カテゴリー: ビジネスジャーナル
ニューノーマル時代のマーケティング、三つの必須キーワードとは
電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。
本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。
※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。
デジタル&データ時代に対応する、“人”基点の統合マーケティング「PDM」

「New Normal時代のマーケティングに必須な3つのキーワードとは?」と題したセッションでは、電通でデータドリブンマーケティングを推進する濱窪大洋氏と、ソリューションディレクターを務める高橋学氏が登壇。
近年の社会状況や人々の消費行動の変化を踏まえ、“人”基点のマーケティングの実現に必要な三つのキーワードについて語りました。
デジタルの進化で顧客と企業が“Always-on”でつながり、人の意識と行動の可視化が急速に進む現代。
この時代に対応するマーケティング・フレームワークとして、2017年に電通が発表したのが「People Driven Marketing」(以下、PDM)です。
顧客の意識データと行動データを基に、“最適な情報”を“最適な対象者”に“最適な場所”と“最適なタイミング”で届けることで、企業のマーケティング目標を達成することを目指してきました。
PDMの内容は年々進化しており、2019年は「PDM3.0」として、デュアルファネル化する企業のマーケティング活動全体への支援活動を進めてきました。
「従来の電通が得意としていた“新規顧客の獲得ファネル”に加え、“既存顧客の管理ファネル”を組み合わせたものがデュアルファネルです。認知~購買領域と、CRM(顧客関係管理)領域を統合させて、顧客のLTV(顧客生涯価値)向上を目指します」(濱窪氏)

しかし2020年は社会が激変し、デュアルファネルの取り組みにも変革が起きています。濱窪氏はまず「2020年に人々の生活や意識がどのように変わったのか」を解説しました。
2020年はキャッシュレス、D2C、デジタルコミュニケーションが急速に浸透
コロナ禍で多くの人々が自宅で過ごすようになり、外出する時間は激減しました。その中で、濱窪氏はキャッシュレス決済の利用率に着目。「感染拡大防止の観点から、多くの局面で現金を使う割合が減ってきています」と、キャッシュレス決済が浸透していることを指摘しました。

また、濱窪氏は、「外出時間の減少に伴い、もともと通信販売と親和性の高くなかった業種もEコマースに注力するようになってきました」と指摘し、Eコマースの売り上げが伸長しているデータを提示しました。
中でも、「D2C」(※Direct To Consumer。小売店などを挟まず、企業が自社サイトなどで直接商品を販売するビジネスモデル)について、「化粧品などの業界でも、大手メーカーの参入が報じられています。Googleの検索トレンドなどを見ても、“D2C”の検索が急上昇しています」と、市場のポテンシャルに期待を示しました。
そして濱窪氏がキャッシュレス、D2Cの台頭と並んで挙げたもう一つの重要な変化が、情報接触のデジタルシフトです。人と人のコミュニケーションがデジタル中心となるのに伴って、情報源としてもデジタルの重要度が高まっています。
「商品やサービスを知るために、ソーシャルメディアや情報ブログ、企業の公式サイトが役立つと感じる方が増えています」(濱窪氏)
Twitterがきっかけで、ホットサンドメーカーを購入。そこから得た発見とは?
