『ホラキン』は甘デジのホームラン王です。
マイナー機・マニアックマシン・クソ台(良い意味で)を総称する「サブカル台」好きのパチンコファンなら『Pホームランキング』は絶対にハマる。本当にもういろんなことがバチボコ面白いのである。
まず演出。図柄がテンパイし、ピッチャーが投球するとジョグハンドルを使って投げた玉を打つ演出になるのだが、これはもう完全に「パーフェクト野球盤」なのである。さすがに「消える魔球」は演出にないが、ハンドルを使って玉を弾き返すと、デジタルの上でとはいえ、あの頃の気持ちが蘇る。
さらに、ここで玉を打った時に発展するルーレットリーチも最高なのである。回転するルーレットランプが停止したマスに書かれた図柄によって大当りの当否やさらなる発展をもたらす期待のSPリーチといった内容であるが、これはもう完全に「ピカデリーサーカス」なのである。あの10円を入れて2、4、6、8、10、30の倍率にベットするメダルゲーム。あの興奮を当時のままに味わえるような気分なのである。
このように、本機は私のようなパチンコ好事家の心の奥底をがっちり掴む要素が満載だが、単純にノスタルジーをくすぐるだけでなく、例えばバッターの構えに数種類のパターンがあるなど、細かい部分にもこだわっているので、目立たないチャンスパターンの発見など意外に飽きのこない作りになっていて、実は打ち込み要素が高い。
それでいうとひとつ、「これはやられた!」と天を仰ぎつつニヤリとしてしまう演出に出くわした。それは「サヨナラチャンス」でのこと。
これは先のルーレットリーチで1ヒット・2ヒット・3ヒットで停止すると発展するラウンド演出で、最大4000発の出玉を獲得できる1・2(ワンツー)機連チャンモードへの突入を賭けた大当り後の昇格演出となっている。
「サヨナラチャンス」の概要としては、ルーレットリーチで出塁したランナーをホームに返すことを目的に展開する演出となり、大当り消化後に再びルーレットを使用した打撃演出を行う。
この時、大当り消化中にランナーが盗塁すればチャンスアップとなるのであるが、ここでまさかの3塁から盗塁が発生し、打撃演出を行う前にホールスチールによる得点獲得で昇格が決まってしまうパターンが存在するのである。この驚かせ方は秀逸で、固定観念や思い込みを逆手に取った称賛すべき演出であろう。
さらにスペックも卓抜で、甘デジカテゴリーにおける新たなロールモデルとして取り入れられそうな気配も感じる。甘デジの確率ながら1回の大当りで約1000発獲得できる出玉感は別格な上に、最大で4000発も可能な一撃性は魅力的である。
しかし、最大の関心事にして最難関の問題点がすべてを帳消しにする可能性も否定できない。そう「クギナイン」である。本機は、ストロークからヘソにいたる通常時の主要な盤面ポイントに釘を使用していない、いわゆる封入式を意識した盤面構成となっている。
肝心のスタートは、盤面左にあるワープ(黄色い羽根)とスタートチャッカー直近に搭載されたベロ式スライド版によって調整され、安定した一定のスタート回転数を実現している。
釘をなくす封入式とは本来、回らないストレスを軽減するための仕組みだと私は思っていた。だが、本機は多少イラつきを覚えるほど回らない。ワープもスタート前のベロも完全に「回さない」ための障害物だとしか思えないのである。タイミング良く入賞を邪魔する。その動向を見ているとストレスが溜まる一方なので、もう画面を凝視しつつ、保留の状況をチェックするようになった。
当然スペックとの兼ね合いから、この回転数になっているはずであるが、それならブン回せる激辛スペックで導入してほしかった。これが釘のないパチンコのスタンダードだと思われたら、この先は厳しい戦いしか待ち受けていないだろう。
また、スタートのさせ方にも何か工夫が必要かもしれない。少なくともスタート直前で玉を弾くような機構は不満や反感を募らせる一方なので感心しない町男である。せっかくの良機だけに、クギナインにめげずに多くの人に打ってもらいたい。
(文=大森町男)