企業が成長するために取り組むべきこと。顧客接点、UX、組織づくり

電通による“人”起点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。  
 
本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回ご紹介するのは「ソーシャルデータ活用」「消費財メーカーとリテールによる競争・共創」「デジタル/UX組織の立ち上げ」をテーマした三つのセッションです。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

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ソーシャルデータ活用に立ちはだかる「ユーザーボリューム・時差・指標」の3問題


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今やSNSをはじめとするソーシャルメディアと、そこから得られる生活者データ(=ソーシャルデータ)の活用は、マーケティングに不可欠です。

「ソーシャルデータからブランドの顧客体験へ─生活者とつながるマーケティングの時代に─」と題したセッションでは、電通の郡司晶子氏と、電通のグループ企業・DataCurrentから大驛貴士氏が登壇。

ソーシャルデータを豊かで幸せな顧客体験につなげるためのソリューションについて解説しました。

デジタルマーケティング、特にコミュニケーション領域に長年取り組んできた郡司氏によれば、2010年ごろから本格化した企業のソーシャルメディア活用は年々高度化が進み、現在ではソーシャルデータを商品開発の参考にしたり、ソーシャルメディアとECの連携も行われているといいます。

「中でもソーシャルデータの活用においては、最初はブランドの評判をモニターする“ソーシャルモニタリング”。やがて生活者の生の声を聞く“ソーシャルリスニング”へ移行し、キャンペーン成果の測定や生活者のインサイト分析に活用されるようになりました。そして現在は“ソーシャルインテリジェンス”、リアルタイムで顧客ニーズとモーメントを捉えるところまで進化しています」(郡司氏)

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この10年で企業のソーシャルデータ活用は大きく進化し、現在はユーザーに対してリアルタイムに“良い顧客体験”を提供するための試行錯誤が始まっている。

郡司氏はデジタル時代には「ユーザーが欲しいコンテンツ、欲しい情報、欲しいサービスや商品を、欲しいタイミングと場所で提供すること」が必要だとし、ソーシャルデータを「生活者の本音をリアルタイムで把握し、良い顧客体験をつくるための重要な手段」と位置付けました。一方で、高度化したデータ活用の現場では、業務が分断されがちという課題も挙げました。

「例えば、『日焼けしたくない』とツイートしているユーザーに対して、そのタイミングで広告配信しようと計画したとします。しかし、いざ実行したらキーワードをツイートしている人が少な過ぎたり、あるいは配信のタイミングを逃してしまうといった問題が、一定頻度で発生します」(郡司氏)

それゆえ、より良い顧客体験を生み出すためには、チームメンバーが連携して分断された業務をつなげていく必要があると結論づけました。

こうした課題を解決すべく発足したのが、国内電通グループのデジタル系7社による横断プロジェクトチーム「Dentsu Engagement 360」です。同プロジェクトはソーシャルデータ活用を軸に、新規顧客の獲得から既存顧客の育成まで、ワンストップのマーケティング支援を提供しています。

具体的なソリューションについて、データストラテジストの大驛氏は、「三つの問題と解決策」を挙げて説明しました。

課題①「ユーザーボリューム問題」
あるキーワード(以下KW)を投稿したユーザーに広告配信しようとしても、対象ユーザーボリュームが少なくて生かしきれない問題。

解決策:「『ヒストリカルKWターゲティング』というソリューションを開発しました。例えばTwitterでは、特定のKWをツイートしたユーザーのみならず、そのKWを検索したユーザー、関連投稿へコメントやシェアをしたユーザーも配信対象にできます。時間軸を過去に広げることによるユーザーボリュームの確保も可能です」(大驛氏)

課題②「時差問題」
ソーシャルリスニングから得たKWを基に広告配信しても、ユーザーに届いた時点では遅過ぎるという問題。

解決策:「『リアルタイムKWターゲティング』というソリューションで、事前に指定したKWをリアルタイムで検知し、ユーザーの気持ちが冷めないうちに配信します」(大驛氏)

課題③「指標問題」
 “良い顧客体験”が企業の業績向上にどうつながったのか、適切に計測しきれない問題。

解決策:「例えばTwitterとの提携による計測プログラム『Measurement Pilot』があります。Twitter広告接触者データと、「購買データ」や「テレビCM接触者データ」などを掛け合わせることで、ユーザーのオフライン行動を可視化し、より柔軟な分析を可能にしました」(大驛氏)

大驛氏は、これらは「KIZUNA COMMUNICATION」というサービスのうち「ID連携」領域のメニュー例だといい、「他にも豊富なサービス、メニューがあり、Dentsu Engagement 360のプロジェクトを通じてクライアント個々のニーズに沿ったソリューションを提案していきたい」と述べてセッションを締めくくりました。

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消費財メーカーはリテール事業者との競争・共創の時代へ。勝ち抜くためのDXとは?


 


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「流通と競争&共創する消費財メーカーの事業DX」と題したセッションに、日本マイクロソフトの藤井創一氏と、電通デジタルの八木克全氏が登壇。企業のDX企画・運用支援で協業を進める両社の視点から、消費財メーカー変革のポイントを解説しました。

これまで多くのデジタルサービスを開発・推進してきた八木氏は冒頭、「リテール事業者の急速なDXが消費財メーカーを巻き込みつつある」として、アメリカのリテール大手ウォルマートの事例を紹介。

「ウォルマートでは、現在カーブサイドピックアップ(※)などのサービスが好調。コロナ禍中でも“Buy Online,Pickup In Store”の仕組みを定着させ、順調に新規顧客を獲得しました」(八木氏)

※ カーブサイドピックアップ=顧客がインターネットで注文した商品を、実店舗でドライブスルーのように受け取れるサービス。
 

さらに八木氏は、ウォルマートがEC領域でもシェアを急拡大しているデータを提示。同社アプリは5800万ユーザーを獲得し、アプリランキングではすでにアマゾンを抜いています。

そしてアプリなどの“リテールDX”で顧客理解を深め、効果的な販促ができるようになったウォルマートでは、今や顧客の約84%が同社のPB(プライベートブランド)商品を購入しているといいます。

「ウォルマートはすでに商品数の約50%がPB商品です。消費財メーカーも、より顧客を理解し、顧客が望む商品や体験を提供しないと、優れた顧客体験とPBを持つリテール事業者に飲み込まれてしまいます」(八木氏)

また八木氏は、従来のバリューチェーンでは、消費財メーカーが生活者の“興味体験”を、リテール事業者が“購買体験”を、そしてまたメーカーが“使用体験”を担っていたが、「DXで境目がなくなってきた」と指摘。今後の消費財メーカーに三つの視点を提示しました。

①データを介したバリューチェーンの“共創”
「リテール事業者から提供されたデータに基づき需要予測をするなど、一方的に流れていた情報が行き来することで、単純なコラボではない“共創”につながります」(八木氏)

②バリューチェーンを伸長するリテール事業者との“競争&共創”
「リテール事業者が商品開発力を高め、消費財メーカーとの“競争”が加速しますが、メーカー側も、例えば商品開発部門と顧客対応部門の連携でユーザーサポートまでパッケージ化するなど、高単価で売れる商品をつくれるはず。それをリテールに提供する“共創”もあり得ます」(八木氏)

③消費財メーカーがリテール側に入っていくことによる“競争”
「逆にメーカー側がリテール側に入っていくことで、直接の顧客接点やデータを得るチャンスも生まれます。そのために新たに“購買体験提供”の機能をつくる必要があります」(八木氏)

そして「従来は部門ごとにデータを活用していたが、これからは組織全体をつなぐデータ統合が必須」だと提言。変革の実現には、データの取得・分析・活用に課題があると言い、藤井氏にバトンを渡しました。

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リテール事業者がDXで商品開発力を高めたことで、既存領域で競争が始まっている。しかし八木氏によれば、この状況は消費財メーカーにとっても好機になり得る。

日本マイクロソフトで流通業向けの戦略策定や市場開拓を担当してきた藤井氏は、「われわれデジタルプラットフォームを提供するベンダーにも同じ課題意識がある」と同意。

マイクロソフトでは、ウォルマートをはじめ多くのリテール事業者とパートナーシップを結び、DXを支援しつつ、お互いのビジネスを進化させているといいます。

「例えばグローバル企業では、各国に分散する膨大なマーケティングデータの統合が難しく、効果的な活用に課題がありました。しかし、今のテクノロジーなら、膨大なデータを迅速かつ安価に統合・活用できます」(藤井氏)

そして実際に消費財メーカーと共に取り組んだグローバルキャンペーンや、マイクロソフトのデジタル基盤を利用したリテール事業者と消費者メーカーの共創例を紹介しました。

続けて自社のクラウド基盤Azureに触れ、「クラウドは“利用型”のサービス。始めたいときに迅速に始められて、やめたいときも迅速にやめられる特性があり、現在の変化の速い市場に対応しやすい」と解説。柔軟なデジタル基盤の必要性を強調しました。

また藤井氏は、変化が常態化した時代には、個別の取り組み結果を組織で共有し、それを次の改善へとつなげる「デジタルフィードバックループ」が重要になると述べました。

八木氏も「柔軟なデジタル基盤を利用することで、消費財メーカーのDXも事業収益につながる形で実現できる」と見解を示し、セッションを終えました。

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社内のデジタル/UX組織、「立ち上げ期」「実践期」「拡大期」の3ステップとは?


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「常駐型支援で実現するデジタル/UX組織の垂直立上げ」と題したセッションでは、NTTドコモの南部美貴氏と、電通デジタルの小浪宏信氏が登壇。

NTTドコモの事例を基に、デジタル/UX組織の成長フローごとに出てくる課題や、成果を上げるためのポイントを解説しました。

電通デジタルでUX設計を中心に企業の変革支援に取り組んでいる小浪氏は、新設組織の成長フローは「立ち上げ期」「実践期」「拡大期」の3ステップに分けられるといいます。

NTTドコモでデジタル/UX組織「デジタルマーケティング推進部」(以下、デジ推)を統括してきた南部氏も、「デジ推もこの3ステップをたどっていた」と同意しました。

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デジ推では、まずデータ基盤の構築と個別の施策を繰り返し、成功事例を増やしては別事業にも展開。各事業部のUX/デジタル活用が進んだところで、いよいよUXを統括する「本部」へと生まれ変わった。

「2015年にドコモ契約者以外でも使える共通事業『dポイント』を開始し、2018年には全社的な会員サービス事業基盤へと大きな舵を切りました。このタイミングで、システム部門、データ分析部門、dポイント会員統括組織の一部などを統合し、デジ推を立ち上げました」(南部氏)

「デジ推」の主なミッションは、全社的なDXの推進と、dポイント会員への事業を行うための基盤づくり。電通デジタルはデジ推の立ち上げから現在まで深く関わっているといいます。

南部氏は電通デジタルの果たした役割について「まず、デジ推を“全社的なデジタルマーケティングを最適に実践できる組織”へと成長させる全体シナリオを提案いただきました」と述べました。

小浪氏は、デジタル/UX組織の立ち上げには「戦略」「体制・人材開発」「データ活用基盤」「業務オペレーション」の四つの切り口で共通の課題を抱えがちだと考察します。

3ステップの中でデジ推と電通デジタルがこれらの課題にどう取り組んだかを、南部氏が語りました。

①立ち上げ期の課題

  • 戦略……どのような経営課題を解決するのか?
  • 体制・人材開発……立ち上げ時にはどのような体制を用意すべきか?
  • データ活用基盤……立ち上げ時に必要なデータ活用基盤とは?
  • 業務オペレーション……何から手をつけるべきか?