こうした人々の意識や消費行動の変化に対して、マーケティング活動はどうあるべきか?そのひとつの答えとして濱窪氏が挙げたのが、Googleが提唱する消費行動の概念、「パルス(瞬間的に流れる電流)型消費」です。
従来の購買プロセスは「認知→興味→比較→検討→購入」という流れが主流でしたが、パルス型消費は「明確な理由がないまま、気に入った商品を購入する」という瞬間的な消費行動です。
昔から日用品などでは、いわゆる衝動買いが日常的に起きていましたが、スマートフォンの普及で時間や場所に関係なく商品・サービスを購入できるようになり、洋服や家電でもパルス型消費が起きています。
濱窪氏は「スマホを使っていて、偶然知った商品を“その場”で買うことに躊躇がない生活者が増えている」というデータに触れ、「最初は驚きましたが、よく考えると自分にも心当たりがあります」と述べます。
「私も先日、あるTwitterの投稿を見て、ホットサンドメーカーを購入したのです。私以外にも同様の方がたくさんいらっしゃったようで、後日、その商品が品薄になったという記事を目にしました」(濱窪氏)
この購買プロセスは、「Twitterの投稿を見る→購入する」という典型的なパルス型消費ですが、「振り返ってみると、“伏線”がありました」と濱窪氏は言います。
同氏は、緊急事態宣言による自粛期間中、料理をする機会が増え、レシピサイトをよく見ていました。加えて、「ソロキャンプの動画が面白い」という話題を目にしてYouTube動画を閲覧したり、アウトドアグッズを購入したそうです。
これら一連の流れと、「Twitterでホットサンドメーカーの情報を見た」ことに、表向きの紐付きはありません。しかし、小さな要素が伏線として積み重なった結果、最終的な「Twitterを見てホットサンドメーカーを購入する」体験につながったのではないかと濱窪氏は言います。
「この体験をマーケター目線で考えると、最後にTwitterを見るまでの伏線上にある行動は全てデータとして存在している。こうした“伏線”は、購入行動のトリガーに至るヒントや予兆になるのではないでしょうか」と述べました。
つまり、商品を認知する“前”のさまざまな情報接触をもマーケティングデータとして捉えることが、マーケティング戦略において重要になるというのです。
「伏線となる情報接触が蓄積され、何かがトリガーとなって購入に至る」という考え方は、新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の管理ファネルにも大きな影響を及ぼします。ロイヤル顧客の行動や、彼らが拡散してくれる商品の評判が、認知前の新規顧客に影響を与える“伏線”や“トリガー”になるからです。
濱窪氏はその観点から、「CRMは、既存顧客のLTV向上だけでなく、新規顧客獲得のためにも重要になっていくでしょう」と語りました。
世界的な個人情報保護の強化。開示する情報を生活者が選べる時代に
濱窪氏が述べたように、生活者の行動データのデジタル蓄積は急速に増え続け、マーケティングへのデータ活用も加速しています。
一方で、世界的に「個人情報保護の強化」が推進され、生活者の行動データをマーケティング活用することに慎重な姿勢が求められる情勢もあります。
濱窪氏に代わって登壇した高橋氏は、個人情報保護の重要性と、それを踏まえた上でのマーケティング活動に必要な三つのキーワードについて解説しました。
高橋氏はまず、欧州や米国におけるネット上の個人情報保護強化をめぐる動きを整理。AppleやGoogleといったプラットフォーマーが、従来のデジタル広告の主力を担ってきたCookieの利活用を大きく制限する方向に進んでいることに触れ、さらに、日本でも公正取引委員会主導で、同様の動きが起きていることを紹介しました。
「Cookieの利用方法を生活者自身が選べる仕組みを導入する企業も増えています。自分の個人情報をどこに開示するかを、生活者自身が選べる時代になっていくということです」(高橋氏)
しかし、すでに現代のビジネスは、生活者データなしには成り立ちません。こうした時代には、企業もデータ活用に対する姿勢を改めていく必要があると、高橋氏は言います。
生活者のためのPDMの実現に欠かせない、三つのキーワード
現在の社会状況は、コロナ禍の影響でデータ活用の「アクセル」が踏まれると同時に、個人情報保護の動きで「ブレーキ」も踏まれている状態です。
今後重要になるのは、生活者にポジティブな意味で「データを開示したい」と思ってもらえるアプローチ。「私たちは、それをPDM4.0としてアプローチしていきたいと思っています」と高橋氏は述べ、具体的な方向性を示しました。
