JRA 武豊「最下位になっても文句は言えない」と危惧!? 桜花賞(G1)メイケイエール陣営が横山典弘「全権委任」に太鼓判、ノームコアの苦い記憶を払拭できるか

 11日、阪神競馬場では春クラシックの開幕戦となる桜花賞(G1)が開催される。

 昨年の阪神JF(G1)を制した2歳女王ソダシ、ハナ差の2着サトノレイナスは直行での参戦。それ以外にもトライアルを制した新勢力との激突も興味深い。人気を二分する2頭が休み明けということもあり、ライバル陣営にも付け入る隙はありそうだ。

 なかでも“色んな意味“で注目を集めることになりそうなのが、横山典弘騎手との新コンビで挑むメイケイエール(牝3、栗東・武英智厩舎)だろう。

「最下位になっても文句は言えないと思っていました」

 手綱を執った武豊騎手も自身の公式サイトでそう振り返ったほど、2度目のマイル戦となった前走のチューリップ賞(G2)は薄氷の勝利だったといえる。

 メイケイエールはスタートから終始掛かり通し。武豊騎手も根負けするような格好でハナに立ったものの、内から伸びたエリザベスタワーに詰め寄られてあわやのシーン。1着同着となったことで辛うじて事なきを得たが、本番に向けて視界良好とは言い難い内容だった。

 昨年、小倉2歳S(G3)、ファンタジーS(G3)を連勝した勢いで臨んだ阪神JFでは、鞍上の武豊騎手も折り合いに苦心しつつも、最後の直線で外から豪脚を披露。最後は力尽きて4着に敗れはしたが、初のマイル戦でも一定の目処が立っていた。とはいえ、気性面の成長に前進は見られなかったことは、次走に大きな課題を残していた。

 枠順やスタートにもよっては「逃げ」も示唆していた武豊騎手だが、3月20日の阪神競馬で騎乗した際に負傷。後に骨折が判明したため、代打として陣営から白羽の矢が立ったのが横山典騎手である。

 最近は活躍が目覚ましい三男・武史騎手の陰に隠れている印象もある父・横山典騎手だが、変幻自在の「横山マジック」はまだまだ健在。大胆な騎乗ぶりがときには物議を醸すこともあるが、武豊騎手ですら「お転婆」ぶりに手を焼くメイケイエールの鞍上には願ってもない騎手だ。

「勝ちたいなと考えたときに、ジョッキーの選択は横山典弘騎手でした」

 武英智調教師は「前走まで手綱を取っていただいた武豊騎手もそうですし、横山典弘騎手も僕の憧れの存在」とその手腕を高く評価。

「馬の気持ちを最優先で競馬される方なので、こっちの固定観念も取り払われるというか、アッと言わせる方なので感性に任せて競馬していただけたらなと思います」と絶大な信頼を感じられるコメントを残している。

「盟友といえる武豊騎手の代打でプレッシャーもあったでしょうが、これで横山典騎手も少しは気が楽になったのではないでしょうか。これまで武豊騎手が前から後ろからと試行錯誤を繰り返しましたが、これは『感性に任せて』というある意味『全権委任』とも受け取れるコメントを陣営が出したということです。

横山典騎手といえば大胆な後方待機策をすることもあり、一部ファンから『後方ポツン』なんて言われることもありますが、それは馬の気持ちを最優先してのこと。これとは逆に鮮やかな大逃げで度肝を抜いたイングランディーレやセイウンスカイのような例もあります。メイケイエールとのコンビでどう乗って来るのかは楽しみですね」(競馬記者)

 その一方、横山典騎手にとって苦い記憶となったのが昨年のエリザベス女王杯(G1)だろう。

 このレースで2番人気ノームコアに騎乗した横山典騎手だが、近走は後ろからの競馬で好走していた馬でハナに立つ奇襲に出たものの18頭立ての16着に大敗。ノームコアはZ.パートン騎手と挑んだ香港C(G1)で後方から見事な差し切り勝ちを収めたこともあって、エリザベス女王杯の奇策には賛否が分かれることになった。

 それだけに桜花賞のメイケイエールで「逃げ」を選択することに、躊躇もあったかもしれない。だが、陣営から全幅の信頼がある状況なら、見るものをアッと驚かせるマジックのまたとない援護射撃ともなりそうだ。

 はたして関東の大ベテランはどのような作戦を取るのか。その手綱捌きに注目したい。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 好きな馬はミホノブルボン。馬券は単複派。人気薄の逃げ馬で穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で叫びたい。