23日、浦和競馬場のダート1400mを舞台に行われたテレ玉杯オーバルスプリント(G3)は、岩田康誠騎手が騎乗した2番人気テイエムサウスダン(牡4歳、栗東・飯田雄三厩舎)が優勝。2番手追走から逃げるアランバローズを3コーナーで早めに捕え、そのまま力強く押し切った。
2着に外から追い込んだティーズダンク、3着にはアランバローズの地方勢が入り、単勝1.8倍の1番人気に支持されたラプタスはまさかの10着と大敗した。
勝ったテイエムサウスダンは高知の黒船賞(G3)に続いて交流重賞2勝目。11月に金沢で開催されるJBCスプリント(G1)出走に向けて賞金を加算した格好だ。
騎乗していた岩田康騎手にとっても、今回の勝利は格別のものだったことは間違いない。
今年4月、レース前の返し馬の際、後輩騎手の騎乗馬に“幅寄せ”、暴言を吐くなど前代未聞の事件を起こしたことで、翌日から14日間(開催4日)の騎乗停止。そのため、同馬の前走、5月3日のかきつばた記念(G3)は騎乗が不可となり、福永祐一騎手に乗り替わりとなっていた。
同騎手は5月9日の中京競馬で戦列に復帰し、鞍馬S(OP)で復帰後初勝利を挙げ、渾身のガッツポーズを決めたが、これが波紋を呼ぶ事態に……。
わずか2週間前に前代未聞の事件を起こしながら、派手なパフォーマンスを披露した“空気の読めなさ”に不快感を覚えたファンも多く、SNSやネットの掲示板などでは「ガッツポーズはダメだろ」など、猛烈な“岩田バッシング”が巻き起こった。
なかでも元JRA騎手の藤田伸二氏は、自身のTwitterに「あんなんしてホンマにええの?」と投稿。“幅寄せ事件”にも厳しい意見を述べていた藤田氏だったが、反省の色が見られなかった同騎手を「呆れて言葉も無い……………」「悲しい奴だ…」(原文ママ)と完膚なきまでに切り捨てている。
そんな岩田康騎手だが、今回の勝利騎手インタビューで「前回は僕が事件を起こしてしまい乗れなかったんですが……」といきなり自虐ネタから入ると、「その分も込めて自分で攻め馬をして、納得する馬作りをしてレースに挑んだ」とコメント。
その後もとつとつとレースを振り返っていた同騎手だったが、インタビュー終盤になると突如として、バッシングに対しての“反撃”が始まった。
ファンへのメッセージを向けられると、「ゴール板では叫んでしまい、ガッツポーズも出てしまいましたが」と前置きした上で、「やっぱ自分自身の考えた通りのレースで1着になれば自然にガッツポーズは出るんで。色んなところで叩いている人もいるが、やっぱりジョッキーは勝ってナンボの世界なんでね」と、自身の批判に反発した格好だ。
そして、「レースでは熱くなっている。皆さんも嬉しければガッツポーズは出ると思うんでね、その辺のことも考慮しておいてほしい」と締めくくった。
「岩田康騎手は例の騎乗停止から復帰以降、JRAでは僅か8勝、ここ1ヶ月間で勝ち鞍なしと精彩を欠いています。様々なところから批判を受けたことで、溜まっていたものもあったのかもしれません」(競馬誌ライター)
時にはラフなプレーも目立つが、誰よりもレースに真剣な岩田康騎手だからこそ、批判している人達に向けて一度言っておきたかったのかもしれない。
批判を受けることとなったクリノガウディーとのコンビでは、来月3日に行われるスプリンターズS(G1)に挑む予定だ。今回快勝したテイエムサウスダンも含め、岩田康騎手のこれからの逆襲に期待したいところである。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。