生活者がすでに情報を預けていて、“ここに情報を開示しないと自分の生活は成り立たない”というサービスを提供している企業と組むこと。そういった企業と組みながら、自社と生活者がつながり続けるデータ基盤をつくること。生活者に“個人データをつなげてもかまわない”と思ってもらえる関係性を結んでいくこと。
高橋氏は、「個人情報保護のルールをきっちりと守りながら、データ活用していくことが重要です」と述べ、上記のことを実現するために電通が掲げる三つのキーワードを紹介しました。
キーワード①データクリーンルーム
「Data Clean Room(データクリーンルーム)」は、大手プラットフォーマーが企業に向けて提供するサービスです。クリーンルーム内の全てのデータは、個人を特定できない形で統計化・匿名化されていることから、プライバシーが侵害されることのない「無菌室=Clean Room」と呼ばれています。
プラットフォーマーの持つデータと、各企業の持つファーストパーティーデータ、さらに電通グループが持つ独自のマーケティングデータを、クリーンルーム内で個人情報を侵害しない形で統合し、マーケティング活用していくという手法が、今後重要になってくると高橋氏は言います。
キーワード②寄り添い型DX
二つ目は、「寄り添い型DX(デジタルトランスフォーメーション)」。これは「カスタマーサクセス」、すなわち生活者の成功や要望を第一に考えてDXを推進し、継続的な付き合いの中でLTVを向上させていく姿勢のことです。
「生活者に寄り添うホスピタリティーやサービスが前提としてあり、そこに必要なデジタルやセキュリティを用意していく。これが私たちの考えるDXです」(高橋氏)
キーワード③Data×CR
最後のキーワードは、「Data×CR」(データ×クリエイティブ)。
「行動データを提供することで得られる体験価値」が伝わらなければ、誰も企業に行動データを渡そうとは思いません。そこで重要なのが、電通が長年培ってきたクリエイティブの力です。
「企業の思いと生活者をつなぐ“体験価値”を具現化できなければ、PDMは単なる数字やデータの蓄積になってしまう。“クリエイティブによる体験価値の具現化”こそが、データを使ってマーケティングを行うPDMの最大のポイントです」(高橋氏)

「データクリーンルーム」で生活者の背後にある文脈を洗い出し、「寄り添い型DX」で生活者が望むサービスに合わせたデジタル基盤をつくる。そして、それらを踏まえて「Data×CR」で最適な体験価値を提供する。
「こうした一連のフローの中で、電通グループの強みを生かしていく。それがデュアルファネルの深化であり、顧客とともに幸せな体験をつくり続けるエコシステムの進化です」と高橋氏は述べ、セッションを締めくくりました。
※本ウェビナーのより詳細なレポートは、「Do!Solutions」の特集ページをご覧ください!
コロナ再拡大の最大の戦犯は菅首相だ! いまだ専門家の「GoToが原因」指摘を無視して「静かなマスク会食を」の無責任ぶり
映画レビュー「ルクス・エテルナ 永遠の光」
“魔女狩り”を描く映画の撮影現場。監督、女優、プロデューサーらの呼吸が合わず混沌を極めるが、突如として奇跡が起こる。
投稿 映画レビュー「ルクス・エテルナ 永遠の光」 は 映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。
映画レビュー「ホモ・サピエンスの涙」
誰にも起こり得る33の出来事を、いずれもワンシーン・ワンカットで撮り上げた。異才・アンダーソン監督の新たな映像世界。
投稿 映画レビュー「ホモ・サピエンスの涙」 は 映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。
「誰もが知っていて、みんなが知らないハーブ」。キリンと電通、未踏の挑戦
キリンホールディングス(以下、キリン)が長年、研究開発してきた「熟成ホップ」。
機能性素材であるこの熟成ホップを事業の基盤に、キリンと電通が合弁し、ジョイントベンチャー「INHOP」(インホップ)を設立しました。
現在INHOPは、ホップからつくったサプリメントや食品を販売するD2C事業を行っています。キリンR&D部門と電通が出合い、生まれたのはどのような企業なのか?
電通で20年間営業一筋だったINHOP取締役COO高杉聡氏と、キリンのR&D部門で10年間開発一筋だったINHOP代表取締役CEO/CTO金子裕司氏が、INHOP誕生の経緯と熟成ホップの可能性を語ります。
<目次>
▼ホップに健康機能⁉ 世に広めるプロジェクトが発端
▼「ホップ」をビールから切り離し価値化するために必然だった、キリン×電通の企業形態
▼「世界最大規模の栽培量なのに、ほとんど認知されていないハーブ」が社会課題を解決する?
