リオンリオン 競馬つらつらより
天才が「天才」と認める秘蔵っ子が、いよいよG1の大舞台でベールを脱ぐ。
26日に東京競馬場で開催される日本ダービー(G1)に出走するリオンリオン(牡3歳、栗東・松永幹夫厩舎)に、デビュー3年目の横山武史騎手が騎乗することが話題になっている。
リオンリオンは横山武史騎手の父・横山典弘騎手の手綱で、ダービートライアルの青葉賞(G2)を逃げ切り勝利。貴重なダービー切符を掴んだものの、先週18日に横山典騎手が騎乗停止処分を受け、鞍上が空白になっていた。
そこで白羽の矢が立ったのが、横山典騎手の三男にあたる横山武騎手だ。これまで重賞で3度騎乗した経験があるものの、G1は初騎乗。初の大舞台が日本ダービーという国民的レースとなった。
「岩田康誠騎手や北村友一騎手など、有力なジョッキーが候補に挙がる中、この選択は意外でしたね。横山典騎手の息子に当たるだけに、どうしても"身内びいき"の噂が立ってしまいますが、松永幹夫調教師は『親子だからというよりは、腕を買って』と話している通り、面白い選択だと思います。
というのもデビューイヤーが13勝、2年目が35勝だった横山武騎手ですが、今年はすでにここまで25勝と大きく飛躍。ローカル中心ながら2月の小倉と、今月の新潟で開催リーディングを獲るなど、今注目の若手騎手に成長しています。現在リーディング18位ということは、18頭しか出られない日本ダービーの"椅子"に座る資格があるといえるんじゃないでしょうか」(競馬記者)
「アイツは恐らく、相当なもんになる」
まだ横山武騎手がデビューする以前の父・横山典騎手の話だ。
「オレが思うに約10年なんだ。トップになれるような才能を持つジョッキーってのは、だいたい10年ごとに現れているんだよ。周期的にウチのやつも"それ"に当てはまる」
『デイリースポーツ』によると、どうやら酒席だったらしく横山典騎手も相当に飲んでいたようだが、くしくも横山武騎手がデビューしたのは、不世出のレジェンド武豊騎手のちょうど30周年。時に武豊騎手を超える「天才」といわれている横山典騎手が、ここまで手放しで絶賛するのは"親バカ"という面を差し引いても相当なものに違いない。
「これまで3度の重賞騎乗では、いずれも二ケタ人気の穴馬で見せ場なく終わっています。ここまで3年で73勝の横山武騎手ですが『芝の2400m以上』に限れば、今年になって小倉の2600mを勝っただけ。東京・芝2400mには3度しか騎乗経験がなく、いずれも大敗しています。
したがって、常識的には『厳しい』と述べざるを得ません。ただ成長著しいジョッキーですし、若手らしい思い切った騎乗をして日本ダービーに爪痕を残してほしいですね」(別の記者)
先週のオークス(G1)では、クラシック初参戦となった同期の武藤雅騎手が、ジョディーとのコンビで外連味のない逃げを打ち、レコード決着を演出した。「天才」と呼ばれる父が期待する横山武騎手が、同期のライバルを超えるような存在感を発揮できるか。今週も活きのいい若手が、集団を牽引することになりそうだ。
