JRA「自ブロック制」崩壊の新潟で関東騎手が大ピンチ!? 変則開催が招いたわずか5勝の惨状、関係者でも賛否が分かれた制度の問題点とは

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、開催が1年延期となっていた東京2020オリンピックだが、23日に開会式を迎え、各地でアスリートたちが熱戦を繰り広げている。日本の金メダルラッシュに大きな盛り上がりを見せる一方で、JRAの競馬開催にも大きな影響を与えた。

 JRAから「7月24日から8月8日は、東京オリンピック開催への対応および暑熱対策の観点から、函館および新潟の2場開催といたします」と発表されているように、昨年と今年の夏競馬は2場での開催となる。

 2019年までのこの時期は、北海道開催に加えて、関東圏では新潟開催、関西圏では小倉開催が行われる、いわゆる3場開催が定番だったが、去年と今年の夏競馬に限っては、オリンピックに配慮して、変則日程で開催される。

 そして、3週間だけとはいえ、「自ブロック制」が適用されないことは競馬関係者にとっても軽視できない事案だ。

「自ブロック制」とは、2012年から導入された制度で、平地未勝利と古馬1勝クラスにおいて、自ブロックを優先するというもの。この制約により、第3場を除く東西主場(夏の福島、新潟、小倉が該当)において、フルゲート割れしない限り、関東馬は関西に、関西馬は関東といったように、他ブロックの競馬に使えない。

 仮に関西馬が新潟の下級条件レースに出走しようとしても、その出走枠が関東馬で占められた場合は、出走が叶わず、小倉のレースを使わざるを得ないということが起こる。

 しかし、今年はこの自ブロック制が適用されないため、先週を含めた3週間は、下級条件を含めた新潟競馬場の全レースで、関東馬と関西馬が同条件で出走枠を争うことになるのだ。

 そもそもこの制度の導入された経緯として、「西高東低」の現状に苦しむ関東馬への優遇措置という意味合いもあるといわれている。関東の関係者からは好意的に受け取る向きも多かったが、関西の関係者からは出走馬のコース適性を考慮した使い分けが出来なくなることなど、マイナス要素への不満も聞かれたように、賛否が分かれる結果となっていた。優勝劣敗の世界で制約が加えられ、自由競争の妨げにもなりかねないと懸念されたのは、当然の成り行きともいえる。

 こうした背景があった中、自ブロック制のメリットを失った関東勢は、新潟競馬で見るも無残な結果に終わっている。

 24・25の両日、新潟競馬で行われたのは全24レース。その勝ち馬25頭の内訳は関西馬19頭に対して、関東馬はわずか6頭。関西馬が圧倒的勝利を挙げた。馬券に絡んだ3着以内に入った73頭の内訳は、関西馬45頭に対して関東馬28頭。猛威を奮った関西馬が6割以上も占める結果となった。

「西高東低」が顕著になった新潟競馬だが、この問題は騎手たちにも大きな影響を与えている。

 勝利騎手の内訳は、関西所属騎手が20勝に対し、関東所属騎手はわずか5勝。こちらも断然、関西勢の圧倒的勝利に終わった。ちなみに馬券圏内に絡んだ73頭に騎乗した騎手をみても、関西騎手11名に対して関東騎手は5名。質量ともに関西ジョッキーが優勢な結果となった。

 基本的に関西馬には関西騎手が、関東馬には関東騎手が騎乗するケースが一般的だが、そこは“実力社会”が見え隠れするシビアな騎手の世界。

 例えば3頭を出走させた美浦・堀宣行厩舎では、そのうち2鞍は新馬戦で、24日は関西の川田将雅騎手がコリエンテスで2着。25日も関西の福永祐一騎手がレヴァンジルで3着。勝利こそ挙げられなかったとはいえ、期待馬のデビュー戦だからこそ、「東西の垣根を取っ払ってまで、関西の実力あるトップジョッキーに依頼した……」と考えるのは不思議ではないだろう。

 昨今の「西高東低」は競走馬だけでなく、騎手にとっても例外ではない。

 リーディング上位の吉田隼人騎手や、僅差で追う横山武史・和生の兄弟騎手など、関東のいわばエース級の騎手が皆、函館で騎乗していたという事実もあるが、関東圏の新潟競馬場で関西騎手に圧倒されては面白くないはず。

「自ブロック制」の“援護射撃”のない残り2週間。関東ジョッキーズの巻き返しに期待したい。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。