BLACKPINK、世界的ヒットの秘密…韓国、国を挙げた20年間の努力が結実

 世界的人気を誇る韓国のK-POPガールズグループ・BLACKPINK。8月19日に配信リリースした「Pink Venom」は公式YouTubeでもMVが公開されており、24時間で再生回数9040万回を突破して女性アーティスト世界最高記録を更新したことなどがニュースになった。

 そんな「Pink Venom」をめぐって9月5日、KBSテレビ(韓国放送公社)の審議で放送不適格と判断され、同局の音楽番組『ミュージックバンク』のチャート「K-チャート」から外されたことが話題に。報道によると、「Pink Venom」の歌詞にフランスの高級ブランド「CELINE」が出てくることから、放送審議規定第46条(広告効果の制限)に反するという判定を受けたという。

 しかし、BLACKPINKが所属する韓国の芸能プロダクション・YGエンターテインメントは、問題の歌詞を修正したり再審議を要請したりせず、「Pink Venom」が『ミュージックバンク』で放送不可とされることを受け入れたもよう。ネット上のファンからは「NGなら仕方がない」「たしかにヒットしてるのにチャートから外すなんて意味がわからない」など、さまざまな意見が寄せられているが、YGエンターテインメントの方針に理解を示す声も少なくない。

 そもそも、BLACKPINKは韓国出身のジス、ジェニー、ニュージーランド出身のロゼ、タイ出身のリサで結成され、2016年8月に1stシングル・アルバム『SQUARE ONE』でデビュー。日本では、17年8月発売の日本1stミニアルバム『BLACKPINK』をもってデビューとなったが、そのリリース前に日本武道館にて「BLACKPINK PREMIUM DEBUT SHOWCASE」が開催され、「a-nation 2017」(味の素スタジアム)にも出演するなど、すでに大きな注目を集めていた。

 もちろん、BLACKPINKは韓国や日本で活躍するばかりではなく、19年4月にアメリカ・カリフォルニアで行われた野外音楽フェス「Coachella Valley Music and Arts Festival」にK-POPガールズグループとして史上初の出演を果たし、同8月には米レコード協会(RIAA)がシングル「DDU-DU DDU-DU」(韓国で18年6月に発売されたミニアルバム「SQUARE UP」に収録)を、K-POPガールズグループでは初めてゴールド認定。なお、「DDU-DU DDU-DU」に関しては19年11月、YouTubeで公開した公式MVの再生回数がK-POPグループで初の10億回を突破したことも話題になった。

韓国、国を挙げた戦略

 20年5月にはレディー・ガガとのコラボレーション楽曲「Sour Candy」を世界同時配信し、57カ国のiTunesチャートで1位を獲得。また、同10月に発売されたBLACKPINKの1stフルアルバム「THE ALBUM」は、歴代のK-POPガールズグループの中で初日、初週、月間売上の最多を更新。21年9月には、アーティスト部門でのYouTube登録者がジャスティン・ビーバーを上回り、世界1位となるなど、あらゆる記録を塗り替えている。

「YGエンターテインメントといえば、やはり世界中にファンを持つボーイズグループ・BIGBANGを輩出したプロダクション。同事務所が“女性版BIGBANG”をイメージして生み出したガールズグループ・2NE1も活躍しましたし、彼女たちのデビューから7年ぶりに結成されたのがBLACKPINKなので、もともと期待値は高かったといえますが、その勢いはいまだ留まることを知りません。

 そんななか、『ミュージックバンク』など音楽番組のチャートから外れるというネガティブな話題は、普通に考えると避けたいところ。しかし、YGは常に世界を見据えているからこそ、国内の音楽番組にはこだわらないものと見られます。ネット上には、YGと韓国の一部テレビ局の関係が良くないのではという見方もありますが、やはりBLACKPINKは海外志向なので韓国における活動はそこまで重視しない方針、と見る向きも強いようです」(レコード会社関係者)

 また、BLACKPINKがここまで世界的に成功している理由について、芸能事務所関係者はいう。

「たとえば映画というジャンルひとつとっても、韓国政府は世界展開を見据えて韓国映画振興委員会を通じて関連業界や人材育成に多額の投資を行い、2020年の『パラサイト 半地下の家族』の米アカデミー賞受賞につなげるなど、政府と業界ががっつり手を組んでエンターテインメント産業の海外展開に力を入れている。

 K-POPというジャンルが認知され始めたのは1990年代後半くらいだったと思うが、当初から欧米、特にアメリカの音楽トレンドを意識した楽曲づくりやパフォーマンス構成を行い、じわじわと世界に浸透していった。そして2000年代に入り、KARAや少女時代などが日本でもブームとなり、ここ数年のTWICE、BLACKPINK、BTSの世界的成功というかたちで、約20年にわたる韓国の国を挙げたエンタメ輸出の取り組みが結実した感がある。はっきりいって、日本のエンタメ産業も政府も足元にも及ばないといえる」

 BLACKPINKは、今月16日に2ndフルアルバム『BORN PINK』をリリース予定。また何か新たな記録を叩き出すだろうか。

(文=Business Journal編集部)