元JRAアンカツ「正直、つまらん」ノーザンファーム「使い分け」に苦言……日本馬海外大活躍も「昔」とは異なる事情

 競馬界の超一流馬が顔をそろえた昨年の有馬記念(G1)。現役最強馬と目されていたアーモンドアイが馬群に沈むショッキングな結果であったものの、馬券売り上げは前年比107.4%と大いに盛り上がった。

「レースの質が上がれば、確実に売り上げに跳ね返ってくる――」

 そう提言したのは、元JRA騎手のアンカツこと、安藤勝己氏だ。『東京スポーツ』の取材に応じた安藤氏は、インタビューの中で昨今の競馬界に蔓延している「使い分け」について苦言を呈している。

 詳細は記事を読んでいただきたいが、今の競馬界を圧倒的な勢力で実質支配しているのは、ノーザンファームだ。

 アーモンドアイのシルクレーシング、レイデオロのキャロットファーム、フィエールマンがいるサンデーレーシングと、3つの超有力一口馬主クラブを擁するノーザンファームは、これで9年連続の最優秀生産者に輝いている。

 1口馬主クラブの性質上、できるだけ多くの馬主に利益を分配したいと考えるのは、ある意味当然だ。

 その結果、頻繁に行われるようになったのがクラブ内の強い馬同士が戦わない「使い分け」というわけだが、その結果、特にビッグレースでのメンバーの分散化、レースレベル低下が問題視されている。

 純粋に強い馬同士の争いを期待するファンからすれば、いわば興ざめ……。

 安藤氏もインタビューの中で「ファンからすれば『肩透かし』を食う形になるケースが多かった。そういうのって正直、つまらんで」と苦言を呈している。

「昨年は、海外での日本馬の活躍が目立ちましたが、その中で大きく“開拓”されたのがオーストラリア競馬への参戦でした。

昨年はメールドグラースやリスグラシューがオーストラリアのG1を勝って注目を集めました。ですが、いずれもノーザンファーム系ホースクラブの所属馬。海外を利用することにより、飽和気味のノーザン系有力馬を使い分けたという見方もできます。

ノーザンファームにとって現在の海外遠征の多くは、昔のような夢やロマンを求めた挑戦というよりは、体のいい使い分けの場という印象もあります」(競馬記者)

 実際にアーモンドアイVSリスグラシューとして盛り上がった昨年の有馬記念も、当初は前者が香港へ遠征する予定だった。結局、アーモンドアイが遠征直前に熱発したため、有馬記念で対決となった。

 だが、有馬記念を最後にリスグラシューが引退したことから、もしアーモンドアイが予定通り香港C(G1)に出走していれば、時代を代表する2頭の名牝が「1度も対決しないまま」だったということだ。

「強い馬やったら、直接対決を避けんで、キッチリ白黒つける――。それが競馬を盛り上げるための、一番の処方箋やと思うわ」

 そうコメントした安藤氏の言葉は、まさにファンの思いを代弁している。今年も春のG1開催には多くのビッグレースがあるだけでなく、ドバイや香港などの選択肢もある。ファンがドキドキするような対決が、1つでも多く生まれることを願うばかりだ。