JRA 安田記念(G1)大本命グランアレグリア「何故」敗れたのか。C.ルメール「違うレベルでした」「安全に……」4馬身差圧勝のヴィクトリアマイルとの違い

 6日、東京競馬場で行われた春のマイル王決定戦・安田記念(G1)は、8番人気の伏兵ダノンキングリー(牡5歳、美浦・萩原清厩舎)が優勝。一昨年の日本ダービー(G1)2着馬が悲願のG1初制覇を果たした。

 その一方で単勝1.5倍に支持されながらも2着に敗れたのが、G1・6勝目を目指したグランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だった。

 14頭立ての芝1600mのレース。まずまずのスタートを決めたグランアレグリアだったが、行き脚がつかずに後方から。後方のまま迎えた最後の直線では、上がり3ハロン最速となる32.9秒の鬼脚を繰り出したものの、勝ったダノンキングリーにアタマ差及ばなかった。

「レース後にルメール騎手が『手応えが前走と全然違いました』と話していましたが、スタート直後、隣にいた池添謙一騎手とダノンプレミアムとのポジション争いに敗れて後方へ。ルメール騎手もすぐに外に出そうとしたんですが、そこを今度は川田騎手のダノンキングリーが外からチェックしていました。

さらにポジションを下げたところに、今度は外から岩田康誠騎手とケイデンスコールと『いいポジションを取れず、苦しそうだった』との言葉通り、グランアレグリアにとっては非常に厳しい展開になりましたね。

最後の直線でも狭いところを通らされましたし、『この展開で、よく2着まで来たな』というのが正直な感想です。敗れはしましたが、今のマイル戦線で頭一つ抜けた存在という評価は変わらないですね」(競馬記者)

 同じ東京のマイル戦で行われたヴィクトリアマイル(G1)から中2週。今回のグランアレグリアとルメール騎手にとって、大きなテーマの1つは4馬身差の圧勝劇に終わった「前走の再現」だったはずだ。

「やっぱり今日は違うレベルでしたね」

 これはヴィクトリアマイル後のルメール騎手のコメントだ。単勝1.3倍に応える4馬身差の勝利だけに「レベルが違う」と話すのも当然だが、この圧勝劇が安田記念で戦うライバルたちの警戒心を強めたことは間違いないだろう。

「スタートがそんなに速くないのでミドルポジションになりました」というのは、今回の安田記念でも同じだった。つまり、中団より後ろになることは、ルメール騎手にとっても想定内だったと言える。

 しかし、大きな違いが生じたのは、その直後だ。

「すぐ外に行けたのでポジションとか、馬のリズムとかが嬉しかったです」と話したヴィクトリアマイルの道中に対して、今回はライバルから激しいマークを受けた。ヴィクトリアマイルが6番、安田記念が5番とほぼ変わらないゲートからのスタートだったが、序盤の展開はまったく違った。

 結局「直線ではすぐ外に出ました。安全に乗りました」という状況も再現できず、上がり3ハロン32.9秒というメンバー最速の末脚を繰り出したものの、ヴィクトリアマイルで見せた32.6秒には及ばす。ペースや相手関係など様々な要因も然ることながら、それ以上にスムーズな走りができなかったことはアタマ差2着という結果に大きく響いた。

「ラストはよく来てくれていますし、ポテンシャルは凄い馬」

 最後にそう相棒を庇ったルメール騎手。思えば、先々週のオークス(G1)のソダシ、先週の日本ダービー(G1)のエフフォーリアも単勝1倍台に支持されながら激しいマークに遭って敗れている。

 昨年はコントレイルとデアリングタクトが無敗で三冠達成。アーモンドアイやグランアレグリアの躍進もあって、G1で1番人気が強さを見せつけた一年でもあった。

 しかし、今年はここまで1番人気でG1を勝ったのはフェブラリーS(G1)のカフェファラオと、ヴィクトリアマイルのグランアレグリアのみ。単勝1倍台に限るとヴィクトリアマイルのグランアレグリアだけになる。昨年から打って変わった群雄割拠の時代は、まだまだ続くのかもしれない。(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。