも言えない寂しさがあったというわけだ。

 ただ、見識のすれ違いはあったにせよ、昨年の状況はJRA側も重く受け止めている。その大きな原因の1つに日本特有の検疫の厳しさが挙げられているが、まずは“そこ”にテコ入れを行うようだ。

「現在、外国馬がジャパンCが行われる東京競馬場のレースに出走するには、まず千葉にある競馬学校で検疫を受ける必要があります。そのため、外国馬は日本到着直後から満足な調教が行えず、さらにはレースに向け、再び東京競馬場へ移動しなければならないという問題があります。

そこで、国際検疫厩舎を東京競馬場の中に作る動きがあるようです。もし実現すれば、少なくとも東京の国際レースに出走する外国馬の負担が、大きく下がることが期待できるのではないでしょうか」(競馬記者)

 日本競馬の検疫は以前から長く議論されてきた問題だが、ついに大きく動くことになるのか。しかし、後藤理事長は「2020年秋に間に合うものではない」とコメント。工事期間はもちろん、国の許可や埋蔵文化財調査など、様々な問題があるようだ。

「検疫問題は、海外に精通した関係者から必ずと言っていいほど話題に挙がる問題ですから、これは大きいと思いますよ。ただ、ジャパンCを始め、日本競馬か世界から敬遠される最大の問題となる『馬場』に関しては、あくまで否定的なようです」(同)

「海外に行けば馬場が違うのは当たり前で――」と語る後藤理事長だが、その背景には現場からの「支持」があるようだ。理事長によると、海外から遠征してきた騎手などは「走りやすい」と話しており、決して日本特有の高速馬場に問題があるわけではないという。

「海外だけでなく、JRAの騎手からも概ね好評を得ていますし、馬場そのものに関して問題があるということではないと思います。

ただ、例え日本の馬場に問題がないにしても欧州と大きなタイム差がある限り、ジャパンCが敬遠される問題は解決しないでしょうね。いえ、日本が素晴らしい馬場を誇っているからこそ、この問題は根深いと思います」(同)

 とはいえ、自然と調和した欧州競馬の馬場が、整備が行き届いた日本の馬場に劣るという見解もナンセンスだ。それはドバイや香港のような、いわば「中立」の馬場で日本のトップホースが欧州馬に後れを取ることがある事実からも、明白と言えるだろう。

 記者が語る通り、欧州の馬場と日本の馬場、どちらも間違ってはいないからこそ、この問題は根深い。多くの日本の競馬ファンとしては、かつての強豪外国馬が来日するジャパンCを観たいという思いがあるが、果たして実現する日は来るのだろうか。