3月1日、元雨上がり決死隊の宮迫博之の経営する焼き肉店「牛宮城」がオープン。当初は昨年10月にオープンする予定だったが、共同経営者でユーチューバーのヒカルが撤退を表明し、一時はオープンそのものが危ぶまれた。だが、紆余曲折を経て、ようやく開店にこぎつけたかたちだ。
ヒカルは昨年秋、オープン直前の試食会で料理のレベルが低すぎるなどと酷評。「粗悪店」とまで言い切り、このような店であれば自身は関与したくないとして11月には撤退を表明。その後、宮迫はたびたび資金難を公言するなど苦境に陥っている様子を見せていたが、メニューを一から見直すなど試行錯誤し、「納得のいく味、納得のいく店」になったとして満を持して開店。
開店を控えて宮迫は、あらためてヒカルを試食に招待。ヒカルは招待日とは別のタイミングで“抜き打ちチェック”と称して店を訪問し、その様子を自身のYouTubeチャンネルで公開。そこで試食した料理をことごとく絶賛し、一度は撤退した牛宮城の宣伝役として再度関わりたいと提案。宮迫はもろ手を挙げて歓迎し、一度は不仲説も流れた2人が和解したかたちとなった。
ヒカルと宮迫が再タッグを組んだからといって、前途洋々なわけではない。話題性は高いことから、3月中は予約が埋まるほど盛況だが、料理の値段はかなり強気な高額設定となっており、飲食店が軒並み苦境にあるなかで生き残るのは簡単ではない。
宮迫の店ということで、芸能関係者やユーチューバーたちがしばらくは訪れるだろう。元相方の蛍原徹やお笑い芸人の江頭2:50などが来店を宣言している。また、そのような有名人見たさに来店する若者もいると考えられるが、料金が高額であることを考慮すると、リピーターがつくかどうかは不透明だ。実際、「2ちゃんねる」創設者で実業家の西村ひろゆき氏は「1年くらいで潰れる」との見解を示すなど、長くもたないとの見方をする向きが少なくない。
反対に、“青汁王子”こと実業家の三崎優太氏は試食したうえで、「飲食店で成功する要素を満たしている」「失敗する条件がない」などとして、牛宮城は成功すると断言。ほかにもネット上で一定の知名度を得た牛宮城は、客が集まると見通す経営者もいる。
他方、都内の別の焼き肉店の店主は、牛宮城を次のように冷静に分析する。
「YouTubeの動画やHPを見る限り、一定の肉質は確保できているように思えます。今後もずっとその質を担保できれば、多少高くても一定の顧客はつくでしょう。ポイントは接客ですね。高級な店は、上質な料理を出すだけではなく、上質な接客をしなければ悪評が広がります。たとえば、ヒカルさんの動画のなかで牛タンを提供するシーンがあるのですが、スタッフの指が肉に触れているように見えます。盛り付けにも問題がありますが、高級焼き肉でこのような配膳の仕方はあり得ないです。あとは、料理や接客の質を落とさないように宮迫さんがどれほど徹底できるかも重要ですね」
また、看板メニューのひとつであるユッケもカギを握るという。
かつてユッケは、多くの焼き肉店で人気メニューだった。だが、2011年に富山県の焼き肉店で死者5名を含む181名の被害者を出す食中毒事件が起きたことをきっかけに、提供方法が厳しく制限されることになった。具体的には、塊肉を加熱調理して外側をさばき、その中心部を使うこととされている。つまり、どんなに上等な肉でも、加熱調理せずにユッケとすることはできない。
「なかには、メニューに『加熱してお召し上がりください』と記載しているものの、客の求めに応じて生肉を提供している店や、裏メニューとして常連客に正しい調理をしていないユッケを出している店があります。その理由は、ユッケをつくると肉の無駄が生じますし、非常に手間もかかるからです。そのうえ、成分規格や加工基準、保存基準、調理基準、設備・器具の衛生、食品取扱者、記録の保存など細かい規定もあるため、ユッケをメニューに載せる店が減っているのです。万一、一度でも食中毒を出せば、閉店どころでは済まなくなります。ユッケはリスクが高いので、今や取り扱う焼き肉店はほとんどなくなっています。だからこそ逆に、上質なユッケを出し続ければ、それが集客の肝になる可能性もあると思います」(同)
芸能界を追われユーチューバーに転身した宮迫は、焼き肉店で経営者として成功を収めることができるのか。良くも悪くも世間の関心を集めている今、牛宮城の成否が宮迫の命運を握っている。
(文=Business Journal編集部)