データ基盤を整備して、ビジネスを“顧客体験軸”にシフトするのがDXのポイント。そのため、立ち上げ期には何よりもマーケティングオートメーション(MA)の環境整備を最優先したと南部氏は言います。

「デジタルマーケティングのメリットを社内に浸透させるには、MAでいかにお客さまとの距離を縮められるのか、実践して結果を見せるしかありませんでした」(南部氏)

しかし初期のデジ推はシステム系の人材が中心で、カスタマージャーニー設計や、顧客一人一人の“今”に応じたシナリオ生成を行うマーケターが不足していました。南部氏がデジ推に合流したのは、そうした顧客コミュニケーションとMAを組み合わせたデジタルマーケティング実践のためでした。

②実践期の課題

  • 戦略……推進力をもって戦略を実行するためには?
  • 体制・人材開発……施策実践に必要な組織体制とは?
  • データ活用基盤……データ活用環境をどのように運用すべきか?
  • 業務オペレーション……施策実践はどのように計画すべきか?

各事業で会員獲得・活性化施策の実行をひたすら繰り返し、ベストプラクティスづくりに取り組んだデジ推。従来独立していた回線料金プランや各種サービス、ポイント・決済の各チームをすべて“横断”して情報を集め、顧客へのアプローチを最適化していきました。

この際、さまざまな施策の立案から実行まで、「電通デジタルの力を借りてフルパワーで進めた」と南部氏は言います。小浪氏は、「NTTドコモの各事業部に、すでに電通デジタルの社員が多く常駐していたため、デジ推と各事業部の横の連携が、よりスムーズになったのではないか」と語りました。

③拡大期の課題

  • 戦略……どのように戦略を浸透させるか?
  • 体制・人材開発……部署横断的な取り組みへと横展開を図るには?
  • データ活用基盤……全社的なデータ活用時に求められる環境とは?
  • 業務オペレーション……各事業主体をどのように巻き込むか?

2018年の発足から2年、デジ推は拡大期に差し掛かりつつあります。2020年7月からはスマートライフビジネス本部の一部と合併し、「マーケティングプラットフォーム本部」へと形を変えました。

「デジタル戦略を浸透させるために本部を立ち上げたと、社内外にアナウンスしています。経営層も定期的にデジタル推進を後押しするよう発信しているので、取り組みはますます加速するでしょう」(南部氏)

小浪氏は、「社風に応じて、デジタル/UX組織の最終形は異なる」とし、NTTドコモにおいては「マーケティングプラットフォーム本部」というUX統括部署ができ、「営業本部」「スマートライフビジネス本部」といった他の本部と横に連携する形がベストだったとの見解を示しました。

南部氏もこれに同意し、これまで以上に顧客体験中心のデジタルマーケティングを発展させていくとの決意を語り、セッションを終えました。

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クリエイティブが、「データ×ブランド体験」を実現する

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、データテクノロジーをベースに顧客にとって有益なブランド体験をどう提供すればよいか。クリエイティブの重要性を具体事例とともに示した、三つのセッションをレポートします。

※People Driven Marketing
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電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。
 
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Google×PDMで広がる「データテクノロジー×クリエイティビティー」の可能性
 

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020
本セッションでは、GoogleのData Strategy Leadを務める姜哲浩(カン・チョルホ)氏、電通デジタルのData Management Consultantである福島ゆかり氏、電通プランニングディレクターの谷澤正文氏が登壇。各社の立場からデータテクノロジー×クリエイティビティーの現在地と未来を語り合いました。

まず姜氏が、テクノロジー技術とクリエイティビティーを掛け合わせた近年の事例を紹介しました。YouTubeのリップスティックの広告コンテンツでは、動画の下に「TRY IT ON(試してみる)」というボタンが出現。クリックするとユーザーの顔が表示され、リップの色がリアルタイムで変わります。

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020
「顔認識技術を用いることで、まるで自分の唇にリップを塗っているような表現を可能にします」と姜氏。他にも、スマートフォンのGoogle Lens (※)を本にかざすと、その本に関連するコンテンツがスマホ上で表現されるクリエイティブ事例も紹介。

「3DやVR、ジャイロセンサーといったテクノロジー技術を活用することで、広告の自由度はどんどん高まっていくでしょう」と姜氏は予測しました。

※Google Lens:Googleのアプリ。調べたいものにスマートフォンのカメラをかざすと、情報を検索し、表示してくれる。 


しかし、どんなに広告が進化しても、ユーザーと適切なコミュニケーションを取れなければ購買には至りません。そこでGoogleが活用しているのが「バタフライサーキット」というコミュニケーションプランニング方法。ユーザーの行動パターンを蝶の飛び方に見立てた上で、

「バタフライサーキット全体に網を張り、必要なタイミングで捕まえる」
「クリエイティブの力でユーザーの動機を誘導し、ブランド理解を深めていく」
「購買を後押しするようなセレンディピティー」

の3点が重要だと姜氏は述べました。

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020
続いて電通デジタルの福島氏が、データ基盤を開発・実装するために重要となるポイントを整理しました。会員・購買などの自社データとユーザーのウェブ行動履歴、外部データなどは「Google Cloud Platform」のようなカスタマーデータプラットフォーム(CDP)で統合・分析し、そのデータを活用した施策・運用はマーケティング担当が中心となって行います。

その際、検討しなければならないことを福島氏は「収集/統合/分析/活用」の4フェーズに分類し、下記の六つのポイントにまとめました。

■収集
①「データの用途を決めてからCDPを作る」「全データをCDPに収集して、用途は後で考える」の2パターンから、進め方を検討する

②実現可否にかかわらずKPIを設定し、「何をするのか」を定める

■統合
③データ統合に必要な固有IDの有無確認

■分析
④データ分析の方針、機械学習の有無など設計を検討する

■活用
⑤施策・運用が可能なツールの選定

⑥構築したCDPへの外部データ追加の検討

最後に、谷澤氏と姜氏がデータテクノロジー×クリエイティビティーの未来について展望を示しました。

姜氏はGoogleの広告キャンペーンを調査したところ、「成果の70%がクリエイティブにかかっていることが明らかになりました」と、クリエイティブの価値を強調。アメリカのGoogle本社では、プランニングの段階からメディア専門家、データサイエンティスト、アナリストに加えてクリエイティブの専門家が参加していることを紹介し、「スペシャリストが集まるところからストーリーが始まる。こうした動きが日本でも定着していくと、もっと面白くなると思います」と見解を述べました。

谷澤氏も姜氏の意見に同調した上で、「チームのつくり方、意思決定のスピード感が今後大きく変わる」と予測。

「ウェブサイトのデザインやメルマガのコンテンツなど、表に見える部分はもちろんのこと、その裏にある見えない部分のデータテクノロジー×クリエイティビティーが成果に大きな影響を及ぼすことになります」と谷澤氏は述べました。

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OMO時代の顧客体験はどのように向上させるべきか?

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020
次のセッションでは、積水ハウス広告宣伝部の竹原賢一氏と、電通データドリブン・クリエーティブ・センター長の並河進氏が登壇。オンラインとオフラインを統合するマーケティング手法「OMO」(Online Merges Offline)がトレンドになる中、積水ハウスが実施した「おうちで住まいづくり」の事例をもとに、OMOで目指すべき「顧客体験」を探りました。

「おうちで住まいづくり」は、住まいづくりのウェブ打ち合わせをはじめ、オンラインで展示場の接客を擬似体験できるYouTube動画や、展示場を体験できるVRゴーグルのプレゼントなどを行うキャンペーンです。

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020
「コロナ禍で住宅展示場の来場者数が激減し、既存顧客との折衝も中断。新規顧客へのアプローチも困難になりました。こうした課題を解決するためにキャンペーンを立ち上げることにしたのです」と、竹原氏はプロジェクト発足の経緯を説明しました。

1日の遅れがチャンスロスにつながるため、電通はオリエンテーションから2週間で専用サイトを構築し、キャンペーンを開始。少人数で撮影を行い、全国各地の展示場で横展開できるように、スタッフが自分たちだけで撮影するためのマニュアルも作成しました。

ローンチ後、資料請求が前年比約200%と急増し、早々にテレビCMの制作が決定。リモートで撮影し、キックオフから2週間で納品という、これまたスピーディーな対応を行ったとのこと。

結果、8月の受注数は前年比116%に伸長。「当社の代表をはじめ、営業メンバーも含めた社員全員が、危機的状況を乗り切るために同じベクトルを向けた。スピード感を持って実行したことが、成果に結びついたのだと思います」と竹原氏は振り返りました。

続いて、並河氏の「オンラインとオフラインの顧客体験を、それぞれどのように位置づけているのか?」という質問に対し、竹原氏は「当社の情報を収集していただく際に、いかにお客さまの状況に合わせられるかが重要です。オンラインとオフラインを切り分けるのではなく、どのチャネルでもお客さまの体験にきっちりコミットし、トータルで当社の魅力を伝えていけるようにしたい」と述べました。

並河氏は、「これまでは住宅展示場に足を運んだときが勝負でしたが、今後はお客さまがオンラインで情報収集する段階も勝負になりそうですね」と、コロナ禍以降の顧客接点の変化について言及。「営業の場だけでなく、企業が提供している場所やモノ、すべてが顧客接点になる。そのように発想を変えると、可能性がすごく広がります」と述べました。

竹原氏もその意見に同調し、「リアルでもバーチャルでも、顧客接点を増やすことが重要です。当社の事業はオフィスビルやマンション、賃貸住宅、海外輸出など幅広いので、実はここにも積水ハウスがあるんだという発見も含めて、上質な体験をお届けしたい」と語りました。

