企業や産業全体の変革をドライブする「突破考」は、どのように生まれ、どんな未来をもたらすのか? 知られざるストーリーに迫り、明日のビジネスへの糧を見つけるオリジナル番組『突破考』。
第1回となる今回は、世界規模の市場でもあるゲーム産業をテーマに、業界最大のイベント「東京ゲームショウ」にスポットをあて、ディスカッションします。
モデレーターは、佐々木紀彦(NewsPicks NewSchool 校長)、ゲストMCとして須藤憲司氏(Kaizen Platform 代表取締役)を迎え、東京ゲームショウの主催者であるCESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)理事・イベント委員会委員長 辻󠄀本春弘氏と、アマゾンジャパン合同会社の川本洋子氏、株式会社電通の永山昌美氏、石川剛氏が登場。
コロナ禍により開催が危ぶまれた2020年の東京ゲームショウでは、いかにしてピンチを乗り越えたのか、その顧客体験設計の秘密に迫ります。
※本記事はNewspicksからの転載記事です。
オンラインに活路を見出した東京ゲームショウ

佐々木:近年ではeスポーツの台頭もあり、ますます盛り上がっているゲーム産業ですが、須藤さんはどのようにご覧になっていますか?
須藤:ネットワークに繋がったこともそうですが、テクノロジーによって楽しみ方が大きく広がっている産業ですよね。その一方で、海外を中心に展開されているeスポーツの勢いを、これから国内でどういうふうに考えていくのがいいのか興味深いです。
佐々木:そうですね。そこでカギを握るのが毎年開催されている「東京ゲームショウ」です。まずはこれがどのようなイベントなのか、イベント委員長でもある辻󠄀本さんからご説明いただいてもいいでしょうか。
辻󠄀本:東京ゲームショウは国内最大のゲームイベントであり、アメリカの「E3」、ドイツの「gamescom」と並ぶ世界三大ゲームショウのひとつです。
毎年9月に開催しており、様々なコンテンツやサービスがお披露目される、ゲーム業界の重要な発信の場となっています。近年では出展社の過半数を海外企業を占め、業界内のマッチングの場として機能しているのも特徴ですね。
須藤:私も足を運んだことがありますが、ものすごい人出で驚きました。注目度の高さを感じます。
佐々木:そんな東京ゲームショウが、現状抱えている課題は何でしょうか。
辻󠄀本:国内においては少子高齢化の影響が避けられず、ゲーム人口をどう維持していくかが喫緊の課題です。そこで重要なのは海外展開で、そのために東京ゲームショウがどのような企画を提供できるかが大切だと思います。
佐々木:ところが昨年はコロナ禍に見舞われ、イベントシーンは苦境に立たされました。東京ゲームショウはどのように対応しましたか。
辻󠄀本:多くのリアルイベントが中止に追い込まれる中、ゲーム領域の貴重な発信の機会を止めないために、我々はイベントの決行を早期に決断しました。
とはいえ、感染症対策の観点からやはりリアルイベントは難しいということで、フルオンラインでの開催に切り替えた経緯があります。
佐々木:なるほど。しかし、ひとつのイベントを全面的にオンライン化するというのは、限られた時間の中で決して容易ではなかったでしょうね。
石川:そうですね。これまでリアルイベントに参加していたユーザーの皆さんが、東京ゲームショウにどのようなことを求めていて、そのうちの何がオンラインに適しているのか、まっさらの状態から考えなければなりませんでした。
辻󠄀本:初めての試みですし、やはり当初は不安しかなかったですよ。オンラインでどこまで顧客満足度を維持できるのか。また、予算を確保するためには、オンラインでどこまで売上、収益を維持できるかという問題もありました。
須藤:リアルとオンラインでは、ユーザー側からするとどうしても価値が変わりますから、どのような体験設定をするかが重要ですよね。
ただ、成功している事例を見れば、距離を問わずオポチュニティが広がっているのも事実ですから、やり方次第でこの先を見据えた好機にもなり得ると思います。
電通×Amazonのコラボでライブコマースを実現
佐々木:問題はまさに、そうした課題をどう突破するかです。
辻󠄀本:そもそも従来の東京ゲームショウは、毎年26万人を動員していましたが、これは会場である幕張メッセの収容人数のMAX値なんです。
定められたキャパシティを超えて、広く海外にまでアピールするために、コンテンツの配信というのは以前から仕掛けていました。むしろ、今回オンラインになった利点をフルに活用すべきであると考えました。
永山:距離の問題がなくなることで、ライト層にアピールするチャンスは広がりますから、必ずしもネガティブに捉える必要はありません。ただ、そのためには会場に足を運ばずとも提供できる体験を用意することが求められました。
佐々木:そこで、最初の「突破考」です。

石川:まずご提案させていただいたのは、「Gameful」というテーマです。これはゲーム領域と他産業との掛け算により、現実を大きく変えられるゲームの力を体験によって感じていただくイベントにしよう、というコンセプトを表しています。
永山:もともとコロナが蔓延する以前から、「Gameful Tomorrows.(ゲームにできること、ぜんぶやろう。)」というキャッチコピーを用意していたんです。期せずしてこうした状況になり、よりその思いは強いものになりました。
佐々木:しかし、十分な時間のない状況での突然の路線変更は、決して容易ではなかったはず。そこを切り開いた、2つ目の「突破考」は何でしょう?

音楽・映像・ソフトウェア・ビデオゲーム 統括部長
2021年以降の東京ゲームショウはどうなるのか