ホップに健康機能⁉ 世に広めるプロジェクトが発端
高杉:今回は「なぜ、キリンと電通が組んで、事業会社をつくったのか?どんなメリットがある?」「そもそも熟成ホップってなんだ?」といった疑問に答えていければと思います。
私と金子さんの最初の出会いは、キリンから「熟成ホップをプロジェクト化していきたい」と相談を受けたところからです。ある日の打ち合わせに、金子さんが突然連れてこられたんですよね。
金子:「素材担当者として参加して」と言われて、ちょっと意見を言うくらいかなと、気軽な気持ちでついていったんです。それがなぜだか、今や社長に就任しています(笑)。
高杉:INHOPのCEO兼CTOという今の立場に就くまでは、金子さんはキリンではずっと研究開発職に就いていたと。
金子:入社以来ずっと、キリンで機能性食品のR&D(研究開発)部門に従事していました。研究開発といっても私の場合、自分が基礎研究をするのではなく、研究所が出してきた成果を商品につなぎ、社会へ送り出す取り組みが中心です。携わってきた商品数は、研究所の中では多い方ではないかと思います。
高杉:例えば、どのような商品に携わってきたのでしょうか。
金子:機能性表示食品や特定保健用食品など、多岐にわたっています。現在もいくつか発売されています。また、商品開発だけでなく素材開発にも携わっていました。INHOPで事業の主軸に据えている「熟成ホップ」もその一つです。
ホップの機能性に関する研究はキリングループで20年以上続いており、その過程で「熟成ホップ」に行きつきました。数年にわたる機能性等の基礎研究が一通り終わった熟成ホップという素材を、量産化して実用化につなげていくこと、この素材を使った商品を世の中に出していくことを担当しました。
高杉:そうした経緯がある中で、電通にキリンから“ホップ関連の新しい素材”についてご相談があったんですよね。キリンが長年研究してきたホップ素材が、脂肪減少効果に加えて他の健康機能でもエビデンスが取れそうで、力を入れて世の中に広めてきたいからどうしたらいい?というお話でした。
ビールの原料であるホップは、キリンにとって“1丁目1番地”ともいえる素材。それを使った「熟成ホップ」という研究成果を、ビールだけの活用にとどめるのではなく、広く世の中に浸透させるためのビッグビジョンを描きたいというお話があったと記憶しています。
金子:高杉さんは、これまでにも電通でこういった「素材のブランディング化」みたいな仕事を何度か手掛けていたのですか?
高杉:今回のように素材ベースの相談というのは非常に珍しいケースです。私は電通に入社して20年超、ほぼ営業一筋でやってきましたが、クライアントから電通への相談というのは、商品のPRやイベント、CM関連が今までは多かったです。
ただ、今回INHOPにジョインした僕たちのチームでは、過去に健康機能が期待される素材を扱うバイオベンチャー企業の案件に取り組んだことがありました。
「企業が研究開発した機能素材の存在を世の中に浸透させて、マーケットとして成長・拡大させた」という経験が、今回の熟成ホップでも生かせるかもしれないと思い、「2社でプロジェクトを組みましょう」と提案したことからスタートしました。
金子:そのプロジェクトが、最終的にキリンと電通とのジョイントベンチャー立ち上げという大ごとになっていくなんて、思ってもみませんでした(笑)。
「ホップ」をビールから切り離し価値化するために必然だった、キリン×電通の企業形態
高杉:電通も、最初から「ジョイントベンチャー立ち上げ」まで考えていたわけではありません。僕ら電通のチームがこのプロジェクトでまず着手したのは、キリン社内のあらゆる人へのヒアリングでした。
「この熟成ホップという素材をビールから解放して、世の中に広めるための可能性について、ヒアリングさせてください」とお願いしてから始めるのですが、だいたい40分くらいたつと、皆さんやっぱりビールの話をされているんですね(笑)。
もちろん、それはキリンの社員としては素晴らしい思考回路です。しかし、“ビールから切り離して”熟成ホップ単体で商品化・サービス化を目指したい今回、「ホップの存在を一番に考えるための専門の事業体」をつくるべきなのではないかと思い至りました。
それで、「INHOP」という会社名やロゴマークのデザインまで、先行して勝手につくってしまったのですが(笑)。熟成ホップという素材の立ち位置はもちろん、そこから生まれていく商品群やその順序などを描いた青写真を添えて、改めてキリンに提案したんですよね。