最後に竹原氏は、現場の魅力をデジタルで顧客に擬似体験してもらうことの重要性を述べました。

「当社の強みは、社員の“人としての魅力”と、建物へのこだわりです。こうしたリアルの魅力をバーチャルで体験していただき、さらにリアルでも体験していただく。当社のイメージを一気通貫でいかに伝えられるかが大事で、それこそがクリエイティブが担う大事な役割になるでしょう」(竹原氏)

並河氏も「リアリティーの世界とイメージの世界。両方とも組み立てて一貫したクリエイティブをつくっていく。そこが、どのような企業においてもOMOを成功させる上で重要なポイントになると思います」との見解を示しました。

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データとクリエイティブの着眼点
 

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020

最後のセッションは、電通クリエイティブディレクターの池田一彦氏と志村和広氏、ソリューションディレクターの大島聡氏が登壇。テーマは、「データの未来、クリエーティビティで社会と事業を変えていく」。

冒頭、大島氏は、多様化・複雑化するデータについて「ビジネスが良くなるためには、これまでとデータの見方やアプローチを変え、本当に見るべきデータは何かを捉えることが大事」と述べ、クリエイティブに対しては「表現領域にとどまるものではなく、社会と事業変革につながる『着眼点』そのものだ」と語りました。その具体事例としてセッションでは、電通の二つの新しい取り組みを紹介。

一つは、池田氏が手掛けた、オーダーメードペットフードのサブスクリプションサービス「BODY CALL」です。池田氏は、肥満やアレルギーなどと関連することから“第二の脳”と呼ばれる腸内フローラのデータに着目。データをパーソナライズし、顧客の愛犬に最適なペットフードを一生にわたって提供するサービスを構築しました。

サービスを思いついた経緯について池田氏は、「ペットのマーケットは全て飼い主による代理購買です。買ったものをワンちゃんが本当に満足しているかは誰にも分かりません。ワンちゃんと会話ができないなら、体の声を聞いてあげることがすごく重要だと思いました。さまざまな生体データの中でも、食事の影響を受けやすいという理由で腸内フローラに着目しました」と述べました。

もう一つの事例は志村氏による、マグロ目利き職人のAI「TUNA SCOPE」。大量のマグロの尾の断面画像を解析して、目利き職人の“暗黙知”を習得することで、アプリで簡単にマグロの品質判定ができるサービスです。焼津や三崎の工場、中国・大連の大きな工場に導入されたことで大量のデータが蓄積され、近年はTUNA SCOPEで検品した最高ランクのマグロを商品化する動きにも進展しています。

People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020
このサービスを思いついたきっかけについて志村氏は、「もともとは、マグロの断面のデータをなんとかしようということから始まっていません。自分が普段食べるマグロの当たり外れをなんとかできないかと思っていたところ、たまたまテレビでマグロの仲買人を見て、アイデアが生まれました。そういう意味では、『マグロの断面』という、初めはデータではなかったものをデータ化したといえます」。

大島氏は、二人の話に共通するポイントとして、「データを“手段のひとつ”としていること」を挙げ、「実現したい未来や目的が最初にあって、そこに向かうときに“こういうデータが必要なんじゃないか?”という発想が生まれている」と述べました。

最後に大島氏は、マーケティングを進化させるために、これからデータとの向き合う中で大切にするべきポイントを挙げました。

・データを活用する目的や意義を考えること
・データ化されていないものを開拓する精神
・データを活用することに対する顧客の共感
・パートナー企業との連携とデータの共有

まとめとして、自社だけのためではなく、社会の課題解決、より良い社会の実現のためにどのようにデータを活用できるかが大事であり、着眼点ひとつでビジネスのスケールは大きくなっていくと述べました。

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DXの成功から、BX(ビジネストランスフォーメーション)の成功へ

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

本記事では、明治安田生命保険が取り組んでいるデジタル起点の営業マーケティング改革をはじめ、NEW STANDARDのD2C時代に向けた新しいDXのビジネスモデルを紹介。また、電通デジタルが目指す、単なるデジタル化にとどまらないビジネス変革をもたらすためのDX実践法を解説します。

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電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

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デジタル起点での生命保険の営業マーケティング改革

G-04登壇者

明治安田生命はデジタルマーケティングを起点とした営業改革に注力しています。その理由について、デジタルマーケティング開発グループの戸田典宏氏はこのように述べます。

「当社は以前からデジタルマーケティングに取り組み、デジタル広告からの送客に関しては一定の成果が得られていました。しかし以降の営業活動については営業職員任せになっており、“デジタルでの接点”と“リアルでの接点”のPDCAをバラバラに回している状態でした。この課題を解決すべく、デジタルを起点にしたオンオフ統合での営業マーケティング改革に着手したのです」

改革に向けて具体的に取り組んだ施策は五つあります。

【1】リーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」をはじめとしたJリーグとの連携
【2】マルチチャネルでのデジタルコミュニケーション
【3】デジタルデータを活用した営業支援
【4】コロナ禍で急速に需要が増える、非対面営業プロセスの推進
【5】オンオフ統合したPDCA

この五つの施策について、プロジェクトチームに参加した電通 マーケティング・プロデューサーの渡邉典文氏、電通デジタル デジタルストラテジー事業部長の坂本浩士氏がそれぞれポイントを解説しました。ウェブ電通報では三つの施策について紹介します。

リーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」をはじめとしたJリーグとの連携
2015年からJリーグのタイトルパートナーを務めている明治安田生命。Jリーグのファンとオンラインでの継続的な接点をつくるべく、Jリーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」を開発しました。

アプリは2017年のローンチ以来、順調に利用者数を伸ばし、毎月数10万人に利用されています。「試合に足を運んでくれるファンの行動の見える化、リピーターへの特別な体験の提供、ファンの主導で観客をスタジアムに呼び込むアンバサダープログラムなど、Jリーグの新規観戦者を増やす取り組みを実現しています」(渡邊氏)

マルチチャネルでのデジタルコミュニケーション
MA(マーケティングオートメーション)ツールとLINEを活用した、見込み顧客向けのナーチャリング(育成)シナリオを開発しました。LINEの設計は、公式アカウントAPIに精通した電通専門チームを立ち上げ、デジタルの先にある営業活動支援を含めた戦略を立案し、実装・配信・運用までワンストップで対応しています。

「LINEは一度つまらないと思われると見てもらいにくくなるため、幅広い興味カテゴリーを持つユーザーに合わせたコンテンツを継続的に配信するべく、マガジンハウスとのタイアップを導入しました」と坂本氏。

試行錯誤を重ね、プロジェクト開始から3年がたった現在も開封率40%超えを記録するなど、高い成果を維持し続けています。

オンオフ統合したPDCA
プロジェクトのKGIを成約数の最大化と定義した上で、その過程である収集・維持・発見・資料請求・営業の五つの段階でKPIを設定し、きめ細かなPDCAを回しています。

ポイントは、オンオフ双方の指標を分断せず、統合したKPIを設定している点です。

「例えば、オンラインはメール配信から数日で速報分析を行い、次の配信までにクリエイティブを修正する高速PDCAを実行。オフラインは週次・月次単位で営業活動の結果を分析しながら、営業スタッフの方々にフィードバックをします。オンラインのクリエイティブやセグメントを改善しながら、同時に数カ月にわたってオフラインの営業活動のデータを補い、中長期視点でのPDCAを回しています」(渡邊氏)

オンオフ統合PDCA

こうした施策によって得られた成果は大きく二つあると戸田氏は述べます。

「一つは、Jリーグの協力により、ファン、Jリーグ、パートナーの三方良しを実現しながら、新たなデータ活用のカタチを生み出せたこと。もう一つは、ファーストパーティーデータをはじめとする、さまざまなデータを活用し、デジタル施策で営業活動の高度化をかなえたことです」(戸田氏)

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生活者と共にブランドを育てる、D2C/DNVBとは?

G-05登壇者

本セッションでは、ビジネスデザインや事業開発を行うNEW STANDARD(旧TABILABO)代表の久志尚太郎氏、電通のソリューションプランナーである浅井康治氏、電通デジタルのデジタルコマース事業部長・三橋良平氏が登壇。時代と共に変化する人々の消費の価値観に対する、DXの可能性を語りました。

冒頭、三橋氏は生活者の消費に対する価値観が「モノ消費」から「コト消費」へと変化してきたことに触れ、さらに2010年以降はミレニアル世代の登場で「イミ消費」の時代に移りつつあると述べました。

イミ消費とは、「体験を得るために消費を行い、ブランドの哲学・世界観に共感できるかによって購買商品・サービス利用を決める」価値観のことを指します。

久志氏は、「ミレニアル世代以降のユーザーと事業を通して接する中で感じるのは、“高い社会課題意識からくる、つくられ過ぎた広告への嫌悪感”があること。加えて、パーパスやストーリーに敏感なユーザーが増えています」と述べ、この特徴がブランドのDXを考える上で重要だと指摘。

浅井氏も、「ミレニアル世代は、透明性やリアルな物語への共感を好む傾向にあります。単純にプロダクトや商品・サービスの良さだけではなく、その作り手の姿勢やビジョン、パーパスへの共感が商品・サービスの選択に大きく関わってきます」と久志氏の意見に賛同しました。

また、浅井氏はマーケティングも「マスで大きな網を張り、その中でターゲットに対して情報を届ける」という手法だけでなく、「“具体的な一人”を想定し、その人にどうすれば買ってもらえるかを考える」という逆算の手法が必要になると指摘。「プランを小さく検証しながら成功体験を重ねて、“具体的な一人”を特定していくプロトタイピング的なアプローチが求められます」と語りました。

こうした前提を踏まえて、アメリカのEC業界で新たに注目されているビジネスモデルが「D2C/DNVB(デジタル・ネイティブ・バーチカル・ブランド)」です。

これは、ブランドが小売りやECプラットフォームを挟まずに直接商品・サービスを販売する「D2C」を一歩進めた考え方で、体験を通じて共感を獲得し、ファンを増やしながら販売する手法。

久志氏は「D2C/DNVBは、生活者と一緒にブランドをつくるという点に重きが置かれています。そのため、オープンなコミュニティー形成や、透明性を高めて生活者との信頼関係を構築することが重要視されています」と、その特徴を解説しました。

D2C/DNVBの特徴

これを受けて三橋氏は「D2C/DNVBブランドに対するアジャストは、“商品の作り方、見せ方、売り方をデジタル化していく”ことに尽きます」と述べ、「EC=ネット通販」という概念そのものを刷新する時機が来ていることを示唆。

ECの新たな定義として「テクノロジーを使った新しいブランド体験・購買体験」を掲げ、これからはより広い視野で潮流を捉え、事業の成長を検討する必要があることを解説しました。

そして、こういったブランドの変革をサポートするために、NEW STANDARDと電通、電通デジタルが共同で「ブランド・デジタル・トランスフォーメーション」(以下、BDX)プロジェクトを開始したことに触れ、BDXの四つの特徴を紹介しました。

・ブランド創造
既存ブランドを再定義、または新しく創造する

・コミュニティー構築
コンテンツマーケティングやソーシャルメディアでユーザーと関係性をつくる

・事業成長
電通デジタルのデジタルマーケティングの知見を使い、BDXでの事業成長を支援

・イノベーションの創造の型化
社内で新規事業をつくるフォーマットを準備し、自走に結びつけるためサポート

BDXの4つの特徴

久志氏は、「D2C/DNVBのメリット自体は理解できても、“やり方が分からない”“オンオフの活用が難しい”“インタラクティブにユーザーとコミュニケーションするのが難しい”といった課題を多くのブランドが抱えていると聞いています」と日本の現状に言及。

「しかし、構造さえ理解できれば、D2C/DNVBのビジネスモデルは一気に浸透していくと考えています。私たちもプロジェクトを通して、この新しいビジネスモデルの導入を積極的に支援していきます」と、今後の展望を述べました。

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DX先進企業の「ビジネストランスフォーメーション」とは?

