29日、中京競馬場で開催された高松宮記念(G1)は、モズスーパーフレアの松若風馬騎手がデビュー7年目にして嬉しいG1初制覇。2位入線からの繰り上がり優勝だったとはいえ「まさか勝てると思っていなかったんですけど、初めて勝てて、素直にとてもうれしいです」と待望のビッグタイトルに喜びを爆発させた。
その一方、不可解な大敗を喫してしまったのが、アイラブテーラー(牝4歳、栗東・河内洋厩舎)だ。
17着ダイメイプリンセスから離されること11秒。鞍上の武豊騎手が結局、1度もムチを入れることなく、最後は馬なりでゴールした。10番人気の伏兵扱いだったが、ここまで7戦して5勝2着2回の連対率100%と、本来であればここまで大敗する馬でないことは明らかだ。
「うーん、この日は1月以来の休み明けにも関わらず-8kgの426kgと、ただでさえ小さい馬が余計に小さく見えました。ゲートの出こそ悪くなかったんですが、そこからまったくダッシュがつかず、終始後方……はっきり言って、まったくレースに参加しないまま終わってしまいました」(競馬記者)
実際に、武豊騎手もレース後「走りが本物ではなかった」とコメント。「左回りが良くない」と課題を指摘したが、この大敗劇の原因に挙げるには少々無理がある。一体、「何」があったのだろうか?
「実は、アイラブテーラーは最終追い切りを行っていないんですよね。連闘などではそういうこともありますが、約2カ月の休み明けでは極めて異例。それもG1となると記憶にありません。
もっとも1週前追い切りで速い時計は出していましたし、陣営も『これ以上やって馬場に入れると引っかかる』と理由を挙げていましたが……」(競馬記者)
ただ記者曰く、決して「陣営に勝つ気がなかったというわけではない」という。
実際に陣営の直前の動きを見ても、ドバイ国際競走が中止になったことを受け、遠征予定だった武豊騎手を指名。ビジネスウエアの製造販売社を手掛けるオーナーの中西浩一氏も『デイリースポーツ』の取材に「(勝ったら)スーツをバラまきますよ!」と、馬主歴30年目で初のJRA・G1挑戦に息巻いていた。
「新型コロナウイルスの影響で先日、日本馬主協会連合会から馬主の競馬場への入場を自粛する旨の発表がありましたが、アイラブテーラー陣営は(本馬を生産した)富菜牧場のスタッフを招待するなど高松宮記念を競馬場で観戦。マスクやアルコール消毒など、非常に気を遣いながら現地に駆けつけて応援していたそうです。
これだけを見ても、陣営が勝負を捨てていたとは思えません。それだけにこの結果は非常に残念です」(別の記者)
管理する河内洋調教師も、以前から「調整が難しいタイプ」と指摘していたアイラブテーラー。なお、JRAからは「競走中に前進気勢を欠き入線が遅れた」として平地調教再審査が下されている。これもG1では非常に珍しいケースだが、幸い現時点で故障などの発表はないようだ。
今回、大きな躓きがあったアイラブテーラーだが、ここまでの8戦5勝という戦績を見ても、まだまだこれからの馬。秋にスプリンターズS(G1)で、今度こそ能力全開と行きたいところだ。