昨年から外出する機会はめっきりと減り、デリバリーで食事を頼むことが多くなりました。
自炊や飲食店で食べるよりも割高ではありますが、好きなものをいつでも気軽に頼めるので便利で快適すぎます。今ではデリバリーなしでは過ごせない体質となってしまいました。
しかし、ときには注文とは違うものが届いたり、汁物が配達中にもれてビチャビチャになっていることも…。調理するスタッフや配達員の方々も、忙しい中で対応しているのでしょう。そういったことも踏まえ、私は特に文句を言わずに届いたものを食べるようにしておりますが…。
やはりトラブルも起きてしまうようで、クレームを出される方もいるようですね。私も注文したものが3時間経っても届かなかった時は、さすがに店へクレームを入れさせていただきました。その際は店側の確認ミスで、非常に丁寧な対応をしていただいたことで不快な気持ちにはなりませんでしたが。
話を戻させていただきますが、このようなクレーム問題は飲食店に限った話ではありません。その中でも「一方的な言い分」で迫ってくるクレーマーの対応は、どの職種であっても苦労されているのではないでしょうか。
私がパチンコ店で働いていた時も、クレーマーの対応に難儀した経験がございます。お客様から「出ないぞ!」「金返せ!」と強い口調で責め立てられることもありますが、これはホール店員であれば誰もが通る道です。それは耐えられるのですが…。
「最強クラスのクレーマー」ともなると話は変わって参ります。
もはや「一つ一つの言動が鋭い刃」の如く研ぎ澄まされており、心をズタズタに切り裂いてくるのです。牙を向けたその姿はまさにモンスター。その強力な精神攻撃は、時にしてホール店員の心を折ります。思い出すだけで嫌な気持ちになってしまう…それほどに、驚異的な破壊力を誇っていました。
今回は私が遭遇した「唯一無二の最強クレーマー」とのエピソードを紹介させていただきます。執念深く怒りをぶつけ、スタッフの退勤時間さえも捻じ曲げた「最強クレーマー」との戦い。「強力な精神攻撃」を耐えた末に、予想しなかった結末が待っていたのでした。
あれは5年ほど前。ホールへ一人の女性客が来店し、他のスタッフへ何かを訴えかけておりました。もの凄い剣幕で明らかに怒りを露わにされているお客様。ただならぬ空気を感じた私は、対応しているスタッフへ「何があったんですか?」とインカムで尋ねました。
すると、「自分も良く分かりませんが、なぜか凄く怒っています」という不可解な返事が返ってきたのです。怒っている理由が分からずに困り果てているスタッフに助け舟を出すべく、私も女性客の対応に向かいました。
「どうされましたか?」と私が聞くと、そのお客様は「どーしたもこーしたもないわよ!」「1回も大当りなしよ!」「私を陥れるつもりね!」とまくし立てるように言い放ってきたのです。
その鬼気迫る勢いに圧倒されつつも、冷静に話し合いができるように言葉を選んで慎重に対応しました。しかし、この方は怒りを鎮めるどころか言動が更にエスカレート。いつしか私は、ひたすら口撃を耐えるだけのサンドバッグと化していたのです。
その言葉は「〇ソ店員!」「ボッタクリ!」(これ以外の内容は、とてもじゃありませんが公表できません)など、品のある容姿からは想像できない過激なもの…。自分の話している内容に怒りを覚え、更に腹を立てるといった激情タイプの方でエンドレスに対応が続きました。
30分ほどが経った頃でしょうか。この女性客もさすがに疲れた様子で、ぶつくさと文句を言いながら私から離れていったのです。解決はしませんでしたが、ひとまず解放されてホッとしたのを覚えております。
それからというもの、このお客様はスタッフの間で「クレーム婦人」と呼ばれ、恐れられる存在となりました。
この方の遊技している台をスタッフが通りかかると、必ずといっていいほど「こっちくるんじゃないわよ!」などの文句を言ってくる状況。もはや誰も近づきたがらない存在として恐れられておりました。誰もが「そんなに文句があるなら来なければいいのに…」と思っていたはずです。
そんな「クレーム婦人」の魔の手は、いつしか営業時間外にも及ぶことに…。あろうことか、閉店後の店に電話をかけてきたのです。
電話に出たのは閉店作業中のホール責任者でした。電話越しでも持ち前のマシンガン口撃は健在で、約1時間は拘束されていたと思います。これによって、店の売上管理やホールコンピューターの締め作業が大幅に遅れ、退勤時間は深夜1時を過ぎることとなってしまったのです。
閉店後の電話は、その後も数日にわたって続きました。明らかに仕事に支障をきたしているので「クレーム婦人」の電話番号からの着信は、余裕がないかぎり受けないようにしていたのですが…。
向こうもそれを察知したのか、違う電話番号でアプローチをかけてきたのです。長電話を終えて、やつれた顔で「まんまとやられたよ…」と話していたホール責任者の顔は今でも覚えております。
「こんな地獄の日々がいつまで続くのだろう…」。そんな絶望的なことを考えていたある日、信じられない光景が私に飛び込んできました。
なんと…常に眉間にシワを寄せ、我々を見れば過激な文句を浴びせてきていた「クレーム婦人」が、満面の笑みで私に話しかけてきたではありませんか!
予想外の出来事に驚きを隠せませんでしたが、どうやら『ぱちんこCR真・北斗無双』で3万発を超える大連チャンを炸裂させた模様。「この店もたまにはいい事するじゃない」と、やわらかい表情で話してきたのでした。
あの衝撃的な笑顔は今でも忘れられません。それからも、自身が納得できない時などは相変わらず文句を言っておりましたが、閉店後に電話がかかってくることはなくなりました。
最強のスペックは、最強のクレーマーさえも笑顔にさせる。その様子を間近で体験できた思い出深いエピソードでございました。
(文=ミリオン銀次)
<著者プロフィール>
ホール店員・雀荘店員といった職種を経験。それらを活かし、ライターとして活動中。特に力を入れているのはパチンコ・パチスロ分野で、自身の遊技体験やホール店員時代のエピソードを中心にしたコラムを執筆している。パチンコ・パチスロ歴は10年以上で「打ちたい台をトコトン打つ」がモットー。結果として、目も当てられない大敗を多く経験。「悲惨なエピソードも明るく紹介したい」といった拘りを持つ。
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