『オモウマい店』高視聴率を生む“常識を覆す”仕掛けとは?グルメ番組ブーム再来の裏側

 4月から火曜夜7時台で始まった『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(日本テレビ系)が好調だ。

 6月8日のオンエアは世帯視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人視聴率7.1%とハイアベレージを記録。これはもちろん民放の同時間帯トップを誇っており、裏番組『オトラクション』(TBS系)の同日の個人視聴率1.6%を5ポイント以上も上回っている。

 日本全国の「オモてなしすぎでオモしろいウマい店」を探す『オモウマい店』は12年間放送されてきた『火曜サプライズ』の後番組としてスタートしたが、なぜスタート直後から人気番組となっているのだろうか。これは『火曜サプライズ』の後に同じグルメ番組を配置した日テレの勝利ともいえるが、それ以外にも、『オモウマい店』にはグルメ番組の定番を覆すさまざまな“仕掛け”があるという。

 今、再び台頭してきたグルメ番組ブームとともに総括する。

『オモウマい店』ならではの“発明”とは?

『オモウマい店』で特徴的なのは、ナレーションがほぼ皆無であるということ。店に関する必要最低限の情報については、“店内で毎日製麺”“大盛り注文の方はけんちん汁おかわり無料”など、テロップでフォローされている。民放のバラエティでここまで“ノーナレーション主義”を貫くのは珍しい。

 さらにグルメ番組といえば、まずリポーターが町を歩きながら店を見つけて入店。メニューを見て注文し、試食、という流れが一般的だが……。

「この番組は、こうした段取りをすべてすっ飛ばし、いきなり店内の映像から入っている。その上、店の場所も番組中盤になってようやく明かすという仕組みになっています。これまでのグルメ番組の“ルーティン”を外したことが、目新しさを生んでいます」(テレビ局関係者)

 さらにもうひとつ、この番組ならではの“発明”があるという。

「この『オモウマい店』では、まさにその店の様子がオンエアされている火曜当日の店内にカメラが入り、テレビに映っている自分を見て、店主がどんなリアクションをするのかを撮影。さらに、放送翌日の店にも密着し、反響まで追跡しています。どちらかといえば、日々ネタ探しに追われるテレビマンは『オンエアしたら終わり』という考えが根強い。しかし、同番組は、一度取材したキャラクターの良い店主をこうして“有効活用”していると言っても過言ではないのです」(同)

 また、同番組では取材の過程も斬新な手法を採っているという。

「飲食店への取材交渉は、えてして電話でおうかがいを立てるところから始まるものですが、『オモウマい店』ではディレクターがカメラを持って店に行き、その場で交渉していることが多い。いきなり相手の懐に飛び込むのはリスクがありますが、その場で取材OKしてくれるような店は、たいてい器が大きいし、人間的な魅力にあふれていることが多いはず、という算段でトライしているのでしょう」(同)

『火曜サプライズ』ではタレントによるアポなし取材が人気だったが、それをさらに進化させているということだろう。

 また、店を訪れるリポーターとして本田望結、トリンドル玲奈、北乃きいといった、あまり食べるイメージのない女性タレントを起用しているのも、同番組らしい仕掛けだ。さらに、新たな大食いタレントとして、どちらかといえばあまり食べそうにない「大盛のり子」というスターを登場させているのも、ポイントのひとつだろう。

テレビ界でグルメ番組が再ブームに

 そんな『オモウマい店』以外にも、今や民放各局のタイムテーブルには『満天☆青空レストラン』(日本テレビ系)、『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)、『デカ盛りハンター』(テレビ東京系)といった食をテーマにした番組が並んでいる。

 さらに、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)も「チャレンジグルメ」と称して大食い企画を売りにしているし、日本人だからこそ知っておきたい情報を届けるはずだった『林修のニッポンドリル』(フジテレビ系)も、最近はスシロー、餃子の王将、ドミノピザなど飲食チェーンの裏側ばかり放送している。気づけば、大食い・大盛り・グルメ番組が花盛りなのだ。

「一時期はクイズ番組が花盛りでしたが、食欲という、より人間の生理に訴えかけやすいグルメ番組のほうが、そこまで手間もかからずに視聴率が見込めるという流れになってきているようです。また、飲食店に気軽に行けない、外でなかなか食べられない、という現代特有の視聴者の不満を、こうしたグルメ番組で解消している可能性もあります」(同)

 かつて、テレビ業界には「ラーメンを画面に出しておけば数字が獲れる」と言われた時期もあったというが、そうした流れが再び来ているのかもしれない。

(文=編集部)