なぜ『科捜研の女』大幅な路線転換で困惑の声続出?視聴率急降下、ファン離れか

 沢口靖子が主演を務める連続テレビドラマ『科捜研の女 2022』(テレビ朝日系)。京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコ(沢口)が、DNA鑑定や画像解析などを駆使して事件を解明していく人気シリーズで、昨年10月~今年4月まではSeason21が放送されていた。そして今回、10月18日に放送を開始した新シリーズ(Season22)は『科捜研の女 2022』というタイトルになり、内容や全体のテイストが大幅にリニューアル。同シリーズファからは、困惑する声が続出している。

 1999年にスタートした『科捜研の女』シリーズ。2009年に放送したSeason9は、全10話の世帯平均視聴率が14.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)となり、全シリーズでの最高を記録。

 その後も、Season10(全10話)が13.7%、Season11(全16話)が12.8%、Season12(9話)が12.6%、Season13(全16話)が12.3%、Season14(全9話)が12.8%、Season15(全15話)が11.0%、Season16(全17話)が11.7%、Season17(全18話)が12.7%、Season18(全8話)が12.5%、Season19(全34話)が11.6%、Season20(全9話)が11.1%という成績で、“2ケタ台は固い”とみられていた『科捜研の女』シリーズだが、Season21(全18話)は9.6%をマーク。

 そんなSeason21の放送開始直前には「週刊文春」(文藝春秋/21年10月7日発売号)が、テレ朝は“視聴者の若返り”を目指して『科捜研の女』をいったん終了させる方針を示していると報道。一方、Season21スタート直後には「女性セブン」(小学館/同10月21日発売号)が、主演は沢口のまま、若手出演者を投入して『NEO科捜研の女』を制作するという情報も伝えていた。

 このような報道が出た際、ネット上の『科捜研の女』シリーズのファンからは「若手とかいらない」「変なことをせず、今のままマリコさんと仲間たちの活躍を見せて」といった声も寄せられたが、結局、Season21の全話平均が1ケタ台に終わったことを見るに、テレ朝が方針転換に踏み切ったのも仕方がなかったとみられる。

 なお、Season21の最終回は、主要キャラクターたちがマリコに感謝の言葉を述べたり、マリコがカメラ目線で「今まで本当にありがとう」と伝えたりするシーンでエンディングとなったため、ドラマのファンからも「本当にシリーズ完結なのか」などと動揺する声があがっていた。

シリアスかつスタイリッシュなムードに

 そして今月、『NEO科捜研の女』ではなく『科捜研の女 2022』として新シリーズの放送がスタート。内容はやはりリニューアルされていて、沢口演じるマリコや、Season5から出ている京都府警察の土門薫(内藤剛志)、科学捜査研究所所長・日野和正(斉藤暁)といったお馴染みの面々が残留したのは良かったが、2017年のスペシャルからSeason21までレギュラー出演していた研究員・橋口呂太(渡部秀)は“研修へ行った”という設定でいなくなり、彼と入れ替わるように君嶋直樹(小池徹平)なる新キャラが登場。小池ファンは喜んでいるものの、渡部演じる橋口も人気キャラだっただけに、「悲しすぎる」とショックを受けるファンも散見された。

 また、変化したのは登場人物だけではない。従来の『科捜研の女』シリーズは、事件を解明していく中にもコメディ的な要素というか、どこか“抜け感”のようなものがあったのだが、『科捜研の女 2022』はシリアスかつスタイリッシュなムードに一新。ネット上には「雰囲気が変わったな」「音楽や映像もカッコイイ感じだけど、前のゆるい感じが好きだったよ」と、困惑しているような書き込みも少なくない。

「それでも、テレ朝は“視聴率を上げるためには、今までと同じではダメだ”と判断したということなのでは。ただ、『科捜研の女 2022』は10月18日に世帯平均11.9%で発進した後、同25日放送の第2話で一気に8.9%まで下落。長い歴史のあるシリーズだけに、どうしても変化を受け入れられず、早い段階で見るのをやめてしまう視聴者がいるのも無理はない」(週刊誌記者)

性急すぎる変化がアダ

 また、テレビ局関係者はいう。

「前シリーズが予想に反して全話平均視聴率で2ケタを割ったということで路線変換を図ったのだろうが、1ケタといっても9.6%であり“ほぼほぼ2ケタ”ともいえ、リアタイ視聴率でこの数字は決して悪くない。にもかかわらず今シリーズでは“ガラッと変わりすぎ”という印象で、長年の『科捜研の女』ファンが離れてしまった可能性がある。

 シリーズも22作目となりマンネリ感が出てしまうのは致し方ないものの、これまでの同ドラマのベースとなる空気感というか、視聴者があまり肩ひじを張らずに“安心して見られる”という良さまで失われてしまっている。長きにわたるシリーズものの場合は、ドラマの背骨となるテイストは維持しつつ、ちょっとずつマイナーチェンジを加えて新しい空気を入れていくくらいがちょうどいい。今回は性急すぎる変化がアダになってしまったのでは」

 別のテレビ局関係者はいう。

「テレ朝は、今のテレビ業界で重視されているコア視聴率(13~49歳の視聴データ)が弱いといわれているが、今回の『科捜研の女』のリニューアルは明らかにコア視聴率のアップを意識している。ただ、いくらリニューアルを図ったところで、『科捜研の女』が新たな20~40代の視聴者を取り込めるかといわれれば、現実的には難しい。テレ朝の根本的な勘違いが露呈した印象を受ける」

 そのような一部ファンを切り捨ててでも、テレ朝が思うような若年層のファンが新たにつくと良いが、果たして――。

(文=Business Journal編集部)