以前「天井機能が搭載されたパチンコ」について触れたので、その他に存在した非常に変則的なスペックを有した機種について追っていこう。
今回紹介するのは高尾から登場した『CRベノムの逆襲』である。まずモチーフからマニアックなのだが、「ベノム」とは人気アメコミ「スパイダーマン」に出てくる最強最悪の敵と名高いダークヒーローで、このキャラを主人公とした映画も制作された。
この『CRベノムの逆襲』はモンスターラッシュと呼ばれる強力な連チャン機能によって出玉を増やすゲーム性。システムとしては20ゲーム1セット(約1000個)となる確変で、毎ゲームごとに上乗せ抽選が発生し、それに当選すればそこからさらに20ゲームが継続されるようになっている。例えば1ゲーム目で上乗せ当選すれば+20ゲームのトータル21ゲーム、20ゲーム目での上乗せなら20+20の40ゲームの大当りとなるのである。
この上乗せ(ラッシュチャージ)は1~19ゲームまでが1/20、20ゲーム目が1/1.9の確率で当選。トータルだと約82.5%の高ループで継続され、1回のRUSH突入で平均約5000発の出玉を期待できるのである。
本機の導入は2010年であるが、当時としても斬新にして画期的なシステムであったが、その正体はいかようになっていたのか、パチンコフリークの間でも話題になったものである。
さて、この連チャンシステムの仕組みであるが、20回リミッターを搭載した確変で、その振り分けが2R確変95%、2R通常(時短あり)が5%となっている。ここで5%を引くと確変が終了してしまうが、連チャンは継続するのである。
ここが本機のポイントのひとつで、本機の電チューは入賞するとほとんど大当りするのである。したがって、通常大当りでも時短、つまり電サポが付くかぎり次の大当りが約束される。
さらに、ここで時短を引くことで確変がリセットされる。これが上乗せの正体である。ほぼ大当りする電チューによって大当り濃厚な時短を発生させ、確変のリミッターをリセットしながら大きな連チャンを生み出す。
では、連チャン終了の契機は何か? といえば、おわかりのように時短のない通常大当りである。確変のリミットである20回に到達すると必ず通常大当りとなる。
このリミッター到達時の通常大当りに時短なしが搭載され、これを引くことによって連チャンが途切れるのである。前述の20ゲームだけ上乗せ当選確率が異なる原因はこの仕組みによるもの。
なんという発想力であろうか。
ちなみに、本機はアタッカーよりも電チューで玉を増やしている珍しい機種でもある。実は従来のアタッカーに見える四角い開放口が電チューで、本来電チューであるはずの、羽根開放式の機構がアタッカーになっている。
しかし本来、確変・時短中は玉を増やしてはいけない規則なのだが、本機は大当り中に電チューで玉を増やすことによってこれも「大当り中の出玉」として計上されているのである。
ただ、大当り中には電チューを長く開放することができないので机上の空論になるかと思いきや、「じゃあ確変・時短中に電チューをロング開放させて、その間に大当りさせればいいんじゃね?」と考えたわけである。
つまり、電チューを6秒くらい開放させる。その6秒の間に大当りとアタッカーの開放を終わらせる。こうすることによって諸々の規制に引っかかることなく、アタッカーよりも電チューで出玉を増やすことが可能となったのである。
これまで長々と説明してきたが、そもそもなんでこのような複雑な仕組みを考えたかといえば、時間あたりの上限を設定された出玉の規制を突破するためである。卓抜なアイデアによって規則内の仕組みで規制を乗り越える。開発者はまさにパチンコ界のダークヒーローなのである。
残念ながら、『CRベノムの逆襲』が登場した直後にこのタイプの仕組みも内規によって制限がかけられてしまったが、こういったイノベーションこそがパチンコ・パチスロをここまで発展させた大きな要因なのである。
(文=大森町男)