羽根物コラム 『がんばれ丸ちゃん』
羽根物第3世代きっての迷機である。
役物こそ『たぬ吉くん』『玉ちゃんファイト』に連なる王位継承のマシンであるものの、致命的ともいえる役物のマイナーチェンジと「結局射幸性かい」と言わんばかりのV連続出現機能を搭載していないことから、前任者たちのような爆発的な人気を獲得することができなかった羽根物となる。
ただ、私はパチンコに出玉力を重視していないし、ましてや羽根物である。『玉ちゃんファイト』も好んで打っていた理由はやっぱり役物の面白さゆえなのである。翻ってこの『がんばれ丸ちゃん』。必殺の一撃がなかろうと楽しめる自信があった。
のであるが、なんとVゾーンの手前に穴があり、そこからもぐらがランダムに飛び出してきてV入賞を邪魔するのである。「は? リアル『花のもぐら組』かよ?」血気盛んな私は悪態をついたものだ。
ちなみに、『花のもぐら組』とは大一商会の生み出した傑作権利物である。しかし、これは私の事実誤認で、実際には『CRいれてなんぼ』を引き合いに出したかったのだ。
この『CRいれてなんぼ』とは、タヌキがゴルフに興じる演出が展開する5回リミッター時代の名機(私の主観である。異論は認めない)なのだが、その演出内でバンカーに打ち込んだ際にもぐらが登場し、玉を拾い上げてグリーンと逆方向の池に投げ入れるという無慈悲な演出があるのだが、それを指して前述の揶揄なのである。
さらなる余談ではあるが、『花のもぐら組』に登場するヘルメットをかぶったもぐらは、バトルヒーローシリーズの絵柄で登場したりする。
どのもぐらの話だかすっかりとっちらかってしまったが、『がんばれ丸ちゃん』のもぐらが絶妙に嫌なタイミングで邪魔をする、人とイライラさせることにおいては人後に落ちないものとなっていたのである。
本当にいいところで毎回のように“ひょっこりはん”するので、カイジの沼ではないが、「絶対大当りさせないマン機能」が働いているのかと勘ぐるほどである。
このもぐらのおかげで悪い意味で印象に残っている稀有な羽根物である。私はハマらなかった台をすぐに忘れるのだ。
しかしこの台、前述したように世間的にもあまり評判が良いとは思えなかったのであるが、なぜかスペック違いの兄弟機がトータルで4タイプも発売されており、導入率はそこそこ高かったように記憶している。
それもそのはずで、2001年の『CR必殺仕事人』メガヒットを皮切りに、一時代を築く勃興期の真っ最中。京楽イケイケなのである。
羽根物1機種で4タイプこそあまり見かけない事象であるものの、この頃から羽根物でも2タイプくらいはコンスタントにスペック違いを出すような風潮となっていた。いろんなホール業態へ対応するための販売戦略であるが、羽根物での走りは本機であったようだ。もぐらだけに。
かかってない。
(文=大森町男)