25日に香港のシャティン競馬場で行われる「香港チャンピオンズデー」。日本からは合計5頭が出走を予定している。
まず、芝2000mを舞台に開催されるのがクイーンエリザベス2世C(G1)だ。7頭立てという少頭数になったが、過半数の4頭が日本勢。もちろん最大の注目はデアリングタクト(牝4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)で間違いないだろう。
1番ゲートからの発走が決まったデアリングタクト。鞍上はJRA所属騎手としては唯一、香港に渡った松山弘平騎手が務める。
前走の金鯱賞(G2)では、単勝オッズ1.4倍の断然人気に支持されたデアリングタクトと松山騎手。最内1番枠から五分のスタートを切ったが、10頭立ての中団に控え、向正面ではうまく外に持ち出した。3コーナーすぎに松山騎手の手が動き、早めに仕掛けたものの、逃げたシンガリ人気のギベオンを捉えきれず。ジャパンC(G1)3着に続き、まさかの2連敗を喫した。
大番狂わせともいえる黒星には松山騎手も「人気に支持していただいたので、結果として申し訳ありませんでした」とうなだれた。
その後は宇治田原優駿ステーブルで2週間ほど調整され、先月31日に栗東に帰厩。11日に坂路、14日にはCWコースでいずれも馬なりで好時計をマークした。トレセン内での検疫を経て、15日に香港に向けて出国した。
杉山調教師は「今回初の海外遠征となりますが、我々が想像している以上に精神面はタフで逞しい」と三冠牝馬にとって、初めての海外遠征にも大きな不安は感じていない様子だ。
21日にはシャティン競馬場の芝コースで追い切りが行われ、4ハロン54秒2-2ハロン25秒0をマーク。騎乗した松山騎手は「今日は馬なりで、リズムを重視しました。動きは問題ありません。この2日間はリラックスできていると思います」と手応えを口にした。
秋華賞(G1)以来となる勝利に向けて、態勢は整ったとみていいだろう。
そのデアリングタクトのライバル筆頭が5番ゲートからの発走が決まったラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
19年に無敗でオークス(G1)を制したが、その後はなかなか勝てず。連敗を6で止めたのが、今年2月の京都記念(G2)だった。1年7か月ぶりの勝利を飾ると、ドバイシーマクラシック(G1)で海外初挑戦を果たした。
同世代牝馬のクロノジェネシスとアイルランドのモーグルが人気を集め、ラヴズオンリーユーは少し離された3番人気。しかし、レースでは最後の直線でクロノジェネシス、ミシュリフと3頭によるデッドヒートを展開。ラヴズオンリーユーが一瞬抜け出したかに見えたが、最後はミシュリフが日本馬2頭をまとめて差し切った。
クビ差2着にはクロノジェネシス、さらにクビ差の3着にラヴズオンリーユーが入った。日本からドバイ、さらに香港への2度目の長距離輸送を経て、中3週での競馬。しかし、馬自体は疲れを見せていないようだ。
16日に香港に到着後、21日にはシャティン競馬場の芝コースで追い切られ、4ハロン51秒7-2ハロン23秒6をマーク。陣営も「無事追い切りを終えて、順調に来ています」と自信をのぞかせた。
それでも実績的には、あくまでも1歳下の3冠牝馬デアリングタクトに挑戦する立場。香港の地で惜敗した前走の悔しさを晴らすことはできるか。
日本馬4頭の中で唯一、香港での勝利経験があるグローリーヴェイズ(牡6歳、美浦・尾関知人厩舎)は、大外7番ゲートに入った。
その勝ち鞍というのが19年の香港ヴァーズ(G1)だ。断然1番人気のエグザルタント、そしてラッキーライラックという2頭を破っての戴冠だったが、その時の距離は2400m。グローリーヴェイズにとって今回の2000mはやや距離不足といえるだろう。それでも前走の金鯱賞、そして2走前のジャパンC(G1)ではデアリングタクトと差のない競馬をしている。
シャティン競馬場での勝利経験を武器に、2度目の香港遠征で再度の大駆けがあっても驚けない。
日本馬4頭目は3番ゲートに入ったキセキ(牡7歳、栗東・辻野泰之厩舎)だ。
17年には、香港ヴァーズを経験しているが、その時は9着に敗れた。19年には凱旋門賞(G1)にも挑戦しており、海外遠征は3度目。課題のスタートを決めて、思い切った逃げを打つ形に持ち込めれば、面白いが……。
鞍上を務めるC.スコフィールド騎手は、シャティンでの追い切りに騎乗し「雄大で美しいフォームで走りますね。ラスト1ハロンは強めに追ってみたのですが、馬場も合っていると思います」と絶賛。17年の菊花賞以来、3年半ぶりの美酒を味わうことはできるか。
他には、昨年の覇者でもあるエグザルタント(セ7歳)ら地元・香港の3頭が出走を予定している。
芝1200mのチェアマンズスプリントプライズ(G1)には、ダノンスマッシュ(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)が出走する。
13頭立ての5番ゲートから発走するダノンスマッシュ。昨年の香港スプリント(G1)で悲願のG1初制覇を飾ると、先月の高松宮記念(G1)も制覇。国内外のG1・2連勝中と勢いに乗る。
21日にはシャティンの芝コースで追い切られ、スプリンターらしく4ハロン48秒8-2ハロン22秒9という好時計をマークした。本番でも手綱を取るマジックマンことJ.モレイラ騎手は「調子が良さそうで、力がみなぎった走りをしていました」とパートナーの動きに満足げだ。
不安があるとすれば、前走から中3週というやや詰まったローテーションだろう。これまでの戦歴からも間隔は空けたほうがいいタイプなのは間違いない。さらに香港勢からの厳しいマークも予想される。国内外のG1・3連勝は決して簡単ではないが、本格化した今ならあっさり勝利してもおかしくはない。
他には9戦6勝のウェリントン(セ4歳、香港)、前哨戦のスプリントC(G2)を勝ったアメージングスター(セ6歳、香港)、昨年の香港スプリントでダノンスマッシュと半馬身差の2着に入ったジョリーバナー(セ9歳、香港)などが虎視眈々と戴冠を狙う。
ダノンスマッシュが出走するチェアマンズスプリントプライズは15時50分、日本勢4頭が出走するクイーンエリザベス2世Cは17時35分に発走予定だ。