これまでSNS上でタレントや企業経営者などのプライベートに関する情報を積極的に発信してきた参議院議員のガーシー(本名:東谷義和)氏。昨年7月の当選後もアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在し、1度も国会に登院していないが、12月、警視庁がガーシー議員に任意の事情聴取を要請し、今月には関係先を暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損の容疑などで捜索。これを受けガーシー議員は3月にも帰国して通常国会に登院する意向を表明しているが、国会会期中の国会議員の不逮捕特権を利用して、会期中に日本から出国することで逮捕を逃れるのではないかとの見方もあり、ガーシー議員、警視庁、そして参院議院の動向に注目が集まっている。
「ガーシー議員がタレントなどの著名人とかなり広い人脈を持っていることは事実。20代前半の頃からの友だちで合コンをセッティングしてもらっていたという田村淳(ロンドンブーツ1号2号)のYouTubeチャンネルに出演して対談したり、エイベックス会長の松浦勝人氏とYouTubeで共演した際は大きな話題となった」(週刊誌記者)
ガーシー議員は昨年1月頃からSNS上で本格的に著名人たちの暴露を始め、徐々にファンも増えていったが、YouTubeアカウントがBAN(凍結)されるという事態に。その後はInstagramや、マストドンを使った独自SNS上で情報発信を行い、現在は月額3980円のオンラインサロンを主戦場として活動している。
「ジャニーズタレントから人気アイドルグループ、俳優、ミュージシャン、企業経営者、政治家、YouTuberにいたるまでガーシー議員の標的になった人物は多岐にわたる。攻撃されたミュージシャンが事実を認めて謝罪するケースもあったが、大半は当人サイドから無視されて終わっていた。最近では『また聞き』のエピソードも増え、明らかな事実誤認であることがわかるものもみられ、その信憑性に疑問も広まっていた。
そんななか、ガーシー議員から執拗に攻撃を受けていたのが、大手IT企業経営者・Aと主演級俳優のB。Aについては本人の家族を攻撃する場面もみられ、さすがに常軌を逸していた。Bについては、実際に被害にあったという複数の人物が動画に出演して証言したり、ガーシー議員がBの所属事務所社長の名前を名指しで連呼して挑発したりもしていた。今回、警視庁が捜索に踏み切ったのは、攻撃を受けた人物サイドから複数の告訴状が提出されたためだが、現役の国会議員を国会開会直前のタイミングで本格的に捜索するところに、警視庁の本気度がうかがえる」(週刊誌記者)
「懲罰委員会にかけるだけの事案」
参議院運営委員会理事会は昨年8月、臨時国会に登院しない意向を表明していたガーシー議員から提出された海外渡航届について許可しないことを決定。12月にも、国会欠席の理由を書面で回答するよう求め、所属するNHK党の浜田政策調査会長は「ガーシー議員は来年帰国して登院することを希望している一方で、身の危険を感じて、ためらっている。海外で活動したいという意思は尊重したい」と語っていた。参議院の動きを受けガーシー議員は今月、Instagram上で「3月上旬に帰国し、国会にも登院する」と語ったが、運営委員会では「今月23日に通常国会が召集されるのに、なぜ登院が3月なのか、ただす必要がある」(13日付NHK WEB NEWSより)などの意見が出て、運営委員会の石井準一委員長は「懲罰委員会にかけるだけの事案であると認識している。理事会で協議していきたい」と発言した。
全国紙記者はいう。
「石井委員長は自民党所属だが、ガーシー議員は岸田文雄首相の右腕的存在まで攻撃の的にしており、ただでは済まさないだろう。委員会としては、これまで何度も登院を要請してきたが無視されてきたわけで、懲罰委員会でガーシー議員に除名処分を下す可能性は十分あるとみられている。当選後に国会議員としての活動を行っていないのに、歳費と旧文通費あわせて毎月約200万円もの給与が税金から支払われており、この状態を放置したままだと参議院にも世論から批判が向きかねない。
昨年12月以降の警視庁の動きは、この参議院の『ガーシー議員切り』の動きを考慮したものだとみて間違いない。NHK党はガーシー議員が帰国しない理由について『逮捕される恐れがあるため』と説明しているが、要は海外逃亡していると自ら言っているようなもの。国内で罪を犯した人物が裁判にかけられることを避ける目的で海外に拠点を移すケースは以前からあるが、ここまであからさまにやられると、『金がある人は海外に逃げれば罪を問われない』という悪しき前例として定着する懸念もある。今回の件は警察の沽券にかかわる事案であり、参院議の承諾を得たうえで国会議員の不逮捕特権の例外を適用して、ガーシー議員が入国したタイミングで空港で逮捕するのではないかという見方もある。仮にそうなれば、ガーシー議員は過去にBTS詐欺事件を起こし被害者を生んでいる過去もあり、参議院からも世論からも大きな異論は出ないだろう」
ガーシー議員に選任された高橋裕樹弁護士は、示談交渉などに備えて告訴側とやりとりをするために告訴側への意向確認の取り次ぎを警視庁に依頼したが、拒否されたと明かしているが、同記者はいう。
「こうした告訴側への取り次ぎ依頼は一般的なもので、たいていは警察に受け入れられる。告訴側の意向なのか、警察の意向なのかはわからないが、少なくとも両者に示談で終わらせる気がないとみるのが自然で、案件として異例のものと化していることは明らか。少なくとも警察の強い意志が感じられる」
「不逮捕特権」とは?
果たしてガーシー議員の逮捕の可能性はあるのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「その時の与党が権力を悪用して野党の議員を勝手に逮捕しないように憲法で定めたのが『不逮捕特権』です。しかし、何でもかんでも『逮捕されない』というわけではなく、目の前で犯罪をした場合の『現行犯』の場合や、国会の議決があれば逮捕されます。このため、捜査機関がホンキなら、通常国会に出席するために帰国したところを見計らって逮捕することも可能です。『国会の議決』とは、この場合、参議院の多数決となるのですが、要するに、この方を良く思っていない議員が過半数いれば逮捕も認められるでしょう。
この方、暴露が国民のためであるようなことを言っているようですが、真実、ネタをばらさらない見返りとして金銭を要求していたり、他人の名誉を毀損する行動をしているなら、逮捕起訴もあり得ます。また、今回、常習的脅迫罪という、通常の脅迫罪(刑法222条)ではなく暴力行為等処罰法という特別な法律による捜査がされていると報道されています。これが適用される場合、通常の脅迫罪なら2年以下の懲役刑であるのに対し、5年以下の懲役刑となりますので、この犯罪を立件する検察官としては、実刑(執行猶予がつかない)を狙うことも考えるでしょう。
しかし、ヒトの秘部を暴露することが、いったい国民の何に資するのでしょうか。かつて、創価学会の当時の会長などの私生活を暴露して事件において、最高裁が『私生活であっても、その人の社会的活動の性質、社会に及ぼす影響などによっては、批判ないし評価として名誉毀損にならない』といった判断をしたことがあります。政治家や公職立候補者ならまだしも、芸能人、経営者の性癖、交際関係、交友関係の暴露が『公共』の利害になるとなるとは思えません。いわゆる“週刊誌ネタ”程度の暴露を、さも高尚な活動のように行うことには疑問を持たざるを得ません」
(文=編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)