先月、JRAから「他の騎手に対し粗暴な行為に及んだ」として、25日から5月8日まで14日間(開催4日)の騎乗停止処分が下されている岩田康誠騎手。
レース前の返し馬の際、藤懸貴志騎手への幅寄せ、暴言を浴びせた前代未聞の事件。報道では同日にあった審議の際、岩田康騎手が藤懸騎手の態度に納得がいなかったことなどが原因として報じられている。
ベテランの先輩騎手が約20年も後輩の騎手へ、まるで“煽り運転”を思わせるようなパワハラ行為に及ぶという決してあってはならない事件だが、騎乗停止期間はわずか開催4日。岩田康騎手が今週末のNHKマイルC(G1)開催日には復帰することについて、多くの競馬ファン、そして関係者も少なからず抵抗があるようだ。
そんな中、「ファンの皆さんや馬主さんにも聞いてもらうべき」と声を上げたのが、元JRA騎手の藤田伸二氏だ。
自身のYouTube『藤田伸二チャンネル』に登場した藤田氏は、事件があった当日夜にも同チャンネルに出演。岩田康騎手の藤懸騎手への高圧的な態度が本件だけでなく、ずっと以前から続いていたことや、過去に4、5人の後輩騎手をイジメていたことなどを明かしている。
周囲の騎手の証言を元に「幅寄せ」があったと報じられているが、実際のところ藤懸騎手は騎乗馬と共に元々ラチ沿いにいたところを、岩田康騎手が激突せんばかりのスピードで「突っ込んでいった」という。
ネット上では本件について「煽り運転」というワードが散見されたが、まさにそれに近いような状況だったようだ。
また、藤懸騎手に迫った岩田康騎手は、自身の騎乗馬に「思いっきり何度もムチを入れていた」という。藤田氏はこの行為に、岩田康騎手に「自分の馬が藤懸の馬を蹴ればいい」という思惑があったのではないかと指摘している。
周囲の関係者から本件を聞いた藤田氏は「馬に飯を食わせてもらった」元騎手として「めっちゃムカついた」「スポーツマンシップから大きく外れている」と激怒。「頭おかしいんちゃうか?」と激しく岩田康騎手を批判しているが、これらが事実なら、まさにその通りと言わざるを得ないだろう。
「つい先日、ばんえい競馬の能力検査のレースで騎手が馬の顔を蹴ったことが社会問題になりましたが、藤田氏が語った岩田康騎手の行為は『それを遥かに超える悪質さ』と言わざるを得ません。
もし本当に岩田康騎手が入れたムチが騎乗馬の“後脚キック”を誘発するものであれば、藤懸騎手に対する明らかな暴力行為。藤懸騎手や騎乗していたテイエムマジックはもちろん、岩田康騎手が騎乗していたスウィープザボードも何らかのケガを負っていた可能性は高いでしょう。藤田氏が激怒するのも当然だと思いますね」(競馬記者)
また、藤田氏は過去に他の後輩騎手も殴られるなど「理不尽な目に逢っていた」と告白しているが、驚くべきことにこれらを岩田康騎手自らが申告したため、JRAサイドもその事実を把握していたという。
藤田氏はこれを「イエローカード」と指摘し、その上で「一番の疑問」として投げかけたのが、本件の騎乗停止4日間という処分が「甘過ぎないか」ということだった。
「2018年10月に新人だった山田敬士騎手がレースの距離を間違えた際は、約3か月間の騎乗停止となりました。他にも、かつては油断騎乗などで30日間の騎乗停止などがありましたが、これらが過失であったにもかかわらず非常に重い処分になったのは、偏にファンがお金を投資しているレースに大きな影響を与えたからこそ。過失か故意ではなく、JRAが掲げる公正確保に著しく反してしまったからだと思います。
そういった意味では、今回の岩田康騎手の件で長期の騎乗停止処分を下すのは難しいということなのでしょう。
ただ、藤田氏も本件があったレースで2着した藤懸騎手のテイエムマジックが、岩田康騎手の行為がなければ『勝っていた可能性もある』と指摘していた通り、間接的に影響があった面は否めません。そういった意味では、確かに騎乗停止4日間というのは少々甘い気もし、道徳的にはもっと重い処分があってもいいと思います」(同)
「競馬会ももう一回、そういうことを見直した方が良い」と警鐘を鳴らしている藤田氏。前代未聞の事件となった岩田康騎手の処分だが、騎乗停止期間を終えただけで収束というわけにはいかないだろう。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。まれに自分の記事で泣く。