東京パラリンピックが開幕し、この夏最後のビッグイベントが大きな盛り上がりを見せている。そしてJRAの夏競馬も残り2週となったわけだが、この2週間は競馬関係者にとって重要な時期でもある。というのも3歳限定で行われる未勝利戦が、この2週間で終了となるからだ。
JRAで1年に登録される競走馬は4800頭ほどだが、その中で勝ち上がることができるのは3分の1ほどといわれている(地方の交流戦などは除外)。この2週で3歳未勝利に出走するのは、ここまで勝ち上がることができなかった3歳馬で、勝利できなければ大きく分けて3つの選択肢が待っている。
1つは地方競馬への移籍だ。JRAでは通用せずとも、地方なら活躍できるという考えで地方への移籍や、他の馬主へ売却することもある。移籍後に好成績を残せば、出戻りでJRAに再度移籍することも珍しくはない。
2つ目は未勝利のままJRAに在籍し、上のクラス(3歳以上1勝クラスなど)に挑戦するという選択肢だ。ただし優先出走権は1勝クラスの馬にあるので、思うようにレースに使えないことも多い。加えて格上が相手だけに良績を残すのは困難。またその場合、管理馬が多い人気厩舎では在籍できず、他の厩舎へ転厩するケースもある。
最後はこのまま引退することだ。セレクトセールで1億円を超えるような高額馬であっても、あと一歩の2着が多い実力馬であっても、1勝できなければ存在意義はなくなってしまうのがJRAのルール。ゆえにこの2週で行われる3歳未勝利に出走させる関係者としては、何が何でも勝ちたいのである。
残り2週となった3歳未勝利は、今週20レース、そして来週17レースの合計37レースのみ。つまりJRAに安心して在籍できる最後の切符は37枚であり、どの馬が手にするのか非常に興味深い状況となっている。
今週と来週はすべての3歳未勝利戦に着目し、現地で取材を行う記者の枠順確定後の最終情報を踏まえた注目馬を紹介しよう。
■土曜の3歳未勝利と注目馬
札幌3R【ダ1000m】フクノルッカ
前走は隣の馬につられて出遅れたが、それでも好内容の2着。「前走から付けたブリンカーと減量騎手の効果も大きかった」とのこと。ともに2度目で今回はチャンス大。ここまで2着4回で力も上位だ。ドクタースキル、キュートラン、レイワプリンセスも上位争いか。
札幌4R【ダ1700m】マテンロウアレス
土曜の横山典弘騎手は信頼関係にある昆厩舎の3頭に騎乗するが、同馬はその一頭でもっとも有力。ここまで12戦して2着5回3着4回と歯がゆい競馬が続く。調教師は「こんなところにいる馬じゃないんだけどね」と評価しているだけに、ダート2戦目で勝負の一戦。セブンデイズ、ウォーターボンボンと三つ巴の競馬。
札幌6R【芝1500m】ヴィトーリア
セレクトセールで落札された馬だが勝ちきれず。特に2走前の阪神の敗退はショックだった様子。その後立て直して状態も安定。今週からCコースで有利な内枠を引いて注目。
新潟2R【ダ1200m】レオスパンキー
フルゲート15頭がビッシリ。先行有利のコースで同馬に期待。「前走は勝ちに行っての惜敗。今度こそ」と陣営も力が入る一戦とのこと。
新潟3R【ダ1800m】デルマフゲン
前走は牡馬相手で失速もスピードは見せた。今回は牝馬限定戦で相手関係も展開も有利に。ユキヤコンコンとの一騎打ちだが、前で競馬ができる同馬が一歩リード。
新潟4R【ダ1200m】スターオブエイジア
連闘で初ダート。常識的には厳しいが、能力は高く侮れない。前走はレース中に右前脚を落鉄して0.2秒差。ダート適性はあると関係者も話しており、嵌ればあっさりも。外枠を引いたビリーヴインミー、斤量有利なサイレントナイトが強敵。
新潟7R【芝1200m】リネンデザイン
土曜の新潟未勝利で唯一の芝ということもあり18頭のフルゲート。同馬は芝の短距離に路線を変更して3、2、2着と安定している。鞍上の丸田騎手も何とかしたいとのこと。
小倉3R【ダ1000m】テーオールソー
小倉リーディングを争う松山騎手への乗り替わり。前走は芝スタートで行き脚が付かず、その結果スピードに乗れず揉まれたのが敗因。中央場所で2着があるように能力は上位、ダートスタートのこのコースなら勝ち負け。
小倉4R【芝1200m】メイショウイジゲン
3走前に2着に好走した浜中騎手への乗り替わりはプラス。展開に左右されるタイプだが、今回は内枠に逃げ先行馬が揃って流れも向きそう。差しが効くようになった馬場も後押し。
小倉6R【ダ1700m】ヨロシオスナ
戦績が示すようにここなら実力は上位。同じ脚質の馬も何頭かいて鞍上の手腕が試される一戦。クリノカイザー、メイショウピスカリ、ハデスキーパーなど強敵も揃って未勝利ながらハイレベル。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。