JRA「謎の回避」から武豊アドマイヤビルゴらに叩きつけた挑戦状!? 2連勝中の3歳牝馬に見え隠れする陣営の戦略

 16日、牝馬三冠の最終章・秋華賞(G1)へ向けたローズS(G2)の出走馬が確定したが、「あの馬」の名が消えていることが一部のファンの間でも話題になっているようだ。

 2連勝中のマリアエレーナ(牝3歳、栗東・吉田直弘厩舎)である。

 ソダシやユーバーレーベンといった春のクラシックを賑わせた馬たちが秋華賞の直行を選択した影響もあって、今年のローズSは混戦模様。そういった中で唯一、1勝クラス・2勝クラスを連勝したマリアエレーナは夏の上がり馬の代表格で、上位人気が確実視されていた。

 7月以来、約2カ月ぶりのレースとなるが中間の調整も順調。陣営からも「ここで勝負できなければ、当然秋華賞でも勝負できないので」と強気なコメントが飛び出していたマリアエレーナ。

 しかし、ふたを開けてみれば、まさかの“ドロン”である。

 真っ先に考えられたのが抽選漏れによる除外だが、対象となったのは1勝馬だけであり、すでに3勝を挙げているマリアエレーナは高みの見物といった立場だ。

 そんな本馬の名があったのが、ローズSの前日に行われるケフェウスS(OP)だった。つまりマリアエレーナ陣営は自らの意思でローズS出走を自重し、このレースを選んだことになる。

 ちなみに、このケフェウスSはローズSとまったく同じ中京の芝2000mで行われるレースだ。そうなるとマリアエレーナ陣営がこのレースを選択した理由は、距離や適性ではないということになるから“謎”は深まるばかりだ。

「報道各紙がローズSの取材の一環でマリアエレーナを取り上げていたように、陣営にローズS出走の選択肢があったことは事実です。ただ、実は賞金的に除外の可能性がないにもかかわらず、登録段階からずっと鞍上が決まってなかったんですよね。

その上でローズSを回避してケフェウスSを選択したということは、秋華賞を目指す同世代の3歳牝馬よりも、古馬相手の方が組みやすしと考えたからでしょう。珍しい選択ですが、自らの意思で出走を決めた分、要注意の存在になりそうです」(競馬記者)

 ケフェウスSには、武豊騎手が主戦を務め「6億円ホース」として有名なアドマイヤビルゴを筆頭に、今年の中山金杯(G3)と中山記念(G2)で3着だったウインイクシード、3連勝中のアラタが出走するなど、決して楽なメンバーではない。

 しかし、ハンデ戦ということもあって、3勝クラスの3歳牝馬マリアエレーナの斤量は最軽量の48kg。トップハンデのアドマイヤビルゴ、ウインイクシードとは実に8kgものアドバンテージがある。

「前走が418kgでの出走と、決して馬格に恵まれているわけではないマリアエレーナにとって、この軽量は普通の馬よりも大きなアドバンテージになると思いますね。

さらに鞍上に酒井学騎手を確保できたことも大きい。通常48kgまでハンデが軽くなると実績のあるジョッキーはなかなか乗ることができませんが、酒井騎手が豊富な経験がありながらも軽ハンデに騎乗が可能な貴重な存在。その武器を活かして、ハンデ重賞で度々結果を残すことから、一部のファンの間では『ハンデ職人』なんて呼ばれています。

またレース日程が(ローズSより)1日早くなりましたが、マリアエレーナは吉田厩舎の特色で、他の馬よりも早い火曜日に追い切りを済ませていることから影響はほぼないかと。好メンバーが揃ったことで下馬評はそこまで高くありませんが、この出走には陣営の確かな戦略を感じます。不気味な存在だと思いますね」(別の記者)

「折り合いは問題ないし、距離はこれぐらいがベスト」という陣営のコメントはローズSの取材時のコメントだが、舞台設定が同じである以上、そのままケフェウスSにも当てはまる。

 “異例の選択”で勝ちに来た、3歳牝馬の走りに注目したい。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。