G-06登壇者

DXを実践する企業は年々増えていますが、「目的が曖昧」「手段が目的化している」といった悩みを抱えているケースが少なくありません。DXを事業成果に結びつけ、ビジネスの変革=BX(ビジネストランスフォーメーション)へとつなげるためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。

これまで電通デジタルで数多くの企業のDXを支援してきた、ビジネストランスフォーメーション部門・部門長の安田裕美子氏が、現状の課題と解決策を提示しました。

電通デジタルの調査では、約7割の日本企業がDXに着手していますが、ビジネスとして成果が明確に出ているのは、そのうち約2割だといいます。この要因について安田氏は、「あまり効果が出ていない企業の特徴は、業務効率化・改善活動にとどまっている点」と昨年実施した調査データから指摘。

安田氏は、DXには

1. デジタルによる業務改革
2. 顧客体験の変革
3. 商品サービス/事業モデルの変革
4. 企業のなりわい革新

の4ステップがあると説明。DXを実践する多くの企業がステップ2は着手しつつあるが、顧客接点のデジタル化でとどまっており、顧客を基点にした2と3を継続していかなければ新しい価値の創造や収益の創出、すなわちBXにはつながらないと語りました。

DXが進まない企業では、何がボトルネックになっているのでしょうか?安田氏は、

・本質的な目標やビジョンがない、あるいは社内に共有されていないことでDXが進展しないという「構想課題」
・各部門が進めているDXを顧客利用価値につなげるための設計図がないという「戦略課題」
・全体構想や戦略はあるが各実行部隊に連携する司令塔がいない「実行課題」

という要因を挙げます。

DXを事業成長につなげるために クリアすべき3つの課題

この三つの課題を解決するためのアプローチについて、安田氏はDX先進企業との実践事例を交えながら具体策を提示しました。

事業成果創出に向けた3つの要件と具体策

大手食品メーカーでは、成長市場ではなく、あくまで未来の顧客の変化に着目した新規事業開発手法を提案、伴走する中で新たなパーソナライズサービスの誕生につながったといいます。なおかつ、「これからの企業の新たな提供価値やなりわい」、つまり「パーパス」にまで踏み込んだことで、企業の中でDXへの取り組みの共通認識が生まれ、その後も継続した成果を生み出し続けていることを紹介しました。

また、大手耐久消費財企業のサブスクリプションビジネス立ち上げの事例からは、既存事業がまだ収益のほとんどを占める日本企業において、新たなビジネスモデル推進を行う際のキーポイントを解説。エネルギー企業の事例では、既存企業の重要アセットである顧客基盤をデジタル化し、その上にデジタルサービスを走らせる「顧客利用」に着目したカスタマージャーニーの設計と具現化の重要性を語りました。

最後に安田氏は「DXの成功には経営層のコミットメントが最重要であることは言わずもがなですが、それに加えて重要なことがあります。それはミドルリーダーの「自分ゴト化」です。ビジネス変革を起こすためには、既存事業から課題を改善するフォアキャスト思考だけではなく、未来のビジョンを起点に既存事業を見直すバックキャスト思考も欠かせません。その両輪を理解し具現化・実現できるのがミドル層リーダーであり、ビジネス変革の起爆剤になる方々だと思っています」と述べ、セッションを締めくくりました。

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顧客に寄り添うマーケティング最前線

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、「カスタマーエクスペリエンスの先にある未来」をテーマに行われた、三つのセッションを紹介。データやデジタルテクノロジーを活用しながら、顧客視点でどのようにビジネスの変革を行えばいいのか?具体的な事例を交えながらマーケティングの未来像を示した各セッションについてお伝えします。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。
 
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これからのマーケティングのカギは、「寄り添い型CRM」

PDM実践ウェビナー2020最初のセッションは、クライアントのデジタルマーケティングを支援している、電通デジタルの魚住高志氏が登壇。これからの時代の「寄り添い型CRM」について、「カスタマーサクセス」の事例を交えて解説しました。

カスタマーサクセスとは、直訳すれば「顧客の成功」です。購入したモノやサービスを顧客により良く使ってもらうことで、顧客との信頼を構築し、その結果として事業成長が達成されるという思想です。これまでは主にB2Bの領域で語られていました。

魚住氏は冒頭、さまざまなサービスプラットフォーム企業が現在、カスタマーサクセスを重視したサービスを展開していることを述べました。

例えばAmazonは、蜂蜜と乳幼児向け製品を同時に購入した顧客に対し、「乳幼児に蜂蜜を与えるとボツリヌス症を発症する危険性があるので気をつけてください」という注意喚起を記したメールを配信しています。他にも、Netflixでは、しばらく視聴していない休眠客に対してメールを送り、契約を継続するか意思を確認。反応がなければ許可を取らずに自動解約するサービスを行っています。

「Amazonのメールは一見おせっかいのように見えますが、望ましくない事態の予防を見据えた注意喚起が顧客からの評価につながっています。Netflixの取り組みは自社の収益性を下げかねませんが、まさに顧客視点に立ったカスタマーサクセスの好例といえるでしょう」(魚住氏)

サービスプラットフォームはこのような取り組みを通じて、顧客の信頼と接点を構築。この動きが加速すれば、顧客は製品の性能や知名度よりも、ブランドから提供されるサービス体験で感じた親切さや好ましさを重視して購入を決めるようになり、既存市場で企業が培ってきたブランド価値が相対的に低下する恐れがあると魚住氏は指摘。

こうした現状を踏まえ、同氏は「企業はこれまでB2Bの領域だけに活用してきたカスタマーサクセスの発想を、B2Cの領域で使う必要がある」と訴えました。

さらに魚住氏は、B2C領域で顧客に寄り添ったCRMを実現するために、カスタマーサクセス志向のマーケティング全体像を提示。

カスタマーサクセス志向のマーケティング

「モノやサービスが購入された後、日常の中で顧客の信頼のベースを築く。この活動が、カスタマーサクセス思考のマーケティングです。そこで培った信頼のベースこそが、顧客の興味を再びモノやサービスに向かわせ、再購入へと導きます。つまり、ロイヤルティーの向上がアップセル・クロスセルにつながっていくのです」と述べました。

とはいえ、このようなモデルを企業が全社レベルでつくり上げるには、組織改革など手間も時間もかかります。そこで、電通デジタルでは、顧客の信頼と接点に課題を抱える企業に対し、小さく始めて成果を証明し、大きく育てる「カスタマープロトタイピング」という取り組みを提案しています。

カスタマープロトタイピング

魚住氏は、「カスタマープロトタイピング」の三つのステップを紹介しました。

ステップ1:カスタマーサクセスが顧客にとってどうあるべきか、仮説と調査を実施。

ステップ2:カスタマーサクセスの取り組みを通じて、長期的にどういったKPIを定めるのか、何のKGIを押し上げるのかを策定し、一定期間でのプロトタイピングを計画。

ステップ3:実行に必要なチームアップをした後、具体的な活動をスタート。

「これまでのマーケティングは、『顧客にモノを売ることが企業のKPIにつながる』という考え方がベースになっていました。これからは、本来のCRMの意義である、顧客に寄り添ったおもてなしの重視、『気配り、目配り、心配り』に戻す必要がある」と、魚住氏。

そのための方法として、「まずは『カスタマープロトタイピング』という形で、できることから始めてみましょう」と締めくくりました。

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モバイルオーダーが変える、外食産業の未来

PDM実践ウェビナー2020

次のセッションでは、Showcase Gig代表取締役CEOの新田剛史氏と電通 データ・テクノロジーセンターの上原拓真氏が登壇。コロナ禍により広がりつつあるモバイルオーダーと、それに伴う外食産業の変化について紹介しました。

Showcase Gigと電通は、2020年4月に資本業務提携を開始し、外食・小売・メーカーに対して、モバイルオーダーを起点としたソリューション提案を行っています。

中でもメインとなるプロダクトが、モバイルオーダーをはじめとするOMO(※)サービスの構築を実現するプラットフォーム「O:der(オーダー)」で、次の三つが特徴です。

  1. テイクアウト向けのスマホ注文決済サービス「モバイルオーダー」
  2. 店内でスマホから注文と決済を行う「テーブルオーダー」
  3. 大きなスマホのような概念で、店頭で注文・決済ができるハードウエア「セルフオーダーキオスク」
※ OMO=Online Merges with Offline。オフラインとオンラインの融合・包摂を示す概念。顧客接点や販売チャネルを「ネットとリアル」のように区別せず、あくまでも生活者の体験価値を中心に据える考え方


オーダープラットフォーム
モバイルオーダーはアプリなどから注文し、お店に並んだり店員を呼んだりしなくても、商品を受け取れる便利なツール。アメリカや中国など海外では、ここ数年で非常にスタンダードなサービスとなっています。

上原氏は、「日本での認知度はまだ低いものの、コロナ禍で非接触を求める動きが強まったことで、急激に伸び始めました」と言います。

上原氏は、モバイルオーダーが普及した要因のひとつとして、外部プラットフォームとの連携も挙げました。Google、LINE、Instagramなどを経由して注文可能な仕組みをつくることにより間口が広がり、今まで利用したことのない層を取り込めたのです。

