8日、新潟競馬場で行われた驀進特別(2勝クラス)は、1番人気の12番ジャスパージャック、2番人気の15番アビエルト、5番人気の14番クルークヴァールがワン・ツー・スリーというほぼ順当な決着だった。
さらに4着のサクセスハーモニーが17番。5着だった9番タピオカよりも外枠の馬が1着から7着までを占める、外枠有利の新潟千直お馴染みの光景となった。
しかし、レースは“お馴染みの光景”とはならなかった。
スタートが切られ、各馬がこぞって外ラチを目指す中、1頭だけ逆に内ラチを目指したのが2枠3番のセピアノーツだ。鞍上は千直を得意とする藤田菜七子騎手である。
思えば先月25日のアイビスサマーダッシュ(G3)で、1枠1番だったバカラクイーンの菅原明良騎手が内ラチへ直行。“逆転の発想”で14番人気の低評価を覆して3着に粘り込み、ファンを驚かせたのは記憶に新しいところだろう。
さらに、そんな藤田騎手の奇襲につられるように内の進路を選んだ1枠2番のウインオルビットの原優介騎手だったが、結果は藤田騎手のセピアノーツが最下位、ウインオルビットがブービーという散々たるものになってしまった……。
「2匹目のドジョウというわけではないですが、藤田騎手を始めセピアノーツ陣営の狙いも、アイビスSDの菅原明騎手とバカラクイーンの“内ラチ奇襲”だったと思います。
しかし、アイビスSDはまだ内側の馬場コンディションが良好な開幕2日目でしたが、今週はすでに開幕6日目……。さすがに内側の馬場が、外側同様とは言えなかったようです。
アイビスSDのバカラクイーンの走りはファンや関係者から『千直の常識を覆した』と絶賛されましたが、今回の藤田騎手のトライも自身だけでなく、他の陣営にとっても『やっぱり無理か』という意味では、大いに参考になったと思います。ある意味、意義のある試みだったのではないでしょうか」(競馬記者)
奇襲も空しく最下位に敗れてしまったセピアノーツと、ブービーのウインオルビットだったが、もともと13番人気と18番人気の超人気薄。千直では絶望的と言わざるを得ない内枠を引いたことからも、レース後には「ナイストライ」という声もあった。
しかし、その一方で思わぬとばっちりを受けてしまったのが、三浦皇成騎手だ。
今回、アイビスSDから中1週のレースとなった藤田騎手とセピアノーツだったが、実は同じように中1週で千直を狙ったのが、3着激走で注目を集めたバカラクイーンだった。
その鞍上が菅原明騎手ではなく、三浦騎手だったのである。
ちなみにバカラクイーンが入ったのは内目の3枠6番。そうなれば、大方のファンが期待するのはアイビスSD同様のイン強襲だろう。人気は前走の14番人気から、6番人気まで上昇していた。
しかし、三浦騎手が選択したのはセオリー通りの外。ただ、3枠6番からではやはり満足なポジションが取れず、13着に大敗した。レース後、一部のファンから「菅原明騎手なら……」という声が挙がったのは述べるまでもないだろう。
「スタートはよかったんですが、それ以上のダッシュを見せたスイーツマジックに進路をカットされたのが痛かったですね。一瞬、外に行くのが遅れたせいで満足なポジションを取ることができず、中途半端な競馬になってしまいました。
もちろんアイビスSD同様、内に行く選択肢もあったと思いますが、さきほど話した通り、あれは開幕週だからこその作戦。難しい結果になっていたことは、藤田騎手たちの玉砕を見ても明らかでしょう。
ただ、それでも前走のアイビスSDは言わば、千直のスペシャリストたちの頂上決戦。そこで3着に激走した馬が、2つ下のクラスの自己条件に戻って惨敗では、三浦騎手の心証が悪くなってしまうことは仕方ないかもしれません」(同)
ちなみにバカラクイーンとのコンビ継続が期待された菅原明騎手は、3番人気のサクセスハーモニーに騎乗。17番という絶好枠だったが、ハナ差の4着と一歩及ばなかった。わずか1分足らずで決着する千直レースだが、そこにもジョッキーたちの様々な思惑があるのかもしれない。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。