介護保険2割負担は焼け石に水か…現役世代には「子育て支援」の名目で実質増税

●この記事のポイント
・介護保険の高齢者2割負担拡大を巡り、財政効果210億円は「焼け石に水」との批判が強まる。現役世代の負担軽減には不十分との声が出ている。
・2025年度から子ども・子育て支援金の徴収が始まる一方、高齢者負担は足踏み。実質増税だけが先行する不均衡に不満が噴出している。
・物価高と参院選への配慮が改革を鈍らせる中、先送りは社会保障の持続性を損なう。負担の分かち合いをどう設計するかが問われている。

 少子高齢化の進行は、もはや「将来の問題」ではない。現役世代の社会保険料は限界に達し、2025年度からは新たに「子ども・子育て支援金」という実質的な負担増が始まる。その一方で、厚生労働省が検討してきた高齢者の介護保険「2割負担」拡大は、なお着地点を見いだせていない。

 所得基準を引き下げても財政削減効果は210億円程度。最新の報道では、財務省側から「それでは不十分だ」と、より踏み込んだ負担増を求める声が強まっている。現役世代には“確定した負担増”が突き付けられる一方、高齢者改革は政治的配慮から足踏み――。この不均衡は、日本の社会保障制度に何をもたらすのか。

●目次

崩れ始めた「1割負担」という聖域

 介護保険制度は2000年の創設以来、高齢者の自己負担を「原則1割」に抑えてきた。
現在、2割負担が課されているのは、単身世帯で年収280万円以上など、一定の所得層に限られている。

 厚労省が検討しているのは、この所得基準の引き下げだ。単身年収230万円程度まで下げた場合、新たに約35万人が2割負担の対象となり、介護給付費は年間約210億円抑制できるという試算が示されている。

 一見すると「前進」に見えるが、評価は厳しい。介護給付費が年間10兆円規模に膨らむ中で、210億円は全体のわずか0.2%程度にすぎない。最新の報道では、財務省サイドから「これでは現役世代の負担軽減には程遠い」「3割負担の対象拡大まで踏み込むべきだ」との声が出ている。

「210億円という数字は、制度維持の“象徴的な一歩”ではあっても、現役世代の保険料を下げるほどの効果はありません。財政再建の観点では、かなり控えめな改革です」(社会保障の専門家で社会福祉士の高山健氏)

実質増税が始まる現役世代と、足踏みする高齢者改革の不均衡

 2026年度から、現役世代に確実にのしかかるのが「子ども・子育て支援金」だ。公的医療保険料に上乗せする形で徴収されるこの仕組みは、実質的な社会保険料増であり、可処分所得を確実に削る。

 問題は、そのタイミングと対比である。現役世代には徴収開始という“既成事実”が迫る一方で、高齢者の2割負担拡大は「検討中」のまま先送りや骨抜きになる可能性がある。これでは、「なぜ現役世代だけが先に負担増なのか」という不満が噴出するのは避けられない。

「社会保険料は税と違い、上がっても実感しにくい。しかし、手取りが減るという結果は同じです。高齢者負担の結論が曖昧なまま、現役世代だけ実質増税が進めば、制度への信頼は確実に損なわれます」(同)

「世代間公平」を掲げるなら、負担の議論も同時並行で進めなければならない。片方だけが“確定”、もう片方が“未定”という構図そのものが、不均衡を生んでいる。

「安すぎる介護」が限界を迎えている

 制度論の背後で、介護現場はすでに悲鳴を上げている。2024年の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が実質的に引き下げられ、地方を中心に事業所の倒産や撤退が相次いだ。

 人手不足、賃上げ圧力、ガソリン代の高騰。「これ以上、内部努力では吸収できない」というのが現場の実情だ。

 ここで避けられないのが、「誰がそのコストを負担するのか」という問いである。税か、保険料か、それとも利用者負担か。現役世代の負担が限界に近づく中、受益者である高齢者にも一定の負担を求めなければ、サービスそのものが維持できないという現実がある。

財務省vs.厚労省

 今回の制度見直しを巡っては、財務省と厚労省のスタンスの違いも浮き彫りになっている。財務省は、社会保障費の膨張を最大のリスクと捉え、「2割負担拡大だけでは不十分」「3割負担の対象拡大も視野に入れるべきだ」と圧力を強めている。

 一方、厚労省は、介護現場や高齢者の生活への影響を重視し、慎重姿勢を崩していない。この温度差が、改革を中途半端なものにしているとの見方もある。

「財務省の言い分は財政的には正論ですが、急激な負担増は生活破綻を招きかねません。ただ、210億円で満足してよい段階ではないのも事実です」(同)

物価高を免罪符に改革を止めれば、制度は持たない

 物価高の中での負担増は、来夏の参院選を控える与党にとって大きな政治リスクだ。一部のメディアで報じられているが、「高齢者の反発」を恐れ、改革が足踏みしている側面は否定できない。

 しかし、物価高を理由に改革を先送りし続ければ、社会保障の持続可能性は確実に損なわれる。問題は「誰かが痛みを被るかどうか」ではなく、「痛みをどう分かち合うか」だ。

 所得だけでなく資産をどう見るか。AI・DXで介護の生産性をどこまで高められるか。税と保険料の役割分担をどう再設計するかーー。介護2割負担拡大は、その入り口にすぎない。

 現役世代にだけ“確定した負担増”を強いる社会保障は、もはや持続しない。その現実から目を背けることは、日本社会全体のリスクとなる。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

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