モバイルオーダーに関する利用動向調査

外食産業がモバイルオーダーを導入すべき理由とは何なのでしょうか?最も大きなメリットは、スタッフの工数削減と客単価上昇だと、新田氏は言います。

「注文の際にいちいちスタッフを呼ばなくていいので、ビールなどお酒の売り上げが上がりやすく、売り損じを減らすことにつながります。居酒屋や焼き肉店など、いわゆる純飲食と呼ばれる業態での導入が増えていて、店舗によっては来店客のほぼ100%がスマホで注文するという現象が起きています。客単価は、平均して8~10%以上も上昇しています」(新田氏)

モバイルオーダーはまだまだ進化の余地があり、従来の「イートイン」「テイクアウト」「デリバリー」に加え、今後はコンタクトポイントの増加や、データ連携によるさまざまな活用が見込まれます。

外部連携の事例として、GoogleマップのURLからモバイルオーダーができる、吉野家の先進的な注文システムが紹介されました。

「注文チャネルは多ければ多いほどよいと考え、一つのネイティブアプリにこだわるのではなく、外部と連携しやすいWeb APIの形でつくっていました。その結果、顧客にとって非常に分かりやすい導線が出来上がりました」(新田氏)

Showcase Gigでは、モバイルオーダーのメリットを体感してもらおうと2016年に都内にモバイルオーダー特化型のカフェをオープンしていますが、その応用形で生まれたのが、Showcase Gigが開発を手掛けたサントリーホールディングスのコンセプトショップ「TOUCH-AND-GO COFFEE Produced by BOSS」です。

「BOSS」のコーヒーのミルクやフレーバー、ラベルなどをカスタマイズ注文できるピックアップ専門店をオープン。LINEや店舗の端末から注文ができ、ロッカーで簡単に受け取れる仕組みになっています。     

TOUCH-AND-GO COFFEE Produced by BOSS 
セッションの最後には、外食産業の未来構想も語られました。店内で消費するイートインなどを「ON-Premises(オンプレミス)」とすると、家や店外での消費は「OFF-Premises(オフプレミス)」といわれています。この「OFF-Premises」において、どのようにデータやIDを活用していくのかが、この先の外食産業にとって重要なことなのだといいます。

毎日のように来店していた常連さんの足が、コロナ禍によって店舗から遠のき、店側は、お客さんの顔は思い出せるのに何のアプローチもできないという相談も多く上がるそうです。だからこそ、「OFF-Premises」の世界でいかに存在感を示すかが重要となるとのこと。両氏は、今後モバイルオーダーがますます進化していくことを示唆しました。

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B2Bマーケティングで注目される「アクロスPDM」とは

PDM実践ウェビナー2020

最後のセッションは、B2BにおけるPDM活用として、ADM(Account Based Marketing)とPDM(People Driven Marketing)を掛け合わせた「アクロスPDM」(A×PDM)がテーマ。人によるセールスマーケティングからマス領域への拡張が進むB2B領域において、成功に向けた手法や思考法を紹介しました。

登壇したのは、法人向けクラウド名刺管理サービス「Eight」を展開するSansanのマーケティング担当・北川裕彬氏。そして、同氏と共にB2Bマーケティングを担ってきた電通の衣川高史氏です。

冒頭では、Sansanの事例を紹介しながら、「B2Bならではの課題」をどのように克服してきたかが伝えられました。

これまで2社の協業でB2Bマーケティングに取り組んできたものの、最初はうまくいかなかったという両氏。その原因を衣川氏は、「B2B特有のファネル構造の理解がずれていた」と分析します。

「一人のファネルを深めるために何をすべきか。いわばBtoCっぽかったんですね。しかし、実際の現場では、1社につき1人の担当者だけではなく、決裁者なども登場しながら成約へ進みます。情報収集を求めている担当者と、意思決定をしている決裁者では、求める情報に違いがある。一人のファネルを考慮した戦略は、BtoBマーケティングでは不足だったんです」と、振り返りました。

コミュニケーションフロー

そこで、電通チームはアプローチの方法をイチから見直し、SansanオリジナルのP2Cを策定しました。

「P2C」(Pass To Contract)とは電通のマーケティング手法のひとつ。ユーザーがサービスを知ってから成約に至るまでの態度変容フローを定め、フローを深化させるための現課題を明確にし、「何を目的に」「何を実施し」「何で判断するか」を表現したもので、いわばコミュニケーションのための地図です。

どんな施策が出てきたとしても、このP2Cフレームに当てはめることで、自動的に
「実施する目的は?」
「何の課題を解決する?」
「期待する効果は?」
「どんなKPIで判断する?」
といったことが一目で整理できるといいます。

「このP2Cをつくる際は、主にSansan社内に蓄積していたデータを活用しました。各部署がこれまでお客さまと交わしてきたやりとりから、『業種ごとに決裁者の感じている業務課題に対し、われわれはどんな強みがあるか、どうすれば思い出してもらえるか』をマーケの視点で再整理しました。以降は、このP2CがプランニングとPDCAのよりどころとなりました」(北川氏)

さらに、効果的なB2Bマーケティングの手法として両氏が重要視しているのが、「アクロスPDM」(A×PDM)です。これは冒頭で述べた通り、B2Bのセオリーである「Account Based Marketing」(ABM)と「People Driven Marketing」(PDM)を掛け合わせたもの。顧客を「企業軸」と「人軸」の両方で捉えてコミュニケーションするために使われます。

アクロスPDMの考え方を示すのが、「3×3のダブルマトリクス」(下図)。赤い軸は、企業を起点とした捕捉(ABM)。青い軸が、個人を起点とした捕捉(PDM)です。

空欄になっている九つのセルは、企業を主語としたときの顧客のステータスを示すもの。例えば、「契約がない会社で、かつ初めてのリードになった人」などです。

アクロスPDM

「企業」といっても企業規模・業種・エリアによって、また「個人」にも職種や役職・興味や関心・課題によって、それぞれ刺さる情報は変わります。衣川氏は、「ターゲット像をざっくり捉えるのではなく、顧客のタイプを細かく分類し、どんな登場人物がいるかを考えながら戦略を設計すると成功につなげやすい」と言います。

最後に北川氏は、「PDCAを効率よく回すためにも、P2CやアクロスPDMに基づいたシナリオづくりが重要だと感じています。B2Cではなく、B2Bならではのファネル構造があるというところに、今後もしっかり目を向けて取り組んでいきたい」と宣言。

衣川氏は、「一回つくったものを、『企業』軸と『個人』軸でさらにつくり、ブラッシュアップし続けるという戦略レベルのPDCAが大切」と今後の展望を語り、セッションをまとめました。

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データマーケティングの最前線で行われている次の“打ち手”とは?

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、企業のデータ人材育成と環境構築を支援する電通クロスブレインによる日米のデータ活用動向紹介など、今企業に必要な「データ活用法」のヒントをお届けします。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

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「Always onマーケティング」の課題と解決。日本とアメリカのデータ活用最前線

濱窪大洋氏、高橋学氏

データ分析のトップ人材が集まった電通クロスブレインの川邊氏と佐藤氏。データマーケティングの現在地をひも解き、次の一手を打つために必要な人材や職能について解説しました。

テクノロジーの進化に伴い、生活者の情報収集の行動は大きく変わりました。自分の欲しい情報を能動的に取りにいく行動が一般化し、一人ひとりが欲しい情報も、受け取りたいタイミングも異なります。

加えて、情報収集の仕方にも変化が起こっています。日本屈指のデータサイエンティストである佐藤氏は、「検索エンジンではなくSNSのタイムラインで自分の興味・関心にマッチした情報を得る人が増えています。一方、SNSに慣れていない世代は全く異なる方法で情報収集を行います」と、情報収集の手段が多様化している点を指摘しました。

このような状況の中で近年、注目を集めている言葉が「Always onマーケティング」です。Always onとは、「常につながっている」ということ。生活者一人ひとりに対して最適なタイミングで最適な情報を提供することで、企業と生活者の関係を良くしていくためのマーケティングコンセプトです。

Always onマーケティングをめぐるテクノロジーの中でも、特に川邊氏が着目しているのが、「サードパーティークッキーに代わるもの」です。ユーザーが訪問しているウェブサイトのドメイン以外から発行される「サードパーティークッキー」は、生活者一人ひとりに最適な情報を届けるターゲティング広告には欠かせない存在でした。

しかし、近年は個人情報保護の観点から、サードパーティークッキーが以前のように使えなくなりつつあります。直近までアメリカでデータアナリストチームのディレクターを務めていた川邊氏は、アメリカで議論されている「サードパーティークッキーに替わる“次の一手”」について解説しました。

一つは「ウォールドガーデン」(※1)と呼ばれる概念です。GoogleやFacebookなどのプラットフォーム企業が、生活者の個人情報を保護した状態で保有するエコシステムを指します。

このエコシステムをクライアント企業が活用することで、高度かつスピーディーな広告施策が可能になります。しかし一方で、ウォールドガーデンの中で起きていることが見えにくく、クライアント企業が自社で情報を適切に管理できないことが懸念されています。

そこで他の選択肢として川邊氏が挙げたのが、生活者データを活用するためのエコシステムを自社で構築する方法です。

「実際に自社でPII(Personally Identifiable Information、個人を特定できる情報)を収集し、自前のファーストパーティークッキーを連携させる仕組みを構築する動きも出てきています」と川邊氏。

このようなデータ基盤を自社で構築すれば、継続的に顧客理解を深めることができ、市場に出回っているさまざまなデータを自社基盤と連携させることも可能になります。

サードパーティークッキーに替わる二つの方向性

※1 ウォールドガーデン
プラットフォーム企業がユーザーの個人情報を保護した状態で保有する広告のエコシステム。そのエコシステムの中でクライアント企業が匿名化・統計化されたデータを活用し、精度の高いターゲティング広告を実施できる環境のことを「データ・クリーンルーム」という。


技術の高度化・複雑化が加速し、データ分析ができるマーケターの育成が急務に

サードパーティークッキーに代わるデータ分析・データ活用の環境が整いつつあると同時に、新たな問題として浮かび上がってきたのが「人材不足」です。

佐藤氏は、近年マーケティングの取り組みがコモディティ化しており、AI関連技術でさえも差別化が難しくなっている点について述べた上で、「技術そのものよりも、それをマーケティングの現場にどのように応用するかという“企画力”が求められている」と解説。

「企業にデータやAIを活用できる環境があっても、人材不足のために、事業への実装が容易ではない現状があります。特に、すべてのデータを一元的に分析し、一貫性のある顧客体験に向けて一丸となって動けている日本企業は、それほど多くありません」との見解を示しました。

