是枝裕和氏ら有名映画監督にハラスメント疑惑浮上…真木よう子が擁護投稿→削除

 映画監督の是枝裕和氏と白石和彌氏の過去の現場での行為がハラスメントに該当するのではないかという声が相次ぎ、両氏の作品に出演経験がある女優の真木よう子がInstagramで「白石監督や是枝監督もハラスメントでひとを傷つける様な人間ではありません。ハラスメントという言葉遊びは辞めましょうね」と投稿。直後に真木がその投稿を削除(現在は再投稿)するなどの動きをみせたことから、さまざまな憶測が飛び交う事態となっている。

 相次ぐ有名監督や俳優のハラスメント行為の告発に揺れている日本映画界。まず、3月発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、榊英雄氏が映画監督という立場を利用して女優を目指す女性と合意を得ないまま不適切な行為におよんでいたと報道。続けて「文春」は、人気俳優の木下ほうかも同様の行為を行っていたと伝えた。さらに4月発売の「週刊女性」(主婦と生活社)は、映画監督の園子温氏が日頃から女優に、自身の作品への出演話を持ち掛けながら関係を迫っているとスクープ。そして同月発売の「文春」は、園氏の右腕ともいえる存在である映画プロデューサー・梅川治男氏が、立場を利用して女優に不適切な行為におよんでいると報じた。

 こうした悪しき実態に対し、映画業界内からも改善を求める声が相次いでいる。

 カンヌ映画祭で最高賞であるパルム・ドールを受賞した『万引き家族』や『そして父になる』『三度目の殺人』などで知られる映画監督の是枝裕和氏は4月、6人の映画監督連名で、ハラスメントの実態調査や防止のための具体策、第三者機関による相談窓口の設置などを盛り込んだ提言書を日本映画製作者連盟に提出。『凶悪』や『孤狼の血』などで知られる映画監督の白石和彌氏は、6月にテレビ番組『クローズアップ現代』(NHK総合)に出演し、映画界における性加害撲滅の必要性などについて訴えた。

安藤サクラの過去のインタビュー記事

 そんな是枝氏と白石氏の現場でもハラスメントが行われていたのではないかという疑惑が取り沙汰されている。

 女優の安藤サクラは18年に配信されたウェブメディア「FILMAGA」のインタビュー記事内で『万引き家族』に出演した際のエピソードとして、ある日の現場で事前に知らされていなかった服を脱いだうえで男性と行為におよぶシーンの撮影を要求されたとして、「『どうしよう。でも、もう今日だし、どうしよう』とオロオロ」したと告白。同年に配信された「MOVIE WALKER PRESS」のインタビュー記事でも、その相手役だったリリー・フランキーが「なんの予告もなく目の前に前貼りを置かれて、すぐに貼り始めた俺たちもどうかとは思うけど(笑)。普通は『事務所に確認させてください』と言うからね」と振り返り、安藤も「まさか是枝組で、しかも現場に入ってすぐのシーンで『前貼りです』と言われるとは思っていなかったです」と応じている。

「問題となっているシーンは、2人きりになった夏の暑い昼下がりの家のなかで安藤とリリー・フランキーがそうめんを食べていると、窓から入る光で安藤がまとう薄手の服から体が透けて見え、その流れで2人が交わるという演出。実際には事におよぶ前と後のセリフ劇がほとんど。陰影を使ったなんとも美しい映像で、夫婦でも単純な恋人同士でもない微妙な2人の関係性を表現しており、『万引き家族』のなかでも特に素晴らしい場面。ことが終わった後に感慨深げな表情でタバコを吸うリリー・フランキーが、安藤から『何やってるの?』と聞かれ『余韻に浸っているわけよ』と返すシーンは印象的」(映画業界関係者)

 一方、白石和彌氏は16年に出席した自身の作品『日本で一番悪い奴ら』のイベントで、綾野剛と矢吹春奈が事におよぶシーンについて「当初は台本になかった」ものの、現場で綾野から「監督、俺、したいっす」と提案を受けて演出を変更し、本番前に矢吹に対して「もしかしたら、先までいくかも」としか説明せずに撮影したと述懐していた。

 こうした是枝裕和氏と白石氏をめぐる過去の発言などが今になって掘り起こされ、ハラスメントに該当するのではないかという指摘があがる事態に。白石氏は今月8日にTwitterに「イベントにおける演出と観客を前に少しでも公開したばかりの映画を盛り上げたいという私の気持ちが加味してしまったもので、事実ではありません」「キャストと内容について真摯に話し合い、キャスト、マネージメントの方々にも事前にご了承を頂いた上で撮影しております」と投稿し、事実を否定した。

真木よう子が異例の投稿

 一連の騒動を受け、両氏の作品に出演した経験がある女優の真木よう子が反応。8日、Instagramに「報道陣の方々に本当のことを言いたいです。白石監督や是枝監督もハラスメントでひとを傷つける様な人間ではありません。ハラスメントという言葉遊びは辞めましょうね 本気で傷ついている人がいるのですから」と投稿したのだが、直後にその投稿を削除。9日に真木のアカウント上に「昨日の投稿に関してですが、写真変更のため一旦スタッフ側が削除させて頂きました」と投稿され、「尚、削除となってしまった文章につきましては、改めて再度コチラにて投稿させていただきます」というコメントともに、当初と同じ文章が写真を変更して再投稿。不自然な対応の理由をめぐりさまざまな憶測も飛び交っている。

「真木は17年に前事務所を退所したが、その直前にはフォトマガジンを制作してコミックマーケットで販売する資金をクラウドファンディングで募り炎上したり、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』をクランクイン直前で降板するなどたて続けに騒動を起こし、一時は芸能活動の継続が危ぶまれたこともあった。現在は個人事務所を立ち上げて弟がマネージャーを務めており、女優業は順調そのものだが、そうした過去のトラウマもあり、SNSでの発言には敏感になっているのかもしれない。

 もっとも、真木よう子は裏表なく何でも話してしまうタイプで、バラエティ番組でも共演者たちを爆笑させるものの番組側が“過激すぎて使えない”と判断して大部分がカットされることもあるほど。そんな真木の性格を十分知っている弟さんをはじめとする事務所スタッフはヒヤヒヤしているのでは」(テレビ局関係者)

 また、映画業界関係者はいう。

「白石監督の作品には過激な暴力シーンや性描写が頻繁に出てくるので、そういうイメージを持たれやすいのかもしれないが、以前から自身の現場ではキャストとスタッフにリスペクト・トレーニング(ハラスメント行為などの定義や対処法の学習)を受けさせるなど、予防のための積極的な取り組みに力を入れており、女優本人に知らせずにそうしたシーンの撮影を行うとは考えにくい。また、是枝裕和監督も、もしその場で安藤とリリー・フランキーが拒絶していたら、是枝監督の性格的に強制するというのはあり得ないだろう。

 映画の撮影現場では、演者や監督、演出をはじめとするスタッフたちがいろいろと提案し合いながら作品をつくっていくので、脚本や演出プランが変更されることはザラ。本番中に演者がアドリブでやったことがそのまま使われることもあるし、特に演者は現場で極度の興奮状態や緊張状態に入っていることもあり、“どこまでは合意の上だったのか”という線引きが難しい面があるのは否めない」

 業界には当事者しかわかり得ない現実もあるようだ。

(文=Business Journal編集部)