金融庁が24日、2ちゃんねる開設者の「ひろゆき」こと西村博之とコラボしたYouTube動画を公開。同庁の担当者と金融リテラシーや資産形成などについて対談する内容になっているが、ひろゆきの起用について「賠償金を踏み倒した人と金融庁がコラボするのはおかしい」などとネット上で物議を醸している。
今回の動画は、投資初心者などに訴求するための「金融庁ちょっと教えてシリーズ」の一環として制作。動画に登場する金融庁の総合政策局総合政策課長・高田英樹氏はひろゆきと家族ぐるみで親しい旧知の仲だそうで、2人はオンライン対談で「日本人の気質に合っている」というNISA(少額投資非課税制度)などを推奨している。
ひろゆきといえば、7月に発表された「一緒に働いてみたいと思う芸能人ランキング」(ノースサンド調べ)で1位のタモリ、2位の天海祐希に次いでイチローやカズレーザーと同率の3位に選ばれるなど、ビジネスパーソンからの支持が高い。
さらに、5月に高校生向けメディア「YOUTH TIME JAPAN project」が実施したアンケート調査「高校生が総理大臣になってほしいと思う有名人は?」の男子部門で、安倍晋三元首相(当時は存命中)やヒカキンを押しのけて1位に選出された。
その人気は小中学生にも及び、子どもがひろゆきを真似て「それってあなたの感想ですよね」などと親に向かって言うので困るというエピソードもSNSなどで拡散されている。
現在は政府が国民に投資を推奨し、今年4月から高校で金融教育が始まるなど若い世代の投資意識を高めることが課題となっている。ひろゆきと金融庁という組み合わせは意外に思えるが、若い世代に絶大な影響力がある彼を「若者向け」のYouTube動画で起用するのは納得といえるかもしれない。
だが一方、ネット上では今回の人選に疑問の声も多く寄せられている。
ひろゆきの起用にネットで拒絶反応
動画公開後、SNSでは「裁判で負けた債務を踏み倒した人を、金融庁が起用するのはおかしい」「2ちゃんねるがどんな掲示板だったか知ってて起用したんだろうか」「国民の金融リテラシーより、金融庁のリテラシーが心配」といった批判的な意見が噴出した。
ひろゆきは、かつて2ちゃんねるで名誉棄損の書き込みを放置したなどとして多くの訴訟を抱え、総額で30億円ともいわれる莫大な損害賠償金の支払いを命じられていた。しかし、そのほとんどを支払っておらず、今年5月に出演したネット番組で「あれは悪いとまったく思ってなくて(当時の)法が悪いと思ってたんです」などと発言。現在は、ほぼすべてが時効になっているので支払い義務もないと明かしていた。
実際、悪質な書き込みについて掲示板の管理者に責任を求める当時の法律には賛否あるのだが、裁判で賠償金の支払いを命じられたのは事実。裁判に出廷せず、判決もほぼ無視して賠償金を「踏み倒した」ことについては現在も批判が絶えない。
そうした経緯があるため、国の機関である金融庁がひろゆきをPR動画に起用したことに拒絶反応が起きているようだ。
しかし、ひろゆきは5月に福岡県中間市の「シティプロモーション活動」のアドバイザーに就任するなど、今回の対談以外でも公的機関とコラボしている。公的機関が苦心している「若者へのアピール」において、ひろゆき以上の適役はいないということなのだろうが……。