金子:さすがに、ジョイントベンチャー設立は、想像もしていなかった斜め上の内容でした(笑)。ただ、私個人としては、意外性が大きかった一方で、「これはうまくいったら面白そうだぞ」とワクワクするような気持ちを覚えたのも事実です。今までのキリンの文脈にはない新しい取り組みの中で、われわれの思いが詰まった熟成ホップを使って、新しい世界をつくっていけるのではないかと。
高杉:そうでしたか!実は「生意気なことを言うんじゃない!」と、怒られるかとも思っていたんですけどね(笑)。正直、こうやってクライアントに「電通と合弁でベンチャー企業をつくりましょう」などと提案すると、電通はどこまで本気なんだと、いぶかしがられることもあります。今回それを乗り越えて、ご一緒いただいた理由は何でしょうか。
金子:やはり、高杉さんをはじめ電通の皆さんの「熟成ホップを広めたい!」というその熱意が、キリン側の壁を越える大きな原動力だったと思います。
キリンの身内が「熟成ホップはいい!すごい!」というのは分かりますが、第三者が確かにこれは良いものだと言ってくれたのは、キリンという会社にとっても良い後押しとなりました。私を含めて、キリンからプロジェクトにコミットする人たちが、本当に「熟成ホップは大きくできる」という自信と信念をもらいました。
それに、高杉さんたちのチームには、素材のブランディング化や価値化を成功させたという、バイオベンチャー企業での実績もありましたよね。名前は出せないのですが、理科の教科書にも出てくるような素材を、100億円市場にまで拡大していった経験とノウハウは、電通と組むメリットだと感じました。
高杉:ありがとうございます。僕らとしても、過去の「企業の持つ機能素材という資産の価値化」の実績を評価していただき、それが信用を生んで会社設立につながったのは、大きな成功体験になりました。
金子:ところで、ここまで「電通のイメージ」についていろいろ話が出ましたが、逆に、高杉さんから見たキリンという会社の印象はどんなものでしょうか?
高杉:実際に一緒に動いてみて思うのは、キリンはとにかくしっかりしているということです。つまり、「人さまの口に入るもの」を提供する仕事とは、こういうことなのか!と。さまざまな制度やルール、チェック体制などを含めて日々、その責任の重みを痛感しています。
INHOPという会社は、“キリン家”出身の父親と、“電通家”出身の母親という両家の結婚で生まれた子どもですが、父親の家は電通よりも厳格ですよね(笑)。
金子:そうですね(笑)。ただ、もしキリンが単独で熟成ホップのベンチャー企業をつくっていたら、キリンに染みついている“ものづくりの公式”に当てはめて事業計画を考えていたかもしれません。でもそこで、電通の「いろんなものを試してみよう!」というチャレンジ心、遊び心が、いい意味で“ものづくりの公式”を覆してくれる。これは一つの会社で一緒にやっていることの成果だと感じています。
INHOPにおける商品開発では、「こういうものを、こういうたたずまいでつくりたい」というのを、電通から出向しているメンバーに起案してもらい、キリン側ではそれを実際に商品としてつくっていくために品質を担保したり、各種法令に適合したものにしたりという役割分担ができています。
例えば電通でずっとアートディレクターをやられていた宮坂さん(宮坂佳克氏)が、INHOPのCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)として、権限を持って商品開発の提案をしてくれる。しかも、そのイメージをイラストなどで可視化して議論の場に持ってきてくれるのですが、アートディレクターですから、それがすさまじくレベルが高い。
受発注の関係ではなくジョイントベンチャーにしたことで、そういう能力がある人に大きな権限を付与できる体制になっていることは利点ですよね。
高杉:たしかに、役割分担はすごくうまくいっていますね。電通という会社はクライアントに商品開発を提案することも多く、「こんなこと・ものができたらいいな」というアイデア出しや企画は得意です。ですがそのあと、商品化するならどのくらいの単価にできるのかとか、生産する上ではロット的にどのくらい必要だからどれだけ売る必要があるのかなど、実際に先を読む力、僕らは「暗算力」と名付けていますが、これがまだまだ圧倒的に足りていません。
だからその部分は、実際に多くの商品を開発して売ってきた金子さんたちキリンのメンバーに担ってもらうわけですが、「それをやるなら包材コストがかかるから、小口にした方がいい」「夏場にはウケが悪いから半年ずらした方がいい」などといった意見が、議論の場で即時にできています。
お互いが権限を持って一つの会社の中にいることで、とても密度の高い打ち合わせがスピーディーにできるし、それぞれに学びがあるんですよね。
「世界最大規模の栽培量なのに、ほとんど認知されていないハーブ」が社会課題を解決する?