マーケティングテクノロジーの高度化、複雑化が加速し、広範な分野で数多くのツールが生み出され、それぞれが成熟してきました。

「企業は専門家をパートナーに迎え入れてマーケティングテクノロジーを活用するわけですが、専門家の助けがあっても全てを理解するのは難しく、重大な見落としやエラーが発生しているのが現状です」(佐藤)

こうした課題を解決するために企業は何に取り組むべきでしょうか?川邊氏は「企業が“マーケティングデータアナリスト”を自社で採用し、育成すること」だといいます。

マーケティングデータアナリストとは、マーケティングに明るいだけでなく、データ分析環境の設計、構築、正しいデータ分析手法の選択ができる人材のことです。

「短期間で多くのマーケティングデータアナリストを採用するのが現実的に難しい場合、自社のマーケターをマーケティングデータアナリストとして育成することをおすすめします。本来のマーケティング業務を行いつつ、外部のデータ専門企業と協業し、データ活用に必要なスキルや知見を吸収して、人材育成のベースを築くことから始めるのです」(川邊氏)

もう一つ、重要なポイントとして川邉氏が挙げたのが「データ分析とデータ活用をスムーズに連携できる体制の構築」です。

「データ分析」と「データ活用」を連携するための人材と体制
  • データドリブンマーケティングプランナー
  • マーケティングデータアナリスト
  • マーケティングテクノロジーエキスパート
  • マーケティングデータエンジニア

の4つの職能をもつ人材が一つのチームになり、事業目標やブランドアイデンティティ、価値観などを共有することで、より大きな成果につなげることができると川邊氏は解説し、セッションを締めくくりました。

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ニューノーマル時代に求められる「データ連携」を活用したマーケティングとは?

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、「デュアルファネルのさらなる進化~データ連携の拡張」がテーマのセッションから、CCCマーケティングの小林浩輔氏と電通 データマーケティングセンター矢島亮氏のセッションを中心に振り返ります。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

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      Cookieレス時代に欠かせないマーケティング基盤「データクリーンルーム」

テーマ「データ連携の拡張」では、三つのセッションが行われました。一つ目のセッションでは「Data Clean Room(データクリーンルーム)」の実態と実践事例が紹介されました。

個人情報保護の意識の高まりにより、CookieやIDFA(iOS端末の広告識別子)といった、データマーケティングの基礎を支えてきたIDの活用が難しくなった現代。一方で、さまざまなメディアを掛け合わせた分析をマーケティングに生かしたい、というブランド側のニーズは変わっていません。

個人情報保護の遵守と、マーケティング課題の解決を両立するにはどうしたらいいか。そこで生まれたのが「データクリーンルーム」です。

そもそも「クリーンルーム」とは無菌室、防塵室のこと。「データクリーンルーム」とは、データの統合・分析といった特定の目的のため、個人が特定できない形に匿名化された情報に、限られたデータサイエンティストだけがアクセスできるクラウド環境のことです。この基盤を活用することで、事業会社が今まで蓄積してきた「ファーストパーティーデータ」と呼ばれる自社の購買データやキャンペーン参加の情報と、プラットフォーマーが持っているさまざまな情報をセキュアに統合することができます。

データクリーンルームの活用で、より一人一人の顧客を中心に考えたビジネス展開が実現できる可能性が語られました。

Tポイントの大規模購買データを基点とした日用消費財のデュアルファネルマーケティング

小林氏と矢島氏

この日最後のセッションでは、電通とCCCマーケティングが共同で開発したソリューションモデルについて語られました。

電通 データマーケティングセンターで主にマーケティングメソッドの開発や実施を担当する矢島亮氏と共に登壇したのは、CCCマーケティングの小林浩輔氏です。7000万人を超えるT会員のユニークデータ(※)を活用し、さまざまなビジネスソリューションを提供しているCCCマーケティング。小林氏は、メーカーや流通企業向けに、データ活用のコンサルティングなどを行っています。

※=ユニークデータ
7000万以上のシングルID、年間50億件以上の購買トランザクション、20万店舗のネットワークで扱われる60億種類の商品データ、300項目からなる顧客DNAのペルソナデータ、オフライン・オンライン上の移動・行動データやメディア接触データ、またCCCMKグループオリジナルのエンハンスデータなどを指します。
 

小林氏は冒頭、「テクノロジーや仕組みが整ってくる中で、以前はやりたくてもできなかったことが実現できるようになってきた」と述べ、今まで難しかった日用消費財におけるデュアルファネルマーケティングについて、分析結果や事例を交えて紹介しました。

「デュアルファネル」とは、認知から購買までの新規顧客獲得のファネルと、既存顧客を管理するファネルの二つを合わせたもの。新規顧客獲得のためのファネルには「認知」「興味・関心」「検討」、既存顧客獲得のファネルには「リピート」「アップセル・クロスセル」「ロイヤルカスタマー化」が分類されます。

「多くの日用消費財は、消費者が『すでに使っている』『商品を知っている』ことが多いため、企業にとってはリピーターの獲得が重要になる」と矢島氏は語ります。

多くの日用消費財ブランドにとってはファネルの後半が重要

日用消費財で注目すべき既存顧客獲得のファネル。これはつまるところ、「誰がどのくらい買っているのか」という顧客の購買状況を把握することでもあります。

しかし、日用消費財の購買を、オンラインで正確に把握するのは難しいのが実情。そこで、「解像度を高く購買状況を把握するために欠かせないのが、Tポイントのような大規模な購買データです」と矢島氏。

特に、Tポイントはユーザーを一つのIDで識別できるため、例えば、今までコーヒーAのロイヤルユーザーだったけれど、3カ月後には別のブランド B に移ったというように、「今、どのユーザーが、どのファネルにいるのか」を追うことができます。

さらに、ブランドやカテゴリーを横断した“顧客当人の視点”から顧客を管理できるメリットもあります。

1ID管理のメリット
縦のブランドの視点から見ると、お茶については A さんが2本、Bさんが3本購入しており、一見Bさんの方が優良顧客に見える。しかし、1IDで実現する右側の緑色の目線から見ると、 A さんの方がメーカー全体で見ると優良顧客であることが分かる。このように、自社単位で見たときのロイヤルユーザーが発見できる。

矢島氏は、「『モノの売れ方の把握から、ヒトの状況の把握へ』と視点を変換することで、購買データは実践的なマーケティングに使えるものに変わってきています」と言います。

こうした考え方に基づいてデュアルファネルマーケティングの課題を解決するため、電通×CCCマーケティング共同で開発したソリューションモデルが「Shoppers Driven Platform(ショッパーズドリブンプラットフォーム)」です。

Shoppes Driven Platform

デジタル上の連携により、“分かる”データから“できる”データへ

「Shoppes Driven Platform」は、顧客の状態を随時可視化してフィードバックしていくための仕組みです。

セッションの後半では、Tポイントの大規模購買データを活用することで、Shoppes Driven Platformがどのような点で進化しているのか、最前線事例を通して説明されました。

<進化のポイント>

「ターゲットセグメントプロファイリング」
ターゲティングや分析のときに、デモグラ・趣味嗜好だけでなく、顧客のリアルな購買状況でターゲットを考えることができる。

「具体的な統合コミュニケーションプラン」
従来のようなテストマーケティングだけではなく、実際のデジタル上で十分な規模の打ち手が実行可能となった。

「効果測定PDCA」
単発キャンペーンの検証だけではなく、中長期的な検証を行うことで、長期間の顧客育成ができる。

「顧客ID視点のクロスブランド・クロスカテゴリー」
ブランド単体ではなく、メーカー全体でのLTV(顧客生涯価値)という考え方が加わった。

かつては難しかった日用消費財におけるデュアルファネルマーケティング。デジタル上の連携が実現することで、同領域でも、顧客起点のPDCAがビジネスレベルで展開できるようになってきました。

小林氏は最後に、「CCCマーケティングと電通のアセットを組み合わせることによって、デュアルファネルマーケティングが、より精度の高いものになると考えています。『 “分かる”データから“できる”データへ』をテーマに今後も進化を続け、皆さまのマーケティングをサポートしてまいります」と述べ、セッションを締めくくりました。

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ブランディングの未来はどうあるべきか。DX推進に必要な四つの視点

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、数々の「ブランド体験」を創造してきた、電通デジタルのエグゼクティブクリエーティブディレクター・佐久間崇氏が、「クリエイティビティーが拓くブランドの未来」について語ったセッションを紹介。

デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、ブランドの未来はどうあるべきか。社会の変化に伴うブランドの在り方を示し、ブランド変革に必要な視点を提示します。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。
 
PDM実践ウェビナー2020
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DXを推進する前に、ブランドの本質に立ち戻る

佐久間崇

デジタル化が加速する昨今、人々の価値観は大きく変容しています。消費動向は「所有価値から使用価値へ」「モノからコトへ」「製品からサービスへ」とシフトし、企業のDXもさらに重視されるようになりました。

こうした変革期において、重要なのがクリエイティビティーです。クリエイティブディレクターとして、企業のブランディング立案・実施に取り組んできた佐久間氏は、企業がDXを推進する前に、まずは本質に立ち返る必要があると指摘します。

「DXの目的は、デジタルツールの導入ではありません。それでは手段の目的化になってしまいます。改めて自社の製品、ビジネス、ブランドを未来に向けてトランスフォームしていく意味を見つめ直し、その本質を理解した上でDXを考えていくことが必要です」

「People」「Purpose」「Creativity」「Data/Tech」の4視点で、ブランドのDXを促進

その上で、ブランドをトランスフォームするために、以下の「四つの視点」を挙げました。

PDM実践ウェビナー2020


1. People ターゲットや顧客の視点

デジタルシフトやグローバリゼーション、新型コロナウイルスの拡大に伴い、働き方やライフスタイルが多様化し、生き方の選択肢も増えています。佐久間氏は、「これからは、人々が自分ならではの物語、自分らしい生き方を模索しながら生きていく時代」だと分析します。つまり、ますます“人”が主役になっていく時代です。

その時、ブランドの役割はどうあるべきでしょうか。佐久間氏は、発想を転換し、「個人の人生を輝かせること」を考えるべきだと述べます。

「ブランドには、“高級”“憧れ”などのイメージがあります。そのため、これまでブランドと個人の関係性は、“ブランドが描く世界観を個人が享受する。その世界観に参加させてもらう”というものでした。しかし、これからは一人一人が主役になる時代。ブランドの役割は、“人=LIFEを輝かせること”になっていきます。大切なのは、人が輝く舞台を整えること。その意識を持つことが、DXを進める上で大前提になるでしょう」

