JRA矢作芳人厩舎「依存」脱却へ……賞金シェアは驚愕の85%!? 広尾レースが送り込む2歳世代の「切り札」が函館に登場!

 JRAでは今週から小倉競馬が一旦休止。東京オリンピック期間中は、函館と新潟の2場で開催が続けられる。

 今週末に行われる2歳新馬戦は合計6レース。そのうちの一つ、25日(日)の函館5R『2歳新馬』(芝1800m)には、エピファネイア産駒のアリシアン(牝2歳、美浦・加藤征弘厩舎)が出走する。

 23日現在、『netkeiba.com』の予想オッズで1番人気に支持されているアリシアン。上位人気が確実な理由の一つが調教で見せている動きの良さだろう。

 圧巻だったのが1週前追い切り。函館Wで5ハロン68秒0という好タイムをマークした。この時、アリシアンが追走先着を果たしたオセアダイナスティ(3歳牡馬)が、17日の函館10R『湯浜特別(1勝クラス)』に出走し、なんと7馬身差の圧勝劇を演じた。調教とはいえ、デビュー前の2歳馬が、格上馬を馬なりで楽に先着したのだから、評価が急上昇するのも当然だろう。

 21日の最終追い切りでも、函館芝で5ハロン67秒1-37秒0-12秒2をマーク。3歳未勝利のレイトンヒルと併せて楽々先着し、新馬勝ちの期待が高まっている。

 そんなアリシアンを所有するのは、一口馬主クラブの広尾レースで、約30年の歴史を持つ老舗でもある。

 創業当初から少数精鋭を貫き、2007年にクラブをリニューアルした後は1世代あたり10~15頭前後を募集。出走頻度の高さを売りにしているのが特徴だ。そんなクラブの方針とマッチしたのが現在全国リーディングトップを走る矢作芳人厩舎である。

 今年も全国最多の274回という出走回数を誇る矢作厩舎。かつて師自ら「連闘が一番得意なローテーション」と発言するなど出走回数には強いこだわりを持っている調教師である。

 広尾レースとのタッグでは8歳のハナズレジェンドが49戦、今年の日本ダービー(G1)にも出走したバスラットレオンが既に9戦している。他にもパンサラッサやカイザーノヴァなど、出走回数だけでなく、しっかりオープンクラスでも結果を出している。

 ちなみに矢作厩舎は、これまで広尾レースから預かった7頭のうち5頭を勝ち上がらせている。しかし、広尾レース側からすれば、特に昨年以降は矢作厩舎に頼りすぎている側面もあった。それは、昨年と今年の厩舎別成績を見ると一目瞭然だ。

【2020年広尾レース厩舎別成績と獲得賞金】
矢作厩舎「6-2-2-18」 1億4452万円(40.3%)
その他「5-9-5-61」 2億1450万円(59.7%)

 昨年は年間11勝に終わった広尾レース。そのうち過半数の6勝を矢作厩舎の馬が挙げていた。賞金のシェアは全体の40.3%で、この時点で矢作厩舎頼りになっていることが分かる。そして、今年の成績を見てみると……。

【2021年広尾レース厩舎別成績と獲得賞金】
矢作厩舎「3-1-1-4」8740万円(85.5%)
その他「0-1-1-41」1481万円(14.5%)

 昨年40.3%だった賞金シェアはなんと85.5%にアップ。輪をかけて矢作厩舎への依存度が高まっている。巷では「広尾レースの馬に出資するなら矢作厩舎限定」とまでいわれるほど。それだけ矢作調教師の手腕がすごいのだが、超人気厩舎だけに預託できる頭数にも限りはある。クラブとしては、矢作厩舎以外からも安定して活躍馬を出したいところだ。

 そんな広尾レースが大きな期待を胸にデビュー戦に送り込む加藤征厩舎のアリシアン。調教通りの動きを実戦でも披露することはできるか。“脱・矢作厩舎依存”のカギを握る1頭になるかもしれない。(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。