金子:ところで、読者の皆さんに「そもそも熟成ホップとは何か?」「INHOPは何をどうやって売っているのか?」ということを紹介しないといけませんね。
高杉:INHOPという会社は名前の通り“ホップカンパニー”です。熟成ホップをはじめ、国産ホップなども含めて、キリンが長年構築してきた企業資産であるホップ全体を、どう価値化していくかが、この会社の大きなミッションだと思っています。
ただ、順番としてはやはり、最初に相談のあった「熟成ホップ」から着手し、事業開発を行っています。ホップに対する機能性イメージや、ホップがビール以外の商品で口に入れられるのだということを指し示す“道しるべ”をつくる意味でも、まずは熟成ホップの普及に注力しています。
ホップにはいくつかの健康機能があるのですが、そのひとつとして期待されているのが、認知機能改善や精神機能改善といった脳機能。これらは“社会課題”として解決策が求められている分野でもあるので、うまく世の中に広げていきたい。
まず熟成ホップの認知機能を軸に商品展開や情報発信展開を手掛け、その次は国産ホップなどさまざまなホップの多様な価値を生活の中に浸透させるというふうに、取り組みを広げていきたいです。
金子:ホップという素材は、実は皆さん知っていそうで知らないことがたくさんあります。まず、歴史を紐解いてみると、ホップは“ハーブ”としての歴史が長いんです。そして現在、ビールの原料として世界中で利用されている実情を考えると、ホップは「世界最大級の規模で栽培されているハーブ」ではないか、と捉えています。一方で、ハーブとしての認知は殆どない。
そんな認識のギャップを解消することで、世界中でホップのさまざまな活用方法が増えていくのではないかと。
それに、キリンがホップをハーブとして研究する中で、様々な健康機能がありそうだということがだんだん分かってきた。これを新しい価値提案として、いろんな形でお客さまに届くようにしていこうと、日々向き合っています。
高杉:僕もホップのイメージといえば、ビールの“苦み”でした。でも金子さんがよくおっしゃる「世界最大級なのに、ほとんど知られていないハーブ」ということが、電通の人間としては面白い!と思ったんですね。
キリンのR&D部門が見いだしたホップのさまざまな機能に、正しい光を当てるのが、自分たちの仕事ではないかと思うと、燃えるというか(笑)。昔から世界で親しまれているのに世界に知られていなかった、「古くて新しい素材」に対して、この情報の非対称な状況をなんとかしたいと思ったんです。
そうやってモノの価値観を変換したり、素材の既成概念から少しズレた解釈をするのは、まさに電通が得意とするコミュニケーションの領域です。ホップという、「誰でも知っているけど、みんな正しく中身を知らないモノ」の認知を、どう変えていくのか。とてもやりがいがある仕事です。
金子:熟成ホップの研究には足掛け20年くらいの時間をかけてきています。ここに至るまでに100人単位の人たちが携わってきて、ようやく結実しました。そんなたくさんの人の「お客さまの健康を改善したい」という思いが詰まったこの素材を、簡単に終わらせるわけにはいきません。私もINHOPを起点に熟成ホップの可能性を世に広める責任があると感じています。
高杉:バリューチェーンの“川上”であるR&Dにかける金子さんたちの思いに、僕らは“川下”で広告やキャンペーンを効果的に打つスキルをもって応えたいですよね。それぞれの強みや視点を生かして、大きなシナジーが生まれる手応えを感じています。
一方で、広告会社で培ってきたスキルを生かしつつ「自分たちで事業会社をつくり、商品企画・開発から販売までを行う」というのは、新しいチャレンジで、とてもやりがいがあります。きちんと爪痕を残せれば、「電通はこんなことができるのだ」という指針になります。これをきっかけに、あとに続く人たちがいろんな可能性にチャレンジできるようにしないといけないですね。金子さんは、“INHOPの今後”に何を見据えていますか?