2.Purpose 目的を明確にする視点

ブランドをトランスフォームするには、事業の目的を再定義すること、つまり「何を、何のためにするのか」を突き詰めることも重要です。

これまでは、商品の存在を知ってもらうための手段として広告がありました。そして、販促や商品をプロモートするためにPRがあり、商品を届ける手段として販売がありました。つまり、企業活動のすべてが“商品を売ること”が中心になっており、その他は手段だったのです。

しかし、目的を中心に置くと、企業活動はすべて目的のための手段だと気づきます。すると、企業活動も製品からサービスへと必然的にシフトしていきます。佐久間氏は、「商品ではなく目的の実現を中心に据え、そのための手段を再発明・再解釈することがDXの本質」だと述べ、事業の目的や商品が生まれた経緯、そこにある意思をもう一度探るよう促しました。

3. Creativity サービスやプロダクトの視点

では、目的を規定した上で、どのようにサービスやプロダクトを生み出していくべきでしょうか。佐久間氏は、「クリエイティビティーの解放」が重要だと指摘します。

「クリエイティビティーというと、難解なイメージを持たれるかもしれません。しかし、大事なのは子どものような発想。『これ、よくない?』『これ面白くない?』という無邪気な感覚こそ、クリエイティビティーです」

ビジネスにおいては、直感やひらめき、「なんとなくいい」という感覚は、表に出さない傾向がありますが、佐久間氏は「一人一人のセンスを信じることがクリエイティブ思想」だと言います。

「自分の直感、ひらめき、イメージを解放し、常識を疑って言語化していくこと。あるいは『何か変だ』という感覚や違和感を掘り下げること。それが、多様化が進む社会にマッチする新たなクリエイティブにつながるのではないでしょうか」と佐久間氏。

こうして生まれたクリエイティブアイデアを評価する軸として、佐久間氏が大事にしているのは「ハッとして、グッとくる」かどうかです。

PDM実践ウェビナー2020

「ハッとする」は驚きや新しさ、ビックリマークがつく状態を指します。さらに、共感や好感を抱かせる「グッとくる」要素も必要です。こちらはハートマークがつくような状態を指します。つまり、「ビックリマークとハートマークをつけたくなるクリエイティブアイデアこそが、新しさと普遍性を兼ね備えている」と、佐久間氏は述べました。

4. Data/Tech 実現方法の視点

こうして生まれたクリエイティブアイデアを実現するために、活用するのがデータやテクノロジーです。その好例が、シリコンバレー発のD2C(Direct to Consumer)シューズブランド「allbirds」だと佐久間氏は言います。

allbirds

このブランドのコンセプトは、「世界で最も快適なシューズ」。機能性が優れているだけでなく、羊毛やサトウキビなど肌にも地球にも優しいサステナブルな素材を用いているのが特徴です。「“サステナブルな靴を選んで履くことはかっこいい”という価値を提供している点が新しい」と、佐久間氏は同ブランドの方向性に賛意を寄せます。

また、公式サイトでは、素材調達から商品廃棄までのプロセスにおけるCO2排出量を“見える化”した動画も公開。さらに、グローバルな顧客データ管理や在庫調整を瞬時に行ったり、ユーザーからのフィードバックを取り入れ、細やかにプロダクトリニューアルを行ったりする点でも快適性を追求しています。

「ユーザーの快適性向上やサステナビリティーのためにデータを活用する。この点に新しさを感じます。データドリブンを否定するつもりはありませんが、やりたいことを実現するためにどんな手段があるのか考え、その上でデータを活用するという順番の方がスムーズではないでしょうか」

個人のライフを輝かせるために、ブランドにできること

視点1で述べたように、これからは人が主役です。個人のライフを輝かせるために、ブランドに何ができるか。ブランドの未来を切り開くには、その役割を追求する必要があります。

ブランドのDXに必要な「四つの視点」を紹介しましたが、必ずしも順番通りに行う必要はありません。2番目の「目的を明確にする視点」から始めるとスムーズですが、どれを起点にしてもすべての視点で考えることが大事だと佐久間氏は指摘します。

その上で「優れたクリエイティブアイデアは、どの視点からも説明でき、さらにアイデアを上乗せできます。その繰り返しにより、ブランドが輝き、人に親しまれ、必要とされるのだと思います」と締めくくりました。

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電通的マーケティングDXの歩み、現在地、そして未来

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、電通グループでディレクターを務める中津久美子氏が登壇したセッションの内容を紹介。電通が注力するマーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)の全体像について、これまでの経緯と現在の取り組み、そして今後の展望を語りました。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

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生産性向上のDXと、新たな価値を創造するDX

中津氏

ここ数年で耳にする機会が増えた「DX」というキーワード。新聞や書籍、インターネットなどでさまざまな定義付けがされていますが、冒頭で中津氏は改めてDXの定義を行いました。

中津氏は、DXは二つの局面に分けて定義できると言います。一つ目が、「ビジネス上の要請・課題を、ICT技術を利用して解決すること」。二つ目が、「ICT技術活用による課題解決にとどまらず、ビジネスモデルそのものを変革し、新たな価値を提供すること」です。

前者がプロセスの効率化やコスト削減に寄与するのに対し、後者は事業戦略を含めたプロセス全体の刷新、ビジネスの改革、時には新たな産業構造の創造をもたらします。

「電通グループがこれから注力したいと考えているのは、二つ目の局面。DXの力で新たな顧客体験を創出し、顧客数の増加、エンゲージメントの強化、売り上げの増加を実現していきます」と中津氏は述べました。

では、電通が目指すマーケティングDXとは具体的にどのようなものなのでしょうか?その前に中津氏は、DXの歴史を簡単に振り返りました。

Marketo社の日本上陸が、マーケティングDXの本格的な幕開けに

2000年代前半には、すでにさまざまな顧客体験がデジタル化しつつあったものの、「デジタルマーケティングという言葉はまだなかったと記憶しています」と話す中津氏。

そこに一石を投じたのが、「CRM」(顧客関係管理)と「LTV」(ライフタイムバリュー)という考え方。いずれも顧客との“関係性”を重視した概念です。

これらの概念が生まれたことで、マーケティング領域では、新規/既存などステージによって顧客を区分した上で、顧客に応じたカスタマイズやパーソナライズが求められるようになっていきます。

当時の日本企業ではマーケターが手作業でコミュニケーションの出し分けを行っていましたが、2014年にアメリカのMarketoが上陸したことで状況は一変。コミュニケーションの「1to1」化を支援するマーケティングオートメーションツールが台頭し、複雑化するデジタルマーケティングがより早く正確に実行できるようになりました。

「この時が、本格的なマーケティングDX時代の幕開けだったのでは」と中津氏は振り返ります。ちなみに、電通デジタルの前身である電通イーマーケティングワンは、Marketoの日本法人設立に携わっています。

電通の動きとしては、2016年に電通デジタルを設立。広告とCRM領域の双方のデータを統合し、デュアルファネルで一気通貫したマーケティングを目指す専門組織として立ち上がりました。

X-Stack(クロス・スタック)
「X-Stack(クロス・スタック)」とは、オンライン/オフラインを統合したデータを基にAI・機械学習で事業成果の予測モデルを構築し、マーケティング施策を最適化する電通デジタルのソリューション。

また、国内電通グループ全体でも、従来の広告領域に加えて、新規事業・サービス開発、マーケティング戦略全体の策定、カスタマーサクセスといった領域にサービスメニューを拡大し、あらゆるビジネスデザインに対応できる体制をつくり上げてきました。

電通グループのサービスメニュー

「各社がマーケティングDXに必要な領域を磨いてきたのです」と、グループ全体で“電通的DX”の基盤が培われてきたことを中津氏は説明しました。

業務の断絶を乗り越える、電通グループの三つの強みとは?

マーケティングDXの実現に向けたテクノロジー環境や基盤が十分に整った一方で、国内電通グループとしては組織ごとに業務が細分化、個別最適化され、業務の断絶が生じていました。

そこで実施されたのが大規模な組織変革。2020年、純粋持ち株会社の電通グループが誕生し、「Integrated Growth Solutions」というメッセージを掲げて、グループ内の多様なケーパビリティーの統合、マーケティング領域を超えた顧客のトップライン成長の支援を目指しています。

さらに中津氏は、業務の断絶を乗り越えるポイントとして、国内電通グループの三つの強みを挙げました。

強み① データ
マーケティングデータのみならず、さまざまなデータを収集・統合。不足するデータを加えながら顧客の「解像度」を上げ、磨き続けています。

さらに、ウェブのログデータ、テレビ視聴ログデータなど電通独自のデータを連携した、量・質ともに日本最大級のデータベース「People Driven DMP」も日々進化し続けています。

強み①

強み② テクノロジー
現在のマーケティングにおいては、Adobe、Google、Salesforceなどが提供する各種マーケティングツールやサービスの使いこなしは必須です。国内電通グループには、そうしたテクノロジーのエキスパート企業群がそろっています。あらゆるマーケティングクラウド製品に精通し、DMP/CDP、そしてAIに関しても、顧客ニーズに応じてさまざまなメニューを提供できます。

強み②テクノロジー

強み③ クリエイティビティー
電通に求められているのは、データやテクノロジーを駆使して、新しい価値を創造すること。電通グループに脈々と受け継がれてきたクリエイティブのDNAをフルに発揮して、マーケティングDXによる新しい価値の創造にチャレンジしていきます。

“人”基点のマーケティングは、企業で働く“一人一人”に向けても展開する

セッションの最後に、中津氏はこれから電通と国内外電通グループ各社が実現していきたいことについて語りました。

「People Driven Marketing は“人”基点の統合マーケティング・フレームワークとして、毎年進化を遂げてきました。今後は、エンドユーザーだけでなく、クライアント企業で働く社員の方々を基点にした変革も必要だと考えています。

例えば、電通デジタルではコロナ禍における顧客対応の在宅化ソリューションを提供しているのですが、活用いただいたクライアントから“顧客との結びつきが以前よりも強くなった”という声を頂きました。結果として、リアルで会っていたときよりも、企業と顧客のエンゲージメントを高めることに成功したのです。

企業の方々の働き方にフォーカスをすることで、顧客体験も変えていく。このようなDXに積極的に挑戦していきたいと思います」

また、中津氏は究極のパーソナライズとして「リアルタイムマーケティング」をキーワードに挙げました。「例えば、マーケティング部門のみならず製造部門やバックオフィスも、顧客データを基に、すべての企業活動がリアルタイムに連動・反応していく。そのような世界が、技術的には実現可能なところまで来ています」と中津氏。

