東京2020オリンピックのスケートボード・女子ストリートで見事、金メダルに輝いた西矢椛選手が競技後に自身のインスタグラムを更新。応援してくれたファンに感謝しつつ、「人生で一番の幸せな瞬間でした」と、13歳330日という日本史上最年少での快挙を振り返った。
これに対し、パワーをもらったのが競馬界のレジェンド・武豊騎手だ。
函館に滞在中の武豊騎手は毎日、テレビで東京五輪を観戦しているという。同騎手自身も5月27日に滋賀・栗東で聖火ランナー第1走者を務めた縁がある。
若き金メダリストの活躍に触発されたのか「アスリートは人生をかけている。ああいうことに感動しない人はいないと思う。仕事を頑張ろうと思うよね。13歳の子は面白い。52歳も頑張ろうと思います」とコメントを残した。
かつて若き天才と呼ばれた武豊騎手もいまや52歳である。1987年に騎手デビューし、トウカイローマンとのコンビで京都大賞典(G2)を制して重賞初勝利。最終的にこの年は69勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手も受賞した。
翌88年には、スーパークリークとのコンビで菊花賞(G1)を制し、G1初制覇。JRA史上最年少となる19歳8ヵ月の若さでクラシック制覇を達成した。3年目の89年には、G1・4勝を含む年間133勝を挙げ、デビュー3年目にして初の全国リーディングにも輝き、その名は競馬界にとどまらず、各方面でも武豊の名前は全国区となっていく。
その後の活躍は枚挙に暇がないため、ここでは割愛するが、今もなお第一線で活躍するレジェンドの姿は、オールドファンにとっても励まされる存在といえるだろう。スーパースター・武豊騎手にもいつかは引退という二文字も訪れるが、レジェンドより年長の大ベテランもまだまだ現役騎手として頑張っている。
そんな武豊騎手以上のベテランは、JRA所属騎手で3名のみ。※小牧太騎手は地方からの移籍組のため除く
現役最年長55歳の柴田善臣騎手は、一部のファンから「大先生」「相談役」などの愛称で呼ばれる人気騎手だ。初騎乗のダービーで、若かりし頃の福永祐一騎手の顔面を蒼白させたキングヘイローに待望のG1初勝利をプレゼントした2000年の高松宮記念(G1)や、10年の凱旋門賞(G1)で2着に健闘したナカヤマフェスタとのコンビでも知られる。それ以外にもヤマニンゼファー、タイキフォーチュン、オフサイドトラップ、オレハマッテルゼなどのG1馬にも騎乗していた。
2人目はクマちゃんこと熊沢重文騎手だ。平地・障害の二刀流としても知られる熊沢騎手は、穴男としても実力を発揮。自身のG1戴冠となった88年のオークス(G1)は、10番人気コスモドリームで勝利。単勝万馬券の14番人気ダイユウサクでメジロマックイーンと武豊騎手を撃破した91年の有馬記念(G1)はあまりにも有名である。
それ以外でもエイシンワシントン、ステイゴールド、テイエムプリキュア、マーベラスカイザーとのコンビでも活躍している。
3人目は関東の天才・横山典弘騎手。一つ違いの武豊騎手とは大の仲良しで、公私ともにいいライバルでもある。ファンをアッと驚かせる大逃げや、ときには勝つ気がないのではないかと囁かれることもある“ポツン騎乗”も横山典騎手の大きな魅力。武豊スペシャルウィークVS横山典セイウンスカイに沸いた98年のクラシックは名勝負といえるだろう。
メジロやサクラなど一時代を築いた名オーナーの有力馬とのコンビでG1を賑わせた横山典騎手。最も似合う勝負服といえばこれらではないだろうか。ゴールドシップやアエロリットとのコンビでも技ありの魅せる騎乗を披露している大御所も長男の和生、三男の武史がそれぞれデビューし、親心を覗かせるようにもなった。
近年は、活きのいい若手騎手も台頭しつつあり、徐々に世代交代の波が訪れる競馬界だが、まだまだ現役レジェンドたちの活躍に期待したいところである。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。