金子:各ご家庭にビール以外のホップ商材が当たり前に置かれている状態を目指したいです。それができれば、「健康維持にホップを活用しよう」と、お客さまの中で健康意識のあり方が変わってくると思うんです。5年や10年では実現できることではありませんが、健康に関する社会問題を少しでも解決していきたいと考えています。
今は熟成ホップをキリン1社しかつくっていませんが、もっと一般的なものとして世の中に広げていくには、それこそ世界中のホップサプライヤーたちから「熟成ホップのつくり方を教えてほしい」とか、「素材として売らせてほしい」と、お声がけいただけるくらいにならないといけないですね。
そして最終的にはホップの機能性をアピールせずとも、普通に食品の選択肢として熟成ホップ商品を選んでもらえるくらい、人々の生活の中に定着させたいです。
高杉:サプリメントでも調味料でも入浴剤でもいい。ホップという素材を使った商品やサービスが日常の中に当たり前にある世界を、一緒につくっていきましょう!
■INHOP コーポレートサイト
https://inhop.co.jp
■熟成ホップ研究所
https://inhop.co.jp/jukusei
パチンコ『シンフォギア2』が業績牽引も…業界のリーディングカンパニー「減収減益」
パチンコ・パチスロ業界大手のSANKYO(東証一部:6417)は11月9日、2021年3月期の第2四半期決算を公表した。
これによると連結業績の売上高は253億3200万円、営業利益は10億8400万円、経常利益は15億8800万円。それぞれ、前年同期と比べて24.4%減、64.8%減、56.0%減となった。
パチンコ機関連事業の主な販売タイトルは、『Pフィーバー戦姫絶唱シンフォギア2』『Pフィーバー真花月2 夜桜バージョン』の2機種で、販売台数は47,000台。売上高は223億円、営業利益は47億円で、67.000台を販売した前年同期と比べてそれぞれ、17.9%減、15.3%減となった。
パチスロ機関連事業はBistyブランドの『シャア専用パチスロ 逆襲の赤い彗星』をリリースし、販売台数は3,000台。売上高は15億円、営業損失13億円で、前年同期700万円の営業利益を大きく下回った(売上高は50.0%減)。
補給機関連事業に関しては、売上高は前年同期比53.8%減の13億円、営業損失は5600万円(前年同期は営業利益1億円)。その他、売上高1億円、営業利益1500万円となった。
同社は、遊技機市場は「緊急事態宣言が解除された5月を底として、稼働状況は回復傾向にある」「これに伴いパーラーの新機種購買意欲は上向きの兆しを見せる」「遊タイムを搭載したいわゆる新解釈基準機の導入が本格化しており、それらに対するファン・パーラーの期待の高まりが見られる」などと分析。
その一方で、「パチスロは、型式試験の適合率が依然として低水準で推移しており、新機種の供給が不十分な状況」とした。
そんな中、同社は「コロナ禍によるパーラーの新機種購買意欲を見極めたうえで販売タイトル数を絞ったことから、例年に比べタイトル数は減少」と説明。「4月に発売した『Pフィーバー戦姫絶唱シンフォギア2』が追加受注をいただくヒットとなり、業績を牽引」とした。
第3四半期以降は既に導入済みの『PフィーバークイーンⅡ』『Pフィーバーゴルゴ13 疾風ver.』などに加えて、『スーパーコンビ7500』や『Pフィーバーアイドルマスター ミリオンライブ!』などを販売予定。
2021年3月期の通気連結業績予想については8月7日の公表と変わらず、売上高735億円、営業利益80億円、経常利益87億円としている。
【注目記事】
■パチスロ『北斗の拳 6.1号機』「新概念Type D」に続く朗報!? 伝説の“爆裂”復活を予想する声
■パチンコ「7万発」「継続率約95%」「一撃7500発」は伝説の幕開け!? 大手メーカーが超大物「革命コンテンツ」とのタイアップ機を発表!!
