コロナ禍2年目となった2021年。テレビ界はどんな状況だったのだろうか。テレビ東京とNHKを除く4局について、総括してみたい。
実は危うい日本テレビの事情
まず、視聴率民放1位の日本テレビ。しかし、今年は3冠王を何度もテレビ朝日に奪われ、体力を消耗している。
「これまで日テレは“ほぼ無改編”を身上としてきましたが、今年はソフトを積極的に入れ替えました。ただし、現時点では成果が得られていません。10年続いた『幸せ!ボンビーガール』を打ち切って始まった『一撃解明バラエティ ひと目でわかる!!』の視聴率は『ボンビーガール』よりは若干良いくらいで、すでにネタが枯渇気味。『おしゃれイズム』のリニューアル版『おしゃれクリップ』も、スタジオセットやテロップなどの外面だけは洗練された形に整えていますが、逆に浮ついた感があり、トークの中身も薄いと言わざるを得ません」(テレビ局関係者)
また、『世界まる見え!テレビ特捜部』『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』など人気番組はしぶとく生き残っている一方、数字が微妙になり、当落選上にあると言われているのが『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』だ。さらに、スタート時は好調だった『1億3000万人のSHOWチャンネル』も個人視聴率3%を叩くようになり、すでに飽きられた感がある。
そんな中、『今夜くらべてみました』と『人生が変わる1分間の深イイ話』が来春に終了することが伝えられた。『今くら』の後は、くりぃむしちゅー・上田晋也による『上田と女が吠える夜』がレギュラー化、『深イイ』の後は『しゃべくり007』が1時間繰り上がるとされている。
「そんな日テレのタイムテーブルを見渡すと、ここ数年で一番の同局のヒット番組が、日テレ制作ではなく中京テレビ制作の『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』というところに、今の日テレの限界が露呈しています。コンセプチュアルを重視する日テレは、『オモウマい店』のような企画の出口が見えづらい番組を避けてきました。しかし、結果的にはその『オモウマい店』が、今の日テレで最も数字を獲っているわけです」(同)
若者重視も苦戦が続くテレビ朝日
打倒・日テレを掲げ、いよいよ若者重視のコンテンツ作りに動き出したテレ朝。しかし、20年10月からプライム帯に繰り上がった『テレビ千鳥』は相変わらずの低空飛行で、『あざとくて何が悪いの?』も多くの女優やアイドルが「番組内のドラマに出たい」と熱望するわりには数字が獲れていない。
「今年10月に土曜22時半から水曜19時に昇格した『ノブナカなんなん?~アノ人なんなん?人生のぞき見ドキュメント~』は順調に推移していますが、かまいたち、元乃木坂46・白石麻衣による『ウラ撮れちゃいました』もなかなか定着していません」(同)
弱点だらけのフジテレビ
続いてはフジテレビだ。かつては数字が獲れないと見切ると、かなり早いタームで打ち切り、新番組を投入していたが、現在は既存の番組のブラッシュアップに腐心している。その成果は『潜在能力テスト』や『世界の何だコレ!?ミステリー』といった番組の、時ならぬ高視聴率に結びついている。いずれも、裏番組が強力でないときは視聴者が流れてくる傾向が見受けられるのだ。
「一方で、一時期はコア層の数字を持っていた『千鳥のクセがスゴいネタGP』は、裏の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)の復調もあり、若干息切れしています。さらに、『ネプリーグ』『痛快TVスカッとジャパン』『奇跡体験!アンビリバボー』といった老舗番組が振るわない。TBSと同じく、ドラマが好調である点も特徴です」(同)
また、朝の『めざまし8』は『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に、夕方の『Live News イット!』は『news every.』(日本テレビ系)に、夜の『Live News α』は『news zero』(日本テレビ系)にそれぞれ後塵を拝しているなど、ウイークポイントは数えきれない。
コンテンツ不足に悩むTBS
今年の大晦日夜、TBSが放送するのは『THE鬼タイジ 大晦日決戦in鬼ヶ島』。人間に襲いかかる“鬼”をプレイヤーが特殊銃で撃ち倒すシューティングサバイバルゲームで、同シリーズはこれまで4回放送されてきた。しかし、直近の9月放送のゴールデン2時間SPの個人視聴率は2.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、今回も爆死が予想される。
「このように、TBSは今、コンテンツ不足に悩んでいます。立て直しが急務なのは、来春終了が報じられている『オトラクション』、また同番組に引っ張られて低空飛行を続ける『バナナサンド』がオンエアされている、火曜19~21時のゴールデン帯。さらに、月曜夜の『アイ・アム・冒険少年』『クイズ!THE違和感』『CDTV ライブ! ライブ!』も改善が求められています。『冒険少年』はキッズ層の数字は高いものの、それ以外の支持がなかなか集まらないのが実情です。
一方、最近放送頻度が多くなっているのが、これまでスペシャルで何度かオンエアされている番組です。内村光良の『ウッチャン式』、バナナマンによるクイズ番組『クイズ!倍買』、劇団ひとりによるバラエティ『出動!謎ときヒーロー』などが不定期にオンエアされたり、期間限定でレギュラー放送されたりしており、とにかく穴が多いゴールデンでレギュラー化したいという意図が透けて見えます。全体的に、TBSで好調なのはドラマだけという結果になっています」(同)
以上、4局の現状について見てきたが、これらはいずれも視聴率の面でしか論じていない。一方で、動画配信サービス「TVer」は今年8月、アプリの累計ダウンロード数が4000万を突破。10月の月間動画再生数も初めて2億回を突破するなど、今や「見逃し視聴」が主流になりつつある。また、『テレビ千鳥』もTVerのマイリスト登録者数が全バラエティ番組で1位というデータも出ている。
そのため、今のテレビ業界を視聴率だけで切り取るのは早計かもしれないが、そんな見逃し視聴の主な目当てはドラマだ。各局ともに人気ドラマを映画化するケースが増えているように、ドラマは活況を呈しているが、その一方でバラエティの不振やコンテンツ不足が目立つのが、テレビ業界の現状である。2022年、各局はどのように生き残りを図っていくのだろうか。
(文=編集部)