23日、東京競馬場では第82回オークス(G1)が行われる。無敗の牝馬クラシック2冠を狙うソダシが高い注目を集めるが、あの良血馬も忘れてはいけない。
父がディープインパクト、母はアパパネというアカイトリノムスメ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)。ソダシと同じく金子真人オーナー縁の血統が凝縮したロマンの塊のような存在だ。
そんなアカイトリノムスメに騎乗するのはC.ルメール騎手。ソダシの最大のライバル・サトノレイナスが次週の日本ダービー(G1)に挑戦するため、陣営はリーディングジョッキーを確保し、オークス制覇を目論んでいる。
桜花賞は横山武史騎手が騎乗して4着。同騎手は皐月賞(G1)をエフフォーリアで制するなど、今最も旬といえる若手の有望株。それでもルメール騎手への乗り替わりなら、大きなプラスになるというのがファンの共通認識だろう。
「ソダシとワンツーを狙う金子真人オーナーとしても、ルメール騎手を確保できたことは心強い限りでしょう。むしろ、ファンからは『(アカイトリノムスメの)鞍上強化によってソダシの2冠の可能性が低くなるのでは?』という懸念の声まで聞こえてくるほどです。
ルメール騎手は目下2週連続G1制覇と絶好調ですが、この乗り替わりが必ずいい方向に転ぶとは言い切れません。ほとんどの3歳牝馬にとって2400mは未知の距離。ルメール騎手といえども、テン乗りで難しい面はあるはずです」(競馬誌ライター)
実際に、牝馬3冠レースの中でも、オークスは特に継続騎乗が最も望ましいレースといえそうだ。
【牝馬3冠レースの騎手乗り替わり時成績、2000年以降】
桜花賞 5-5-8-108/126(4.0%/7.9%/14.3%)
オークス 2-5-5-114/126(1.6%/5.6%/9.5%)
秋華賞 5-5-8-133/151(3.3%/6.6%/11.9%)
※カッコ内は左から勝率、連対率、複勝率
2000年以降の牝馬3冠で、前走から鞍上が変更になった時の成績を並べると、桜花賞と秋華賞(G1)では5勝ずつしているが、対するオークスは2勝のみ。折り合いが大事になる長距離レースということもあって、乗り替わりは大きな減点材料になっている。
しかし、今回アカイトリノムスメに騎乗するのはルメール騎手。そんな心配も杞憂に終わりそうだが……。
「実はルメール騎手は、今年重賞を7勝していますが、乗り替わり時の勝利はクールキャットで制したフローラS(G2)だけ。重賞レースに限れば、継続騎乗の方が圧倒的にいい成績を残しています」(同)
【ルメール騎手の前走騎手別成績、2021年重賞】
継続 6-4-3-9/22(27.3%/45.5%/59.1%)
乗替 1-0-1-8/10(10.0%/10.0%/20.0%)
また、ルメール騎手には他にも逆風となるデータが存在する。それが、2010年以降の芝長距離レース(2400m以上)における、前走騎手別成績だ。
【ルメール騎手の前走騎手別成績、2010年以降、2400m以上のG1レース】
継続 8-4-3-9/24(33.3%/50.0%/62.5%)
乗替 2-3-1-12/18(11.1%/27.8%/33.3%)
継続騎乗時の勝率33.3%に対し、乗り替わった時は3分の1となる11.1%。これを考慮すると長距離G1において、『ルメールへの乗り替わりは買い』とは決して言えない数字だ。さらに、オークスと同じ東京2400mのレースに絞ると、乗り替わり時は何と「0-0-0-7」で、この10年強は一度も馬券に絡んでいないのである。
三冠馬アパパネを母に持つアカイトリノムスメだが、ルメール騎手への乗り替わりがまさかの“鞍上弱化”となってしまうのだろうか……。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。