東京493人よりもっと深刻! 大阪のコロナおざなり対策が酷すぎる…重症病床使用率ごまかし、都構想にかまけてやってる感アピールだけ
吉高由里子さんがサンドバッグ相手に渾身のパンチを披露! J:COMモバイル新テレビCM
ジュピターテレコムは11月20日から、吉高由里子さんをJ:COMのイメージキャラクターに起用した新テレビCM「J:COM モバイル『サンドバッグ』編」を開始する。
安くなったスマホ料金にご機嫌な女性(吉高さん)が、「スマホのお金が浮いたから~」の歌と共に登場。運動不足解消やストレス発散のため、浮いたお金でサンドバッグを購入した彼女は、自宅のリビングでファイティングポーズをとり、パンチやキックを打ち込む。戻ってきたサンドバッグに振り回されるシーンも。
最後は「料金ずーっとキューッパ(980円)!」の決めぜりふと共に渾身のストレートを放つと、スマホと共に満足そうな笑顔で締めくくる。料金プランをキュートかつパワフルにアピールし、新しいものに挑戦する前向きでワクワクする世界観を表現した。






自宅のリビングでボクシングを披露するシーンということで、リラックスした格好で現場に登場した吉高さん。メーキング映像では、セットに用意された健康器具に興味津々な様子や、無邪気な笑顔でサンドバッグと格闘し、全身を使ったダイナミックなキックを繰り出し床に倒れ込む姿が見られる。カットの後、監督の指示にすぐ対応する吉高さんに、監督も「素晴らしい!完璧に撮れました!」と大絶賛。和気あいあいとした撮影現場の雰囲気が楽しめる。
メリー元副社長・黒柳徹子・美空ひばり…近藤真彦が年配女性から“溺愛”される本当の理由
天下のジャニーズ事務所も、世間からの猛バッシングには抗えなかったようだ――。
11月12日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で、25歳年下の女性社長との不倫関係を報じられた近藤真彦。ジャニーズ事務所の長男として、藤島メリー泰子(メリー喜多川)名誉会長や藤島ジュリー景子社長ら幹部の寵愛を一身に受けていた近藤だが、結局、無期限の芸能活動自粛を発表。そして自身のレーシングチームの監督も自粛することとなった。
「ジャニーズネタに強い『文春』が報じただけあって、不倫の事実はほぼ間違いないと思われたものの、やはりテレビやスポーツ紙は当初、一様にスルー。そしてジャニーズ事務所もそのまま黙殺するものと思われていました。もともとマッチが今のジャニーズファンに拒絶されていること、また“マスコミが封殺している”ことに対する世間からの不信感が、最終的には活動自粛という結果につながったんだと思います」(スポーツ紙記者)
「文春」によれば、近藤は愛人に「(不倫を)揉み消せる権力を俺は持っている」と語っていたという。その“権力”の後ろ盾がメリー氏なのは知られた話だ。
「メリーさんはかつて週刊誌のインタビューのなかで“ウチのトップはマッチ”“ジュリーとタレントを結婚させるんだったらマッチしかいない”などと不自然なほどの“マッチ愛”を語っていた。マッチは“年配女性殺し”の才能を持っているのでしょう」(同)
また、近藤はタレントの黒柳徹子にも可愛がられているのは有名で、「本当の母親のような存在」と慕っており、たびたびエピソードを語っている。
「とにかく本人が知っててやっているのか、そうでないのか定かではありませんが、権力ある年配の女性に食い込むことで自身のタレント生命をキープしてきたとしかいいようがありません。あの“昭和の歌姫”に対してもそうでした」と語るのは、ベテランの芸能記者だ。
「これも知られている話ですが、昭和の大スターで数々のヒット曲を持つ美空ひばりにも、マッチはかわいがられていました。歌番組で出会ったときにまだ駆け出しだったマッチが『おばさん、歌うまいね』と言い放ったことがきっかけで、親交を持つようになったんです。そして有名なエピソードが、ひばりさんが亡くなった際、深夜にもかかわらず真っ先に自宅にマッチが駆け付けたというもの。しかし、当時を知る芸能関係者によると、それは事実ではないというんです。どこか、そういう話が生まれてしまうところが、マッチにはあるというか……。
ただ、東山紀之や今では副社長になった滝沢秀明とは違い、マッチはジャニーズのタレント内でトップといわれる割には、事務所のことを真剣に考えている様子は伺えません。昨年亡くなったジャニーさん(ジャニー喜多川前社長)が危篤に陥った際も、滝沢や中居正広が真っ先に駆けつけるなか、マッチは自身がのめり込むカーレースのため海外に渡っていましたからね。東山や滝沢と比べても、ジャニタレからの人望はないですよ」
『ケジメなさい』『愚か者』などのヒット曲を持つ近藤だが、今その歌が自分に跳ね返ってきているようだ。
(文=編集部)