「マーケティングの普遍的な力は、人の気持ちを動かしていくこと。今後も企業と顧客とのエンゲージメントを変革し、クライアントの成長に継続的に貢献してまいります」と述べ、セッションを閉じました。


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ニューノーマル時代のマーケティング、三つの必須キーワードとは

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

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デジタル&データ時代に対応する、“人”基点の統合マーケティング「PDM」

濱窪大洋氏、高橋学氏

「New Normal時代のマーケティングに必須な3つのキーワードとは?」と題したセッションでは、電通でデータドリブンマーケティングを推進する濱窪大洋氏と、ソリューションディレクターを務める高橋学氏が登壇。

近年の社会状況や人々の消費行動の変化を踏まえ、“人”基点のマーケティングの実現に必要な三つのキーワードについて語りました。

デジタルの進化で顧客と企業が“Always-on”でつながり、人の意識と行動の可視化が急速に進む現代。

この時代に対応するマーケティング・フレームワークとして、2017年に電通が発表したのが「People Driven Marketing」(以下、PDM)です。

顧客の意識データと行動データを基に、“最適な情報”を“最適な対象者”に“最適な場所”と“最適なタイミング”で届けることで、企業のマーケティング目標を達成することを目指してきました。

PDMの内容は年々進化しており、2019年は「PDM3.0」として、デュアルファネル化する企業のマーケティング活動全体への支援活動を進めてきました。

「従来の電通が得意としていた“新規顧客の獲得ファネル”に加え、“既存顧客の管理ファネル”を組み合わせたものがデュアルファネルです。認知~購買領域と、CRM(顧客関係管理)領域を統合させて、顧客のLTV(顧客生涯価値)向上を目指します」(濱窪氏)

PDM 3.0

しかし2020年は社会が激変し、デュアルファネルの取り組みにも変革が起きています。濱窪氏はまず「2020年に人々の生活や意識がどのように変わったのか」を解説しました。

2020年はキャッシュレス、D2C、デジタルコミュニケーションが急速に浸透

コロナ禍で多くの人々が自宅で過ごすようになり、外出する時間は激減しました。その中で、濱窪氏はキャッシュレス決済の利用率に着目。「感染拡大防止の観点から、多くの局面で現金を使う割合が減ってきています」と、キャッシュレス決済が浸透していることを指摘しました。

キャッシュレス決済が浸透

また、濱窪氏は、「外出時間の減少に伴い、もともと通信販売と親和性の高くなかった業種もEコマースに注力するようになってきました」と指摘し、Eコマースの売り上げが伸長しているデータを提示しました。

中でも、「D2C」(※Direct To Consumer。小売店などを挟まず、企業が自社サイトなどで直接商品を販売するビジネスモデル)について、「化粧品などの業界でも、大手メーカーの参入が報じられています。Googleの検索トレンドなどを見ても、“D2C”の検索が急上昇しています」と、市場のポテンシャルに期待を示しました。

そして濱窪氏がキャッシュレス、D2Cの台頭と並んで挙げたもう一つの重要な変化が、情報接触のデジタルシフトです。人と人のコミュニケーションがデジタル中心となるのに伴って、情報源としてもデジタルの重要度が高まっています。

「商品やサービスを知るために、ソーシャルメディアや情報ブログ、企業の公式サイトが役立つと感じる方が増えています」(濱窪氏)

Twitterがきっかけで、ホットサンドメーカーを購入。そこから得た発見とは?

こうした人々の意識や消費行動の変化に対して、マーケティング活動はどうあるべきか?そのひとつの答えとして濱窪氏が挙げたのが、Googleが提唱する消費行動の概念、「パルス(瞬間的に流れる電流)型消費」です。

従来の購買プロセスは「認知→興味→比較→検討→購入」という流れが主流でしたが、パルス型消費は「明確な理由がないまま、気に入った商品を購入する」という瞬間的な消費行動です。

昔から日用品などでは、いわゆる衝動買いが日常的に起きていましたが、スマートフォンの普及で時間や場所に関係なく商品・サービスを購入できるようになり、洋服や家電でもパルス型消費が起きています。

濱窪氏は「スマホを使っていて、偶然知った商品を“その場”で買うことに躊躇がない生活者が増えている」というデータに触れ、「最初は驚きましたが、よく考えると自分にも心当たりがあります」と述べます。

「私も先日、あるTwitterの投稿を見て、ホットサンドメーカーを購入したのです。私以外にも同様の方がたくさんいらっしゃったようで、後日、その商品が品薄になったという記事を目にしました」(濱窪氏)

この購買プロセスは、「Twitterの投稿を見る→購入する」という典型的なパルス型消費ですが、「振り返ってみると、“伏線”がありました」と濱窪氏は言います。

同氏は、緊急事態宣言による自粛期間中、料理をする機会が増え、レシピサイトをよく見ていました。加えて、「ソロキャンプの動画が面白い」という話題を目にしてYouTube動画を閲覧したり、アウトドアグッズを購入したそうです。

これら一連の流れと、「Twitterでホットサンドメーカーの情報を見た」ことに、表向きの紐付きはありません。しかし、小さな要素が伏線として積み重なった結果、最終的な「Twitterを見てホットサンドメーカーを購入する」体験につながったのではないかと濱窪氏は言います。

「この体験をマーケター目線で考えると、最後にTwitterを見るまでの伏線上にある行動は全てデータとして存在している。こうした“伏線”は、購入行動のトリガーに至るヒントや予兆になるのではないでしょうか」と述べました。

つまり、商品を認知する“前”のさまざまな情報接触をもマーケティングデータとして捉えることが、マーケティング戦略において重要になるというのです。

「伏線となる情報接触が蓄積され、何かがトリガーとなって購入に至る」という考え方は、新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の管理ファネルにも大きな影響を及ぼします。ロイヤル顧客の行動や、彼らが拡散してくれる商品の評判が、認知前の新規顧客に影響を与える“伏線”や“トリガー”になるからです。

濱窪氏はその観点から、「CRMは、既存顧客のLTV向上だけでなく、新規顧客獲得のためにも重要になっていくでしょう」と語りました。

世界的な個人情報保護の強化。開示する情報を生活者が選べる時代に

濱窪氏が述べたように、生活者の行動データのデジタル蓄積は急速に増え続け、マーケティングへのデータ活用も加速しています。

一方で、世界的に「個人情報保護の強化」が推進され、生活者の行動データをマーケティング活用することに慎重な姿勢が求められる情勢もあります。

濱窪氏に代わって登壇した高橋氏は、個人情報保護の重要性と、それを踏まえた上でのマーケティング活動に必要な三つのキーワードについて解説しました。

高橋氏はまず、欧州や米国におけるネット上の個人情報保護強化をめぐる動きを整理。AppleやGoogleといったプラットフォーマーが、従来のデジタル広告の主力を担ってきたCookieの利活用を大きく制限する方向に進んでいることに触れ、さらに、日本でも公正取引委員会主導で、同様の動きが起きていることを紹介しました。

「Cookieの利用方法を生活者自身が選べる仕組みを導入する企業も増えています。自分の個人情報をどこに開示するかを、生活者自身が選べる時代になっていくということです」(高橋氏)

しかし、すでに現代のビジネスは、生活者データなしには成り立ちません。こうした時代には、企業もデータ活用に対する姿勢を改めていく必要があると、高橋氏は言います。

生活者のためのPDMの実現に欠かせない、三つのキーワード

現在の社会状況は、コロナ禍の影響でデータ活用の「アクセル」が踏まれると同時に、個人情報保護の動きで「ブレーキ」も踏まれている状態です。 

今後重要になるのは、生活者にポジティブな意味で「データを開示したい」と思ってもらえるアプローチ。「私たちは、それをPDM4.0としてアプローチしていきたいと思っています」と高橋氏は述べ、具体的な方向性を示しました。

生活者がすでに情報を預けていて、“ここに情報を開示しないと自分の生活は成り立たない”というサービスを提供している企業と組むこと。そういった企業と組みながら、自社と生活者がつながり続けるデータ基盤をつくること。生活者に“個人データをつなげてもかまわない”と思ってもらえる関係性を結んでいくこと。

高橋氏は、「個人情報保護のルールをきっちりと守りながら、データ活用していくことが重要です」と述べ、上記のことを実現するために電通が掲げる三つのキーワードを紹介しました。

キーワード①データクリーンルーム

「Data Clean Room(データクリーンルーム)」は、大手プラットフォーマーが企業に向けて提供するサービスです。クリーンルーム内の全てのデータは、個人を特定できない形で統計化・匿名化されていることから、プライバシーが侵害されることのない「無菌室=Clean Room」と呼ばれています。

プラットフォーマーの持つデータと、各企業の持つファーストパーティーデータ、さらに電通グループが持つ独自のマーケティングデータを、クリーンルーム内で個人情報を侵害しない形で統合し、マーケティング活用していくという手法が、今後重要になってくると高橋氏は言います。

キーワード②寄り添い型DX

二つ目は、「寄り添い型DX(デジタルトランスフォーメーション)」。これは「カスタマーサクセス」、すなわち生活者の成功や要望を第一に考えてDXを推進し、継続的な付き合いの中でLTVを向上させていく姿勢のことです。

「生活者に寄り添うホスピタリティーやサービスが前提としてあり、そこに必要なデジタルやセキュリティを用意していく。これが私たちの考えるDXです」(高橋氏)

キーワード③Data×CR

最後のキーワードは、「Data×CR」(データ×クリエイティブ)。

「行動データを提供することで得られる体験価値」が伝わらなければ、誰も企業に行動データを渡そうとは思いません。そこで重要なのが、電通が長年培ってきたクリエイティブの力です。

「企業の思いと生活者をつなぐ“体験価値”を具現化できなければ、PDMは単なる数字やデータの蓄積になってしまう。“クリエイティブによる体験価値の具現化”こそが、データを使ってマーケティングを行うPDMの最大のポイントです」(高橋氏)

PDM 3.0から4.0への深化

「データクリーンルーム」で生活者の背後にある文脈を洗い出し、「寄り添い型DX」で生活者が望むサービスに合わせたデジタル基盤をつくる。そして、それらを踏まえて「Data×CR」で最適な体験価値を提供する。

「こうした一連のフローの中で、電通グループの強みを生かしていく。それがデュアルファネルの深化であり、顧客とともに幸せな体験をつくり続けるエコシステムの進化です」と高橋氏は述べ、セッションを締めくくりました。


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