ヒカル、田口翔被告に資金提供で絶大な宣伝効果「メリット提示」で人を引き込むしたたか戦略

 人気YouTuberのヒカルが1日、自身のYouTubeチャンネルを更新。山口県阿武町の「4630万円誤送金問題」で電子計算機使用詐欺罪などで起訴され、同日に保釈された田口翔被告の独占インタビューを公開した。

 冒頭、ヒカルは弁護士から「田口被告がお金を阿武町に返したいと言っているのでお金を貸してもらえないか」と持ちかけられたことが、田口被告にかかわるきっかけになったと明かした。

 ヒカルは「田口くんにも非はあると思うんですけど、誤送金がなければ人生狂ってなかった」「あれ一発で全国にさらされて、人生壊れちゃうのはちょっとおかしい」と同情したことで手助けしようと考えたが、その一方で「田口くんはいい広告塔になる」「ビジネスにつなげられるんじゃないか」という狙いがあったと本音を語った。

 ヒカルは阿武町が回収できずに残っていた田口被告の返済分である約340万円を立て替え、今後は自身の関係する会社で田口被告がリモートで働けるようにするという。

 田口被告の勾留先の山口南署に車を用意して出迎えると、ヒカルは「めちゃくちゃ髪の毛伸びたな」とネットやテレビでも話題になった風にたなびく長髪にツッコミ。田口被告は「すみません、身だしなみが整ってなくて」と恐縮し、報道などで伝えられていた「ヤンチャ系」のイメージとは異なる顔を見せた。

 インタビューでは「裁判中なので話せないこともある」としつつ、田口被告が自身の生い立ちや誤振り込み事件が起きてからの心境、ネットで「大麻を栽培している」などとデマを流されたことへの思いなどについて語った。

 核心の一つともいえる「オンラインカジノで全部使ったのはガチなの?」という質問に対しては、田口被告が「本当ですよ。全部使いました」と回答。「パニック状態だった」と当時の異常な精神状態を明かしている。

 インタビューの最後には、ヒカルが「田口くん髪の毛伸びすぎてるんで。風が強くてヤバイことになってたんで、髪の毛を切ってもらおうかなと」と断髪を提案。その場で美容師にヘアカットしてもらい、サイドを刈り上げたツーブロックで髪を後ろで結んだ新ヘアスタイルになり、無精ひげも剃ってさっぱりとした姿に変身した。

 また、田口被告は同日にTwitterを開設。「以前より携わりのあった方々、阿武町にて関わりのあった方々、良くしてくれた方々、ご迷惑をおかけした方々、本当に申し訳ありませんでした」「反省し、ちゃんと働き、お金を返済していきます」などと謝罪した。2日時点でフォロワー数は約4万人に達し、ヒカルの後押しもあって早くも“インフルエンサー”ぶりを発揮している。

ヒカルが全マスコミを出し抜いた格好に

 田口被告の保釈後初の「生の声」を、YouTuberのヒカルが「独占」した衝撃は大きい。テレビや新聞、週刊誌などの「本職」であるはずの全マスコミがYouTuberに出し抜かれた格好になるからだ。

 しかし、これは当然の結果でもある。仮にどこかのマスコミが田口被告にインタビューするとしても、当然ながら「報道」なので報酬はほとんど期待できない。ヒカルは田口被告の残りの返済分や約250万円とされる保釈金を立て替えたというが、倫理的にもマスコミに同じことはできないだろう。

 さらにヒカルは田口被告の就職先を用意し、YouTuberやインフルエンサーとして活動できる環境まで整えた。田口被告にとっては、世間からの注目度の高さや話題性をヒカルに利用される面を差し引いても、大きすぎるほどのメリットがある。

 また、田口被告は各メディアで「ヤンチャ系」として報道されたことでマスコミ不信になっていることをうかがわせており、それもヒカルに身を委ねる理由になったのかもしれない。

 一方、ヒカルにとっても宣伝効果や動画の収益などを考えれば、立て替えた数百万円など安いものだろう。

 ヒカルは動画内で「田口くんを使ってこっちも稼ごうと思いますし、だからこそ(田口被告にも)稼ぐ分を稼がせようと思う。Win-Winを形成したい」と語っていたが、きれいごとでなく互いのメリットを提示して人を引き込む戦略は「さすが」のひと言だ。

 このしたたかで自由奔放なやり方は既存のマスコミや芸能人などにマネできることではなく、ヒカルはエンタメとジャーナリズムを融合させた新境地を切り開いていくのかもしれない。