昨年のチャレンジC(G3)を制したエアウィンザー(牡5 栗東・角居勝彦厩舎)が、次走に予定している金鯱賞(G2)で武豊騎手とコンビを組むことがわかった。
武豊騎手は、兄エアスピネルの主戦だったこともあってか、デビューから4戦目までエアウィンザーの手綱を握っていた。しかし、2戦目の未勝利戦こそ勝利したもののなかなか勝ちきれず、3歳の共同通信杯(G3)6着を最後にコンビ解消。福永祐一騎手やデムーロ兄弟らに手綱が渡ることとなった。
3歳中は7戦を消化し、1000万下と何とか脱するという状況で、4歳初戦の1月の1600万下も2着。その後約5カ月の休養に入る。兄のエアスピネルよりスケールが小さく、「なかなか勝ちきれない」性質はも同じと思われていたが......。
復帰初戦は5月末だったが、ここから馬が一変する。東京のむらさき賞(1600万下)を圧勝すると、そこからさらに4カ月休養して西宮S(1600万下)を連勝。10月のカシオペアS(OP)では、グリュイエールにトリコロールブルーという実績馬相手に2馬身差をつけ快勝。勢いに乗って挑んだ12月チャレンジC(G3)では、ステイフーリッシュやダンビュライト、レイエンダらが集結する中、道中4番手から4コーナーで外をまくり、直線半ばで先頭に立つと後は突き放す一方。2着マウントゴールドを3馬身突き放す圧勝で4連勝を決めている。
昨年4歳秋での「覚醒」。1戦1戦着実に実績を積み上げ、G1挑戦にあと一歩のところまで来た。今回の金鯱賞はペルシアンナイト、ギベオン、アルアイン、リスグラシュー、さらに4歳の大物ダノンプレミアムなど、これまでよりツーランク上といえるライバルが揃う。エアウィンザーにとって飛躍に向けての大きな壁といえるが、ここで、デビュー時手綱をとったレジェンドに白羽の矢が立った。
「現在21勝で『リーディング』の武豊騎手にとってはいい流れですし、こうしたいい依頼が来るのも当然かと。現在芝の王道路線でこれといったお手馬がいない状況なので、金鯱賞で勝利すれば今後も継続騎乗できるかもしれません。エアウィンザーでもっとも実績をあげているM.デムーロ騎手がペルシアンナイトを選択したのも理由かとは思いますが......。
ただ現状、金鯱賞後に予定されている大阪杯(G1)の鞍上は『調整中』とのことです。武豊騎手は大阪杯週、モロに被っているドバイ遠征にマテラスカイ(ドバイゴールデンシャヒーン)で挑むのが濃厚では、といわれています。最終的にエアウィンザーを優先して大阪杯も......という可能性もなくはないですが、武豊騎手の海外遠征へのこだわりはいわずもがなですからね」(競馬誌記者)
今年から、昨年215勝を達成したC.ルメール騎手のエージェントでもある豊沢信夫氏が新エージェントとなった武豊騎手。「馬質が向上した」という意見もあるが、エアウィンザー騎乗もその流れの一つなのだろうか。
一時は藤岡佑介騎手で、という話もあったエアウィンザー。エアスピネルとのコンビでG1勝利をいまだ達成できていない中、その全弟でのチャンスが武豊騎手に訪れた。ここで勝利すれば、競馬界の新たな「人気者」誕生となるかもしれない。