プロ野球、優勝争いのカギを握る「3人の石川投手」とは?ソフトバンクは最大の誤算に

 シーズン終盤を迎えたプロ野球。9月16日終了時点で、セ・リーグもパ・リーグも上位3チームが混戦状態である。そんな中、好不調を繰り返すなど、目が離せない3人の「石川投手」がチーム状態のカギを握っている。しかも、この3人の成績の浮き沈みは非常に酷似しているのだ。

優勝争いを繰り広げる「2人の石川」

 セ・リーグ2位の東京ヤクルトスワローズ。近年は打線の爆発力に依存するテールエンド(最下位)候補の筆頭だったが、好調要因のひとつに、最年長にして最軽量のサウスポー・石川雅規の奮闘がある。

 167センチ、73キロの小柄なエースは今季41歳。通算176勝(174敗)は「200勝に最も近い男」だ。9月14日現在、登板10試合で3勝3敗だが防御率2.30。先発陣でダントツの安定感を誇る。7月以降は先発5試合すべてで自責点1以下ながら、打線の見殺しで勝ち星から遠ざかっている。

 プロ野球選手とは思えぬ小さな体で1軍マウンドに立つこと20年目。大学出身投手の20年連続勝利はNPB記録でもある。大きな故障もなくエースとして奮闘する姿は、プロアマはもちろん、多くの野球人の刺激になっている。

 ヤクルト投手陣に規定投球回数到達者は皆無。逆転優勝を果たすために、石川は必要不可欠な存在である。投手人生で最大のピンチに陥ったのは2017年。4勝14敗で防御率5.11はプロ人生でワーストの成績となり、チームもダントツの最下位に沈んだ。

 この年、パ・リーグ最下位に沈んだ千葉ロッテマリーンズの最大の戦犯が、3勝11敗で防御率5.09の石川歩だ。前年に14勝5敗を挙げ、防御率2.16で最優秀防御率のタイトルを獲ったが、翌17年は3勝11敗と8つの借金を抱えてしまった。

 このシーズンは2人とも大きな負け越しを背負ったが、翌年はヤクルト石川が7勝6敗、ロッテ石川も9勝8敗と勝ち越した。そう、2人の成績はとても似通っているのだ。

 今季のロッテ石川は2勝2敗(9月14日現在)。6月に肘のクリーニング手術を受け、今季中の復帰は難しいとみられていたが、9月9日に首位攻防のオリックス・バファローズ戦に登板。6回を被安打7、失点2で試合をつくった(結果は引き分け)。

 ヤクルトと同じく、規定投球回数到達者がいないロッテの投手陣。チームの最多勝は8回専任=オール救援勝利で8勝0敗(20ホールド)の佐々木千隼である。ロッテのペナント制覇は、石川の成績次第となるかもしれない。

最多勝から不振に陥った「3人目の石川」

 3人目の石川投手は、福岡ソフトバンクホークスの石川柊太である。

 4年連続日本一のチームは今季、9月16日時点で4位と、誰もが予想だにせぬ結果を招いている。鉄板とも盤石とも表現されるリリーフ陣の離脱があったものの、次々と新戦力が現れる層の厚さは球史でも類を見ないが、最大の誤算は千賀滉大と並ぶエース・石川の変調である。

 昨季は11勝3敗で最多勝と最高勝率の2冠に輝いたが、11日、優勝争いの佳境で最下位の北海道日本ハムファイターズを相手に1回もたずの10失点。9敗目(5勝)を喫した。工藤公康監督から「今は先発ではなくリリーフで自分を取り戻すのも一つの方法」と2試合ほどリリーフとして起用され、一度は調子を取り戻したかに見えた矢先の大炎上となってしまった。

 しかし、ソフトバンク石川は都立の工業系高校から創価大学を経て育成契約となり、気がつけば最多勝投手となった「育成の星」でもある。

 2ケタ敗戦から立ち直って優勝戦線のマウンドに君臨する2人の石川先輩に刺激を受けて、こちらの石川も奮起が期待される。9月19日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では、先発して5回を投げて自責点2。チームは負けたものの、ゲームをつくった。CS(クライマックスシリーズ)出場を目指すソフトバンクにとって、カギとなるピッチャーだ。

 柊太が雅規&歩と同じ道をたどるか。3人の石川の今シーズン終盤のマウンドが、非常に楽しみである。

(文=広中克生/ライター)