JRA「サートゥルナーリア母」偉大なる"superstar"シーザリオ。エピファネイア・リオンディーズら「華麗なるファミリー」を形成

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 日本ダービー(G1)で1番人気が予想されるサートゥルナーリア(牡3歳、栗東・角居勝彦厩舎)。ここまで4戦4勝で、そのうち2勝はG1競走。実績で言えば、今回のメンバーでサートゥルナーリアを上回る馬は当然いない。

ディープインパクト以来となる無敗の二冠馬誕生の期待も高まる中、改めて同馬の母馬シーザリオに注目が集まっている。

 シーザリオは2004年12月の新馬戦(芝1600メートル)で、福永祐一騎手を背にデビュー。後続に1馬身半差を付けて快勝すると、続く寒竹賞(2000メートル)では後にその年の日本ダービーで4着に入るアドマイヤフジを抑えて勝利。その才能が認められはじめた。

 そしてフラワーC(G3、1800メートル)では1番人気に支持されると、レースレコード・タイの1分49秒0で圧勝。本番の桜花賞(G1、芝1600メートル)に駒を進める。だが桜花賞では主戦の福永騎手は先約があったラインクラフトに騎乗。相棒不在のシーザリオは吉田稔騎手とともに出走し、後方から猛然と追い上げるも、アタマ差届かず2着。勝ったのはラインクラフトだった。

 そしてオークス(G1、芝2400メートル)。ラインクラフトがNHKマイルC(G1)を圧勝した影響もあり、シーザリオは単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持された。だがレースではやや立ち遅れると、即座にエアメサイアと武豊騎手が進路をカット。後方からの競馬を強いられてしまう。

 1000メートルの通過タイムが63.1秒と異例のスローペースで進む中、シーザリオは最後の直線を迎えてもトップから離れた位置にいた。ここからはさすがに届かないと思われたものの、そこから33.3秒の異次元の脚を見せ、エアメサイアをクビ差交わして劇的な逆転勝ち。レース後の勝利騎手インタビューで福永騎手は「すいません。かわいそうな競馬をさせてしまいました。今日は馬に勝たせてもらいました」と振り返っていた。

 オークス後、陣営はアメリカンオークス(米G1、芝2000メートル)への挑戦を決定。海を渡ったシーザリオは福永騎手を背にレースで好スタートを決めると、今度は邪魔されることなく3番手の好位をキープ。先を行く2頭の脚が鈍ってきたと見るや猛然と先頭に立ち、最後の直線でさらに後続を突き放して勝利。実況アナウンサーが直線半ばで『Japanese superstar Cesario!!』と勝利を確信したかのように絶叫したことが、競馬ファンの間で語り草となっている。

 その後、シーザリオは繋靭帯炎を発症。復帰を目指したものの、繁殖牝馬としても期待されていたこともあり、陣営は同馬の引退を決定した。

 繁殖牝馬となったシーザリオ。だが、キングカメハメハとの間に誕生した産駒は弱い体質だったようで、第一仔トゥエルフスナイトは1戦して引退。全妹のヴァイオラはデビューする前にこの世を去ることになり、第二の馬生は順風満帆とはいい難いスタートとなった。

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※エピファネイア/『競馬つらつら』より

 しかし3年目、シンボリクリスエスとの交配で誕生したエピファネイアが悪い流れを一変させる。

 福永騎手とともにクラシックに挑戦すると皐月賞(G1、芝2000メートル)と日本ダービー(G1、芝2400メートル)でともに2着。夏を挟んで挑んだ菊花賞(G1、芝3000メートル)ではついに産駒初のG1初制覇を達成。翌年のジャパンカップ(G1、芝2400メートル)では、世界最強と評価されたジャスタウェイに4馬身差を付けて圧勝してみせた。

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※リオンディーズ/『競馬つらつら』より

 その3年後、再度キングカメハメハとの交配に挑戦するとリオンディーズが誕生。朝日フューチュリティS(G1、芝1600メートル)を勝ち、日本ダービーでも5着と掲示板を確保。今後の活躍が期待されたものの、故障のため惜しまれつつも引退。種牡馬入りとなった。

 そしてリオンディーズからさらに3年後。今度は"竜王"ロードカナロアとの間にサートゥルナーリアが産まれる。同馬のこれまでの活躍は言うまでもなく、秋には凱旋門賞挑戦も視野に入れられているなど、これからさらに飛躍を遂げるとも考えられている。

 繁殖牝馬としても確固たる地位を築いたシーザリオ。今年はキングカメハメハ産駒のファーストフォリオ(牝)がデビュー予定。さらに翌年はモーリスとの産駒(牡)がスタンバイしている。

 そして2019年で17歳になるも、まだ衰えを知らず、今年はロードカナロアと交配済み。順調に行けばサートゥルナーリアの全弟か全妹が誕生することになるだろう。

 競走馬として史上唯一の日米オークスを制覇し、繁殖牝馬としても有力馬を輩出し続けるシーザリオ。今後、誕生する産駒がどんな活躍をしてくれるのか。今から楽しみである。