22日、札幌競馬場で行われた夏のビッグイベント・札幌記念(G2)は、2番人気のソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が勝利。前走のオークス(G1)でキャリア初の敗戦を喫した白毛の女王が見事な復活劇を見せた。
まさに大目標となる秋の秋華賞(G1)へ、王手をかける勝利だった。
13頭立てで行われた芝2000mのレースは、ソダシにとって秋へ向けた仕切り直しとなる一戦であると共に、今後のキャリアを左右する大きな挑戦でもあった。クロフネ産駒が平地2000m以上の重賞を勝利したことがないだけでなく、ソダシ自身が2400mのオークスで8着に敗れていたからだ。
しかし、この日は好位から抜け出すいつもの横綱相撲だった。それも向正面でブラストワンピースの奇襲に遭って早めのスパートを強いられながらも、最後は世界最高レベルにあるラヴズオンリーユーの追撃をしのぎ切った内容は極めて秀逸。同じ2000mの秋華賞へ向け、「距離の不安はまったくなくなった」と言っていいだろう。
そんな白毛の女王の復活劇を手放しで絶賛したのが、元JRA騎手のアンカツこと安藤勝己氏だ。
安藤氏は自身の公式Twitterで「オークスは乗り方と展開だったんやね。今日はそれを帳消しにするエスコート。遅くないペースをブラストワンピースに来られて、2段構えで根性見せとる。恐れ入りましたってしぶとさで強い」とソダシの走りを絶賛。
ただ同時に、この発言はあることを示唆しているのではないかと記者は言う。
「安藤さんの『オークスは乗り方と展開だったんやね』という発言は、オークスの敗因が乗り方や展開にあったことを示唆しています。逆に言えば、そこさえ問題がなければソダシが2400mをこなせた可能性があったということ。
メディアやファンの間で挙げられているソダシのオークスの主な敗因は2つあって、1つは2400mという距離。そして、もう1つが入りの1コーナーで川田将雅騎手のステラリアに激しくマークされたことと言われています」(競馬記者)
記者がそう話す通り、単勝1.9倍を裏切ってしまったオークスのレース後、ソダシを管理する須貝調教師が「序盤で併せ馬の形になって引っ掛かった。その分の力みが最後(の失速)に出てしまった」と、暗に川田騎手のステラリアのマークを敗因に挙げている。
また、同日に自身のYouTube『藤田伸二チャンネル』でライブ観戦を行った藤田伸二氏も中継の中で「将雅、そんなイジメんな……」と、川田騎手の騎乗を指摘していた。
「この日の札幌記念の勝利騎手インタビューで、吉田隼人騎手が『オークスではちょっと……』と言葉を詰まらせるシーンがありましたが、安藤さんの言葉通りなら、ソダシのオークスの敗因は川田騎手の激しいマークということになりますね。
もちろん大本命馬は、普通に走れば勝つ可能性が極めて高いから大本命に推されているわけであって、楽な競馬をさせないことは、勝利を目指すライバル騎手としては当然の行為。ましてやG1の舞台ですから、これも競馬。JRAから特に何かを指摘されたわけでもないですし、川田騎手の騎乗を批判するのはお門違いだと思います。
ただ、単純にもしソダシがオークスを勝っていれば、昨年のデアリングタクトに続く無敗三冠に王手をかけていたかもしれないということ。そう考えるとやはり競馬で勝ち続けることは本当に難しいことで、次の秋華賞もソダシにとっては決して簡単なレースにはならないかもしれません」(同)
この勝利でソダシが秋華賞の大本命馬になることは、ほぼ間違いないだろう。ラヴズオンリーユーら歴戦の古馬を破った実績、そして何より懸念されていた距離への不安がなくなった事実はソダシにとって、極めて大きなアドバンテージになる。
「復帰戦でソダシらしい競馬をしてくれて、秋に向けてまた楽しみになりました」
レース後、今後の期待を語った吉田隼騎手。だが記者が話す通り、注目を集めれば集めるほど、周囲のマークは厳しくなり、ましてや秋華賞の舞台となる阪神2000mは紛れの起きやすいコースとしても有名だ。
「最後は苦しくなっていて、3歳牝馬の(斤量)52kgが大きかったです。今度からは同じ斤量になるので、しっかり仕上げていきたいです」
吉田隼騎手がそう気を引き締めた通り、ラスト一冠を狙う同世代の抵抗は、決して生易しいものではないだろう。白毛の女王が本当の強さを示さなければならないのはこれからだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。