いよいよ週末に迫った皐月賞(G1)だが、今年はどの馬が勝つのかまったく読めない、まさに混戦模様となっている。
特にファンを悩ませているのはダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)の取捨だ。昨年のJRA最優秀2歳牡馬であり、当時は誰もが皐月賞はこの馬と感じたほど。しかし、前走の弥生賞(G2)で人気を裏切り、評価が急落……鞍上の川田将雅騎手は相変わらず絶好調だが、ダノンザキッドに関しては全幅の信頼は置けない。
というのも、ここに来てダノンザキッドの勝利に立ちふさがる2つのデータが浮上したからだ。それが“最優秀2歳牡馬&セレクトセール1億円馬”である。
JRA賞が始まった1987年以降、JRA賞最優秀2歳牡馬(旧JRA賞最優秀3歳牡馬)を受賞した馬は34頭いるが、その中で皐月賞を勝利したのはわずか4頭のみ。
そして、その4頭に共通しているのは前走で勝利していることだ。
その4頭は1992年ミホノブルボン、1994年ナリタブライアン、2012年ロゴタイプ、2020年コントレイル。残り30頭のうち、前走で敗退していたJRA賞最優秀2歳牡馬の皐月賞着順は以下の通り。
2019 アドマイヤマーズ 4着
2017 サトノアレス 11着
2016 リオンディーズ 5着
2015 ダノンプラチナ 11着
2014 アジアエクスプレス 6着
2010 ローズキングダム 4着
2009 セイウンワンダー 3着
2007 ドリームジャーニー 8着
2006 フサイチリシャール 5着
2005 マイネルレコルト 4着
2004 コスモサンビーム 4着
2002 アドマイヤドン 7着
1990 アイネスフウジン 2着
1989 サクラホクトオー 19着
この成績を見れば、いかに最優秀2歳牡馬といえど、前走で敗退しているようでは皐月賞で勝利するのは難しいということになる。
3連勝でホープフルS(G1)を制し、2020年のJRA賞最優秀2歳牡馬に選ばれたダノンザキッドは、復帰戦の弥生賞で3着に敗退しており、この時点ですでに皐月賞勝利に黄色信号が点灯している。朝日杯FS(G1)のみが選定基準だった時とホープフルSがG1レースに昇格した今では傾向も異なるが、同馬はこのデータを覆すことができるだろうか。
またセレクトセールの呪いとは、セレクトセールで1億円を超える金額で取引された馬は、皐月賞に1度も勝利していないというジンクスだ。
ちなみにセレクトセール出身馬は、過去10年で34頭が皐月賞に出走して2018年のエポカドーロ(セレクトセール取引額3400万円)が勝利。さらに遡っても2005年のディープインパクト(同7000万)が勝利しているが、ともに1億円未満の取引馬。過去10年で見てみると、1億円以上の馬は合計8頭が出走して2着もない[0.0.1.7]という散々な成績となっている。その8頭は以下の通り。
2020年 サトノフラッグ
1億6500万円 (2017年 セレクトセール)
2番人気5着 C.ルメール
2019年 アドマイヤジャスタ
1億4000万円 (2016年 セレクトセール)
11番人気8着 岩田康誠
2019年 サトノルークス
2億7000万円 (2017年 セレクトセール)
8番人気14着 池添謙一
2018年 キタノコマンドール
1億9000万円 (2016年 セレクトセール)
3番人気5着 M.デムーロ
2017年 スワーヴリチャード
1億5500万円 (2014年 セレクトセール)
2番人気6着 四位洋文
2016年 サトノダイヤモンド
2億3000万円 (2013年 セレクトセール)
1番人気3着 C.ルメール
2014年 トーセンスターダム
2億5000万円 (2012年 セレクトセール)
3番人気11着 武豊
2011年 プレイ
1億4500万円 (2009年 セレクトセール)
13番人気9着 松岡正海
この8頭には後にG1馬となったスワーヴリチャードやサトノダイヤモンドも含まれているが、この皐月賞ではともに2着以内もない状況だ。セレクトセール出身馬は多くのG1レースを勝利しているが、この皐月賞に関しては相性が悪いと言わざるを得ない。
そしてダノンザキッドはセレクトセールにて1億円で落札されており、ジンクスの不安が先立つ。同馬はJRA最優秀2歳牡馬のデータに続き、このジンクスも超えなければならないのだ。
競馬において歴史は繰り返すと言われている。ゆえに過去のデータは、予想するうえで重要なファクターのひとつとして利用されている。その観点で見ると、残念ながらダノンザキッドが、この皐月賞で勝利する可能性は低いと言わざるを得ない。やはり今年の皐月賞は波乱となるのか……。